JP3668072B2 - 積層型圧電アクチュエータ - Google Patents

積層型圧電アクチュエータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型圧電アクチュエータに係わり、例えば、自動車用燃料噴射弁、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子等に使用される積層型圧電アクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、電歪効果を利用して大きな変位量を得るために、圧電体と内部電極層を交互に積層した積層型圧電アクチュエータが提案されている。積層型圧電アクチュエータには、同時焼成タイプと圧電磁器と内部電極板を交互に積層したスタックタイプの2種類に分類されており、低電圧化、製造コスト低減の面から考慮すると、同時焼成タイプの積層型圧電アクチュエータが薄層化に対して有利であるために、その優位性を示しつつある。
【0003】
同時焼成タイプの積層型圧電アクチュエータとして、例えば、特公平6−66484号公報には、アクチュエータ本体の側面に露出した内部電極の端部に一層おきにガラスからなる絶縁層を被覆して絶縁し、絶縁層と絶縁層の間の内部電極の端部を導電性ガラス膜で被覆し、該導電性ガラス膜および絶縁層を導電体膜で被覆して外部電極を形成し、この外部電極により内部電極の端部に一層おきに接続した積層型圧電アクチュエータが開示されている。
【0004】
しかしながら、この公報に開示された積層型圧電アクチュエータでは、アクチュエータ本体の側面に露出した内部電極の端部には一層おきにガラスからなる絶縁層が被覆され、内部電極とその両側の圧電体が強固に接合されており、外部電極と内部電極との絶縁性が確保されているが、長期間連続駆動させた場合、導電性ガラス膜に割れが生じ、この割れにより内部電極と外部電極との間で剥離が生じ、一部の圧電体に電圧が供給されなくなり、駆動中に変位特性が変化するという問題があった。
【0005】
また、この様なアクチュエータにおいては、外部電極にリード線を半田付けにより形成することから、導電体膜からなる外部電極が半田食われを生じ、導通の信頼性を著しく低下させるという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するために、特開平1−147880号公報では、アクチュエータ本体の側面に露出した第1または第2内部電極同士の端部間に、第2または第1内部電極の端部が露出する凹溝を形成し、該凹溝に絶縁体を充填し、アクチュエータ本体の側面に導電性接着層を形成することにより、内部電極の端部と導電性接着層とを接続していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年においては、小型の圧電アクチュエータで大きな圧力下において大きな変位量を確保するため、より高い電界を印加し、長期間連続駆動させることが行われているが、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合、上記公報に開示され積層型圧電アクチュエータであっても、圧電体間に形成された内部電極の端部から外部電極が剥離し、一部の圧電体に電圧が供給されなくなり、駆動中に変位特性が変化するという問題があった。
【0008】
本発明は、高圧力下において高電界を高速で印加し、長期間連続作動する場合でも外部電極と内部電極の剥離を防止できる積層型圧電アクチュエータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型圧電アクチュエータは、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなり、前記内部電極が交互に第1内部電極または第2内部電極とされ、該第1内部電極の端部、第2内部電極の端部がそれぞれ異なる側面に露出するアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体の内部電極の端部が露出した側面にそれぞれ設けられ、前記第1内部電極の端部同士、前記第2内部電極の端部同士をそれぞれ接続する導電性接着層とを具備するとともに、前記アクチュエータ本体の側面に露出した前記第1または第2内部電極同士の端部間に、前記第2または第1内部電極の端部が露出する凹溝を形成し、該凹溝に絶縁体を充填してなる積層型圧電アクチュエータであって、前記導電性接着層が形成されるアクチュエータ本体の側面における圧電体の表面粗さRaを5〜10μmとし、前記凹溝に充填された絶縁体に凹部を形成し、該凹部に前記導電性接着層に接続されている導電性接着材を充填したことを特徴とする。
【0010】
また本発明の圧電アクチュエータは、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなり、前記内部電極が交互に第1内部電極または第2内部電極とされ、該第1内部電極の端部、第2内部電極の端部がそれぞれ異なる側面に露出するアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体の内部電極の端部が露出した側面にそれぞれ設けられ、前記第1内部電極の端部同士、前記第2内部電極の端部同士をそれぞれ接続する導電性接着層とを具備するとともに、前記アクチュエータ本体の側面に露出した前記第1または第2内部電極同士の端部間に、前記第2または第1内部電極の端部が露出する凹溝を形成し、該凹溝に絶縁体を充填してなる積層型圧電アクチュエータであって、前記導電性接着層が形成されるアクチュエータ本体の側面における圧電体の表面粗さRaが5〜10μmであり、前記凹溝に充填された絶縁体に凸部が形成され、該凸部がアクチュエータ本体の側面に設けられた導電性接着層内に埋設されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成を採用することにより、内部電極の端部およびその近傍の圧電体に設けられた導電性接着層の固着力を向上でき、高圧力下において高電界を高速で印加し、長期間連続作動する場合でも、内部電極の端部からの導電性接着層の剥離を防止でき、高耐久性を備えた積層型圧電アクチュエータを提供することができる。特に、絶縁体の凹部に充填された導電性接着材によるアンカー効果若しくは絶縁体に形成された凸部によるアンカー効果により、内部電極の端部とアクチュエータ本体側面の導電性接着層の固着力をさらに向上することができ、内部電極の端部からの導電性接着層の剥離をさらに防止できる。
【0013】
さらに、本発明の積層型圧電アクチュエータでは、導電性接着層の表面に波板状金属薄板が設けられていることが望ましい。このような構成を採用することにより、アクチュエータの伸縮により波板状金属薄板に応力が作用しても、発生した応力を波板状金属薄板の変形により緩和することができ、金属薄板の断裂を抑制し、高耐久性を備えた積層型圧電アクチュエータが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の積層型圧電アクチュエータの断面図であり、図2はその一部を拡大して示す断面図である。図1において、符号1は、複数の圧電体2と複数の内部電極3とを交互に積層してなる四角柱状のアクチュエータ本体を示すもので、このアクチュエータ本体1の対向する2つの側面には、それぞれ外部電極4が形成されている。
【0015】
圧電体2は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3 (以下PZTと略す)或いは、チタン酸バリウムBaTiO3 を主成分とする圧電セラミック材料などが使用されるが、これらに限定されるものではなく、圧電性を有するセラミックスであれば何れでも良い。この圧電体材料としては、圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。また、圧電体2の厚み、つまり内部電極3間の距離は、小型化および高い電界を印加するという点から0.05〜0.2mmであることが望ましい。
【0016】
内部電極3は、アクチュエータ本体1の4つの側面全てに端部が露出しており、交互に第1内部電極3a、第2内部電極3bとされている。アクチュエータ本体1の一側面に露出した第1内部電極3a同士の端部間には凹溝5aが形成されており、この凹溝5aの底面には、隣接する第1内部電極3a間に形成された第2内部電極3bの端部が露出し、また、凹溝5a内に絶縁体7が充填されている。
【0017】
また、アクチュエータ本体1の他の側面に露出した第2内部電極3b同士の端部間には凹溝5bが形成されており、この凹溝5bの底面には、隣接する第2内部電極3b間に形成された第1内部電極3aの端部が露出し、凹溝5b内に絶縁体7が充填されている。
【0018】
凹溝5a、5bの積層方向の幅は、圧電体2の厚みとほぼ同一とされている。凹溝5a、5bの形状は断面が四角形状とされているが、断面が円形状であっても良い。
【0019】
凹溝5a、5b内に充填される絶縁体7は、例えば、ガラス、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム等の絶縁性材料からなり、凹溝5a、5bに絶縁性材料を充填し、硬化することにより得られる。尚、絶縁体7は低ヤング率の材質、例えばシリコーンゴム等が好ましい。
【0020】
アクチュエータ本体1の凹溝5a、5bが形成された側面には、例えば、ポリイミド樹脂にニッケル、銀、白金、金などの体積固有抵抗が低い金属粉末を混合した導電性接着層9が形成され、その表面には、例えば、銀合金、銅合金、ステンレス、Ni−Fe合金、Ni−Fe−Co合金等からなる金属薄板11が接合されている。導電性接着層9と金属薄板11により外部電極4が構成されている。金属薄板11は、導電性があり、加工可能であればいずれの金属でもかまわない。
【0021】
また、アクチュエータ本体1の積層方向の両端面には、アクチュエータ本体1を機械的に保持し、発生するパワーを外部へ伝達するための不活性部15が積層され、接合されている。
【0022】
さらに、図示されてはいないが、アクチュエータ本体1の外周面、即ち、外部電極4の外側全体、および外部電極4が形成されていないアクチュエータ本体1の側面は、シリコーンゴム等の絶縁被覆材によって被覆され、これにより外部からの水分の進入を防ぐことができ、内部電極および外部電極間のエレクトロマイグレーションの発生を抑制し、内部電極と外部電極間の接続信頼性を確保することができる。
【0023】
そして、アクチュエータ本体1の凹溝5a、5bが形成された側面、即ち、圧電体1の側面は表面粗さRaが5〜10μmとされている。このように、アクチュエータ本体1の側面における圧電体1の表面粗さRaを5〜10μmとしたのは、表面粗さが5μm以下の場合には、圧電板2と導電性接着層9の固着力が低下するため、内部電極3a、3bの端部と外部電極4の剥離が生じやすくなり、信頼性が保てなくなるからである。一方、表面粗さが10μm以上の場合には、圧電板2の強度自体が保てなくなり、圧電板2の破壊による信頼性の低下を招くことになるからである。
【0024】
以上のように構成された積層型圧電アクチュエータは、先ず、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3 などの圧電体セラミックスの仮焼粉末と、有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法により、厚み50〜200μmのセラミックグリーンシートを作製する。
【0025】
このグリーンシートの片面に内部電極2となる銀−パラジウムを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により1〜10μmの厚みに印刷する。この導電性ペーストを乾燥させた後、導電性ペーストが塗布された複数のグリーンシートを所定の枚数だけ積層し、この積層体の積層方向の両端部に、導電性ペーストが塗布されていないグリーンシートを積層する。
【0026】
次に、この積層体を50〜200℃で加熱を行いながら加圧を行い、積層体を一体化する。一体化された積層体は所定の大きさに切断された後、400〜800℃で5〜40時間、脱バインダが行われ、900〜1200℃で2〜5時間焼成し、アクチュエータ本体1となる積層焼結体を得る。
【0027】
このアクチュエータ本体1の全ての側面には、内部電極2の端部が露出している。そして、このアクチュエータ本体1を固定治具にセットし、所定の形状になるまで平面研削盤等を用いてアクチュエータ本体1の側面の加工を行う。ここで、特に積層アクチュエータ本体1の側面における圧電体の表面粗さRaが5〜10μmになるように加工条件を留意しなければならない。
【0028】
その後、該アクチュエータ本体1の一つの側面において、内部電極3a同士の端部間に、ダイヤモンド円板砥石やレーザー等を用いて凹溝5aを形成し、他の一つの側面にも、同様にして内部電極3b同士の端部間に凹溝5bを形成する。凹溝5a、5bの深さは100〜500μm、積層方向の幅を100〜300μmとする。この後、凹溝5a、5b内にシリコーンゴム等の絶縁体7を充填し、これにより、2つの側面では、内部電極3aの端部または内部電極3bの端部が露出している。
【0029】
この後、内部電極3aの端部または内部電極3bの端部が露出した2つの側面に外部電極4を形成する。
【0030】
即ち、内部電極3aの端部または内部電極3bの端部が露出した2つの側面に、例えば、ポリイミド樹脂にニッケル、銀、白金、金などの周期律表第6〜9族の比較的体積固有抵抗が低い金属粉末を混合した導電性接着層を形成する。
【0031】
即ち、ポリイミド樹脂は、濃硫酸以外には溶解しない難溶解性の樹脂である。そのため、ポリイミドの前駆体であるポリアッミク酸を適当な溶媒、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やテトラヒドロフラン(THF)などに溶解させ、ワニス状にする。このワニスに望みとする体積分率で金属粉末を混合、混練し、ペースト状にする。なお、混練の際には、3本ローラーミル等の混練機を用いるのが望ましい。
【0032】
上記のようにして作製したペーストを、内部電極3aの端部または内部電極3bの端部が露出した2つの側面に塗布して導電性接着層を形成し、この導電性接着層の表面に金属薄板を配置し、室温〜400℃の空気中または窒素雰囲気中で溶媒を蒸発させるとともに、硬化反応を起こさせることにより、導電性接着層に金属薄板を固着し、外部電極を形成する。
【0033】
この後、図示しないが、正極用外部電極、負極用外部電極にリード線を接続し、アクチュエータの周囲にデイッピング等の方法により、シリコーンゴム等の被覆材を被覆する。さらに、正極、負極に約1〜3kV/mmの分極電界を印加し、圧電板2への分極処理を行い、本発明の積層型圧電アクチュエータを得ることができる。
【0034】
尚、本発明の積層型圧電アクチュエータは、四角柱、六角柱、円柱等、どのような柱体であっても構わないが、切断の容易性から四角柱状が望ましい。
【0035】
以上のように構成された積層型圧電アクチュエータでは、導電性接着層9が形成されるアクチュエータ本体1の側面、即ち、圧電体2の外周面の表面粗さRaが5〜10μmとされているため、金属粉末が混合したポリイミド樹脂からなるペーストが圧電体2の外周面に付着しやすく、導電性接着層9の固着力を向上でき、高圧力下において高電界を高速で印加し、長期間連続作動する場合でも、内部電極3の端部からの導電性接着層9の剥離を防止でき、高耐久性を備えた積層型圧電アクチュエータを提供することができる。
【0036】
ここで本発明は、図2示すように、凹溝21に充填された絶縁体23に、凹部25が形成され、この凹部25に、金属粉末が混合したポリイミド樹脂からなるペースト(導電性接着材)が充填され、アクチュエータ本体26の側面に設けられた導電性接着層27に接続されている。
【0037】
このような構成は、アクチュエータ本体26の側面に、金属粉末が混合したポリイミド樹脂からなるペーストを塗布することにより、絶縁体23の凹部25内に前記ペーストが充填されるとともに、その側面に付着し、上記のような構造を得ることができる。
【0038】
この絶縁体23に形成される凹部25は、上記と同様にして作製されたアクチュエータ本体26を得た後、アクチュエータ本体26の凹溝21に絶縁体23を充填し、アクチュエータ本体26の凹溝21を形成する場合と同じピッチで、絶縁体23に深さ50〜150μm、積層方向の幅50〜150μmの溝状の凹部25を、ダイヤモンド円板砥石やレーザー等を用いて形成できる。
【0039】
このような積層型圧電アクチュエータでは、絶縁体23の凹部25に充填された導電性接着材によるアンカー効果により、内部電極3の端部とアクチュエータ本体26側面の導電性接着層27の固着力をさらに向上することができ、内部電極3の端部からの導電性接着層27の剥離をさらに防止できる。
【0040】
図3は、本発明の他の例を示すもので、この例では、凹溝31に充填された絶縁体33に凸部35が形成され、該凸部35がアクチュエータ本体37の側面に設けられた導電性接着層39内に埋設されている。
【0041】
この絶縁体33に形成される凸部35は、上記と同様にして作製されたアクチュエータ本体37を得た後、凹溝31を形成し、この凹溝31内に絶縁体33を充填する際に、あらかじめアクチュエータ本体37の側面に、凸部35を形成するための凹部が形成された成形用治具を配置し、治具全体を絶縁体を形成するペースト内にディッピングし、アクチュエータ本体37の凹溝31内および、成形用治具の凹部内に絶縁体ペーストを充填し、硬化させた後、成形用治具を取り外すことにより作製できる。
【0042】
このような積層型圧電アクチュエータでは、絶縁体33に形成された凸部35によるアンカー効果により、内部電極3の端部とアクチュエータ本体37側面の導電性接着層39の固着力をさらに向上することができ、内部電極3の端部からの導電性接着層39の剥離をさらに防止できる。
【0043】
図4は、本発明のさらに他の例を示すもので、この例では、導電性接着層41には、波板状金属薄板43が接合されている。
【0044】
このような積層型圧電アクチュエータでは、アクチュエータの伸縮により波板状金属薄板43に応力が作用しても、発生した応力を波板状金属薄板43の変形により緩和することができ、金属薄板43の断裂を抑制し、高耐久性を備えた積層型圧電アクチュエータが得られる。
【0045】
【実施例】
実施例1
PZTを主成分とする厚み0.2mmのグリーンシートにAg/Pdを主成分とする内部電極ペーストを厚み2μmで印刷形成した。内部電極ペーストが塗布されたグリーンシートを300枚積層し、この後、両面に内部電極ペーストが塗布されていないグリーンシートを積層し、加熱接合して一体化した。
【0046】
積層体を縦10mm×横10mm×高さ40mmになるように切断し、最高温度750℃、25時間で脱バインダを行った。その後、焼成温度1000℃で5時間焼成を行い、アクチュエータ本体を得た。
【0047】
次に、得られたアクチュエータ本体を固定治具にセットし、アクチュエータ本体の側面の平面研削を行った。尚、この時、アクチュエータ本体側面における圧電体の表面粗さRaが2μm、5μm、7μm、10μm、15μm、50μmのサンプルを作製した。
【0048】
その後、図1に示した形状で、アクチュエータ本体の側面における圧電体及び内部電極を互い違いになるようカット・ソーにより除去し、深さ方向に0.5mm、積層方向の幅0.3mmの凹溝を形成したが、表面粗さRaが50μmのサンプルは凹溝加工中に溝部の圧電磁器が破損し、評価のできる状態に至らなかった。
【0049】
次に、各表面粗さのアクチュエータ本体の凹溝に絶縁体であるシリコーンゴムを常温で塗布し、真空脱泡により充填を行った。その後、外部電極となる導電性接着剤の銀ポリイミド樹脂をアクチュエータ本体の側面に塗布し、金属薄板であるコバール箔を銀ポリイミド樹脂の上から接着し、200℃の乾燥炉にて硬化接着を行った。そして、リード線を金属薄板に半田付けし、シリコーンゴムにて外部被覆を行い、正極および負極に3kV/mmの直流電界を30分間印加して分極処理を行ない、積層型圧電アクチュエータを得た。
【0050】
そして、各表面粗さの積層圧電アクチュエータに応力20MPaを印加し、駆動電圧200Vにて変位量を確認したところ、各サンプルとも40μmの変位量が得られた。次に、応力20MPaを印加し、0〜200Vのパルス交番電界を周波数50Hzにて印加し、連続駆動試験を行った。
【0051】
その結果、表面粗さRaが2μmのサンプルは連続駆動サイクル1×108 回にて外部電極部にスパーク跡が見られたため、変位量を確認したところ、変位量が初期の40μmから25μmに減少していた。また、このサンプルを断面カットし外部電極の部分を観察したところ、導電性接着層であるAgポリイミド樹脂と内部電極及び内部電極近傍の圧電磁器の部分で数10層にわたって剥離が見られた。
【0052】
表面粗さ5μm、7μm、10μmのサンプルは駆動サイクル1×109 回を達成し、変位量も40μmを維持した。外観上でスパーク跡は確認できなかったため、断面観察を行ったところ、一部で凹溝部とAgポリイミド樹脂に微少な剥離が見られたものの、外部電極と内部電極の剥離が生じていないことを確認した。
【0053】
表面粗さ15μmのサンプルでは、駆動サイクル7×107 回にて圧電磁器にクラックが発生し、絶縁破壊を生じて故障した。
【0054】
実施例2
実施例1のサンプルの表面粗さRaが5μm、7μm、10μmのサンプルを用い、実施例1と同様に凹溝にシリコーンゴムを充填したアクチュエータ本体を作製し、その後、スライシング・マシーンにて凹溝の絶縁体に深さ0.15mm、積層方向幅0.15mmの凹部を作製したサンプルと、深さ0.3mm、積層方向幅0.2mmの凹部を作製したサンプルを作製し、これに上記と同様にして銀ポリイミド樹脂を塗布し、絶縁体の凹部に銀ポリイミド樹脂を充填するとともに、導電性接着層を形成し、上記と同様にして金属薄板を接着し、積層圧電アクチュエータを作製した。
【0055】
そして、実施例1と同様に、20MPaの応力下で、200Vの電圧を印加し、変位を確認したところ、実施例1のサンプル同様40μmの変位が得られた。その後、同様に20MPa、200V、60Hzにて連続駆動試験を行った結果、凹部深さ0.15mm、幅0.15mmのサンプルは、駆動サイクル1×109 回を達成し、変位量も40μmを維持した。また、外観上でスパーク跡や断線等は確認できなかったため、断面観察を行ったところ、凹溝のシリコーンゴムとAgポリイミド及び内部電極とAgポリイミドの剥離が生じていないことを確認した。
【0056】
実施例3
実施例1のサンプルの表面粗さRaが5μm、7μm、10μmのサンプルを用い、凹溝に充填されるシリコーンゴムの形状が凸型になるように成形治具にサンプルをセットし、絶縁体に、積層方向の厚み0.15mm、径方向の長さ0.2mmの凸部を形成し、これに上記と同様にして導電性接着層を形成することにより、凸部を埋設し、上記と同様にして金属薄板を接着し、積層圧電アクチュエータを作製した。
【0057】
そして、実施例1と同様に、20MPaの応力下で、200Vの電圧を印加し、変位を確認したところ、実施例1のサンプル同様40μmの変位がえられた。その後、同様に20MPa、200V、60Hzにて連続駆動試験を行った結果、駆動サイクル1×109 回を達成し、変位量も40μmを維持した。同様に断面観察を行ったが、シリコーンゴムとAgポリイミド及び内部電極とAgポリイミドの剥離が生じていないことを確認した。
【0058】
実施例4
実施例1のサンプルの表面粗さRaが5μm、7μm、10μmのサンプルを用い、実施例1と同様に凹溝にシリコーンゴムを充填したアクチュエータ本体を作製し、その後、アクチュエータ本体の側面に銀ポリイミド樹脂を塗布し、波板状金属薄板であるコバール箔を銀ポリイミド樹脂上に配置し、200℃の乾燥炉にて硬化接着を行い、積層圧電アクチュエータを作製した。
【0059】
そして、実施例1と同様に、20MPaの応力下で、200Vの電圧を印加し、変位を確認したところ、実施例1のサンプル同様40μmの変位が得られた。その後、同様に20MPa、200V、60Hzにて連続駆動試験を行った結果、駆動サイクル1×109 回を達成し、変位量も40μmを維持した。その後外観を確認したが、金属薄板に亀裂は生じていないことが確認できた。また、同様に断面観察を行ったが、シリコーンゴムとAgポリイミド及び内部電極とAgポリイミドの剥離が生じていないことを確認した。
【0060】
【発明の効果】
本発明の積層型圧電アクチュエータでは、内部電極の端部およびその近傍の圧電体に設けられた導電性接着層の固着力を向上でき、高圧力下において高電界を高速で印加し、長期間連続作動する場合でも、内部電極の端部からの導電性接着層の剥離を防止でき、高耐久性を備えた積層型圧電アクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電アクチュエータを示す断面図である。
【図2】本発明の他の積層型圧電アクチュエータを示す断面図である。
【図3】本発明のさらに他の積層型圧電アクチュエータを示す断面図である。
【図4】本発明のさらに他の積層型圧電アクチュエータを示す断面図である。
【符号の説明】
1、26、37・・・アクチュエータ本体
2・・・圧電体
3a、3b・・・内部電極
5a、5b、21、31・・・凹溝
7・・・絶縁体
9、27、39、41・・・導電性接着層
25・・・凹部
35・・・凸部
43・・・波板状金属薄板

Claims (3)

  1. 複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなり、前記内部電極が交互に第1内部電極または第2内部電極とされ、該第1内部電極の端部、第2内部電極の端部がそれぞれ異なる側面に露出するアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体の内部電極の端部が露出した側面にそれぞれ設けられ、前記第1内部電極の端部同士、前記第2内部電極の端部同士をそれぞれ接続する導電性接着層とを具備するとともに、前記アクチュエータ本体の側面に露出した前記第1または第2内部電極同士の端部間に、前記第2または第1内部電極の端部が露出する凹溝を形成し、該凹溝に絶縁体を充填してなる積層型圧電アクチュエータであって、
    前記導電性接着層が形成されるアクチュエータ本体の側面における圧電体の表面粗さRaを5〜10μmとし、前記凹溝に充填された絶縁体に凹部を形成し、該凹部に前記導電性接着層に接続されている導電性接着材を充填したことを特徴とする積層型圧電アクチュエータ。
  2. 複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなり、前記内部電極が交互に第1内部電極または第2内部電極とされ、該第1内部電極の端部、第2内部電極の端部がそれぞれ異なる側面に露出するアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体の内部電極の端部が露出した側面にそれぞれ設けられ、前記第1内部電極の端部同士、前記第2内部電極の端部同士をそれぞれ接続する導電性接着層とを具備するとともに、前記アクチュエータ本体の側面に露出した前記第1または第2内部電極同士の端部間に、前記第2または第1内部電極の端部が露出する凹溝を形成し、該凹溝に絶縁体を充填してなる積層型圧電アクチュエータであって、
    前記導電性接着層が形成されるアクチュエータ本体の側面における圧電体の表面粗さRaが5〜10μmであり、前記凹溝に充填された絶縁体に凸部が形成され、該凸部がアクチュエータ本体の側面に設けられた導電性接着層内に埋設されていることを特徴とする積層型圧電アクチュエータ。
  3. 導電性接着層の表面に波板状金属薄板が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の積層型圧電アクチュエータ。
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