JP3850163B2 - 積層型圧電アクチュエータおよびその製造方法 - Google Patents

積層型圧電アクチュエータおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型圧電アクチュエータに係わり、例えば、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子、自動車用エンジンの燃料噴射用の駆動素子等に使用される積層型圧電アクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、圧電板は、電圧を印加することにより伸縮する逆圧電効果を有している。しかしながら、圧電板1枚1枚の伸縮量は微量であることから、圧電板を複数枚積層して形成した積層型圧電アクチュエータを作製していた。
【0003】
この積層型圧電アクチュエータは、圧電板に電圧を印加して数〜数十μm伸長させ、アクチュエータの駆動力源とするものである。公知例としては特公平7−40613号公報などがある。
【0004】
このような積層型圧電アクチュエータでは、例えば、圧電板の両表面に、電気導電性を有するペーストを印刷や蒸着等の方法で数μmの厚さの導電性接着層を形成し、この導電性接着層の間に金属薄板を介在させ、加熱圧着し、一体化させた構造からなる。
【0005】
このような積層型圧電アクチュエータとして、例えば、特開昭60−121784号公報によれば、両面にAg粉末とガラス粉末との混合ペーストを印刷し焼き付け処理して形成された導電性接着層を形成した圧電板を、導電性接着層間に金属薄板を配置した状態で複数積層し、金属薄板に形成された接続用突起を圧電板の外周面に対して所定の空隙を残すように軸方向に折り曲げ、同一極性の接続用突起同士を重なり合わせてスポット溶接等で接合した積層型圧電アクチュエータが開示されている。
【0006】
また、実公昭60−3589号公報では、金属薄板が連結部材で連結された半田付けが不要なリボン状の金属板が配線部材として開示されており、そうしたリボン状金属板を利用した積層型圧電アクチュエータが多数提案されている(特開昭60−103685号公報、特開昭61−276278号公報、特公平4−16029号公報、特開平7−283455号公報等参照)。
【0007】
近年、積層型圧電アクチュエータは大きな変位量を確保した状態で、積層型圧電アクチュエータの特徴である高応答性を利用するため、高い電圧を高周波数で印加し駆動を行っている。また、より小型化を促進すべくより薄い圧電板が用いられるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平7−40613号公報に示された圧電板の両表面に導電性接着層を形成し、この導電性接着層を介して圧電板と金属薄板を熱圧着する積層型圧電アクチュエータでは、圧電板と金属薄板とを積層する際に、金属薄板を圧電板表面の導電性接着層と金属薄板が位置ずれを起こし、そのために、高電圧及び高周波数による駆動を行った時に積層方向への変位に伴なう径方向への伸縮動作により圧電板と金属薄板の接合部に発生する応力が不均一となり、圧電板上の導電接着層と金属薄板の位置ずれ部に高い応力が発生し、駆動時に圧電板に亀裂が発生し、アクチュエータの信頼性を低下させるという問題があった。
【0009】
また、積層型圧電アクチュエータを高荷重を印加した状態で装置へ組み込む場合、導電性接着層と金属薄板の位置ずれ部に、荷重による応力集中が発生し、圧電板へのクラックの発生を促進させていた。
【0010】
更に、同一極性の接続用突起同士を重なり合わせてハンダ等で接合した特開昭59−218784号公報の積層型圧電アクチュエータや、ハンダ等で接合する必要がないリボン状金属板を使用した特開平7−283455号公報等の積層型圧電アクチュエータでは、金属薄板としてヤング率の低い金属を使用した場合、接続用突起やリボン状金属板の連結部が変形しやすく、変位動作によって変形した接続用突起や連結部に応力集中が発生し、疲労断線を起こしたり、同一極性の接続用突起同士を重なり合わせてスポット溶接で接合した積層型圧電アクチュエータでは、高変位に伴なう高応力により接合部が疲労し、剥離断線を起こし易いという問題があった。
【0011】
しかも、特開昭60−121784号のAgとガラスからなる導電性接着層をを介して接合した場合、熱圧着時にガラス成分が優先的に圧電体の磁器粒界に拡散するため、圧電磁器の電気特性や耐久性を劣化させていた。
【0012】
これらを解決する手段として、金属薄板と圧電板を圧着させないで積層型圧電アクチュエータを作製する方法が特公平7−118554号公報に開示されている。これによると、金属薄板としてステンレス等の比較的硬い材料を用い、この金属薄板の両面にこの金属薄板より軟質な銅、銀、アルミニウム等の電極材料をメッキ等の方法で形成することにより、積層後に、電極薄板に形成された軟質な電極と圧電板との接触により、圧電板の電極として機能し、圧電板への電圧印加が可能となる。
【0013】
しかしながら、このような積層型圧電アクチュエータでは、圧電板と金属薄板が実質的に接合されておらず、積層の状態を維持するのが困難であった。このため、この構造の積層型圧電アクチュエータは、積層後直ちに、ケースへの封入等を行わなければならず、また、プロセスにおけるハンドリングも非常に困難であった。
【0014】
従って、本発明は、圧電板と金属薄板同士を確実に接続できるとともに、圧電板の亀裂の発生を防止した信頼性の高い積層型圧電アクチュエータを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に対して検討を重ねた結果、複数個の圧電板と複数個の金属薄板とを交互に積層して形成された積層型圧電アクチュエータにおいて、前記金属薄板の表面に実質的にガラスを含まないAg金属層が被覆形成されてなるとともに、前記Ag金属層を前記セラミック圧電板表面の結晶粒子間に圧入させることにより前記セラミック圧電板と前記金属薄板とを前記Ag金属層を介して接合一体化してなることを特徴とするものである。
【0016】
また、かかる積層型圧電アクチュエータを製造するための方法としては、複数個のセラミック圧電板と、両面に実質的にガラスを含まないAg金属層が形成された金属薄板を交互に積層した後、700〜2000kgfの荷重を印加しながら400〜700℃の温度で加熱し、前記Ag金属層を前記セラミック圧電板表面の結晶粒子間に圧入することにより、前記セラミック圧電板と前記金属薄板とを前記Ag金属層を介して接合一体化させたことを特徴とするものである。
【0017】
なお、上記構成において、前記金属薄板はNi−Feを主成分とする合金からなることが望ましく、また、前記Ag金属層の厚みは1μm以上であることが望ましい。
【0018】
【作用】
本発明の積層型圧電アクチュエータによれば、複数個のセラミック圧電板と、両面にAg金属層が形成された金属薄板を交互に積層した後、700〜2000kgfの荷重を印加しながら400〜700℃の温度で加熱することによって、図4のセラミック圧電板とAg金属層との接合界面の模式図に示すように、金属薄板の両面に被覆されたAg金属層がセラミック圧電板表面の結晶粒子間に圧入されることにより、セラミック圧電板は、Ag金属層を介して金属薄板と強固に接合一体化されることになり、積層型圧電アクチュエータはプロセスでのハンドリングに十分耐えうる接合強度を得ることができる。セラミック圧電板への導電性接着層の形成を行わないためプロセスを簡素化できる。
【0019】
また、圧電板側に導電性接着層を形成することがないために、前述したような積層時に発生していた導電性接着層と金属薄板の位置ずれの問題がなくなり、高荷重印加による装置への組み込みや、あるいは高電圧及び高周波数での駆動による導電性接着層と金属薄板の位置ズレ部への応力集中を緩和することができる。このため、応力集中に伴ない発生していた圧電板における亀裂の発生を抑制することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の積層型圧電アクチュエータは、図1の概略図を示すように、複数個のセラミック圧電板1と複数個の金属薄板2とが交互に積層された基本構造からなる。
【0021】
セラミック圧電板1は、一般に、Pb(ZrTi)O3 (以下、PZTと略す)を主成分とするセラミックスが使用されるが、これに限定されるものではなく、圧電性を有するセラミックスであれば何でも良い。この圧電板1を構成する圧電材料としては、圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。特に、金属成分としてPb、Zr、Ti以外に、Zn、Sb、Ni、Te、SrおよびBaのうち少なくとも一種を含む複合ペロブスカイト型化合物からなる圧電磁器組成物が望ましい。
【0022】
このセラミック圧電板1の厚みtは、小型化および高い電圧を印加するという点から0.2〜0.6mmであることが望ましい。
【0023】
金属薄板2は、円板状の正極用金属薄板2aと負極用金属薄板2bからなり、これらの金属薄板2aと2bも交互に積層されている。また、図3の金属薄板の接続構造に示すように、金属薄板2は、その極性ごとにそれぞれ連結部材3(3a、3b)によって連結されることによって直列的に接続されている。そして、直列に接続された金属薄板2は、図1および図2に示すように、圧電板1積層体の径方向に突出した連結部3が折曲されており、正電極用と負電極用とでその露出場所が異なるように設定されている。また、金属薄板2としては、異なる極性の金属薄板2との短絡や放電を防止するために、圧電板1の外周面に露出しないように、圧電板1よりも小さいことが望ましい。
【0024】
本発明の積層型圧電アクチュエータにおいては、上記アクチュエータ構造において、少なくとも金属薄板2の両面に、実質的にガラスを含まないAg金属層4が被着形成されていることが大きな特徴である。そして、図4の金属薄板2とセラミック圧電板1との接合部の模式図に示すように、このAg金属層4をセラミック圧電板1表面の結晶粒子1a間の間隙に圧入させることによりセラミック圧電板1と金属薄板2とをAg金属層4を介して強固に接合一体化することができる。
【0025】
金属薄板2としては、例えば、ステンレスやNi−Feを主成分とする合金箔を用いる。特に、Ni−Feを主成分とする合金は、高い導電性を有し、さらには、圧電板の熱膨張係数に近いコバール(52Fe−31Ni−17Co、42アロイ(58Fe−42Ni)等の金属が最も好ましい。この金属薄板2の厚さは、変位量に寄与しないためにできるだけ薄いものがよく、特に20〜50μmのものが好ましい。
【0026】
金属薄板2の両面に被覆されるAg金属層4の厚みは、1μm未満では、Ag金属層4のセラミック圧電板1表面への接触が不十分となりやすいために接合強度が低くなる場合がある。また、20μmよりも大きくなると、このAg金属層4がアクチュエータの変位を阻害する場合があるため、このAg金属層の厚さは1〜20μm、特に2〜15μmのものが好ましい。
【0027】
本発明における上記Ag金属層4は、一般には、メッキ法や蒸着法によって金属薄板の表面に被覆するか、または金属薄板を2枚のAg箔で挟み同時に圧延したクラッド材を用いることもできる。
【0028】
また、本発明によれば、前記Ag金属層4は、金属薄板2の両面に被着形成するとともに、金属薄板2を接続する連結部材3の表面に形成されていてもよい。その場合には、加熱圧着時に400〜600℃で熱処理する際の連結部材3の酸化を抑制し、強度の低下を防止することができる。
【0029】
また、セラミック圧電板1と金属薄板2との積層体の最上面および最下面には、図1に示したように、圧電的に不活性で機械的エネルギーを伝達する不活性体5がガラスなどの接着剤によって最上面に位置する金属薄板2に対して接合されている。
【0030】
上記の本発明の積層型圧電アクチュエータは以下の方法によって作製される。まず、セラミック圧電板1は、例えば、Pb(ZrTi)O3 (以下、PZTと略す)を主成分とする圧電組成物を各圧電板1形状に成形した後、1100〜1300℃の温度で焼成することによって作製される。
【0031】
一方、金属薄板2は、所定の金属からなる金属板を打ち抜き加工などによって図3に示したような所定の形状に作製される。その後、この金属薄板2の表面に前述したようにメッキ法、蒸着法によってAg金属層を被覆するか、またはクラッド材を用いる。
【0032】
そして、上記のようにして作製したセラミック圧電板1と表面にAg金属層4が被着形成された正極用および負極用の金属薄板2とを図1および図2に示したように、金属薄板2の連結部4が一層おきに同じ位置にくるように、金属薄板2をセラミック圧電板1間に交互に挟み込んで積層した後、上部よりに荷重を印加して、熱圧着させる。
【0033】
この時の荷重としては700〜2000kgf、特に700〜1000kgfであることが重要であり、後述する実施例からも明らかなように、700kgfよりも荷重が小さいと、セラミック圧電板と金属薄板との強固が接合が得られず、1000kgfを超えると、強固な接合は得られるものの、セラミック圧電板が割れるなどの問題が発生する。
【0034】
さらに、この時の温度は、400〜700℃、特に450〜650℃が適当である。これは、温度が400℃よりも低いと、良好な接合強度が得られず、700℃よりも高いと、金属薄板の強度が低下し、金属薄板の取り出し電極の信頼性が低下するためである。
【0035】
上記のような条件で熱圧着することにより、Ag金属層の延性によって、図4に示したようにセラミック圧電板1の表面の結晶粒子間に圧入させることができる結果、セラミック圧電板1と金属薄板2同士を確実に接続できる。
【0036】
また、積層体の最上面および最下面に設置される不活性体5は、上記のセラミック圧電板と金属薄板との接合一体化処理と同時、あるいはその後に、ホウケイ酸鉛系ガラスなどによって400〜600℃で焼き付け処理して積層体の上下に不活性体5を積層一体化する。
【0037】
上記のようにして積層一体化された積層型圧電アクチュエータは、セラミック圧電板1および連結部材3の外周面を、絶縁性シリコン樹脂6などによって被覆し、また、セラミック圧電板1の相互間および圧電板2外周部と連結部4との間の空隙にも同様に絶縁性シリコン樹脂6を隙間が発生しないように充填する。
【0038】
このような樹脂の充填方法としては、粘度等の条件を調整し、真空脱法など減圧下で空隙内に絶縁性シリコン樹脂を充填すればよい。また、絶縁性シリコン樹脂6は弾性率の低い材料を充填することが望ましい。
【0039】
【実施例】
実施例1
PZT系圧電セラミックスの両面を研磨して、直径20mm、厚み0.3mmの円板状のセラミック圧電板1を作製した。
【0040】
厚さ30μmのコバールからなる金属板を打ち抜き加工して、図3に示したような直径19mmの円形からなる金属薄板を幅2mm、長さ2mmの連結部で50枚連結した金属部材を作製した。そして、この金属部材の両面に厚さ5μmのAgメッキ層5を形成した。
【0041】
そして、上記の金属部材のうち、円形の金属薄板をセラミック圧電板の間に順次挟み込み、99層の圧電板の各圧電板間に、正極用金属薄板と負極用金属薄板とを交互に積層して積層体を形成した。
【0042】
また、不活性体として、セラミック圧電体と同様のPZT系セラミックスを用いて、この両面を研磨して、直径20mm、厚み5mmの円柱状の不活性体を形成した。これらの不活性体の片面にホウケイ酸鉛系ガラスのガラスペーストを10μmの厚みになるように印刷した後、100℃にて乾燥し、500℃で焼き付けた。
【0043】
上記のようにして作製した積層体を位置ずれが生じないように軽く圧力を加えた状態で、上部から1000kgfの荷重をプレス機にて印加し、500℃、1時間で加圧接着した。
【0044】
その後、上記積層体を絶縁性シリコンゴムで全体を被覆し、これを80℃のシリコンオイル中で3kv/mmの直流電圧を30分間印加して分極処理を行ない、本発明の積層型圧電アクチュエータを作製した。
【0045】
また、セラミック圧電板の両面に、Ag粉末97重量%、PbO−SiO2 −B2 3 を主成分とするガラス3重量%の導電性ペーストを10μmの厚みになるように印刷した後、100℃にて乾燥し、500℃で焼き付けて導電性接着層を形成したセラミック圧電板を作製した。そして、このセラミック圧電板とコバールからなる金属薄板3とを積層し500℃で1時間熱圧着する以外は、上記と全く同様にして比較用の圧電アクチュエータを作製した。
【0046】
得られた4種類の積層型圧電アクチュエータについて、セラミック圧電体と金属薄板との接合状態を走査型電子顕微鏡によって観察した結果、本発明品は、Agメッキ層がセラミック圧電板表面の結晶粒子間に圧入しており強固に接合していることを確認した。
【0047】
次に、各試料の耐久性を比較するために、印加荷重440kgf下で発生変位量が50μmになるように各積層型圧電アクチュエータに印加する設定電圧を求め、印加荷重440kgf、印加電圧0Vから設定電圧を50Hzの周波数にて1×109 回印加する耐久試験を行った。尚、変位量の測定は、試料を防振台上に固定し、試料上面にアルミニウム箔を張り付けて、レーザー変位計により、素子の中心部及び周囲部3箇所で測定した値の平均値で評価した。
【0048】
さらに、各アクチュエータにおける層構成について、1個の圧電体を一対の金属薄板で挟み込み、その金属薄板間に電圧を印加して金属薄板間でスパークが発生する時の電圧を耐電圧として測定した。
【0049】
その結果、本発明品は1×109 回でも問題なく駆動するのを確認した。また、耐電圧も15KV/mmと高い値を示した。さらに金属薄板と圧電板との接合界面を観察した結果、Ag金属層が圧電体表面の結晶粒子間に圧入されており、強固に接合されていることを確認した。
【0050】
一方、比較品のガラスを含有する導電性接着層を介してコバールからなる金属薄板と熱圧着した積層型圧電アクチュエータでは、2×108 回にて駆動が停止した。また、耐電圧は11KV/mmと本発明品よりも低いものであった。なお、このアクチュエータの金属薄板と圧電体との界面を観察した結果、ガラス成分の拡散が観察された。また、このアクチュエータの破損部を観察した結果、圧電体に形成した導電性接着層間でスパークしているのを確認した。さらに、破損部位近傍の断面観察を行った結果、金属薄板と圧電板との接合界面における最外周部を起点に圧電板に亀裂が生じているのが確認された。また、この現象は、破損部位だけではなく、ほとんどの圧電板に見られた。
【0051】
実施例2
実施例1の本発明品を作製する際の熱圧着時の印加荷重とセラミック圧電板と金属薄板との接合強度との関係を図5に示した。なお、この試験においては、直径14mm、厚さ0.5mmのセラミック圧電板と直径12mm、厚さ30μmのコバールからなる金属薄板の両面に厚み5μmのAgメッキ層を施したものを交互に70枚積層し、各荷重にて熱圧着させた後、下部スパン30mmの3点曲げを行って求めた。その結果を図4の印加荷重と接合強度の関係に示す。
【0052】
図5の結果から明らかなように、700kgf以上でセラミック圧電板とほぼ等しい35MPaの接合強度が得られているのが分かる。そして、印加荷重1000kgf以上でほぼ接合強度が飽和している。但し、2000kgfを超える印加荷重では、セラミック圧電板2における金属薄板3の外周部に応力が集中し圧電板にマイクロクラック発生するのを確認した。
【0053】
従って、熱圧着時の印加荷重は700〜2000kgf、特に700〜2000kgfがよいことがわかる。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の積層型圧電アクチュエータでは、両面にAg金属層を被覆した金属薄板とセラミック圧電板とを交互に積層した後、700〜2000kgfの荷重を印加しながら熱圧着することにより、Ag金属層をセラミック圧電板表面の結晶粒子間に圧入させることによって前記セラミック圧電板と前記金属薄板とを前記Ag金属層を介して接合一体化することができるために、積層型圧電アクチュエータは、プロセスでのハンドリングに十分耐えうる接合強度を得ることができる。また、圧電板への導電性接着層の形成が必要ないため、プロセスを簡素化できる。
【0055】
また、セラミック圧電板に導電性接着層を形成しないために、積層時に発生していた導電性接着層と金属薄板が位置ずれがなくなり、装置への組み込みを行う場合の高荷重印加に伴なう導電性接着層と金属薄板の位置ずれ部への応力集中や、高電圧、及び高周波数による駆動を行う場合の積層方向への変位に伴なう径方向への伸縮動作により圧電板と金属薄板の接合部に発生する応力の不均一化を防止できるため、圧電板における亀裂の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電アクチュエータの基本構成の概略図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】金属薄板を連結部材で連結した金属部材を示す平面図である。
【図4】本発明における積層型圧電アクチュエータにおけるセラミック圧電板と金属薄板との接合界面の模式図である。
【図5】積層型圧電アクチュエータの熱圧着時の印加荷重と接合強度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 セラミック圧電板
2 金属薄板
3 連結部材
4 Ag金属層
5 不活性体
6 絶縁性シリコン樹脂

Claims (6)

  1. 複数個のセラミック圧電板と複数個の金属薄板とを交互に積層して形成された積層型圧電アクチュエータにおいて、前記金属薄板の表面に実質的にガラスを含まないAg金属層を被覆形成するとともに、前記Ag金属層を前記セラミック圧電板表面の結晶粒子間に圧入させることにより前記セラミック圧電板と前記金属薄板とを前記Ag金属層を介して接合一体化してなることを特徴とする積層型圧電アクチュエータ。
  2. 前記金属薄板がNi−Feを主成分とする合金からなる請求項1記載の積層型圧電アクチュエータ。
  3. 前記Ag金属層の厚みが1μm以上である請求項1記載の積層型圧電アクチュエータ。
  4. 複数個のセラミック圧電板と、両面に実質的にガラスを含まないAg金属層が形成された金属薄板を交互に積層した後、700〜2000kgfの荷重を印加しながら400〜700℃の温度で加熱し、前記Ag金属層を前記セラミック圧電板表面の結晶粒子間に圧入することにより、前記セラミック圧電板と前記金属薄板とを前記Ag金属層を介して接合一体化させたことを特徴とする積層型圧電アクチュエータの製造方法。
  5. 前記金属薄板がNi−Feを主成分とする合金からなる請求項4記載の積層型圧電アクチュエータの製造方法。
  6. 前記Ag金属層の厚みが1μm以上である請求項4記載の積層型圧電アクチュエータの製造方法。
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