JP3506614B2 - 積層型圧電アクチュエータ - Google Patents
積層型圧電アクチュエータInfo
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Description
ュエータに係わり、例えば、光学装置等の精密位置決め
装置や振動防止用の駆動素子、自動車用エンジンの燃料
噴射用の駆動素子等に使用される積層型圧電アクチュエ
ータに関するものである。
り伸縮する逆圧電効果を有している。しかしながら、圧
電板1枚1枚の伸縮量は微量であることから、圧電板を
複数枚積層して形成した積層型圧電アクチュエータを作
製していた。
に電圧を印加して数〜数十μm伸長させ、アクチュエー
タの駆動力源とするものである。公知例としては特公平
7−40613号などがある。
は、例えば、圧電板の両表面に、電気導電性を有するペ
ーストを印刷や蒸着等の方法で数μmの厚さの導電性接
着層を形成し、この導電性接着層の間に金属薄板を介在
させるように圧電板を積層し、加熱圧着し、一体化させ
た構造となっている。
て、例えば、特開昭59−218784号公報には、両
面に導電性接着層を形成した圧電板を、導電性接着層間
に金属薄板を配置した状態で複数積層し、金属薄板に形
成された接続用突起を圧電板の外周面に対して所定の空
隙を残すように軸方向に折り曲げ、同一極性の接続用突
起同士を重なり合わせてハンダ等で接合した積層型圧電
アクチュエータが開示されている。
金属薄板が連結部材で連結された半田付けが不要なリボ
ン状の金属板が配線部材として開示されており、そうし
たリボン状金属板を利用した積層型圧電アクチュエータ
が多数開発されている(特開昭60−103685号公
報、特開昭61−276278号公報、特公平4−16
029号公報、特開平7−283455号公報等参
照)。
タは大きな変位量を確保した状態で、積層型圧電アクチ
ュエータの特徴である高応答性を利用するため、高い電
圧を高周波数で印加し駆動を行っている。また、より小
型化を促進すべく、より薄い圧電板が用いられるように
なっている。
性の接続用突起同士を重なり合わせてハンダ等で接合し
た特開昭59−218784号公報の積層型圧電アクチ
ュエータや、ハンダ等で接合する必要がないリボン状金
属板を使用した特開平7−283455号公報等の積層
型圧電アクチュエータでは、金属薄板としてヤング率の
低い金属を使用した場合、接続用突起やリボン状金属板
の連結部が変形しやすく、変位動作によって変形した接
続用突起や連結部に応力集中が発生し、疲労断線を起こ
したり、同一極性の接続用突起同士を重なり合わせてハ
ンダ等で接合した積層型圧電アクチュエータでは、高変
位に伴なう高応力により接合部が疲労し、剥離断線を起
こし易いという問題があった。
としてヤング率の高い金属を使用した場合、積層方向へ
の変位に伴う圧電板の径方向への伸縮動作を金属薄板が
抑制するために圧電板と金属薄板の接合部に高応力が発
生し、駆動時に圧電板に亀裂が発生し、アクチュエータ
の信頼性を低下させるという問題があった。
電板を圧着させないで積層型圧電アクチュエータを構成
する方法が特公平7−118554号公報に開示されて
いる。これによると、金属薄板にはステンレス等の比較
的硬い材料を用い、この金属薄板の両面にこの金属薄板
より軟質な銅、銀、アルミニウム等の電極材料をメッキ
等の方法で形成することにより、積層後に、電極薄板に
形成された軟質な電極が圧電板と密接な接触状態とな
り、圧電板の電極として機能し、圧電板への電圧印加が
可能となる。
チュエータでは、圧電板と金属薄板が接合されておら
ず、積層の状態を維持するのが困難であった。このた
め、この構造の積層型圧電アクチュエータは、積層後直
ちに、ケースへの封入等を行わなければならず、また、
製造工程におけるハンドリングも非常に困難であった。
き、信頼性の高い積層型圧電アクチュエータを提供する
ことを目的とする。
チュエータは、複数の圧電板と複数の金属薄板とを交互
に積層し、前記圧電板と前記金属薄板とを導電性接着層
により接合してなるとともに、前記金属薄板を交互に電
気的に接続した積層型圧電アクチュエータにおいて、前
記金属薄板が、金属母材板の両面に、この金属母材板よ
りもヤング率の小さい金属箔を接着してなるものであ
る。ここで、金属母材板はNiとFeを主成分とする合
金からなり、金属箔はAgからなることが望ましい。
母材板の両面に、この金属母材板よりもヤング率の小さ
い金属箔を接着して金属薄板を構成しているため、圧電
板は導電性接着層、金属箔、金属母材板、金属箔、導電
性接着層を介して、他の圧電板に接合されることにな
り、圧電板の径方向への伸縮動作により生じる応力が金
属箔により十分に吸収され、圧電板と金属薄板との接合
部に発生する応力が緩和され、圧電板における亀裂の発
生を抑制することができる。
部材を、ヤング率の大きい材料により構成することによ
り、高変位に伴なう金属薄板を接続する部材の断線を防
止することができる。
ュエータを示すもので、図2に示すように、両面に導電
性接着層1が形成された圧電板2を、図3に示したよう
に金属薄板4を介した状態で複数枚積層して構成されて
いる。
(以下PZTと略す)を主成分とする焼結体が使用され
るが、これに限定されるものではなく、圧電性を有する
セラミックスであれば何でも良い。この圧電板2を構成
する圧電材料としては、圧電歪み定数d33が高いものが
望ましい。特に、金属成分としてPb、Zr、Ti、Z
n、Sb、Ni、Teと、SrおよびBaのうち少なく
とも一種を含む複合ペロブスカイト型化合物からなる圧
電磁器組成物が望ましい。
い電圧を印加するという点から、0.2〜0.6mmで
あることが望ましい。
1は、導電性ペーストを圧電板2に塗布し400〜60
0℃程度で焼き付けることにより形成される。この導電
性ペーストは、Ag等の導電性の金属粉末とガラス成分
からなっており、ガラス成分を高温で溶融することによ
り圧電板2に焼き付けられる。この導電性ペーストは、
特に、Ag粉末を90〜97重量%と、PbO−SiO
2 −B2 O3 からなるガラス成分3〜10重量%とから
なることが望ましい。
り、その間には2層の導電性接着層1が形成され、それ
らの導電性接着層1間には円板状の金属薄板4が介装さ
れている。これらの金属薄板4は、図4に示すように、
連結部5により連結されており、図3に示すように、連
結部5が折曲されて圧電板2の径方向に突出している。
置により正電極用金属薄板または負電極用金属薄板とさ
れている。
材板6と、この金属母材板6の両面に接合され、金属母
材板6よりもヤング率が小さい金属箔7とから構成さ
れ、金属母材板6には、例えば、ステンレス、Ni−F
eを主成分とする合金箔を用いる。Ni−Feを主成分
とする合金は導電性を有するもので、例えば、圧電板2
の熱膨張係数に近いコバール(52Fe−31Ni−1
7Co、ヤング率135000N/mm2 )、42アロ
イ(58Fe−42Ni、ヤング率137000N/m
m2 )等の金属が好ましい。この金属母材板6の厚さ
は、変位量に寄与しないためにできるだけ薄いもの、例
えば20〜50μmのものが好ましい。
としては、例えば、Ag(ヤング率81340N/mm
2 )、リン青銅(ヤング率98000N/mm2 )から
なるものがある。金属箔7の厚みは、15μm未満の場
合、応力緩和の効果がなく、また、この厚さも変位量に
寄与しないため、できるだけ薄いもの、例えば、15〜
30μmのものが好ましい。
に金属箔7を接合して形成されている。図4に示すよう
な連結部5と金属薄板4の作製方法としては、例えば、
Ni−Fe金属母材板とその両面に接着されるAg金属
箔を、圧延時に同時にローラーに投入して作製されたク
ラッド材を用い、図4の形状に切断する方法や、あるい
は、Ni−Fe金属母材板の表面に5μmのAgメッキ
層を施し、圧電板の加熱圧着時にこのAgメッキ層を介
して、Ni−Fe金属母材板とAg金属箔を接着し、図
4の形状に切断する方法が好ましい。尚、Ag金属箔7
は圧電板の加熱圧着時には溶融しない。
金属薄板4との短絡や放電を防止するために、圧電板2
の外周面に露出しないように、圧電板2よりも小さいこ
とが望ましい。積層体の上下面には、図1に示したよう
に、圧電的に不活性で機械的エネルギーを伝達する不活
性体8が形成される。金属薄板4とガラス接合される不
活性体8の片面にはガラスペーストを塗布し、400〜
600℃程度で焼き付けられている。このガラスペース
トは、圧電板2に焼き付けられる導電性ペーストのガラ
ス成分PbO−SiO2 −B2 O3 からなっている。
は絶縁性樹脂9で被覆され、また、圧電板2外周面と連
結部5との間の空隙にも、同様に絶縁性樹脂9が隙間が
ないように充填されている。充填方法としては、粘度等
の条件を調整し、真空脱法など減圧下で空隙内に絶縁樹
脂を充分に充填することが必要である。また、絶縁性樹
脂9については弾性率の低い材料を充填することが望ま
しい。尚、図5に示すように、連結部5の部分には金属
箔を設けなくても良い。また、上記例では、金属薄板4
を連結部5を連結した例について説明したが、図6に示
すように、金属薄板4に接続用突起11を設け、圧電板
2間に金属薄板4を介装するとともに、接続用突起11
を圧電板に沿って折曲し、同一の極性を有する接続用突
起11に当接し、ハンダ等で接続した積層型圧電アクチ
ュエータであっても良い。
m、厚み0.3mmの円板状の圧電板を形成した。この
圧電板の両主面に、Ag粉末95重量%、PbO−Si
O2 −B2 O3 を主成分とするガラス5重量%の電気伝
導性ペーストを10μmの厚みになるように印刷し、1
00℃にて乾燥し、500℃で焼き付けた。
板の両面に、Agからなる厚さ25μmの金属箔を圧延
接着したクラッド材を作製し、図4に示したような直径
19mmの円形からなる金属薄板を幅2mm、長さ2m
mの連結部で50枚連結したリボン状の電極部材を作製
し、金属薄板を圧電板の間に挟み込み、圧電板を99層
積層して積層体を形成した。尚、金属薄板の連結部が一
層おきに同じ位置にくるように、金属薄板を交互に90
度ずらして配置した。
面を研磨して、直径20mm、厚み5mmの円柱状の不
活性体を形成した。これらの不活性体の片面にPbO−
SiO2 −B2 O3 のガラスペーストを10μmの厚み
になるように印刷した後、100℃にて乾燥し、500
℃で焼き付けた。
ずれが生じないように軽く圧力を加えた後、上部に5k
gの重りを乗せて、500℃、1時間で加圧接着した。
し、これを80℃のシリコンオイル中で3kv/mmの
直流電圧を30分間印加して分極処理を行なった。ま
た、金属薄板および連結部を、コバールのみ、Agのみ
で作製したものを用い、上記と同様にして比較例の積層
型圧電アクチュエータを作製した。
耐久性を比較するために、印加荷重440kgf下で発
生変位量が50μmになるように各積層型圧電アクチュ
エータに印加する設定電圧を求め、印加荷重440kg
f、印加電圧0Vから設定電圧を50Hzの周波数にて
1×109 回印加する耐久試験を行った。
題無く駆動するのを確認した。一方、コバールからなる
金属薄板の積層型圧電アクチュエータでは、1×108
回にて駆動が停止した。このアクチュエータの外観観察
を行った結果、磁器表面に黒く変色したスパークの跡が
確認された。
属薄板と圧電板との接合界面における最外周部を起点に
圧電板に亀裂が生じているのが確認された。また、この
現象は、破損部位だけではなく、ほとんどの圧電板に見
られた。
チュエータでは、4×107 回にて発生変位量が30%
に低下した。外観観察を行った結果、30層目の連結部
が黒く変色しており、この部位が断線しているのが確認
された。
定し、試料上面にアルミニウム箔を張り付けて、レーザ
ー変位計により、素子の中心部及び周囲部3箇所で測定
した値の平均値で評価した。
アクチュエータでは、金属母材板の両面に、この金属母
材板よりもヤング率の小さい金属箔を接着して金属薄板
を構成しているため、圧電板は導電性接着層、金属箔、
金属母材板、金属箔、導電性接着層を介して、他の圧電
板に接合されることになり、圧電板の径方向への伸縮動
作に伴う応力は金属箔により十分に吸収され、圧電板と
金属薄板との接合部に発生する応力が緩和され、圧電板
における亀裂の発生を抑制することができる。
を示すもので、絶縁性樹脂を一部切り欠いて示す側面図
である。
面図である。
は省略)である。
部材を示す平面図である。
(絶縁性樹脂は省略)である。
示す側面図(絶縁性樹脂は省略)である。
Claims (2)
- 【請求項1】複数の圧電板と複数の金属薄板とを交互に
積層し、前記圧電板と前記金属薄板とを導電性接着層に
より接合してなるとともに、前記金属薄板を交互に電気
的に接続した積層型圧電アクチュエータにおいて、前記
金属薄板が、金属母材板の両面に、該金属母材板よりも
ヤング率の小さい金属箔を接着してなることを特徴とす
る積層型圧電アクチュエータ。 - 【請求項2】金属母材板がNiとFeを主成分とする合
金からなり、金属箔がAgからなることを特徴とする請
求項1記載の積層型圧電アクチュエータ。
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