JP5187687B2 - 圧電素子、圧電センサ、圧電素子の製造方法 - Google Patents

圧電素子、圧電センサ、圧電素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車等の内燃機関のシリンダ内に設けられる燃焼圧センサ等に好適に用いられる圧電センサの圧電素子に関するものである。特に、本発明は、圧電薄膜部(例えば、AlN膜)が成膜された金属製の基板を有しており、当該圧電薄膜部に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子、当該圧電素子を備える圧電センサ、当該圧電素子の製造方法、及び当該圧電素子に設けられる金属箔電極部材に関するものである。
従来、圧電薄膜部が成膜された金属製の基板を有しており、当該圧電薄膜部に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子は、金属製の基板における一方の面に圧電薄膜部が成膜された構造を有するものが一般的である。
また、上記の構造を有する圧電素子を用いた、従来技術に係る圧電センサとしては、例えば中空かつ一端が閉じた形状を有する筐体の内部に上記圧電素子を設け、圧電薄膜部からの電荷を外部に伝達するための信号線を含む信号線付電極と当該圧電素子の金属製の基板とにより、当該圧電素子の圧電薄膜部を挟みこむ構造を有するものが一般的である。
なお、上記従来技術に係る圧電センサにおいて、上記圧電素子に圧力が加えられると、上記圧電薄膜部から発生される電荷のうち、正極の電荷は、信号線付電極の信号線を介して外部に供給され、負極の電荷は、金属製の基板から筐体へと放出される(例えば、特許文献1、特許文献2、及び非特許文献1参照)。
特開2004−156991号公報(2004年6月3日公開) 特開2004−184274号公報(2004年7月2日公開) 大石康宣・岸和司・秋山守人・野間弘昭・諸藤ゆかり・河合信次著 「インコネル基板上に作製した配向性AlN薄膜を用いた燃焼圧センサ」 Journal of the Ceramic Society of Japan 115 [5] 344頁〜347頁 2007年
ところで、圧電センサに限らず、センサは、常に小型化を求められている。
とりわけ、自動車の内燃機関のシリンダ内に設けられる燃焼圧センサ用途の圧電センサ等では、近年の構造の進歩に伴う、内燃機関の燃焼室の容積の減少等により、当該圧電センサ自身の小型化傾向が顕著である。換言すれば、こうした圧電センサでは、自身の小型化の実現が困難であるが故に、使用されない、もしくは、使用できないものも多々ある。
ここで、上記従来技術に係る圧電センサでは、小型化、即ち、圧電センサ自身が挿入される方向(即ち、上記筐体における、閉じた端部から閉じていない端部へと向かう方向)に対して垂直となる面の面積の狭小化が困難であるという問題が発生する。
即ち、圧電薄膜部が成膜された金属製の基板を有しており、当該圧電薄膜部に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子を備える圧電センサでは、当該圧電薄膜部の表面積によって発生する電荷量が決定される、即ち、当該圧電薄膜部の表面積を大きくすると発生する電荷量が増大し、当該圧電薄膜部の表面積を小さくすると発生する電荷量が減少するが、上記従来技術に係る圧電センサを小型化すると、圧電薄膜部の表面積が非常に小さくなり、これにより発生する電荷量が非常に減少し、感度が非常に低下し、実用に供されなくなってしまう虞がある。結果、上記従来技術に係る圧電センサにおいては、小型化が困難であるという問題が発生する。
そこで、圧電薄膜部が成膜された金属製の基板を有しており、当該圧電薄膜部に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子を備える圧電センサにおいては、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が実現可能な、圧電素子及び圧電センサの構造の開発が強く求められている。
本発明は、上記の問題に鑑みて為されたものであり、その目的は、圧電センサが挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能な、圧電センサの圧電素子、圧電センサ、圧電素子の製造方法、及び金属箔電極部材を提供することにある。
本発明者らは、上記の問題に鑑みて鋭意検討を行った結果、圧電素子において、表面に貫通孔が形成された金属製の基板と、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、上記貫通孔の少なくとも壁面を除く、上記基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備えることを特徴とすることによって、圧電センサが挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能な圧電センサの圧電素子を提供することが可能であるということを独自に見出し、本発明を完成するに至った。
上記の構成によれば、本発明に係る圧電素子は、金属製の基板の両表面に圧電薄膜部が成膜されている構成となるため、当該圧電素子自身の小型化に伴う、圧電薄膜部の表面積の狭小化を抑制することが可能となり、これにより、発生する電荷量の減少の抑制が可能となり、感度の低下の抑制が可能となる。
結果、本発明に係る圧電素子では、上記圧電薄膜部の表面積の狭小化を抑制しつつ、当該圧電素子の小型化が可能となるため、当該圧電素子を設けた圧電センサにおいても同様に小型化が可能となる。
つまり、本発明に係る圧電素子では、発生される電荷量の低減を抑制しつつ、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能となるという効果を奏する。
ここで、金属製の基板の両表面に圧電薄膜部が成膜されており、当該圧電薄膜部に電極部が被覆されている圧電素子においては、当該基板から放出される電荷を得るべく、当該基板が露出する部分を確保する必要がある。これは、圧電素子の圧電薄膜部に圧力が加えられると、圧電薄膜部は、基板側及び電極部側のうちの、一方から正極の電荷を発生し、他方から負極の電荷を発生する特性を有することによる。
そこで、本発明に係る圧電素子では、基板の表面に貫通孔を形成し、当該貫通孔の少なくとも壁面を露出させることで、基板が露出する部分を確保している。これにより、基板から放出される電荷は、基板の露出部分である貫通孔の壁面から得られる。
また、本発明に係る圧電素子では、圧電薄膜部における基板側からの電荷が、基板の露出部分である貫通孔の壁面から放出され、圧電薄膜部における電極部側からの電荷が、電極部から放出されるが、圧電薄膜部に被覆されている電極部がもたらすシールド効果により、圧電薄膜部における基板側からの電荷に重畳するノイズ成分の除去が可能となる。
こうした圧電素子は、圧電センサに用いる場合において都合が良い。
即ち、上記の構成によれば、貫通孔に圧電センサの信号線を通すことにより、基板と信号線とを接触及び導通させることが可能となる。また、上述した、圧力が加えられる場合における圧電薄膜部の特性により、圧電素子では、基板側と電極部側とが絶縁されることとなる。さらに、圧電センサの筐体、ねじ込み等で接触する圧電センサの押し金具等と電極部とを接触させることにより、電極部と圧電センサの筐体とを導通させることが可能となる。
つまり、上記本発明に係る圧電素子が設けられた圧電センサでは、信号線が、当該圧電素子に形成された貫通孔を通じて引き出される。さらに、上記圧電素子が設けられた圧電センサでは、信号線と筐体との、圧電素子による絶縁が可能となる。
また、上記圧電素子を複数個積層することで、圧電センサでは、圧電素子から信号線に供給される電荷量を低下させることなく、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積のさらなる狭小化が可能となり、ひいては、当該圧電センサから発生される電荷量を増加させることさえも可能である。
さらに、本発明に係る圧電素子を備える圧電センサでは、圧電素子の電極部がもたらす上記シールド効果により、圧電薄膜部から圧電センサの信号線へと供給される電荷に重畳するノイズ成分の除去が可能となる。
また、本発明に係る圧電素子は、上記貫通孔は、円孔部の壁面に突起部が形成された孔であることを特徴としている。
貫通孔が円孔部のみを有する孔として設けられる場合、即ち、貫通孔が丸穴である場合、圧電センサの信号線と貫通孔の壁面とを確実に接触させることは決して容易でないため、圧電センサの信号線と基板とを確実に導通させることは決して容易ではない。
そこで、圧電センサの信号線と基板の貫通孔の壁面とを確実に接触させ、信号線と基板との導通を確実なものとするために、本発明に係る圧電素子の貫通孔は、円孔部に加え、円孔部の壁面に突起部をさらに有する形状の孔として設けられるのが好ましい。
即ち、貫通孔の突起部は、本発明に係る圧電素子を圧電センサの筐体に積層するときに、即ち、貫通孔に圧電センサの信号線を挿入するときに変形して、挿入された圧電センサの信号線に咬合する(即ち、咬み合う)。これにより、圧電センサの信号線と基板との導通は、確実なものとなる。
また、本発明に係る圧電素子は、上記電極部は、金属箔電極部材により構成されており、上記金属箔電極部材は、上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面に被覆されている圧電薄膜被覆部と、上記圧電薄膜被覆部から突出して形成されており、上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面側から他方の表面側へと折り曲げられることで、上記金属箔電極部材自身を当該圧電薄膜部が成膜された基板に固定している突出部と、を有していることを特徴としている。
上記の構成によれば、電極部は、圧電薄膜被覆部と突出部とを有する金属箔電極部材を含んで構成されている。そして、突出部は、上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面側から他方の表面側へと折り曲げられる、即ち、突出部が折り返されることによって、金属箔電極部材自身と圧電センサの筐体との導通を良好なものとすることができる。
ここで、圧電薄膜部が成膜された基板に、1枚の金属箔電極部材が、基板の一方の表面または他方の表面から被覆されている構成の場合は、圧電素子自身の加圧時において、圧電薄膜部の突出部に接する部位に応力が集中することで剪断力が生じ、この剪断力に起因して、圧電薄膜部に絶縁破壊が発生してしまう虞がある。即ち、圧電センサにおいて、圧電素子を複数個積層する構造をより有効に機能させるためには、複数個の圧電素子を加圧して当該圧電素子同士を密着させる必要があるが、このとき、加圧力を高めると、圧電薄膜部の突出部に接する部位に応力が集中して絶縁破壊が発生してしまう虞がある。
そこで、本発明に係る圧電素子は、さらに、上記突出部が、上記基板における他方の表面側に成膜された圧電薄膜部の全面もしくは略全面に被覆されているのが好ましい。もしくは、本発明に係る圧電素子は、さらに、上記金属箔電極部材を2枚有しており、上記2枚の金属箔電極部材におけるそれぞれの圧電薄膜被覆部は、上記圧電薄膜部が成膜された基板において、互いに異なる表面に被覆されており、かつ、上記2枚の金属箔電極部材の一方における突出部は、上記2枚の金属箔電極部材の他方における圧電薄膜被覆部に被覆されるように折り曲げられており、上記2枚の金属箔電極部材の他方における突出部は、上記2枚の金属箔電極部材の一方における圧電薄膜被覆部に被覆されるように折り曲げられているのが好ましい。
上記の構成によれば、圧電薄膜被覆部により被覆されない基板における面(他方の表面)が、上記突出部により被覆される。もしくは、2枚の金属箔電極部材を用いられており、当該2枚の金属箔電極部材の圧電薄膜被覆部は、上記圧電薄膜部が成膜された基板において、互いに異なる面に被覆される。即ち、一方の金属箔電極部材の圧電薄膜被覆部が一方の表面に、他方の金属箔電極部材の圧電薄膜被覆部が他方の表面に被覆される。
これにより、本発明に係る圧電素子では、突出部への応力の集中を抑制することができるため、圧電薄膜部に絶縁破壊が発生してしまう危険性を抑制することができる。また、本発明に係る圧電素子では、圧電薄膜部と電極部との接触部分を増加させることができるため、大きな感度の低下の抑制効果が得られる。
本発明者らは、上記の問題に鑑みて鋭意検討を行った結果、圧電素子において、金属製の基板と、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、上記基板の少なくとも側面を除く、当該基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備え、上記基板の表面、上記圧電薄膜部、及び上記電極部を貫通するように貫通孔が設けられており、上記貫通孔の壁面が、上記電極部からなっていることを特徴とすることによって、圧電センサが挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能な圧電センサの圧電素子を提供することが可能であるということを独自に見出し、本発明を完成するに至った。
つまり、本発明に係る圧電素子は、貫通孔の壁面が電極部からなっており、貫通孔を通じる圧電センサの信号線に電極部が咬合する(即ち、咬み合う)ことによって、信号線と電極部とが通電可能な構成であると解釈できる。
上記の構成によれば、本発明に係る圧電素子は、金属製の基板の両表面に圧電薄膜部が成膜されている構成となるため、当該圧電素子自身の小型化に伴う、圧電薄膜部の表面積の狭小化を抑制することが可能となり、これにより、発生する電荷量の減少の抑制が可能となり、感度の低下の抑制が可能となる。
結果、本発明に係る圧電素子では、上記圧電薄膜部の表面積の狭小化を抑制しつつ、当該圧電素子の小型化が可能となるため、当該圧電素子を設けた圧電センサにおいても同様に小型化が可能となる。
つまり、本発明に係る圧電素子では、発生される電荷量の低減を抑制しつつ、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能となるという効果を奏する。
ここで、金属製の基板の両表面に圧電薄膜部が成膜されており、当該圧電薄膜部に電極部が被覆されている圧電素子においては、当該基板から放出される電荷を得るべく、当該基板が露出する部分を確保する必要がある。これは、圧電素子の圧電薄膜部に圧力が加えられると、圧電薄膜部は、基板側及び電極部側のうちの、一方から正極の電荷を発生し、他方から負極の電荷を発生する特性を有することによる。
そこで、本発明に係る圧電素子では、基板の少なくとも側面を露出させることで、当該基板が露出する部分を確保している。これにより、基板から放出される電荷は、基板の露出部分である基板の側面から得られる。
また、本発明に係る圧電素子では、圧電薄膜部における基板側からの電荷が、基板の露出部分である基板の側面から放出され、圧電薄膜部における電極部側からの電荷が、電極部から放出されるが、圧電薄膜部に被覆されている電極部がもたらすシールド効果により、圧電薄膜部における基板側からの電荷に重畳するノイズ成分の除去が可能となる。
こうした圧電素子は、圧電センサに用いる場合において都合が良い。
即ち、上記の構成によれば、壁面が電極部からなっている貫通孔に圧電センサの信号線を通すことにより、電極部と信号線とを接触及び導通させることが可能となる。また、上述した、圧力が加えられる場合における圧電薄膜部の特性により、圧電素子では、基板側と電極部側とが絶縁されることとなる。さらに、圧電センサの筐体、ねじ込み等で接触する圧電センサ押し金具等と基板の側面とを接触させることにより、基板と圧電センサの筐体とを導通させることが可能となる。
つまり、上記本発明に係る圧電素子が設けられた圧電センサでは、信号線が、当該圧電素子に形成された貫通孔を通じて引き出される。さらに、上記圧電素子が設けられた圧電センサでは、信号線と筐体との、圧電素子による絶縁が可能となる。
また、上記圧電素子を複数個積層することで、圧電センサでは、圧電素子から信号線に供給される電荷量を低下させることなく、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積のさらなる狭小化が可能となり、ひいては、当該圧電センサから発生される電荷量を増加させることさえも可能である。
さらに、本発明に係る圧電素子を備える圧電センサでは、圧電素子の電極部がもたらす上記シールド効果により、圧電薄膜部から圧電センサの信号線へと供給される電荷に重畳するノイズ成分の除去が可能となる。
また、本発明に係る圧電素子は、上記基板の一方の表面に成膜された圧電薄膜部にのみ、上記電極部が被覆されていることを特徴としてもよい。
また、本発明に係る圧電素子は、上記電極部は、電極の膜であることを特徴としている。
上記の構成によっても、本発明に係る圧電素子の圧電薄膜部では、電極部として金属箔電極部材を使用する場合と同様に、絶縁破壊が発生してしまう危険性を抑制する効果を得ることができ、かつ、大きな感度の低下の抑制効果が得られる。
本発明に係る圧電センサは、上記の問題を解決するために、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子が、筐体内部に設けられており、上記電荷が供給される信号線が、上記圧電素子に形成された貫通孔を通じて上記筐体外部に引き出されており、上記圧電素子は、表面に上記貫通孔が形成された金属製の基板と、上記電荷を発生するものであり、自身が上記信号線と離間されるように、上記貫通孔の少なくとも壁面を除く、上記基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備えるものであり、上記信号線が上記貫通孔の壁面と接触されており、上記筐体が上記電極部と導通されており、上記基板と当該電極部とが上記圧電薄膜部により絶縁されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係る圧電センサに備えられる圧電素子は、金属製の基板の両表面に圧電薄膜部が成膜されている構成となるため、当該圧電素子の小型化に伴う、圧電薄膜部の表面積の狭小化を抑制することが可能となり、これにより、発生する電荷量の減少の抑制が可能となり、感度の低下の抑制が可能となる。
結果、本発明に係る圧電センサでは、上記圧電素子の圧電薄膜部の表面積の狭小化を抑制しつつ、当該圧電素子の小型化が可能となるため、当該圧電センサにおいても同様に小型化が可能となる。
つまり、本発明に係る圧電センサでは、発生される電荷量の低減を抑制しつつ、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能となるという効果を奏する。
ここで、金属製の基板の両表面に圧電薄膜部が成膜されており、当該圧電薄膜部に電極部が被覆されている圧電素子においては、当該基板から放出される電荷を得るべく、当該基板が露出する部分を確保する必要がある。これは、圧電素子の圧電薄膜部に圧力が加えられると、圧電薄膜部は、基板側及び電極部側のうちの、一方から正極の電荷を発生し、他方から負極の電荷を発生する特性を有することによる。
そこで、本発明に係る圧電センサの圧電素子では、基板の表面に貫通孔を形成し、当該貫通孔の少なくとも壁面を露出させることで、基板が露出する部分を確保している。これにより、基板から放出される電荷は、基板の露出部分である貫通孔の壁面から得られる。
また、本発明に係る圧電センサでは、圧電素子の圧電薄膜部における基板側からの電荷が、基板の露出部分である貫通孔の壁面から放出され、圧電薄膜部における電極部側からの電荷が、電極部から放出されるが、圧電薄膜部に被覆されている電極部がもたらすシールド効果により、圧電薄膜部における基板側からの電荷に重畳するノイズ成分の除去が可能となる。
また、上記の構成によれば、信号線が貫通孔の壁面と接触及び導通されており、筐体が電極部と導通されている。
ところで、圧電素子の圧電薄膜部に圧力が加えられると、圧電薄膜部は、基板側及び電極部側のうちの、一方から正極の電荷を発生し、他方から負極の電荷を発生する特性を有する。
上記の特性を有する圧電薄膜部を、基板の両表面に成膜することで、圧電素子では、圧力を受ける時においても、基板側と電極部側との絶縁が可能となる。こうして、基板と電極部とは、圧電薄膜部により絶縁されている。
即ち、基板側から放出された電荷は、基板に形成された貫通孔の壁面から信号線に供給される。一方、電極部側から放出された電荷は、電極部を介して、筐体へと放出される。さらに、基板と電極部とは、圧電薄膜部により絶縁されている。結果として、本発明の圧電センサでは、基板の露出部分からの電荷のみが信号線に供給される構成を実現することができる。
また、こうした構成を有する、本発明に係る圧電センサでは、筐体内に圧電素子を複数個積層する構造を容易に適用することができる。これは、本発明に係る圧電センサにおいては、複数個積層された圧電素子のそれぞれにおける基板の貫通孔からの電荷のみが、当該貫通孔に通された信号線に供給可能であることによる。但し、上記圧電素子は、筐体内部に1個だけ設けられる場合であっても、基板と信号線、筐体と電極部との導通を良好なものとすることができるため、感度が向上する。
また、本発明に係る圧電センサは、上記貫通孔は、口径が上記信号線の直径よりも長い円孔部の壁面に、当該円孔部の壁面に対して垂直となる面における中心と、当該面における自身の先端部分との距離が、上記信号線の半径よりも短い突起部が形成された孔であることを特徴としている。
貫通孔が円孔部のみを有する孔として設けられる場合、即ち、貫通孔が丸穴である場合、信号線と貫通孔の壁面とを確実に接触させることは決して容易でないため、信号線と基板とを確実に導通させることは決して容易ではない。
そこで、信号線と貫通孔の壁面とを確実に接触させ、信号線と基板との導通を確実なものとするために、貫通孔は、円孔部に加え、突起部をさらに有する形状の孔として設けられるのが好ましい。
上記の構成によれば、貫通孔の突起部は、貫通孔に信号線を挿入するときに変形して、挿入された信号線に咬合する(即ち、咬み合う)。これにより、信号線と基板との導通は、確実なものとなる。
また、本発明に係る圧電センサは、上記電極部は、金属箔電極部材により構成されており、上記金属箔電極部材は、上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面に被覆されている圧電薄膜被覆部と、上記圧電薄膜被覆部から突出して形成されており、上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面側から他方の表面側へと折り曲げられることで、上記金属箔電極部材自身を当該圧電薄膜部が成膜された基板に固定している突出部と、を有していることを特徴としている。
上記の構成によれば、電極部は、圧電薄膜被覆部と突出部とを有する金属箔電極部材を含んで構成されている。そして、突出部は、上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面側から他方の表面側へと折り曲げられる、即ち、突出部が折り返されることによって、金属箔電極部材自身と筐体との導通を良好なものとすることができる。
ここで、圧電センサの圧電素子が、圧電薄膜部が成膜された基板に、1枚の金属箔電極部材が、基板の一方の表面または他方の表面から被覆されている構成の場合は、圧電素子自身の加圧時において、圧電薄膜部の突出部に接する部位に応力が集中することで剪断力が生じ、この剪断力に起因して、圧電薄膜部に絶縁破壊が発生してしまう虞がある。即ち、圧電センサにおいて、圧電素子を複数個積層する構造をより有効に機能させるためには、複数個の圧電素子を加圧して当該圧電素子同士を密着させる必要があるが、このとき、加圧力を高めると、圧電薄膜部の突出部に接する部位に応力が集中して絶縁破壊が発生してしまう虞がある。
そこで、本発明に係る圧電センサは、さらに、上記突出部が、上記基板における他方の表面側に成膜された圧電薄膜部の全面もしくは略全面に被覆されているのが好ましい。もしくは、本発明に係る圧電センサは、さらに、上記金属箔電極部材を2枚有しており、上記2枚の金属箔電極部材におけるそれぞれの圧電薄膜被覆部は、上記圧電薄膜部が成膜された基板において、互いに異なる表面に被覆されており、かつ、上記2枚の金属箔電極部材の一方における突出部は、上記2枚の金属箔電極部材の他方における圧電薄膜被覆部に被覆されるように折り曲げられており、上記2枚の金属箔電極部材の他方における突出部は、上記2枚の金属箔電極部材の一方における圧電薄膜被覆部に被覆されるように折り曲げられているのが好ましい。
上記の構成によれば、圧電薄膜被覆部により被覆されない基板における他方の表面が、上記突出部により被覆される。もしくは、2枚の金属箔電極部材を用いられており、当該2枚の金属箔電極部材の圧電薄膜被覆部は、上記圧電薄膜部が成膜された基板において、互いに異なる面に被覆されている。即ち、一方の金属箔電極部材の圧電薄膜被覆部が一方の表面に、他方の金属箔電極部材の圧電薄膜被覆部が他方の表面に被覆されている。
これにより、本発明に係る圧電センサでは、圧電素子において、突出部への応力の集中を抑制することができるため、圧電薄膜部に絶縁破壊が発生してしまう危険性を抑制することができる。また、本発明に係る圧電センサでは、圧電素子において、圧電薄膜部と電極部との接触部分を増加させることができるため、大きな感度の低下の抑制効果が得られる。
本発明に係る圧電センサは、上記の問題を解決するために、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子が、筐体内部に設けられており、上記電荷が供給される信号線が、上記圧電素子に形成された貫通孔を通じて上記筐体外部に引き出されており、上記圧電素子は、金属製の基板と、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、自身が上記筐体と離間されるように、上記基板の少なくとも側面を除く、当該基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備え、上記基板の表面、上記圧電薄膜部、及び上記電極部を貫通するように貫通孔が設けられており、上記貫通孔の壁面が、上記電極部からなっているものであり、上記信号線が上記電極部と導通されており、上記筐体が上記基板の側面と接触されており、当該基板と当該電極部とが上記圧電薄膜部により絶縁されていることを特徴としている。
つまり、本発明に係る圧電センサの圧電素子は、貫通孔の壁面が電極部からなっており、貫通孔を通じる信号線に電極部が咬合する(即ち、咬み合う)ことによって、信号線と電極部とが通電可能な構成であると解釈できる。
上記の構成によれば、本発明に係る圧電素子は、金属製の基板の両表面に圧電薄膜部が成膜されている構成となるため、当該圧電素子自身の小型化に伴う、圧電薄膜部の表面積の狭小化を抑制することが可能となり、これにより、発生する電荷量の減少の抑制が可能となり、感度の低下の抑制が可能となる。
結果、本発明に係る圧電センサの圧電素子では、上記圧電薄膜部の表面積の狭小化を抑制しつつ、当該圧電素子の小型化が可能となるため、当該圧電センサにおいても同様に小型化が可能となる。
つまり、本発明に係る圧電センサでは、発生される電荷量の低減を抑制しつつ、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能となるという効果を奏する。
ここで、金属製の基板の全面に圧電薄膜部が成膜されており、当該圧電薄膜部に電極部が被覆されている圧電素子においては、当該基板から放出される電荷を得るべく、当該基板が露出する部分を確保する必要がある。これは、圧電素子の圧電薄膜部に圧力が加えられると、圧電薄膜部は、基板側及び電極部側のうちの、一方から正極の電荷を発生し、他方から負極の電荷を発生する特性を有することによる。
そこで、本発明に係る圧電センサの圧電素子では、基板の少なくとも側面を露出させることで、当該基板が露出する部分を確保している。これにより、基板から放出される電荷は、基板の露出部分である基板の側面から得られる。
また、本発明に係る圧電センサでは、圧電素子の圧電薄膜部における基板側からの電荷が、基板の露出部分である基板の側面から放出され、圧電薄膜部における電極部側からの電荷が、電極部から放出されるが、圧電薄膜部に被覆されている電極部がもたらすシールド効果により、圧電薄膜部における基板側からの電荷に重畳するノイズ成分の除去が可能となる。
また、上記の構成によれば、筐体が基板の側面と接触及び導通されており、筐体が電極部を介して圧電素子の圧電薄膜部と接触されている。
ところで、圧電素子の圧電薄膜部に圧力が加えられると、圧電薄膜部は、基板側及び電極部側のうちの、一方から正極の電荷を発生し、他方から負極の電荷を発生する特性を有する。
上記の特性を有する圧電薄膜部を、基板に成膜することで、圧電素子では、圧力を受ける時においても、基板側と電極部側との絶縁が可能となる。こうして、基板と電極部とは、圧電薄膜部により絶縁されている。
即ち、圧電薄膜部の表面から放出された電荷は、電極部を介して、基板に形成された貫通孔を通じる信号線に供給される。一方、基板側から放出された電荷は、筐体へと放出される。さらに、基板と電極部とは、圧電薄膜部により絶縁されている。結果として、本発明の圧電センサでは、基板側から放出される電荷とは逆の極性となる、圧電薄膜部の表面の電荷のみが、電極部を介して信号線に供給される構成を実現することができる。
また、こうした構成を有する、本発明に係る圧電センサでは、筐体内に圧電素子を複数個積層する構造を容易に適用することができる。これは、本発明に係る圧電センサにおいては、複数個積層された圧電素子のそれぞれにおける電極部からの電荷のみが、当該貫通孔に通された信号線に供給可能であることによる。但し、上記圧電素子は、筐体内部に1個だけ設けられる場合であっても、電極部と信号線、基板と筐体との導通を良好なものとすることができるため、感度が向上する。
なお、本発明の圧電センサと、上述した、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子が、筐体内部に設けられており、上記電荷が供給される信号線が、上記圧電素子に形成された貫通孔を通じて上記筐体外部に引き出されており、上記圧電素子は、表面に上記貫通孔が形成された金属製の基板と、上記電荷を発生するものであり、自身が上記信号線と離間されるように、上記貫通孔の少なくとも壁面を除く、上記基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備えるものであり、上記信号線が上記貫通孔の壁面と接触されており、上記筐体が上記電極部と導通されており、上記基板と当該電極部とが上記圧電薄膜部により絶縁されている圧電センサと、は、互いに逆の極性を有する圧電センサとなる。
圧電センサに接続されている各種回路(例えば、圧電センサの外部に設けられている圧電センサの制御回路系)では、一般的に、自身の駆動に好適である当該圧電センサの極性が予め決定されており、実際の圧電センサの極性に応じて設計を変更することが非常に煩雑である。そのため、実際の圧電センサの極性と、当該各種回路の駆動に好適である圧電センサの極性と、を一致させることは、従来、決して容易ではなかった。
一方、本発明に係る圧電センサでは、上記各種回路の駆動に好適である当該圧電センサの極性に応じて、上述したいずれかの圧電センサを適宜選択することにより、実際の圧電センサの極性と、当該各種回路の駆動に好適である圧電センサの極性と、を一致させることが簡単であるため都合が良い。
また、本発明に係る圧電センサは、上記圧電素子は、上記基板の一方の表面に成膜された圧電薄膜部にのみ、上記電極部が被覆されていることを特徴としてもよい。
また、本発明に係る圧電センサは、上記電極部は、電極の膜であることを特徴としている。
上記の構成によっても、本発明に係る圧電センサの圧電素子の圧電薄膜部では、電極部として金属箔電極部材を使用する場合と同様に、絶縁破壊が発生してしまう危険性を抑制する効果を得ることができ、かつ、大きな感度の低下の抑制効果が得られる。
また、本発明に係る圧電センサは、上記圧電素子が、上記筐体内部に複数個積層されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係る圧電センサでは、圧電素子を複数個積層することで、圧電素子から信号線に供給される電荷量の低下をさらに抑制しつつ、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積のさらなる狭小化が可能となり、ひいては、当該圧電センサから発生される電荷量を増加させることさえも可能である。
本発明に係る圧電素子の製造方法は、上記の問題を解決するために、表面に貫通孔が形成された金属製の基板と、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、当該貫通孔を通じる信号線が当該基板と接触するように、当該基板に成膜されている圧電薄膜部と、を備える圧電素子の製造方法であって、上記貫通孔よりも大きな面を有する治具本体と、当該治具本体における貫通孔よりも大きな面から伸びており、上記貫通孔を通ずることが可能なワイヤ部材と、を備える治具を用意する第1の工程と、上記貫通孔の一端側から上記ワイヤ部材を挿入すると共に、上記治具本体に上記基板を載置して、当該基板を上記治具に装着する第2の工程と、上記ワイヤ部材を中空の蓋部材に挿入すると共に、当該蓋部材と上記治具本体とにより上記基板を圧着固定する第3の工程と、上記第3の工程により、上記基板を圧着固定した上記治具を、成膜装置に装着する第4の工程と、上記成膜装置により、上記基板に、上記圧電薄膜部を成膜する第5の工程と、を含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、信号線と接触する基板における貫通孔の壁面に、圧電薄膜部が成膜されていない基板を製造することが可能となる。このため、本発明に係る圧電素子の製造方法は、上述した、表面に貫通孔が形成された金属製の基板と、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、上記貫通孔の少なくとも壁面を除く、上記基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備える圧電素子を製造するのに都合が良い。従って、本発明に係る圧電素子の製造方法は、圧電センサに設けられた場合において、信号線に供給する電荷量の低減を抑制しつつ、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積を狭小化することを可能とする圧電素子を製造するのに都合が良い。
また、本発明に係る圧電素子の製造方法は、上記貫通孔の他端側から上記ワイヤ部材を挿入すると共に、上記治具本体に上記基板を載置して、当該基板を上記治具に装着する第6の工程と、上記第6の工程の後に、上記第3の工程〜上記第5の工程を順次実施する第7の工程と、をさらに含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、基板における貫通孔の壁面と、蓋部材と治具本体とにより基板を圧着している部分を除く全面に圧電薄膜部を成膜することができる。
本発明に係る金属箔電極部材は、上記の問題を解決するために、上記の圧電素子における上記電極部として使用される金属箔電極部材であって、上記圧電素子の基板の表面に形成された貫通孔を露出させるための孔部と、上記圧電素子の圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面に被覆される圧電薄膜被覆部と、上記圧電薄膜被覆部から突出して形成されており、上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面側から他方の表面側へと折り曲げられることで、上記金属箔電極部材自身を当該圧電薄膜部が成膜された基板に固定可能な突出部と、を備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、圧電素子の電極部として、本発明に係る金属箔電極部材を、圧電薄膜部が成膜された基板に被覆すると、孔部により基板に形成された貫通孔を露出させ、圧電薄膜被覆部により圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面または他方の表面を被覆して、突出部により金属箔電極自身を圧電薄膜部が成膜された基板に固定することが可能となる。つまり、本発明に係る金属箔電極部材は、上記の圧電素子に係る電極部として好適に用いられるものである。
以上のとおり、本発明に係る圧電素子は、表面に貫通孔が形成された金属製の基板と、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、上記貫通孔の少なくとも壁面を除く、上記基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備える構成である。従って、圧電センサが挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能な圧電センサの圧電素子を提供することが可能であるという効果を奏する。
また、本発明に係る圧電素子は、金属製の基板と、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、上記基板の少なくとも側面を除く、当該基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備え、上記基板の表面、上記圧電薄膜部、及び上記電極部を貫通するように貫通孔が設けられており、上記貫通孔の壁面が、上記電極部からなっている構成である。従って、圧電センサが挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能な圧電センサの圧電素子を提供することが可能であるという効果を奏する。
以上のとおり、本発明に係る圧電センサは、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子が、筐体内部に設けられており、上記電荷が供給される信号線が、上記圧電素子に形成された貫通孔を通じて上記筐体外部に引き出されており、上記圧電素子は、表面に上記貫通孔が形成された金属製の基板と、上記電荷を発生するものであり、自身が上記信号線と離間されるように、上記貫通孔の少なくとも壁面を除く、上記基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備えるものであり、上記信号線が上記貫通孔の壁面と接触されており、上記筐体が上記電極部と導通されており、上記基板と当該電極部とが上記圧電薄膜部により絶縁されている構成である。従って、発生される電荷量の低減を抑制しつつ、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能となるという効果を奏する。また、圧電センサにおいて、複数個の圧電素子の積層構造が実現可能となり、これにより、当該面積の狭小化に加え、圧電センサから発生される電荷量を増加させることさえも可能である。
また、本発明に係る圧電センサは、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子が、筐体内部に設けられており、上記電荷が供給される信号線が、上記圧電素子に形成された貫通孔を通じて上記筐体外部に引き出されており、上記圧電素子は、金属製の基板と、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、自身が上記筐体と離間されるように、上記基板の少なくとも側面を除く、当該基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備え、上記基板の表面、上記圧電薄膜部、及び上記電極部を貫通するように貫通孔が設けられており、上記貫通孔の壁面が、上記電極部からなっているものであり、上記信号線が上記電極部と導通されており、上記筐体が上記基板の側面と接触されており、当該基板と当該電極部とが上記圧電薄膜部により絶縁されている構成である。従って、発生される電荷量の低減を抑制しつつ、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能となるという効果を奏する。また、圧電センサにおいて、複数個の圧電素子の積層構造が実現可能となり、これにより、当該面積の狭小化に加え、圧電センサから発生される電荷量を増加させることさえも可能である。
以上のとおり、本発明に係る圧電素子の製造方法は、表面に貫通孔が形成された金属製の基板と、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、当該貫通孔を通じる信号線が当該基板と接触するように、当該基板に成膜されている圧電薄膜部と、を備える圧電素子の製造方法であって、上記貫通孔よりも大きな面を有する治具本体と、当該治具本体における貫通孔よりも大きな面から伸びており、上記貫通孔を通ずることが可能なワイヤ部材と、を備える治具を用意する第1の工程と、上記貫通孔の一端側から上記ワイヤ部材を挿入すると共に、上記治具本体に上記基板を載置して、当該基板を上記治具に装着する第2の工程と、上記ワイヤ部材を中空の蓋部材に挿入すると共に、当該蓋部材と上記治具本体とにより上記基板を圧着固定する第3の工程と、上記第3の工程により、上記基板を圧着固定した上記治具を、成膜装置に装着する第4の工程と、上記成膜装置により、上記基板に、上記圧電薄膜部を成膜する第5の工程と、を含む方法である。従って、本発明に係る圧電素子の製造方法は、圧電センサに設けられた場合において、信号線に供給する電荷量の低減を抑制しつつ、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積を狭小化することを可能とする圧電素子を適切に製造可能であるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施の形態について図1〜図9に基づいて説明すると以下の通りである。
図1は、本発明に係る圧電センサの構成を示す断面図である。
図1に示す薄膜素子積層センサ(圧電センサ)1は、筐体2内部に、絶縁板31、信号線付電極4、絶縁板32、複数個(本実施の形態及び後述する実施の形態では4個)の圧電素子5、及び押し金具6が順次積層された構成である。
筐体2は、耐熱性に優れた金属により構成された、中空かつ一端が閉じた形状を有する部材、即ち、底面21を有する中空の部材である。なお、薄膜素子積層センサ1は、筐体2の底面21側から、例えば図示しないシリンダ(自動車等の内燃機関のシリンダ)に挿入されるものである。
絶縁板31、32は、例えば酸化アルミニウム(いわゆる、アルミナ)により構成されている。絶縁板31は、信号線付電極4を、筐体2と絶縁するために設けられている。また、絶縁板32は、信号線付電極4を、圧電素子5と絶縁するために設けられている。
信号線付電極4は、信号線41が引き出された電極層であり、圧電素子5から発生された電荷を、圧力検出信号として、信号線41を通じて伝達するものである。信号線付電極4から引き出された信号線41は、圧電素子5の基板51に形成された貫通孔8aと、貫通孔8bと、を通じて、薄膜素子積層センサ1外部にまで引き伸ばされている。
なお、信号線付電極4は、圧電素子5を積層するときの固定に際して有用であるが、必須の構成ではなく、圧電素子5の基板51が信号線41への嵌合に十分な強度を有していれば省略可能である。つまり、この場合、圧力検出信号を伝達するための構成としては、信号線41のみで構成可能である。同様に、圧電素子5の基板51が信号線41への嵌合に十分な強度を有している場合、信号線付電極4と圧電素子5とが離間さえされていれば、絶縁板32についても省略可能である。
圧電素子5は、インコネル等の耐熱性に優れた金属により構成される基板51に成膜された窒化アルミニウム(AlN)素子膜(圧電薄膜部)52に、金属箔電極(電極部、金属箔電極部材)53が被覆された構成である。
基板51には、信号線41を通すことが可能であるように、具体的には、貫通孔8aを通じた信号線41と基板51とが接触するように、貫通孔8aが形成されている。ここで、貫通孔8aの少なくとも壁面18については、AlN素子膜52が成膜されておらず、基板51が露出している(後述する露出部分54参照)。露出した貫通孔8aの壁面18は、貫通孔8aを通じる信号線41と接触しており、これにより、信号線41と基板51とを接触及び導通させている。
なお、貫通孔8aは、基板51の表面28aに形成されている。ここで、基板51の表面28aとは、薄膜素子積層センサ1(または、後述する薄膜素子積層センサ10)が挿入される方向に対して垂直となる基板51の面を意味する。一方、薄膜素子積層センサ1(または、後述する薄膜素子積層センサ10)が挿入される方向に沿った基板51の面は、基板51の側面28bである。つまり、貫通孔8aは、薄膜素子積層センサ1が挿入される方向に対して、平行または略平行となる方向に、貫通する孔となる。
AlN素子膜52は、圧電特性を有するものであり、外部からの圧力を受けることによって電荷を発生するものである。即ち、AlN素子膜52には、基板51から伝達される圧力に付随して、撓みが発生する。そして、この撓みに応じて、AlN素子膜52の内部には、圧縮応力及び引張応力が発生する。この内部応力の働きによって、AlN素子膜52からは、電荷が発生される。こうして、AlN素子膜52は、圧力を受けることによって、その圧力に応じた電荷を発生する。なお、AlN素子膜52は、AlNを、スパッタリング法で成膜することが好ましい。
なお、AlN素子膜52の厚さについては、特に限定されない。
但し、AlN素子膜52は、薄くし過ぎると、該AlN素子膜52自身が剥離し易くなったり、該AlN素子膜52の成膜が不完全な部分もしくは該AlN素子膜52が成膜されない部分が生じやすくなったりする、という欠陥が発生する虞がある。また、該欠陥に起因して、基板51と金属箔電極53との間においては、ショートが発生しやすくなるという問題が発生する。
一方、該AlN素子膜52(15μm以上)を厚くすることは、技術的に困難である。また、該AlN素子膜52は、厚くし過ぎると、圧電特性の劣化が発生する虞がある。
これらのことを考慮すると、AlN素子膜52の厚さは、0.1μm〜10μm程度とするのが好ましい。
また、AlN素子膜52は、上記基板51が露出している部分を除く、基板51部分に成膜されており、かつ、貫通孔8aを通ずる信号線41と離間されるように基板51の略全面に成膜されている。
つまり、AlN素子膜52は、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであると共に、貫通孔8aの少なくとも壁面18を除く、基板51の全面に成膜されているものである。
金属箔電極53は、導電性を有する材料、例えば銅からなる。金属箔電極53は、少なくとも、自身と筐体2とが導通するように、AlN素子膜52に被覆されている。例えば、金属箔電極53は、自身と筐体2とが接触するように、もしくは、押し金具6が筐体2と導通した状態で設けられている場合、自身と押し金具6とが接触するように、AlN素子膜52に被覆されている。これにより、金属箔電極53は、圧電素子5に設けられているAlN素子膜52と、筐体2とを導通している、即ち、金属箔電極53と筐体2とは導通している。
圧電素子5は、基板51の表面28aを覆うようにAlN素子膜52が成膜されている構成となるため、圧電素子5自身の小型化に伴う、AlN素子膜52の表面積の狭小化を抑制することが可能となり、これにより、発生する電荷量の減少の抑制が可能となり、感度の低下の抑制が可能となる。
結果、圧電素子5では、AlN素子膜52の表面積の狭小化を抑制しつつ、小型化が可能となるため、当該圧電素子5を設けた薄膜素子積層センサ1においても同様に小型化が可能となる。
ここで、AlN素子膜52が成膜された金属製の基板51を有しており、AlN素子膜52に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子においては、基板51から放出される電荷を得るべく、基板51が露出する部分、即ち、薄膜素子積層センサ1において基板51と信号線41とが接触する部分を確保する必要がある。これは、AlN素子膜52に圧力が加えられると、AlN素子膜52は、基板51側及び金属箔電極53側のうちの、一方から正極の電荷を発生し、他方から負極の電荷を発生する特性を有することによる。
そこで、圧電素子5では、基板51の表面28aに貫通孔8aを形成し、貫通孔8aの少なくとも壁面18を露出させることで、基板51が露出する部分を確保している。これにより、基板51から放出される電荷は、基板51の露出部分である貫通孔8aの壁面18から得られる。
また、圧電素子5では、AlN素子膜52における基板51側からの電荷が、貫通孔8aの壁面18から放出され、AlN素子膜52における金属箔電極53側からの電荷が、金属箔電極53から放出されるが、AlN素子膜52に被覆されている金属箔電極53がもたらすシールド効果により、AlN素子膜52からの電荷に重畳するノイズ成分の除去が可能となる。
押し金具6は、薄膜素子積層センサ1の上部、即ち、筐体2の閉じていない他端側から、図示しない固定金具をねじ込むことで、絶縁板31、信号線付電極4、絶縁板32、及び圧電素子5を筐体2内に圧着固定するためのものである。
絶縁板32及び押し金具6にはそれぞれ、信号線41が通すことが可能であるように、貫通孔8bが形成されている。
信号線41と押し金具6との間は、例えばアルミナにより構成されている絶縁管7により絶縁されている。信号線41は、貫通孔8aにおける基板51の露出部分、即ち、貫通孔8aの壁面18と接触することで基板51と導通しているが、基板51と接触及び導通する部分を除いては、他の部材と接触していない、もしくは、他の部材と絶縁されている。金属箔電極53は、筐体2と導通している。
なお、本発明の特徴をより明確に図示するため、図1及び後述する図10に示す圧電センサの断面図において、信号線41の奥(信号線41よりも紙面裏側)、かつ、信号線41の近傍に位置する部材(圧電素子5、押し金具6等)については、一部図示を省略している。
外部からの圧力が圧電素子5に加えられると、AlN素子膜52は、上述したとおり、基板51側及び金属箔電極53側のうちの、一方から正極の電荷を発生し、他方から負極の電荷を発生する特性を有する。こうした特性を有するAlN素子膜52を、基板51の両面に成膜することで、圧電素子5では、圧力を受ける時においても、基板51側と金属箔電極53側との絶縁が可能となる。こうして、基板51と金属箔電極53とは、AlN素子膜52により絶縁されている。
そして、基板51側から放出された電荷は、基板51の露出部分である貫通孔8aの壁面18から信号線41に供給される。一方、金属箔電極53側から放出された電荷は、金属箔電極53から筐体2(もしくは、筐体2及び押し金具6)へと放出される。結果として、薄膜素子積層センサ1では、基板51からの電荷のみが圧力検出信号として信号線41に供給される構成を実現することができる。
また、上述したシールド効果により、信号線41へは、重畳するノイズ成分が十分に除去された圧力検出信号が供給可能となる。
なお、図1に示す薄膜素子積層センサ1では、筐体2に圧電素子5が複数個(4個)積層されている構成であるが、これに限定されず、本発明に係る圧電センサでは、圧電素子5が筐体2に1個だけ設けられている構成であっても構わない。この場合であっても、本発明に係る圧電センサでは、基板と信号線、筐体と電極部との導通を良好なものとすることができるため、感度が向上し、結果、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積の狭小化が可能となる。
但し、図1の薄膜素子積層センサ1に示すとおり、本発明に係る圧電センサは、圧電素子を複数個積層することで、圧電素子から信号線に供給される電荷量を低下させることなく、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積のさらなる狭小化が可能となり、ひいては、圧電センサから発生される電荷量を増加させることさえも可能であるためより好ましい。
後述する、図10に示す薄膜素子積層センサ10についても同様に、圧電素子5は、筐体2内部に1個だけ設けられている構成であっても構わないが、複数個積層されている構成であるのがより好ましい。
図2は、薄膜素子積層センサ1の圧電素子5の基板51を模式的に示す平面図である。また、図3は、薄膜素子積層センサ1の圧電素子5の基板51に形成された貫通孔8aを示す平面図である。また、図4は、AlN素子膜52が成膜された基板51における当該貫通孔8aを示す平面図である。
貫通孔8aは、口径が信号線41の直径よりも長い円孔部81の壁面、即ち、貫通孔8aの壁面18に、突起部82をさらに有する孔として、基板51に設けられている。
また、円孔部81の開口方向に対して垂直となる面(円孔部81の壁面に対して垂直となる面)における貫通孔8aの中心Cと、当該面における突起部82の先端部分83との距離はいずれも、信号線41の半径よりも短い。
例えば、信号線41の直径が0.6mmである場合、円孔部81の口径は0.8mm、貫通孔8aの中心と突起部82の先端部分との距離は0.5/2mm、即ち、0.25mmとするのが好ましい。
貫通孔8aが円孔部81のみを有する丸穴として設けられる場合、信号線41と基板51の露出部分である貫通孔8aの壁面18とを確実に接触させること(図1参照)は決して容易でない。
そこで、信号線41と基板51の露出部分とを確実に接触させ、信号線41と基板51との導通を確実なものとするために、貫通孔8aは、円孔部81に加え、突起部82をさらに有する形状の孔(図3参照)として設けられるのが好ましい。
即ち、貫通孔8aの突起部82は、貫通孔8aに信号線41を挿入するときに変形し、信号線41に咬合する(即ち、咬み合う)。これにより、信号線41と基板51との導通は、確実なものとなる。
また、図2、3に示す基板51により、図1に示す圧電素子5の構成を実現するためには、図4に示すとおり、貫通孔8aの壁面18を含む基板51の所定部分が露出するように、AlN素子膜52を基板51に成膜する必要がある。
図5は、薄膜素子積層センサ1の圧電素子5の製造方法を示す図であり、基板51にAlN素子膜52を成膜する様子を示す図である。
図5に示す、薄膜素子積層センサ1の圧電素子5の製造方法では、まず、貫通孔8aよりも大きな面を有する治具本体110と、治具本体110から伸びており、貫通孔8aの口径よりも若干短い口径を有する、円柱状もしくは円筒状の管部(ワイヤ部材)101と、を有する治具100を用意する(第1の工程)。次に、貫通孔8aの一端側(治具本体110と接触している基板51の表面28a側)から管部101を挿入すると共に、治具本体110に基板51を載置して、基板51を治具100に装着する(第2の工程、図5(a)参照)。なお、参照符号54は、貫通孔8aの壁面18(図1参照)を含む基板51の露出部分を示しており、参照符号55は、AlN素子膜52が成膜される基板51部分を示している。次に、管部101の口径よりも長い内径を有する中空のキャップ(蓋部材)102に、管部101を挿入して、キャップ102と治具本体110とにより、基板51を治具100に圧着固定する(第3の工程、図5(b)参照)。このとき、キャップ102は、基板51の露出部分54と密着することとなる。次に、基板51が装着された治具100を逆さまにして、即ち、管部101における治具本体110と接していない端部が下向きになるようにして(図5(c)参照)、基板51が装着された治具100を、図示しない周知のスパッタリング装置(成膜装置)に装着する(第4の工程)。次に、基板51の成膜部分55に、AlNを、スパッタリング法により成膜する(第5の工程)。次に、キャップ102を、管部101から取り外し、続いて管部101から基板51を取り外す。
なお、この時点で、基板51は、上記成膜時において治具本体110と接触していた基板51の成膜部分55に、AlN素子膜52が成膜されていない状態となっている。
そこで、基板51を裏返して、即ち、貫通孔8aの他端側から管部101を挿入する。さらに、治具本体110に基板51を載置して、基板51を治具100に装着する(第6の工程)。以下、上記成膜時において治具100と接触していた基板51の成膜部分55についても、上記第3の工程〜第5の工程と同様の工程により、AlN素子膜52を成膜する(第7の工程)。
上記の方法により、露出部分54には、AlN素子膜52が成膜されておらず、成膜部分55全面には、AlN素子膜52が成膜された基板51(図6参照)を製造することが可能となる。
図7は、金属箔電極53の構成例を示す平面図である。図8は、AlN素子膜52が成膜された基板51に金属箔電極53が被覆された様子を示す平面図である。
図7に示すとおり、金属箔電極53は、貫通孔8aを露出させる孔部531と、基板51の表面よりもわずかに小さいサイズを有しており、AlN素子膜52が成膜された基板51における一方の表面28aに被覆される環状部(圧電薄膜被覆部)532と、AlN素子膜52が成膜された基板51を包みこむべく環状部532から突出して形成された突出部533とを備える構成である。また、突出部533は、AlN素子膜52が成膜された基板51における一方の表面28a側から他方の表面28a側へと折り曲げられることで、金属箔電極53をAlN素子膜52が成膜された基板51に固定することが可能なものである。
図7に示す金属箔電極53は、AlN素子膜52が成膜された基板51に、以下の要領により被覆される。
即ち、まずは、図7に示す形状を有する金属箔電極53を2枚用意する。一方の金属箔電極53は、孔部531を、AlN素子膜52が成膜された基板51の貫通孔8aと一致させて、環状部532を、基板51の一方の表面28aに成膜されたAlN素子膜52と一致させる。また、他方の金属箔電極53は、孔部531を、AlN素子膜52が成膜された基板51の貫通孔8aと一致させて、環状部532を、基板51の他方の表面28aに成膜されたAlN素子膜52と一致させる。そして、一方の金属箔電極53の突出部533を基板51の他方の表面28a側に折り曲げて、AlN素子膜52を包み込むと共に、他方の金属箔電極53の突出部533を基板51の一方の表面28a側に折り曲げて、AlN素子膜52を包み込む。こうして、AlN素子膜52が成膜された基板51には、2枚の金属箔電極53が基板51の両表面から被覆される(図8(b)参照)。このとき、一方の金属箔電極53の突出部533は、他方の金属箔電極53の環状部532に被覆されるように折り曲げられ、他方の金属箔電極53の突出部533は、一方の金属箔電極53の環状部532に被覆されるように折り曲げられる。
なお、図8(a)に示すとおり、AlN素子膜52が成膜された基板51に、図7に示す金属箔電極53が1枚だけ、基板51のいずれかの面から被覆される構成の場合、即ち、突出部533がAlN素子膜52に直接的に接触する場合は、圧電素子5の加圧時において、AlN素子膜52の突出部533に接する部位に応力が集中することで生じる剪断力に起因して、圧電素子5のAlN素子膜52に絶縁破壊が発生してしまう虞がある。
そこで、図8(b)に示すとおり、AlN素子膜52が成膜された基板51は、2枚の金属箔電極53により被覆される。これにより、上記絶縁破壊を抑制することができる。
また、図9(a)は、金属箔電極53の別の構成を示す平面図である。図9(b)は、同図(a)に示す金属箔電極53´が、AlN素子膜52が成膜された基板51に被覆された状態を示す図である。
図9(a)に示す金属箔電極53´は、図7に示す金属箔電極53の構成において、突出部533のかわりに、AlN素子膜52が成膜された基板51における他方の表面28aの全面もしくは略全面を被覆することが可能な程度に大きな突出部533´を備える構成である。
図9(a)に示す金属箔電極53´を1枚用いて、AlN素子膜52が成膜された基板51における他方の表面28aの全面もしくは略全面を被覆する、図9(b)に示す構造の場合は、応力集中する虞のある部分を形成することなく、図7に示す電極2枚で基板51の両面から被覆される構造と同様の効果が得られる。
図9に示す形状の金属箔電極53´を用いる場合は、1枚の金属箔電極部材を折り曲げるだけで、AlN素子膜52の大部分を被覆することができ、特定の部位での応力集中が発生しにくくなる。そのため、上下2枚の金属箔電極53をそれぞれ突出部533が基板51を挟んで反対側の金属箔電極53の上から折り曲げられる場合(図7参照)と同じ絶縁破壊の抑制効果がある。
そして、図1に示す薄膜素子積層センサ1では、筐体2内部に、図8(b)もしくは図9(b)の構成を有する圧電素子5を積層している。これにより、上述したAlNの特性を生かして、圧電センサ自身が挿入される方向に対して垂直となる面の面積を狭小化することが可能となる。
〔実施の形態2〕
本発明の別の実施の形態について図10に基づいて説明すると以下の通りである。
図10は、本発明に係る圧電センサの別の構成を示す断面図である。
図10に示す薄膜素子積層センサ10は、図1に示す薄膜素子積層センサ1の構成において、以下の点が異なる構成である。
まず、薄膜素子積層センサ10は、薄膜素子積層センサ1に係る絶縁板31、32のかわりに、絶縁板3が、信号線付電極4の下部に設けられている(即ち、絶縁板32が省略される)点が、図1に示す薄膜素子積層センサ1と異なる。
また、薄膜素子積層センサ10は、圧電素子5が、以下の構成を有している点が、図1に示す薄膜素子積層センサ1と異なる。
即ち、図10に示す薄膜素子積層センサ10に係る圧電素子5は、基板51と、AlN素子膜52と、金属箔電極53と、を備える。但し、AlN素子膜52については、貫通孔8aの少なくとも壁面18を除く基板51の全面でなく、基板51の少なくとも側面28bを除く当該基板51の全面に成膜されている。また、図10に示す薄膜素子積層センサ10に係る圧電素子5には、貫通孔8aが形成されているものの、この貫通孔8aは、基板51、AlN素子膜52、及び金属箔電極53を貫通するように、かつ、貫通孔8aの壁面18が金属箔電極53からなるように設けられている。なお、薄膜素子積層センサ10に係る圧電素子5は、図10に示すとおり、基板51の一方の表面28aに成膜されたAlN素子膜52にのみ、金属箔電極53が被覆されている構成であってもよい。
また、薄膜素子積層センサ10は、AlN素子膜52が筐体2と離間されており、さらに、信号線41が金属箔電極53と導通されており、筐体2が基板51の側面28bと接触及び導通されており、基板51と金属箔電極53とがAlN素子膜52により絶縁されている点が、図1に示す薄膜素子積層センサ1と異なる。
基板51は、少なくとも薄膜素子積層センサ10における筐体2との導通部分となる側面28bにおいて、AlN素子膜52が成膜されておらず、金属箔電極53により被覆されていない、即ち、筐体2と導通している基板51の側面28bは露出している。
基板51側から放出された電荷は、基板51の側面28bから、筐体2(もしくは、筐体2及び押し金具6)へと放出される。一方、上記AlN素子膜52の表面側から放出された電荷は、金属箔電極53を介して、信号線41に供給される。結果として、薄膜素子積層センサ10では、金属箔電極53からの電荷のみが圧力検出信号として信号線41に供給される構成を実現することができる。
なお、薄膜素子積層センサ10に係る金属箔電極53は、自身が信号線41に咬み合って、変形することによって、信号線41と接触する構成であればよく、金属箔電極53により基板51を巻き込む必要は無い。そのため、薄膜素子積層センサ10に係る金属箔電極53は、図7、図9に示す金属箔電極53、53´のように、突出部533、533´を有する必要が特になく、周知の構造を有する金属箔電極部材を用いることができる。こうした薄膜素子積層センサ10に係る金属箔電極53の形状としては例えば、自身の外周が基板51の側面28bでショートしない程度の大きさの環状である形状が考えられる。
図1に示す薄膜素子積層センサ1に対して、逆の極性が必要である場合は、図10に示す薄膜素子積層センサ10を用いることにより、図1に示す薄膜素子積層センサ1と同様の作用効果を得ることができるため、都合がよい。
つまり、圧電センサに接続されている各種回路(例えば、圧電センサの外部に設けられている圧電センサの制御回路系)では、一般的に、自身の駆動に好適である当該圧電センサの極性が予め決定されており、実際の圧電センサの極性に応じて設計を変更することが非常に煩雑である。そのため、実際の圧電センサの極性と、当該各種回路の駆動に好適である圧電センサの極性と、を一致させることは、従来、決して容易ではなかった。
一方、本発明に係る圧電センサでは、上記各種回路の駆動に好適である当該圧電センサの極性に応じて、薄膜素子積層センサ1及び薄膜素子積層センサ10のいずれかを適宜選択することにより、実際の圧電センサの極性と、当該各種回路の駆動に好適である圧電センサの極性と、を一致させることが簡単である。
なお、上述した図1に係る形態と同様に、信号線付電極4は、圧電素子5を積層するときの固定に際して有用であるが、圧電素子5の金属箔電極53が信号線41への嵌合に十分な強度を有しており、かつ、基板51と筐体2との接触による積層構造が十分確保できれば、最下部に金属箔電極53を挿入するだけで、信号線付電極4は省略可能であり、この場合、圧力検出信号を伝達するための構成としては、信号線41のみで構成可能である。
また、図示はしていないが、図10に示す薄膜素子積層センサ10の圧電素子5においては、基板51の側面28bと筐体2との導通をより確実にするために、基板51の側面28bに突起を設けても良い。即ち、基板51の側面28bに突起を設ける構成によれば、当該圧電素子5を筐体2に積層するときに、即ち、基板51の側面28bを筐体2に接触させるときに変形し、接触された筐体2に咬合する(即ち、咬み合う)。これにより、薄膜素子積層センサ10の圧電素子5の基板51と筐体2との導通は、より確実なものとなる。
なお、本発明に係る圧電センサでは、圧電素子の圧電薄膜部の材料として、AlNを用いたが、これに限定されない。即ち、圧電薄膜部の材料としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)が用いられてもよい。さらに言えば、圧電薄膜部の材料は、ウルツ鉱構造の結晶構造をもつ物質等の、キュリー点の存在しない圧電材料であればよく、他に窒化ガリウム(GaN)等が挙げられる。この種の圧電材料は、結晶が融解あるいは昇華するまで圧電性を失うことがない。こうした物質(ウルツ鉱構造の結晶構造をもつ物質)は、結晶に対称性が存在しないため圧電性を備えており、また強誘電体でないので、キュリー点が存在しない。従って、係る圧電材料からなる圧電素子は、耐熱性に優れ、圧電特性が劣化することがなく、内燃機関のシリンダのように、500℃近い高温中に曝されたとしても、その機能を失うことがない。そのため、圧電素子の冷却手段が不要となり、温度の低い位置に圧電素子を設置しなければならないという制限もなくなるので圧電センサの構造を単純化することができる。
また、図1に示す薄膜素子積層センサ1において、圧電素子5に設けられる貫通孔8aは、その一例として、図3に示すとおり、円孔部81に加え、突起部82をさらに有する形状の孔として設けられている。ここで、隣り合う2個の突起部82の間隔、突起部82の具体的な形状等については、特に限定されない。即ち、例えば、貫通孔8aは、図3、図4に示す形状(花形)以外にも、歯車形(即ち、各突起部82が、方形の形状を有している)、スリット付円形(即ち、隣り合う2個の突起部82の間隔が非常に狭い)といった形状を有していてもよい。
さらに、本発明に係る圧電素子では、電極部として、圧電薄膜部に被覆される金属箔電極部材のかわりに、圧電薄膜部の表面に、蒸着もしくはスパッタリング法により形成した電極の膜を使用してもよい。
〔実施の形態3〕
本発明の別の実施の形態について説明すると以下の通りである。
ここでは、本発明に係る圧電薄膜部が成膜された基板(以下、「基準素子」と称する)を用いて、
1:外径7mm、内径5mmであって、一端が閉じた円筒状の筐体に基準素子を1個だけ組み込んだ圧電センサ。
2:図7に示す金属箔電極53と同様の形状を有しており、孔部531の直径が1.5mm、環状部532の外径が4.5mm、突出部533の寸法が1mm×1mmの正方形となる銅箔電極2枚で基準素子を被覆し、突出部533が、それぞれ基準素子における反対側の銅箔電極の上から重なるように折り返した状態のもの(圧電素子)を、筐体に1個だけ組み込んだ圧電センサ。
3:上記銅箔電極で被覆した基準素子を、図1に示す要領により、筐体に6個積層して組み込んだ圧電センサ。
の各圧電センサについて、90ccのツーストロークエンジンに当該圧電センサを取り付け、約1500回転毎分でエンジンを運転した場合における出力及び発生電荷を計測した。
なお、上記基準素子は、以下の要領により作製した。
即ち、基板は、外径4.6mm、厚さ0.2mmの円形のステンレス板の中心部に、貫通孔を形成して作製したステンレス基板を用いた。ここで、貫通孔の形状は、図3に示した貫通孔8aと同様の形状を有しており、直径約0.8mmの円孔部81に加え、先端部分と貫通孔8aの中心との距離がそれぞれ約0.25mmである6個の突起部82を有する形状を有している。また、ステンレス基板の両面には、上述した、図5に示す圧電素子5の製造方法により、当該ステンレス基板の中心部(図5に係る露出部分54)以外の全面にAlN薄膜を製膜して製造された素子の層、即ち、圧電薄膜部を、スパッタリング法により製膜した。なおここで、該AlN薄膜の厚さは、3μmとした。またここで、AlN薄膜の厚さ(3μm)は、基板の外径(4.6mm)に対して、無視できる程度に小さい。そこで、ここでは便宜上、上記基準素子の直径は、基板の外径と同じ4.6μmであるものとして説明を行う。
その結果、下記の〔表1〕のように、基準素子を銅箔電極で被覆すること、及び銅箔電極により被覆された基準素子を筐体内部に複数個積層することによって、大幅な感度の向上が見られることが分かった。
さらに、上記〔表1〕では、比較例として、直径9mm、厚さ0.5mmのインコネル製円板の片面に、AlN薄膜を製膜した素子(比較例素子)を同一条件で測定した結果を併記した。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の圧電センサは、自動車等の内燃機関のシリンダ内に設けられる燃焼圧センサ等に好適に用いられるものである。
本発明の実施形態を示すものであり、圧電センサの構成を示す断面図である。 本発明に係る圧電素子の基板を模式的に示す平面図である。 上記圧電素子に設けられている貫通孔を示す平面図である。 上記圧電薄膜部が成膜された上記基板における上記貫通孔を示す平面図である。 上記圧電素子の製造方法を示す図であり、図5(a)は、管部を基板の貫通孔に挿入した状態を示す図であり、図5(b)は、蓋部を、管部に嵌め込み、蓋部により、基板を治具に圧着固定した状態を示す図であり、図5(c)は、同図(b)を逆さまにした状態を示す図である。 上記の製造方法により、上記圧電薄膜部が成膜された上記基板を示す図である。 本発明に係る金属箔電極の構成を示す平面図である。 上記圧電薄膜部が成膜された上記基板に上記金属箔電極が被覆された様子を示す平面図であり、図8(a)は、上記圧電薄膜部が成膜された上記基板の片面に1枚の上記金属箔電極が被覆された様子を示す平面図であり、図8(b)は、上記圧電薄膜部が成膜された上記基板の両面に2枚の上記金属箔電極が被覆された様子を示す平面図である。 図9(a)は、上記金属箔電極の別の構成を示す平面図であり、図9(b)は、同図(a)に示す金属箔電極が、上記圧電薄膜部が成膜された上記基板に被覆された状態を示す図である。 本発明の別の実施形態を示すものであり、圧電センサの構成を示す断面図である。
符号の説明
1、10 薄膜素子積層センサ(圧電センサ)
2 筐体
3、31、32 絶縁板
4 信号線付電極
5 圧電素子
6 押し金具
7 絶縁管
8a、8b 貫通孔
18 壁面
28a 表面
28b 側面
41 信号線
51 基板
52 AlN素子膜(圧電薄膜部)
53、53´ 金属箔電極(電極部、金属箔電極部材)
81 円孔部
82 突起部
83 先端部分
100 治具
101 管部(ワイヤ部材)
102 キャップ(蓋部材)
110 治具本体
531 孔部
532 環状部(圧電薄膜被覆部)
533、533´ 突出部

Claims (17)

  1. 表面に貫通孔が形成された金属製の基板と、
    自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、上記貫通孔の少なくとも壁面を除く、上記基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、
    導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備え
    上記貫通孔は、円孔部の壁面に突起部が形成された孔であることを特徴とする圧電素子。
  2. 表面に貫通孔が形成された金属製の基板と、
    自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、上記貫通孔の少なくとも壁面を除く、上記基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、
    導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備え
    上記電極部は、金属箔電極部材により構成されており、
    上記金属箔電極部材は、
    上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面に被覆されている圧電薄膜被覆部と、
    上記圧電薄膜被覆部から突出して形成されており、上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面側から他方の表面側へと折り曲げられることで、上記金属箔電極部材自身を当該圧電薄膜部が成膜された基板に固定している突出部と、を有していることを特徴とする圧電素子。
  3. 上記電極部は、金属箔電極部材により構成されており、
    上記金属箔電極部材は、
    上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面に被覆されている圧電薄膜被覆部と、
    上記圧電薄膜被覆部から突出して形成されており、上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面側から他方の表面側へと折り曲げられることで、上記金属箔電極部材自身を当該圧電薄膜部が成膜された基板に固定している突出部と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  4. 上記突出部が、上記基板における他方の表面側に成膜された圧電薄膜部の全面もしくは略全面に被覆されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の圧電素子。
  5. 上記金属箔電極部材を2枚有しており、
    上記2枚の金属箔電極部材におけるそれぞれの圧電薄膜被覆部は、上記圧電薄膜部が成膜された基板において、互いに異なる表面に被覆されており、かつ、
    上記2枚の金属箔電極部材の一方における突出部は、上記2枚の金属箔電極部材の他方における圧電薄膜被覆部に被覆されるように折り曲げられており、
    上記2枚の金属箔電極部材の他方における突出部は、上記2枚の金属箔電極部材の一方における圧電薄膜被覆部に被覆されるように折り曲げられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の圧電素子。
  6. 金属製の基板と、
    自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、上記基板の少なくとも側面を除く、当該基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、
    導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備え、
    上記基板の表面、上記圧電薄膜部、及び上記電極部を貫通するように貫通孔が設けられており、
    上記貫通孔の壁面が上記電極部からなっており、上記基板の上記側面に突起が設けられていることを特徴とする圧電素子。
  7. 上記基板の一方の表面に成膜された圧電薄膜部にのみ、上記電極部が被覆されていることを特徴とする請求項6に記載の圧電素子。
  8. 自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子が、筐体内部に設けられており、
    上記電荷が供給される信号線が、上記圧電素子に形成された貫通孔を通じて上記筐体外部に引き出されており、
    上記圧電素子は、
    表面に上記貫通孔が形成された金属製の基板と、
    上記電荷を発生するものであり、自身が上記信号線と離間されるように、上記貫通孔の少なくとも壁面を除く、上記基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、
    導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備えるものであり、
    上記信号線が上記貫通孔の壁面と接触されており、上記筐体が上記電極部と導通されており、上記基板と当該電極部とが上記圧電薄膜部により絶縁されていることを特徴とする圧電センサ。
  9. 上記貫通孔は、口径が上記信号線の直径よりも長い円孔部の壁面に、当該円孔部の壁面に対して垂直となる面における中心と、当該面における自身の先端部分との距離が、上記信号線の半径よりも短い突起部が形成された孔であることを特徴とする請求項8に記載の圧電センサ。
  10. 上記電極部は、金属箔電極部材により構成されており、
    上記金属箔電極部材は、
    上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面に被覆されている圧電薄膜被覆部と、
    上記圧電薄膜被覆部から突出して形成されており、上記圧電薄膜部が成膜された基板における一方の表面側から他方の表面側へと折り曲げられることで、上記金属箔電極部材自身を当該圧電薄膜部が成膜された基板に固定している突出部と、を有していることを特徴とする請求項8又は9に記載の圧電センサ。
  11. 上記突出部が、上記基板における他方の表面側に成膜された圧電薄膜部の全面もしくは略全面に被覆されていることを特徴とする請求項10に記載の圧電センサ。
  12. 上記金属箔電極部材を2枚有しており、
    上記2枚の金属箔電極部材におけるそれぞれの圧電薄膜被覆部は、上記圧電薄膜部が成膜された基板において、互いに異なる表面に被覆されており、かつ、
    上記2枚の金属箔電極部材の一方における突出部は、上記2枚の金属箔電極部材の他方における圧電薄膜被覆部に被覆されるように折り曲げられており、
    上記2枚の金属箔電極部材の他方における突出部は、上記2枚の金属箔電極部材の一方における圧電薄膜被覆部に被覆されるように折り曲げられていることを特徴とする請求項10に記載の圧電センサ。
  13. 自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生する圧電素子が、筐体内部に設けられており、
    上記電荷が供給される信号線が、上記圧電素子に形成された貫通孔を通じて上記筐体外部に引き出されており、
    上記圧電素子は、
    金属製の基板と、
    自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、自身が上記筐体と離間されるように、上記基板の少なくとも側面を除く、当該基板の全面に成膜されている圧電薄膜部と、
    導電性を有しており、上記圧電薄膜部に被覆されている電極部と、を備え、
    上記基板の表面、上記圧電薄膜部、及び上記電極部を貫通するように貫通孔が設けられており、
    上記貫通孔の壁面が、上記電極部からなっているものであり、
    上記信号線が上記電極部と導通されており、上記筐体が上記基板の側面と接触されており、当該基板と当該電極部とが上記圧電薄膜部により絶縁されていることを特徴とする圧電センサ。
  14. 上記圧電素子は、
    上記基板の一方の表面に成膜された圧電薄膜部にのみ、上記電極部が被覆されていることを特徴とする請求項13に記載の圧電センサ。
  15. 上記圧電素子が、上記筐体内部に複数個積層されていることを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載の圧電センサ。
  16. 表面に貫通孔が形成された金属製の基板と、自身に加えられた圧力に応じて電荷を発生するものであり、当該貫通孔を通じる信号線が当該基板と接触するように、当該基板に成膜されている圧電薄膜部と、を備える圧電素子の製造方法であって、
    上記貫通孔よりも大きな面を有する治具本体と、当該治具本体における貫通孔よりも大きな面から伸びており、上記貫通孔を通ずることが可能なワイヤ部材と、を備える治具を用意する第1の工程と、
    上記貫通孔の一端側から上記ワイヤ部材を挿入すると共に、上記治具本体に上記基板を載置して、当該基板を上記治具に装着する第2の工程と、
    上記ワイヤ部材を中空の蓋部材に挿入すると共に、当該蓋部材と上記治具本体とにより上記基板を圧着固定する第3の工程と、
    上記第3の工程により、上記基板を圧着固定した上記治具を、成膜装置に装着する第4の工程と、
    上記成膜装置により、上記基板に、上記圧電薄膜部を成膜する第5の工程と、を含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。
  17. 上記貫通孔の他端側から上記ワイヤ部材を挿入すると共に、上記治具本体に上記基板を載置して、当該基板を上記治具に装着する第6の工程と、
    上記第6の工程の後に、上記第3の工程〜上記第5の工程を順次実施する第7の工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の圧電素子の製造方法。
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