JP5843198B2 - 圧電素子およびその製造方法、ならびに圧電センサ - Google Patents
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Description
可視光において発光しないため、窒化ガリウムを発光デバイスとして用いるためのバッファ層として用いられており、窒化アルミニウムの圧電応答性を向上させる研究は、ほとんど行われていない。
(薄膜素子積層センサ1)
図1は、本発明における圧電センサの実施の一形態である薄膜素子積層センサ(圧電センサ)1の構成を示す断面図である。図1に示すように、薄膜素子積層センサ1は、筐体2の内部に、絶縁板31、信号線付電極4、絶縁板32、複数個(本実施の形態および後述する実施の形態では4個)の圧電素子5、および押し金具6が順次積層された構成である。
筐体2は、耐熱性に優れた金属により構成された、中空かつ一端が閉じた形状を有する部材、即ち、底面21を有する中空の部材である。なお、薄膜素子積層センサ1は、筐体2の底面21側から、例えば図示しないシリンダー(自動車等の内燃機関のシリンダー)に挿入されるものである。
絶縁板31、32は、例えば酸化アルミニウム(いわゆる、アルミナ)により構成されている。絶縁板31は、信号線付電極4を、筐体2と絶縁するために設けられている。また、絶縁板32は、信号線付電極4を、圧電素子5と絶縁するために設けられている。
信号線付電極4は、信号線41が引き出された電極層であり、圧電素子5から発生された電荷を、圧力検出信号として、信号線41を通じて伝達するものである。信号線付電極4から引き出された信号線41は、絶縁板32に形成された貫通孔8bと、圧電素子5の基板51に形成された貫通孔8aと、を通じて、薄膜素子積層センサ1の外部にまで引き伸ばされている。
圧電素子5は、インコネル等の耐熱性に優れた金属により構成される基板51に成膜された窒化アルミニウム(AlN)素子膜(圧電体薄膜)52に、金属箔電極(電極部、金属箔電極部材)53が被覆された構成である。
基板51には、信号線41を通すことが可能であるように、具体的には、貫通孔8aを通じた信号線41と基板51とが接触するように、貫通孔8aが形成されている。ここで、貫通孔8aの周囲の壁面18(以下、単に、貫通孔8aの壁面18という)については、少なくともAlN素子膜52が成膜されておらず、基板51が露出している(後述する露出部分54参照)。露出した貫通孔8aの壁面18は、貫通孔8aを通じる信号線41と接触しており、これにより、信号線41と基板51とを接触および導通させている。
AlN素子膜52は、圧電特性を有するものであり、外部からの圧力を受けることによって電荷を発生するものである。即ち、AlN素子膜52には、基板51から伝達される圧力に付随して、撓みが発生する。そして、この撓みに応じて、AlN素子膜52の内部には、圧縮応力および引張応力が発生する。この内部応力の働きによって、AlN素子膜52からは、電荷が発生される。こうして、AlN素子膜52は、圧力を受けることによって、その圧力に応じた電荷を発生する。なお、AlN素子膜52は、AlNを、スパッタリング法で成膜することが好ましい。
次に、AlN素子膜52の具体例について、図2および3を参照して以下に説明する。
図2に示すように、Sc含有窒化アルミニウム薄膜に含有されるスカンジウムの含有率を変化させることによって、Sc含有窒化アルミニウム薄膜の圧電応答性(圧電性)を向上させることができる。図2は、スカンジウムの含有率とSc含有窒化アルミニウム薄膜の圧電応答性との関係を示す図である。図2に示すように、スカンジウムの含有率が0%である場合に比べて、スカンジウムをわずかでも含有する場合は圧電応答性が向上している。具体的には、スカンジウムの含有率を0.5〜35原子%または40〜50原子%の範囲内とすることによって、Sc含有窒化アルミニウム薄膜の圧電応答性を向上させることができる。スカンジウムの含有率を上記範囲とすることによって、Sc含有窒化アルミニウム薄膜の圧電応答性は6〜24.6pC/N程度となる。一般的な窒化アルミニウム薄膜の圧電応答性は、5.1〜6.7pC/N程度であるため、スカンジウムの含有率を上記範囲内とすることによって、圧電応答性を1.4〜4倍程度向上させることができる。
圧電応答性のさらなる向上の観点によれば、スカンジウムの含有率は、40〜50原子%の範囲内であることが好ましい。図2に示すように、Sc含有窒化アルミニウム薄膜の圧電応答性は、スカンジウムの含有率が45原子%(Sc0.45Al0.55N)であるとき、最大値を示し(約24.6pC/N)、スカンジウムを含有しない窒化アルミニウムの圧電応答性の約4倍となる。なお、圧電応答性を最大とするスカンジウムの含有率は、測定条件などの条件により±5原子%程度の誤差を示す。
ここで、圧電素子5の一構成例について、図3を参照してより具体的に説明する。圧電素子5は、図3に示すように、基板51上にスカンジウムを含有した窒化アルミニウム薄膜(以下、Sc含有窒化アルミニウム薄膜とも称する)52を備えている。AlN素子膜52は、スカンジウムの原子数とアルミニウムの原子数との総量を100原子%としたとき、0.5〜50原子%の範囲内のスカンジウムを含有している。図3は、圧電素子5の概略断面図である。
基板51は、AlN素子膜52を変形することなく保持する。基板51の材質としては、特に限定されるものではなく、シリコン(Si)単結晶、またはSi単結晶などの基材の表面にシリコン、ダイヤモンドおよびその他の多結晶膜を形成したものを用いることができる。
AlN素子膜52は、スカンジウムを含む窒化アルミニウム薄膜であり、圧電応答性を有する。
次に、図4〜6を参照して圧電素子の変形例(圧電素子5b)について説明する。
図4に示すように、本実施形態に係る圧電素子5bは、基板51とAlN素子膜52との間に中間層9が形成されている。すなわち、圧電素子5bにおいて、AlN素子膜52は、基板51に中間層9を介して設けられている。基板51およびAlN素子膜52は実施形態1において説明したので、ここではその詳細な説明を省略する。したがって、本実施形態では、中間層9についてのみ以下に説明する。図4は、圧電素子5bの概略断面図である。
中間層9は、AlN素子膜52と相互作用を引き起こすために設けられている。中間層9の材質としては、AlN素子膜52および基板51の双方と相互作用を引き起こしやすい材質であることが好ましい。中間層9の材料としては、例えば、窒化チタン(TiN)、窒化スカンジウム(ScN)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、酸化ルテニウム(RuO2)、クロム(Cr)、窒化クロム、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)およびニッケル(Ni)などを用いることができる。
中間層9を備えている場合の圧電素子5bの圧電応答性の変化について、図5を参照して以下に説明する。図5は、中間層9を備えている場合のスカンジウムの含有率とAlN素子膜52の圧電応答性との関係を示す図である。
中間層9は、図6(b)〜(e)に示すように、AlN素子膜52と組成の異なるSc含有窒化アルミニウム薄膜としてもよい。中間層9として組成の異なるSc含有窒化アルミニウム薄膜を用いることにより、圧電素子5bの圧電応答性を向上させることができる。
次に、圧電素子5の製造方法の一実施形態について、図7を参照して以下に説明する。なお、Sc含有窒化アルミニウム薄膜は、圧電現象を利用した圧電素子に用いるのであれば、その具体的な用途は特に限定されるものではない。例えば、Sc含有窒化アルミニウム薄膜を備えている圧電体薄膜をSAWデバイスまたはRF−MEMSデバイスに利用することができる。また、本実施形態において、実施形態1と同一の用語は同一の意味として用いる。
スパッタリング工程において、アルミニウムのターゲット電力密度を7.9W/cm2の範囲内と固定した場合、スカンジウムのターゲット電力密度は、0.05〜6.5W/cm2または8.5〜10W/cm2の範囲内となる。
スパッタリング工程において、ターゲット電力密度を0.05〜6.5W/cm2または8.5〜10W/cm2の範囲内としたとき、基板温度を変化させることによって、AlN素子膜52の圧電応答性をさらに向上させることができる。基板温度とAlN素子膜52の圧電応答性との関係について図8に示す。
圧電応答性のさらなる向上の観点によれば、ターゲット電力密度は、上記範囲の中でも9.5〜10W/cm2の範囲内であることが好ましく、10W/cm2であることがより好ましい。図7に示すように、ターゲット電力密度を5〜10W/cm2の範囲内とすることによって、圧電応答性はより向上する。特に、ターゲット電力密度が10W/cm2であるとき、AlN素子膜52におけるスカンジウムの含有率は45原子%となり、圧電応答性が最大値(24.6pC/N)を示す。すなわち、ターゲット電力密度が10W/cm2である場合には、スカンジウムの含有率が45原子%であるときと同様の効果を得ることができる。
上記では、圧電素子5の製造方法について説明したが、圧電素子5bであっても同様の製造方法により製造することができる。
(スカンジウムを添加した窒化アルミニウム薄膜の作製方法)
シリコン基板に対して、窒素雰囲気下でアルミニウムおよびスカンジウムをスパッタリングし、シリコン基板上にSc含有窒化アルミニウム薄膜を作製した。スパッタリングの条件は、アルミニウムターゲット電力密度7.9W/cm2、スカンジウムターゲット電力密度0〜10W/cm2、基板温度580℃、窒素ガス濃度40%、およびスパッタリング時間4時間である。なお、ターゲット電力密度0Wとは、窒化アルミニウム薄膜にスカンジウムを添加していないことを示している。
Sc含有窒化アルミニウム薄膜の圧電応答性は、ピエゾメーターを用いて、加重0.25N,周波数110Hzによって測定した。
スカンジウムの代わりにマグネシウム(Mg)を用いて、ターゲット電力密度を0〜2W/cm2とした以外は、実施例1と同様の方法を用いて窒化アルミニウム薄膜を作製し、圧電応答性を測定した。
スカンジウムの代わりにホウ素(B)を用いて、ターゲット電力密度を0〜7.6W/cm2とした以外は、実施例1と同様の方法を用いて窒化アルミニウム薄膜を作製し、圧電応答性を測定した。
スカンジウムの代わりにケイ素(Si)を用いて、ターゲット電力密度を0〜1.5W/cm2とした以外は、実施例1と同様の方法を用いて窒化アルミニウム薄膜を作製し、圧電応答性を測定した。
スカンジウムの代わりにチタン(Ti)を用いて、ターゲット電力密度を0〜1.8Wとした以外は、実施例1と同様の方法を用いて窒化アルミニウム薄膜を作製し、圧電応答性を測定した。
スカンジウムの代わりにクロム(Cr)を用いて、ターゲット電力密度を0〜0.8W/cm2とした以外は、実施例1と同様の方法を用いて窒化アルミニウム薄膜を作製し、圧電応答性を測定した。
実施例1における測定結果は上記において説明したため、ここではその説明を省略する。比較例1〜5における測定結果を図10(a)〜(e)に示す。図10(a)〜(e)は、ターゲット電力密度と圧電応答性との関係を示す図であり、(a)は、マグネシウムを添加した場合であり、(b)はホウ素を添加した場合であり、(c)はケイ素を添加した場合であり、(d)はチタンを添加した場合であり、(e)はクロムを添加した場合である。
スカンジウムの含有量(以下、Sc含有量とも称する)を25原子%としたSc含有窒化アルミニウム薄膜における表面粗さを測定した。
Scを含有しない窒化アルミニウム薄膜(Sc含有量が0原子%である窒化アルミニウム薄膜)を用いた以外は、実施例2と同様の方法によって表面粗さを測定した。
Sc含有量を38原子%とした以外は、実施例2と同様の方法によって表面粗さを測定した。
Sc含有量を42原子%とした以外は、実施例2と同様の方法によって表面粗さを測定した。
実施例2および比較例6〜8における表面粗さの結果を図11(a)〜(d)に示す。図11(a)〜(d)は、実施例2および比較例6〜8における表面粗さを原子間力顕微鏡を用いて観察した図であり、(a)はSc含有量を25原子%とした場合であり、(b)はSc含有量を0原子%とした場合であり、(c)はSc含有量を38原子%とした場合であり、(d)Sc含有量を42原子%とした場合である。
次に、金属箔電極53は、導電性を有する材料、例えば銅からなる。金属箔電極53は、少なくとも、自身と筐体2とが導通するように、AlN素子膜52に被覆されている。例えば、金属箔電極53は、自身と筐体2とが接触するように、もしくは、押し金具6が筐体2と導通した状態で設けられている場合、自身と押し金具6とが接触するように、AlN素子膜52に被覆されている。これにより、金属箔電極53は、圧電素子5に設けられているAlN素子膜52と、筐体2とを導通している、即ち、金属箔電極53と筐体2とは導通している。
押し金具6は、薄膜素子積層センサ1の上部、即ち、筐体2の閉じていない他端側から、図示しない固定金具をねじ込むことで、絶縁板31、信号線付電極4、絶縁板32、および圧電素子5を筐体2内に圧着固定するためのものである。
信号線41と押し金具6との間は、例えばアルミナにより構成されている絶縁管7により絶縁されている。信号線41は、貫通孔8aにおける基板51の露出部分、即ち、貫通孔8aの壁面18と接触することで基板51と導通しているが、基板51と接触および導通する部分を除いては、他の部材と接触していない、もしくは、他の部材と絶縁されている。金属箔電極53は、筐体2と導通している。
本発明の別の実施の形態について図20に基づいて説明すると以下の通りである。
本発明の別の実施の形態について説明すると以下の通りである。
1:外径7mm、内径5mmであって、一端が閉じた円筒状の筐体に基準素子を1個だけ組み込んだ圧電センサ。
の各圧電センサについて、90ccのツーストロークエンジンに当該圧電センサを取り付け、約1500回転毎分でエンジンを運転した場合における出力および発生電荷を計測した。
次に、図21および22に基づき、本発明のさらに別の実施の形態である薄膜素子積層センサ(圧電センサ)20について説明すると以下の通りである。図21は、本実施形態の薄膜素子積層センサ20の構成を示す図である。なお、図21(a)は、薄膜素子積層センサ20の断面構造を模式的に示し、図21(b)は、薄膜素子積層センサ20が備える圧電素子5における突出部84に関し、ほぼ実際の縮尺に沿った断面構造の一例(突出部84a)を示し、図21(c)は、上記突出部の断面構造の他の一例(突出部84b)を示す。
図21(a)〜(c)に示すように、信号線41aの下端は、最も上側に配置する圧電素子5の突出部84、突出部84aまたは突出部84bに接触されているので、圧電体薄膜にて基板51側に発生した電荷を引き出すことが可能となっている。すなわち、複数枚の圧電素子5のそれぞれから発生された電荷は、圧力検出信号として、信号線41aを通じて伝達される。信号線41aは、薄膜素子積層センサ20の外部にまで引き伸ばされている。
圧電素子5は、インコネル等の耐熱性に優れた金属により構成される基板51に上述したAlN素子膜52に、金属箔電極53が被覆された構成である。
基板51には、貫通孔8aが形成され、さらに、この貫通孔8aの周囲の壁面18における貫通孔8aの一端側(上端側)から基板51の外側に向けて突出する突出部84、突出部84aまたは突出部84b(以下、これらの代表として突出部84を示して説明する)が、基板51に形成されている。また、貫通孔8aの周囲の壁面18および突出部84の表面には、AlN素子膜52が成膜されていない。なお、ねじ込みを考えなければ、貫通孔8aおよび突出部84は基板51の中心付近に有る必要はない。また、突出部84の形状は、以下で説明するように花弁状の形状を為している(図22(a)参照)が、突出部84の形状は、このような形状に限定されず、筒状に突出する筒形状であっても良い。筒形状の突出部の形状は、円筒形状であっても良く、また、多角筒形状などであっても良い。
次に、図22図(b)および(c)に基づき、基板51の突出部の形成方法の例について説明する。22図(b)は、突出部84aの形成方法の各工程における基板51の断面構造の変化の一例を示し、22図(c)は、突出部84bの形成方法の各工程における基板51の断面構造の変化の他の一例を示す。
次に、図24は、市販のセンサ(Kistler社製6001)と本実施形態の薄膜素子積層センサ20との出力波形の比較結果を示す。カッコ内の数値は発生電荷を示す。同図に示すように、本実施形態の薄膜素子積層センサ20は、市販品の約3倍の出力があり、かつ市販のセンサでは見えない波形の細かい変化まで明瞭に観察でき、感度が高いことが分かる。
本発明は、以下のように表現することもできる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
2 筐体
3、31、32 絶縁板
4 信号線付電極
5、5b 圧電素子
6 押し金具
7 絶縁管
8a、8b 貫通孔
9 中間層
18 壁面
28a 表面
28b 側面
41、41a 信号線
51 基板
52 AlN素子膜(圧電体薄膜)
53、53´ 金属箔電極(電極部、金属箔電極部材)
81 円孔部
82 突起部
83 先端部分
84、84a、84b 突出部
100 治具
101 管部(ワイヤ部材)
102 キャップ(蓋部材)
110 治具本体
531 孔部
532 環状部(圧電薄膜被覆部)
533、533´ 突出部(折曲突出部)
Claims (24)
- 貫通孔が形成された金属製の基板と、
上記貫通孔の周囲の壁面、または、上記基板における上記貫通孔の周囲の壁面の裏側に当たる面のいずれかを少なくとも除く、上記基板の全面に成膜されており、スカンジウムを含有する窒化アルミニウム薄膜からなる圧電体薄膜と、
導電性を有しており、上記圧電体薄膜の少なくとも一部を被覆している電極部と、を備え、
上記圧電体薄膜に含まれるスカンジウムの原子数とアルミニウムの原子数との総量を100原子%としたとき、上記スカンジウムの含有率が、0.5〜50原子%の範囲内であり、
上記壁面に対して略垂直方向に起立して花弁状の貫通孔を形成する複数の突起部が折り曲げられて上記基板の外側に向けて突出するように形成された複数の突出部が、上記基板に形成され、
上記突出部の表面に、上記圧電体薄膜が成膜されていないことを特徴とする圧電素子。 - 上記電極部は、上記基板における上記貫通孔の周囲の壁面の裏側に当たる面を少なくとも被覆していることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
- 上記電極部は、上記貫通孔の周囲の壁面の一部を少なくとも被覆していることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
- 上記貫通孔の周囲の壁面に対して略垂直方向に起立する突起部が、当該壁面に形成されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の圧電素子。
- 上記電極部は、金属箔電極部材により構成されており、
上記金属箔電極部材は、
上記圧電体薄膜が成膜された基板における一方の表面を被覆する圧電薄膜被覆部と、
上記圧電薄膜被覆部から突出して形成されており、上記圧電体薄膜が成膜された上記基板における一方の表面側から他方の表面側へと折り曲げられることで、上記金属箔電極部材を当該基板に固定している折曲突出部と、を有していることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の圧電素子。 - 上記折曲突出部が、上記基板における他方の表面側に成膜された圧電体薄膜の全面もしくは略全面を被覆していることを特徴とする請求項5に記載の圧電素子。
- 上記金属箔電極部材を2枚有しており、
上記2枚の金属箔電極部材におけるそれぞれの圧電薄膜被覆部は、上記圧電体薄膜が成膜された基板において、互いに異なる表面を被覆しており、かつ、
上記2枚の金属箔電極部材の一方における折曲突出部は、上記2枚の金属箔電極部材の他方における圧電薄膜被覆部を被覆するように折り曲げられており、
上記2枚の金属箔電極部材の他方における折曲突出部は、上記2枚の金属箔電極部材の一方における圧電薄膜被覆部を被覆するように折り曲げられていることを特徴とする請求項5に記載の圧電素子。 - 上記圧電体薄膜における上記スカンジウムの含有率が、0.5〜35原子%または40〜50原子%の範囲内であることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の圧電素子。
- 上記窒化アルミニウム薄膜は基板上に設けられており、上記窒化アルミニウム薄膜と上記基板との間には、少なくとも1層の中間層が設けられていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の圧電素子。
- 上記圧電体薄膜における上記スカンジウムの含有率が、15〜45原子%の範囲内であることを特徴とする請求項9に記載の圧電素子。
- 上記圧電体薄膜における上記スカンジウムの含有率が、10〜35原子%の範囲内であることを特徴とする請求項10に記載の圧電素子。
- 上記圧電体薄膜における上記スカンジウムの含有率が、40〜50原子%の範囲内であることを特徴とする請求項11に記載の圧電素子。
- 上記中間層は、窒化チタンまたはスカンジウムの含有率の異なる窒化アルミニウム薄膜であることを特徴とする請求項9または10に記載の圧電素子。
- 請求項2に記載の圧電素子を備えた圧電センサであって、
上記圧電素子を収容する導電性の筐体と、
一方の端子が上記筐体の外部に引き出され、他方の端子が上記貫通孔の周囲の壁面と接触させられた、導体からなる信号線と、を備え、
上記筐体が、上記基板における上記貫通孔の周囲の壁面の裏側に当たる面を被覆している上記電極部の部分と導通されており、上記基板と上記電極部とが上記圧電体薄膜により絶縁されていることを特徴とする圧電センサ。 - 請求項3に記載の圧電素子を備えた圧電センサであって、
上記圧電素子を収容する導電性の筐体と、
一方の端子が上記筐体の外部に引き出され、他方の端子が上記貫通孔の周囲の壁面の一部を被覆している上記電極部の部分と接触させられた、導体からなる信号線と、を備え、
上記筐体が上記基板の上記貫通孔の壁面の裏側に当たる面と導通されており、上記基板と上記電極部とが上記圧電体薄膜により絶縁されていることを特徴とする圧電センサ。 - 貫通孔が形成された金属製の基板と、
上記貫通孔の周囲の壁面、または、上記基板における上記貫通孔の周囲の壁面の裏側に当たる面のいずれかを少なくとも除く、上記基板の全面に成膜されており、スカンジウムを含有する窒化アルミニウム薄膜からなる圧電体薄膜と、
導電性を有しており、上記圧電体薄膜の少なくとも一部を被覆している電極部と、を備え、
上記圧電体薄膜に含まれるスカンジウムの原子数とアルミニウムの原子数との総量を100原子%としたとき、上記スカンジウムの含有率が、0.5〜50原子%の範囲内であり、
上記貫通孔の周囲の壁面における上記貫通孔の一端側から上記基板の外側に向けて突出する突出部が、上記基板に形成され、
上記突出部の表面に、上記圧電体薄膜が成膜されていない圧電素子を少なくとも2つ備えた圧電センサであって、
上記少なくとも2つの圧電素子を収容する導電性の筐体と、
一方の端子が上記筐体の外部に引き出され、他方の端子が上記2つの圧電素子のうちの一方の圧電素子の突出部と接触させられた、導体からなる信号線と、を備え、
上記2つの圧電素子のうちのもう一方の圧電素子の突出部が、上記一方の圧電素子の貫通孔に嵌挿されており、
上記筐体が上記電極部と導通されており、上記基板と上記電極部とが上記圧電体薄膜により絶縁されていることを特徴とする圧電センサ。 - 請求項1〜13のいずれか1項に記載の圧電素子の製造方法であって、
上記貫通孔よりも大きな面を有する治具本体と、当該治具本体における貫通孔よりも大きな面から伸びており、上記貫通孔を通ずることが可能なワイヤ部材と、を備える治具を用意する第1の工程と、
上記貫通孔の一端側から上記ワイヤ部材を挿入すると共に、上記治具本体に上記基板を載置して、当該基板を上記治具に装着する第2の工程と、
上記ワイヤ部材を中空の蓋部材に挿入すると共に、当該蓋部材と上記治具本体とにより上記基板を圧着固定する第3の工程と、
上記第3の工程により、上記基板を圧着固定した上記治具を、成膜装置に装着する第4
の工程と、
上記成膜装置により、上記基板に、上記圧電体薄膜を成膜する第5の工程と、を含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。 - 上記貫通孔の他端側から上記ワイヤ部材を挿入すると共に、上記治具本体に上記基板を載置して、当該基板を上記治具に装着する第6の工程と、
上記第6の工程の後に、上記第3の工程から上記第5の工程までを順次実施する第7の工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の圧電素子の製造方法。 - 上記第5の工程は、少なくとも窒素ガスを含む雰囲気下で、アルミニウムと、スカンジウムとを同時にスパッタリングするスパッタリング工程を含み、かつ、上記スパッタリング工程における上記スカンジウムの電力密度が、0.05〜10W/cm2の範囲内であることを特徴とする請求項17または18に記載の圧電素子の製造方法。
- 上記スパッタリング工程における上記スカンジウムの電力密度が、0.05〜6.5W/cm2または8.5〜10W/cm2の範囲内であることを特徴とする請求項19に記載の圧電素子の製造方法。
- 少なくとも窒素ガスを含む雰囲気下で、アルミニウムと、スカンジウムとを同時にスパッタリングするスパッタリング工程を含み、
上記スパッタリング工程の前に、上記基板上に中間層を形成する中間層形成工程をさらに含み、上記スパッタリング工程における上記スカンジウムの電力密度が、0.05〜10W/cm2の範囲内であることを特徴とする請求項19に記載の圧電素子の製造方法。 - 上記スパッタリング工程における上記電力密度が、2〜6.5W/cm2の範囲内であることを特徴とする請求項20に記載の圧電素子の製造方法。
- 上記スパッタリング工程における上記電力密度が、9.5〜10W/cm2の範囲内で
あることを特徴とする請求項20に記載の圧電素子の製造方法。 - 上記スパッタリング工程における上記基板の温度が20〜600℃の範囲内であることを特徴とする請求項19から23のいずれか1項に記載の圧電素子の製造方法。
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