JP2000103012A - 加飾セラミック体 - Google Patents

加飾セラミック体

Info

Publication number
JP2000103012A
JP2000103012A JP10357986A JP35798698A JP2000103012A JP 2000103012 A JP2000103012 A JP 2000103012A JP 10357986 A JP10357986 A JP 10357986A JP 35798698 A JP35798698 A JP 35798698A JP 2000103012 A JP2000103012 A JP 2000103012A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
ceramic substrate
decorative
ceramic body
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10357986A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsunobu Otani
光伸 大谷
Hideaki Urata
英昭 浦田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP10357986A priority Critical patent/JP2000103012A/ja
Publication of JP2000103012A publication Critical patent/JP2000103012A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 彫刻の深さを任意に制御でき、しかも彫刻の
深さに応じた明瞭なコントラストを得ることが可能な材
料を使用して、表情が豊かで立体感のある図柄模様を有
する加飾セラミック体を提供することを課題とする。 【解決手段】 上記の課題は、少なくとも2個以上の層
から成り、しかも隣接する各層の融点が異なる積層セラ
ミック基板の上面に、図柄模様が彫刻された加飾セラミ
ック体において、前記積層セラミック基板を構成する一
の層は、前記積層セラミック基板を構成する他の層に対
して、色差が3以上になるように色分けされており、前
記図柄模様は、前記積層セラミック基板の上面の表面光
沢度に差を設けることによって、および/または、前記
積層セラミック基板の下層を露出することによって、お
よび/または、前記積層セラミック基板に貫通穴を設け
ることによって、表現されていることを特徴とする加飾
セラミック体とすることによって解決されることを見い
だした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層セラミック基
板の表面に絵、模様および文字等の図柄模様が彫刻され
た加飾セラミック体に関し、さらに詳しくは比較的薄い
積層セラミック基板に、立体感のある図柄模様が彫刻さ
れた加飾セラミック体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、機械的彫刻方法(例えば、手
彫り、研磨、彫刻、サンドブラスト法およびウォーター
ジェット法などが挙げられる)、または化学的彫刻方法
(例えばフッ化水素酸などの薬品を使用する方法が挙げ
られる)を採用して、ガラス、石材およびセラミック体
等の材料に図柄模様を彫刻する方法が知られている。し
かしながら、墓石や石碑に使用されている石材や陶磁器
板のように従来の材料は、その厚さ方向における硬度や
色等の物性がほぼ均一であった。従って、このような材
料は、彫刻の深さの制御が難しく、また彫刻部分と非彫
刻部分との間のコントラストが不明瞭であった。その結
果、比較的厚い材料を使用しても立体感のある図柄模様
を表すことは難しく、場合によっては彫刻部分に絵の具
で色付けして図柄模様を表現せざるを得なかった。
【0003】そこで、彫刻の深さに応じた明瞭なコント
ラストを得るために、各層が色分けされた複数層から成
るガラス材や、例えば特開平6−304917号に記載
のような着色層を上面に有する素焼きセラミック板が開
発されている。しかしながら、このような材料も、各層
の硬度が実質的には同一であるため、彫刻の深さの制御
が困難であり、所望の色の層を露出させて設計通りの図
柄模様を表現することは実際には不可能であった。
【0004】一方、陶磁器板の上面に釉薬層を有するタ
イルは、陶磁器板と釉薬層との硬度が異なるため、釉薬
層だけを除去して図柄模様を表すことが可能である。し
かしながら、釉薬層を除去して得られるコントラストは
僅かであり、より立体感のある図柄模様を表すためには
この陶磁器板の内部まで彫り下げる必要があるが、この
陶磁器板の硬度は厚さ方向に均一であるため、彫刻の深
さを制御できない。なお、上記のタイルにおいて比較的
厚い釉薬層を設けて明瞭なコントラストを得ようとする
試みもあるが、釉薬層が厚くなると釉薬層と陶磁器板と
の適合性が悪くなって、ノゲや貫入といった問題が発生
してしまう。また、特公昭61−50752号には、厚
さ方向に硬度が異なる陶磁器板をサンドブラストする発
明が記載されているが、この発明に記載の陶磁器板が有
する厚さ方向の硬度差は焼成過程において不規則に生じ
るものであるため、この硬度差を利用して彫刻の深さを
制御することは不可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、彫刻
の深さを任意に制御でき、しかも彫刻の深さに応じた明
瞭なコントラストを得ることが可能な材料を使用して、
表情が豊かで立体感のある図柄模様を有する加飾セラミ
ック体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者は上記の課題
を解決すべく種々検討を重ねた結果、少なくとも2個以
上の層から成り、しかも隣接する各層の融点が異なる積
層セラミック基板の上面に、図柄模様が彫刻された加飾
セラミック体において、前記積層セラミック基板を構成
する一の層は、前記積層セラミック基板を構成する他の
層に対して、色差が3以上になるように色分けされてお
り、前記図柄模様は、前記積層セラミック基板の上面の
表面光沢度に差を設けることによって、および/また
は、前記積層セラミック基板の下層を露出することによ
って、および/または、前記積層セラミック基板に貫通
穴を設けることによって、表現されていることを特徴と
する加飾セラミック体とすることによって解決されるこ
とを見いだした。以下に本発明を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の加飾セラミック体を構成
する積層セラミック基板は、少なくとも2個以上の層か
ら成り、しかも隣接する各層が有する融点は異なってい
る。一般的に、融点が異なると硬度も異なるため、上記
のような積層セラミック基板は、厚さ方向に硬度が異な
っており、この硬度の差を目印として彫刻の深さを制御
できる。例えば、低硬度の層から高硬度の層に彫り進む
場合、これらの層の境界面において急激に彫刻速度が低
下するため、作業者はこの彫刻速度の低下を感知して、
彫刻の深さを調節できる。本発明においては、隣接する
各層が有する融点の差は、特には限定されないが、10
oC以上、更には20 oC以上、最適には30 oC以上
になっていることが好ましい。また、本発明において、
積層セラミック基板を構成する各層の積層数は特に限定
されないが、好ましくは、2層または3〜8層が積層一
体化されている。層数が上記の範囲にある積層セラミッ
ク基板を使用することによって、多彩な図柄模様を表現
できる。なお、高強度で寸法安定性が良く耐久性のある
加飾セラミック体を作製するという観点からは4〜8層
が好ましい。なお、本発明において、融点とは被焼成物
を加熱する際において被焼成物が焼結・収縮して吸水率
がゼロになる下限加熱温度であり、この温度は被焼成物
と同じ熱履歴を受けたリファサーモの指示温度として測
定される。なお、リファサーモとは、(財)ファインセ
ラミックセンター(名古屋市熱田区穴野2丁目4─1)
で製作されている標準物質であり、共通熱履歴センサー
として窯業分野で広く使用されている。
【0008】また、上記の積層セラミック基板は、隣接
する各層の融点が異なることに加えて、磁器質層、セッ
器質層および陶器質層から成る群から選択される2種ま
たは3種のセラミック層が積層一体化されたものである
ことが好ましい。この場合、積層セラミック基板におけ
る磁器質層、セッ器質層または陶器質層の位置は、特に
限定されず、任意に設計できる。なお、「磁器質」と
は、吸水率測定法(JISA5209−1994)によ
って測定した場合に、吸水率が1%以下であるセラミッ
クを意味する。なお、本発明では、釉薬層も磁器質層に
含まれる。また、「セッ器質」とは、同法によって測定
した場合に、吸水率が1〜5%であるセラミックを意味
する。また、「陶器質」とは、同法によって測定した場
合に、吸水率が5〜22%であるセラミックを意味す
る。
【0009】本発明の積層セラミック基板を構成する各
層の厚さは任意であるが、好ましくは0.1〜5mm、よ
り好ましくは0.3〜3mm、さらに好ましくは0.5〜
2mmである。上記の厚さを有する層が積層一体化された
積層セラミック基板を使用することによって、薄型の加
飾セラミック体を作製できる。なお、上層に位置する釉
薬層(磁器質層)の厚さは、0.1〜2.0mm、更には
0.2〜1.0mm、最適には0.3〜0.8mmであるこ
とが好ましい。釉薬層の厚みを上記の範囲に設定するこ
とによって、ノゲや貫入(クラック)を防止でき、しか
も後述する再焼成処理を行う場合には安定にエッジを丸
めることができる。また、上層の釉薬層をその他の層よ
りも薄くすると、積層セラミック基板が反りにくくな
る。なお、積層セラミック基板を構成する各層の厚さは
同じである必要はない。
【0010】また、本発明においては、積層セラミック
基板を構成する一の層は、積層セラミック基板を構成す
る他の層に対して、色差が3以上、好ましくは6以上に
なるように色分けされている。更に、好ましくは、前記
一の層は、それに隣接する層に対して、色差が3以上、
好ましくは6以上になるように色分けされている。また
更に、好ましくは、前記一の層は、積層セラミック基板
の上層になっている。上記のように色分けされた積層セ
ラミック基板は、各層の色の変化を目印としながら、彫
刻の深さを制御でき、しかも、これによって所望のコン
トラストを有する図柄模様を設計通りに表現できる。こ
こで、色差とはCIE(国際照明委員会)が定めたCI
E(1976(L* a ** ))表色系による下記の色
差式で定義されているものである。
【0011】
【化1】
【0012】本発明の加飾セラミック体においては、積
層セラミック基板の上面における表面光沢度に差を設け
ることによって、および/または、積層セラミック基板
の下層を露出することによって、および/または、積層
セラミック基板に貫通穴を設けることによって、図柄模
様が表現されている。なお、本発明の加飾セラミック体
の図柄模様における表面光沢度は、彫刻によって低下す
る場合が多いが上昇させてもよい。上記の表面光沢度の
差は、入射角60°の鏡面光沢度測定法(JISZ87
41−1983)によって測定した場合に、10%以
上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以
上になっていることが好ましい。なお、積層セラミック
基板の上面の表面光沢度に差を設けても、さらにその上
面に釉薬層を形成すると、表面光沢度の差は減少または
消滅する。従って、表面光沢度の差によって図柄模様を
表現する場合には、上層に磁器質層が位置する積層セラ
ミック基板を使用することが好ましい。このような積層
セラミック基板を使用すると、図柄模様を形成した後に
さらに釉薬層を設けなくても、耐久性のある加飾セラミ
ック体が得られる。
【0013】本発明においては上記のような積層セラミ
ック基板の製造方法は特に限定されないが、好ましくは
抄造法又は抄紙法によって作製されている。この抄造法
および抄紙法とは、陶磁器原料の微粉末、溶剤、顔料お
よび添加剤などを混合して調製したスラリーを、長網、
丸網またはメーキングロールなどで漉して乾燥して紙状
またはシート状の未焼成シートを得た後に、所定枚数の
未焼成シートを積層して、ローラーハースなどの焼成炉
において焼結して積層セラミック基板を作製する方法で
ある。これらの方法は、上記のように未焼成シートを積
層して焼成するため、所望の厚さ、色調、吸水率、層
数、形状および硬度を有する積層セラミック基板を作製
できる。なお、積層セラミック基板を作製する際のロー
ラーハースの焼成温度は、1000 oC以上、より好ま
しくは1150 oC〜1210 oC以上であることが好
ましい。これによってアルカリ成分が少なくアルミナ成
分が多く、耐磨耗性で耐薬品性を有する積層セラミック
基板を得ることができる。なお、通常、抄造法によって
作製した積層セラミック基板は各層の厚さが1〜5mm程
度であり、抄紙法によって作製した積層セラミック基板
は各層の厚さが0.2〜2mm程度である。なお、本発明
の積層セラミック基板は、上記の抄造法または抄紙法に
よって作製されたものに限定されず、例えばドクターブ
レード法によって作製された積層セラミック基板であっ
てもよい。また、抄造法または抄紙法などによって予め
作製した基板の上に、更に釉薬やガラス製のマットまた
はネットなどを載せて再焼成して釉薬層(磁器質層)を
一体化したものも本発明の積層セラミック基板に含まれ
る。また、上記のように本発明において作製される積層
セラミック基板は、製造方法が限定されないことに加
え、その形状も特に限定されない。従って、積層セラミ
ック基板は平面形状のみならず任意の形状(例えば曲
面)を有するものが使用される。
【0014】本発明の加飾セラミック体を作製するため
の彫刻手段としては、サンドブラスト法、ウォータージ
ェット法およびルーター法等の機械的彫刻手段が採用さ
れる。また、必要に応じてフッ化水素酸などによる化学
的彫刻手段が併用されてもよい。なお、本発明における
彫刻手段としては、設備の簡便性、生産性および取り扱
い易さ等の観点からサンドブラスト法が好ましい。サン
ドブラストに際しては、粒子の材質、粒度および形状
や、彫刻時間を変更することによって、所望の図柄模様
を得ることができる。また、サンドブラスト法は、彫刻
部分における表面光沢度を低下させるため、所望の表面
光沢度の差を容易に作り出せる。
【0015】上記の彫刻手段を実施する前には予め非彫
刻部分をマスキングフィルムで覆う。本発明の加飾セラ
ミック体を作製するにあたって使用するマスキングシー
トとしては、シリコーン系離型剤またはデキストリンな
どの水溶性高分子を塗布した離型紙上にウレタン樹脂や
アスファルトをスクリーン印刷したものが好ましい。こ
のマスキングシートは通常、熱転写または水中転写(水
中で離型紙から剥離したマスキングフィルムを被転写面
に載せた後に乾燥する方法)によって積層セラミック基
板上に転写される。上記のマスキングシートは、抄造法
や抄紙法で作製した積層セラミック基板のような多数の
小さな凹凸を有するセラミック基板との密着性が良く、
しかも安価である。また、樹脂分の破断伸び率を100
%以上にするとサンドブラストに対するクッション性が
高くなる。また、液体ゾルや細かい気泡を樹脂分に5〜
50体積%含ませると破断伸び率を大きくなる。なお、
このマスキングフィルムは、ガラス表面のサンドブラス
トのマスクフィルム(マスクスクリーン)としてよく用
いられる光硬化(UV硬化)樹脂でもよい。
【0016】また本発明においては上記のようにして図
柄模様を形成した後に、積層セラミック基板を構成する
各層が有する融点の違いを利用して、特定の層(一の
層)に形成された図柄模様のエッジのみを選択的に除去
することが可能である。このようなエッジの選択的除去
は、積層セラミック基板を構成する一の層が有する融点
以上の温度において再焼成することによって達成され
る。再焼成温度は、前記一の層が有する融点以上の温度
であれば特に限定されないが、エッジの除去を希望しな
い層が存在する場合や溶融すると不都合な層が存在する
場合には、その層が有する融点未満の温度であって前記
一の層が有する融点以上の温度で再焼成される。例え
ば、再焼成に使用される電気炉中のセッターに積層セラ
ミック基板の最下層が溶融して固着するのを防止するた
めには、最下層が有する融点未満の温度で積層セラミッ
ク基板は再焼成される。なお、再焼成によってエッジが
除去されるのは、溶融したセラミックが表面張力によっ
て凝集するためと考えらる。
【0017】実施例 次に本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。 実施例1 図1は、本発明に従って作製した加飾セラミック体であ
り、上層、第2層、第3層および裏面層から成る積層セ
ラミック基板1(基板No.1)の上面に図柄模様が形
成されている。この加飾セラミック体は次のようにして
作製した。まず、抄紙法によって作製されたセラミック
基板1(東レ株式会社製の東レ大型磁器板)を用意し
た。そして、このセラミック基板をダイヤモンドカッタ
ーで所定の大きさ(200mm角)に切断した。このセラ
ミック基板の構成および物性等を表1に示す。なお、表
1に示す各層の色差は、上層に対する色差であり、ミノ
ルタカメラ(株)製の色彩色差計CR300を使用して
測定された。次に、セラミック基板の上面に所定のマス
キングを施した。このマスキングに際しては、シリコー
ン系離型剤を塗布した離型紙上にウレタン樹脂がスクリ
ーン印刷されたマスキングシートを使用した。このマス
キングシートの印刷面を上記のセラミック基板の上面に
重ね合わせて熱プレス(140 oC、圧力0.3kg/
cm2 、1分間)し、そして冷却して離型紙を剥離し
た。次に、上記の基板No.1〜3に対して不二製作所
株式会社製のサンドブラスト装置を使用してSiCのサ
ンドによってサンドブラスト処理を行った。本発明にお
いては立体感の図柄模様を有する加飾セラミック体1を
作製するために、下記の(a)〜(e)の深さに彫り分
けた。即ち、(a)彫刻しない非彫刻部分(この部分の
表面光沢度は50%であった)、(b)上記の非彫刻部
分(a)に対して約0.1〜0.6mm彫り下げた部分
(この部分の表面光沢度はゼロであった)、(c)上記
の非彫刻部分(a)に対して約0.7〜1.9mm彫り下
げて、第2層を露出させた部分(この部分の表面光沢度
はゼロであった)、(d)上記の非彫刻部分(a)に対
して約2.0〜3.2mm彫り下げて、第3層を露出させ
た部分(この部分の表面光沢度はゼロであった)、
(e)上記の非彫刻部分(a)に対して約3.3〜3.
5mm彫り下げて、第4層を露出させた部分(この部分の
表面光沢度はゼロであった)、および(f)第4層を貫
通させて透かし模様にした部分に彫り分けた。その後マ
スキングを剥離した。また、上記の(b)〜(e)の部
分に対して、必要に応じて研磨して表面光沢度を20%
に増加させた部分(g)を設けてもよい。最後に、上記
の加飾セラミック体の縁端部を金の微粒子および金塩を
含む溶液に浸して熱処理を行って、金の縁取りを設け
た。この加飾セラミック体1は、所望の配色で立体感の
ある図柄模様を有しており、シャープな印象を与える。
また、この加飾セラミック体1は耐水性および耐候性を
有していた。
【0018】実施例2 基板No.1にかえて表1に記載の物性を有する基板N
o.2を使用した点を除いては、実施例1と同様にして
加飾セラミック体2を作製した。この加飾セラミック体
2は、傾斜的な色差を有するため、所望の配色で彫刻の
深さに応じた奥行き感のある図柄模様を有しており、シ
ャープな印象を与える。また、この加飾セラミック体2
は耐水性および耐候性を有していた。
【0019】実施例3 基板No.1にかえて上層が吸水率10%の陶器質層で
ある基板No.3を使用した点を除いては、実施例1と
同様の加飾セラミック体3を作製した。この加飾セラミ
ック体3は、所望の配色で立体感がある図柄模様を有し
ており、シャープな印象を与えるが、加飾セラミック体
1に比較して耐水性および耐候性が低かった。従って、
この加飾セラミック体3を、屋外等に展示する場合に
は、上面にハードコート((株)常磐電気製のFJ80
3)をスプレーしてから展示するとよい。これによっ
て、耐水性および耐候性は向上する。
【0020】実施例4〜6 実施例1〜3で得た加飾セラミック体1〜3に対して更
に再焼成処理を施して加飾セラミック体4〜6を得た。
再焼成処理は、電気炉中において行い、最高温度が11
80 oCであり、この最高温度での保持時間を10分と
した。加飾セラミック体4および5は、上層および第3
層のエッジが除去され、しかも上層および第3層の表面
には光沢が付与されていた。これらの加飾セラミック体
4および5は、所望の配色で立体感がある図柄模様を有
している点では加飾セラミック体1および2と共通して
いるが、コントラストが抑えられた柔らかく暖かい印象
を与える点で加飾セラミック体1および2と相違してい
た。また加飾セラミック体4および5は耐水性および耐
候性はあった。加飾セラミック体6は、第2層のエッジ
のみが選択的に除去された。また第2層は光沢も増加し
た。なお、再焼成を行った加飾セラミック体4〜6で
は、(a)と(b)の彫刻深さの部分では表面光沢度の
差は無くなった。従って、再焼成を行う場合には、少な
くとも第2層を露出させておくことが好ましい。
【0021】実施例7 基板No.4を使用した。この基板No.4は上層が釉
薬層になっている。この積層セラミック基板は、抄造法
によるセラミック基板(東レ(株)製の東レ大型磁器
板)の上面に、釉薬紙を張り付けた後に800 oCで焼
成して、釉薬層を一体化させたものである。本実施例の
図柄模様は小犬であり、彫刻深さは0.5mmまでであっ
た。図柄模様を彫刻した後に所定部分に黄色の釉薬を塗
布することによって色付けを行った。その後、再焼成処
理を行って加飾セラミック体7を作製した。この再焼成
処理は電気炉中において行われ、最高温度が800 o
であり、この最高温度での保持時間を20分とした。こ
の加飾セラミック体7は、上層のエッジのみが除去され
ており、幼児用の玩具として使用される。
【0022】実施例8 基板No.1の上面に、「藤娘」、その説明文および前
記説明文に対応する点字から成る図柄模様を実施例1と
同様に彫刻した後に再焼成処理を行って加飾セラミック
体8を作製した。この再焼成処理は最高温度1180 o
Cで実施例4と同様に行った。図柄模様上の第1層と第
3層のエッジが除去され、しかもそれらの層の表面には
光沢が付与されており、また点字部分の触り心地も滑ら
かで快適であった。なお、さらに再焼成処理後に、図柄
模様上に顔料層や着色したアクリル樹脂層を塗布形成し
て更に彩色してもよい。
【0023】実施例9 7枚の基板No.1を用意した。七福神の各神様の図柄
模様を実施例1と同様にして各基板に彫刻した。再焼成
は最高温度1180 oCで行ったため、上層と第3層の
エッジのみが除去された。また上層と第3層には光沢も
付与された。再焼成に引き続き、彫刻を施した図柄模様
上の適当な部分に、金、白金、銀または銅などの金属お
よび/または顔料を含む釉薬、ガラスフリットまたはラ
スター釉を塗布して加熱処理を施したところ、七宝焼の
ような焼き上がりになった。最後に各基板の側端部を接
着剤で接着すると、七福神が立体的に並んでいるように
見える加飾セラミック体9が得られた(図2)。
【0024】実施例10 基板No.2を使用した。彫刻を行う前に基板の4隅を
サンダーで削って角を落としておいた。そして実施例1
と同様に図柄模様を彫刻した。そして山型の凸部を有す
るセッター上に基板を載置して、基板を構成する全ての
層の溶融温度よりも高温の1250 oCで再焼成処理を
行ったところ、全ての層のエッジが除去され、全体的に
光沢が付与され、しかも再焼成後の基板は少し湾曲して
おり、そのまま立てることができる(図3)。
【0025】実施例11 基板No.5を使用した。第2層を露出するように図柄
模様を彫刻した。この彫刻後に、850 oCにおいて再
焼成を行った。第1層のエッジが除去されて、非常に落
ちついた印象の図柄模様に仕上がった。
【0026】実施例12 基板No.5に代えて基板No.6を使用した。第2層
を露出するように図柄模様を彫刻した。この彫刻後に、
1180 oCにおいて再焼成を行った。第1層のエッジ
が除去されて、非常に落ちついた印象の図柄模様に仕上
がった。なお、この積層セラミック基板の裏面層は陶器
質層であり、吸水率が高いため、裏面層に接着剤を塗布
することによって本発明の加飾セラミック体を所定の場
所に接着配備することができる。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明によると、加飾セラミック体の彫
刻の深さが正確に制御される。従って、所望の配色で立
体感がありシャープな印象の図柄模様を有する加飾セラ
ミック体が作製できる。また、積層セラミック基板の上
層が磁器質である場合には、更に釉薬処理を行わなくて
も耐久性および耐薬品性のある加飾セラミック体を得る
ことができることに加えて、上面の表面光沢度の差によ
っても図柄模様を表すことが可能である。また、図柄模
様を彫刻した後に再焼成処理を行うと、彫刻部分のエッ
ジは除去されて光沢も付与されることによって柔らかく
暖かい印象を与える加飾セラミック体が作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の加飾セラミック体の断面図である。
【図2】 本発明の加飾セラミック体の一実施例を示す
図である。
【図3】 本発明の加飾セラミック体の一実施例を示す
図である。
【符号の説明】
1 加飾セラミック体 2 積層セラミック基板 3 図柄模様 11 上層 12 第2層 13 第3層 14 裏面層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2個以上の層から成り、しか
    も隣接する各層の融点が異なる積層セラミック基板の上
    面に、図柄模様が彫刻された加飾セラミック体におい
    て、前記積層セラミック基板を構成する一の層は、前記
    積層セラミック基板を構成する他の層に対して、色差が
    3以上になるように色分けされており、前記図柄模様
    は、前記積層セラミック基板の上面の表面光沢度に差を
    設けることによって、および/または、前記積層セラミ
    ック基板の下層を露出することによって、および/また
    は、前記積層セラミック基板に貫通穴を設けることによ
    って、表現されていることを特徴とする加飾セラミック
    体。
  2. 【請求項2】 前記積層セラミック基板は、磁器質層、
    セッ器質層および陶器質層からなる群から選択される少
    なくとも2種以上の層を積層一体化したものであること
    を特徴とする請求項1に記載の加飾セラミック体。
  3. 【請求項3】 前記積層セラミック基板の上層は、磁器
    質層であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    加飾セラミック体。
  4. 【請求項4】 前記積層セラミック基板を構成する一の
    層は、前記一の層に隣接する層に対して、色差が3以上
    になるように色分けされていることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の加飾セラミック体。
  5. 【請求項5】 前記積層セラミック基板を構成する各層
    の厚さは0.1〜5mmであることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の加飾セラミック体。
  6. 【請求項6】 前記積層セラミック基板は、前記図柄模
    様を表現した後に、さらに前記積層セラミック基板を構
    成する一の層が有する融点以上の温度で再焼成を行うこ
    とによって、前記一の層に形成されたエッジが選択的に
    除去されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1項に記載の加飾セラミック体。
JP10357986A 1998-07-29 1998-12-16 加飾セラミック体 Pending JP2000103012A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10357986A JP2000103012A (ja) 1998-07-29 1998-12-16 加飾セラミック体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21387498 1998-07-29
JP10-213874 1998-07-29
JP10357986A JP2000103012A (ja) 1998-07-29 1998-12-16 加飾セラミック体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000103012A true JP2000103012A (ja) 2000-04-11

Family

ID=26520022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10357986A Pending JP2000103012A (ja) 1998-07-29 1998-12-16 加飾セラミック体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000103012A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2006001334A1 (ja) * 2004-06-24 2008-04-17 京セラ株式会社 積層型電子部品及びこれを用いた噴射装置
CN105667191A (zh) * 2016-01-29 2016-06-15 夏树丽 一种陶瓷板书画的制备方法
WO2017169905A1 (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 株式会社ノリタケカンパニーリミテド セラミック装飾用の赤絵具

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2006001334A1 (ja) * 2004-06-24 2008-04-17 京セラ株式会社 積層型電子部品及びこれを用いた噴射装置
CN105667191A (zh) * 2016-01-29 2016-06-15 夏树丽 一种陶瓷板书画的制备方法
WO2017169905A1 (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 株式会社ノリタケカンパニーリミテド セラミック装飾用の赤絵具
JPWO2017169905A1 (ja) * 2016-03-30 2019-02-07 株式会社ノリタケカンパニーリミテド セラミック装飾用の赤絵具
US11130872B2 (en) 2016-03-30 2021-09-28 Noritake Co., Limited Red paint for ceramic decoration
US11674043B2 (en) 2016-03-30 2023-06-13 Noritake Co., Limi Ted Red paint for ceramic decoration

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN110372416B (zh) 一种多维度装饰原边木纹陶瓷砖及其制备方法
RU2716672C2 (ru) Керамическая плитка и способ изготовления керамических плиток
FR2460784A1 (fr) Stratifie decoratif et son procede de fabrication
WO2005046993A2 (en) Printing surface preparation methods and apparatus incorporating same
JP2001097762A (ja) 建築仕上げ材用陶板および製造方法
KR100994133B1 (ko) 문양이 삽입된 유리 제품 및 이의 제조 방법
JP2000103012A (ja) 加飾セラミック体
CN108472986A (zh) 带有纹理的瓷砖
CZ296707B6 (cs) Zpusob výroby sklenených dlazdic, sklenených bordur, sklenených dekoracních panelu a jim podobných sklenených výrobku
CN208346055U (zh) 陶瓷砖
JP5474693B2 (ja) 白磁用鉄結晶窯変調転写紙、鉄結晶窯変調模様を有する陶磁器の製造方法、および鉄結晶窯変調模様を有する陶磁器
CA2095493A1 (en) Method of applying a ceramic image to a complex ceramic article and the resulting article
JP3169581B2 (ja) 陶磁器の厚盛釉薬転写による厚盛加飾方法と、1000℃〜1200℃以上の温度による高温焼成による厚盛加飾用の厚盛釉薬転写紙
US9409312B2 (en) Durable earthenware engraving process
JP3065922U (ja) 陶磁器と転写紙のセット
KR20100017034A (ko) 장식용 타일의 제작방법 및 이에 의해 제작된 장식용 타일
JP4393026B2 (ja) 点字や触知図のための凹凸を有し色模様が表現された表示板、及びその製造方法
KR100330914B1 (ko) 석재 표면의 문양 형성용 인쇄 잉크, 석재 표면의 문양 형성방법 및 이 방법에 의해 제조된 석재
JPH1148694A (ja) 熱転写紙およびこれを使用した装飾セラミック体の製造方法
JP2004123421A (ja) 陶磁器用濃青色系装飾釉
JPS5869787A (ja) 装飾品
CN113998993B (zh) 一种精雕仿石瓷抛砖及制备方法
GB2262913A (en) Improvements in or relating to decoration of ceramic ware
JP2002274984A (ja) 装飾陶磁器及び転写紙
JP6200191B2 (ja) 厚盛加飾陶磁器の製造方法。