JP4393026B2 - 点字や触知図のための凹凸を有し色模様が表現された表示板、及びその製造方法 - Google Patents

点字や触知図のための凹凸を有し色模様が表現された表示板、及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、点字や触知図のための凹凸を有し色模様が表現された表示板、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
掲示や説明、標識、地図案内等のために使用される表示板は、その表面に表現された文字や図柄等の情報を視覚を通じて伝達する。
しかし、近年のバリアフリー化の進展に伴い、視覚障害者にもこうした情報を同時に伝えるため、文字等が表現された表示面上に点字が形成された表示板も増えている。
【0003】
文字等と点字を同時に表現した初期の表示板では、表示板の表示面を2つの部分に分け、晴眼者向けの文字等と視覚障害者向けの点字とを別々の部分に表現したものが多かった。
しかし、このような表示板では、晴眼者には視覚障害者用の点字の部分が、また視覚障害者にとっては晴眼者向けの文字等が表現された部分が、それぞれ何ら情報を発しないいわゆる無駄なスペースとなってしまうため、表示面全体を有効に使えない欠点があった。
【0004】
しかも、晴眼者向けの文字等が大半を占め、点字用のスペースが小さくなる傾向が強かったため、どうしても視覚障害者に対して情報が十分に伝わらない不都合が生じていた。
こうした事態を打開する方法として、近年、文字等と点字を別々のスペースに分けずに同一の表示面に重ねて表現する方法が開発された。
【0005】
具体的には、例えば、ステンレス鋼板やセラミック板等の平板の表面に文字や図柄等を描いておき、その上から透明樹脂や透明釉薬等を付与してその一部を盛り上げて点字を形成する方法等が知られている。
こうした方法であれば、晴眼者には文字や図柄等の情報を、また視覚障害者には点字情報を、それぞれ表示面全体を使って発信することが可能となる。
ところが、このような表示板では、点字用に盛り上げた透明層がレンズのごとく光を屈折させるため、点字直下の文字や図柄等が見る角度によって歪んだり湾曲して見えるという問題が生じている。
【0006】
図8に、このような表示板の概略断面図を示す。
表示板100は、平板基板101の表面に文字や図柄等102を有色樹脂等で描き、その上に透明樹脂等103が付与されて形成される。
そして、透明樹脂等103の一部を盛り上げることにより点字104が形成されている。
【0007】
このように表示板を形成すれば、晴眼者は透明樹脂等103を通して平板基板101上の文字や図柄等102を視認でき、また同時に、視覚障害者は透明樹脂等を盛り上げた点字104に触れることで情報を得ることができる。
しかし、このような表示板では、図からも分かるように、点字104が凸レンズのごとく光を屈折させるため、点字直下の文字等が見る角度によって歪んだり湾曲して見えてしまうのである。
【0008】
凹凸がある所に文字や図柄等が描かれれば確かに文字等は歪んで見えるが、通常、晴眼者はこうした歪みを無意識のうちに修正し、苦もなくその文字や図柄等の意味を理解できるのである。
ところが、上記のようにレンズのごとく光が屈折して歪んだ文字や図柄等は、見るからに違和感を与え、即座に修正のきかない不自然な歪みとして認識されることが多い。
従って、こうした表示板は、折角文字等と点字とを同一表示面に表現可能にしたにもかかわらず、結局文字等と点字を別々の部分に表現せざるを得ず、表示面全体を有効に使えないという従来の問題を解消できなかった。
【0009】
一方、視覚障害者に伝達すべき情報は、今日では、もはや点字という文字情報にとどまらず、物の形状や構造、位置関係、高低差等の種々の立体情報や立体模様も求められるようになった。
しかし、従来の表示板において透明樹脂等でこうした高低や段差等を表現すると、やはり上記と同様のレンズ効果で文字等が不自然に歪んでしまう。
しかも、立体的に表現したくても、樹脂や釉薬だけでは必ずしも高さを十分には表現し切れない欠点があった。
【0010】
また、視覚障害者にとっては、観光地等では川や池、谷などの、また都市空間においては段差や下り階段などの低地の危険箇所も多い。
しかし、従来の表示板では、こうした低地を表現する表示面の凹みを必ずしもはっきりとは表現できず、そうした危険情報の伝達の点では不満足なものであった。
【0011】
以上の点を考慮すれば、表示板は、第一に、文字等と点字とを同一の表示面上に表現できるものである必要がある。
そして、視力障害者にも明確に立体情報を伝達できるように、凹凸を的確に表現できるものでなければならない。
更に、晴眼者に対しては、従来のようなレンズ効果による不自然で不必要な文字等の歪みや湾曲が排除された表示板でなければならない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実情を背景に、上記の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明の目的は、凹凸が的確にはっきりと表現でき、しかも文字や図柄等の不自然な歪みや湾曲を排除した表示板及びその製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して、鋭意研究を重ねた結果、表示板の基板に予め凹凸を形成しておき、それを着色してその表面に薄く透明釉薬層を形成することにより、光の屈折による不自然な像の歪みが事実上解消できること、更に元となる表示板に他の表示板を重ね合わせ、又は表示板に形成した穴を別途用意した表示板で裏面から塞ぐように接着することで、より明確に凹凸を表現できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0014】
即ち、本発明は、(1)、厚さが0.3〜0.5mmの点字用凸部が形成された基板と、前記基板及び前記点字用凸部上に積層された釉薬顔料よりなる厚さが25〜70μmの印刷層と、前記基板、前記点字用凸部及び前記印刷層上に積層された厚さが25〜50μmの透明釉薬層と、を備える表示板に存する。
【0015】
そして、(2)、前記基板は、ホーロー加工ステンレス鋼板、セラミック加工ステンレス鋼板又はセラミック板よりなる表示板に存する。
【0016】
そしてまた、(3)、前記凸部は、有色釉薬より形成されている表示板に存する。
【0018】
そしてまた、()、貫通した穴が設けられた表示板の裏面から、該穴を塞ぐように別途形成された表示板を接着することにより形成されている表示板に存する。
【0019】
そしてまた、()、前記透明釉薬層の表面に、酸化チタン微粒子が固着している表示板に存する。
【0020】
そしてまた、(6)、基板に厚さが0.3〜0.5mmの点字用凸部を形成する凸部形成工程と、転写紙上に釉薬顔料よりなる印刷層を形成する印刷層形成工程と、その上に透明釉薬層を形成する透明釉薬層形成工程と、透明釉薬層が形成された印刷層を転写紙より剥がし点字用凸部が形成された側の基板に貼り付ける貼付工程と、透明釉薬層及び印刷層を貼り付けられた基板を焼成して焼き固める焼成工程と、を有し、前記透明釉薬層形成工程において、更に形成した透明釉薬層の上からポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂又はポリアミド樹脂をカバーコートする表示板の製造方法に存する。
【0022】
そしてまた、()、前記貼付工程の後、印刷層及び透明釉薬層を貼り付けられた基板を真空に引く抜気工程を有する表示板の製造方法に存する。
【0023】
そしてまた、()、前記焼成工程の後、透明釉薬層に酸化チタン微粒子を含有するバインダを塗布することにより酸化チタン微粒子を付与し、該バインダを焼失させ同時に透明釉薬層に酸化チタン微粒子を固定させるため再度焼成する表示板の製造方法に存する。
【0025】
そしてまた、()、前記凸部形成工程の前に、予め基板に貫通した穴を形成しておき、前記各工程を経て形成された穴開きの表示板の裏面から、該穴を塞ぐように別途形成した表示板を接着させて凹部を形成する表示板の製造方法に存する。
【0026】
本発明はこの目的に沿ったものであれば、上記1〜5の中から選ばれた2つ以上、及び6〜の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も当然採用可能である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の点字や触知図のための凹凸を有し色模様が表現された表示板について述べる。
先述したように、視覚障害者に伝達する立体情報は、物や場所の形状や構造、模様、位置関係、高低差、広狭など種々の形態をとるが、ここではそれらをまとめて触知図という。
因みに、触知図は、当然、晴眼者にも立体的な情報を伝達しうるものである。
また、晴眼者に対する文字や図柄等をまとめて色模様という。
【0028】
本発明の表示板は、予め基板に点字用凸部や触知図用凸部を形成しておき、その上に印刷層(着色層)や透明釉薬層をごく薄く積層することに特徴がある。
このように形成することにより、従来問題となっていた透明釉薬層等によるレンズ効果の影響は無視できる程度に抑えられ、屈折による文字や図柄等の不自然な歪みを防止できるのである。
【0029】
図1に、本発明の表示板の概略断面図を示す(便宜的に基板の厚さに比べて印刷層及び透明釉薬層の厚さを実際よりも分厚く示している)。
表示板1は、点字用凸部3や触知図用凸部4が形成された基板2をベースとし、その上に極薄い釉薬顔料よりなる印刷層5と透明釉薬層6が積層されて、点字7及び触知図8が形成される。
この際、点字7の高さは通常0.3〜0.5mmが標準とされているのに対して、後述するように、透明釉薬層6の厚さは25〜50μm程度と非常に薄く積層されるため、レンズ効果による光の屈折は事実上解消されるのである。
【0030】
表示板1の基板2には、ステンレス鋼板やセラミック板等がよく使用される。ステンレス鋼板は、防錆性や耐久性に優れ、1〜3mm程度の薄さでも十分な強度を有する利点があり、中でも、施釉し易いホーロー加工又はセラミック加工等がなされたステンレス鋼板が好ましく使用される。
【0031】
セラミック板は、表面の加工が容易で、点字用等の凸部を基板と一体的に形成することが可能であり、深く広い凹部も比較的容易に形成できる利点を有する。
また、施釉して焼成すれば陶磁器様の趣きを呈する。
しかし、後述する方法で凹凸を形成することも可能であることは言うまでもない。
【0032】
点字用凸部3や触知図用凸部4は、通常、釉薬や樹脂等により形成されることが多い。
中でも釉薬は、セラミック板は勿論、ステンレス鋼板のホーロー加工やセラミック加工との結合性がよいため好ましく使用され、いわゆるガラス質のSiO2成分を主成分とする釉を使用すれば、耐摩耗性や耐候性等に優れた表示板とすることが可能となる。
【0033】
釉薬は、調製の仕方により高さを1mm程度にまで盛り上げることができるので、比較的容易に基板表面に凹凸を付けることができる。
また、ここで用いられる釉薬は、印刷層のキャンバスとして機能するように、基板2と同色の有色釉薬が好ましく用いられる。
【0034】
印刷層5は、無機顔料等と釉薬を混ぜ合わせた釉薬顔料を使用する。
釉薬顔料は、重ね合わせても滲まないため多色刷りが可能で、鮮明な画面が得られる利点がある。
透明釉薬層6は、上記のガラス質の釉を使用すれば、透明で表面を滑らかにすることができる。
【0035】
更に、この透明釉薬層の表面に、酸化チタン微粒子を固着させておくと、その光触媒作用により透明釉薬層の表面に付着した汚れ(主に有機物)が効率良く酸化され分解される。
従って、表示板の表面の自浄機能として働き、表示板の表面がクリーンに保たれるのである。
【0036】
さて、本発明の表示板は、別途形成した表示板と重ね合わせることにより、明確な高低差を有する凹凸を形成することも可能である。
図2は、このようにして凹凸を形成した本発明の表示板の概略断面図である。
表示板1は、元となる表示板1aの表面に、別途形成した表示板1bを、後述するように接着又は螺着することにより、より高さのある凸部を形成することができる。
【0037】
また、予め元となる表示板1aに形成しておいた貫通した穴を塞ぐように、別途形成した表示板1cを裏面から接着することにより、深さのある凹部9を形成することができる。
従って、基板のステンレス鋼板やセラミック板の厚さを適宜選択することにより、凸部の高さや凹部の深さを思い通りに表現することが可能となる。
そして、例えば、表示板1cの表面に点字7で川や池などの危険箇所であることを明記しておけば、より確実に視覚障害者に注意を喚起できる。
また、当然、晴眼者に対しても一目瞭然に高低を表現できるのである。
【0038】
次に、以上のような特徴を有する本発明の表示板の製造方法について述べる。
〔凸部形成工程〕
先述したように、セラミック板の表面を加工して点字用等の凸部を形成する場合は、通常行われる加工方法が採用可能であり、その説明は省略する。
ここでは、基板に釉薬を付与して、点字や触知図の元となる点字用凸部や触知図用凸部を形成する工程について述べる。
【0039】
まず、釉薬を基板表面の所定の位置に付与する。
具体的には、例えば、基板と同色になるように適宜調製した有色釉薬を通常のスクリーン印刷により基板表面に付与する。
ここで、高さ(厚さ)が必要な部分には、釉薬を何回かに分けてスクリーン印刷を行い、高さを確保する。
【0040】
次に、それを自然乾燥させた後、釉薬の組成に合わせて600〜900℃程度で焼成し焼き固める。
以上で凸部を有する基板が完成する(図3参照)。
【0041】
〔印刷層形成工程〕
この工程は、釉薬顔料を用いて印刷層を形成して色模様を表現する工程である。
印刷層を上記凸部を有する基板に直接形成していく方法もあるが、必ずしも十分的確に、すなわち基板に対して全くずれることなく印刷層を形成できるとは言い難い。
そこで、ここでは転写紙を用いて予め印刷層等を形成しておいて、後から上記凸部を有する基板に貼り付ける方法を紹介する。
【0042】
図4は、転写紙上に形成された印刷層を示す概略図である。
この工程においては、表面にレジストリン等の剥離剤が塗布された転写紙10を用意し、その表面上に適宜調製した釉薬顔料をスクリーン印刷等により付与して印刷層5を形成する。
印刷層5は、視覚障害者が出来上がった表示板に触れた際に凸部として認識されないように、またある程度の重ね刷りが可能なように、25〜70μm程度の厚さに付与するのが好ましい。
【0043】
〔透明釉薬層形成工程〕
次に、このように転写紙上に形成した印刷層の上から、転写紙の全面を覆うように透明釉薬を塗布して透明釉薬層を形成する。
その方法は、上記と同様にスクリーン印刷にて行えばよく、また、先述したように非常に薄く塗布する。
【0044】
実験によれば、25〜50μm程度の厚さに付与すれば、光の屈折は事実上無視できるため、印刷層で表現された色模様の不自然な歪みを排除できることが分かっている。
また、この程度の厚さに塗布すれば、十分な耐摩耗性や耐候性等が得られ、印刷層の摩耗や色落ちを防止することができるのである。
【0045】
〔樹脂によるカバーコート〕
さて、このように転写紙上に形成した印刷層と透明釉薬層とを、上記凸部形成工程で凸部を形成した基板に貼り付けるのであるが、その前に、転写紙上の透明釉薬層等の上に樹脂を塗布して樹脂によるカバーコートを形成しておくと、全体がシート状にまとまり、後の貼り付け作業を行い易くなる。
【0046】
この樹脂のカバーコートは、本来出来上がった表示板には不必要なものであるため、後述する焼成工程において、全て焼失するものでなければならない。
そのため、比較的容易に焼失し、焼失に際し透明釉薬層等に影響を残さないポリウレタン樹脂やポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂等が好ましく採用される。樹脂コートの厚さは、適宜決められるが、通常、50〜200μm程度の厚さに塗布するのが好ましい。
カバーコートが完了したら、全体を自然乾燥させてゲル化させる。
【0047】
〔貼付工程〕
この工程は、樹脂のカバーコートを付した印刷層及び透明釉薬層(これらをまとめてシートと呼ぶ)を、転写紙から剥がし、凸部を形成した基板に貼り付ける工程である。
図5は、この過程を模式的に示した図である。
【0048】
まず、自然乾燥により適度にゲル化したシート12を転写紙10から剥がす。先述したように、転写紙10の表面にレジストリンが塗布されていれば、レジストリンに水を与えながら剥がすようにすると、シート12を容易に剥離することができる。
そして、剥離したシート12を、貼り付け位置を適宜調節しながら凸部が形成された基板2に貼り付ける。
【0049】
〔抜気工程〕
こうしてシートを貼り付けた基板を焼成して本発明の表示板が完成するのであるが、基板をそのまま焼成すると、透明釉薬層の表面に細かな多数のクレーター状の穴が生じ易い。
これは、印刷層や透明釉薬層またはシートと基板の間などに残っていた余分な水分や空気が、焼成の熱により気化又は膨張し、溶融状態の透明釉薬層の表面から細かな泡が噴き出すことが原因である。
【0050】
こうした余分な水分や空気を除去するため、上記工程でシートが貼付された基板を、焼成前に一旦真空中で引く(抜気する)とよい。
こうすることにより、余分な水分や空気がシートや基板とシートの間などから除去される。
【0051】
〔焼成工程〕
このようにして余分な水分や空気を抜かれたシート付き基板を焼成し、焼き固めて表示板を完成させる工程である。
焼成は、上記の凸部形成工程と同様の通常の炉で行えばよく、凸部を形成するのに用いた有色釉薬がへたらない温度(600〜850℃程度)で焼成するようにする。
【0052】
〔酸化チタン微粒子の固定〕
先述したように、この透明釉薬層の表面に酸化チタン微粒子を固定しておくと、その光触媒作用により透明釉薬層の表面に付着した汚れ(主に有機物)が効率良く酸化・分解されるので、より好ましい。
酸化チタン微粒子の固定は、酸化チタン微粒子を含有するバインダを透明釉薬層の表面に塗布し、表示板を再度焼成することにより行われる。
【0053】
酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンがよく使用され、また平均粒子径が数nm程度と極めて小さいため、触媒効率が非常に高く、汚染物質の分解のみならず、その酸化力により殺菌作用をも有する。
バインダとしては、焼成により焼失し易く、しかも酸化チタン微粒子を包み込み安定した状態に保持する粘調液、例えばアクリル酸重合体部分中和物が好ましく採用される。
【0054】
さて、酸化チタンの固定方法は、具体的には、酸化チタン微粒子を含有するバインダを透明釉薬層の表面に塗布し、透明釉薬層の表面が溶融し始める温度よりやや高い550〜630℃程度の温度で焼成する。
バインダは、通常300〜400℃程度で焼失してしまい、残った酸化チタン微粒子が溶融し始めた透明釉薬層の表面に付着し固定されるのである。
【0055】
酸化チタンの光触媒作用は、通常、酸化チタン含有バインダを1回塗布・焼成すれば十分効果が得られるが、その作用効果をより高めたい場合には、2、3回塗布・焼成を繰り返し、透明釉薬層表面の酸化チタンの密度を増すとよい。
また、複数回塗布・焼成を繰り返すと、いわゆるラスター現象(虹色化)の防止にもつながる。
しかし、バインダを一度に分厚く塗布すると、酸化チタンが固定した透明釉薬層の表面にクラック(ひび割れ)等が生じることがあり注意を要する。
以上のようにして、本発明の表示板が完成する(図6参照)。
【0056】
〔別途形成した表示板を用いた凹凸の形成〕
さて、本発明の表示板は、同様にして別途形成した表示板と重ね合わせることにより、凹凸をより明確にすることが可能となることは先述した通りである(図2参照)。
【0057】
ここで、凸部となる別の表示板1bは、本発明の表示板(即ち元となる表示板1a)と同様に形成する。
そして、元となる表示板1aの所定の位置に接着剤で貼り付ける。
また、より頑丈に貼り付けたい場合には、別の表示板1bの裏面にスタッドボルトを形成し、元の表示板1aに螺着する方法が有効である。
【0058】
図7は、別の表示板の裏面にスタッドボルトを形成し、元の表示板に螺着する状態を示した図である。
すなわち、別途形成した表示板1bの裏側にボルト体を熔接してスタッドボルト13を形成し、元の表示板に形成した貫通穴14を通してナット15で螺着する。
【0059】
この際、基板がステンレス鋼板であれば、熔接等でボルト体を容易に取り付けることができる利点がある。
ボルト体の熔接は、当然、別の表示板1bの形成前に行ってもよい。
また、基板がセラミック板の場合でも、裏板となるステンレス等の金属板にボルト体を熔接し、その裏板をセラミック板の裏面に接着することにより、元となる表示板に螺着して頑丈に貼り付けることができる。
【0060】
一方、凹部9(図2参照)を形成するには、先述したように、予め元となる表示板1aに形成した貫通した穴を塞ぐように、別途形成した表示板1cを裏面から接着すればよい。
この際、表示板1aを形成後に穴を形成すると、穴の縁の部分には透明釉薬層等が形成されていないので、長期間風雨に曝されると、透明釉薬層等と基板の間に水が浸入するなどして、表示板の品質低下につながる。
【0061】
そのため、元の表示板1aの貫通した穴は、上記凸部形成工程の前に、予め基板の所定の位置に穴を貫通させておくのが好ましい。
別の表示板1cも、本発明の表示板(元の表示板1a)と同様に形成し、穴の裏側から穴を塞ぐように貼着するのである。
【0062】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の変形例が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記の実施形態においては、ステンレス鋼板やセラミック板を基板とした場合について述べたが、ステンレス以外の金属板など焼成に耐え得るものであれば、当然採用可能である。
また、本発明の表示板の製造方法は、樹脂を用いた表示板の製造方法等にも応用可能なことは言うまでもない。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、文字や図柄等と点字を同一の表示面に重ねて表現可能な表示板を提供できる。
しかも、凹凸が的確にはっきりと表現でき、しかも文字や図柄等の不自然な歪みや湾曲を極力排除した表示板とすることが可能となる。
更に、透明釉薬層の表面に酸化チタン微粒子を固定させれば、その光触媒作用による自浄機能を有し、表面が常にクリーンに保たれる表示板を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の表示板を示す概略断面図である。
【図2】図2は、別途形成した表示板と重ね合わせて凹凸を形成した表示板を示す概略断面図である。
【図3】図3は、凸部が形成された基板を示す概略図である。
【図4】図4は、転写紙上に形成された印刷層を示す概略図である。
【図5】図5は、シートを転写紙から剥がし凸部を形成した基板に貼り付ける過程を模式的に示した図である。
【図6】図6は、完成した本発明の表示板を示す斜視図である。
【図7】図7は、別の表示板の裏面にスタッドボルトを形成して元の表示板に螺着する状態を示した図である。
【図8】図8は、文字等と点字を同一の表示面に重ねて表現した従来の表示板を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…表示板
1a…元となる表示板
1b…別途形成した表示板
1c…別途形成した表示板
2…基板
3…点字用凸部
4…触知図用凸部
5…印刷層
6…透明釉薬層
7…点字
8…触知図
9…凹部
10…転写紙
11…樹脂
12…シート
13…スタッドボルト
14…貫通穴
15…ナット
100…表示板
101…平板基板
102…文字や図柄等
103…透明樹脂等
104…点字

Claims (9)

  1. 厚さが0.3〜0.5mmの点字用凸部が形成された基板と、
    前記基板及び前記点字用凸部上に積層された釉薬顔料よりなる厚さが25〜70μmの印刷層と、
    前記基板、前記点字用凸部及び前記印刷層上に積層された厚さが25〜50μmの透明釉薬層と、
    を備えることを特徴とする表示板。
  2. 前記基板は、ホーロー加工ステンレス鋼板、セラミック加工ステンレス鋼板又はセラミック板よりなることを特徴とする請求項1記載の表示板。
  3. 前記凸部は、有色釉薬より形成されていることを特徴とする請求項1記載の表示板。
  4. 貫通した穴が設けられた請求項1記載の表示板の裏面から、該穴を塞ぐように別途形成された表示板を接着することにより形成されていることを特徴とする表示板。
  5. 前記透明釉薬層の表面に、酸化チタン微粒子が固着していることを特徴とする請求項1記載の表示板。
  6. 基板に厚さが0.3〜0.5mmの点字用凸部を形成する凸部形成工程と、
    転写紙上に釉薬顔料よりなる印刷層を形成する印刷層形成工程と、
    その上に透明釉薬層を形成する透明釉薬層形成工程と、
    透明釉薬層が形成された印刷層を転写紙より剥がし点字用凸部が形成された側の基板に貼り付ける貼付工程と、
    透明釉薬層及び印刷層を貼り付けられた基板を焼成して焼き固める焼成工程と、
    を有し、
    前記透明釉薬層形成工程において、更に形成した透明釉薬層の上からポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂又はポリアミド樹脂をカバーコートすることを特徴とする表示板の製造方法。
  7. 前記貼付工程の後、印刷層及び透明釉薬層を貼り付けられた基板を真空に引く抜気工程を有することを特徴とする請求項6記載の表示板の製造方法。
  8. 前記焼成工程の後、透明釉薬層に酸化チタン微粒子を含有するバインダを塗布することにより酸化チタン微粒子を付与し、該バインダを焼失させ同時に透明釉薬層に酸化チタン微粒子を固定させるため再度焼成することを特徴とする請求項6記載の表示板の製造方法。
  9. 前記凸部形成工程の前に、予め基板に貫通した穴を形成しておき、前記各工程を経て形成された穴開きの表示板の裏面から、該穴を塞ぐように別途形成した表示板を接着させて凹部を形成することを特徴とする請求項6記載の表示板の製造方法。
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