JP2004158494A - 積層型圧電アクチュエータおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層型圧電アクチュエータ10は、圧電セラミックス層11と内部電極12a・12bとが交互に積層され、内部電極12a・12bが一層おきに接続された構造を有する。圧電セラミックス層11において内部電極12a・12bの外周部分の近傍に位置する部分に、マンガン、鉄、クロム、タングステンから選ばれた1以上の成分を他の部分よりも多く含ませて、内部電極12a・12bの外周部分(領域A)の変位量を、この領域Aの内側から外側に向かって連続的に小さくする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電セラミックスの厚み縦変位(d33モード)を利用した積層型の積層型圧電アクチュエータおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電セラミックスの厚み縦変位(d33モード)を利用した電気/機械変換素子たる積層型圧電アクチュエータは、ミクロンオーダーでの変位量制御が可能であり、発生力が大きい等の特徴を有することから、精密加工装置や光学装置等の位置決め機構に使用されている。
【0003】
積層型圧電アクチュエータとしては、図9に示す積層コンデンサ型構造の積層型圧電アクチュエータ200が知られている。図9(a)はその概略断面図であり、積層型圧電アクチュエータ200は、圧電セラミックス層201と内部電極202a・202bとが交互に積層され、内部電極202a・202bは対向する側面に一層おきに露出した構造を有している。内部電極202aが露出している側面において内部電極202aは外部電極203aによって接続され、内部電極202bが露出している側面において内部電極202bは外部電極203bによって接続されている。
【0004】
図9(b)は内部電極202a・202bの典型的なパターンを重ねて示した説明図である。積層型圧電アクチュエータ200では、内部電極202a(右上がり斜線部分)と内部電極202b(右下がり斜線部分)との重なり部分が圧電活性部となり、内部電極202a・202bの一方のみが位置する部分および内部電極202a・202bが位置しない部分(つまり積層型圧電アクチュエータ200の周縁部分)が圧電不活性部となる。このような積層型圧電アクチュエータ200を駆動すると、圧電活性部の変位に起因して圧電活性部と圧電不活性部との間に発生する応力が、積層型圧電アクチュエータ200の破壊に至らしめることが知られている。
【0005】
積層型圧電アクチュエータ200のこのような欠点を解消するために、内部電極を全体に設け、側面に露出した内部電極を一層おきに絶縁膜で覆い、絶縁膜の上から外部電極を設けることによって、内部電極が一層おきに接続された全面電極構造や、圧電不活性部において圧電セラミックス層に内部電極と平行にスリットを形成し、このスリットによって圧電活性部と圧電不活性部との間に発生する応力を緩和する応力緩和型構造が提案されていることは、当業者によく知られた事実である。
【0006】
しかしながら、全面電極型構造の積層型圧電アクチュエータは、製造工程が複雑であり、かつ、圧電セラミックス層の厚みを薄くすることが困難である等の問題を有している。また、応力緩和型構造の積層型圧電アクチュエータについても、圧電セラミックス層の厚みを薄くすることが困難であるという問題がある。これに対して、積層型圧電アクチュエータ200は、積層コンデンサの製造工程をそのまま用いることができるために、生産性の面において優れているために、圧電セラミックス層の厚みを薄くすることが容易であるという利点を有している。
【0007】
そこで、例えば、特開平11−341838号公報には、基本的には積層コンデンサ型構造を有するが、内部電極のパターンを調整することによって、応力緩和を図る積層型圧電アクチュエータが開示されている。図8(a)は、特開平11−341838号公報に開示されている積層型圧電アクチュエータ210(特開平11−341838号公報に示されている符号と異なる符号を用いるが、その構造に変わりはない)の概略断面図であり、図8(b)は、積層型圧電アクチュエータ210の内部電極212a・212bパターンを重ねて示した説明図である。
【0008】
積層型圧電アクチュエータ210は、圧電セラミックス層211と内部電極212a・212bとが交互に積層された構造を有し、隣り合う2面の側面に一層おきに内部電極212aが露出し、内部電極212aが露出していない他の隣り合う2面の側面に内部電極212bが露出した構造を有する。内部電極212aは露出した側面において外部電極213aによって接続され、内部電極212bは露出した側面において外部電極213bによって接続されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−341838号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8(b)を見れば明らかなように、対角に位置する2つの領域Sは、内部電極212a・212bのどちらも存在しない圧電不活性部となる。この領域Sは内部電極212a・212bが重なり合う圧電活性部と接しているために、積層型圧電アクチュエータ210を駆動させると、これらの境界部分で大きな応力が発生し、積層型圧電アクチュエータ210が破壊に至るおそれがある。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、応力破壊し難い耐久性に優れた積層型圧電アクチュエータを提供することを目的とする。また、本発明は、生産性に優れた積層型圧電アクチュエータの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、圧電セラミックス層と内部電極とが交互に積層され、前記内部電極が一層おきに接続されてなる積層型圧電アクチュエータであって、
前記内部電極の外周部分の変位量が前記外周部分の内側から外側に向かって連続的に小さくなっていることを特徴とする積層型圧電アクチュエータ、が提供される。
【0013】
本発明の積層型圧電アクチュエータは、積層コンデンサ型構造の積層型圧電アクチュエータに内部電極のパターンを問わず広く適用される。圧電セラミックス層において内部電極の外周部分の近傍に位置する部分には、マンガン、鉄、クロム、タングステンから選ばれた1以上の成分が他の部分よりも多く含まれており、d33モードの圧電特性が小さくなっている。つまり、本発明の積層型圧電アクチュエータにおいて「内部電極の外周部分の変位量が外周部分の内側から外側に向かって連続的に小さくなっている」ことは、内部電極の外周部分と内部電極の中央部分とでは圧電セラミックス層の圧電特性が異なっていることに起因する。このような圧電アクチュエータにおいては、圧電活性部と圧電不活性部との境界部で発生する応力が小さくなるために、破壊し難く、耐久性に優れる。
【0014】
本発明はこのような積層型圧電アクチュエータの製造方法を提供する。すなわち本発明によれば、圧電セラミックス層と内部電極とが交互に積層され、前記内部電極が一層おきに接続されてなる積層型圧電アクチュエータであって、
圧電セラミックスの粉末をシート成形する工程と、
前記シート成形工程により得られたグリーンシートに、電極ペーストを所定のパターンで塗布する工程と、
前記電極ペーストの塗布処理の前後いずれかにおいて、前記電極ペーストの塗布パターンの外周部分に、前記圧電セラミックスの圧電特性を低下させる添加物を含有するペーストを塗布する工程と、
前記各ペーストが塗布されたグリーンシートを所定枚数積層し、一体化し、焼成する工程と、
を有することを特徴とする積層型圧電アクチュエータの製造方法、が提供される。
【0015】
添加物は、炭酸マンガン、酸化マンガン、酸化鉄、酸化クロム、酸化タングステンから選ばれた1または複数の成分であることが好ましいが、圧電セラミックスのd33モードの変位量を低下させる成分であれば、これらに限定されない。このような積層型圧電アクチュエータの製造方法は、積層コンデンサの製造工程と変わりないために生産性がよく、製品の低コスト化が容易である、また、圧電セラミックス層を薄くすることも容易である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1(a)は、本発明の積層型圧電アクチュエータの一実施形態を示す概略断面図である。積層型圧電アクチュエータ10は、圧電セラミックス層11と内部電極12a・12bとが交互に積層され、内部電極12a・12bは対向する側面に一層おきに露出した積層コンデンサ型の構造を有している。内部電極12aが露出している側面において内部電極12aは外部電極13aによって接続され、内部電極12bが露出している側面において内部電極12bは外部電極13bによって接続されている。
【0017】
図1(b)は内部電極12a・12bの電極パターンを重ねて示した説明図である。積層型圧電アクチュエータ10では、内部電極12a・12bは、それぞれ外部電極13a・13bと接続される部分のみが側面に露出している。このような構造とすることにより、耐湿性が高められる。
【0018】
圧電セラミックス層11としてはd33モードでの駆動特性に優れるチタン酸ジルコン酸鉛系の圧電セラミックスが、内部電極12a・12bとしては銀/パラジウム電極が、外部電極13a・13bとしては銀電極が、それぞれ好適に用いられる。
【0019】
図1(a)に示される領域Aは内部電極12a・12bの外周部分であり、領域Bは、内部電極12a・12bの中央部分である。圧電セラミックス層11において領域Aに含まれる部分(圧電セラミックス層11において内部電極12a・12bの外周部分の近傍に位置する部分)には、マンガン、鉄、クロム、タングステンから選ばれた1以上の成分が他の部分(つまり、圧電セラミックス層11において領域Bに含まれる部分や圧電セラミックス層11の周縁部分)よりも多く含まれている。これらの成分を含んだチタン酸ジルコン酸鉛系の圧電セラミックスはd33モードの駆動特性が低下する。
【0020】
図2は、積層型圧電アクチュエータ10の変位量分布を図1(a)に対応させて示した説明図である。積層型圧電アクチュエータ10は領域B内においてほぼ一定の変位量を示すが、領域A内の変位量は領域Aの内側(領域B側)から外側(積層型圧電アクチュエータ10の側面側)に向かって連続的に小さくなる。領域Aの外側で変位量が小さくなることには、積層型圧電アクチュエータ10の周縁部が圧電不活性であって変位しないことにも起因するが、このような図2に示される積層型圧電アクチュエータ10の領域Aにおける変位量の変化は、圧電セラミックス層11においては領域Aの部分の圧電特性が領域Bの部分の圧電特性よりも低いということに主に起因している。
【0021】
積層型圧電アクチュエータ10の変位量を領域Aにおいて連続的に変化させることによって、圧電活性部と圧電不活性部との間に生ずる応力集中を緩和することができる。これにより、積層型圧電アクチュエータ10は、応力破壊が起こし難く、長寿命であるという特性を有する。
【0022】
次に積層型圧電アクチュエータ10の製造方法の一例について説明する。図3は積層型圧電アクチュエータ10の製造工程の一例を示すフローチャートである。最初に、圧電セラミックスの粉末を、ドクターブレード法や押出成形法等の公知の方法によって、シート状に加工する(ステップ1)。続いて、得られた帯状のグリーンシートからパンチング等の方法によって所定形状のパンチングシートを得る(ステップ2)。図4(a)の平面図に示すパンチングシート21はその一例である。
【0023】
パンチングシート21に、スクリーン印刷法等を用いて、所定のパターンで銀/パラジウムペーストまたは白金ペースト等を印刷する(ステップ3a)。印刷された電極ペーストは、焼成後に内部電極12a・12bとなる。図4(b)は、印刷された電極パターン22(右上がり斜線部分)の一例を示す平面図であり、ここでは、説明をわかりやすくするために、1枚のパンチングシート21に1個の積層型圧電アクチュエータ10に相当する電極パターン22が印刷された状態を示した。
【0024】
次に、図4(c)の平面図に示すように、電極パターン22の外周部分に、例えば、枠状の塗布パターン23(右下がり斜線部分)で、圧電セラミックスの圧電特性を低下させる添加物を含有するペースト(以下「ドープペースト」という)を塗布する(ステップ3b)。このドープペーストには、炭酸マンガン(Mn2(CO2)3)、酸化マンガン(Mn2O3またはMnO4)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化タングステン(WO3)から選ばれた1または複数の成分が主成分として含まれている。
【0025】
これらの金属成分は焼成時に圧電セラミックス層11へと拡散するが、その拡散量の制御、つまりドープペーストの塗布量の制御は、例えば、スクリーンのメッシュを変える方法やドープペーストの粘度を調整する方法、印刷回数を変える方法等によって行うことができる。なお、このステップ3bはステップ3aの前に行ってもよい。また、ステップ2の後にステップ3bを行い、その後にステップ3aを行い、さらにステップ3bを行ってもよい。
【0026】
電極ペーストおよびドープペースト(以下「ペースト等」という)が塗布されていないパンチングシート21を数枚積層した後に、その上に、ペースト等が塗布されたパンチングシート21を、端面にまで電極ペーストが印刷されている辺が、対向する一対の辺に交互に位置するように重ね合わせ、さらにその上にペースト等が塗布されていないパンチングシート21を数枚積み重ねて、熱プレス処理する(ステップ4)。これによりパンチングシート21どうしが熱圧着されて、一体化される。
【0027】
得られた熱圧着体を、脱脂、焼成して焼成体を得る(ステップ5)。この焼成時に、ドープペーストに含まれる金属成分(マンガン(Mn)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、タングステン(W)等)が、主にドープペーストが塗布された部分の近傍の圧電セラミックス層11の一部へ拡散する。これにより、内部電極12a・12bの外周部分(図1(a)中の領域Aに相当する)では圧電セラミックスの組成が変化して圧電特性が低下し、内部電極12a・12bの中央部分(図1(a)中の領域Bに相当する)では原料組成がほぼ保持されるために、圧電特性が維持される。
【0028】
続いて、必要に応じて焼成体の側面や端面(上下面)を研磨処理し、形状を整える。内部電極12a・12bが露出している側面に銀ペーストを塗布し、焼成して、外部電極13a・13bを形成する(ステップ6)。その後、外部電極13a・13bにはリード線が取り付けられ、さらに積層型圧電アクチュエータ10の側面には樹脂被膜が設けられ、または封止缶に封入される。
【0029】
このような積層型圧電アクチュエータ10の製造方法は、従来の積層コンデンサ型の積層型圧電アクチュエータの製造方法と同様であるために、生産性に優れている。また、グリーンシートの厚みを薄くすれば、それだけ圧電セラミックス層11の厚みを薄くすることができる。
【0030】
図5は、上記製造方法に従って作製した積層型圧電アクチュエータ10a・10bおよびステップ3bの工程を省いて作製した従来の積層型圧電アクチュエータ90の耐久性試験の結果を示すグラフである。
【0031】
ここで、積層型圧電アクチュエータ10a・10b・90は、グリーンシートの厚みが100μm、電極ペーストおよび/またはドープペーストが塗布されたパンチングシート21の積層数(つまり内部電極12a・12bの層数)が120層、素子形状が縦6mm×横6mm×高さ10mm、である点で共通している。積層型圧電アクチュエータ10aは、ドープペーストとして炭酸マンガンを含むものを使用して作製され、積層型圧電アクチュエータ10bは、ドープペーストとして酸化鉄を含むものを使用して作製された。
【0032】
また、耐久性試験は、積層型圧電アクチュエータ10a・10b・90をそれぞれ30個ずつ準備して、各試料を、電圧150V、周波数250Hzで駆動することによって行い、所定の駆動回数(振動回数)に達した時点で破壊した素子数をカウントし、全試験素子数に対する割合(以下「剥離故障率」という)を求めた。図5ではこの剥離故障率を累積値で示している。
【0033】
図5に示されるように、103回までの駆動回数では、各試料で耐久性に違いは見られない。しかし、積層型圧電アクチュエータ90の累積剥離故障率は、駆動回数が104回を超えた時点から増加し始め、107回を超えると大きく増加していることがわかる。これに対して、積層型圧電アクチュエータ10bの累積剥離故障率は、104回を超えた時点から徐々に増加し始めているが、積層型圧電アクチュエータ90と比較するとその勾配は緩やかである。積層型圧電アクチュエータ10aの累積剥離故障率は、104回を超えると僅かに上昇しているが、その勾配は積層型圧電アクチュエータ10bの場合よりもさらに緩やかであり、106回を超えても殆ど変化しないことが確認された。このように、本発明に係る積層型圧電アクチュエータ10a・10bは、従来の積層型圧電アクチュエータ90と比較して、優れた耐久性を有していることが確認された。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、内部電極12a・12bの電極パターンは図4(b)に示した電極パターン22に限定されるものではない。積層コンデンサ型の積層型圧電アクチュエータでは、外部電極が設けられる部分の近傍は必ず圧電不活性部となる。このため図6(a)に示す電極パターン22a(右上がり斜線部分)や、図6(b)に示す電極パターン22b(右上がり斜線部分)のように、内部電極が積層型圧電アクチュエータの側面の殆どの部分に露出する電極パターンであっても、ドープペーストをこれらの電極パターン22a・22bの外周部分にそれぞれ塗布パターン23a・23b(右下がり斜線部分)で印刷し、さらに電極ペーストが印刷されていない部分にドープペーストを印刷すれば、積層型圧電アクチュエータの周縁部分において圧電セラミックス層の圧電特性を低下させることができ、これによって圧電活性部と圧電不活性部との境界付近に発生する応力を低減することができる。
【0035】
また、図4(b)に示した電極パターン22がパンチングシート21に印刷された場合において、ドープペーストの印刷パターンは図4(c)に示す形態に限られない。例えば、図4(d)に示す塗布パターン23c(右下がり斜線部分)でドープペーストを印刷することができる。
【0036】
圧電セラミックス層11の特性を低下させるマンガン等の金属成分の拡散量を制御する方法について、パンチングシート21に図4(c)に示す枠状の塗布パターン23でドープペーストをスクリーン印刷する場合を例に挙げると、例えば、次の3つ方法を挙げることができる。
【0037】
第1の方法は、スクリーン印刷に使用するスクリーンのメッシュを、塗布パターン23の内側に対応する部分では細かくして、塗布パターン23の外側に対応する部分では粗くする方法である。この場合には1回の印刷でドープペーストを塗布することができる。第2の方法は、塗布パターン23でドープペーストを印刷する際に、塗布パターンの内側の半分を細かいメッシュのスクリーンで印刷し、外側の半分をメッシュの粗いスクリーンで印刷する方法である。勿論、塗布パターン23を3以上の枠状のパターンに分けて、内側の枠から外側の枠へと、逐次、スクリーンのメッシュを粗くすればよい。第3の方法は、塗布パターン23でドープペーストを印刷した後に、塗布パターン23の外側部分に再びドープペーストを印刷する方法である。
【0038】
これらの方法によれば、塗布パターン23の内側ではドープペーストの印刷量が少なく、塗布パターン23の外側ではドープペーストの印刷量が多くなるために、ドープペーストに含まれるマンガン等の金属成分の圧電セラミックス層11への拡散量を傾斜的に変化させることができ、これによって圧電セラミックス層11の圧電特性を制御することができる。
【0039】
上述した圧電セラミックス層11に所定の金属成分を拡散させることによる変位制御方法の他に、内部電極12a・12bの特性を制御することによって、積層型圧電アクチュエータ10の内部電極12a・12bの外周部分の変位量が、その外周部分の内側から外側に向かって連続的に小さくなるようにする方法がある。
【0040】
図7は、パンチングシート21に印刷する電極パターンを示す説明図である。図7(a)に示すように、最初にパンチングシート21に電極パターン22c(右上がり斜線部分)を、メッシュの細かいスクリーンを用いて印刷する。次に、図7(b)に示すように、電極パターン22cの中央部にさらに電極ペーストを上塗りする。図7(b)ではこの電極上塗りパターン26を右下がり斜線で示している。このような方法を用いると、一連の製造工程を経て形成される内部電極12a・12bにおいて、電極ペーストが二度塗りされた中央部分では電気抵抗が小さくなり、一方、電極ペーストが一度しか塗布されていない外周部分では電気抵抗が大きくなる。
【0041】
圧電セラミックス層11が均一な組成であっても、このように内部電極12a・12bに電気的な特性差を設けることによって、内部電極12a・12bの外周部分の変位量がこの外周部分の内側から外側に向かって連続的に小さくなっている状態を実現することができる。内部電極12a・12bに電気的な特性差を設ける方法としては、電極パターンの中央部をメッシュの粗いスクリーンで印刷し、かつ、電極パターンの外側をメッシュの細かいスクリーンで印刷する方法や、電極パターンの中央部はボイド(孔)の少ない膜状に形成し、かつ、電極パターンの外側は、網目状に形成する方法、または電極パターンの中央部を低抵抗な電極材料で構成し、かつ、電極パターンの外側を中央部と比較して相対的に高抵抗な電極材料で構成する等の方法を用いることができる。
【0042】
【発明の効果】
上述の通り、本発明の積層型圧電アクチュエータは、圧電活性部と圧電不活性部との境界部で発生する応力が小さくなるために、破壊し難く、耐久性に優れる。また、本発明の積層型圧電アクチュエータは積層コンデンサの製造工程に同様の工程で製造することができるために、生産性が高く、低コストでの製品製造が可能である。また、圧電セラミックス層の薄板化が容易であるため、駆動電圧を低下させることができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電アクチュエータの一実施形態を示す概略断面図と、内部電極のパターンを重ねて示す説明図。
【図2】図1に示す積層型圧電アクチュエータの変位量分布を示す説明図。
【図3】図1に示す積層型圧電アクチュエータの製造工程の一例を示すフローチャート。
【図4】図1に示す積層型圧電アクチュエータの製造に用いられる電極パターンおよび塗布パターンの例を示す平面図。
【図5】積層型圧電アクチュエータの耐久性試験の結果を示すグラフ。
【図6】積層型圧電アクチュエータの電極パターンとドープペーストの塗布パターンの別の実施形態を示す平面図。
【図7】積層型圧電アクチュエータの別の電極パターンを示す平面図。
【図8】従来の積層型圧電アクチュエータの一例を示す断面図および内部電極のパターンを重ねて示す説明図。
【図9】従来の積層型圧電アクチュエータの別の例を示す断面図および内部電極のパターンを重ねて示す説明図。
【符号の説明】
10・10a・10b;積層型圧電アクチュエータ
11;圧電セラミックス層
12a・12b;内部電極
13a・13b;外部電極
21;パンチングシート
22・22a・22b・22c;電極パターン
23・23a・23b・23c;塗布パターン
26;電極上塗りパターン
90;積層型圧電アクチュエータ
200;積層型圧電アクチュエータ
201;圧電セラミックス層
202a・202b;内部電極
203a・203b;外部電極
210;積層型圧電アクチュエータ
211;圧電セラミックス層
212a・212b;内部電極
213a・213b;外部電極
Claims (4)
- 圧電セラミックス層と内部電極とが交互に積層され、前記内部電極が一層おきに接続されてなる積層型圧電アクチュエータであって、
前記内部電極の外周部分の変位量が前記外周部分の内側から外側に向かって連続的に小さくなっていることを特徴とする積層型圧電アクチュエータ。 - 前記圧電セラミックス層において前記内部電極の外周部分の近傍に位置する部分には、マンガン、鉄、クロム、タングステンから選ばれた1以上の成分が他の部分よりも多く含まれることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電アクチュエータ。
- 圧電セラミックス層と内部電極とが交互に積層され、前記内部電極が一層おきに接続されてなる積層型圧電アクチュエータであって、
圧電セラミックスの粉末をシート成形する工程と、
前記シート成形工程により得られたグリーンシートに、電極ペーストを所定のパターンで塗布する工程と、
前記電極ペーストの塗布処理の前後いずれかにおいて、前記電極ペーストの塗布パターンの外周部分に、前記圧電セラミックスの圧電特性を低下させる添加物を含有するペーストを塗布する工程と、
前記各ペーストが塗布されたグリーンシートを所定枚数積層し、一体化し、焼成する工程と、
を有することを特徴とする積層型圧電アクチュエータの製造方法。 - 前記添加物は、炭酸マンガン、酸化マンガン、酸化鉄、酸化クロム、酸化タングステンから選ばれた1または複数の成分であることを特徴とする請求項3に記載の積層型圧電アクチュエータの製造方法。
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