JP2009246105A - 積層コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】積層方向において最も外側にある誘電体層の剥離が生じにくい積層コンデンサを提供する。
【解決手段】積層コンデンサC1は、Niを含む内部電極20とBaTiOを含む誘電体層30とを交互に複数積層してなる内層部25と、内層部25を積層方向から挟むように配置されると共にBaTiOを含む外層部35とを備えている。内部電極20のうち、積層方向において最も外側に位置する内部電極20aは外層部35と隣り合っている。外層部35は、内部電極20aに隣接すると共にMnとSiとを含む化合物が拡散された拡散領域37を有し、内部電極20aは、外層部35に隣接すると共にNi―Mn合金が拡散された拡散領域22を有している。
【選択図】図2

Description

本発明は、積層コンデンサに関する。
積層コンデンサとして、例えば特許文献1のように、卑金属を含む内部電極と誘電体セラミックを含む誘電体層とが交互に積層され、内部電極の近傍にSiの酸化物層又は化合物層が形成されたものが知られている。化合物層は、内部電極及び誘電体層に含まれる組成のうち少なくとも1種類とSiの酸化物との化合物を含んでいる。
特開平11−3834号公報
しかしながら、特許文献1記載の積層コンデンサでは、積層方向において最も外側にある誘電体層とこの誘電体層に隣接する内部電極との密着性が低く、そのため最も外側の誘電体層が剥離してしまうことがあった。
そこで、本発明は、積層方向において最も外側にある誘電体層の剥離が生じにくい積層コンデンサを提供することを課題とする。
本発明の積層コンデンサは、卑金属を含む内部電極と誘電体材料を含む誘電体層とを交互に複数積層してなる内層部と、内層部を内部電極及び誘電体層の積層方向から挟むように配置されると共に誘電体材料を含む外層部と、を備え、外層部には、内部電極のうち積層方向において最も外側に位置する最外内部電極に隣接すると共に、MnとSiとを含む化合物が拡散された第1拡散領域が形成され、最外内部電極には、外層部に隣接すると共に、Mnと卑金属とを含む合金が拡散された第2拡散領域が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る積層コンデンサでは、外層部と最外内部電極との境界を挟んで、外層部側にはMnとSiとを含む化合物の拡散領域が形成され、最外内部電極側にはMnと卑金属とを含む合金の拡散領域が形成される。外層部の拡散領域と最外内部電極の拡散領域とは、共にMnを含むため、なじみが良く、接着性が向上する。よって、外層部と最外内部電極との密着性が高まり、外層部が内層部から剥離することを抑制できる。
好ましくは、最外内部電極は、縁部と当該縁部に囲まれた中央部とを有しており、第1拡散領域では、縁部と隣接する部分と比べて中央部と隣接する部分に化合物が多く拡散され、第2拡散領域では、縁部と比べて中央部に合金が多く拡散されている。
最外内部電極の中央部付近は、外層部の剥離が最も生じやすい部分である。本発明によれば、最外内部電極の中央部付近では、外層部側にも内層部側にもMnが多く含まれることになる。これにより、最外内部電極の中央部付近では、最外内部電極と外層部との密着性がより高まることとなるため、外層部の剥離をより確実に抑制できる。
好ましくは、内層部の誘電体層のうち最外内部電極と隣り合う最外誘電体層には、最外内部電極に隣接すると共に、MnとSiとを含む化合物が拡散された第3拡散領域が形成され、最外内部電極は、最外誘電体層に隣接すると共に、Mnと卑金属とを含む物質が拡散された第4拡散領域を更に有する。
この場合、最外内部電極とこれに隣り合う最外誘電体層との密着性が向上し、これらの間においても剥離が生じにくくなる。
本発明によれば、積層方向において最も外側にある誘電体層の剥離が生じにくい積層コンデンサを提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。図2(a)は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面図であって、図2(b)は当該積層コンデンサが備えるコンデンサ素体の部分断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る積層コンデンサC1は、コンデンサ素体1と第1及び第2の端子電極11,12とを備えている。
コンデンサ素体1は略直方体状であり、相対向する長方形状の一対の主面2,3と、主面2,3間を連結すると共に主面2,3の短辺方向に伸びる一対の端面4,5と、主面2,3間を連結すると共に主面2,3の長辺方向に伸びる一対の側面6,7とを有している。
コンデンサ素体1の端面4には、第1の端子電極11が配置されている。第1の端子電極11は、端面4を覆うように、主面2,3及び側面6,7にわたって形成されている。コンデンサ素体1の端面5には、第2の端子電極12が配置されている。第2の端子電極12は、端面5を覆うように、主面2,3及び側面6,7にわたって形成されている。第1及び第2の端子電極11,12は、例えば、導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストをコンデンサ素体1の対応する外表面に付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた電極の上にめっき層が形成されることもある。
コンデンサ素体1は、図2(a)に示すように、複数(本実施形態では6つ)の内部電極20と複数(本実施形態では5つ)の誘電体層30とを交互に積層してなる内層部25と、内層部25を挟むように配置された一対の外層部35と、を有している。
内部電極20は、主面2,3に平行な方向に伸びており、主面2,3の対向方向に積層されている。内部電極20は積層方向から見たときに互いに重なり合う部分を有すると共に、一端部が端面4又は端面5に引き出されて第1又は第2の端子電極11,12に接続されている。一端部が端面4に引き出された内部電極20と、一端部が端面5に引き出された内部電極20とは、積層方向において交互に配されている。
内部電極20は卑金属を主成分としており、より具体的にはNiを主成分としている。内部電極20のうち、積層方向において最も外側に位置する一対の内部電極(最外内部電極)20aは、図2(b)に示すように、Ni層21と、Ni層21を挟む拡散領域22,23とを有している。拡散領域22,23にはNiとMnとを含む合金が拡散されており、より具体的にはNi―Mn合金が拡散されている。Ni層21には、拡散領域22,23と比べてより多くのNiが含まれている。拡散領域23(第2拡散領域)は外層部35に隣接し、拡散領域23(第4拡散領域)は誘電体層30に隣接している。内部電極20のうち内部電極20aを除く内部電極20bは、Ni―Mn合金を含まないことが好ましい。この場合には、誘電率やIr寿命の低下を防ぐことが可能となる。なお、本実施形態では、内部電極20のうち内部電極20aのみにNi―Mn合金を含むものとする。
誘電体層30は、内部電極20間に配された層であって、セラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の積層コンデンサC1では、各誘電体層30は、誘電体層30の間の境界が視認できない程度に一体化されている。誘電体層30は誘電体材料を主成分としており、より具体的にはチタン酸バリウム(BaTiO)を主成分としている。誘電体層30のうち、内部電極20aと隣り合う誘電体層30a(最外誘電体層)は、BaTiO層31と、BaTiO層31を挟むと共に内部電極20aに隣接する拡散領域32(第3拡散領域)とを有している。拡散領域32にはMnとSiとを含む化合物が拡散されており、より具体的にはBa−Ti−Si−Mn−Oが拡散されている。BaTiO層31には、拡散領域32と比べてより多くのBaTiOが含まれている。
一対の外層部35は、内部電極20及び誘電体層30の積層方向から、内層部25を挟んでいる。一方の外層部35は、一方の内部電極20aと隣り合うと共にコンデンサ素体1の主面2を構成している。他方の内部電極20aは、他方の外層部35と隣り合うと共にコンデンサ素体1の主面3を構成している。外層部35はセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。
外層部35は、誘電体材料を主成分としており、より具体的にはチタン酸バリウム(BaTiO)を主成分としている。外層部35は、BaTiO層36と、BaTiO層36と内部電極20aとの間に位置する拡散領域37(第1拡散領域)と、を有している。拡散領域37にはMnとSiとを含む化合物が拡散されており、より具体的にはBa−Ti−Si−Mn−Oが拡散されている。BaTiO層36には、拡散領域32と比べてより多くのBaTiOが含まれている。
このような構成を有する積層コンデンサC1は、以下のようにして製造される。図3は、本実施形態に係る積層コンデンサの製造工程を示すフロー図である。図4は、製造工程で得られるグリーンチップの分解斜視図である。
積層コンデンサC1を作製するにあたり、まずグリーンシートGS1を作製する(ステップS11)。より具体的には、BaTiO粉末に、SiO、有機バインダ、有機溶剤等を混合してスラリー化する。そのスラリー化により得られたペーストを、ドクターブレード法等の公知の方法により、例えばPETフィルム等のキャリアフィルム上に塗布した後、乾燥させることで、キャリアフィルム上に形成されたグリーンシートを得る。なお、一部のグリーンシートについては、この時点でキャリアフィルムから剥離する。このグリーンシートが、電極パターンが形成されていないグリーンシートGS1となる。
続いて、キャリアフィルム上のグリーンシートに電極パターンを形成する(ステップS12)。電極パターンの形成に先立って、3種類の電極ペーストを用意する。第1の導電ペーストは内部電極20aを形成するためのものであって、Mnを含む導電ペーストである。この導電ペーストは、Ni粉末にNi−Mn合金の粉末を加え、共材、有機バインダ、分散剤及び有機溶剤等を混合しペースト状にしてなる。第2の導電ペーストは内部電極20aの中央部を形成するためのものであって、第1の導電ペーストと比べてより多くのMnを含んでいる。第2の導電ペーストは、Ni−Mn合金の分量が多くなっている点以外は、第1の導電ペーストと同様にして作られる。第3の導電ペーストは内部電極20bを形成するためのものであって、Mnを含まない導電ペーストである。この導電ペーストは、Ni粉末に、共材、有機バインダ、分散剤及び有機溶剤等を混合しペースト状にしてなる。ステップS11で作製したグリーンシートの表面に、スクリーン印刷法により所定のパターンとなるように第1〜第3の電極ペーストを印刷して乾燥させる。乾燥後、キャリアフィルムから剥離することにより、図4に示されるように、第1の導電ペースト上に第2の導電ペーストが印刷されることによって電極パターンEL1が形成されたグリーンシートGS2と、第3の導電ペーストが印刷されることによって電極パターンEL2が形成されたグリーンシートGS3とが得られる。
続いて、電極パターンEL1が形成されたグリーンシートGS2と、電極パターンEL2が形成されたグリーンシートGS3と、電極パターンが形成されていないグリーンシートGS1とを所定の順序で重ねたのち、積層方向から加圧してグリーン積層体を形成する(ステップS13)。こうして得られたグリーン積層体を後所望のサイズに切断して、グリーンチップ40を得る(ステップS14)。グリーンチップ40では、図4に示されるように、複数枚の電極パターンが形成されていないグリーンシートGS1、一枚の電極パターンEL1が形成されたグリーンシートGS2、複数枚の電極パターンEL2が形成されたグリーンシートGS3、一枚の電極パターンEL1が形成されたグリーンシートGS2、複数枚の電極パターンが形成されていないグリーンシートGS1が、この順で積層されている。
続いて、このグリーンチップ40に加熱処理を実施して脱バインダを行った後、焼成を行い(ステップS15)、コンデンサ素体1を得る。この焼成によって、グリーンチップ40における電極パターンEL1,EL2の間、及び電極パターンEL1,EL1の間にあったグリーンシートが誘電体層30となり、それ以外のグリーンシートが外層部35となる。電極パターンEL1は内部電極20aとなり、電極パターンEL2は内部電極20bとなる。
ここで、コンデンサ素体1について説明する。グリーンチップ40の焼成時、導電ペーストに含まれていたNi−Mn合金が、導電ペーストの表面側に移動する。これにより、焼成後に得られるコンデンサ素体1は、内部電極20aの表面にNi−Mn合金が多く分布したものとなる。また、グリーンチップ40の焼成時、導電ペーストに含まれていたNi−Mn合金中のMnが、グリーンシートS1〜S3に放出される。これにより、焼成後に得られるコンデンサ素体1は、外層部35の内部電極20aと隣接する領域、及び誘電体層30aの内部電極20aに隣接する領域に、Ba−Ti−Si−Mn−Oが多く分布したものとなる。
図5は、コンデンサ素体1の部分断面図である。図6は、図5の測定点P1でのMn及びSiの分布を示すグラフであり、図7は、図5の測定点P1,P2でのMnの分布を示すグラフである。図5に示す測定点P2は、内部電極20aの縁部付近に対応し、測定点P1は、縁部に囲まれた中央部付近に対応する。
測定点P1では、図6に示すように、内部電極20aと外層部35との境界B1及び内部電極20aと誘電体層30aとの境界B2の周辺に、Si及びMnが多く分布している。より具体的には、境界B1に隣接する外層部35の領域には、Si及びMnが含まれている。この領域が、先に述べた外層部35の拡散領域37に相当する。また、内部電極20aと誘電体層30aとの境界B2に隣接する誘電体層30aの領域には、Si及びMnが含まれている。この領域が、先に述べた誘電体層30aの拡散領域32に相当する。また、境界B1,B2に隣接する内部電極20aの領域には、Mnが含まれている。この領域が、先に述べた内部電極20aの拡散領域22,23に相当する。
なお、外層部3及び誘電体層30aでは、内部電極20aと比べて、Mnが遠くまで拡散されている。これは、Mnの拡散が、グリーンシートS1〜S3中に含まれるSiOによって促進されたことによる。
図7に示すように、測定点P2でも、境界B1の周辺にMnが分布している。ただし、測定点P2では、測定点P1と比べてMnの量が少なくなっている。つまり、外層部35の拡散領域37では、内部電極20aの縁部に隣接する部分と比べて、内部電極20aの中央部に隣接する部分にBa−Ti−Si−Mn−Oが多く拡散されている。また、内部電極20aの拡散領域22では、内部電極20aの縁部と比べて、内部電極20aの中央部にNi−Mn合金が多く拡散されている。図7には示されていないが、誘電体層30aの拡散領域32でも、内部電極20aの中央部に隣接する部分にBa−Ti−Si−Mn−Oがより多く拡散されている。内部電極20aの拡散領域23でも、内部電極20aの縁部と比べて、内部電極20aの中央部にNi−Mn合金が多く拡散されている。
また、図7に示すように、測定点P1では、測定点P2と比べて、より境界B1から離れたところにまでMnが拡散されている。つまり、外層部35の拡散領域37は、内部電極20aの縁部に隣接する部分と比べて、内部電極20aの中央部に隣接する部分のほうが厚くなっている。また、内部電極20aの拡散領域22は、内部電極20aの縁部と比べて、内部電極20aの中央部のほうが厚くなっている。図7には示されていないが、誘電体層30aの拡散領域32も、内部電極20aの縁部に隣接する部分と比べて、内部電極20aの中央部に隣接する部分のほうが厚くなっている。内部電極20aの拡散領域23も、内部電極20aの縁部と比べて、内部電極20aの中央部のほうが厚くなっている。
上記構成を有するコンデンサ素体1の主面2,3を覆うように、第1及び第2の端子電極11,12を形成する(ステップS16)。第1及び第2の端子電極11,12の形成手法としては、焼付、スパッタリング、無電解メッキ法などが用いられる。これにより、積層コンデンサC1が完成する。
以上述べたように、本実施形態に係る積層コンデンサC1では、外層部35と内部電極20aとの境界B1を挟んで、外層部35側にはBa−Ti−Si−Mn−Oを含む拡散領域37が形成され、内部電極20a側にはNi―Mn合金を含む拡散領域22が形成される。拡散領域37と拡散領域22とは共にMnを含み、このMnによって互いにつながれた状態となっている。よって、外層部35と内部電極20aとの密着性が向上し、外層部35が内部電極20aから剥離することを抑制できる。更に、内部電極20aでは、拡散領域22とNi層21とは共にNiを含んでおり、このNiによって互いにつながれた状態となっている。したがって、外層部35が拡散領域22と共に剥離することも抑制できる。また、外層部35では、拡散領域37とBaTiO層36とは共にBaTiOを含んでおり、このBaTiOによって互いにつながれた状態となっている。したがって、BaTiO層36のみが剥離することも抑制できる。よって、本実施形態の積層コンデンサC1によれば、外層部35が内層部25から剥離する可能性を極めて低くすることができる。
また、積層コンデンサC1では、誘電体層30と内部電極20aとの境界B2を挟んで、誘電体層30a側にはBa−Ti−Si−Mn−Oを含む拡散領域32が形成され、内部電極20a側にはNi―Mn合金を含む拡散領域23が形成されている。これにより、誘電体層30と内部電極20aとの密着性が向上し、これらの間においても剥離が生じにくくなる。
更に、内部電極20aの拡散領域22では、内部電極20aの縁部と比べて中央部にNi―Mn合金が多く拡散されている。外層部35の拡散領域37では、内部電極20aの縁部と隣接する部分と比べて中央部と隣接する部分にBa−Ti−Si−Mn−Oが多く拡散されている。内部電極20aの中央部付近は外層部35の剥離が最も生じやすい部分であるが、本実施形態では内部電極20aの中央部付近にMnを多く含むので、内部電極20aと外層部35との密着性がより高くなり、外層部35の剥離がより生じにくくなる。
なお、内部電極20aの縁部付近は、クラックが発生しやすい領域であるため、焼結を促進する効果があるMnを多く含まないことが好ましい。本実施形態の積層コンデンサC1によれば、内部電極20aの縁部付近は中央部付近と比べてMnの量が少なくなっている。そのため、クラックの発生を抑制することができる。
また、積層コンデンサC1では、外層部35の拡散領域37は、内部電極20aの縁部に隣接する部分と比べて、内部電極20aの中央部に隣接する部分のほうが厚くなっている。また、内部電極20aの拡散領域22は、内部電極20aの縁部と比べて、内部電極20aの中央部のほうが厚くなっている。内部電極20aの中央部付近において拡散領域22,37が厚くなっているということは、内部電極20aの中央部付近では内部電極20a及び外層部35のより深いところにまでMnが存在することを意味する。よって、内部電極20aの中央部付近では、内部電極20aと外層部35の密着性がいっそう高くなっており、そのため外層部35の剥離が極めて生じにくくなっている。
ところで、発明者は、外層部35におけるMnOの含有量をTEM−EDSにより測定している。図9はその結果を示すグラフである。なお、外層部35におけるMnOの含有量は、図8に示すように、誘電体粒子45すなわちBaTiO粒子の粒界で測定することとした。図9では、外層部35と内部電極20aとの境界B1からの誘電体粒子45の粒界数を横軸としており、境界B1に最も近い粒界を粒界数1としている。より具体的に説明すると、図9では粒界数1におけるMnOの含有量が約0.15wt%となっているが、これは、図8の粒界F1に含まれるMnOの量が約0.15wt%であったことを示している。また、図9では粒界数2におけるMnOの含有量が約0.12wt%となっているが、これは、図8の粒界F2に含まれるMnOの量が約0.12wt%であったことを示している。この実験から、MnOは、境界B1からある程度離れた距離にまで分散していることが確認された。つまり、外層部35の拡散領域37は幅を有していることが確認された。
また発明者は、内部電極20aの中央部及び縁部におけるMnの含有量も、TEM−EDSにより測定している。図10は内部電極20aの中央部(図5の測定点P1)での測定結果を示すグラフであり、図11は内部電極20aの縁部(図5の測定点P2)での測定結果を示すグラフである。内部電極20aでは、MnはNi−Mn合金の形で含まれるため、本実験では、Ni−Mn合金中のMnの含有量を測定することとした。この実験から、Mnは、外層部35と内部電極20aとの境界B1からある程度離れた距離にまで分散していることが確認された。つまり、内部電極20aの拡散領域22,23は幅を有していることが確認された。また、内部電極20aの中央部は、縁部よりも多くのMnを含むことが確認された。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨が逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、内部電極20や誘電体層30の数等は、上記実施形態に示したものに限られない。また、内部電極20はNiを含むとしたが、Niの代わりにCu,Ag,Ag−Pd等の金属を用いてもよい。この場合には、拡散層22,23に含まれる合金は、Mnと当該金属とを含むものになる。また、誘電体層30はBaTiOを含むとしたが、BaTiOの代わりにSrTiO,CaTiO,(Ba,Ca)TiO等の誘電体材料を用いてもよい。
また、上記実施形態では、内部電極20aを形成するための導電ペーストにNi−Mn合金を含ませるとしたが、Mnを含ませるとしてもよい。また、金属成分としてMnを含有する金属レジネートを含ませるとしてもよい。また、NiとMnOとを還元雰囲気中で熱処理してなる粉末を含ませるとしてもよい。そのほか、内部電極20aを形成するための導電ペーストを内部電極20bを形成するための導電ペーストと同じものとし、外層部35となるグリーンシートにMnを含ませるとしてもよい。
また、上記実施形態では、第1の導電ペースト上に第2の導電ペーストが印刷されることによって電極パターンEL1が形成されるとしたが、第1の導電ペーストのみ又は第2の導電ペーストのみが印刷されることで電極パターンEL1が形成されるとしてもよい。
本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。 本実施形態に係る積層コンデンサが備えるコンデンサ素体の断面図である。 本実施形態に係る積層コンデンサの製造工程を示すフロー図である。 製造工程で得られるグリーンチップの分解斜視図である。 本実施形態に係る積層コンデンサが備えるコンデンサ素体の断面図である。 図5の測定点P1でのMn及びSiの分布を示すグラフである。 図5の測定点P1,P2でのMnの分布を示すグラフである。 誘電体粒子の粒界を示す図である。 誘電体粒子の粒界中におけるMnOの含有量を示すグラフである。 内部電極の中央部におけるMnの含有量を示すグラフである。 内部電極の縁部におけるMnの含有量を示すグラフである。
符号の説明
1…コンデンサ素体、20…内部電極、20a…内部電極(最外内部電極)、22…拡散領域(第2拡散領域)、23…拡散領域(第4拡散領域)、25…内層部、30…誘電体層、30a…誘電体層(最外誘電体層)、32…拡散領域(第3拡散領域)、35…外層部、37…拡散領域(第1拡散領域)、C1…積層コンデンサ、EL1,EL2…電極パターン。

Claims (3)

  1. 卑金属を含む内部電極と誘電体材料を含む誘電体層とを交互に複数積層してなる内層部と、
    前記内層部を前記内部電極及び前記誘電体層の積層方向から挟むように配置されると共に誘電体材料を含む外層部と、を備え、
    前記外層部には、前記内部電極のうち前記積層方向において最も外側に位置する最外内部電極に隣接すると共に、MnとSiとを含む化合物が拡散された第1拡散領域が形成され、
    前記最外内部電極には、前記外層部に隣接すると共に、Mnと前記卑金属とを含む合金が拡散された第2拡散領域が形成されていることを特徴とする積層コンデンサ。
  2. 前記最外内部電極は、縁部と当該縁部に囲まれた中央部とを有しており、
    前記第1拡散領域では、前記縁部に隣接する部分と比べて前記中央部に隣接する部分に前記化合物が多く拡散され、
    前記第2拡散領域では、前記縁部と比べて前記中央部に前記合金が多く拡散されていることを特徴とする請求項1記載の積層コンデンサ。
  3. 前記内層部の前記誘電体層のうち前記最外内部電極と隣り合う最外誘電体層には、前記最外内部電極に隣接すると共に、MnとSiとを含む化合物が拡散された第3拡散領域が形成され、
    前記最外内部電極は、前記最外誘電体層に隣接すると共に、Mnと前記卑金属とを含む物質が拡散された第4拡散領域を更に有することを特徴とする請求項1又は2記載の積層コンデンサ。
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