JP2003197998A - 積層型圧電素子の製造方法 - Google Patents

積層型圧電素子の製造方法

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JP2003197998A
JP2003197998A JP2001397720A JP2001397720A JP2003197998A JP 2003197998 A JP2003197998 A JP 2003197998A JP 2001397720 A JP2001397720 A JP 2001397720A JP 2001397720 A JP2001397720 A JP 2001397720A JP 2003197998 A JP2003197998 A JP 2003197998A
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ceramic
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piezoelectric element
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JP2001397720A
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Inventor
Akio Iwase
昭夫 岩瀬
Takeshi Matsui
松井  武
Shoji Ozaki
昭二 尾崎
Tetsuji Ito
鉄次 伊藤
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミック層と内部電極層とを交互に積層し
た多層構造のセラミック積層体の2つの側面において,
一層おきの内部電極層を被覆する絶縁部材を,上記2つ
の側面間で位置が異なるように形成したセラミック積層
体からなる積層型圧電素子の製造方法を提供すること。 【解決手段】 セラミック積層体1の外周面上にある第
1側面11及び第2側面12を撮影して得た画像データ
について,画像処理を実施して各内部電極層14の位置
を検出し,その位置データに基づいて,上記第1側面1
1及び上記第2側面12に露出した内部電極層14のう
ち,一層おきの内部電極層14を被覆する絶縁部材16
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,セラミック層と内部電極層とを
交互に積層してなるセラミック積層体に外部電極を形成
した積層型圧電素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】積層型圧電素子とは,積層面に内部電極層
を形成した圧電セラミックグリーンシート片(以下グリ
ーンシート片)を多数枚積層して得たセラミック積層体
について,1層おきの内部電極層を電気的に接続した1
対の外部電極を形成したものである。
【0003】上記のごとく1対の外部電極を形成するに
当たっては,セラミック積層体の2つの側面において,
それぞれ1層おきの内部電極層が露出し,各側面におい
て露出する内部電極層が交互にずれているセラミック積
層体を準備するのが一般的である。以下,上記セラミッ
ク積層体を作成するための,代表的な3つの作製方法に
ついて概説する。
【0004】第1の方法は,上記セラミック層の積層面
の端部1箇所に控え部と呼ばれる余白を残して内部電極
層を形成したグリーンシート片を積層してなる部分電極
構造を利用して,上記セラミック積層体を作成する方法
である。この方法では,上記グリーンシート片を積層す
る際,各グリーンシート片をその面内で交互に180゜
回転させて積み重ねてセラミック積層体を得る。該セラ
ミック積層体においては,対向する2つの側面に一層お
きの内部電極層が露出し,2つの側面において交互に露
出する内部電極層が相違することとなる。
【0005】第2の方法は,内部電極層を全面に施した
グリーンシート片を,交互に位置をずらして積み重ねて
積層する方法である(特開平9−153649号報)。
この方法では,上記積層体を焼成してセラミック積層体
として一体化した後,凸凹となっている側面をそれぞれ
絶縁部材で被覆し平滑化する。そしてその後,上記両端
面を研削し,一層おきの内部電極層を露出させる。上記
セラミック積層体では,圧電効果を生じない部位に,上
記絶縁部材が充填される。したがって,上記応力は,上
記絶縁部材によって吸収することができ,上記亀裂等の
問題が発生しない。
【0006】第3の方法は,セラミック積層体の2つの
側面において,一層おきの内部電極層を被覆する絶縁部
材を,2つの側面において交互に位置がずれるように形
成する方法である。この方法では,スクリーン印刷等に
より絶縁材料を印刷して,上記絶縁部材を形成するのが
一般的である。特に,グリーンシート片の積層枚数が少
なく,上記セラミック層が比較的厚いセラミック積層体
の場合には,非常に有効な方法である。上記セラミック
積層体においては,各層の厚みの誤差が軸方向に累積す
る度合いが少ないからである。
【0007】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記セラミッ
ク積層体の作製方法においては,次のような問題があ
る。上記第1の方法によって作製される上記セラミック
積層体においては,上記内部電極層を形成せず圧電効果
を生じない部分が,軸方向に重合する。それ故,上記セ
ラミック積層体からなる積層型圧電素子に電圧を印加し
た際には,上記圧電効果が生じず変位しない部分と圧電
効果による変位が生じる部分との間に大きな応力が発生
する。そして,この大きな応力によって亀裂が発生し,
積層型圧電素子の動作不良を引き起こす場合がある。上
記第2の方法による上記セラミック積層体においては,
上記応力を上記絶縁部材により吸収し,亀裂の発生を抑
制している。しかし,上記のごとく,グリーンシート片
を積層する際,積層ずれ等を生じるおそれが高く,上記
第2の方法を利用して製造した積層型圧電素子にあって
は精度上のばらつきが問題となる。
【0008】上記第3の方法による上記セラミック積層
体は,全面に内部電極層を形成した上記グリーンシート
片を同軸上に積層したものである。このようにして製造
された積層型圧電素子にあっては,上記応力による亀裂
の問題,及び上記積層精度の問題を回避することができ
る。しかしながら,薄いグリーンシート片を多層積層し
てなるセラミック積層体においては,グリーンシート厚
さの誤差がその積層方向に累積して,許容できない寸法
誤差として顕在化している。したがって,上記スクリー
ン印刷のごとく,予め印刷パターンを準備しておくこと
は不可能であるという問題がある。
【0009】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,セラミック層と,該セラミック層の積層
面の全面に施された内部電極層とを交互に積層した多層
構造のセラミック積層体の2つの側面において,一層お
きの内部電極層を被覆する絶縁部材を,上記2つの側面
間で位置が異なるように形成したセラミック積層体から
なる積層型圧電素子の製造方法を提供しようとするもの
である。
【0010】
【課題の解決手段】第1の発明は,セラミック層と内部
電極層とを交互に積層したセラミック積層体に外部電極
を形成してなる積層型圧電素子を製造する方法におい
て,上記セラミック層と該セラミック層の積層面の全面
に施された上記内部電極層とを交互に積層してなるセラ
ミック積層体を得るセラミック積層体作製工程と,上記
セラミック積層体の外周面上にあって軸方向に平行な第
1側面及び第2側面の画像に基づいて,上記第1側面及
び上記第2側面に露出した上記内部電極層の位置を画像
処理手段によって検出する内部電極層位置検出工程と,
上記位置検出した結果に基づいて,上記第1側面及び上
記第2側面においてそれぞれ一層おきに上記内部電極層
を被覆する絶縁部材を,上記第1側面と上記第2側面と
において交互に位置がずれるように配置する内部電極層
被覆工程と,上記第1側面及び上記第2側面において一
層おきに露出した内部電極層を接続する1対の外部電極
を形成する外部電極形成工程とを有することを特徴とす
る積層型圧電素子の製造方法にある(請求項1)。
【0011】上記第1の発明は,上記セラミック積層体
作製工程において,上記セラミック積層体の積層面の全
面に上記内部電極層を施して構成する全面電極構造のセ
ラミック積層体を得,これを基にして,その後の工程を
実施する。そのため,従来の部分電極構造特有の問題を
十分に解消することができる。そして,上記内部電極層
位置検出工程においては,上記第1側面及び第2側面を
撮影等して得た画像に画像処理手段を適用し,上記2つ
の側面に露出した内部電極層の位置を検出する。そのた
め,上記のごとく,薄いセラミック層を多層積層したセ
ラミック積層体であっても,各内部電極層の位置を正確
に検出し,把握することができる。それ故,上記内部電
極層被覆工程において,1層おきの内部電極層に精度良
く絶縁部材を形成することが可能である。このように,
上記第1の発明によれば,上記全面電極構造の上記セラ
ミック積層体を精度良く作製することができると共に,
そのセラミック積層体の1層おきの内部電極層に精度良
く絶縁部材を形成することができる。したがって,本発
明による製造方法によれば,上記一対の外部電極を形成
した上記積層型圧電素子を効率よく製造することができ
る。
【0012】第2の発明は,セラミック層と内部電極層
とを交互に積層したセラミック積層体に外部電極を形成
してなる積層型圧電素子を製造する方法において,上記
セラミック層と該セラミック層の積層面の全面に施され
た上記内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積
層体を得るセラミック積層体作製工程と,上記セラミッ
ク積層体の外周面上にあって軸方向に平行な第1側面及
び第2側面に露出した上記内部電極層の位置を金属検出
手段によって検出する内部電極層位置検出工程と,上記
位置検出した結果に基づいて,上記第1側面及び上記第
2側面においてそれぞれ一層おきに上記内部電極層を被
覆する絶縁部材を,上記第1側面と上記第2側面とにお
いて交互に位置がずれるように配置する被覆工程と,上
記第1側面及び上記第2側面において一層おきに露出し
た内部電極層を接続する1対の外部電極を形成する外部
電極形成工程とを有することを特徴とする積層型圧電素
子の製造方法にある(請求項2)。
【0013】上記第2の発明は,上記内部電極層位置検
出工程において,上記内部電極層の金属的特性を利用し
て,上記セラミック積層体の上記第1側面と上記第2側
面に露出した内部電極層の位置を検出する。そのため,
上記第2の発明によれば,上記第1の発明による効果と
同様の効果を,比較的安価かつ簡便なシステム構成によ
って実現することができる。
【0014】第3の発明は,セラミック層と内部電極層
とを交互に積層したセラミック積層体に外部電極を形成
してなる積層型圧電素子を製造する方法において,上記
セラミック層と該セラミック層の積層面の全面に施され
た上記内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積
層体を得るセラミック積層体作製工程と,上記セラミッ
ク積層体の外周面上にあって軸方向に平行な第1側面及
び第2側面に露出した上記内部電極層の位置を,光に対
する反射率を測定する反射率測定手段によって検出する
内部電極位置検出工程と,上記位置検出した結果に基づ
いて,上記第1側面及び上記第2側面においてそれぞれ
一層おきに上記内部電極層を被覆する絶縁部材を,上記
第1側面と上記第2側面とにおいて交互に位置がずれる
ように配置する内部電極層被覆工程と,上記第1側面及
び上記第2側面において一層おきに露出した内部電極層
を接続する1対の外部電極を形成する外部電極形成工程
とを有することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法
にある(請求項4)。
【0015】上記第3の発明は,上記内部電極層位置検
出工程において,上記セラミック積層体の側面に露出す
る上記セラミック層端面と上記内部電極層端面とで,光
の反射率が異なることを利用している。そこで,光の反
射率を測定する上記反射率測定手段を用いて,上記セラ
ミック積層体の上記第1側面と上記第2側面に露出した
内部電極層の位置を検出する。そのため,上記第3の発
明によれば,上記第1の発明による効果と同様の効果
を,比較的安価かつ簡便な装置によって実現することが
できる。なお,上記光としては,可視光を含み,赤外線
領域から紫外線領域の光を利用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】上記第1の発明において,画像処
理手段とは,対象物を撮影して得た画像について目的に
応じた特有の演算,加工を実施することによって,上記
画像から所定の特徴を有する部分を検出等する手段をい
う。また,上記画像としては,デジタル化した画像デー
タを適用するのが一般的である。ここに,該画像データ
とは,画像領域を2次元平面上に配された有限個数の画
素によって表し,その領域内の明るさの分布を各画素の
画素値により表現したものをいう。そして,該画素値
を,8bit256階調の値によって表現することが多
い。そして,上記画像データは,例えばCCD,CMO
S等の撮像素子を用いて,上記セラミック積層体の第1
側面及び第2側面を撮像して得られるほか,スキャナー
等を用いて得ることもできる。
【0017】また,上記第2の発明において,上記金属
検出手段としては,磁気検出手段,光磁気検出手段,導
電率検出手段のいずれかがある(請求項3)。ここで,
上記磁気検出手段とは,対象物が発生する磁束を検出す
る手段である。上記光磁気検出手段とは,磁気Kerr
効果による偏光面の回転を検出手段である。また,上記
導電率検出手段とは,電気の流れやすさを検出する手段
である。上記のごとく,金属検出手段によれば,上記セ
ラミック積層体の側面に露出する上記内部電極層を精度
良く識別して検出することができる。また,上記各手段
としては,接触式,非接触式いずれの方法も考えられ
る。
【0018】また,上記第3の発明において,上記反射
率測定手段としては,照射するレーザ光のうち反射した
レーザ光の強度を測定する反射レーザ光測定手段を用い
ることが好ましい(請求項5)。上記のごとく,レーザ
光を利用する手段によれば,極小のレーザスポット光を
精度良く照射することができる。そのため,上記内部電
極層の厚さが非常に薄い場合であっても,高精度で上記
内部電極層の位置を検出することができる。
【0019】次に,上記第1の発明〜第3の発明におい
て,共通する好ましい形態について説明する。上記被覆
工程においてはインクジェット方式によって絶縁材料を
上記内部電極層に吹き付けて上記絶縁部材を形成するこ
とが好ましい(請求項6)。ここで,インクジェット方
式とは,パーソナルコンピュータ用の市販プリンターの
多くで採用されている印刷方式である。この方式は,印
刷ヘッドの噴射ノズルからインクの微細粒子を吹き付け
ることにより印刷する方式をいう。上記インクジェット
方式によれば,非接触で上記絶縁材料を塗布することが
できる。それ故,磨耗等によって,製造装置が性能劣化
等することなく,長期間に渡って安定的に上記工程を実
施することができる。
【0020】さらに,上記インクジェット方式によれ
ば,上記絶縁部材を精度良く形成することができる。そ
のため,本発明に基づいて製造した積層型圧電素子にあ
っては,電極リーク等が生じない。それ故,上記積層型
圧電素子にあっては,その圧電効果を最大限に引き出す
ことができ,良好な素子性能が確保される。
【0021】また,上記被覆工程においては,上記絶縁
部材を形成する際,2種類以上の絶縁材料を混ぜ合わせ
て上記絶縁部材を形成することが好ましい(請求項
7)。この場合には,例えば化学的に非常に不安定で硬
化しやすい絶縁材料であっても,化学的に安定な状態で
保管することができる。そのため,使用前に上記絶縁材
料が硬化してしまう等の問題を未然に防止することがで
きる。
【0022】また,上記被覆工程においては,上記絶縁
部材を多層に形成することが好ましい(請求項8)。こ
の場合には,1層ごとの上記絶縁部材を薄くすることが
できる。上記のごとく薄い絶縁部材にあっては,乾燥収
縮によるストレスの発生が抑制され,クラック等を生じ
ることが少ない。そして,クラックのない上記絶縁部材
が形成された上記積層型圧電素子にあっては,上記外部
電極がリークすることがなく,良好な素子性能が発揮さ
れる。また,上記絶縁材料を複数回に分けて印刷するた
め,上記絶縁材料のたれ等を生じることがなく作業性が
良好である。
【0023】さらに,各絶縁部材の層ごとに絶縁材料を
変更することも考えられる。ここでは,各層の絶縁部材
の特徴の組み合わせにより,単一の絶縁材料ではなし得
ない高い性能を発揮させることができる。また,各層の
絶縁部材が接する相手との親和性を考慮して,各絶縁材
料を選択することにより,各層の境界面の状態を良好に
保つことができるという効果も有する。
【0024】
【実施例】(実施例1)本発明の実施例にかかる積層型
圧電素子の製造方法につき,図1〜図15を用いて説明
する。本例は,セラミック層と内部電極層とを交互に積
層したセラミック積層体に外部電極を形成した積層型圧
電素子を製造する方法である。本例の製造方法は,図1
に示すごとく,セラミック積層体作製工程S10と,内
部電極位置検出工程S20と,内部電極層被覆工程S3
0と,外部電極形成工程S40とを含む製造方法であ
る。
【0025】上記セラミック積層体作製工程S10は,
上記セラミック層と該セラミック層の積層面の全面に施
された上記内部電極層とを交互に積層してなるセラミッ
ク積層体を得る工程である。上記内部電極位置検出工程
S20は,上記セラミック積層体の外周面上にあって軸
方向に平行な第1側面及び第2側面の画像に基づいて,
上記第1側面及び上記第2側面に露出した上記内部電極
層の位置を画像処理手段によって検出する工程である。
上記内部電極層被覆工程S30は,上記第1側面及び上
記第2側面においてそれぞれ一層おきに上記内部電極層
を被覆する絶縁部材を,上記第1側面と上記第2側面と
において交互に位置がずれるように配置する工程であ
る。上記外部電極形成工程S40は,上記第1側面及び
上記第2側面において一層おきに露出した内部電極層を
接続する1対の外部電極を形成する工程である。以下,
本例による実施の内容について,各工程に分けて詳しく
説明する。
【0026】本例において製造する上記積層型圧電素子
10は,図15に示すごとく,厚さ約80μmのセラミ
ック層13と,厚さ約5μmの内部電極層14とを交互
に500層積層したセラミック積層体1に,一対の外部
電極15を形成したものである。なお,本例の上記セラ
ミック積層体1は,その軸方向に平行であって対向する
平面である第1側面11及び第2側面12とを有し,そ
の断面形状が樽形である。当然のことながら,セラミッ
ク積層体の断面形状は樽形に限定されるものではなく,
用途,使用状況に合わせて変更可能である。
【0027】そして,本例においては,図3,図8,図
12に示すごとく,打抜き積層装置131と,画像処理
装置2と,印刷装置3とを含む製造装置を用いて,上記
積層型圧電素子10の製造を実施した。上記セラミック
積層体作製工程S10を実施するに当たっては,図2に
示すごとく,グリーンシートを作製するシート作製工程
S11と,上記グリーンシート上に内部電極を印刷する
内部電極印刷工程S12と,上記グリーンシートを打ち
抜いて積層する打抜き積層工程S13と,上記積層した
積層体を熱圧着する熱圧着工程S14と,上記積層体を
焼成してセラミック積層体を得る焼成工程S15と,上
記セラミック積層体を機械加工する外形整形工程S16
とを行う。
【0028】ここでは,まず,上記シート作製工程S1
1を実施し,圧電素子材料であるグリーンシート用のス
ラリーからグリーンシート111を作製する。ここで,
上記スラリーは,チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)など
の圧電セラミックスになるセラミック原料にバインダー
と微量の可塑剤及び消泡剤を添加した後,有機溶媒中に
分散させたものである。
【0029】本例では,上記スラリーを,ドクターブレ
ード法によってキャリアフィルム上に塗布し,所定厚さ
のグリーンシート111を生成した。なお,上記スラリ
ーからグリーンシート111を生成する方法としてはド
クターブレード法の他,押出成形法その他の種々の方法
を採ることができる。そして,上記内部電極印刷工程S
12を実施し,上記グリーンシート111の表面に内部
電極層122を形成する。本例では,スクリーン印刷用
パターン121を用いて,上記積層面の全面に内部電極
層122としてAg−Pdペーストをスクリーン印刷し
た。
【0030】その後,図3に示すごとく,打抜き積層装
置131を用いて,上記グリーンシート111からグリ
ーンシート片135を打ち抜いて積層する。具体的に
は,上記打抜き積層装置131において,上記グリーン
シート111を所定量送った後,押さえ板137で押さ
えながら,下方へストロークする上記パンチ131を上
記貫通穴133を貫通させて上記ダイ138の貫通穴1
32に進入させるという一連の動作を繰り返す。これに
より,予めダイ138上に載置されていた上記グリーン
シート111からグリーンシート片135が順次打ち抜
かれる。そして,打ち抜かれたグリーンシート片135
は,上記貫通穴132を通って積層ホルダ136の上面
に次々と積層され積層体139を形成する。このとき,
上記積層ホルダ136は,上記積層体139の下側の端
面を保持しながら,積層体139の長さに応じて徐々に
下降する。そして,図4に示すごとく,500枚の上記
グリーンシート片135を積層した積層体139を作製
した。
【0031】そしてさらに,上記熱圧着工程S14にお
いては,上記積層体139の外周面および端面を保持し
た状態で,一定の条件下において積層体139の軸方向
に加圧する。本例では,上記積層体139を雰囲気温度
80℃で30分加熱した後,加圧力F=4kgfで15
秒間加圧した。その後,焼成工程S15を実施し,上記
熱圧着した積層体139を焼成し,図5に示すごとく,
断面略円形のセラミック積層体1を得る。本例では,焼
成として,温度1200℃で2時間保持した後,炉冷し
た。
【0032】その後,外形整形工程S16を実施し,図
6に示すごとく,上記セラミック積層体1の外周面に上
記第1側面11及び上記第2側面12を形成する。ま
ず,図示しない円筒研削盤によって,上記断面略円形の
セラミック積層体1の外周面を整形し一定の真円度を実
現する。そして,図示しない平面研削盤を用いて,上記
セラミック積層体1の外周面に機械加工を施し,上記第
1側面11及び上記第2側面12を形成した。
【0033】次に,図7,図8に示すごとく,上記画像
処理装置2を用いて,上記内部電極位置検出工程S20
を実施する。この工程は,上記セラミック積層体1の側
面にある上記第1側面11及び上記第2側面12につい
てそれぞれ実施し,各側面に露出した内部電極層14の
位置を検出するものである。上記内部電極位置検出工程
S20は,上記セラミック積層体1を上記画像処理装置
2に設置するステップS21と,上記セラミック積層体
1の画像を得るステップS22と,上記画像について2
値化処理を実施するステップS23と,2値化処理の結
果に基づいて各内部電極層の位置を検出するステップS
24と,上記内部電極層の座標位置をマップ化するステ
ップS25とを含む工程である。
【0034】上記画像処理装置2は,図8に示すごと
く,作業台24と,該作業台24との関係が一定に保持
された白黒カメラ210と,上記画像処理手段を実行す
る画像処理ユニット230と,上記セラミック積層体1
を載置する基準治具220とからなる装置である。特
に,本発明を実施するに当たっては,上記画像処理装置
2において,上記内部電極層14の位置を表現する座標
系の定義が重要である。そこで,上記作業台24の作業
面245上に,直交する2つの基準面241,242を
配設した。そして,上記画像処理装置2において,この
2つの基準面241,242が,x軸とy軸とからなる
2次元座標系をなすように構成した。具体的には,上記
基準面241と上記作業面245とが接する線を上記x
軸とし,上記基準面242と上記作業面245とが接す
る線を上記y軸とした。
【0035】上記基準治具220は,図9,図10に示
すごとく,基準断面221,222を有し,略一定厚さ
の正方形形状を有する金属製の剛体プレート229であ
る。上記基準断面221,222は,上記剛体プレート
229の4辺をなす4断面のうち,直交する2断面であ
る。そして,上記基準治具220の上面223には,軸
方向が上記基準断面221と直交し,その軸と基準断面
222との間隔がtxである溝状の凹部225を有して
いる。該凹部225は,上記セラミック積層体1を断面
方向に隙間なく収納しうるように構成してある。
【0036】さらに,上記凹部225の軸方向の端面に
は,基準受面227が配してある。該基準受面227
は,上記基準断面221と平行な面であって,その間隔
はtyである。そして,他方の端面には,スクリュー2
19を介してハンドル228と連接する可動プレート2
26が配され,上記基準受面227との間で上記セラミ
ック積層体1を保持しうるよう構成してある。
【0037】図8に示すごとく,上記白黒カメラ210
は,1/2インチサイズ,640×480画素のCCD
撮像素子と,焦点距離4.5mmのレンズとを有する。
そして,この白黒カメラ210は,上記第1側面11及
び上記第2側面12を撮影して得た画像信号を,アナロ
グのNTSC信号として出力するよう構成してある。ま
た,上記画像処理ユニット230は,上記画像データを
格納するビデオメモリ235と,上記画像データの演算
・加工を実施するCPU233と,上記内部電極層14
の位置を出力するシリアルポート237と,上記ビデオ
メモリ235に対する上記画像データの出し入れを調停
するカスタムIC232とを有する。
【0038】上記のごとく構成された画像処理装置2を
用いて,図7示すごとく,上記内部電極位置検出工程S
20を実施するに当たっては,まず,ステップS21を
実施する。ここでは,上記基準治具220の上記凹部2
25内にセラミック積層体1を載置する。このとき,上
記セラミック積層体1の上記第1側面11あるいは第2
側面12を上面に向けると共に,上記セラミック積層体
1の軸方向にある一方の端面が上記基準受面227と軽
く当接するようにする。
【0039】そして,図8に示すごとく,上記画像処理
装置2で定義した2次元座標系をなすx軸と上記基準治
具220の基準断面221とが一致し,上記y軸と上記
基準断面222が一致するように,上記セラミック積層
体1を載置した基準治具220を上記作業台24に設置
する。このように,上記基準治具220を設置すること
により,上記2次元座標系における上記セラミック積層
体1の座標位置を一意に特定することができる。
【0040】その後,上記ステップS22においては,
上記白黒カメラ210によって,上記セラミック積層体
1の上記第1側面11あるいは上記第2側面12の画像
を撮影する。以上のごとく撮影された画像は,アナログ
のNTSC信号に変換された上,上記画像処理ユニット
230に入力する。そして,上記画像処理ユニット23
0においては,上記NTSC信号をA/D変換しデジタ
ル化した画像データを,上記ビデオメモリ235に格納
する。
【0041】そして,上記ステップS23において,上
記画像データに対して2値化処理を行う。具体的には,
上記CPU233が,読出専用メモリ234から読み込
んだ画像処理プログラムに基づいて,2値化処理を実行
する。ここで,上記2値化処理とは,画像データに含ま
れる各画素の画素値(輝度値)について,予め設定した
しきい値よりも大きいか小さいかを判断する処理であ
る。
【0042】上記セラミック積層体1では,各層の材質
の相違からセラミック層13は白っぽく,対応する画素
の画素値が大きい。一方,内部電極層14はセラミック
層13と比較して灰色であり,対応する画素の画素値は
小さいという傾向がある。したがって,上記2値化処理
によれば,上記セラミック層13と上記内部電極層14
とを確実に識別して検出することができる。
【0043】そして,ステップS24においては,各内
部電極層14の位置を,上記2次元座標系における座標
位置(xi,yi)として表現する。本例においては,
各内部電極層14に対応する画素のx座標値の平均値を
xiとし,y座標値の平均値をyiとした。ここで,本
例では,図10に示すごとく,上記基準治具220に対
する上記凹部225の位置を規定する上記tx及び上記
tyを基準に,上記座標位置(xi,yi)を表示す
る。その後,ステップS25においては,図11に示す
ごとく,上記内部電極層14の座標位置(xi,yi)
から,各内部電極層14毎の2次元マップデータを作成
する。そして,本例では,該マップデータを,上記シリ
アルポート237を介して,上記印刷装置3へ送信す
る。
【0044】次に,図12,図13に示すごとく,印刷
装置3を用いて,上記内部電極層被覆工程S30を実施
する。ここでは,図14に示すごとく,上記第1側面1
1及び上記第2側面12の各側面において,1層おきの
内部電極層14に絶縁部材16を形成し,被覆する。上
記印刷装置3は,上記基準治具220を一の方向に搬送
する搬送台34と,絶縁材料を噴射する印刷ヘッド31
と,印刷ヘッド31を上記搬送方向と直交する方向に進
退させるヘッド移動機構33とを有する装置である。
【0045】上記印刷装置3は,上記画像処理装置2で
検出した上記座標位置にしたがって上記絶縁部材16を
印刷するものであるため,両装置の座標系の関係が既知
であることが必須である。そこで,本例では,図13に
示すごとく,上記搬送台34の搬送面上に,直交する2
つの基準面343と基準面344とを配設すると共に,
上記画像処理装置2と同様の2次元座標系を定義した。
【0046】上記搬送台34は,図13に示すごとく,
上述した基準治具220を載置する載置台341と,載
置台341に埋め込まれ,上記基準治具220を上記2
次元座標系のx座標軸方向に搬送する搬送ローラ342
とを有している。上記搬送ローラ342は,パーソナル
コンピュータ用のプリンタにおける紙送りローラのごと
く作用する。そして,上記基準治具220を上記x軸方
向に,精度良く搬送できるよう構成されている。
【0047】上記ヘッド移動機構33は,印刷ヘッドホ
ルダ331と,上記印刷ヘッド31を進退自在に保持す
る摺動ロッド333と,上記印刷ヘッド31を上記2次
元座標系のy軸方向に進退させるウォームギア332と
からなる。上記印刷ヘッド31は,インクタンク312
と噴射ノズル311とを有すると共に,印刷ヘッド31
の上面にはウォームギア332と係合するギア山313
が配設されている。そして,上記噴射ノズル311か
ら,サーマルインクジェット方式により,ポリイミド樹
脂のインク315を噴射するよう構成されている。
【0048】上記のごとく構成された印刷装置3を用い
て,内部電極層14に絶縁部材16を形成するには,ま
ず,上記内部電極位置検出工程S20で行ったのと同様
にして,上記基準治具220にセラミック積層体1を載
置する。そして,図13に示すごとく,上記印刷装置3
で定義した2次元座標系をなすx軸と上記基準治具22
0の上記基準断面221とが一致し,上記y軸と上記基
準断面222とが一致するように,上記セラミック積層
体1を載置した上記基準治具220を上記搬送台34に
設置する。このように,上記画像処理装置2と同様に上
記基準治具220を設置することにより,上記画像処理
装置2と上記印刷装置3とにおける座標位置表現を共通
化でき,上記両装置で座標位置を共用することができる
ようになる。
【0049】その後,図11のごとく,上記マップデー
タから,座標位置を1個読み取る。本例では,上記第1
側面11に対しては1層目の内部電極層の座標位置(x
1,y1)を読み取り,上記第2側面12に対しては2
層目の座標位置(x2,y2)を読み取った。そしてそ
の後,上記搬送ローラ342及び上記ウォームギア33
2の動きを組み合わせて,上記印刷ヘッド31を,上記
座標位置(x1,y1)あるいは(x2,y2)へ移動
させる。
【0050】そしてさらに,上記印刷ヘッド31を,上
記座標位置を中心とした一定の領域内を移動させながら
上記インク315を噴射し,上記領域に厚さ約5μm〜
8μmの絶縁部材16を形成する。上記一定の領域と
は,その横幅が上記第1側面11あるいは第2側面12
の幅と略一致し,その縦方向の長さが各内部電極層14
の厚み約5μmを含む領域である。本例では,内部電極
層14位置の検出誤差,各内部電極層14の厚さのばら
つき等を考慮して,上記領域の高さを約55μmと設定
した。
【0051】その後さらに,上記マップデータにおい
て,座標位置を1個読み飛ばして次の座標位置(xi,
yi)を読み取る。そして,この座標位置(xi,y
i)へ上記印刷ヘッド31を移動して,上記一定の領域
に厚さ約5μm〜8μmの絶縁部材を形成するという一
連の動作を,上記マップデータの終わりまで繰り返して
実施する。
【0052】その結果,上記セラミック積層体1の一層
おきの内部電極層に,上記ポリイミド樹脂からなる絶縁
部材を形成することができる。さらに,上記のごとく,
上記第1側面11と上記第2側面12とで,上記マップ
データの読み始めを変更したことにより,上記絶縁部材
を,上記第1側面11と上記第2側面12とにおいて,
交互にその位置がずれるよう形成することができる。し
たがって,上記第1側面11と上記第2側面12とに形
成した外部電極16によって,各セラミック層13への
電圧印加が可能となる。
【0053】なお,当然ながら,上記第1側面11に対
して2層目の内部電極層の座標位置(x2,y2)から
読み始め,第2側面12に対しては1層目の座標位置
(x1,y1)から読み始めることとしても問題はな
い。上記絶縁部材が,上記第1側面11と上記第2側面
12とにおいて,交互に位置がずれていれば十分だから
である。
【0054】以上のように,本例によれば,図14に示
すごとく,セラミック層13と,該セラミック層13の
積層面の全面に施された内部電極層14とを交互に積層
した多層構造のセラミック積層体1の2つの側面におい
て,一層おきの内部電極層14を被覆する絶縁部材16
を,上記2つの側面間で位置が異なるように形成したセ
ラミック積層体1を容易に作製することができる。それ
故,上記セラミック積層体1の作製工程を含む上記積層
型圧電素子10の製造工程は,非常に効率が良いもので
ある。
【0055】また,本例によれば,上記絶縁部材16を
高精度に形成することができる。そのため,図15に示
すごとく,上記セラミック積層体1に基づいて製造した
上記積層型圧電素子10は,上記外部電極16のリーク
等がない良好な品質を有するものである。それ故,上記
積層型圧電素子10においては,最大限の圧電効果を引
き出すことができ,優れた素子性能を発揮しうる。さら
に,本例の全面電極構造を有する上記積層型圧電素子1
0にあっては,亀裂等を生じることがなく,長期間に渡
ってその優れた素子性能を発揮,維持することができ
る。
【0056】なお,本例において用いた装置,治具等
は,他の構造,他の方式のものに変更することが可能で
ある。また,上述した座標位置の決定方法等について
も,種々の別方法を適用しても良い。また,上記印刷装
置3におけるインクジェット方式としては,上記サーマ
ルインクジェット方式によるもののほか,ピエゾ方式に
よる方法を利用しても良い。さらに,当然ながら,図1
6に示すごとく,インクジェット方式のほか,ペン先を
対象物に接触させてインクを塗布するタッチペン式等,
種々の印刷方式の適用が考えられる。そして,上記絶縁
材料としては,上記ポリイミド樹脂のほか,シリコン樹
脂,エポキシ樹脂,アクリル樹脂等を適用することがで
きる。
【0057】(実施例2)本例は,内部電極層の位置の
検出手段として,実施例1における画像処理手段に替え
て,金属検出手段を適用した例である。そして,渦電流
式の金属検出手段を有する印刷装置3を用いて,上記内
部電極層14の検出と上記絶縁部材16の形成とを同時
に実施した。ここで,上記渦電流式による金属検出の原
理について説明する。ここでは,検出用コイルから生じ
る磁力線内に金属体があると,該金属体に発生する渦電
流に起因して上記検出用コイルのインピーダンスが変化
することを利用している。
【0058】図17に示すごとく,本例における上記印
刷装置3は,実施例1の上記印刷装置を基にして,上記
印刷ヘッド31に隣接して金属検出コイル361を追加
したものである。このように構成された印刷装置3を用
いて,上記内部電極位置検出工程S20及び上記内部電
極層被覆工程S30とを実施するにあたっては,まず,
上記積層型圧電素子1の上記第1側面11及び上記第2
側面12を,上記金属検出コイル361を用いてスキャ
ンし,各内部電極層14を検出する。具体的には,上記
基準台32の基準受面327から軸方向に向けて順次ス
キャンを実施し,上記積層型圧電素子1の各内部電極層
14を順次検出する。そして,1層おきの内部電極層1
4の位置を検出し次第,順次,絶縁部材16を形成し
た。
【0059】以上のごとく,本例によれば,比較的簡単
な装置構成によって,上記セラミック積層体1の上記第
1側面11及び上記第2側面12において,一層おきの
内部電極層14を被覆する絶縁部材16を,上記2つの
側面間で交互に位置がずれるように形成したセラミック
積層体1を容易に作製することができる。なお,その他
の構成及び作用効果は実施例1と同様である。また,上
記金属検出手段としては,図18に示すごとく,プロー
ブ測定子362によって導電率検出を実施しても良い。
上記セラミック層13の抵抗が0.5〜4×1013Ω
・mであるのに対して,上記内部電極層14の抵抗は1
5Ω・mであるため,プローブ測定子によれば上記内部
電極層14を確実に検出することができる。
【0060】(実施例3)本例においては,実施例1で
用いたポリイミド樹脂の絶縁材料に替えて,本剤と硬化
剤とからなる2液性エポキシ配合樹脂を絶縁材料として
用いた。具体的には,上記絶縁部材を形成する際,本剤
と硬化剤を,上記インクジェット方式により別々に噴射
して混合した。そして,本例で用いた印刷装置は,実施
例1における上記印刷装置3を基にして,印刷ヘッドを
2基に増設したものである。そして,一方の印刷ヘッド
は,本剤を噴射し,他方の印刷ヘッドは,硬化剤を噴射
するように構成してある。上記のごとく構成された印刷
装置を用いて,本例を実施するにあたっては,パーソナ
ルコンピュータ用のインクジェット式カラープリンター
のごとく,上記絶縁材料を個別に噴射して,絶縁材料を
形成する位置で混合した。
【0061】上記のごとく,本例によれば,化学的に不
安定であって硬化しやすい絶縁材料を適用する場合に,
特に有効である。すなわち,保管中においては,上記絶
縁材料の成分を分けておくことができ,上記硬化しやす
い絶縁材料であっても長期間の保存が可能となる。な
お,その他の構成及び作用効果については,実施例1と
同様である。
【0062】(実施例4)実施例1においては,ポリイ
ミド樹脂のインクの噴射回数が1回であったが,本例に
おいては,インクを複数回に分けて噴射し,実施例1と
同じ厚さ約5〜8μmの絶縁部材を形成した。本例の実
施に当たっては,実施例1の上記印刷装置3を用いた。
そして,上記内部電極層被覆工程S30を実施して約2
〜3μmの膜状の絶縁部材を形成した後,乾燥するのを
待つという動作を3回繰り返して実施した。以上のごと
く,形成された絶縁部材は,図19に示すごとく,3層
構造を有するものである。
【0063】上記のごとく,上記絶縁部材16を多層構
造とすることによれば,1層ごとの上記絶縁部材を薄く
することができる。上記のごとく薄い絶縁部材にあって
は,上記絶縁材料が印刷された後,乾燥収縮のストレス
が抑制され,クラック等が発生することが少ない。この
ように,上記絶縁部材のクラックが生じていない良好な
品質の上記積層型圧電素子にあっては,良好な素子性能
をさらに長期間維持することができる。また,上記絶縁
材料を複数回に分けて印刷するため,たれ等の問題がな
く作業性が良好である。なお,その他の構成及び作用効
果については,実施例1と同様である。
【0064】(実施例5)本例においては,実施例4で
用いたポリイミド樹脂のみの絶縁材料に替えて,複数の
絶縁材料を適用した。具体的には,第1層にポリイミド
樹脂の絶縁部材,,第2層にシリコーン樹脂の絶縁部
材,第3層にエポキシ樹脂の絶縁部材をそれぞれ形成し
た。そして,本例で用いた印刷装置は,実施例4におけ
る上記印刷装置3を基にして,印刷ヘッドを3基に増設
したものである。そして,第1印刷ヘッドがポリイミド
樹脂を噴射し,第2印刷ヘッドがシリコーン樹脂を噴射
し,第3印刷ヘッドがエポキシ樹脂を噴射するように構
成されている。
【0065】上記のごとく構成された印刷装置を用い
て,本例を実施するにあたっては,上記絶縁材料を順番
に噴射して,多層からなる上記絶縁部材を形成した。こ
こでは第1層のポリイミド樹脂を噴射した後,その硬化
を待って,第2層のシリコーン樹脂を噴射し,さらにそ
の硬化の後,第3層のエポキシ樹脂を噴射した。そし
て,各層が,約2〜3μmの膜状となるように絶縁部材
を形成した。
【0066】上記のごとく,上記絶縁部材16を多層構
造とすることによれば,全体として,理想的な特性を有
する絶縁部材16を形成することができる。すなわち,
第1層目のポリイミド樹脂は,上記内部電極層14及び
セラミック層13との親和性が高く接着性が高い。そし
て,第2層目のシリコーン樹脂は,絶縁性能が高く,第
3層目のエポキシ樹脂は,非常に高い硬度を有し,強靭
である。本例によれば,これら各層の絶縁材料の特性の
組み合わせにより,全体として良好な特性を有する絶縁
部材を形成することができる。なお,その他の構成及び
作用効果については,実施例4と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,積層型圧電素子の製造工程
を示す工程フロー図。
【図2】実施例1における,セラミック積層体の作製工
程を示す工程フロー図。
【図3】実施例1における,打抜き積層装置を示す図
で,斜視図。
【図4】実施例1における,セラミック積層体の作製工
程の一部を示すイメージ図。
【図5】実施例1における,焼成後のセラミック積層体
を示す図で,斜視図。
【図6】実施例1における,外形整形後のセラミック積
層体を示す図で,斜視図。
【図7】実施例1における,画像処理による内部電極層
の検出手順を示す図で,フロー図。
【図8】実施例1における,画像処理装置を示す図で,
説明図。
【図9】実施例1における,基準治具を示す図で,斜視
図。
【図10】実施例1における,基準治具を示す図で,上
面図。
【図11】実施例1における,内部電極層位置のマップ
データのイメージを示す図で,イラスト図。
【図12】実施例1における,印刷装置を示す図で,正
面図。
【図13】実施例1における,印刷装置を示す図で,上
面図。
【図14】実施例1における,一層おきの内部電極層に
絶縁部材を形成したセラミック積層体を示す図で,斜視
図。
【図15】実施例1における,積層型圧電素子を示す図
で,斜視図。
【図16】実施例1における,タッチペンにより絶縁部
材を形成する方法を示す図で,イラスト図。
【図17】実施例2における,金属検出コイルを有する
印刷装置を示す図で,上面図。
【図18】実施例2における,プローブ測定子による内
部電極層の検出を示す図で,イラスト図。
【図19】実施例4における,3層構造の絶縁部材を示
す図で,断面図。
【符号の説明】
1...セラミック積層体, 10...積層型圧電素子, 13...セラミック層, 14...内部電極, 15...外部電極, 16...絶縁部材, 2...画像処理装置, 220...基準治具, 3...印刷装置, 31...印刷ヘッド, 311...噴射ノズル, 111...グリーンシート, 131...打抜き積層装置,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾崎 昭二 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 伊藤 鉄次 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック層と内部電極層とを交互に積
    層したセラミック積層体に外部電極を形成してなる積層
    型圧電素子を製造する方法において,上記セラミック層
    と該セラミック層の積層面の全面に施された上記内部電
    極層とを交互に積層してなるセラミック積層体を得るセ
    ラミック積層体作製工程と,上記セラミック積層体の外
    周面上にあって軸方向に平行な第1側面及び第2側面の
    画像に基づいて,上記第1側面及び上記第2側面に露出
    した上記内部電極層の位置を画像処理手段によって検出
    する内部電極層位置検出工程と,上記位置検出した結果
    に基づいて,上記第1側面及び上記第2側面においてそ
    れぞれ一層おきに上記内部電極層を被覆する絶縁部材
    を,上記第1側面と上記第2側面とにおいて交互に位置
    がずれるように配置する内部電極層被覆工程と,上記第
    1側面及び上記第2側面において一層おきに露出した内
    部電極層を接続する1対の外部電極を形成する外部電極
    形成工程とを有することを特徴とする積層型圧電素子の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 セラミック層と内部電極層とを交互に積
    層したセラミック積層体に外部電極を形成してなる積層
    型圧電素子を製造する方法において,上記セラミック層
    と該セラミック層の積層面の全面に施された上記内部電
    極層とを交互に積層してなるセラミック積層体を得るセ
    ラミック積層体作製工程と,上記セラミック積層体の外
    周面上にあって軸方向に平行な第1側面及び第2側面に
    露出した上記内部電極層の位置を金属検出手段によって
    検出する内部電極層位置検出工程と,上記位置検出した
    結果に基づいて,上記第1側面及び上記第2側面におい
    てそれぞれ一層おきに上記内部電極層を被覆する絶縁部
    材を,上記第1側面と上記第2側面とにおいて交互に位
    置がずれるように配置する内部電極層被覆工程と,上記
    第1側面及び上記第2側面において一層おきに露出した
    内部電極層を接続する1対の外部電極を形成する外部電
    極形成工程とを有することを特徴とする積層型圧電素子
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において,上記金属検出手段と
    しては,磁気検出手段,光磁気検出手段,導電率検出手
    段のいずれかを用いることを特徴とする積層型圧電素子
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 セラミック層と内部電極層とを交互に積
    層したセラミック積層体に外部電極を形成してなる積層
    型圧電素子を製造する方法において,上記セラミック層
    と該セラミック層の積層面の全面に施された上記内部電
    極層とを交互に積層してなるセラミック積層体を得るセ
    ラミック積層体作製工程と,上記セラミック積層体の外
    周面上にあって軸方向に平行な第1側面及び第2側面に
    露出した上記内部電極層の位置を,光に対する反射率を
    測定する反射率測定手段によって検出する内部電極位置
    検出工程と,上記位置検出した結果に基づいて,上記第
    1側面及び上記第2側面においてそれぞれ一層おきに上
    記内部電極層を被覆する絶縁部材を,上記第1側面と上
    記第2側面とにおいて交互に位置がずれるように配置す
    る内部電極層被覆工程と,上記第1側面及び上記第2側
    面において一層おきに露出した内部電極層を接続する1
    対の外部電極を形成する外部電極形成工程とを有するこ
    とを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において,上記反射率測定手段
    としては,照射するレーザ光のうち反射したレーザ光の
    強度を測定する反射レーザ光測定手段を用いることを特
    徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項において,
    上記被覆工程においてはインクジェット方式によって絶
    縁材料を上記内部電極層に吹き付けて上記絶縁部材を形
    成することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項において,
    上記被覆工程においては,上記絶縁部材を形成する際,
    2種類以上の絶縁材料を混ぜ合わせて上記絶縁部材を形
    成することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項において,
    上記被覆工程においては,上記絶縁部材を多層に形成す
    ることを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
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