JP2002293626A - 圧電磁器及び積層型圧電素子並びに噴射装置 - Google Patents

圧電磁器及び積層型圧電素子並びに噴射装置

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JP2002293626A
JP2002293626A JP2001100380A JP2001100380A JP2002293626A JP 2002293626 A JP2002293626 A JP 2002293626A JP 2001100380 A JP2001100380 A JP 2001100380A JP 2001100380 A JP2001100380 A JP 2001100380A JP 2002293626 A JP2002293626 A JP 2002293626A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低温焼成できるとともに、キュリー温度が高
く、しかも圧電歪定数が大きい圧電磁器及び積層型圧電
素子並びに噴射装置を提供する。 【解決手段】Pb、Zr及びTiを主成分とするペロブ
スカイト型複合酸化物であって、該ペロブスカイト型複
合酸化物のAサイトをCa、Sr及びBaのうち少なく
とも1種で10モル%以下置換するとともに、Bサイト
を、Wと、Nbと、Crと、Y、Dy、Ho、Er、T
m、Lu及びYbのうち少なくとも1種とで合計10モ
ル%以下置換してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電磁器及び積層
型圧電素子並びに噴射装置に係わり、例えば、セラミッ
クフィルタ、超音波応用振動子、圧電ブザー、圧電点火
ユニット、超音波モータ、圧電ファン、圧電アクチュエ
ータ、および加速度センサ、ノッキングセンサ、AEセ
ンサ等に適する圧電磁器及び積層型圧電素子並びに噴射
装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来から、圧電磁器を利用した製品として
は、例えばセラミックフィルタ、超音波応用振動子、圧
電ブザー、圧電点火ユニット、超音波モータ、圧電ファ
ン、圧電アクチュエータ、および加速度センサ、ノッキ
ングセンサ、AEセンサ等の圧電センサが知られてい
る。
【0003】ここで、圧電アクチュエータは、圧電体が
有する逆圧電効果を利用するものであり、従来より、圧
電磁器と内部電極とを交互積層し圧電縦効果を応用した
積層型圧電アクチュエータが知られている。圧電アクチ
ュエータでは、大きな変位が必要な場合、使用する圧電
磁器としては、圧電歪定数の大きなものが適している。
また、低電圧で大きな変位を得る為に、薄層圧電磁器と
内部電極を交互に積層した同時焼成型のものが種々考案
されている。
【0004】同時焼成型の圧電アクチュエータに使用さ
れる圧電磁器は、圧電歪定数が優れていることに加え、
内部電極の材料費を低減するために、焼結温度の低いも
のが求められている。比較的圧電性が大きく、焼結温度
を低下させた材料として、例えば、特開平9−1942
58号公報にPb(Zr、Ti)O3−Pb(Mn、S
b)O3−Pb(Zn、Nb)O3系圧電材料が開示され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
車載用途など高温雰囲気下での動作が要求される圧電ア
クチュエータに、圧電歪定数の大きなPb(Zr、T
i)O3−Pb(Mn、Sb)O3−Pb(Zn、Nb)
3系圧電材料を用いた場合、キュリー温度が低いた
め、キュリー温度付近で誘電率が急激に変化するという
問題があった。
【0006】また、一般に圧電磁器では、圧電歪定数が
大きくなるとキュリー温度が低くなる傾向があるため、
高温用途においては、積層型圧電アクチュエータを構成
する圧電セラミックスにキュリー温度の高いものを用
い、積層数を増加させることによって必要変位量を確保
してきた。しかしながら、安易に積層数によって変位量
を大きくすることは、信頼性の低下、及び製品コストの
増加につながるといった問題があった。
【0007】本発明は、低温焼成できるとともに、キュ
リー温度が高く、しかも圧電歪定数が大きい圧電磁器及
び積層型圧電素子並びに噴射装置を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電磁器は、P
b、Zr及びTiを主成分とするペロブスカイト型複合
酸化物であって、該ペロブスカイト型複合酸化物のAサ
イトをCa、Sr及びBaのうち少なくとも1種で10
モル%以下置換するとともに、Bサイトを、Wと、Nb
と、Crと、Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及びY
bのうち少なくとも1種とで合計10モル%以下置換し
てなるものである。
【0009】本発明の圧電磁器では、Bサイトの一部
を、Wと、Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及びYb
のうち少なくとも1種とで置換することにより、比較的
少量の固溶量で、ジルコン酸チタン酸鉛が本来有してい
る高いキュリー温度をほとんど低下させることなく圧電
性を高めることができる。
【0010】また、Bサイトの一部をNbとCrで置換
することにより、1000℃以下の焼成温度で、金属元
素W、Ybなどの固溶効果による大きな圧電歪定数と高
いキュリー温度を維持した圧電磁器を得ることが可能と
なる。
【0011】さらに、Aサイトの一部をCa、Sr、B
aで総量10モル%以下置換することにより、高いキュ
リー温度を保持したまま、圧電歪定数を向上させること
ができる。
【0012】また、本発明の圧電磁器は、一般式を、P
1-aa(Yb2/31/3x(Cr1 /2Nb1/2y(Zr
1-zTiz1-x-y3と表したとき、前記x、y、z、a
が、0.01≦x≦0.05、0.005≦y≦0.0
3、0.48≦z≦0.50、0.03≦a≦0.1
0、Mは、Ca、Sr及びBaのうち少なくとも1種の
関係を満足することが望ましい。
【0013】このような圧電磁器では、1000℃以下
で焼成できるとともに、270℃以上のキュリー温度を
得ることができ、しかも高い圧電歪定数を得ることがで
きる。これにより、製品コストが低く、しかも高温での
駆動が可能で、かつ信頼性の高い積層型圧電アクチュエ
ータを実現できる。
【0014】本発明の積層型圧電素子は、圧電体と電極
とを交互に積層してなるとともに、前記圧電体が、上記
圧電磁器からなるとともに、前記電極中の全金属に対す
るAg含有量が90重量%以上であることを特徴とす
る。このような積層型圧電素子では、圧電磁器が、上記
したように、1000℃以下で焼成できるため、圧電体
と電極を同時焼成して積層型圧電素子を作製する際に、
電極中の全金属に対するAg含有量を90重量%以上と
することができ、高価なPt等の貴金属の含有量を低減
でき、安価な積層型圧電素子を得ることができる。
【0015】また、本発明の噴射装置は、噴射孔を有す
る収納容器と、該収納容器内に収容された上記積層型圧
電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔か
ら液体を噴出させるバルブとを具備してなるものであ
る。
【0016】上記したように、積層型圧電素子は、低温
で同時焼成して作製できるため、内部電極中におけるA
g含有量を低減して製品コストを削減でき、しかも構成
する圧電磁器の圧電歪定数が大きいため、所望の変位量
を少ない積層数で実現できる。これにより、低コストで
噴射特性の優れた高温雰囲気での使用が可能な噴射装置
を提供できる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の積層型圧電素子で
ある積層型圧電アクチュエータの斜視図を示すもので、
この積層型圧電アクチュエータは、複数の圧電体1と複
数の内部電極2とを交互に積層してなる活性体3aと、
この活性体3aの両端面に形成された不活性体3bから
なる柱状積層体3の対向する側面において、内部電極2
の端部に1層おきに絶縁体4を形成し、絶縁体4を形成
していない内部電極2の端部を同一の外部電極5に接続
して構成されている。
【0018】活性体3aと不活性体3bは同時焼成され
て柱状積層体3が形成されており、活性体3aの圧電体
1と不活性体3bは、同一圧電セラミック材料から構成
されることが、焼成時における収縮差を小さくするとい
う点から望ましい。活性体3aは、変位を発生させる部
分であり、不活性体3bは、柱状積層体3を機械的に保
持し、発生する力を外部へ伝達する機能を有する。
【0019】内部電極2は、同時焼成時には柱状積層体
3の全ての側面に露出しているが、そのうち対向する側
面において、内部電極2端部を含む圧電体1の端部1層
おきに溝が形成され、該溝にガラス、エポキシ樹脂、ポ
リイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム
等の絶縁体4が充填され、これにより、内部電極2の一
方の端部が絶縁されている。
【0020】なお、絶縁体4は低ヤング率の材質、例え
ばシリコーンゴム等が好ましい。このように、内部電極
2は互い違いに1層おきに絶縁され、絶縁されていない
内部電極2の他方の端面は、例えば、予め塗布しておい
た導電性耐熱接着剤5aに導電性部材5bを密着させた
状態で、導電性耐熱接着剤5aを加熱硬化させることに
より、外部電極5が形成されている。外部電極5の下側
端部にはリード線6が取り付けられている。
【0021】活性体3aの圧電体1の厚みは0.05〜
0.25mm、内部電極2の厚みは0.003〜0.0
1mm、不活性体3bの厚みはそれぞれ0.5〜3mm
とされ、圧電体1、内部電極2の積層数は、所望の特性
を得るためにそれぞれ100〜400層とされている。
【0022】さらに、内部電極2間の沿面放電を防止
し、大きな電圧を印加するために、柱状積層体3の側面
がシリコーンゴムなどの伸縮性をもつ絶縁物からなる被
覆層(図示せず)で被覆されている。
【0023】内部電極2は、全金属に対するAg含有量
が90重量%以上とされている。内部電極2は、Ag
と、貴金属(Pd、Ptなど)とからなり、これらの全
金属中に対するAg量が90重量%以上、言い換えれ
ば、Pd、Ptなど貴金属の含有量が10重量%以下と
されている。このように貴金属量を低減できるため、低
コスト化を図ることができる。低コスト化という点か
ら、金属材料としてはAgのみからなることが望まし
い。尚、内部電極中には、ガラスを含有していても良
い。
【0024】そして、本発明では、圧電体1を構成する
圧電磁器は、Pb、Zr及びTiを主成分とするペロブ
スカイト型複合酸化物であって、該ペロブスカイト型複
合酸化物のAサイトをCa、Sr及びBaのうち少なく
とも1種で10モル%以下置換するとともに、Bサイト
を、Wと、Nbと、Crと、Y、Dy、Ho、Er、T
m、Lu及びYbのうち少なくとも1種とで合計10モ
ル%以下置換してなることを特徴とする。
【0025】金属元素WとY、Dy、Ho、Er、T
m、LuおよびYbからなる群より選ばれる1種の金属
元素の2種を合わせて選択することにより、比較的少量
の固溶量で、ジルコン酸チタン酸鉛が本来有している高
いキュリー温度をほとんど低下させることなく圧電性を
高めることができる。
【0026】更に、Bサイトの一部を金属成分Nb、お
よびCrで少量固溶させることにより、金属元素W、Y
bなどの固溶効果による大きな圧電歪定数と高いキュリ
ー温度を維持した圧電磁器を、1000℃以下の焼成温
度で得ることができる。
【0027】このとき、Bサイトに含まれる副成分の総
量、即ち、Wと、Nbと、Crと、Y、Dy、Ho、E
r、Tm、Lu及びYbのうち少なくとも1種とによる
Bサイトの置換量を10モル%以下とすることが重要で
ある。これにより、キュリー温度を280℃以上と非常
に高くすることができる。一方、上記副成分による置換
量が10モル%よりも多いと、キュリー温度が低下する
からである。特にBサイトに含まれる副成分の総量とし
て好ましくは、2〜5モル%である。
【0028】また、Aサイトの一部をCa、Sr、Ba
からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素で1
0モル%以下置換することが重要である。これにより、
高いキュリー温度を保持したまま、更に、圧電歪み定数
を向上させることができる。Aサイトに含まれる副成分
の量が10モル%より多くなるとキュリー温度の低下が
大きくなるため、Aサイトに含まれる副成分の量として
は、10モル%以下が好ましい。特にAサイトに含まれ
る副成分量として、キュリー温度向上という点から、4
〜8モル%であることが望ましい。
【0029】本発明の圧電磁器は、一般式を、Pb1-a
a(Yb2/31/3x(Cr1/2Nb 1/2y(Zr1-z
z1-x-y3と表したとき、x、y、z、aが、0.
01≦x≦0.05、0.005≦y≦0.03、0.
48≦z≦0.50、0.03≦a≦0.1、Mは、C
a、Sr及びBaのうち少なくとも1種の関係を満足す
ることが望ましい。
【0030】一般式において、AサイトのCa、Sr及
びBaのうち少なくとも1種による置換量を示すaを
0.03〜0.1としたのは、この範囲ならば、キュリ
ー温度を高く維持することができるからである。一方、
aが0.03より小さくなると圧電歪定数の向上効果が
小さく、0.1よりも大きい場合にはキュリー温度が低
下するからである。aは、高いキュリー温度を維持し、
圧電歪定数を向上するという点から0.04〜0.07
であることが望ましい。
【0031】また、Aサイトの置換は、Ca、Sr、B
aのうちSrとBaの組合せが望ましい。
【0032】さらに、Bサイトの、Wと、Y、Dy、H
o、Er、Tm、Lu及びYbのうち少なくとも1種に
よる置換量を示すxは、0.01〜0.05であること
が望ましい。これにより、高いキュリー温度を維持した
状態で圧電性を高めることができるが、置換量xが、
0.01よりも小さい場合には焼成温度が高くなる傾向
があり、また、0.05より置換量が多いときにはキュ
リー温度が低下する傾向がある。Bサイトの、Wと、Y
等による置換量xは、焼成温度を低下し、高いキュリー
温度を維持するという点から、0.01〜0.03であ
ることが望ましい。
【0033】BサイトのY、Dy、Ho、Er、Tm、
Lu及びYbのうち少なくとも1種による置換は、圧電
歪定数の向上という点から、Y、Ybが望ましく、特に
は、Ybが望ましい。
【0034】また、Bサイトの(Cr1/2Nb1/2)によ
る置換量を示すyが0.005〜0.03を満足するこ
とにより、大きな圧電歪定数と高いキュリー温度を維持
した圧電磁器を、1000℃以下の焼成温度で得ること
ができるが、yが0.005よりも小さい場合には、低
温焼成化の効果が小さく、一方、yが0.03よりも大
きい場合には、他成分との組み合わせによってはキュリ
ー温度の低下が大きくなってしまうからである。yは、
0.01〜0.02であることが望ましい。
【0035】TiによるZrの置換量を示すzは、0.
48≦z≦0.5の範囲内に優れた圧電歪定数を示す組
成領域が存在する。一方、zが0.48よりも小さい場
合、あるいは0.5よりも大きい場合には、圧電歪定数
が小さくなる傾向がある。
【0036】以上のように構成された同時焼成型の積層
圧電アクチュエータは、以下のプロセスにより製造され
る。先ず、原料粉末として高純度のPbO、ZrO2
TiO2、Cr23、Nb25、WO3、BaCO3、S
rCO3、CaCO3およびYb23などの各原料粉末を
所定量秤量し、ボールミル等で10〜24時間湿式混合
し、次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、800〜
900℃で1〜3時間仮焼し、当該仮焼物を再びボール
ミル等で粒度分布がD50で0.5±0.2μm、D90
0.8μm未満となるように湿式粉砕する。
【0037】得られた粉砕原料と有機高分子からなるバ
インダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、ス
リップキャステイング法によりセラミックグリーンシー
トを作製する。
【0038】このグリーンシートの片面に、Ag含有量
が90重量%以上のAg/Pt導電性ペーストをスクリ
ーン印刷法により印刷する。この導電性ペーストを乾燥
させた後、導電性ペーストが塗布された複数のグリーン
シートを所定の枚数だけ積層し、この積層体の積層方向
の両端部に、導電性ペーストが塗布されていないグリー
ンシートを積層する。
【0039】次に、この積層体を50〜200℃で加熱
を行いながら加圧を行い、積層体を一体化する。一体化
された積層体は所定の大きさに切断された後、400〜
800℃で5〜40時間、脱バインダが行われ、100
0℃以下で本焼成が行われ、柱状積層体となる積層焼結
体を得る。この柱状積層体の側面には、内部電極2の端
部が露出している。
【0040】その後、該柱状積層体の2つの側面におい
て、内部電極2端部を含む圧電体1の端部に該2側面に
おいて互い違いになるように、1層おきに深さ50〜1
50μm、積層方向の幅50〜100μmの溝を形成
し、該溝にシリコーンゴム等の絶縁体を充填する。以上
のように、内部電極は互い違いに1層おきに絶縁され、
交互に同一の外部電極に接続される。
【0041】この後、正極用外部電極、負極用外部電極
にリード線を接続し、アクチュエータの外周面にデイッ
ピング等の方法により、シリコーンゴムを被覆した後、
3kV/mmの分極電界を印加し、分極処理すること
で、最終的な積層型圧電アクチュエータを得る。
【0042】なお、本発明の積層型圧電アクチュエータ
は、四角柱、六角柱、円柱等、どのような柱体であって
も構わないが、切断の容易性から四角柱状が望ましい。
【0043】本発明の圧電体を構成する圧電磁器は、ペ
ロブスカイト型結晶を主結晶相とするもので、異相は殆
ど存在しないことが望ましい。また、Ag、Al、F
e、S、Cl、Eu、K、P、Cu、Mg、Si等が不
可避不純物として混入する場合もあるが、特性上問題な
い。
【0044】また、Bサイトに固溶させるW、Nb、C
r以外の副成分は、Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu
およびYbからなる群より選ばれた金属元素であれば、
特に1種類に限定されるものでなく、複合して選択して
も同様の効果が得られる。
【0045】また、本発明の圧電磁器におけるペロブス
カイト結晶相のAサイトとBサイトの原子数比(A/B
比)は、0.98〜1.02の範囲であれば、特性調整
の為に変更しても問題ない。
【0046】図2は、本発明の噴射装置を示すもので、
図において符号31は収納容器を示している。この収納
容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容
器31内には、噴射孔33を開閉することができるニー
ドルバルブ35が収容されている。
【0047】噴射孔33には燃料通路37が連通可能に
設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結
され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給され
ている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開
放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の
高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるよう
に形成されている。
【0048】また、ニードルバルブ35の上端部は直径
が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリン
ダ39と摺動可能なピストン41を有している。そし
て、収納容器31内には、上記した圧電アクチュエータ
43が収納されている。
【0049】このような噴射装置では、圧電アクチュエ
ータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41
が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞
し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止
されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45
がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37
と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0050】
【実施例】原料粉末として高純度のPbO、ZrO2
TiO2、BaCO3、SrCo3、CaCO3、WO3
Yb23、Y23、Dy23、Ho23、Er23、T
23、Lu23、Nb25およびCr23の各原料粉
末を所定量秤量し、ボールミルで20時間湿式混合し
た。次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、900℃
で3時間仮焼し、当該仮焼物を再びボールミルで湿式粉
砕し脱水、乾燥して粉砕原料を得た。
【0051】次いで、その粉砕原料に有機バインダー
(PVA)を混合し、造粒した。得られた粉末を150
0kgf/cm2の圧力でプレス成形し円柱形状の成形
体を得た。更に、これらの成形体をMgO等からなる容
器内に密閉し、大気中1000℃で2時間の条件で焼成
した。
【0052】得られた円柱形状の焼結体の両主面にAg
ペーストを焼付けることにより電極を形成し、80℃の
シリコンオイル中で2kV/mmの直流電界を30分間
印加して分極処理した後、インピーダンスアナライザー
を用いた共振・反共振法による測定によって得られた測
定値を用い、日本電子材料工業会標準規格EMAS−6
100に基づいて圧電歪定数d33を評価した。また、比
誘電率の温度特性から比誘電率が極大値となる温度をキ
ュリー温度とした。
【0053】尚、表1では、組成式を、Pb0.9 25Ba
0.04Sr0.03(R2/31/30.015(Cr1/2Nb1/2y
(Zr0.52Ti0.481- y3と固定し、希土類元素Rの
元素、yを変化させたときの圧電歪定数d33、磁器密
度、キュリー温度を求め、記載した。
【0054】また、表2では、組成式を、Pb0.96Ba
0.04(Yb2/31/3x(Cr1/2Nb1/2y(Zr1- z
Tiz1- x - y3と固定し、x、y、zを変化させたと
きの圧電歪定数d33、磁器密度、キュリー温度を求め、
記載した。
【0055】表3では、組成式を、Pb1-e-f-gBae
fCag(Yb2/31/30.015(Cr1/2Nb1/2
0.02(Zr1- zTiz0.9653と固定し、e、f、g、
zを変化させたときの圧電歪定数d33、磁器密度、キュ
リー温度を求め、記載した。
【0056】表4では、組成式を、Pb0.93Ba0.04
0.03(Yb2/31/3x(Cr1/2Nb1/2y(Zr
1-zTiz1-x-y3と固定し、x、y、zを変化させた
ときの圧電歪定数d33、磁器密度、キュリー温度を求
め、記載した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】表1から、(Cr1/2Nb1/2)を含まない
試料No.1の場合には、1000℃での焼成では磁器
密度が低く、圧電歪定数d33が低いことが判る。これに
対して、本発明の実施例では、磁器密度が7.4g/c
3以上であり、圧電歪定数d33が500pC/N以
上、キュリー温度が295℃以上であることが判る。ま
た、希土類元素の中でもYbが最も特性が良好であるこ
とが判る。
【0062】また、表2から、Bサイトの副成分(Yb
2/31/3)、(Cr1/2Nb1/2)による置換量の合計が
10モル%以下の場合には、キュリー温度が290℃以
上と高いが、10モル%よりも多くなると、キュリー温
度が低下することが判る。
【0063】さらに、表3から、AサイトのCa、S
r、Baによる置換量が10モル%以下の場合には、キ
ュリー温度が280℃以上と高く圧電歪定数d33も48
5pC/N以上と大きいが、10モル%を越えると、キ
ュリー温度が低下することが判る。
【0064】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、B
サイトの一部を、Wと、Y、Dy、Ho、Er、Tm、
Lu及びYbのうち少なくとも1種とで置換することに
より、比較的少量の固溶量で、ジルコン酸チタン酸鉛が
本来有している高いキュリー温度を大きく低下させるこ
となく圧電性を高めることができ、また、Bサイトの一
部をNbとCrで置換することにより、1000℃以下
の焼成温度で金属元素W、Ybなどの固溶によって得ら
れる材料の大きな圧電歪定数と高いキュリー温度を維持
した圧電磁器を得ることができ、さらに、Aサイトの一
部をCa、Sr、Baで総量10モル%以下置換するこ
とにより、高いキュリー温度を保持したまま、更に圧電
歪み定数を向上させることができる。従って、本発明に
よれば、圧電歪定数が大きくキュリー温度の高い圧電磁
器を1000℃以下の焼成温度で得ることができ、高信
頼性、低コスト及び高温での駆動が可能な積層型圧電素
子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電アクチュエータを示す斜視
図である。
【図2】本発明の噴射装置の説明図である。
【符号の説明】
1・・・圧電体 2・・・内部電極 31・・・収納容器 33・・・噴射孔 35・・・バルブ 43・・・圧電アクチュエータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/18 101F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Pb、Zr及びTiを主成分とするペロブ
    スカイト型複合酸化物であって、該ペロブスカイト型複
    合酸化物のAサイトをCa、Sr及びBaのうち少なく
    とも1種で10モル%以下置換するとともに、Bサイト
    を、Wと、Nbと、Crと、Y、Dy、Ho、Er、T
    m、Lu及びYbのうち少なくとも1種とで合計10モ
    ル%以下置換してなることを特徴とする圧電磁器。
  2. 【請求項2】一般式を、 Pb1-aa(Yb2/31/3x(Cr1/2Nb1/2y(Z
    1-zTiz1-x-y3 と表したとき、前記x、y、z、aが、 0.01 ≦x≦0.05 0.005≦y≦0.03 0.48 ≦z≦0.50 0.03 ≦a≦0.10 Mは、Ca、Sr及びBaのうち少なくとも1種の関係
    を満足することを特徴とする請求項1記載の圧電磁器。
  3. 【請求項3】圧電体と電極とを交互に積層してなるとと
    もに、前記圧電体が、請求項1又は2記載の圧電磁器か
    らなるとともに、前記電極中の全金属に対するAg含有
    量が90重量%以上であることを特徴とする積層型圧電
    素子。
  4. 【請求項4】噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内
    に収容された請求項3記載の積層型圧電素子と、該積層
    型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させ
    るバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
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