JPWO2004081400A1 - 流体軸受装置 - Google Patents

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隆文 淺田
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Abstract

低温での損失トルクの増加と高温での軸振れの増加を抑制するとともにスリーブの加工性を改善するために、軸の材料に高マンガンクロム鋼またはオーステナイト系ステンレス鋼を使い、スリーブの材料に硫黄快削鋼を使用して、その表面にニッケルと燐を主成分とするメッキを施す。これにより、温度変化による潤滑剤の粘度変化による軸受の性能変化を防止し、合わせてスリーブと動圧発生溝の加工性と軸受の耐摩耗性を最良にできる流体軸受装置を得ることが可能となる。

Description

本発明は、高速かつ高精度の回転が必要な回転装置の主軸部に用いられる流体軸受装置に関する。
近年磁気ディスク等を用いた回転型の記録装置では、そのメモリー容量が増大するとともにデータの転送速度が高速化している。そのため、この種の記録装置に用いられるディスク回転装置は高速かつ高精度の回転を必要とするので、回転主軸部には流体軸受装置が用いられている。
以下、図14から図18bを参照して従来の流体軸受装置について説明する。図14において、軸211はスリーブ212の軸受穴212Aに回転可能に挿入されている。軸211は、図において下端部に一体に構成されたフランジ213を有している。フランジ213はベース217に取り付けられたスリーブ212の段部に収納され、スラスト板214に対向して回転可能に構成されている。軸211には、ロータ磁石220が固定されたロータハブ218が取り付けられている。ロータ磁石220に対向するモータステータ219がベース217に取り付けられている。スリーブ212の軸受穴212Aの内周面には動圧発生溝212B、212Cが設けられている。フランジ213の、スリーブ212の段部との対向面には動圧発生溝213Aが設けられている。フランジ213の、スラスト板214との対向面には動圧発生溝213Bが設けられている。動圧発生溝212B、212C、213A及び213Bを含む、軸211及びフランジ213と、スリーブ212との隙間にはオイルが充填されている。
以上のように構成された従来の流体軸受装置の動作を、図14から図18bを用いて説明する。図14において、モータステータ219に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石220、ロータハブ218、軸211、フランジ213が回転をはじめる。この時動圧発生溝212B、212C、213A、213Bによりオイルにポンピング圧力が発生し、軸211は浮上しスラスト板213及び軸受穴212Aの内周面に接触せずに回転する。
上記の従来の流体軸受装置では次の様な問題点があった。図14に示すように、軸211は、スリーブ212の軸受穴212A内に満たされたオイルにより潤滑されながら回転する。一般にオイルは図15のグラフに示す様に温度が低くなるとオイル粘度が指数関数的に増加する。軸211が回転する時の損失トルクはオイルの粘度に比例して増加するため、低温では軸211の回転抵抗が大きく損失トルクが増加してモータの消費電流が増加する。場合によっては軸211が回転できない場合がある。また逆に高温では、オイルの粘度が下がるため、流体軸受装置の軸受としての剛性が下がり軸211の「軸振れ」(回転中に軸受穴212A内で軸211が揺れ動く現象)が増加する欠点があった。
図16のグラフは、軸211の軸心と軸受穴212Aの中心とが一致しているときの、軸211の外周面とスリーブ212の軸受穴212Aの内周面との間の隙間である「半径隙間」の温度による変化を示している。図中の線IAGは公差の上限値を示し、線JBHは公差の下限値を示している。これら二本の線の間隔が製造バラツキまたは公差の範囲に相当する。
この従来の流体軸受装置においては、軸211の材料にはマルテンサイト系ステンレス鋼(線膨張係数が10.3×10−6)が用いられている。またスリーブ212には真鍮(線膨張係数が20.5×10−6)が使用されている。従ってスリーブ212の熱膨張は軸211の熱膨張より大きい。例えば、軸211の直径が3.2mmの場合には、半径隙間は、温度が20度Cから80度Cに変化すると、約1マイクロメータ拡大する。また同様に20度Cから−40度Cに変化すると、半径隙間が約1マイクロメータ小さくなる。その結果、図17の曲線「a」に示す様に、高温では半径隙間が広くなるために軸受の剛性が低下して軸振れが増加し、所望の性能が得られない問題が生じる。また低温では逆に半径隙間が小さくなって曲線「b」に示すように回転の抵抗が大きくなって損失トルクが増大する問題が生じる。
軸受の剛性の低下による軸振れは理論的には半径隙間が大きくなるとその三乗に比例して大きくなり、損失トルクは半径隙間が小さくなるとそれに反比例して大きくなる。
図18aは、−40度Cにおける半径隙間と損失トルクとの関係を示すグラフであり、図18bは、+80度Cにおける半径隙間と軸振れ量の関係を示すグラフである。各図中に要求性能の範囲を示している。図18a、図18bに示す例では、半径隙間のバラツキに対する損失トルクと軸振れの範囲が要求性能を満たす範囲に入っていないことを表している。すなわち不良品になってしまう事を示している。
第1の発明の流体軸受装置は、鉄を含む材料で構成され、表面に少なくともニッケル及び燐を含む材料でメッキを施した、軸受穴を有するスリーブ、前記スリーブの軸受穴に相対的に回転可能に挿入され、高マンガンクロム鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼の内の少なくとも一方の材料で構成された軸、及び前記軸の一端に固定され、一方の面がスリーブの端面に対向し、他方の面が、前記スリーブの前記端面を含む領域を密閉するように設けられたスラスト板に対向する略円板状のフランジを備え、前記スリーブの内周面及び軸の外周面の少なくとも一方に、第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設け、前記フランジとスラスト板の対向面のいずれか一方に第3の動圧発生溝を設け、前記第1及び第2の動圧発生溝を含む前記スリーブの軸受穴と軸との隙間及びスラスト板とフランジとの隙間を潤滑剤で満たし、前記スリーブ又は軸のいずれか一方が電気モータのステータを有する固定ベースに取り付けられ、他方が前記電気モータのロータ磁石を有する回転体に取り付けられることを特徴とする。
本発明によれば、流体軸受装置の半径隙間が高温では小さく、低温では大きくなるので潤滑剤の粘度の温度による変化によって流体軸受装置の特性が変化するのを防止することができる。また軸受の耐摩耗性とスリーブの加工性及び動圧発生溝の加工性が良いので、高精度の流体軸受装置を得ることができる。
第2の発明の流体軸受装置は、鉄を含む材料で構成され、表面に少なくともニッケル及び燐を含む材料でメッキを施した、軸受穴を有するスリーブ、前記スリーブの軸受穴に相対的に回転可能に挿入され、高マンガンクロム鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼の内の少なくとも一方の材料で構成され、一方の端部に、軸心に垂直な面である軸端面部を有する軸、及び前記軸端面部に対向してスラスト軸受を構成するスラスト板を備え、前記スリーブの内周面及び軸の外周面の少なくとも一方に、第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設け、前記軸端面部とスラスト板のそれぞれの対向面の少なくとも一方に第3の動圧発生溝を設け、前記第1、第2及び第3の動圧発生溝を含む前記スリーブの軸受穴と軸との隙間及び前記軸端面部とスラスト板との隙間を潤滑剤で満たし、前記スリーブ又は軸のいずれか一方が電気モータのステータを有する固定ベースに取り付けられ、他方が前記電気モータのロータ磁石を有する回転体に取り付けられることを特徴とする。
本発明によれば、流体軸受装置の半径隙間が高温では小さく、低温では大きくなるので潤滑剤の粘度の温度による変化によって流体軸受装置の特性が変化するのを防止することができる。また軸受の耐摩耗性とスリーブの加工性及び動圧発生溝の加工性が良いので、高精度の流体軸受装置を得ることができる。また前記第3の動圧発生溝が、前記軸端面部とスラスト板の少なくとも一方に設けられ、これによってスラスト軸受部が形成されるので、スラスト軸受部の面積が軸の端部面積とほぼ同じである。従ってスラスト軸受部の面積が前記第1の発明におけるフランジより小さいので回転抵抗が少なく損失トルクを小さく抑えることができる。
図1は、本発明の第1実施例の流体軸受装置の断面図である。
図2は、本発明の第1実施例のスリーブの断面図である。
図3は、軸及びスリーブの使用材料の線膨張係数の比較図である。
図4は、本発明の第1実施例における、温度と半径隙間の関係を示すグラフである。
図5aは、本実施例における半径隙間と損失トルクの関係を示すグラフである。
図5bは、本実施例における半径隙間と軸振れの関係を示すグラフである。
図6は、本実施例における、温度と、損失トルク及び軸振れの関係を示すグラフである。
図7は、本実施例の軸及びスリーブの各材料の成分表である。
図8は、本実施例及び従来例の使用材料の特性の比較表である。
図9は、本実施例の使用材料の特性の比較図である。
図10は、本発明の第2実施例の流体軸受装置の断面図である。
図11は、本発明の第2実施例の流体軸受装置と従来例の流体軸受装置との損失トルクの比較を示すグラフである。
図12は、本発明の第2実施例のスリーブ102の断面図である。
図13は、本発明の第2実施例の軸101の要部断面図である。
図14は、従来の流体軸受装置の断面図である。
図15は、温度とオイル粘度の関係を示すグラフである。
図16は、従来の流体軸受装置における温度と半径隙間との関係を示すグラフである。
図17は、従来の流体軸受装置温度と、軸振れ及び損失トルクの関係を示すグラフである。
図18aは、従来の流体軸受装置における、半径隙間と、損失トルクとの関係を示すグラフである。
図18bは、従来の流体軸受装置における、半径隙間と軸振れの関係を示すグラフである。
以下、本発明の流体軸受装置の好適な実施例について図1から図13を参照して説明する。
《第1実施例》
本発明の第1実施例における流体軸受装置について、図1から図9を参照して説明する。図1は本発明の第1実施例の流体軸受装置の断面図であり、図2はスリーブ2の拡大断面図である。図1において、スリーブ2は軸受穴2Aを有し、この軸受穴2Aに軸1が回転可能に挿入されている。軸1の外周面またはスリーブ2の軸受穴2Aの内周面の少なくとも一方にヘリングボーンパターン状の浅い溝からなる動圧発生溝2C、2Dが形成されてラジアル軸受部を形成している。図1の例では、動圧発生溝2C、2Dは軸受穴2Aの内周面に形成されている。動圧発生溝2C、2Dは、いずれも魚骨状(ヘリングボーン形状)を有し、図1において、動圧発生溝2C及び2Dの少なくとも一方は屈曲部から下側の溝の長さが、屈曲部から上側の溝の長さより短くなされている。軸1の図1における上端にはロータ磁石10を有するロータハブ8が取り付けられている。軸1の図1における下端には軸1の軸心に直角な面を有し、軸1より大きな直径を有するフランジ3が一体に設けられている。フランジ3の下面のスラスト軸受面はスリーブ2に固定されたスラスト板4に対向している。フランジ3の下面またはスラスト板4の上面のいずれか一方(図1ではフランジ3の下面)には螺旋状または魚骨状(ヘリングボーン)パターンの動圧発生溝3Bが形成されてスラスト軸受部が構成されている。フランジ3の上面の外周部又は前記上面の外周部に対向するスリーブ2の端面2Eのいずれか一方(図1ではフランジ3の上面)には動圧発生溝3Aが形成されている。スリーブ2は、モータステータ9が取り付けられたベース7に固定されている。軸1とスリーブ2の間の隙間及びフランジ3とスラスト板4の間の隙間は、オイル等の潤滑剤5で満たされている。潤滑剤はある程度粘性を有するので、軸1と軸受穴2Aとの間に気泡13が生じることがある。
本実施例において、軸1は、マンガンを7〜9重量%とクロムを13〜15重量%を含む高マンガンクロム鋼、またはオーステナイト系ステンレス鋼(ニッケルが8〜10重量%とクロムが17〜19重量%含まれている。)の素材の切削加工等により作られている。またスリーブ2は、硫黄快削鋼の切削加工等により作られている。切削加工後スリーブ2の表面には、ニッケルと燐を主成分とする材料によるメッキが施され、図2に示すように均一な厚さのメッキ層2Bが形成されている。メッキ層2Bの厚さは、図2ではハッチングを施さずに厚く画かれているが、1〜20マイクロメータの範囲で適宜選択される。
以上のように構成された流体軸受装置の動作を、図1から図9を参照して説明する。図1において、図示を省略した電源からモータステータ9に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石10を取り付けたロータハブ8が軸1と共に回転を始める。回転速度がある程度高くなると、動圧発生溝2C、2D、3A及び3Bによりオイル等の潤滑剤にポンピング圧力が発生してラジアル軸受部及びスラスト軸受部の圧力が上昇する。その結果軸1は浮上してスラスト板4及びスリーブ2に接触することなくで高精度で回転をする。
図3は軸1及びスリーブ2の材料として適している各種金属材料の線膨張係数を実測したもののグラフである。ボックス内の数値は線膨張係数を表す。高マンガンクロム鋼、オーステナイト系ステンレス鋼及びマルテンサイト系ステンレス鋼の3種類は軸1に使用可能な材料である。真鍮、硫黄快削鋼、フェライト系ステンレス鋼の3種類はスリーブ2に使用可能な材料である。本実施例では、軸1の材料には線膨張係数が大きい高マンガンクロム鋼(線膨張係数が17〜18×10−6)またはオーステナイト系ステンレス鋼(線膨張係数が17.3×10−6)を使用する。またスリーブ2の材料には線膨張係数が小さくかつ加工性に優れた硫黄快削鋼(線膨張係数が10〜11.5×10−6)を使用する。真鍮は線膨張係数が大きすぎて使用に適さない。
図4は軸1の中心軸とスリーブ2の軸受穴2Aの中心軸とが一致している時の、軸1と軸受穴2Aとの間の隙間である「半径隙間」の温度による変化を示している。線EACは公差の上限値を示し、線FBDは公差の下限値を示しており、これら二本の線の間隔が公差幅である。公差幅は本実施例の流体軸受装置を複数個測定して求めた結果である。
本実施例では軸1を線膨張係数が大きい材料で作り、スリーブ2を軸1の材料よりも線膨張係数が小さい材料で作ることにより、流体軸受装置の温度が低い時には半径隙間が大きくなり、温度が高い時には半径隙間が小さくなる。図4は軸1の直径が3.2mmの場合の本実施例の流体軸受装置の実測データを示す。図4に示す様に、温度が20度Cから80度Cに変化すると、半径隙間が、約0.65マイクロメータだけ小さくなる。温度が20度Cから−40度Cに変化すると、半径隙間が約0.65マイクロメータだけ大きくなる。温度に応じて上記のように半径隙間が変化することにより以下のような効果が得られる。高温では潤滑剤の枯度が低下するが、軸1とスリーブ2の熱膨張の差により半径隙間が小さく(狭く)なる。そのためたとえ潤滑剤の粘度が低下しても、流体軸受装置の軸受としての剛性の低下が軽減され軸振れを防止する効果が得られる。逆に低温では潤滑剤の粘度が高くなるが、半径隙間が拡大する。そのため粘度の上昇による損失トルクの増加が抑制され、軸受の回転抵抗が大きくなるのを防止することができる。軸受の剛性または軸振れは理論上は半径隙間の三乗で向上させることが可能である。一方軸受の損失トルクは半径隙間に反比例して軽減される。
図5aは、−40度Cにおける半径隙間と損失トルクとの関係を示すグラフである。図5bは+80度Cにおける半径隙間と軸振れの関係を示している。図5a及び図5bは本実施例の流体軸受装置を複数個測定した時の半径隙間の公差を示している。流体軸受装置の温度が−40度Cの時の半径隙間は図5aに示すように約3μmから約4μmの範囲にあり、+80度Cの時の半径隙間は図5bに示すように約2μmから約3μmの範囲にある。図5aに示すように、−40度Cの時の半径隙間は3μmから4μmの間にあるので、損失トルクは10g・cm以下と比較的小さく要求性能を満たしている。また図5bに示すように、+80度Cの時の半径隙間は2μmから3μmの間にあるので、軸振れは十分小さい範囲にあり要求性能を満たしている。従って流体軸受装置の設計に当たっては、−40度Cでは半径隙間の下限を3μmに設定し、+80度Cでは半径隙間の上限を3μmに設定すればよいことが判る。以上のように、本発明の流体軸受装置では、半径隙間に一定の公差が存在する場合でも製品の全数が要求性能を満たすことができる。すなわち生産量の100%を良品にすることが可能であり歩留り100%を達成できる。
図6は本発明の流体軸受装置と図14に示した従来例の流体軸受装置との各温度での特性を対比して示したグラフである。図において、実線は本実施例の流体軸受装置の各特性を示し、点線は従来例の流体軸受装置の各特性を示す。図6から判るように、本実施例の流体軸受装置では、低温での損失トルクが従来のものより小さく抑えられる。また、高温での軸振れも従来のものより小さく抑えられている。
図7は、本実施例の流体軸受装置において、軸1とスリーブ2に使用する材料の成分表であり、各数値は重量%を示している。
図8は従来例の流体軸受装置と本実施例の流体軸受装置の、軸1とスリーブ2に使用される金属材料の組み合わせと、その組み合わせにおける軸1とスリーブ2の耐摩耗性を比較試験した評価結果の表である。本実施例の流体軸受装置においては、スリーブ2の軸受穴2Aの表面にニッケルと燐を主成分とする材料でメッキを施しているため、耐摩耗性能が非常に優れており、流体軸受装置の長期信頼性が高い。
図9は、本実施例のスリーブ2用の金属材料の切削加工時の切削抵抗を測定した結果と加工性の評価を示す図である。各数値は真鍮を「100」として正規化している。図において、真鍮は切削抵抗が100と小さいので加工性は良好であるが、図3に示すように線膨張係数が大きすぎるため不適当である。フェライト系ステンレス鋼は切削抵抗が300と大きくかつ加工性が悪いため、スリーブ2の軸受穴の加工において表面を平滑に加工できず、表面粗さが粗くなってしまう欠点を有する。このためスリーブ2の材料としては不適当である。本実施例ではスリーブ2を硫黄快削鋼で製作し、表面にニッケルと燐を主成分とする材料でメッキを施すことにより温度特性、加工性、耐磨耗性のあらゆる点で最良の結果を得ることができる。
図2に示すように、スリーブ2の軸受穴2Aの内周面に動圧発生溝2C、2Dを高精度で形成するために、本実施例では、ボール転造法という塑性加工法を用いている。動圧発生溝2C、2Dの他の加工方法としては、電解エッチング加工法がある。しかしこの方法ではピッチ間隔を狭くすると溝以外の軸受穴2Aの内面の平滑面までがエッチングされることがあり、軸受穴2Aの精度が悪くなってしまう。本実施例では塑性加工性が比較的良好で塑性加工法に適した硫黄快削鋼を用いることにより、流体軸受装置で最も重要な動圧発生溝2C、2Dを高精度に加工することが可能となる。スリーブ2の材料として例えばフェライト系ステンレス鋼を用いることもできる。しかし、フェライト系ステンレス鋼は塑性加工性が大変悪いので、塑性加工法で動圧発生溝2C、2Dが高精度に加工できず高性能の流体軸受装置を得ることはできない。
図1に示す本実施例では、軸1が回転しスリーブ2が固定した形式の流体軸受装置について説明したが、本発明はスリーブがロータハブと共に回転し、軸がベースに固定された形式(図示省略)の軸固定形式の流体軸受装置にも適用できる。
本実施例によれば、流体軸受装置の半径隙間が高温では小さく、低温では大きくなるので潤滑剤の粘度の温度による変化によって流体軸受装置の特性が変化するのを防止することができる。また軸受の耐摩耗性とスリーブの加工性及び動圧発生溝の加工性が良いので、高精度の流体軸受装置を得ることができる。
《第2実施例》
本発明の第2実施例の流体軸受装置について、図10から図13を参照して説明する。図10は本発明の第2実施例の流体軸受装置の断面図である。図において、スリーブ102の軸受穴102Aに軸101が回転可能に挿入されている。本実施例の軸101は、図13の要部拡大断面図に示すように、軸101の本体101Dと細径部101Eとの間に、細径部101Eを囲む溝101Aが形成されている。溝101Aの深さは、細径部101Eで最も深く、本体101Dの外周部に向かって徐々に浅くなっている。
図10において、スリーブ102の上端には、軸101のスリーブ102からの抜けを防止するための、リング状の抜け止め103が取り付けられている。抜け止め103は図13の拡大図に示すように、前記溝101Aの約半分を覆うようにその内径が設定されている。軸101の外周面またはスリーブ102の内周面の少なくともいずれか一方にヘリングボーンパターン状の浅い溝からなる動圧発生溝102C、102Dを設けてラジアル軸受部を構成している。軸101の上端部にはロータ磁石110を有するロータハブ108が取り付けられている。軸101の他端(図1において下端部)には軸101の軸心に直角な面である軸端面部101Bを有している。軸端面部101Bはスリーブ102に固定されているスラスト板104に対向している。軸端面部101Bとスラスト板104の各対向面のいずれか一方の面(図10ではスラスト板104)には螺旋状または魚骨状(ヘリングボーン)パターンの動圧発生溝104Aが設けられてスラスト軸受部を構成している。スリーブ102はモータステータ109を有するベース106に固定されている。軸101とスリーブ102の間の隙間及び軸端面部101Bとスラスト板104の間の隙間はオイル等の潤滑剤105で満たされている。
軸101は、マンガンを7〜9重量%、クロムを13〜15重量%含む高マンガンクロム鋼またはオーステナイト系ステンレス鋼(ニッケルが8〜10重量%とクロムが17〜19重量%含まれている。)により作られている。スリーブ102は、図7に示す硫黄快削鋼のAまたはB、または軟鉄(不純物の少ない純鉄に近いもの)により作られている。硫黄快削鋼Aは、硫黄を0.2〜0.4重量%、テルルを0.02〜0.07重量%含んでおり、Bはさらにビスマスを0.05〜0.2重量%含んでいる。図12にスリーブ102の断面図を示す。図においてスリーブ102の内周面にはヘリングボーン状の動圧発生溝102C及び102Dが、スリーブ102の軸心(流体軸受装置を構成したときの軸101の軸心と同じである)に沿う方向に並べて設けられている。動圧発生溝102Dの、折返し部102Fから上部の溝102Lの長さ(図でLに対応する長さ)は、下部の溝102Mの長さ(図でMに対応する長さ)より長い。スリーブ102の外表面にはニッケルと燐を主成分とする材料によるメッキ102Bが均一な厚さで施されている。メッキの厚さは1〜20ミクロンメータの範囲で適宜に設定される。
以上のように構成された本実施例の流体軸受装置の動作を以下に説明する。図10において、モータステータ9に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石110、ロータハブ108及び軸101が回転を始める。軸101の回転により、動圧発生溝102C、102D、104Aにおいてオイル等の潤滑剤にポンピング圧力を発生しラジアル軸受部及びスラスト軸受部でオイルの圧力が高くなる。そのため軸101は浮上しスラスト板104及びスリーブ102に接触せずに高精度で回転する。
図11は本実施例の流体軸受装置が所定の回転数で回転しているときの損失トルクの内訳を示すグラフであり、本実施例の流体軸受装置と図14に示す従来例の流体軸受装置とを比較している。図において、ラジアル軸受部における損失トルクは本実施例と従来例とでほとんど同じである。スラスト軸受部での損失トルクは、本実施例の流体軸受装置は従来例のものより大幅に小さい。従来例の流体軸受装置では軸211より直径の大きいフランジ213を有するのに対し、本実施例の流体軸受装置ではフランジを有しておらず、軸101と同じ直径の軸端面部101Bがフランジと同じ機能をはたしている。軸端面部101Bの直径はフランジ213より小さいので回転抵抗が小さいからである。以上のように本実施例の流体軸受装置は従来例のものよりトータルの損失トルクが小さい。そのため特に低温でのモータの電流の増加が防止できる。
本実施例の流体軸受装置はスリーブ112に軸101の抜け止め103が設けられているので、流体軸受装置の軸101の軸心方向に異常な加速度が加わった場合などに、軸101がスリーブ102から抜けるのを防止できる。
抜け止め103の他の作用としては、図13に示すように、抜け止め103と軸101の上端面との隙間103Aを、オイル等の潤滑剤105の表面張力に応じて定まる寸法より大きくすると、流体軸受装置の回転中に軸101の上端部から潤滑剤105が漏れるのを防止できる。これは、潤滑剤105は、その表面張力により、所定の寸法以上の隙間からは漏出しないという作用を利用するものである。このために、抜け止め103の内周部の下面及び軸101の本体101Dの細径部101E近傍の少なくとも一方を略円錐面(cone)に形成する。本実施例では、図13に示すように、本体101Dの細径部101E近傍に円錐面を形成する溝101Aを設けている。このため抜け止め103と軸101の隙間は、その内周側で広く、外周側で狭くなっている。潤滑剤105は表面張力で隙間の狭い部分のみに保持される性質を有しているので、潤滑剤105は主として隙間が狭い外周部に保持され、内周部には保持されない。すなわち流体軸受の開口部である抜け止め103と軸101の間の隙間の広い部分には潤滑剤105が出てこない。円錐面を有する溝101Aと抜け止め103の先端部との隙間が前記所定の寸法になるようにすると潤滑剤105が流出しないので、抜け止め103が潤滑剤105の漏出防止の機能をもはたす。溝101Aが傾斜しているので、軸101の上下の位置が多少動いても、抜け止め103と溝101Aの隙間が前記所定寸法になる位置があるので、潤滑剤105が漏れることはない。
動圧発生溝102Dは図12に示す様に溝102Lが溝102Mより長い(L>M)ので、図10の構成においてスリーブ102内で軸101が回転するとき、オイルが軸端面部101Bとスラスト板104の間に押し込まれる。そのため軸端面部101Bの圧力が上昇してスラスト方向に大きな浮上力を発生する。図12において、動圧発生溝102Dによりスラスト方向に発生する圧力をPrで表し、動圧発生溝4Aによってスラスト方向に発生する圧力をPtとすると、スラスト方向には圧力Prと圧力Ptの和(Pr+Pt)の圧力が働くことになる。曲線N1は上記圧力(Pr+Pt)の分布を表す。また曲線N2は動圧発生溝102Dによるラジアル方向の圧力分布を表す。
本実施例の軸101及びスリーブ102に使用可能な各種金属の線膨張係数を実測したデータを図3に示す。本実施例においても前記第1実施例と同様に、高マンガンクロム鋼、オーステナイト系ステンレス鋼及びマルテンサイト系ステンレス鋼の3種類の材料は軸101に使用可能な材料である。真鍮、硫黄快削鋼及びフェライト系ステンレス鋼の3種類の材料はスリーブ102に使用可能である。本実施例では、軸101には線膨張係数が大きい高マンガンクロム鋼(線膨張係数が17〜18×10−6)またはオーステナイト系ステンレス鋼(線膨張係数17.3×10−6)を使用する。またスリーブ102には線膨張係数が小さくて、加工性に優れた硫黄快削鋼(線膨張係数10〜11.5×10−6)または軟鉄を使用している。以下、前記第1実施例と共通の各図を用いて説明する。
図4は軸101とスリーブ102の軸受穴102Aの半径隙間の温度による変化を示している。曲線EACは公差の上限値を示し、曲線FBDは公差の下限値を示しており、これら二本の曲線の間隔が公差幅にあたる。本実施例では軸101とスリーブ102に前記の材料を使用するので、低温では半径隙間が大きくなり、高温では小さくなるように変化する。軸101の直径が3.2mmの場合は図4に示す様に、温度が20度Cから80度Cに変化すると約0.65マイクロメータだけ半径隙間が狭くなる。また温度が20度Cから−40度Cに変化すると約0.65マイクロメータだけ半径隙間が拡大する。このように軸受隙間が変化することにより、図5bに示す様に、高温でオイルの粘度が低下しても半径隙間が狭くなるために軸受の剛性の低下を軽減する効果が得られる。低温では図5aに示すように半径隙間が拡大することにより、損失トルクの増加を抑え軸受の回転抵抗が大きくなるのが防止される。軸受の剛性または軸振れは理論上は半径隙間の三乗に比例して向上させることが可能である。一方軸受の損失トルクは半径隙間に反比例して軽減させることが可能である。
図5aは、−40度Cで半径隙間が拡大して増加が軽減された損失トルクを示している。図5bは、+80度Cで半径隙間が狭くなることで増加が抑えられた軸振れの数値を示している。各図中に要求性能の範囲を示しているが、本実施例では、半径隙間が図4の公差幅内にあればたとえ半径隙間がバラツキを示しても全数の軸受が要求性能を達成可能である。すなわち生産量の100%全数を良品にすることが可能である。
図6は本実施例の流体軸受装置と図14に示した従来の流体軸受装置との各温度での性能を比較して示したグラフである。本実施例の流体軸受装置では低温での損失トルクが小さく抑えられている。また高温での軸振れも小さく抑えられている。
図7は、本実施例の軸101とスリーブ102に使用する材料の成分表であり、数値は重量%を示している。
従来の軸受装置と本実施例の軸受装置の軸101とスリーブ102に使用される金属材料を組み合わせた場合の流体軸受装置の耐摩耗性を比較試験した結果は図8に示す通りである。本実施例では、図12に示すようにスリーブ102の表面にニッケルと燐を主成分とするメッキ102Bを施すため、耐摩耗性能が非常に優れており軸受装置の長期信頼性が高い。
図9は、スリーブ102に使用可能な金属材料の切削抵抗を測定した結果である。真鍮は切削抵抗は小さいので加工性は良好であるが、図3に示したように、線膨張係数が大きいため不適当である。一方フェライト系ステンレス鋼は切削抵抗が大きいため加工性が悪く、スリーブ102の軸受穴102Aの表面を加工した場合、平滑に加工できず表面粗さが粗くなってしまう欠点を有するため不適当である。本実施例ではスリーブ102を硫黄快削鋼で加工し、表面にニッケルと燐を主成分とするメッキを施すという組み合わせにより生じる効果で温度特性、加工性、耐磨耗性のあらゆる点で最良の結果を得ることができる。
図12に示すスリーブ102の軸受穴102Aの内周面の動圧発生溝202C、202Dは微細な多数の溝を所定のピッチ間隔で高精度に加工するために、前記第1実施例と同様にボール転造法が採用される。従来の電解エッチング加工方法では、動圧発生溝202C、202Dのピッチ間隔を狭くすると、溝以外に軸受穴2Aの内面の平滑面までがエッチングされる。そのため軸受面の精度が悪くなってしまうからである。本実施例のスリーブ102の材料の硫黄快削鋼は塑性加工性が比較的良好であり、動圧流体軸受にとって特に重要な動圧発生溝202C、202Dを高精度に加工することが可能である。スリーブ202を塑性加工性の悪い、フェライト系ステンレスで加工しようとすると動圧発生溝202C、202Dが高精度に加工できず、流体軸受装置の性能を低下させる。
本実施例では、スリーブ102が固定で、軸101が回転する構成について説明したが、スリーブ102がロータハブ108と共に回転し、軸101がベース107に固定された軸固定型の構成でも本実施例と同様の作用効果が得られる。
本実施例では、スラスト軸受を軸101の端面とスラスト板104で構成するので、スラスト軸受の径が軸101の径以下に抑える。またラジアル軸受の半径隙間が、高温では小さく低温では大きくなるので、オイルの粘度変化による流体軸受装置の特性の変化を防止することができる。また上記のように加工性の良い材料を用いることにより、量産上の課題であるスリーブの加工性、および動圧発生溝の加工性を最良にできるとともに耐摩耗性にすぐれた流体軸受装置を得ることができる。
本発明の流体軸受は、高速かつ高精度の回転を必要とする回転体の軸受として利用可能である。
本発明は、高速かつ高精度の回転が必要な回転装置の主軸部に用いられる流体軸受装置に関する。
近年磁気ディスク等を用いた回転型の記録装置では、そのメモリー容量が増大するとともにデータの転送速度が高速化している。そのため、この種の記録装置に用いられるディスク回転装置は高速かつ高精度の回転を必要とするので、回転主軸部には流体軸受装置が用いられている。
以下、図14から図18bを参照して従来の流体軸受装置について説明する。図14において、軸211はスリーブ212の軸受穴212Aに回転可能に挿入されている。軸211は、図において下端部に一体に構成されたフランジ213を有している。フランジ213はベース217に取り付けられたスリーブ212の段部に収納され、スラスト板214に対向して回転可能に構成されている。軸211には、ロータ磁石220が固定されたロータハブ218が取り付けられている。ロータ磁石220に対向するモータステータ219がベース217に取り付けられている。スリーブ212の軸受穴212Aの内周面には動圧発生溝212B、212Cが設けられている。フランジ213の、スリーブ212の段部との対向面には動圧発生溝213Aが設けられている。フランジ213の、スラスト板214との対向面には動圧発生溝213Bが設けられている。動圧発生溝212B、212C、213A及び213Bを含む、軸211及びフランジ213と、スリーブ212との隙間にはオイルが充填されている。
以上のように構成された従来の流体軸受装置の動作を、図14から図18bを用いて説明する。図14において、モータステータ219に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石220、ロータハブ218、軸211、フランジ213が回転をはじめる。この時動圧発生溝212B、212C、213A、213Bによりオイルにポンピング圧力が発生し、軸211は浮上しスラスト板213及び軸受穴212Aの内周面に接触せずに回転する。
特開2002−317820号公報 特開2002−5172号公報 特開2001−50257号公報 特開平08−199297号公報 特開平11−43742号公報 特開2002−21844号公報 特開2001−271827号公報 特開2002−310145号公報
上記の従来の流体軸受装置では次の様な問題点があった。図14に示すように、軸211は、スリーブ212の軸受穴212A内に満たされたオイルにより潤滑されながら回転する。一般にオイルは図15のグラフに示す様に温度が低くなるとオイル粘度が指数関数的に増加する。軸211が回転する時の損失トルクはオイルの粘度に比例して増加するため、低温では軸211の回転抵抗が大きく損失トルクが増加してモータの消費電流が増加する。場合によっては軸211が回転できない場合がある。また逆に高温では、オイルの粘度が下がるため、流体軸受装置の軸受としての剛性が下がり軸211の「軸振れ」(回転中に軸受穴212A内で軸211が揺れ動く現象)が増加する欠点があった。
図16のグラフは、軸211の軸心と軸受穴212Aの中心とが一致しているときの、軸211の外周面とスリーブ212の軸受穴212Aの内周面との間の隙間である「半径隙間」の温度による変化を示している。図中の線IAGは公差の上限値を示し、線JBHは公差の下限値を示している。これら二本の線の間隔が製造バラツキまたは公差の範囲に相当する。
この従来の流体軸受装置においては、軸211の材料にはマルテンサイト系ステンレス鋼(線膨張係数が10.3×10−6)が用いられている。またスリーブ212には真鍮(線膨張係数が20.5×10−6)が使用されている。従ってスリーブ212の熱膨張は軸211の熱膨張より大きい。例えば、軸211の直径が3.2mmの場合には、半径隙間は、温度が20度Cから80度Cに変化すると、約1マイクロメータ拡大する。また同様に20度Cから−40度Cに変化すると、半径隙間が約1マイクロメータ小さくなる。その結果、図17の曲線「a」に示す様に、高温では半径隙間が広くなるために軸受の剛性が低下して軸振れが増加し、所望の性能が得られない問題が生じる。また低温では逆に半径隙間が小さくなって曲線「b」に示すように回転の抵抗が大きくなって損失トルクが増大する問題が生じる。
軸受の剛性の低下による軸振れは理論的には半径隙間が大きくなるとその三乗に比例して大きくなり、損失トルクは半径隙間が小さくなるとそれに反比例して大きくなる。
図18aは、−40度Cにおける半径隙間と損失トルクとの関係を示すグラフであり、図18bは、+80度Cにおける半径隙間と軸振れ量の関係を示すグラフである。各図中に要求性能の範囲を示している。図18a、図18bに示す例では、半径隙間のバラツキに対する損失トルクと軸振れの範囲が要求性能を満たす範囲に入っていないことを表している。すなわち不良品になってしまう事を示している。
第1の発明の流体軸受装置は、鉄を含む材料で構成され、表面に少なくともニッケル及び燐を含む材料でメッキを施した、軸受穴を有するスリーブ、前記スリーブの軸受穴に相対的に回転可能に挿入され、高マンガンクロム鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼の内の少なくとも一方の材料で構成された軸、及び前記軸の一端に固定され、一方の面がスリーブの端面に対向し、他方の面が、前記スリーブの前記端面を含む領域を密閉するように設けられたスラスト板に対向する略円板状のフランジを備え、前記スリーブの内周面及び軸の外周面の少なくとも一方に、第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設け、前記フランジとスラスト板の対向面のいずれか一方に第3の動圧発生溝を設け、前記第1及び第2の動圧発生溝を含む前記スリーブの軸受穴と軸との隙間及びスラスト板とフランジとの隙間を潤滑剤で満たし、前記スリーブ又は軸のいずれか一方が電気モータのステータを有する固定ベースに取り付けられ、他方が前記電気モータのロータ磁石を有する回転体に取り付けられることを特徴とする。
第1の発明によれば、流体軸受装置の半径隙間が高温では小さく、低温では大きくなるので潤滑剤の粘度の温度による変化によって流体軸受装置の特性が変化するのを防止することができる。また軸受の耐摩耗性とスリーブの加工性及び動圧発生溝の加工性が良いので、高精度の流体軸受装置を得ることができる。
第2の発明の流体軸受装置は、鉄を含む材料で構成され、表面に少なくともニッケル及び燐を含む材料でメッキを施した、軸受穴を有するスリーブ、前記スリーブの軸受穴に相対的に回転可能に挿入され、高マンガンクロム鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼の内の少なくとも一方の材料で構成され、一方の端部に、軸心に垂直な面である軸端面部を有する軸、及び前記軸端面部に対向してスラスト軸受を構成するスラスト板を備え、前記スリーブの内周面及び軸の外周面の少なくとも一方に、第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設け、前記軸端面部とスラスト板のそれぞれの対向面の少なくとも一方に第3の動圧発生溝を設け、前記第1、第2及び第3の動圧発生溝を含む前記スリーブの軸受穴と軸との隙間及び前記軸端面部とスラスト板との隙間を潤滑剤で満たし、前記スリーブ又は軸のいずれか一方が電気モータのステータを有する固定ベースに取り付けられ、他方が前記電気モータのロータ磁石を有する回転体に取り付けられることを特徴とする。
第2の発明によれば、流体軸受装置の半径隙間が高温では小さく、低温では大きくなるので潤滑剤の粘度の温度による変化によって流体軸受装置の特性が変化するのを防止することができる。また軸受の耐摩耗性とスリーブの加工性及び動圧発生溝の加工性が良いので、高精度の流体軸受装置を得ることができる。また前記第3の動圧発生溝が、前記軸端面部とスラスト板の少なくとも一方に設けられ、これによってスラスト軸受部が形成されるので、スラスト軸受部の面積が軸の端部面積とほぼ同じである。従ってスラスト軸受部の面積が前記第1の発明におけるフランジより小さいので回転抵抗が少なく損失トルクを小さく抑えることができる。
本発明によると、流体軸受装置の半径隙間が高温では小さく、低温では大きくなるので潤滑剤の粘度の温度による変化によって流体軸受装置の特性が変化するのを防止することができる。また軸受の耐摩耗性とスリーブの加工性及び動圧発生溝の加工性が良いので、高精度の流体軸受装置を得ることができる。
また、スラスト軸受を軸101の端面とスラスト板104で構成するので、スラスト軸受の径が軸101の径以下に抑える。またラジアル軸受の半径隙間が、高温では小さく低温では大きくなるので、オイルの粘度変化による流体軸受装置の特性の変化を防止することができる。また上記のように加工性の良い材料を用いることにより、量産上の課題であるスリーブの加工性、および動圧発生溝の加工性を最良にできるとともに耐摩耗性にすぐれた流体軸受装置を得ることができる。
以下、本発明の流体軸受装置の好適な実施例について図1から図13を参照して説明する。
《第1実施例》
本発明の第1実施例における流体軸受装置について、図1から図9を参照して説明する。図1は本発明の第1実施例の流体軸受装置の断面図であり、図2はスリーブ2の拡大断面図である。図1において、スリーブ2は軸受穴2Aを有し、この軸受穴2Aに軸1が回転可能に挿入されている。軸1の外周面またはスリーブ2の軸受穴2Aの内周面の少なくとも一方にヘリングボーンパターン状の浅い溝からなる動圧発生溝2C、2Dが形成されてラジアル軸受部を形成している。図1の例では、動圧発生溝2C、2Dは軸受穴2Aの内周面に形成されている。動圧発生溝2C、2Dは、いずれも魚骨状(ヘリングボーン形状)を有し、図1において、動圧発生溝2C及び2Dの少なくとも一方は屈曲部から下側の溝の長さが、屈曲部から上側の溝の長さより短くなされている。軸1の図1における上端にはロータ磁石10を有するロータハブ8が取り付けられている。軸1の図1における下端には軸1の軸心に直角な面を有し、軸1より大きな直径を有するフランジ3が一体に設けられている。フランジ3の下面のスラスト軸受面はスリーブ2に固定されたスラスト板4に対向している。フランジ3の下面またはスラスト板4の上面のいずれか一方(図1ではフランジ3の下面)には螺旋状または魚骨状(ヘリングボーン)パターンの動圧発生溝3Bが形成されてスラスト軸受部が構成されている。フランジ3の上面の外周部又は前記上面の外周部に対向するスリーブ2の端面2Eのいずれか一方(図1ではフランジ3の上面)には動圧発生溝3Aが形成されている。スリーブ2は、モータステータ9が取り付けられたベース7に固定されている。軸1とスリーブ2の間の隙間及びフランジ3とスラスト板4の間の隙間は、オイル等の潤滑剤5で満たされている。潤滑剤はある程度粘性を有するので、軸1と軸受穴2Aとの間に気泡13が生じることがある。
本実施例において、軸1は、マンガンを7〜9重量%とクロムを13〜15重量%を含む高マンガンクロム鋼、またはオーステナイト系ステンレス鋼(ニッケルが8〜10重量%とクロムが17〜19重量%含まれている。)の素材の切削加工等により作られている。またスリーブ2は、硫黄快削鋼の切削加工等により作られている。切削加工後スリーブ2の表面には、ニッケルと燐を主成分とする材料によるメッキが施され、図2に示すように均一な厚さのメッキ層2Bが形成されている。メッキ層2Bの厚さは、図2ではハッチングを施さずに厚く画かれているが、1〜20マイクロメータの範囲で適宜選択される。
以上のように構成された流体軸受装置の動作を、図1から図9を参照して説明する。図1において、図示を省略した電源からモータステータ9に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石10を取り付けたロータハブ8が軸1と共に回転を始める。回転速度がある程度高くなると、動圧発生溝2C、2D、3A及び3Bによりオイル等の潤滑剤にポンピング圧力が発生してラジアル軸受部及びスラスト軸受部の圧力が上昇する。その結果軸1は浮上してスラスト板4及びスリーブ2に接触することなくで高精度で回転をする。
図3は軸1及びスリーブ2の材料として適している各種金属材料の線膨張係数を実測したもののグラフである。ボックス内の数値は線膨張係数を表す。高マンガンクロム鋼、オーステナイト系ステンレス鋼及びマルテンサイト系ステンレス鋼の3種類は軸1に使用可能な材料である。真鍮、硫黄快削鋼、フェライト系ステンレス鋼の3種類はスリーブ2に使用可能な材料である。本実施例では、軸1の材料には線膨張係数が大きい高マンガンクロム鋼(線膨張係数が17〜18×10−6)またはオーステナイト系ステンレス鋼(線膨張係数が17.3×10−6)を使用する。またスリーブ2の材料には線膨張係数が小さくかつ加工性に優れた硫黄快削鋼(線膨張係数が10〜11.5×10−6)を使用する。真鍮は線膨張係数が大きすぎて使用に適さない。
図4は軸1の中心軸とスリーブ2の軸受穴2Aの中心軸とが一致している時の、軸1と軸受穴2Aとの間の隙間である「半径隙間」の温度による変化を示している。線EACは公差の上限値を示し、線FBDは公差の下限値を示しており、これら二本の線の間隔が公差幅である。公差幅は本実施例の流体軸受装置を複数個測定して求めた結果である。
本実施例では軸1を線膨張係数が大きい材料で作り、スリーブ2を軸1の材料よりも線膨張係数が小さい材料で作ることにより、流体軸受装置の温度が低い時には半径隙間が大きくなり、温度が高い時には半径隙間が小さくなる。図4は軸1の直径が3.2mmの場合の本実施例の流体軸受装置の実測データを示す。図4に示す様に、温度が20度Cから80度Cに変化すると、半径隙間が、約0.65マイクロメータだけ小さくなる。温度が20度Cから−40度Cに変化すると、半径隙間が約0.65マイクロメータだけ大きくなる。温度に応じて上記のように半径隙間が変化することにより以下のような効果が得られる。高温では潤滑剤の粘度が低下するが、軸1とスリーブ2の熱膨張の差により半径隙間が小さく(狭く)なる。そのためたとえ潤滑剤の粘度が低下しても、流体軸受装置の軸受としての剛性の低下が軽減され軸振れを防止する効果が得られる。逆に低温では潤滑剤の粘度が高くなるが、半径隙間が拡大する。そのため粘度の上昇による損失トルクの増加が抑制され、軸受の回転抵抗が大きくなるのを防止することができる。軸受の剛性または軸振れは理論上は半径隙間の三乗で向上させることが可能である。一方軸受の損失トルクは半径隙間に反比例して軽減される。
図5aは、−40度Cにおける半径隙間と損失トルクとの関係を示すグラフである。図5bは+80度Cにおける半径隙間と軸振れの関係を示している。図5a及び図5bは本実施例の流体軸受装置を複数個測定した時の半径隙間の公差を示している。流体軸受装置の温度が−40度Cの時の半径隙間は図5aに示すように約3μmから約4μmの範囲にあり、+80度Cの時の半径隙間は図5bに示すように約2μmから約3μmの範囲にある。図5aに示すように、−40度Cの時の半径隙間は3μmから4μmの間にあるので、損失トルクは10g・cm以下と比較的小さく要求性能を満たしている。また図5bに示すように、+80度Cの時の半径隙間は2μmから3μmの間にあるので、軸振れは十分小さい範囲にあり要求性能を満たしている。従って流体軸受装置の設計に当たっては、−40度Cでは半径隙間の下限を3μmに設定し、+80度Cでは半径隙間の上限を3μmに設定すればよいことが判る。以上のように、本発明の流体軸受装置では、半径隙間に一定の公差が存在する場合でも製品の全数が要求性能を満たすことができる。すなわち生産量の100%を良品にすることが可能であり歩留り100%を達成できる。
図6は本発明の流体軸受装置と図14に示した従来例の流体軸受装置との各温度での特性を対比して示したグラフである。図において、実線は本実施例の流体軸受装置の各特性を示し、点線は従来例の流体軸受装置の各特性を示す。図6から判るように、本実施例の流体軸受装置では、低温での損失トルクが従来のものより小さく抑えられる。また、高温での軸振れも従来のものより小さく抑えられている。
図7は、本実施例の流体軸受装置において、軸1とスリーブ2に使用する材料の成分表であり、各数値は重量%を示している。
図8は従来例の流体軸受装置と本実施例の流体軸受装置の、軸1とスリーブ2に使用される金属材料の組み合わせと、その組み合わせにおける軸1とスリーブ2の耐摩耗性を比較試験した評価結果の表である。本実施例の流体軸受装置においては、スリーブ2の軸受穴2Aの表面にニッケルと燐を主成分とする材料でメッキを施しているため、耐摩耗性能が非常に優れており、流体軸受装置の長期信頼性が高い。
図9は、本実施例のスリーブ2用の金属材料の切削加工時の切削抵抗を測定した結果と加工性の評価を示す図である。各数値は真鍮を「100」として正規化している。図において、真鍮は切削抵抗が100と小さいので加工性は良好であるが、図3に示すように線膨張係数が大きすぎるため不適当である。フェライト系ステンレス鋼は切削抵抗が300と大きくかつ加工性が悪いため、スリーブ2の軸受穴の加工において表面を平滑に加工できず、表面粗さが粗くなってしまう欠点を有する。このためスリーブ2の材料としては不適当である。本実施例ではスリーブ2を硫黄快削鋼で製作し、表面にニッケルと燐を主成分とする材料でメッキを施すことにより温度特性、加工性、耐磨耗性のあらゆる点で最良の結果を得ることができる。
図2に示すように、スリーブ2の軸受穴2Aの内周面に動圧発生溝2C、2Dを高精度で形成するために、本実施例では、ボール転造法という塑性加工法を用いている。動圧発生溝2C、2Dの他の加工方法としては、電解エッチング加工法がある。しかしこの方法ではピッチ間隔を狭くすると溝以外の軸受穴2Aの内面の平滑面までがエッチングされることがあり、軸受穴2Aの精度が悪くなってしまう。本実施例では塑性加工性が比較的良好で塑性加工法に適した硫黄快削鋼を用いることにより、流体軸受装置で最も重要な動圧発生溝2C、2Dを高精度に加工することが可能となる。スリーブ2の材料として例えばフェライト系ステンレス鋼を用いることもできる。しかし、フェライト系ステンレス鋼は塑性加工性が大変悪いので、塑性加工法で動圧発生溝2C、2Dが高精度に加工できず高性能の流体軸受装置を得ることはできない。
図1に示す本実施例では、軸1が回転しスリーブ2が固定した形式の流体軸受装置について説明したが、本発明はスリーブがロータハブと共に回転し、軸がベースに固定された形式(図示省略)の軸固定形式の流体軸受装置にも適用できる。
本実施例によれば、流体軸受装置の半径隙間が高温では小さく、低温では大きくなるので潤滑剤の粘度の温度による変化によって流体軸受装置の特性が変化するのを防止することができる。また軸受の耐摩耗性とスリーブの加工性及び動圧発生溝の加工性が良いので、高精度の流体軸受装置を得ることができる。
《第2実施例》
本発明の第2実施例の流体軸受装置について、図10から図13を参照して説明する。図10は本発明の第2実施例の流体軸受装置の断面図である。図において、スリーブ102の軸受穴102Aに軸101が回転可能に挿入されている。本実施例の軸101は、図13の要部拡大断面図に示すように、軸101の本体101Dと細径部101Eとの間に、細径部101Eを囲む溝101Aが形成されている。溝101Aの深さは、細径部101Eで最も深く、本体101Dの外周部に向かって徐々に浅くなっている。
図10において、スリーブ102の上端には、軸101のスリーブ102からの抜けを防止するための、リング状の抜け止め103が取り付けられている。抜け止め103は図13の拡大図に示すように、前記溝101Aの約半分を覆うようにその内径が設定されている。軸101の外周面またはスリーブ102の内周面の少なくともいずれか一方にヘリングボーンパターン状の浅い溝からなる動圧発生溝102C、102Dを設けてラジアル軸受部を構成している。軸101の上端部にはロータ磁石110を有するロータハブ108が取り付けられている。軸101の他端(図10において下端部)には軸101の軸心に直角な面である軸端面部101Bを有している。軸端面部101Bはスリーブ102に固定されているスラスト板104に対向している。軸端面部101Bとスラスト板104の各対向面のいずれか一方の面(図10ではスラスト板104)には螺旋状または魚骨状(ヘリングボーン)パターンの動圧発生溝104Aが設けられてスラスト軸受部を構成している。スリーブ102はモータステータ109を有するベース106に固定されている。軸101とスリーブ102の間の隙間及び軸端面部101Bとスラスト板104の間の隙間はオイル等の潤滑剤105で満たされている。
軸101は、マンガンを7〜9重量%、クロムを13〜15重量%含む高マンガンクロム鋼またはオーステナイト系ステンレス鋼(ニッケルが8〜10重量%とクロムが17〜19重量%含まれている。)により作られている。スリーブ102は、図7に示す硫黄快削鋼のAまたはB、または軟鉄(不純物の少ない純鉄に近いもの)により作られている。硫黄快削鋼Aは、硫黄を0.2〜0.4重量%、テルルを0.02〜0.07重量%含んでおり、Bはさらにビスマスを0.05〜0.2重量%含んでいる。図12にスリーブ102の断面図を示す。図においてスリーブ102の内周面にはヘリングボーン状の動圧発生溝102C及び102Dが、スリーブ102の軸心(流体軸受装置を構成したときの軸101の軸心と同じである)に沿う方向に並べて設けられている。動圧発生溝102Dの、折返し部102Fから上部の溝102Lの長さ(図でLに対応する長さ)は、下部の溝102Mの長さ(図でMに対応する長さ)より長い。スリーブ102の外表面にはニッケルと燐を主成分とする材料によるメッキ102Bが均一な厚さで施されている。メッキの厚さは1〜20ミクロンメータの範囲で適宜に設定される。
以上のように構成された本実施例の流体軸受装置の動作を以下に説明する。図10において、モータステータ109に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石110、ロータハブ108及び軸101が回転を始める。軸101の回転により、動圧発生溝102C、102D、104Aにおいてオイル等の潤滑剤にポンピング圧力を発生しラジアル軸受部及びスラスト軸受部でオイルの圧力が高くなる。そのため軸101は浮上しスラスト板104及びスリーブ102に接触せずに高精度で回転する。
図11は本実施例の流体軸受装置が所定の回転数で回転しているときの損失トルクの内訳を示すグラフであり、本実施例の流体軸受装置と図14に示す従来例の流体軸受装置とを比較している。図において、ラジアル軸受部における損失トルクは本実施例と従来例とでほとんど同じである。スラスト軸受部での損失トルクは、本実施例の流体軸受装置は従来例のものより大幅に小さい。従来例の流体軸受装置では軸211より直径の大きいフランジ213を有するのに対し、本実施例の流体軸受装置ではフランジを有しておらず、軸101と同じ直径の軸端面部101Bがフランジと同じ機能をはたしている。軸端面部101Bの直径はフランジ213より小さいので回転抵抗が小さいからである。以上のように本実施例の流体軸受装置は従来例のものよりトータルの損失トルクが小さい。そのため特に低温でのモータの電流の増加が防止できる。
本実施例の流体軸受装置はスリーブ102に軸101の抜け止め103が設けられているので、流体軸受装置の軸101の軸心方向に異常な加速度が加わった場合などに、軸101がスリーブ102から抜けるのを防止できる。
抜け止め103の他の作用としては、図13に示すように、抜け止め103と軸101の上端面との隙間103Aを、オイル等の潤滑剤105の表面張力に応じて定まる寸法より大きくすると、流体軸受装置の回転中に軸101の上端部から潤滑剤105が漏れるのを防止できる。これは、潤滑剤105は、その表面張力により、所定の寸法以上の隙間からは漏出しないという作用を利用するものである。このために、抜け止め103の内周部の下面及び軸101の本体101Dの細径部101E近傍の少なくとも一方を略円錐面(cone)に形成する。本実施例では、図13に示すように、本体101Dの細径部101E近傍に円錐面を形成する溝101Aを設けている。このため抜け止め103と軸101の隙間は、その内周側で広く、外周側で狭くなっている。潤滑剤105は表面張力で隙間の狭い部分のみに保持される性質を有しているので、潤滑剤105は主として隙間が狭い外周部に保持され、内周部には保持されない。すなわち流体軸受の開口部である抜け止め103と軸101の間の隙間の広い部分には潤滑剤105が出てこない。円錐面を有する溝101Aと抜け止め103の先端部との隙間が前記所定の寸法になるようにすると潤滑剤105が流出しないので、抜け止め103が潤滑剤105の漏出防止の機能をもはたす。溝101Aが傾斜しているので、軸101の上下の位置が多少動いても、抜け止め103と溝101Aの隙間が前記所定寸法になる位置があるので、潤滑剤105が漏れることはない。
動圧発生溝102Dは図12に示す様に溝102Lが溝102Mより長い(L>M)ので、図10の構成においてスリーブ102内で軸101が回転するとき、オイルが軸端面部101Bとスラスト板104の間に押し込まれる。そのため軸端面部101Bの圧力が上昇してスラスト方向に大きな浮上力を発生する。図12において、動圧発生溝102Dによりスラスト方向に発生する圧力をPrで表し、動圧発生溝104Aによってスラスト方向に発生する圧力をPtとすると、スラスト方向には圧力Prと圧力Ptの和(Pr+Pt)の圧力が働くことになる。曲線N1は上記圧力(Pr+Pt)の分布を表す。また曲線N2は動圧発生溝102Dによるラジアル方向の圧力分布を表す。
本実施例の軸101及びスリーブ102に使用可能な各種金属の線膨張係数を実測したデータを図3に示す。本実施例においても前記第1実施例と同様に、高マンガンクロム鋼、オーステナイト系ステンレス鋼及びマルテンサイト系ステンレス鋼の3種類の材料は軸101に使用可能な材料である。真鍮、硫黄快削鋼及びフェライト系ステンレス鋼の3種類の材料はスリーブ102に使用可能である。本実施例では、軸101には線膨張係数が大きい高マンガンクロム鋼(線膨張係数が17〜18×10−6)またはオーステナイト系ステンレス鋼(線膨張係数17.3×10-6)を使用する。またスリーブ102には線膨張係数が小さくて、加工性に優れた硫黄快削鋼(線膨張係数10〜11.5×10-6)または軟鉄を使用している。以下、前記第1実施例と共通の各図を用いて説明する。
図4は軸101とスリーブ102の軸受穴102Aの半径隙間の温度による変化を示している。曲線EACは公差の上限値を示し、曲線FBDは公差の下限値を示しており、これら二本の曲線の間隔が公差幅にあたる。本実施例では軸101とスリーブ102に前記の材料を使用するので、低温では半径隙間が大きくなり、高温では小さくなるように変化する。軸101の直径が3.2mmの場合は図4に示す様に、温度が20度Cから80度Cに変化すると約0.65マイクロメータだけ半径隙間が狭くなる。また温度が20度Cから−40度Cに変化すると約0.65マイクロメータだけ半径隙間が拡大する。このように軸受隙間が変化することにより、図5bに示す様に、高温でオイルの粘度が低下しても半径隙間が狭くなるために軸受の剛性の低下を軽減する効果が得られる。低温では図5aに示すように半径隙間が拡大することにより、損失トルクの増加を抑え軸受の回転抵抗が大きくなるのが防止される。軸受の剛性または軸振れは理論上は半径隙間の三乗に比例して向上させることが可能である。一方軸受の損失トルクは半径隙間に反比例して軽減させることが可能である。
図5aは、−40度Cで半径隙間が拡大して増加が軽減された損失トルクを示している。図5bは、+80度Cで半径隙間が狭くなることで増加が抑えられた軸振れの数値を示している。各図中に要求性能の範囲を示しているが、本実施例では、半径隙間が図4の公差幅内にあればたとえ半径隙間がバラツキを示しても全数の軸受が要求性能を達成可能である。すなわち生産量の100%全数を良品にすることが可能である。
図6は本実施例の流体軸受装置と図14に示した従来の流体軸受装置との各温度での性能を比較して示したグラフである。本実施例の流体軸受装置では低温での損失トルクが小さく抑えられている。また高温での軸振れも小さく抑えられている。
図7は、本実施例の軸101とスリーブ102に使用する材料の成分表であり、数値は重量%を示している。
従来の軸受装置と本実施例の軸受装置の軸101とスリーブ102に使用される金属材料を組み合わせた場合の流体軸受装置の耐摩耗性を比較試験した結果は図8に示す通りである。本実施例では、図12に示すようにスリーブ102の表面にニッケルと燐を主成分とするメッキ102Bを施すため、耐摩耗性能が非常に優れており軸受装置の長期信頼性が高い。
図9は、スリーブ102に使用可能な金属材料の切削抵抗を測定した結果である。真鍮は切削抵抗は小さいので加工性は良好であるが、図3に示したように、線膨張係数が大きいため不適当である。一方フェライト系ステンレス鋼は切削抵抗が大きいため加工性が悪く、スリーブ102の軸受穴102Aの表面を加工した場合、平滑に加工できず表面粗さが粗くなってしまう欠点を有するため不適当である。本実施例ではスリーブ102を硫黄快削鋼で加工し、表面にニッケルと燐を主成分とするメッキを施すという組み合わせにより生じる効果で温度特性、加工性、耐磨耗性のあらゆる点で最良の結果を得ることができる。
図12に示すスリーブ102の軸受穴102Aの内周面の動圧発生溝102C、102Dは微細な多数の溝を所定のピッチ間隔で高精度に加工するために、前記第1実施例と同様にボール転造法が採用される。従来の電解エッチング加工方法では、動圧発生溝102C、102Dのピッチ間隔を狭くすると、溝以外に軸受穴102Aの内面の平滑面までがエッチングされる。そのため軸受面の精度が悪くなってしまうからである。本実施例のスリーブ102の材料の硫黄快削鋼は塑性加工性が比較的良好であり、動圧流体軸受にとって特に重要な動圧発生溝102C、102Dを高精度に加工することが可能である。スリーブ102を塑性加工性の悪い、フェライト系ステンレスで加工しようとすると動圧発生溝102C、102Dが高精度に加工できず、流体軸受装置の性能を低下させる。
本実施例では、スリーブ102が固定で、軸101が回転する構成について説明したが、スリーブ102がロータハブ108と共に回転し、軸101がベース107に固定された軸固定型の構成でも本実施例と同様の作用効果が得られる。
本実施例では、スラスト軸受を軸101の端面とスラスト板104で構成するので、スラスト軸受の径が軸101の径以下に抑える。またラジアル軸受の半径隙間が、高温では小さく低温では大きくなるので、オイルの粘度変化による流体軸受装置の特性の変化を防止することができる。また上記のように加工性の良い材料を用いることにより、量産上の課題であるスリーブの加工性、および動圧発生溝の加工性を最良にできるとともに耐摩耗性にすぐれた流体軸受装置を得ることができる。
本発明の流体軸受は、高速かつ高精度の回転を必要とする回転体の軸受として利用可能である。
本発明の第1実施例の流体軸受装置の断面図 本発明の第1実施例のスリーブの断面図 軸及びスリーブの使用材料の線膨張係数の比較図 本発明の第1実施例における、温度と半径隙間の関係を示すグラフ (a)は本実施例における半径隙間と損失トルクの関係を示すグラフ、(b)は本実施例における半径隙間と軸振れの関係を示すグラフ 本実施例における、温度と、損失トルク及び軸振れの関係を示すグラフ 本実施例の軸及びスリーブの各材料の成分表 本実施例及び従来例の使用材料の特性の比較表 本実施例の使用材料の特性の比較図 本発明の第2実施例の流体軸受装置の断面図 本発明の第2実施例の流体軸受装置と従来例の流体軸受装置との損失トルクの比較を示すグラフ 本発明の第2実施例のスリーブ102の断面図 本発明の第2実施例の軸101の要部断面図 従来の流体軸受装置の断面図 温度とオイル粘度の関係を示すグラフ 従来の流体軸受装置における温度と半径隙間との関係を示すグラフ 従来の流体軸受装置温度と、軸振れ及び損失トルクの関係を示すグラフ (a)は従来の流体軸受装置における、半径隙間と、損失トルクとの関係を示すグラフ、(b)は従来の流体軸受装置における、半径隙間と軸振れの関係を示すグラフ

Claims (19)

  1. 鉄を含む材料で構成された、軸受穴を有するスリーブ、
    前記スリーブの軸受穴に相対的に回転可能に挿入され、高マンガンクロム鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼の内の少なくとも一方の材料で構成された軸、及び
    前記軸の一端に固定され、一方の面がスリーブの端面に対向し、他方の面が、前記スリーブの前記端面を含む領域を密閉するように設けられたスラスト板に対向する略円板状のフランジを備え、
    前記スリーブの内周面及び軸の外周面の少なくとも一方に、第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設け、前記フランジとスラスト板の対向面のいずれか一方に第3の動圧発生溝を設け、
    前記第1及び第2の動圧発生溝を含む前記スリーブの軸受穴と軸との隙間及びスラスト板とフランジとの隙間を潤滑剤で満たし、
    前記スリーブ又は軸のいずれか一方が電気モータのステータを有する固定ベースに取り付けられ、他方が前記電気モータのロータ磁石を有する回転体に取り付けられることを特徴とする流体軸受装置。
  2. 前記第1及び第2の動圧発生溝のうち、前記フランジに近い方の動圧発生溝は所定の角度で屈曲した線状に形成され、屈曲部から前記フランジに向かう溝の長さが、前記屈曲部から前記フランジの逆の方向へ向かう溝の長さより短いことを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  3. 前記スリーブを構成する鉄を含む材料が、硫黄を0.2から0.4重量%、テルルを0.02から0.07重量%含む硫黄快削鋼であることを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  4. 前記軸を構成する高マンガンクロム鋼は、マンガンを7から9重量%、クロムを13から15重量%含むことを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  5. 前記スリーブを構成する硫黄快削鋼は、硫黄を0.2から0.4重量%、テルルを0.02から0.07重量%及びビスマスを0.05から0.2重量%含むことを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  6. 前記第1及び第2動圧発生溝はヘリングボーン状のパターンであり、前記第3の動圧発生溝はらせん状パターン又はヘリングボーン状のパターンである請求項1記載の流体軸受装置。
  7. 前記第1及び第2の動圧発生溝のうち、前記軸端面部に近い方の動圧発生溝は所定の角度で屈曲した線状に形成され、屈曲部から前記軸端面部に向かう溝の長さが、前記屈曲部から前記軸端面部の逆の方向へ向かう溝の長さより短いことを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  8. 前記スリーブは鉄を含む材料で構成され、表面にニッケル及びを燐を含むメッキを施した請求項1記載の流体軸受装置。
  9. 前記スリーブの開放端に、軸の抜けるのを防ぐ抜け止めを設けたことを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  10. 前記軸の、前記抜け止めに対向する面に、深さが軸心に向かって深くなる環状の溝を有することを特徴とする請求項9記載の流体軸受装置。
  11. 鉄を含む材料で構成された、軸受穴を有するスリーブ、
    前記スリーブの軸受穴に相対的に回転可能に挿入され、高マンガンクロム鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼の内の少なくとも一方の材料で構成され、一方の端部に、軸心に垂直な面である軸端面部を有する軸、及び
    前記軸端面部に対向してスラスト軸受を構成するスラスト板を備え、
    前記スリーブの内周面及び軸の外周面の少なくとも一方に、第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設け、前記軸端面部とスラスト板のそれぞれの対向面の少なくとも一方に第3の動圧発生溝を設け、
    前記第1、第2及び第3の動圧発生溝を含む前記スリーブの軸受穴と軸との隙間及び前記軸端面部とスラスト板との隙間を潤滑剤で満たし、
    前記スリーブ又は軸のいずれか一方が電気モータのステータを有する固定ベースに取り付けられ、他方が前記電気モータのロータ磁石を有する回転体に取り付けられることを特徴とする流体軸受装置。
  12. 前記スリーブを構成する鉄を含む材料が、硫黄を0.2から0.4重量%、テルルを0.02から0.07重量%含む硫黄快削鋼であることを特徴とする請求項11記載の流体軸受装置。
  13. 前記軸を構成する高マンガンクロム鋼は、マンガンを7から9重量%、クロムを13から15重量%含むことを特徴とする請求項11記載の流体軸受装置。
  14. 前記スリーブを構成する硫黄快削鋼は、硫黄を0.2から0.4重量%、テルルを0.02から0.07重量%及びビスマスを0.05から0.2重量%含むことを特徴とする請求項11記載の流体軸受装置。
  15. 前記第1及び第2動圧発生溝はヘリングボーン状のパターンであり、前記第3の動圧発生溝はらせん状パターン又はヘリングボーン状のパターンである請求項11記載の流体軸受装置。
  16. 前記第1及び第2の動圧発生溝のうち、前記軸端面部に近い方の動圧発生溝は所定の角度で屈曲した線状に形成され、屈曲部から前記軸端面部に向かう溝の長さが、前記屈曲部から前記軸端面部の逆の方向へ向かう溝の長さより短いことを特徴とする請求項11記載の流体軸受装置。
  17. 前記スリーブは鉄を含む材料で構成され、表面にニッケル及びを燐を含むメッキを施した請求項11記載の流体軸受装置。
  18. 前記スリーブの開放端に、軸の抜けるのを防ぐ抜け止めを設けたことを特徴とする請求項11記載の流体軸受装置。
  19. 前記軸の、前記抜け止めに対向する面に、深さが軸心に向かって深くなる環状の溝を有することを特徴とする請求項18記載の流体軸受装置。
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