JP2006022930A - 動圧流体軸受装置 - Google Patents

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力 浜田
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Abstract

【課題】スリーブの素材として切削性のよいフェライト系ステンレス快削鋼等を用いると、快削元素の結晶が大きいので、平面性が悪くなる。また快削元素の結晶が使用中に脱落することがある。
【解決手段】鉄系の快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼等に添加する快削元素及び快削合金の粒子を0.1〜0.5μm程度に細かくする。これにより快削鋼のスリーブの軸受孔の内周面にある快削合金の特に硫化マンガンの結晶が小さくなりスリーブの内周面を滑らかにすることができる。また快削鋼の炭素の含有量を0.1%以下とすることにより、素材の硬度を下げ、動圧発生溝の加工工具の寿命を長くする。
【選択図】図1

Description

本発明は流体の動圧を利用する動圧流体軸受装置に関するものである。
近年磁気ディスク等の回転する記録媒体を用いた記録装置は、そのメモリー容量が増大するとともにデータの転送速度も高速化している。そのためこの種の記録装置に用いられるディスク等の軸受装置には高速かつ高精度の回転が要求されることから軸受には動圧流体軸受装置が用いられている。
以下、図8から図12を参照して従来の動圧流体軸受装置について説明する。
図8は動圧流体軸受装置を含むスピンドルモータの典型的な従来例を示す断面図であり、中央部に動圧流体軸受装置が図示されており、両端部にスピンドルモータ部が図示されている。図8において、軸111はスリーブ112の軸受孔112aに回転可能に挿入されている。軸111は、図8において下端部に一体に構成されたフランジ113を有している。フランジ113はベース117に取り付けられたスリーブ112の段部に収納され、スラスト板114に対向して回転可能に構成されている。軸111には、ロータ磁石120が固定されたロータハブ118が取り付けられている。ロータ磁石120に対向するモータステータ119がベース117に取り付けられている。スリーブ112の軸受孔112aの内周面には当技術分野ではよく知られている魚骨形状の2組の動圧発生溝112bが設けられている。フランジ113の、スリーブ112の段部との対向面には同様によく知られている動圧発生溝113aが設けられており、フランジ113の、スラスト板114との対向面には動圧発生溝113bが設けられている。動圧発生溝112b、113a、113bを含む、軸111及びフランジ113と、スリーブ112との間の隙間にはオイル130が充填されている。
以上のように構成された従来の動圧流体軸受装置の動作を以下に説明する。図8において、モータステータ119に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石120、ロータハブ118、軸111、フランジ113が所定の方向に回転をはじめる。この時動圧発生溝112b、113a、113bによりオイル130にポンピング圧力が発生して軸111は浮上し、スラスト板114及び軸受孔112aの内周面に非接触で回転する。
軸111はスリーブ112の軸受孔112a内に満たされたオイル130により潤滑されながら回転するが、一般にオイルは図9のグラフに示すように、温度が低くなるとオイルの粘度が指数関数的に増加する。軸111が回転するときに受ける回転抵抗はオイルの粘度に比例するため、低温では軸111の回転抵抗が大きくなり損失トルクが増加してモータの消費電力が増加する。逆に高温ではオイルの粘度が低下して回転抵抗は減少するが、オイルの粘度に比例する動圧流体軸受装置の軸受の剛性は低下し、軸振れ(軸111が回転中に軸受孔112aの中で揺れ動く現象)が増大する。スリーブ112の軸受孔112aの半径と軸111の半径との差で定義される「半径隙間」は、理論的には軸受剛性の3乗に反比例し、かつ損失トルクに反比例する。軸受孔112aと軸111の半径隙間は、低温ではオイル粘度の増大に伴う損失トルクの増大を低減するために大きくなるのが好ましい。また高温ではオイル粘度の低下に伴う軸受剛性の低下を低減するために半径隙間が小さくなるのが好ましい。このような条件を満たすためには、スリーブ112と軸111の各材料を、線膨張係数の観点から以下のように選択すれば良い。すなわちスリーブ112は線膨張係数のできるだけ小さい材料で作り、軸111は線膨張係数のできるだけ大きい材料で作れば良い。
具体例として、スリーブ112に適した線膨張係数を有する一般的な工業材料としては、鉄とその合金、フェライト系ステンレス綱、及びマルテンサイト系ステンレス綱があり、線膨張係数は10×10−6〜12×10−6の範囲にある。また軸111に適した材料としては、オーステナイト系ステンレス綱があり、線膨張係数は約17×10−6である。前記のスリーブ112の材料として挙げた3種類の材料はいずれも切削性が極めて悪いので、一般には各種快削元素やその合金を添加した、いわゆる鉄系の快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼又はマルテンサイト系ステンレス快削鋼を使うことになる。快削元素としては鉛、硫黄、テルル、セレン等があり、快削元素の合金としては、硫化マンガンなどがある。一般の快削綱は切削性を最大限改善するために、ベースとなる鉄やフェライト系ステンレス綱、マルテンサイト系ステンレス綱にこれらの快削元素や合金を出来るだけ多く添加して含有量を多くし、かつ快削元素やその合金の結晶の大きさも可能な限り大きくなるように製造されている。
これらの快削鋼でスリーブ112を作るときには、まず快削鋼の素材を冷間圧延によりスリーブ112の最大外径よりわずかに大きな直径の丸棒に成形する。次にこの丸棒を旋盤で切削加工してスリーブ112を製作する。動圧発生溝112bは旋盤加工後に別工程で形成する。
特開H05−312212号公報
上記のようにして製作する従来の動圧流体軸受装置では次の様な問題点があった。第1の問題点は旋盤加工により切削された軸受孔112a(この時点では動圧発生溝112bは未加工)の表面には快削元素やその合金の結晶が現れることである。
図10は日本工業規格(JIS)で規格化されているSUM24相当の低炭素鋼系快削鋼の素材からスリーブ112を製作したときの軸受孔112aの表面の拡大写真である。この写真は表面を約250倍のデジタルマイクロスコープで拡大した写真である。図10の左右方向が軸受孔112aの軸方向であり、矢印145の方向が軸受孔112aの加工時のスリーブ112の回転方向である。
左右方向に長いやや色の濃い領域132、133、134、135は快削元素の硫黄とマンガンが硫化マンガンという合金の形で表面に折出している部分を示す。領域132〜135は軸方向(左右方向)の長さが0.07〜0.15mm、軸に直交する方向(矢印145)の長さが約0.01mm程度である。領域132〜135の形状が左右に細長い理由は、前記のように素材を丸棒の形状に冷間圧延したとき、硫化マンガンの結晶も引き伸ばされるためである。硫化マンガンの結晶の大きさは軸111と軸受孔112aの半径隙間の0.002〜0.003mmの寸法に比べると極めて大きい。快削鋼は一般に快削合金の金属結晶が大きいのが特徴であり、金属結晶が大きいほど快削性が向上する。硫化マンガンの結晶が折出している領域132〜135では、軸受孔112a(図8)の表面粗さが大きくなり、動圧流体軸受として組み立てた後に硫化マンガンの結晶が脱落し回転中に軸受孔112aの内面に焼きつき回転不能に陥る恐れがある。
図10において、軸受孔112aの面は、旋盤の矢印145の方向に通過するバイト(図示省略)により加工される。バイトはベース材である低炭素鋼の領域137と、快削合金である硫化マンガン結晶の領域132を交互に切削することになる。低炭素鋼は硫化マンガン結晶に比べると強度と靭性が高い。すなわち硫化マンガン結晶は低炭素鋼より強度が低く脆い。従って低炭素鋼の領域137をバイトで切削加工すると、バイトで切削加工された跡に、例えば140で示すような上下方向の連続的な切削目が生じるが、硫化マンガン結晶の領域132には切削目がほとんど生じず破断面となる。このためバイトの切削抵抗は、低炭素鋼の領域137では大きく、硫化マンガン結晶の領域132〜135では小さくなる。その結果バイトが振動し低炭素鋼の領域137においても表面粗さが大きくなる。
図11はスリーブ112の材料としてSUM24を用い、スリーブ112の軸受孔112aを旋盤で加工した時の表面粗さの測定例である。図11の横軸は軸受孔112aの軸方向であり(2つの矢印間が0.1mm)、縦軸は粗さを示す凹凸の大きさを表している(2つの矢印間が0.0002mm)。図11は、テーラーホブソン社製のホームタリサーフ2型測定器を用いて測定した結果を示すものである。
一般に、軸111と軸受孔112aの半径隙間は0.002〜0.003mmである。粗さを零としたときの軸受剛性と、粗さを考慮に入れたときの軸受剛性とを同じに保とうとすると、半径隙間は、凹凸を有する表面の平均位置と軸111の外周との隙間となる。図11の場合、凹凸の最大幅は0.001mm程度である。軸受孔112bと軸111との実質的な最小の半径隙間は、凹凸の最大幅0.001mmの1/2だけ小さい0.0015〜0.0025mmとなる。この状態では、軸111と軸受孔112aとが凹凸の山部で接触し焼きつく可能性がきわめて高い。従来のスリーブ112の軸受孔112aは、旋盤加工後に粗さ(凹凸)を小さくするために研磨などの後加工や後処理を行うことが不可欠であり、そのためにコストが高くなるという問題があった。
硫化マンガン結晶に起因する次の問題点は、軸111をスリーブ112の軸受孔112aに挿入して動圧流体軸受として組み立てた完成品の動作中に、硫化マンガン結晶の一部が脱落し動圧流体軸受が焼きつくことにある。前記図10を参照して説明したように、領域132〜135の硫化マンガンにバイトによる切削目がほとんど無いことは、硫化マンガン結晶はバイトで破断されて除去されたことを示す。すなわち硫化マンガン結晶は、バイトが激突することで硫化マンガン結晶にひび(亀裂)が入り脱落して除去される。1個の硫化マンガン結晶132に対しては、低炭素鋼の領域137に残るバイトの切削目の数だけひびが発生したと推定され、ひびの発生した小片が脱落することにより切削加工される。このため大きな硫化マンガン結晶の表面には、ひびで孤立した状態になった微小な硫化マンガン結晶が存在し、これらが組み立て完成後の動作中に脱落するおそれがある。
発明者等の種々の実験によると、このようなスリーブ112を用いて動圧流体軸受装置を作ると、動作中に微小な硫化マンガン結晶が脱落して軸受の隙間に入り込み軸受が焼きつく確率が極めて高いことが判った。この従来例で用いたSUM24材は鉄系であるので、防錆や耐磨耗性の改善を目的に0.002〜0.005mm程度の厚みの無電解ニッケルのメッキを施すことがある。このメッキにより微小な硫化マンガン結晶の脱落をある程度防止することができ、焼きつきの確率を減らすことができるが完全に防止することはできない。硫化マンガン結晶を含む材料を切削加工したときに脱落する可能性がある硫化マンガン結晶はその大きさも大きいため、薄いメッキでは強度的に十分な脱落防止効果が得られない。上記の従来例はスリーブの材料にSUM24という炭素鋼系快削鋼を用いた場合について説明したが、フェライト系ステンレス快削鋼やマルテンサイト系ステンレス快削鋼の場合でも通常硫化マンガン結晶が存在するので同様の問題が生じる。
次に第2の問題点を以下に説明する。図8に示すスリーブ112の軸受孔112aの内周面に動圧発生溝112bを加工する方法を図12に示す。図12において、スリーブ112は断面を示している。動圧発生溝112bを塑性加工するための既知の溝転造ツール122は、シャンク123と複数の転造ボール124および転造ボール124とシャンク123を固定するホルダ125により構成されている。複数の転造ボール124の対角寸法Lはスリーブ112の軸受孔112aの内径よりも、動圧発生溝112bの深さに相当する長さだけ大きく設定されている。動圧発生溝112bを加工するときは、溝転造ツール122をスリーブ112に対して相対的に矢印A方向に回転させながら矢印Z方向へスリーブ112内に挿入する。これにより動圧発生溝112bの傾斜部142aが加工される。動圧発生溝112bの頂点につづく傾斜部142bは、溝転造ツール122を矢印Aとは逆の方向に回転させながら更に矢印Z方向へ挿入していくことで形成される。この動作により動圧発生溝112bの1個のV字形の溝ができる。同様にして2個目以後のV字形の溝も加工できる。溝転造ツール122をスリーブ112から引き抜くときは、挿入時の軌跡をそのままたどって引き抜くか、挿入時に加工した溝の中間部を通ることで転造ボール124の2倍の数の動圧発生溝112bを加工してもよい。
転造ボール124は、動圧発生溝112bを加工するときに常にスリーブ112の軸受孔112aの内壁面に擦り付けられるので磨耗が避けられない。転造ボール124が磨耗すると動圧発生溝112bの深さが浅くなるので動圧流体軸受の性能が低下する。磨耗防止のために転造ボール124の材料は軸受鋼や一般に超硬と呼ばれている金属材料、セラミックなどの特殊材料の中から最良のものを選定する。しかしスリーブ112の材料がSUM24の場合、溝転造ツール122の転造ボール124の寿命は約5000個のスリーブ112の加工が可能な程度である。そのために動圧発生溝112bの加工コストが高いという問題点があった。転造ボール124の寿命が短くなる理由はスリーブ112の素材の硬度が高いからである。鉄系の快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼及びマルテンサイト系ステンレス快削鋼は通常0.1〜0.5%の炭素を含有している。このマルテンサイト系ステンレス快削鋼の80%前後は鉄である。このように鉄に炭素を含ませることで強度及び硬度の高いパーライト組織にできる。しかし硬度が高いので転造ボール124の磨耗に対しては不利となる。
本発明は、低コストで信頼性が高い動圧流体軸受装置及びそれを用いたスピンドルモータを提供することを目的とする。
本発明の動圧流体軸受装置は、スリーブ及び前記スリーブの軸受穴に相対的に回転可能に挿入される軸を有し、前記軸の外周面または前記スリーブの内周面の少なくとも一方に動圧発生溝を有するラジアル軸受面を設け、前記軸と前記スリーブの軸受穴との間に作動流体を充填した動圧流体軸受装置において、前記スリーブが、鉄系の快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼及びマルテンサイト系ステンレス快削鋼から選択された少なくとも1種の材料であって、前記各快削鋼に含まれる快削元素または快削元素を含む合金の結晶の前記スリーブの軸受穴の軸方向における寸法(長さ)が0.03mm未満、前記軸方向に垂直な方向における寸法(幅)が0.005mm未満である材料で作られていることを特徴とする。
本発明によれば、スリーブの材料である各快削鋼に含まれる快削元素及び快削元素を含む合金のそれぞれの結晶の軸受孔の軸方向の長さを0.03mm未満、幅を0.005mm未満とすることにより、スリーブの軸受孔の内周面を旋盤で切削するとき破断面を生じることがほとんどない。そのため切削後の表面の粗さ(凹凸)が小さくなり良好な切削加工面を得ることができる。その結果動圧流体軸受の動作中に快削元素及び快削合金の結晶が脱落して、動圧流体軸受装置を回転不能にするおそれがなくなる。
本発明の他の観点の動圧流体軸受装置は、スリーブ及び前記スリーブの軸受穴に相対的に回転可能に挿入される軸を有し、前記軸の外周面または前記スリーブの内周面の少なくとも一方に動圧発生溝を有するラジアル軸受面を設け、前記軸と前記スリーブの軸受穴との間に作動流体を充填した動圧流体軸受装置において、前記スリーブが、鉄系の快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼及びマルテンサイト系ステンレス快削鋼から選択された少なくとも1種の材料であって、前記各快削鋼の炭素含有量がそれぞれ重量パーセントで0.1%未満であり、かつこれらの材料から成形した素材の硬度のビッカース硬さHvが230未満である材料で作られていることを特徴とする。
本発明によれば、スリーブの材料である各快削鋼の炭素含有量を0.1%未満とすることにより、炭素に起因するビッカース硬さHvが500以上の高硬度のパーライト組織が大幅に低減しほとんど存在しなくなる。そのためスリーブの軸受孔に塑性加工で動圧発生溝を形成する転造ボールの摩耗が大幅に低減する。
本発明によれば、スリーブの素材である、快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼又はマルテンサイト系ステンレス快削鋼に含まれている快削元素およびその合金の結晶の大きさを小さくすることにより、スリーブの軸受孔の表面粗さが小さくなる。従って表面粗さを小さくするための後工程が不要になり低コスト化が実現できる。また表面粗さが小さいので、動圧流体軸受装置の組み立て完成後の動作中に発生しやすい快削元素の結晶の脱落の危険性が減少するので信頼性の高い動圧流体軸受装置を実現できる。
また前記快削鋼、フェライト系ステンレス綱、マルテンサイト系ステンレス綱に含まれる炭素含有量を0.1%未満とし、これらの材料の棒材でのビッカース硬さをHv230以下にすることにより溝転造ツールの寿命を大幅に延ばすことができるので、製造コストが低減され低コストの動圧流体軸受装置が実現できる。
以下、本発明の動圧流体軸受装置の好適な実施例を図1から図7を参照して説明する。
《第1実施例》
本発明の第1実施例の動圧流体軸受装置を図1から図4を参照して説明する。本発明は動圧流体軸受のスリーブの材質に関するものである。図1は各要素の符号が異なる点を除いて、図8に示す前記従来の動圧流体軸受装置と実質的に同じ構成を有する。図1において、軸11はスリーブ12の軸受孔12aに回転可能に挿入されている。軸11は、図1において下端部に一体に構成されたフランジ13を有している。フランジ13はベース17に取り付けられたスリーブ12の段部に収納され、スラスト板14に対向して回転可能に構成されている。軸11にはロータ磁石20が固定されたロータハブ18が取り付けられており、ロータ磁石20に対向するモータステータ19がベース17に取り付けられている。スリーブ12の軸受孔12aの内周面には動圧発生溝12bが設けられている。フランジ13の、スリーブ12の段部との対向面には動圧発生溝13aが設けられており、フランジ13の、スラスト板14との対向面には動圧発生溝13bが設けられている。動圧発生溝12b、13a、13bを含む、軸11及びフランジ13とスリーブ12との隙間には作動流体としてオイル30が充填されている。
以上のように構成された本発明の動圧流体軸受装置の動作も従来例と全く同じであるが、一応図1を用いて説明する。図1において、モータステータ19に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石20、ロータハブ18、軸11及びフランジ13が回転をはじめる。この時動圧発生溝12b、13a、13bによりオイル30にポンピング圧力が発生して軸11は浮上し、スラスト板13及び軸受孔12aの内周面に非接触で回転する。
軸11はスリーブ12の軸受孔12a内に満たされたオイル30により潤滑されながら回転する。一般にオイルは前記の図9のグラフに示すように温度が低くなると粘度が指数関数的に増加する。軸11が回転するときに受ける回転抵抗はオイルの粘度に比例するため、低温では軸11の回転抵抗が大きくなり損失トルクが増加してモータの消費電力が増加する。逆に高温ではオイルの粘度が低下して回転抵抗は減少するが、オイルの粘度に比例する動圧流体軸受装置の軸受の剛性は低下し、軸振れ(軸11が回転中に軸受孔12a内で揺れ動く現象)が増大する。スリーブ12の軸受孔12aの半径と軸11の半径との差で定義される半径隙間は理論的には軸受剛性の3乗に反比例しかつ損失トルクに反比例する。
半径隙間は、低温ではオイル粘度の増大に伴う損失トルクの増大を防ぐために大きくなるのが好ましい。また高温ではオイル粘度の低下に伴う軸受剛性の低下を防ぐために、半径隙間は小さくなるのが好ましい。このような条件を満たすように、スリーブ12は線膨張係数のできるだけ小さい材料で作り、軸11は線膨張係数のできるだけ大きい材料で作るのが望ましい。スリーブ12に適した線膨張係数を有する材料としては、鉄とその合金、フェライト系ステンレス綱、マルテンサイト系ステンレス綱があり、線膨張係数は10×10−6〜12×10−6の範囲にある。また軸11に適した材料としてはオーステナイト系ステンレス綱があり、線膨張係数は17×10−6である。スリーブ12の材料として挙げた3種類の材料に、快削元素として鉛、硫黄、マンガン等を添加する。更に快削合金である、鉛と硫黄、鉛と硫黄にテルルやセレンなどの快削元素を加えた合金を添加してもよい。その結果、鉄系快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼及びマルテンサイト系ステンレス快削鋼が得られる。
本実施例におけるスリーブ12の材料としては、例えば鉄系快削鋼の場合、JIS規格の鋼材であるSUM24とほぼ同じ組成の材料に重量パーセントで1%以下の微量のニオブを加えた材料を用いることができる。ニオブを添加すると、ニオブは鉄系快削鋼の中に均一に分散し、このニオブを核に大きさが抑制された硫化マンガンの結晶が成長する。チタンについても同様の形態で添加され、同様の作用効果を有するものと思われる。なお、鉄系快削鋼にニオブやチタンを添加することは当技術分野では周知の技術である。本発明は快削元素やその合金の結晶の大きさの小さい快削鋼を用いることに関するものであり、このような快削鋼を得る手段としてニオブやチタンの添加のみに限定するものではない。これらの快削鋼の素材は、スリーブ12の形状に短時間で加工できるように、あらかじめ冷間圧延によりスリーブ12の最大外径よりわずかに大きな直径の丸棒に成形される。この丸棒を旋盤で切削加工してスリーブ12を製作する。動圧発生溝12bは旋盤の切削加工後に形成する。
本実施例の動圧流体軸受装置のスリーブ12の材料である、鉄系の快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼、マルテンサイト系ステンレス快削鋼では、快削元素もしくはその合金の結晶の大きさを、前記のニオブやチタン等を添加した従来のものに比べて小さくしたことを特徴とするものである。図2に示す写真は、本実施例のスリーブに用いるニオブやチタン等を添加した炭素鋼系快削鋼(SUM材)を旋盤で切削加工したスリーブ12の軸受孔12a表面の拡大写真である。図2において、図の左右方向が軸受孔12aの軸方向であり、矢印40の方向がバイトの移動方向である。黒丸12cで示す横長のやや濃度の高い領域が硫化マンガンの結晶である。黒丸12dで示す濃度の低いところはベースとなる低炭素鋼である。黒丸12eはバイトによる切削目を示している。硫化マンガンの領域12cは長さが約0.01〜0.03mm程度、幅が約0.005mm未満である。領域12cを、図10に示す従来例のスリーブ112の軸受孔112aの表面拡大写真における領域132と比較すると、領域12cは領域132よりはるかに小さくなっている。
図2において、軸受孔12aの面は、矢印40の方向に移動するバイト(図示省略)により切削される。バイトはベースである低炭素鋼の領域12dと快削合金である硫化マンガンの領域12cを交互に切削することになる。低炭素鋼の領域12dは硫化マンガンの領域12cに比べて強度と靭性が高く、逆に硫化マンガンの領域12cは低炭素鋼の領域12dに比べ強度が低く脆い。そのためバイトで低炭素鋼の領域12dを切削すると上下方向の連続的な切削目12eが出る。発明者の詳細な観測によると、硫化マンガンの領域12cにおいて、切削目12eが低炭素鋼の領域12dから硫化マンガンの領域12cに連続的につながっている所もあり、従来例に見られたようなはっきりした破断面の形状は見られなかった。以上のことから、本実施例ではバイトが低炭素鋼の領域を切削するときと、硫化マンガンの領域12cを破断するときとのバイトが受けるそれぞれの抵抗の差が極めて少なくバイトの振動も低減した。
図3はスリーブ12の軸受孔12aの内周面の表面粗さ(凹凸)を、図11の場合と同じ測定器を用いて測定した結果の図である。図3から判るように、凹凸を0.0005mm程度にまで低減できた。これは図10に示す従来のものの凹凸の約1/2である。
図4は快削元素の結晶の長さが異なる4種類の材料を用いてスリーブ12を作り、軸受孔12aの表面を切削したときの表面粗さを測定した結果のグラフであり、横軸は快削元素の結晶の長さ、縦軸は加工後の表面粗さを示す凹凸の寸法である。長円Aは従来例の、硫化マンガン結晶の長さが70〜150μmの範囲にあるSUM材を用いたときの表面粗さの分布を示し、凹凸の寸法は0.7μmから1.3μmの範囲にある。同様にして長円Bは、所定の熱処理により硫化マンガン結晶の長さを50μm前後にしたSUM相当材を用いたときの表面粗さの分布を示し、凹凸の寸法は0.7μm前後である。長円Cは本実施例におけるスリーブ12の材料である、快削元素の結晶の長さが20μm前後のSUM相当材を用いたときの表面粗さを示し、凹凸の寸法は0.4μmから0.6μmの範囲にある。また長円Dは硫化マンガンを含まず鉛のみを含み、快削元素の長さが3μm前後の鉛快削鋼を用いたときの表面粗さを示している。各長円の大きさは快削元素又は合金の結晶の大きさのばらつきの範囲及び表面粗さのばらつきの範囲を示す。図4から判るように、快削元素の種類を問わず快削元素もしくはその合金の結晶の長さを30μm未満にすると、表面粗さを示す凹凸が0.6μm以下となり良好な切削加工面を得ることができる。これにより切削加工後に粗さを改善するための工程が不要となりスリーブ12の加工コストを低減できる。
次に動圧流体軸受として組み立てて完成した後の動作中に生じる、硫化マンガン結晶12cの脱落に伴う動圧流体軸受の焼きつきについて説明する。本実施例におけるスリーブ12では、図2から判るように、硫化マンガン結晶12cの幅(図の上下方向の寸法)は0.005mm程度しかない。この幅の硫化マンガンの結晶12cでは、その両側が低炭素鋼の結晶12dでしっかり支持されている。従って切削加工においてバイトによる衝撃が加わってもひびが入りにくく、硫化マンガン結晶12cの脱落の確率は大幅に低減される。万一硫化マンガン結晶12cが脱落したとしても、その大きさが、半径隙間の0.002〜0.003mmより大きくなる確率は小さい。
発明者が行った種々の実験によると、硫化マンガン結晶12cの長さが0.03mm未満、幅が0.005mm未満である素材を用いると、軸受の焼きつきの確率は従来の材料に比べて1/10以下になることが判った。さらに防錆や耐磨耗性の向上を目的とした無電解ニッケルメッキを施すと、硫化マンガン結晶12cの脱落をより効果的に抑制できることは言うまでもない。本実施例では各種の快削元素やその合金の中でもその結晶の大きさがもっとも大きい硫化マンガンの結晶12cについて説明したが、他の快削元素やその合金を用いた快削鋼でも同様の効果が得られる。上記の説明に用いた鉄系快削鋼以外に、マルテンサイト系ステンレス快削鋼やフェライト系ステンレス快削鋼にも一般に硫化マンガン系の合金が含まれるので本実施例と同様の効果が得られる。
以上の説明から明らかなように本発明によれば、スリーブの素材として鉄系の快削鋼やフェライト系ステンレス快削鋼、マルテンサイト系ステンレス快削鋼を用いるとき、快削元素およびその合金の長さを0.03mm以下、幅を0.005mm未満とした材料を用いることで、低コストで信頼性の高い動圧流体軸受装置を実現できる。
《第2実施例》
本発明の第2実施例の動圧流体軸受装置を図5から図7を参照して説明する。第2実施例はスリーブ12の材料に関するものであり、特に材料の硬さに関するものである。
前記の第1実施例のスリーブ12の軸受孔12aの内周面に動圧発生溝12bを形成する工程は、「背景技術」の項で説明した図12に示す装置と実質的に同じ構成を有する図5に示す装置を用いて行われる。図5において、動圧発生溝12bを塑性加工するための既知の溝転造ツール22は、シャンク23と複数の転造ボール24および転造ボール24をシャンク23に保持するホルダ25により構成されている。複数の転造ボール24の対角寸法Lはスリーブ12の軸受孔12aの内径よりも、動圧発生溝12bの深さに相当する長さだけ大きく設定されている。動圧発生溝12bを加工するときは、溝転造ツール22をスリーブ12に対して相対的に矢印A方向に回転させながら矢印Z方向へ動かし軸受孔12aに挿入する。これにより動圧発生溝12bの傾斜部42aが加工される。動圧発生溝12bの頂点をはさむ傾斜部42bは、溝転造ツール22を矢印Aと逆方向に回転させながら矢印Z方向へ挿入していくことにより形成される。この動作により動圧発生溝12bの1個のV字形の溝ができる。同様にして2個目以後の複数のV字形の溝も加工できる。溝転造ツール22をスリーブ12から引き抜くときは、挿入時の軌跡をそのままたどって引き抜くか、挿入時に加工した溝の中間部を通ることで転造ボール24の2倍の数の動圧発生溝12bを加工してもよい。
転造ボール24は、動圧発生溝12bを加工するとき常にスリーブ12の軸受孔12aの内周面に擦り付けられるので摩耗が避けられない。転造ボール24が摩耗すると動圧発生溝12bの深さが浅くなるので動圧流体軸受の性能が低下する。摩耗防止のために転造ボール24の材料は軸受鋼や超硬、セラミックなどの特殊材料の中から最良のものを選定する。本実施例では、転造ボール24の磨耗を防止するためにスリーブ12を可能な限り柔らかい材料で構成する。
鉄系の快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼及びマルテンサイト系ステンレス快削鋼は、その炭素含有量を重量パーセントで0.1%未満にすると柔らかくなり、炭素に起因するパーライト組織が大幅に低減しほとんど存在しなくなる。ビッカース硬さHvが500以上であるパーライト組織が存在しないので転造ボール24の磨耗が大幅低減する。発明者は3種類の材料、すなわち従来例で示した炭素を約0.14%含有するSUM材(材料1)、炭素を約0.1%含有するSUM相当の材料(材料2)及び、炭素を0.02%含む純鉄系鉛快削鋼(材料3)を用いてそれぞれ作製したスリーブ12に対して、図5に示す溝転造ツール22を用いてそれぞれ10000個のスリーブ12の溝加工をする試験を行った。
図6は10000個のスリーブ12の溝を加工した後の転造ボール24の対角寸法Lの変化量を測定した結果を示す。図6の横軸は炭素含有量であり、黒丸Aは材料1、黒丸Bは材料2、黒丸Cは材料3を示している。図6から判るように、炭素の含有量が少なくなるほど対角寸法Lの変化量が小さくなり、転造ボール24の摩耗が少ないことを示している。炭素の含有量を0.1%未満とすると対角寸法Lの変化量は1.5μm以下となり、転造ボール24は実用上十分な寿命をもつことが確認された。スリーブ12の材料となる鉄系の快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼及びマルテンサイト系ステンレス快削鋼の素材は、スリーブ12の形状に短時間で加工できるように、あらかじめスリーブ12の最大外径よりわずかに大きな直径の丸棒に冷間圧延により前加工をする。この冷間圧延加工により素材自体が加工硬化を引起こす。例えば純鉄のビッカース硬さHvは100前後であるが、これを冷間圧延加工すると、ビッカース硬さはHv200〜Hv300程度になることもある。前記材料1、材料2、材料3の3種類の材料で作ったスリーブ12の軸受孔12a表面の硬度を測定したところ、それぞれのビッカース硬さHvは280、230、200であった。
図7は軸受孔12aの表面のビッカース硬さHvと対角寸法Lの変化量との関係を示すグラフである。黒丸Aは材料1、黒丸Bは材料2、黒丸3は材料3をそれぞれ示している。図7から判るように、軸受孔12aの表面硬度が低いと対角寸法Lの変化量も小さく、転造ボール24の磨耗量が少ないことがわかる。図7から、炭素含有量が0.1%未満の材料を丸棒形状に成形し、ビッカース硬さHvを230以下にした素材でスリーブ12を作ると、軸受孔12aの動圧発生溝の加工における転造ボール24(図5)の摩耗を抑制でき、10000個のスリーブ12の溝加工を行った後の前記対角寸法Lの減少を1.5μm以下にすることができる。このことは、従来例における炭素含有量0.14%、ビッカース硬さがHv280のSUM24材(材料1)を用いた場合に比べると転造ボール24の寿命を2倍以上に延ばすことができる。
以上のように本実施例によれば、鉄系の快削鋼やフェライト系ステンレス快削鋼、マルテンサイト系ステンレス快削鋼の炭素含有量を0.1%未満とし、かつこれらの材料で作った丸棒形状のスリーブ12の素材のビッカース硬さをHv230以下にすることで動圧発生溝の加工費が低減され、ひいては低コストの動圧流体軸受装置を実現できる。
本発明にかかる動圧流体軸受装置は、高い信頼性を有するとともに低コストであり、高い信頼性を必要とする装置に利用可能である。
本発明の第1実施例における動圧流体軸受装置を有するスピンドルモータの断面図 本発明の第1実施例におけるスリーブの軸受孔表面の拡大写真 本発明の第1実施例におけるスリーブの軸受孔表面の荒さの測定結果を示す図 快削元素の結晶の長さと表面粗さである凹凸の寸法の関係を示すグラフ 本発明の第2実施例における、動圧発生溝の加工工程を示す加工装置の側面図 スリーブの材料の炭素含有量と転造ボールの対角寸法Lの変化量との関係を示すグラフ スリーブの軸受孔の表面硬度と対角寸法Lの変化量との関係を示すグラフ 従来の動圧流体軸受装置を有するスピンドルモータの断面図 温度とオイルの粘度との関係を示すグラフ 従来例におけるスリーブの軸受孔表面の拡大写真 従来例におけるスリーブの軸受孔表面の粗さの測定結果を示す図 従来例における動圧発生溝を塑性加工する工程を説明するための加工装置の側面図
符号の説明
11、111 軸
12、112 スリーブ
12a、112a 軸受孔
12b、112b 動圧発生溝
12c、132〜135 硫化マンガン結晶
12d、137 低炭素鋼
12e、140 切削目
13、113 フランジ
14、114 スラスト板
17、117 ベース
18、118 ロータハブ
19、119 モータステータ
20、120 ロータ磁石
22、122 溝転造ツール
23、123 シャンク
24、124 転造ボール
25、125 ホルダ

Claims (2)

  1. スリーブ及び前記スリーブの軸受孔に相対的に回転可能に挿入される軸を有し、前記軸の外周面または前記スリーブの内周面の少なくとも一方に動圧発生溝を有するラジアル軸受面を設け、前記軸と前記スリーブの軸受孔との間に作動流体として潤滑剤を充填した動圧流体軸受装置において、
    前記スリーブが、鉄系の快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼及びマルテンサイト系ステンレス快削鋼から選択された少なくとも1種の材料であって、前記各快削鋼に含まれる快削元素及び快削元素を含む合金のそれぞれの結晶の前記スリーブの軸受孔の軸方向における寸法(長さ)が0.03mm未満、前記軸方向に垂直な方向における寸法(幅)が0.005mm未満である材料で作られていることを特徴とする動圧流体軸受装置。
  2. スリーブ及び前記スリーブの軸受孔に相対的に回転可能に挿入される軸を有し、前記軸の外周面または前記スリーブの内周面の少なくとも一方に動圧発生溝を有するラジアル軸受面を設け、前記軸と前記スリーブの軸受孔との間に作動流体を充填した動圧流体軸受装置において、
    前記スリーブが、鉄系の快削鋼、フェライト系ステンレス快削鋼及びマルテンサイト系ステンレス快削鋼から選択された少なくとも1種の材料であって、前記各快削鋼の炭素含有量がそれぞれ重量パーセントで0.1%未満であり、かつこれらの材料から成形した素材の硬度のビッカース硬さHvが230未満である材料で作られており、前記スリーブの軸受孔に塑性加工法で形成された動圧発生溝を有することを特徴とする動圧流体軸受装置。
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