JP2000192960A - 軸受装置 - Google Patents

軸受装置

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JP2000192960A
JP2000192960A JP4399A JP4399A JP2000192960A JP 2000192960 A JP2000192960 A JP 2000192960A JP 4399 A JP4399 A JP 4399A JP 4399 A JP4399 A JP 4399A JP 2000192960 A JP2000192960 A JP 2000192960A
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JP
Japan
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bearing
dynamic pressure
bearing device
copper
shaft member
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JP4399A
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English (en)
Inventor
Michiaki Takizawa
道明 滝沢
Hisaya Nakagawa
久弥 中川
Masamichi Hayakawa
正通 早川
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Nidec Sankyo Corp
Original Assignee
Nidec Sankyo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な構成で、軸部材21と軸受部材15と
の間のクリアランス変動を良好に抑えて、潤滑性を損な
うことなく軸受特性の安定化を図ることを可能とする。 【解決手段】 軸部材21又は軸受部材15の少なくと
も一方を構成している焼結体の金属粉末として、低熱膨
張ではあるが、そのままでは高融点であるために焼結を
行うことが困難である金属粒子を用いるとともに、その
金属粒子を、低融点で潤滑性の良好な銅又は銅系合金を
含むメッキ層により覆うことによって低温での焼結を可
能とし、しかも出来上がった焼結体の熱膨張係数を、上
記金属粒子の存在により低く抑えて良好な温度特性を得
ると同時に、銅又は銅系合金を含むメッキ層によって良
好な潤滑性又は馴染性も同時に得るように構成したも
の。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軸部材と軸受部材
とを相対回転自在に支持するように構成した軸受装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、軸受装置は、多種多様な分野に
おいて広く用いられているが、軸受装置を構成している
軸部材と軸受部材との間の隙間(クリアランス)は、軸
支持特性を管理・維持する上で重要な要素となってい
る。特に、軸部材と軸受部材との間の隙間内に潤滑流体
を注入しておき、その潤滑流体に動圧を発生させるよう
にした動圧軸受装置では、上述したクリアランスの設計
及び管理は極めて重要である。例えば、温度環境の変化
に伴ってクリアランスが僅かに変化した場合であっても
軸受特性は大きく変動することとなり、十分な配慮が必
要である。
【0003】動圧軸受装置は、ポリゴンミラー、磁気デ
ィスク、光ディスク等を回転支持するために近年種々提
案されているものであるが、軸部材側の動圧面と、軸受
部材側の動圧面とが所定の半径方向隙間を介して環状に
対向するように設けられており、その環状隙間内に注入
された空気やオイル等の潤滑流体が、上記軸部材又は軸
受部材の少なくとも一方側の部材に設けられた動圧発生
手段の回転時におけるポンピング作用によって加圧さ
れ、当該潤滑流体の動圧により、上記軸部材及び軸受部
材の両部材どうしが相対的に回転可能に支持されるよう
になっている。
【0004】このような動圧軸受装置を含む軸受装置の
構成素材としては、従来より、潤滑性及び加工性上の利
点から焼結金属がしばしば採用されている。焼結金属体
は、所定の金属粉末を焼結して形成されるが、その金属
粉末としては、ほとんどの場合において鉄銅系の材料が
用いられている。すなわち通常には、鉄や銅からなる主
材料に対して、錫、鉛、亜鉛、コバルト、ニッケル、二
硫化モリブデン、グラファイト等を添加したものを焼結
金属材料として採用しているが、そのような焼結金属材
料を選択するにあたっては、高潤滑性を維持することが
できるという観点の他に、低融点であるという観点があ
る。つまり、低融点の材料を選択することとすれば、焼
結温度をあまり上げることなく低コストで金型製造する
ことができるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】つまり、焼結金属材料
を用いて軸受装置を製造する場合には、焼結工程を経る
ために熱膨張係数が比較的大きい金属材料を採用せざる
を得ず、温度変化に伴って、軸部材と軸受部材との間の
隙間(クリアランス)が大きく変動する傾向がある。特
に、上述した動圧を利用した軸受装置においては、クリ
アランスの変動によって動圧特性が大幅に変動してしま
い、信頼性に影響を与えることがある上、場合によって
は、軸部材と軸受部材とが衝突を起こして損傷が発生す
る等の深刻な状態となることもある。
【0006】より具体的には、軸部材として通常に用い
られているマルテンサイト系のステンレス鋼、例えばS
US420の場合には、熱膨張係数は10.4×10
−6程度(0℃〜100℃)であるが、そのような軸部
材に対して、上述した金属粉末の焼結体からなる軸受部
材を組み合わせたとき、軸受部材側の熱膨張係数が17
〜18×10−6程度であるため、両部材どうしの間の
熱膨張係数の差は、7〜8×10−6となる。このよう
な熱膨張係数の差があると、軸受径が3mmとしたとき
には0.024μm/℃のクリアランス変動を招来する
こととなる。そして、モータ等で設定されている使用温
度環境が−10℃〜60℃程度であることを考慮する
と、実際の使用時には、約1.7μm前後にわたってク
リアランスが変動することとなってしまい、その変動量
を更に抑えることが好ましい。
【0007】なお、上述した軸部材及び軸受部材を、共
に熱膨張係数が小さいステンレス鋼により形成すること
も考えられるが、その場合には、加工性の問題が生じる
こととなるため、実際上、採用することはできない。
【0008】そこで本発明は、簡易な構成で、軸部材と
軸受部材との間のクリアランス変動を良好に抑えること
ができるようにした軸受装置を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1記載の発明では、軸部材と軸受部材とが相対
回転可能に装着されたものであって、上記軸部材又は軸
受部材の少なくとも一方側の部材が、所定の金属粉末の
焼結体から構成された軸受装置において、上記焼結体を
構成している金属粉末が、銅又は銅系合金よりも熱膨張
係数が小さく、かつ融点が高い材料を含む金属粒子と、
その金属粒子の外表面に被着された銅又は銅系合金を含
むメッキ層と、を有している。
【0010】また、請求項2記載の発明では、前記請求
項1記載の金属粒子を構成している材料が、6.0×1
−6以下の熱膨張率を備えている。
【0011】さらに、請求項3記載の発明では、前記請
求項1又は2記載の金属粒子を構成している材料が、モ
リブデン又はタングステンである。
【0012】さらにまた、請求項4記載の発明では、前
記請求項1記載の軸部材又は軸受部材の他方側の部材
が、マルテンサイト系のステンレス鋼から形成されてい
る。
【0013】また、請求項5記載の発明では、前記請求
項1記載の軸部材と軸受部材とが動圧軸受部を構成する
ように相対回転可能に装着され、当該動圧軸受部が、前
記軸部材と軸受部材との間の環状隙間内に注入された潤
滑流体と、前記軸部材又は軸受部材の少なくとも一方側
の部材に形成された潤滑流体加圧用の動圧発生手段と、
を含んでいる。
【0014】さらに、請求項6記載の発明では、前記請
求項5記載の潤滑流体は、オイルと、このオイルに添加
された硫黄系の添加剤と、を含む。
【0015】このような構成を有する請求項1記載の発
明においては、低熱膨張ではあるが、そのままでは高融
点であるために焼結を行うことが困難である金属粒子
を、低融点で潤滑性の良好な銅又は銅系合金を含むメッ
キ層により覆うことにより、低温で焼結が可能となり、
しかも出来上がった焼結体は、上記高融点の低熱膨張金
属材料によって熱膨張が低く抑えられているため良好な
温度特性が得られるとともに、銅又は銅系合金を含むメ
ッキ層によって良好な潤滑性又は馴染性も同時に得られ
るようになっている。
【0016】このような作用は、請求項2記載の発明の
ような6.0×10−6以下の熱膨張率を備えた金属粒
子、例えば、請求項3記載の発明のようなモリブデン又
はタングステンを採用することによって確実に得られ
る。また、長期の使用によって銅又は銅系合金を含むメ
ッキ層に、ある程度の摩耗が進行した場合でも、下地と
して耐摩耗性の良好なモリブデン又はタングステンが存
在しているために摩耗の進行が防止されるようになって
いる。
【0017】また、そのときの他方側の部材としては、
請求項4記載の発明のように、通常用いられているマル
テンサイト系のステンレス鋼でよい。
【0018】特に、請求項5記載の発明のような動圧軸
受装置においては、極めて有効である。
【0019】そして、請求項6記載の発明のような潤滑
流体としてオイルを用いた動圧軸受装置の場合には、そ
のオイルに対して硫黄系の添加材を混合しておくことに
よって二硫化モリブデン等の潤滑膜が形成されることと
なり、一層良好な潤滑性が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、いわゆる両端軸
回転型のHDD(ハードディスク駆動用)スピンドルモ
ータに適用した実施形態について図面により詳細に説明
する。
【0021】まず、図3に示されたHDDスピンドルモ
ータの全体構造を説明すると、当該HDDスピンドルモ
ータは、固定部材としてのステータ組1と、このステー
タ組1に対して図示上側から組み付けられた回転部材と
してのロータ組2とから構成されている。このうちステ
ータ組1は、図示を省略した固定基台側にネジ止めされ
ているフレーム11を有しているとともに、そのフレー
ム11の略中央部分には、軸方向(図示上方向)に突出
するようにして、比較的大径の略中空円筒体からなる軸
受ホルダ12が一体的に形成されている。
【0022】上記軸受ホルダ12の外周壁面には、複数
の突極部を放射状に備えたステータコア13が嵌着され
ているとともに、そのステータコア13の各突極部に
は、巻線14が巻回されている。
【0023】一方、上記軸受ホルダ12の内周壁面に
は、動圧軸受装置の軸受部材を構成する軸受スリーブ1
5が嵌着されている。この軸受スリーブ15の詳細構造
については後述することとするが、当該軸受スリーブ1
5の中心部分に設けられた中空穴部分には、上記ロータ
組2の軸体を構成する回転軸21が回転自在に支承され
ている。すなわち、上記軸受スリーブ15の中心部分に
貫通形成された中心穴の内周壁面と、上記回転軸21の
外周壁面とは、半径方向に数μm〜数十μmの狭小隙間
を介して周状に対面配置されており、これらの対向壁面
がラジアル動圧軸受面に形成されていることによって、
ラジアル動圧軸受部RBが形成されている。
【0024】そして、このラジアル動圧軸受部RBを形
成している狭小隙間内には、オイルや磁性流体、あるい
はエアー等からなる所定の潤滑流体が連続するようにし
て注入・充填されており、上記対向両ラジアル動圧面の
回転時におけるポンピング作用によって、潤滑流体が昇
圧されて動圧が生じ、その潤滑流体に生じさせられた動
圧によって、上記回転軸21がラジアル方向に浮上し支
承されるようになっている。
【0025】さらに、上記軸受ホルダ12の図示下端側
開口部分には、当該開口部分を閉塞するようにして円盤
状のスラスト板16が密着されている。一方、前記回転
軸21の図示下端部分には、上記スラスト板16と軸方
向に近接対向するようにして環状のスラストリング22
が圧入されており、これら回転軸21及びスラストリン
グ22の図示下端面が、前記スラスト板16の内端面
(図示上端面)に対して軸方向に数μm〜数十μmの狭
小隙間を介して対面する配置関係になされている。そし
て、これらスラスト板16、回転軸21及びスラストリ
ング22の各対向面が、スラスト動圧面に形成されてい
ることによって、スラスト動圧軸受部SBが形成されて
いる。
【0026】このスラスト動圧軸受部SBを形成してい
る狭小隙間内には、上述したラジアル動圧軸受部RBか
ら連続するようにしてオイルや磁性流体、あるいはエア
ー等からなる所定の潤滑流体が注入・充填されていると
ともに、上述した各対向スラスト動圧面の少なくとも一
面に形成されたスパイラル形状等の動圧発生用溝(図示
省略)の回転時におけるポンピング作用によって、潤滑
流体が昇圧されて動圧が生じ、その潤滑流体に生じさせ
られた動圧によって、上記回転軸21がスラスト方向に
浮上して支承される構成になされている。
【0027】一方、上記回転軸21の反対側端である図
示上端部分には、図示を省略した所定の記録媒体を支持
するための回転ハブ23が嵌着固定されている。上記回
転ハブ23は、磁気ディスク等の記録媒体を外周部に装
着する略円筒形状の胴部23aを有しているとともに、
この胴部23aの図示下端開口部分の内周壁面に、バッ
クヨーク23bを介して駆動マグネット23cが環状に
装着されている。この駆動マグネット23cは、前述し
たステータコア13の突極部外端面に対して周状に対向
するように近接配置されている。
【0028】次に、前述した動圧軸受装置を構成してい
る軸受スリーブ15の構造について説明する。図1及び
図2にかかる実施形態の軸受スリーブ15は、ステップ
動圧軸受装置を構成するものであって、粉末冶金工法に
より形成された略中空円筒状の多孔質焼結金属材料から
形成されている。粉末冶金工法及び多孔質焼結金属材料
については後述することとし、軸受構造を先に説明す
る。
【0029】前述したように上記軸受スリーブ15は、
軸受ホルダ12の内部側に圧入されており、当該軸受ス
リーブ15の内周壁面と回転軸21(図示省略)の外周
壁面との間に形成されたラジアル動圧軸受部RBの内部
に、オイルや磁性流体、或いはエアー等からなる所定の
潤滑流体が注入・充填されている。そして、このラジア
ル動圧軸受部RBを構成している軸受スリーブ15の内
周壁面には、上記潤滑流体を加圧するための動圧発生面
15aが形成されている。
【0030】上記動圧発生面15aは、回転軸21側
(軸中心側)に向かって半径方向内側に突出する凸状の
円弧表面を備えており、周方向に沿って複数個の動圧発
生面15a,・・・が間欠的に配置されている。そし
て、これらの各動圧発生面15aが、回転軸21の外周
表面に対して数μm〜数十μmの狭小隙間を介して周状
に対面配置されている。
【0031】また、これら複数個の各動圧発生面15
a,・・・どうしの間欠部分には、各動圧発生面15a
で発生した動圧を維持させるための動圧補助面15b,
・・・と、上記動圧とともに発生する負圧を打ち消すた
めの分離溝15c,・・・とが交互に同数個づつ配置さ
れている。すなわち、図2中に矢印で示されている潤滑
流体の流動方向(図示右回り方向)において、動圧補助
面15b、動圧発生部15a及び分離溝15cが順に配
列されており、各々の1個づつにより一組となってい
る。
【0032】上記各組における分離溝15cは、約20
μm程度の深さを有する略コ字状の凹溝から形成されて
いるとともに、前記動圧補助面15bは、動圧発生部1
5aの凸状表面と、分離溝15cの凹溝開口縁との間を
段差を介して繋ぐ円弧表面を有しており、その円弧表面
の段差量は、上記動圧発生部15aの凸状表面と、分離
溝15cの凹溝底面との間の中間位置の高さに相当する
量、例えば、前記動圧発生部15aの凸状表面に対して
約5μm〜10μm程度の段差を介して半径方向外側に
向かってステップ状に窪むように形成されている。
【0033】上述したように、軸受スリーブ15は、粉
末冶金工法により形成されているが、当該軸受スリーブ
15の製造にあたっては、まず、軸受スリーブ15に相
当するブランク素材の形状に対応したキャビティーを備
えた金型を準備しておき、その金型内に焼結材料として
の金属粉末を充填し、圧縮成形した後に焼成して上記ブ
ランク素材を成形する。このブランク素材の中心穴部の
内周壁面に相当する部位には、前述した動圧発生面15
a、動圧補助面15b及び分離溝15cは未だ成形され
ておらず、これらは上記ブランク素材に対してサイジン
グ工程を施すことにより形成される。
【0034】このとき本実施形態では、上記軸受スリー
ブ15を構成している焼結体の元をなしている金属粉末
として、モリブデン(Mo)が採用されている。モリブ
デン(Mo)は、軸受部材として通常用いられている銅
又は銅系合金よりも小さい熱膨張係数を有しており
(3.7×10−6〜5.3×10−6)、しかも耐摩
耗性に優れていることから選定されたものであるが、2
600℃を越える高い融点を有しているために一般的に
は焼結させることはできない。しかしながら、本発明で
は、そのモリブデン(Mo)の金属粒子(平均粒径70
μm)の外表面に、銅又は銅系合金を含むメッキ層が被
着されている。
【0035】この銅又は銅系合金を含むメッキ層は、比
較的大きな熱膨張係数を有しているが(16.5×10
−6)、上述したモリブデン金属粒子の各々を覆い得る
量として、40〜60重量%の割合で混合されている。
そして、この低融点の銅メッキ層を形成することによっ
て、焼結の温度が、650℃〜900℃の範囲内に抑え
られることとなり、通常の温度での焼結が可能となる。
またそれと同時に、上記モリブデン金属粒子の存在によ
って、軸受スリーブ15の熱膨張係数は、前述した回転
軸(SUS420)と同程度に小さく抑えられる。
【0036】より具体的な実施例としては、銅メッキモ
リブデンを80重量%、銅メッキ鉄粉を18重量%、錫
粉を2重量%、ステアリン酸亜鉛を0.5重量%の各割
合でそれぞれ混合し、焼結温度を800℃として、アン
モニア分解ガス雰囲気炉にて焼結を行った。そして、出
来上がったブランク素材を洗浄・防錆した後、サイジン
グ工程を施して前述した所定の形状に整えた。次いで、
再洗浄の後に含油処理を行い完成した。
【0037】このような本実施形態にかかる軸受スリー
ブ15は、低熱膨張ではあるが、そのままでは高融点で
あるために焼結を行うことが困難であるモリブデン金属
粒子を、低融点で潤滑性の良好な銅又は銅系合金を含む
メッキ層により覆うことにより低温での焼結を可能と
し、しかも出来上がった焼結体の熱膨張係数は、低熱膨
張のモリブデンの存在によって回転軸21と同程度に低
く抑えられる。従って、回転軸21と軸受スリーブ15
との間のクリアランスは、温度環境の変化によっても、
ほとんど変動しなくなり、その結果、潤滑性を損なうこ
となく、良好な温度特性が得られるようになっている。
【0038】また、銅又は銅系合金を含むメッキ層を設
けることにより、良好な潤滑性又は馴染性も同時に得ら
れると同時に、長期の使用によって銅又は銅系合金を含
むメッキ層にある程度の摩耗が進行した場合であって
も、下地として耐摩耗性の良好なモリブデンが存在して
いるために摩耗の進行が防止される。
【0039】特に、本実施形態のような動圧を利用した
軸受装置においては、温度環境の変化に伴ってクリアラ
ンスが僅かに変化した場合であっても軸受特性は大きく
変動することとなるため、本発明は極めて有効である。
【0040】また、本実施形態のような動圧軸受装置に
おいて、潤滑流体としてオイルを用いる場合に、そのオ
イルに対して硫黄系の添加材を混合しておくこととすれ
ば、軸受面に二硫化モリブデンによる潤滑膜(Mo
)が形成されることとなり、一層良好な潤滑性が得
られる。
【0041】このような作用は、熱膨張係数が、6.0
×10−6以下の金属粒子であれば良好に得られるもの
であるが、その金属粒子としては、上述した実施形態の
ようなモリブデンの他に、タングステン等も同様に採用
することができる。タングステンの場合には、熱膨張係
数が4.5×10−6であることから、上述した実施形
態にかかるモリブデンと同様な作用・効果を得ることが
できる。
【0042】以上、本発明者によってなされた発明の実
施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で
種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0043】例えば、上述した実施形態では、軸受スリ
ーブ(軸受部材)15を焼結金属とした場合であるが、
回転軸(軸部材)21を焼結金属とした場合であっても
同様である。
【0044】また、本発明は、上述した実施形態のよう
なステップ動圧軸受装置に限定されるものではなく、分
離溝と動圧発生面との間を傾斜面からなる動圧補助面で
連続的に繋ぐようにしたテーパ動圧軸受装置に対しても
同様に適用することができるものであり、更に、多円弧
軸受装置、テーパフラット軸受装置、マルチローブ軸受
装置の他に、動圧発生用溝を有する動圧軸受装置に対し
ても同様に適応することが可能である。
【0045】さらに、本発明は、動圧軸受装置のみなら
ず、動圧を利用しない通常の軸受装置に対しても同様に
適用することができるものである。
【0046】さらにまた本発明は、軸回転型の動圧軸受
装置のみならず軸固定型の動圧軸受装置に対しても同様
に適用することができ、更に、上記実施形態のようなモ
ータに限定されることなく、多種多様な回転装置に対し
ても同様に適用することができる。
【0047】加えて本発明における潤滑流体としては、
オイルや空気等の多種多様な流体を採用することが可能
である。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように請求項1にかかる発明
は、軸部材又は軸受部材の少なくとも一方を構成してい
る焼結体の金属粉末として、低熱膨張ではあるが、その
ままでは高融点であるために焼結を行うことが困難であ
る金属粒子を用いるとともに、その金属部材の外表面
を、低融点で潤滑性の良好な銅又は銅系合金を含むメッ
キ層により覆うことによって低温での焼結を可能とし、
しかも出来上がった焼結体の熱膨張係数を、上記金属粒
子の存在により低く抑えて良好な温度特性を得ると同時
に、銅又は銅系合金を含むメッキ層によって良好な潤滑
性又は馴染性も同時に得るように構成したものであるか
ら、簡易な構成で、軸部材と軸受部材との間のクリアラ
ンス変動を良好に抑えることができ、潤滑性を損なうこ
となく軸受特性の安定化を図ることができ、軸受装置の
信頼性を高めることができる。
【0049】また、請求項2記載の発明は、6.0×1
−6以下の熱膨張率を備えた金属粒子を採用したもの
であるから、上記効果を確実に得ることができる。
【0050】さらに、請求項3記載の発明は、モリブデ
ン又はタングステンを採用することとしたものであるか
ら、上述した効果を確実に得ることができるとともに、
耐摩耗性を高めることができ、耐久性の面からも軸受特
性を向上させることが可能となる。
【0051】また、請求項4記載の発明は、軸部材又は
軸受部材のうちの他方側の部材として、通常用いられて
いるマルテンサイト系のステンレス鋼を採用したもので
あり、軸部材又は軸受部材のうちの一方側の部材のみを
改善するだけで、上述した効果を得ることができる。
【0052】さらに、請求項5記載の発明は、温度変化
に十分配慮すべき動圧軸受装置に対して適用したもので
あり、本願発明は、このような動圧軸受装置において極
めて顕著な効果を得ることができる。
【0053】さらにまた、請求項6記載の発明は、オイ
ルに硫黄系の添加材を混合した潤滑流体を採用すること
によって、二硫化モリブデン等の潤滑膜を形成させるよ
うに構成したものであるから、一層良好な潤滑性が得ら
れることとなり、上述した効果をさらに高めることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるステップ動圧軸受
装置における軸受部材の構造を表した外観斜視説明図で
ある。
【図2】図1に示されていステップ動圧軸受装置におけ
る軸受部材の構造を表した平面説明図である。
【図3】本発明にかかる動圧軸受装置を備えた回転駆動
装置の一例としてのHDD駆動モータを表した横断面説
明図である。
【符号の説明】
12 軸受ホルダ 15 軸受スリーブ(軸受部材) 15a 動圧発生面 15b 動圧補助面 15c 分離溝 21 回転軸 RB ラジアル動圧軸受部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:02 (72)発明者 早川 正通 長野県諏訪郡下諏訪町5329番地 株式会社 三協精機製作所内 Fターム(参考) 3J011 AA06 BA02 CA02 CA04 JA02 QA03 SB02 SB03 SB12 SB15 SB19 SE06 SE07 4H104 BG01C BG10C BG11C BG17C DA02A EB02 EB08 PA01 PA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部材と軸受部材とが相対回転可能に装
    着されたものであって、上記軸部材又は軸受部材の少な
    くとも一方側の部材が、所定の金属粉末の焼結体から構
    成された軸受装置において、 上記焼結体を構成している金属粉末が、銅又は銅系合金
    よりも熱膨張係数が小さく、かつ融点が高い材料を含む
    金属粒子と、その金属粒子の外表面に被着された銅又は
    銅系合金を含むメッキ層と、を有していることを特徴と
    する軸受装置。
  2. 【請求項2】 前記金属粒子を構成している材料が、
    6.0×10−6以下の熱膨張率を備えていることを特
    徴とする請求項1記載の軸受装置。
  3. 【請求項3】 前記金属粒子を構成している材料が、モ
    リブデン又はタングステンであることを特徴とする請求
    項1又は2記載の軸受装置。
  4. 【請求項4】 前記軸部材又は軸受部材の他方側の部材
    が、マルテンサイト系のステンレス鋼から形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の軸受装置。
  5. 【請求項5】 前記軸部材と軸受部材とが動圧軸受部を
    構成するように相対回転可能に装着され、当該動圧軸受
    部が、前記軸部材と軸受部材との間の環状隙間内に注入
    された潤滑流体と、前記軸部材又は軸受部材の少なくと
    も一方側の部材に形成された潤滑流体加圧用の動圧発生
    手段と、を含んでいるとを特徴とする請求項1記載の軸
    受装置。
  6. 【請求項6】 前記潤滑流体は、オイルと、このオイル
    に添加された硫黄系の添加剤と、を含むことを特徴とす
    る請求項5記載の軸受装置。
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