JP2018179018A - 多孔質動圧軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】高硬度の粉末によることなく、多孔質動圧軸受の耐摩耗性を高める。
【解決手段】多孔質動圧軸受(軸受スリーブ8)は、内周面8aに軸受面Aを有し、多孔質動圧軸受の内部と表面とを連通する連通気孔を維持しながら(好ましくは、4%以上の含油率を確保しながら)、密度比が90〜95%であることで、多孔質動圧軸受の内部における潤滑油の循環を保持し、軸受面からの潤滑油の滲み出しによる潤滑性向上効果を確保することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、流体動圧軸受装置に組み込まれる動圧軸受に関し、特に、焼結金属等の多孔質材料からなる多孔質動圧軸受に関する。
流体動圧軸受装置は、HDDのスピンドルモータをはじめとして、ポリゴンミラーモータ、小型冷却ファンモータ等、小型で高速、高回転精度を要求される用途に広く用いられている。流体動圧軸受装置は、軸部材と、内周に軸部材が挿入された動圧軸受(軸受スリーブ)とを備える。軸受スリーブと軸部材との相対回転に伴って、軸受スリーブの内周面(軸受面)と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に満たされた潤滑油の圧力が高められ、これにより軸部材が相対回転自在に非接触支持される。
ところで、HDDは、市場の高容量化の要求に対応するために、1台のドライブにより多くの記録用ディスク(フラッタ)を搭載する傾向にある。その結果、スピンドルモータの流体動圧軸受装置にかかる負荷が大きくなり、これに組み込まれる動圧軸受の耐摩耗性向上の要求が高まっている。
焼結金属製の動圧軸受の耐摩耗性を向上させる方法として、例えば下記の特許文献1に示されているように、ステンレス鋼粉末などの硬度の高い粉末を用いる方法が知られている。
特開2006−214003号公報
しかし、硬度の高い粉末を用いると、軸受性能(特に、初期のなじみ性)や加工性(特に、動圧溝の成形性)に問題が生じるおそれがある。
そこで、本発明は、高硬度の粉末によることなく、多孔質動圧軸受の耐摩耗性を高めることを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、内周面に軸受面を有する多孔質動圧軸受であって、密度比が90〜95%であり、外周面と内周面とを連通する連通気孔を有する多孔質動圧軸受を提供する。
尚、密度比とは、以下の式で定義される。ρ1は多孔質体の密度であり、ρ0は、その多孔質体に気孔が無いと仮定した場合の密度(真密度)である。
密度比α(%)=(ρ1/ρ0)×100
従来、焼結金属等からなる多孔質動圧軸受の密度比は80〜90%程度であったが、これを90%以上まで高めることにより、多孔質動圧軸受の内部及び表面(特に軸受面)における気孔が減じられる。これにより、多孔質動圧軸受の軸受面と軸部材の外周面との実摺動面積が広くなり、これらの間に生じる実荷重圧力が小さくなるため、これらの面の耐摩耗性が高められる。
ところで、多孔質動圧軸受の軸受面に回転サイジングや樹脂コーティング等の封孔処理を施すことによっても、軸受面の気孔が減じられるため、耐摩耗性の向上が期待できる。しかし、この場合、軸受面の摩耗が進むと、多孔質動圧軸受の内部の気孔が軸受面に露出するため、軸受面の気孔が増えて耐摩耗性が低下する。これに対し、上記のように、多孔質動圧軸受全体の密度を高め、表面だけでなく内部の気孔も減じることで、軸受面の摩耗がある程度進んだ状況でも優れた耐摩耗性を維持することができる。
ところで、多孔質動圧軸受は、内部気孔に潤滑油(潤滑グリースを含む。以下同様。)を保持することができ、この潤滑油が軸受面から滲み出してラジアル軸受隙間に供給されることで、潤滑性が高められる。しかし、上記のように多孔質動圧軸受を90%以上の超高密度にすると、内部と表面とを連数する連通気孔が無くなり、上記の効果が得られなくなるおそれがある。本発明では、多孔質動圧軸受の内部と表面とを連通する連通気孔を維持しながら(好ましくは、4%以上の含油率を確保しながら)、多孔質動圧軸受の密度を90%以上まで高めることで、多孔質動圧軸受の内部における潤滑油の循環を保持し、軸受面からの潤滑油の滲み出しによる潤滑性向上効果を確保することができる。
上記のように多孔質動圧軸受を超高密度にすると、内部に保持される潤滑油量が極少量となるため、軸受面と軸部材との摺動により生じた摩耗粉等が混入することで、潤滑油が早期に劣化するおそれがある。本発明では、上記のように、軸受面と軸部材との実摺動面積を広くして実摺動面積を広くすることで、これらの摺動による摩耗粉の発生が抑制されるため、上記のように多孔質動圧軸受の内部に保持される油量が少ない場合でも、潤滑油に対する汚染負荷が小さくなり、潤滑油の早期の劣化を防止できる。また、上記のように多孔質動圧軸受を超高密度にすることで、内部気孔の一つ一つの大きさが小さくなる。この微小な内部気孔を潤滑油が通過することで、潤滑油に混入した微細な摩耗粉を効果的に捕捉することができるため、軸受面と軸部材との摺動部に摩耗粉が供給されることによる悪影響を防止できる。
上記の多孔質動圧軸受は、例えば焼結金属、特に銅粉を35wt.%以上含む焼結金属で形成することができる。
ところで、流体動圧軸受装置の稼働中に、多孔質動圧軸受の軸受面と軸部材の外周面との摺動部に介在する潤滑油が流出等により失われると、多孔質動圧軸受の内部に保持された潤滑油が軸受面から滲み出して摺動部に潤滑油が補われる。多孔質動圧軸受の内部に保持された潤滑油が無くなると、軸受面から摺動部に潤滑油を補うことができなくなるため、この時点が多孔質動圧軸受の寿命と考えられている。従って、上記のように、多孔質動圧軸受を超高密度にして内部に保持される油量が少なくなると、多孔質動圧軸受の寿命が却って短くなるおそれがある。
そこで、上記の多孔質動圧軸受は、断面楔状のシール空間を有する流体動圧軸受装置(いわゆるフルフィルタイプの流体動圧軸受装置)に適用することが好ましい。具体的には、上記の多孔質動圧軸受と、前記多孔質動圧軸受の内周に挿入された軸部材と、前記多孔質動圧軸受の内周面と前記軸部材の外周面との間に形成されるラジアル軸受隙間と、前記ラジアル軸受隙間の大気開放側に設けられ、前記ラジアル軸受隙間側に向けて半径方向隙間が漸次縮小した断面楔状をなし、潤滑流体と大気との界面を保持するシール空間とを備えた流体動圧軸受装置とすることが好ましい。このように、断面楔状のシール空間を設けることで、流体動圧軸受装置の内部の潤滑油が外部に漏れ出すことがほとんど無くなるため、内部に保持する油量が少ない上記のような超高密度の多孔質動圧軸受を適用することが可能となる。
上記の流体動圧軸受装置と、ステータコイルと、ロータマグネットとを有するモータは、高負荷荷重に対する耐久性が高い。このようなモータは、HDD、特に複数の記録用ディスクを搭載したHDDに好適に適用できる。
以上のように、本発明によれば、高硬度の粉末によることなく、多孔質動圧軸受の耐摩耗性を高めることができる。
スピンドルモータの断面図である。 流体動圧軸受装置の断面図である。 本発明の一実施形態に係る多孔質動圧軸受の断面図である。 上記多孔質動圧軸受の下面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるものであり、軸部材2を回転自在に非接触支持する流体動圧軸受装置1と、軸部材2に装着されたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5とを備えている。ステータコイル4はケーシング6に取付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3に取付けられる。流体動圧軸受装置1のハウジング7は、ケーシング6の内周に装着される。ディスクハブ3には、磁気ディスク等のディスクDが所定枚数(図示例では2枚)保持される。ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が回転し、それによって、ディスクハブ3および軸部材2が一体となって回転する。
図2に示すように、流体動圧軸受装置1は、軸部材2と、本発明の一実施形態に係る動圧軸受としての軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8を内周に保持するハウジング7と、ハウジング7の軸方向一端の開口部に設けられたシール部9と、ハウジング7の軸方向他端を閉塞する底部10とを有する。図示例では、ハウジング7及びシール部9が一部品で構成され、ハウジング7と底部10とが別体に形成されている。尚、以下の説明では、便宜上、軸方向でハウジング7の閉塞側を下側、ハウジング7の開口側を上側と言うが、これは流体動圧軸受装置1の使用態様を限定する趣旨ではない。
軸部材2は、軸部2aと、軸部2aの下端に設けられたフランジ部2bとを備える。軸部材2は、例えば金属で形成され、本実施形態では、軸部2aおよびフランジ部2bを含む軸部材2全体がステンレス鋼で一体に形成される。
ハウジング7は、樹脂あるいは金属で円筒状に形成される。ハウジング7の内周面7aには、軸受スリーブ8の外周面8dが、接着や圧入等の適宜の手段で固定される。
軸受スリーブ8は円筒状をなし、内周面8aに、軸部材2の外周面2a1と対向するラジアル軸受面が設けられる。図示例では、軸受スリーブ8の内周面8aの軸方向に離隔した2箇所にラジアル軸受面Aが形成される。各ラジアル軸受面Aには動圧溝が形成され、本実施形態では、図3に示すように、各ラジアル軸受面Aにへリングボーン形状に配列された動圧溝G1,G2が設けられる。図中クロスハッチングで示す領域は、内径側に盛り上がった丘部を示している(図4においても同様)。上側の動圧溝G1は軸方向で非対称な形状を成し、下側の動圧溝G2は軸方向で対称な形状を成している。軸方向非対称形状の上側の動圧溝G1により、ラジアル軸受隙間の潤滑流体が軸方向に押し込まれ、ハウジング7の内部で潤滑流体が強制的に循環される。ラジアル軸受面Aの軸方向間領域には、動圧溝G1、G2の溝底面と連続した円筒面が設けられる。
尚、上下の動圧溝G1,G2の双方を軸方向対称形状としてもよい。また、上下の動圧溝G1,G2を軸方向で連続させたり、上下の動圧溝G1,G2の一方を省略したりしてもよい。また、ラジアル軸受面に、スパイラル形状の動圧溝や、軸方向と平行な動圧溝を形成してもよい。また、軸受スリーブ8の内周面8aを円筒面とし、これと対向する軸部材2の軸部2aの外周面2a1に動圧溝を形成してもよい。あるいは、軸受スリーブ8の内周面8a及び軸部材2の外周面2a1を何れも円筒面とし、軸部材2の振れ回りで動圧を発生させる、いわゆる真円軸受を構成してもよい。
軸受スリーブ8の下側端面8bには、軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1と対向するスラスト軸受面Bが設けられる。スラスト軸受面Bには、図4に示すようなポンプインタイプのスパイラル形状の動圧溝G3が形成される。尚、動圧溝の形状として、ヘリングボーン形状や放射溝形状等を採用しても良い。また、軸受スリーブ8の下側端面8b(スラスト軸受面B)を平坦面として、軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1に動圧溝を形成してもよい。
軸受スリーブ8の上側端面8cには、図3に示すように、環状溝8c1と、環状溝8c1の内径側に設けられた複数の半径方向溝8c2とが形成される。軸受スリーブ8の外周面8dには、複数の軸方向溝8d1が円周方向等間隔に設けられる。これらの軸方向溝8d1、環状溝8c1、及び半径方向溝8c2等を介して、軸部材2のフランジ部2bの外径側の空間がシール空間Sと連通することで、この空間における負圧の発生が防止される。尚、特に必要が無ければ、環状溝8c1や半径方向溝8c2を省略して、軸受スリーブ8の上側端面8cを平坦面としてもよい。
軸受スリーブ8は焼結金属で形成され、例えば銅を35wt.%以上含む焼結金属、特に、銅及び鉄をそれぞれ35wt.%以上含む焼結金属で形成される。軸受スリーブ8は、以下の方法で製造される。まず、原料粉末を圧縮成形して圧粉体を形成する(圧粉工程)。原料粉末は、主成分金属粉末として、銅系粉末(銅粉あるいは銅合金粉)及び鉄系粉末(鉄粉あるいは鉄合金粉)の何れか又は双方を含む。原料粉末は、ステンレス鋼粉末等の高硬度の粉末を含んでいない。本実施形態の原料粉末は、主成分金属粉末として、純鉄粉及び純銅粉を含む。原料粉末は、主成分金属粉末の他、錫粉末等の低融点金属粉末や、黒鉛粉等の炭素粉末、あるいは成形用潤滑剤等を含んでもよい。この圧粉体を所定の焼結温度で焼結することにより焼結体を得る(焼結工程)。この焼結体にサイジングを施すことにより、内周面及び下側端面に図3及び図4に示す動圧溝G1〜G3を成形する(サイジング工程)。本実施形態では、焼結体の内周面及び下側端面に回転サイジング等の封孔処理は施さない。この焼結体の内部気孔に潤滑油を含浸させることにより、軸受スリーブ8が完成する。
軸受スリーブ8は、密度比が90〜95%である。軸受スリーブ8には、内部と表面とを連通する連通気孔が形成され、具体的には、含油率が4%以上となる程度の連通気孔が形成される。すなわち、含油率が4%以上となる程度の連通気孔が形成されるように、軸受スリーブ8の成形条件(例えば、圧粉工程及びサイジング工程における圧縮率等)が設定される。軸受スリーブ8は、サイジングにより、内周面8a(特にラジアル軸受面A)及び下側端面8b(特にスラスト軸受面B)における表面開口率が、軸受スリーブ8の気孔率(=100%−密度比)の値以下となっており、具体的には10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下とされる。
シール部9は、ハウジング7の上端から内径側に突出している。本実施形態では、シール部9がハウジング7と一体に形成される。シール部9の内周面9aは、下方に向けて漸次縮径したテーパ状を成す。シール部9の内周面9aと軸部2aの外周面2a1との間には、下方に向けて半径方向幅を徐々に狭めた楔状のシール空間Sが形成される(図2参照)。この他、シール部9の内周面を円筒面とする一方で、軸部2aの外周面に上方に向けて漸次縮径するテーパ面を設け、これらの間に楔状のシール空間Sを形成してもよい。あるいは、シール部9の内周面及び軸部2aの外周面の双方に、上方に向けて漸次縮径するテーパ面を設け、シール部9のテーパ面の軸方向に対する傾斜角度を、軸部2aのテーパ面の軸方向に対する傾斜角度よりも小さくすることで、これらの間に楔状のシール空間Sを形成してもよい。
底部10は、例えば、金属材料(黄銅等)や樹脂材料で形成され、ハウジング7の内周面7aの下端部に、圧入、接着等の適宜の手段で固定される。底部10の端面10aにはスラスト軸受面Cが形成される。このスラスト軸受面Cには、例えばポンプインタイプのスパイラル形状の動圧溝が形成される(図示省略)。尚、動圧溝の形状として、ヘリングボーン形状や放射溝形状等を採用しても良い。また、底部10の端面10a(スラスト軸受面C)を平坦面として、軸部材2のフランジ部2bの下側端面2b2に動圧溝を形成してもよい。
上記の構成の流体動圧軸受装置1の内部に、潤滑流体として油が注入される。本実施形態では、ハウジング7の内周の空間が、軸受スリーブ8の内部気孔を含めて油で満たされ、シール空間S内に油面が形成される。
軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面Aと軸部2aの外周面2a1との間にラジアル軸受隙間が形成され、動圧溝G1,G2によりラジアル軸受隙間の油膜の圧力が高められることで、軸部材2がラジアル方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1及び第2ラジアル軸受部R2が構成される。これと同時に、軸受スリーブ8の下側端面8b(スラスト軸受面B)とフランジ部2bの上側端面2b1との間、及び、底部10の端面10a(スラスト軸受面C)とフランジ部2bの下側端面2b2との間に、それぞれスラスト軸受隙間が形成され、各スラスト軸受面B、Cに設けられた動圧溝により各スラスト軸受隙間の油膜の圧力が高められることで、軸部材2を両スラスト方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1及び第2スラスト軸受部T2が構成される。
軸部材2の起動直後や停止直前の低速回転時には、ラジアル軸受隙間及びスラスト軸受隙間の油膜の圧力が低いため、これらの軸受隙間を介して対向する面(軸受スリーブ8の内周面8aと軸部材2の軸部2aの外周面2a1、軸受スリーブ8の下側端面8bと軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1、及び、底部10の上側端面10aと軸部材2のフランジ部2bの下側端面2b2)とが互いに摺動する。このとき、軸受スリーブ8が密度比90%以上の超高密度であることで、軸受スリーブ8の内周面8a(ラジアル軸受面A)及び下側端面8b(スラスト軸受面B)に開口する気孔が少なくなっている。これにより、各軸受隙間を介して対向する面の実摺動面積が大きくなるため、これらの面の間に生じる実荷重圧力が小さくなり、耐摩耗性が高められる。特に、軸受スリーブ8の表面の気孔だけを潰すのではなく、軸受スリーブ8全体を高密度化しているため、軸受スリーブ8の各軸受面の摩耗がある程度進行した状況でも、上記のような優れた耐摩耗性を維持することができる。
また、軸受スリーブ8は、含油率が4%以上となる程度の連通気孔を有するため、軸受スリーブ8の内部気孔にある程度の潤滑油が保持される。この潤滑油が軸受面から滲み出して軸受隙間に供給されることで、軸受スリーブ8と軸部材2との摺動部における潤滑性を高めることができる。
また、上記のように軸受スリーブ8を高密度に成形することで、内部気孔の一つ一つの大きさが小さくなる。この微小な内部気孔を潤滑油が通過することで、潤滑油に混入した微細な摩耗粉を効果的に捕捉することができるため、軸受スリーブ8と軸部材2との摺動部(軸受隙間)に摩耗粉が供給されることによる悪影響を防止できる。
また、図2に示すように、流体動圧軸受装置1はいわゆるフルフィルタイプであり、ラジアル軸受隙間の一方側(図中上側)が大気開放側、他方側(図中下側)が閉塞側とされ、大気開放側に断面楔形状のシール空間Sが設けられる。流体動圧軸受装置1の内部に満たされた潤滑油の油面は、シール空間S内に保持される。このようなフルフィルタイプの流体動圧軸受装置1は、シール空間Sから潤滑油が漏れ出すことがほとんど無いため、内部に充填される油量は少なくてもよい。上記のような超高密度の軸受スリーブ8は、内部気孔が少なく、内部に含浸される油量が少ないため、油量が少なくて済むフルフィルタイプの流体動圧軸受装置1に好適に適用することができる。
本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記の実施形態では、軸受スリーブ8の原料粉末が高硬度の金属粉末を含まない場合を示したが、原料粉末として高硬度の粉末(ステンレス鋼粉末)を用いてもよい。このような原料粉末を用いて、上記のように超高密度に成形することで、耐摩耗性がさらに高められる。
また、軸受スリーブ8の製造工程において、焼結体に、回転サイジング等の封孔処理を施してもよい。この場合、軸受スリーブ8の軸受面A,Bにおける表面開口率がさらに小さくなるため、軸受面A,Bと軸部材2との実摺動面積がさらに大きくなり、耐摩耗性がさらに高められる。
また、上記の実施形態では、軸受スリーブ8が固定され、軸部材2が回転する場合を示したが、これとは逆に、軸部材2を固定し、軸受スリーブ8側を回転させてもよい。また、本発明に係る多孔質動圧軸受は、HDD等のディスク駆動装置用のスピンドルモータのみならず、冷却ファン用のファンモータやレーザビームプリンタ用のポリゴンスキャナモータなどに組み込んで使用することもできる。
本発明の効果を確認するために、以下の試験を行った。
組成が異なる2種類の材料を用いて、それぞれ密度が90%未満の多孔質動圧軸受(比較例1,2)と密度が90%以上の多孔質動圧軸受(実施例1,2)を作成した。これらの多孔質動圧軸受を有する流体動圧軸受装置を用いて、15000回、あるいは10000回のOn−Off試験を行った後、多孔質動圧軸受の内周面(軸受面)の摩耗量を測定した。各試験片の組成及び密度比と、試験結果(摩耗量)を下記の表1に示す。
Figure 2018179018
以上の結果から、多孔質動圧軸受の密度を90wt.%とすることで、軸受面の耐摩耗性が向上することが確認された。
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
7 ハウジング
8 軸受スリーブ(多孔質動圧軸受)
9 シール部
10 底部
A ラジアル軸受面
B,C スラスト軸受面
G1,G2,G3 動圧溝
R1,R2 ラジアル軸受部
T1,T2 スラスト軸受部
S シール空間

Claims (7)

  1. 内周面に軸受面を有し、密度比が90〜95%である多孔質動圧軸受。
  2. 内部と表面とを連通する連通気孔を有する請求項1に記載の多孔質動圧軸受。
  3. 含油率が4%以上である請求項2に記載の多孔質動圧軸受。
  4. 銅粉を35wt.%以上含む焼結金属からなる請求項1〜3の何れか1項に記載の多孔質動圧軸受。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の多孔質動圧軸受と、前記多孔質動圧軸受の内周に挿入された軸部材と、前記動圧軸受スリーブの内周面と前記軸部材の外周面との間に形成されるラジアル軸受隙間と、前記ラジアル軸受隙間の大気開放側に設けられ、前記ラジアル軸受隙間側に向けて半径方向隙間が漸次縮小した断面楔状をなし、潤滑流体と大気との界面を保持するシール空間とを備えた流体動圧軸受装置。
  6. 請求項5に記載の流体動圧軸受装置と、ステータコイルと、ロータマグネットとを備えたモータ。
  7. HDDに組み込まれる請求項6に記載のモータ。
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