JPWO2003093691A1 - 緩み止め締結具 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ボルトと、座金と、ナットとから成る、簡単な構造で、強固に締結具の緩みを防止する緩み止め締結具に関する。
背景技術
一般的に、締結具は、ボルトとナット、若しくはボルトとナットと座金からなるものが用いられている。当然のことながら被締結材の保護上、座金があることが望ましい。締結具によって連結される最も重要な部位は、飛行機や電車等の連結部、建物、鉄塔、高速道路の橋げた等の連結部であり、このような乗り物の走行による振動や、風等の振動の緩みの影響を受ける部位には、特に、緩み止めが施された締結具が用いられる。
緩み止め効果を奏する締結具の提案は、数多くなされている。例えば、特開平9−79247号公報には、座金の座面を傾斜した傾斜面を有する凸部若しくは凹部に形成すると共に、ナットの裏面またはボルトの頭部の裏面を、座金の凸部若しくは凹部に対応した傾斜面を有する凹部若しくは凸部に形成して、互いに嵌合した座金の傾斜面とナットの傾斜面に圧縮による摩擦力を働かせて、緩み止め効果を奏するとした締結具が開示されている。
当該締結具では、凸部形成の場合にあっては、ナットのネジ部の一部を傾斜面に提供するために失う重大な不利を、当該一部に形成した摩擦部で補うことになっているが、この限られたスパン間のみに確保の摩擦力が厳しい緩み力に抵抗するには、無理がある。また、凹部形成した場合にあっては、ナット喰い込み用の厚みを加算しなければならず、分厚い座金という奇妙なものとなってしまうし、上記凸部形成と同じく限られたスパン間のみに確保の摩擦力に頼るものであり、無理がある。
これに加え、本提案にあっては、頼りにしている座金に踏ん張りが期し難く、座金をボルトとナットの螺合に対して回らないようにしておくべく、座金に回り止め用のピンを突設する構成も記述されているが、座金に回り止め用のピンを突設するには、座金に突設した回り止め用のピンに対して、該ピンを嵌合する嵌合部を被締結物若しくはナットの方に設ける必要があり、構造が複雑となって、生産性、汎用性が低減する、と云う問題もある。究極的には、ピンの剪断力に頼るという不合理がある。
更には、緩み止めとは、ナットとボルトとの一体化であるので、座金とナットとの一体をいくら成し遂げても、別体としてのボルトに加わる緩みを阻止し得ず、本提案は大なる欠陥を有している。
特開平11−6516号公報にあっては、ネジ孔の周囲に軸孔方向上方にしたがって縮径するテーパ状の外周面を有し、該外周面がネジ孔に対して微小偏心された凸部を設けた第1ナットと、第1ナットの凸部が嵌合するとともに、ネジ孔と同心状とした内周面を有する凹部を設けた後行取り付けの第2ナットとから構成した緩み止め効果を奏するダブルナットの提案がある。
このダブルナットは、第1ナットの偏心方向側に、樹脂、あるいは軟質金属を被覆し、第2ナットの凹部に第1ナットの凸部を嵌合して、第2ナットで第1ナットを締め付けると、偏心した第1ナットの凸部が、ネジ孔と同心状の第2ナットの凹部に嵌合することによって、クサビ的な作用を奏し、緩み止め効果を発揮するというものである。
すなわち、先行装着の第1ナットの凸部に、後行装着の第2ナットの凹部を嵌合させて、第2ナットのメネジとボルトのネジ部を螺合していくと、第1ナットの凸部が偏心されていることから、第1ナットは偏心側からボルトを押圧しつつ締め付け力が作用し、第1ナットが偏心方向他側へ若干位置がずれるため、第2ナットが偏心方向他側からボルトを押圧しつつ締め付け力が作用するものとなる。
第1、2ナットの嵌合積層体の上下の互いに相反する箇所にて、強力なボルト軸直交方向から押し付け力が作用すると共に、第1、2ナット間のテーパ面の摩擦力で緩み止めが奏されるとしたものである。
この提案では、ボルト軸に相反する直交方向から上下に不利な剪断力の強力な押し付け力が加わり、ボルトの負担が過酷である。
ダブルナットは、二つのナットを重ねて用いるため、ネジ山の破損もあり、繰り返しの使用に耐え得なく、コスト高となる。
更には、第1ナットの凸部を許容するスペースが必要となり、第1ナット及び凸部を許容し得ない狭小なスペースにあっては、ダブルナットを用いることができない、と云う使用上の制約もある。
特開平10−306819号公報にあっては、第23図に示すように、外面をボルト軸方向上方にしたがって縮径するテーパ状に形成し、内周面にナットのメネジ部11と連続するメネジ22を刻設し、円周の一部をボルト軸方向に切り欠いた切欠部21を設けたリング状の緩み止め部材20と、該リング部材20を嵌合するテーパ状の内周面を有するテーパ凹部30aを設けたナット2とから成る緩み止め構造の提案がある。
ボルト3とナット2を締め付けていくと、リング状の緩み止め部材20は縮径して、ボルト3とナット2間の充填連結材化し、ナット2のテーパ凹部30aの中に没入する。
しかして、緩み止め部材20の圧縮に反発するボルト3、ナット3双方に向けての、軸直角方向の応力が作用し、締め付け力が大きくなり、ネジの緩みを防止する。
この提案では、既述の特開平9−79247号と同じくナットのネジの一部を犠牲にしているが、この犠牲部に縮径自在な充填連結部材(緩み止め部材20)が介在する点で異なる。
この緩み止めの効果は、結局、緩み止め部材20のテーパ状の外周面と、ナット2のテーパ凹部30aとの接触による摩擦力に頼って、緩み止め部材20が裏面にてボルト3と一体化(ネジの噛み合いのため螺動方向については一体効果は期し得ない。)するものとなっているが、この限られたスパンにしか提供されることのない接触面では限度があるので、ナット2の上部を拡径した拡径部30に形成してテーパ凹部30aを設ける必要があり、ナット2が特殊な形状となるため、製造コストが増大する、と云う問題が発生する。また、ダブルナットと同様に拡径部30を許容し得ないスペースにおいては、特殊形状となったナット2を用いることができない、と云う使用上の制約もある。
既述の通り、緩み止めとはナットとボルトとの一体化であるが、この提案ではナット2のテーパ凹部30aでのボルト軸直交方向の作用の圧縮に対する反発力のみで、この一体化をもたらしているが、僅かなスパン間にしか確保し得ない一体化効能部では、緩み止めには極めて脆弱であり、実効性に劣る。
発明の開示
第1の発明は、
緩み止め締結具であって、
ボルトと、
ベース部に、ボルトの呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔を有し、該ボルト貫通孔の周囲に、ボルト軸方向上方にしたがって縮径する円錐状筒片を起立設し、ベース部と円錐状筒片に連続した欠円用スリットを形成した座金と、
前記座金と対峙しない半部分の内周の直径を、座金の円錐状筒片の先端部の外周の直径よりも小さくし、座金と対峙する側の半部分の開口の直径を座金の円錐状筒片の付け根部の外周の直径よりも小さくした、座金の円錐状筒片の高さよりもやや高い、座金の円錐状筒片の傾斜角度と同一傾斜角度のテーパ面を有する円錐状孔部を、ボルトのネジ部と螺合するメネジ部の上部に開設したナットとからなること、にある。
第1の発明にあっては、被締結物を締め付けていくと、ナットの締め付け力が、欠円用スリットに加わっていき、欠円用スリットの隙間が小さくなって、座金の円錐状筒片は縮径し、ナットの円錐状孔部とボルトとの間に座金の円錐状筒片があたかも目詰材の如く介装され、ナットとボルトの間に座金の円錐状筒片を噛み挟んだ状態となり、ナットと座金は、前記特開平10−306819号と同じく、ボルト軸直交方向について反発応力でもって一体化する。
しかし、次記の点で著しく異なる。すなわち、円錐状筒片はベース部と一体であるので、ナットの締め付けで働くベース部を被締結面に押し付ける力でもって、円錐状筒片はボルト軸方向に強力に引きずられるが、この際、内面をボルトのネジ山に食い込まれた円錐状筒片は、ボルトのネジ山をちぎる方向に剪断力を働かせる。この極めて強力な剪断力は、ボルト軸方向全周についての座金(円錐状筒片)とボルトの双方に働く、ボルト軸方向についての特有の摩擦力であり、その結果、既述のナットのベース部への押圧は、強力なバネ力での反抗を受け、この抵抗力を介してナットとボルトは一体化している。
結局、座金のベース部を押圧するナットは、座金の円錐状筒片を介したボルト軸方向のネジ山に作用する剪断力の仲介を経ても、ボルトと一体化している。
しかして、本発明の締結具は、ボルト軸直交方向とボルト軸方向との2種の一体化ルートを介して強力に一体化するものとなり、大なる緩み止め効能を合理的に実現する。
なお、ボルトとナットの間に噛み挟まれた状態の座金の円錐状筒片は、クサビ的作用を奏し、座金よりもボルト軸方向の先端部で螺合しているナットのメネジ部に、全周からボルトのネジ部を圧接する力が加わり、ナットとボルトの一体化をさらに強固なものとして、緩み止め効能を強化する。
締結具として六角ナットを用いると、六角ナットの角部によって、被締結物の締結面が傷つけられたり、被締結物の締結面に六角ナットの締結面が均等に当接せず、ボルトとナットの締め付けによる圧縮力がボルト軸対称に均等に負荷されない等の問題があるが、本発明にあっては、ボルトとナットの間に座金を介在させているため、被締結物の締結面の保護、ボルトとナットの締め付けによる圧縮力のボルト軸対称に均等な負荷等、座金が通常発揮する効果も当然のことながら発揮することになる。
座金の欠円用スリットの形状は、縮径するものであればよく、ボルト軸に対して、斜めの形状であってもよく、ストレートな形状であってもよく、その他V字形状であっても、波形状であってもよく、様々な形状の欠円用スリットを設けることができ、欠円用スリットの形状は問わない。
第2の発明は、第1の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金の円錐状筒片の一部をボルト貫通孔の円中心に対して、微小に偏心した肉厚部としたこと、にある。
第2の発明にあっては、ボルトとナットの螺合に伴って、縮径した座金の円錐状筒片がナットの円錐状孔部に嵌合した際に、微小に偏心した円錐状筒片の肉厚部が、径方向からボルトを押圧し、座金(円錐状筒片の肉厚部)のクサビ的効果によって、座金(円錐状筒片)とボルトの双方に働く摩擦力が増大し、ナットのベース部への押圧が、座金の強力な反抗を受けて、この抵抗力を介してナットとボルトの一体化が強まり、大なる緩み止め効能を発揮する。
更に、座金の円錐状筒片の肉厚部で径方向から押圧されてやや斜めに傾いた状態になろうとするボルトを、ナットが該肉厚部とは反対の径方向から押圧するため、ボルト軸方向の上下で対向した径方向からの押圧力がボルトに加わり、緩み止めの効能が向上する。
第3の発明は、第1または第2の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金の円錐状筒片の高さを、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部のピッチと同一ピッチで、少なくとも二リード半以上のメネジを形成できる高さとしたこと、にある。
座金の円錐状筒片の高さを、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部のピッチと同一ピッチで、少なくとも二リード半以上のメネジを形成できる高さとすると、ボルトとナットの間に座金の円錐状筒片が確実に噛み挟まれ、噛み挟まれた状態の座金(円錐状筒片)に既述の力が確実に作用するため、大なる緩み止め効能を発揮するボルトとナットの一体化を確実なものとしている。
第4の発明は、第1、第2または第3の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金のボルトの組み合わせにおいて、一方を他方よりも軟質材としたこと、にある。
第4の発明にあっては、例えば、座金をボルトよりも軟質材とすると、座金の円錐状筒片の内面が、ナットの締め付けによって、ボルトのネジ山に確実に食い込んだ状態となり、このボルトのネジ山に食い込んだ状態の座金(円錐状筒片)に既述の種々の力が作用するため、ナットとボルトが強力に一体化する。
ボルトを座金よりも軟質材とすると、ボルトのネジ部を座金の円錐状筒片の内面で押圧して、ボルトと座金(円錐状筒片)が圧着し、座金を介したボルトとナットとを強力に一体化するものとなる。
第5の発明は、第1、第2、第3または第4の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金の欠円用スリットをボルトのネジ部の螺旋方向と反対方向に傾斜して形成したこと、にある。
第5の発明にあっては、ナットの締め付けにより、座金の円錐状筒片にも螺旋状に締付けトルクが加わっていくが、座金の欠円用スリットが傾斜していると、螺旋状に加わる締付けトルクが欠円用スリットに均等に加わって、座金(円錐状筒片)が縮径し、スムーズに座金がナットの円錐状孔部に嵌合し、ナットのベース部への押圧を、ボルト軸の全周にわたってボルト軸対称に均等に加えることができ、ナットとボルトの強力な一体化を実現する。
座金の欠円用スリットが、ボルトのネジ部の螺旋方向と反対方向に傾斜していると、ナットの強い締め付け力により、ナットの締め付け方向側の欠円用スリットの端縁がナットに対してエッジ状となり、該エッジ状となった欠円用スリットの端縁が、座金のベース部を押圧するナットの締結面に引っ掛かった状態となり、振動等によって、ナットが緩み方向に回動しようとすると、このエッジ状に引っ掛かっている部分がストッパーとなってナットの緩み方向の回動を阻止し、ボルトとナットの一体化を維持して、ナットの緩みを防止する。
第6の発明は、請求項1、2、3または4の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金の欠円用スリットを、ボルトのネジ部の螺旋方向と同一方向に傾斜して形成したこと、にある。
第6の発明にあっては、第5の発明と同様に、ボルトとナットの螺合の進行に伴う、螺旋状の締め付けトルクが、座金の傾斜した欠円用スリット全体に均等に加わって、座金の円錐状筒片全体が均等に縮径していくため、既述の力がボルト軸周囲の全周にわたって、ボルト軸対称に均等に作用し、座金を介してボルトとナットの強力な一体化を実現することができる。
第7の発明は、第1、第2、第3または第4の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金の欠円用スリットを、ボルト軸方向と同一方向に形成したこと、にある。
第7の発明にあっては、ナットの締め付け力によって、座金の円錐状筒片がボルト軸方向に強力に引きずられた状態となるため、ボルト軸方向と同一方向に形成したストレートな欠円用スリットの端縁が鋭いエッジ状となって、ナットの締結面に引っ掛かった状態となり、このエッジ状に引っ掛かった部分がストッパーとなってナットの緩み方向の回動を阻止する。
第8の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金のベース部の中央部に、円錐状筒片の大径部の直径よりもやや大きい直径の凹部を設けたこと、にある。
第8の発明にあっては、座金のベース部の中央部に、凹部を設けたため、ナットのベース部への押圧が該凹部の内方に作用し、凹部周囲に残存している締結面となる座金のベース部が、被締結物と面均一に当接することになる。このため、ナットのベース部への押圧が、座金のベース部の全周にわたってボルト軸対称に均等に作用し、緩み止めの効能を発揮する座金を介したナットとボルトの一体化を強力なものとする。
座金のベース部に凹部を設けたため、ボルトのネジ部周囲に密着するベース部の板厚が薄くなったことと同様となり、ボルトのネジ部周囲に密着したベース部の板厚に比して大きくなる締め付けトルクを小さくすることができ、特に、規格値の大きな締結具にあっては、締め付けトルクが小さくなるため、締め付け作業を楽に行うことができる。
第9の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金のベース部に、該ベース部を径方向に切り欠いた、少なくとも一つの切欠部を設けたこと、にある。
第9の発明にあっては、座金のベース部に切欠部を設け、該切欠部によって、座金のベース部の変形自由度を増大したため、締め付けトルクを小さくすることができ、締め付け作業を楽に行うことができる。
第10の発明は、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第9の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の偏心した円錐状片の最も肉厚となる部位から連設した、座金のベース部に、該ベース部を径方向に切り欠いた少なくとも一つの切欠部を設けたこと、にある。
第10の発明にあっては、座金の偏心した円錐状筒片の肉厚部から連設するベース部に、径方向の切欠部を設けることによって、特に回動に力を要する部分の変形自由度が増大し、締め付けトルクを小さくし、締め付け作業を簡単に行うことができる。
第11の発明は、第1、第3、第4、第5、第6、第7または第9の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の軸方向に、少なくとも一つの縦溝部を設けたこと、にある。
第11の発明にあっては、円錐状筒片に、少なくとも一つの縦溝部を設けたため円錐状筒片の変形自由度が増大し、円錐状筒片が縮径方向に容易に撓み変形するため、ナットの締め付けトルクが減少し、締め付け作業が容易となる。
座金の円錐状筒片に設けた縦溝部により、円錐状筒片の変形自由度が増大しているため、座金(円錐状筒片)のボルト軸直交方向への反発応力は衰えることなく、座金を介したボルトとナットの強力な一体化を維持して、強固な緩み止めの効能を発揮する。
なお、縦溝部の形状は、座金の円錐状筒片の変形自由度を増大するものであればよく、縦溝部を軸方向に対してストレートに形成すること、若しくは欠円用スリットと同一角度で傾斜して形成すること、その他側面V字状に形成すること、波形状に形成すること等、様々な形状に形成することが可能である。
第12の発明は、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第10の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の偏心した円錐状筒片の最も肉厚となる部位を除いて、座金の円錐状筒片の軸方向に、少なくとも一つの縦溝部を設けたこと、にある。
第12の発明にあっては、微小に偏心した肉厚部を設けた座金の円錐状筒片の最も肉厚となる部位を除いて、座金の円錐状筒片に縦溝部を形成したため、該円錐状筒片の肉厚部による押圧力を有効にボルトに加えることができる。また、座金の変形自由度が縦溝部により増大するため、締め付けトルクを小さくし、締め付け作業を簡単にすることができる。
第13の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11または第12の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の傾斜角度を略10°としたこと、にある。
第13の発明にあっては、座金の円錐状筒片の傾斜角度を略10°とすると、円錐状筒片の高さは、該円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部のピッチと同一ピッチのメネジを少なくとも2リード半以上刻設できる高さとなるため、座金の円錐状筒片を、ボルトとナットの間に確実に噛み挟まれる高さとし、既述の力を座金に作用させて、座金を介したボルトとナットの強力な一体化による、大いなる緩み止め効能を実現することができる。
第14の発明は、第5または第6の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の欠円用スリットの傾斜角度をボルト軸に対して、略20°から25°としたこと、にある。
第14の発明にあっては、座金の欠円用スリットの傾斜角度を、ボルト軸に対して、略20°から25°に設定すると、欠円用スリットの端縁が、ボルトのネジ部と一定の位相差を有して均等に当ることになり、螺旋状に加わる締め付けトルクにより、スムーズに座金の円錐状筒片を縮径することができる。
第15の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13または第14の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の欠円用スリットの幅を、ボルトとナットを締め切った状態で、隙間を有する幅としたこと、にある。
第15の発明にあっては、ナットを締め切った状態で、座金の欠円用スリットの端面が隙間を有する幅となるように、欠円用スリットの幅を設定しているため、ナットを締め切った状態にあっても、ナットとボルトの間に噛み挟まれた状態の座金の強力なバネ力を維持して、強力なナットとボルトの一体化を図っている。
第16の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14または第15の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部と嵌め合う螺条を刻設したこと、にある。
第16の発明にあっては、座金の円錐状筒片の内周面に、螺条を刻設したため、円錐状筒片がボルトのネジ部に確実に嵌め合い、座金とボルトの双方に働く摩擦力を確実に発揮させて、ボルトとナットを強力に一体化する。
第17の発明は、第16の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部と同一ピッチのメネジを刻設したこと、にある。
第17の発明にあっては、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部と同一ピッチのメネジを刻設したため、ボルトとナットの締め付けに伴って、座金の円錐状筒片が、ボルトのネジ部に螺嵌してスムーズに縮径して、ナットの円錐状孔に嵌合し、座金を介して、ボルトとナットの強力な一体化による、強固な緩み止め効果を発揮する
第18の発明は、第16の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部のピッチよりも小さいピッチの螺条を刻設したこと、にある。
第18の発明にあっては、ボルトとナットの締め付けに伴って、ボルトのネジ部の尖端部のみが、座金の円錐状筒片の内周面に刻設した螺条に螺嵌した状態となり、スパナ等の器具を用いることによって、締結具を容易に緩めることが可能となり、締結具を取り外して行う点検作業をを楽に行うことができる。
第19の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、第17、第18、第19または第20の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金若しくはナットを合成樹脂で形成したこと、にある。
第19の発明にあっては、腐食が激しい場所に用いる場合等、使用目的や使用状況に応じて、強固な緩み止め効果を発揮する合成樹脂製の締結具を用いることができる。
第20の発明は、第19の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の内周面に、縦方向に亘って内方に突出する複数の突起部を設けたこと、にある。
第20の発明にあっては、合成樹脂製の座金の円錐状筒片の内周面に、縦方向に亘って内方に突出する複数の突起部を設けたため、座金の円錐状筒片が縮径して、ナットの円錐状孔部に嵌入した際に、ボルトのネジ部に座金の円錐状筒片の突起部が強く当って、ボルトとナットの間に、座金の円錐状筒片を確実に噛み挟んだ状態となるため、合成樹脂製の座金に既述の力が確実に作用し、ボルトとナットの強力な一体化による、大なる緩み止めの効能を実現する。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施例を、図面を参照にしながら説明する。
先ず、第1実施例として、第1図から第6図に示す、緩み止め締結具について説明する。
第1図に示すように、緩み止め締結具は、座金1、ナット2及びボルト3からなり、これらの座金1、ナット2及びボルト3を互いに螺合組付けし、座金1を介してボルト3とナット2を強力に一体化することにより、大なる緩み止め効能を実現するものである。
座金1は、第1図及び第2図に示すように、円形平板状のベース部4の中心に、ボルト3のネジ部13が貫通するネジ部13の呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔5を有し、該ボルト貫通孔5の周囲に、ボルト軸の先端方向に縮径する円錐状筒片6を起立設している。
本実施例においては、ベース部4と円錐状筒片6には、ボルト3のネジ部12の螺旋方向と反対方向に傾斜した欠円用スリット7を開設している。
本例において、円錐状筒片6の傾斜角度θ1は、略10°であり、欠円用スリット7のボルト3の軸方向に対する傾斜角度θ2は、略20°から25°である。
円錐状筒片6の傾斜角度θ1を、略10°とすると、円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のネジ部13と同一ピッチのメネジを、2リード半以上刻設することができる高さとなる。
また、ボルト軸方向に対して、欠円用スリット7の傾斜角度θ2を略20°から25°とすると、欠円用スリット7が、ボルト3のネジ部13のネジ山ごとに、一定の位相差を有して、接触することとなる。
なお、欠円用スリット7は、ボルト軸方向に対して、ストレートに形成してもよく、ボルト軸方向に対して傾斜させる場合は、傾斜角度が略20°から25°に限定するものではない。
ナット3は、第3図に示すように、ボルト3のネジ部13と螺合するメネジ部11の上部に、座金1の円錐状筒片6を嵌合する円錐状孔部10を設けている。円錐状孔部10の傾斜角度θ3は、円錐状筒片6の傾斜角度θ1と同一角度である略10°に設定している。メネジ部11と円錐状孔部10との間には、内鍔状の段部12を設けている。
円錐状孔部10は、座金1と対峙しない半部分の内周の直径を、円錐状筒片6の先端部の外周の直径よりも小さくし、座金1と対峙する側の半部分の開口の直径を円錐状筒片6の付け根部の外周の直径よりも小さくしている。
このため、第4図に示すように、ナット2の円錐状孔部10に、座金1の円錐状筒片6を嵌入すると、円錐状筒片6の先端部のみが円錐状孔部10に嵌入し、座金1がナット2から突出した状態となる。
第5図および第6図に示すように、座金1とボルト3の間に被締結物15を挟み、ネジ部13とメネジ部11を螺合し、ナット2の締め付け力を作用させていくと、ナット2のメネジ部11のリード角に従った螺旋状の締め付け力が、傾斜した欠円用スリット7に均等に加わる。
そして、第5図(b)に示すように、最初にL1の幅を有していた欠円用スリット7全体が均等にL2の幅まで小さくなって、円錐状筒片6全体が均等に縮径し、ナット2の締め付けに伴って、円錐状筒片6がスムーズに円錐状孔部10に嵌合していく。
欠円用スリット7の幅L1は、本実施例においては約3mm程度に設定している。欠円用スリット7の幅L1は、ナット2を締め切った状態で、欠円用スリット7の幅L2が0.5mm〜1mm程度の間隙を有する幅であればよい。
ボルト3に対して、座金1を軟質材とすると、ナット2の締め付けに伴って、ネジ部13の尖端部が円錐状筒片6の内周面に食い込んで、円錐状筒片6の内周面が削られた状態で、円錐状筒片6の略全体が、ナット2の円錐状孔部10に嵌合する。
すなわち、第6図に示すように、円錐状筒片6があたかも目詰め材のごとく、ナット2とボルト3との間に円錐状筒片6を噛み挟んだ状態となる。
第7図は、座金1、ナット2およびボルト3の間に働く力の方向を説明する図である。図中黒矢印は、座金1により緩み止めの効能を奏する力の方向を示し、図中白矢印は、ボルト3とナット2に加わる力の方向を示す。
第7図に示すように、先ず、ナット2と座金1は、ナット2とボルト3との間に噛み挟まれた状態の座金1のボルト軸直交方向について反発応力(矢印F1)でもって、一体化する。
次いで、ナット2の締め付けで、ベース部4を被締結面に押し付ける力でもって、円錐状筒片6がボルト軸方向に強力に引きずられる(矢印St)。この際、内面をボルト3のネジ山に食い込まれた円錐状筒片6には、ボルト3のネジ山をちぎる方向の剪断力(矢印F3)が働く。この極めて強力な剪断力(矢印F3)は、ボルト軸方向全周についての座金1とボルト3の双方に働く、ボルト軸方向についての特有な摩擦力であり、その結果、ナット2のベース部4の押圧(矢印F2)は、強力な座金1のバネ力で反抗を受け、この抵抗力(矢印C)を介して、ナット2とボルト3は一体化している。
しかして、ボルト3とナット2は、座金1を介して、ボルト軸直交方向(矢印F1)とボルト軸方向(矢印F2)の二種の一体化ルートを介して、強力に一体化するものとなり、大なる緩み止め効能を合理的に実現する。
ボルト3とナット2の間に噛み挟まれた座金1の円錐状筒片6は、クサビ的作用を奏し、座金1よりもボルト軸方向の先端部で螺合しているナット2のメネジ部11に、全周からボルトのネジ部13を圧接する力(矢印F4)が加わり、ナット2と螺合しているボルト3のネジ山に加わる、摩擦力(矢印F5)を強めて、ナット2とボルト3の一体化を更に強力なものとし、縦揺れ、横揺れ、斜め方向等のあらゆる振動に対して、大なる緩み止め効能を合理的に実現する。
第8図に示すように、座金1の欠円用スリット7が、ボルト3の螺旋方向と反対方向に傾斜していると、座金1のベース部4にナット2の螺旋状の締め付け力Tが加わるため、螺旋方向前側に位置する欠円用スリット7の端縁7aがナット2の締結面2aに対して鋭いエッジ状となり、このエッジ状となった欠円用スリット7の端縁7aがナット2の締結面2aに食い込んで締結面2aを切り立てて引っ掛かった状態となる。
ボルト3とナット2の螺合が緩む方向は、締め付け力Tが加わる方向とは反対方向となるため、ボルト3とナット2との螺合が緩む方向に振動等が加わった場合であっても、欠円用スリット7の端縁7aがナット2の締結面2aが引っ掛かった部分がストッパーとなり、緩み方向へのナット2の回動を阻止する。
なお、座金1の円錐状筒片6の高さは、円錐状孔部10の高さよりも低く設定しており、ナット2の円錐状孔部10とメネジ部11との間には、内鍔状の段部12を設けているため、ナット2の締め付け力によって円錐状筒片6が延伸されたとしても、円錐状筒片6の先端がメネジ部12まで到達することはなく、ネジ部13やメネジ部11を強く押し潰して傷つけることはない。
ボルト3に対して、座金1とナット2は、一対の組合わせのみならず、座金1とナット2の組合わせを複数用いることにより、より強固な緩み止め効果を発揮させることも可能である。
本例においては、ボルト3に対して、軟質材の座金1を用いた例を示したが、本例に限らず、座金1とボルト3の組み合わせにおいて、座金1に対して、ボルト3を軟質材としてもよい。この場合は、硬質材の座金1が、軟質材のボルト3のネジ山を押圧して、円錐状筒片6の内周面が、ネジ山に圧着し、第7図に示す、既述の力が座金1に作用し、座金1を介したボルト3とナット2の強力な一体化による、大なる緩み止めの効能を実現することになる。
例えば、硬質材として、マルテンサイト組織を有する焼き入れした合金材と、焼き入れしない状態の合金材との組合わせ等が考えられる。硬質材として、焼き入れした合金を用いて座金1を形成すると、縮径した座金1が、ナット2の締め付け力を解除することにより、元の状態まで復元するため、緩み止めの効能を低減することなく、複数回の繰り返しの使用が可能となる。
次に、本発明の座金1の第2の実施例について説明する。
第9図は、座金1の第2の実施例を示す、(a)平面図、(b)側面図、(c)縦断面図、(d)底面図である。
座金1は、円錐状筒片6の一部に、ボルト貫通孔5の円中心に対して微小に偏心した肉厚部9を設けている。円錐状筒片6を嵌合するナット2の円錐状孔部10にあっては、円錐状孔部10とメネジ部11との間に設けた内鍔状の段部12の面積が拡大することになる。
第10図は、偏心した座金1により、緩み止めの効能を示す力の方向を説明する図である。
第10図に示すように、円錐状孔部10に嵌合した円錐状筒片6の微小に偏心している肉厚部9が、径方向からボルト3を押圧し(矢印F1)、肉厚部9で押圧されてやや斜めに傾いた状態となろうとするボルト3を、ナット2のメネジ部11で肉厚部9とは反対の径方向から押圧するため(矢印F2)、ボルト3にボルト軸方向の上下で、対向した径方向からの押圧力(F1,F2)が加わり、大なる緩み止め効能を発揮する。
また、ナット2の円錐状孔部10に嵌合した、円錐状筒片6の肉厚部9が、径方向からボルト3を押圧するクサビ的効果によって、座金1よりもボルト軸方向の先端部で螺合しているナット2のメネジ部11に、全周からボルトのネジ部13を圧接する力(矢印F4)が加わり、ナット2とボルト3の双方のネジ山に加わる摩擦力を強めて、ボルト3とナット2の一体化を強力なものとしている。
第11図は、座金1の第三の実施例を示す、(a)平面図、(b)側面図、(c)底面図である。
座金1は、円錐状筒片6の内周面には、ボルト3のネジ部13と同一ピッチのメネジ8を、2リード半から3リードを刻設している。また、欠円用スリット7は、ボルト3の螺旋方向と同一方向に傾斜している。
円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のネジ部13と同一ピッチのメネジ8を刻設した場合、ボルト3とナット2の螺合に伴って、円錐状筒片6に刻設したメネジ8が、ボルト3のネジ部13に螺嵌し、螺旋方向の締め付け力が、螺旋方向と同一方向に傾斜した欠円用スリット7に均等に加わって、円錐状筒片6全体が均等に縮径し、スムーズにナット2の円錐状孔部10に、座金1の円錐状筒片6を嵌合させることができ、締め付け作業が容易となる。
第12図に示すように、座金1の第四の実施例として、微小に偏心した肉厚部9を設けた円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のネジ部13と同一ピッチのメネジ8を刻設してもよい。
また、第13図に示す、座金1の第五の実施例として、座金1の円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のネジ部13のピッチよりも、細かいピッチの螺条8を刻設してもよい。
螺条8を、ボルト3のネジ部13よりも細かいピッチとすると、座金1は、ネジ部13の尖端部のみが螺条8と螺嵌することになる。このため、スパナ等の器具を用いることにより、締結具を簡単に緩めることができ、一定期間ごとに締結具を取り外す必要がある場合に便利であり、定期点検等の作業を楽に行うことができる。
なお、微小に偏心した肉厚部9を設けた、座金1の円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のネジ部13よりも細かいピッチの螺条8を刻設してもよい。
第14図に示すように、座金1の第穴の実施例として、座金1の欠円用スリット7を、ボルト3の軸方向と同一方向のストレートな形状としてもよい。
ナット2の締め付け力によって、座金1の円錐状筒片6が、ボルト軸方向に強引に引きずられた状態となるため(第7図参照、矢印St)、ストレートな欠円用スリット7の端縁が、ナット2の締結面に対してエッジ状となり、このエッジ状となった欠円用スリット7の端縁が、ナット2の締結面に引っ掛かり、欠円用スリット7がエッジ状に引っ掛かった部分がストッパーとなって、ナット2の緩み方向への回動を阻止する。
第15図は、座金1の第七の実施例を示し、座金1のベース部4の中央に、円錐状筒片6の大径部の直径よりも、やや大きい直径の凹部4aを設けている。
通常、ナット2のメネジ11の直径は、加工誤差を解消するため、ボルト3のネジ部13の直径に対して若干大きく形成されており、ボルト3がナット2に対して、多少傾いた状態で、ナット2とボルト3が締め付けられる。ナット2に対するボルト3の傾きは、ナット2とボルト3の規格値が大きくなる程、大きくなる傾向にある。ボルト3が多少傾いた状態となると、ナット2のベース部4への押圧が、座金1のベース部4の全周にわたって、ボルト軸対称に均等に加わらないため、緩み止めの効能が発揮できないことになる。
座金1のベース部4の中央部に、凹部4aを設けたため、ナット2のベース部4への押圧が、該凹部4aの内方に作用し、凹部4a周囲に残存しているベース部4が、被締結物と面均一に当接し、規格値の大きな締結具にあっても、ナット2のベース部4への押圧が、座金1のベース部4の全周にわたって、ボルト軸対称に均等に作用し、座金1を介したナット2とボルト3への一体化を強力なものとする。
また、ボルト3及びナット2が大きくなると、規格で定められた座金1のベース部4の板厚も当然厚くなるが、ベース部4の板厚が厚くなると、締め付けトルクが大きくなり、締め付け作業が困難になる、と云う問題がでてくる。
座金1のベース部4に凹部4aを設けると、該凹部4aによって、ボルト3のネジ部13と、座金1のベース部4との間に隙間が形成されて、ボルト3のネジ部13周囲において、座金1のベース部4が薄くなったことと同様となるため、締め付けトルクを小さくすることができ、必然的に座金1のベース部4が厚くなる大きな締結具であっても、締め付け作業を楽に行うことができる。
第16図は、座金1の第八の実施例を示し、座金1のベース部4に、径方向にベース部4を切り欠いた、切欠部4bを形成している。
この切欠部4bを設けることにより、ナット2の締め付け力に対して、座金1の変形自由度が増大し、円錐状筒片6が容易に縮径方向に撓み変形して、比較的弱い力で容易にナット2を締め付けていくことができる。
円錐状筒片6に肉厚部9を設けた場合、該肉厚部9の最も肉厚となる部位から連設しているベース部4に、径方向の切欠部4bを設けることにより、肉厚部9の存在により、特に、回動に力を要する部分の変形自由度が増大するため、締め付けトルクが小さくなり、締め付け作業を楽に行うことができる。
第17図は、座金1の第九の実施例を示し、座金1は、円錐状筒片6に軸方向に、複数の縦溝部7aを設けている。この縦溝部7aによって、ナット2の締め付け力に対して、円錐状筒片6の変形自由度が増大し、円錐状筒片6が縮径方向に容易に撓み変形するため、締め付けトルクを小さくすることができる。
また、座金1は、縦溝部7aによって変形自由度が増大しているため、円錐状筒片6のボルト軸直交方向への反発応力は衰えることはなく、ボルトとナットの強力な一体化を維持する。
縦溝部7aは、欠円用スリット7と同様に、ボルト3のネジ部13の螺旋方向と同一方向に傾斜して設けてもよい。
縦溝部7aをネジ部13の螺旋方向と同一方向に傾斜すると、螺旋状に加わるナット2の締め付け力が縦溝部7aに均等に加わっていくため、円錐状筒片6がスムーズに縮径することになり、締結具の締め付け作業が一層容易となる。
第18図は、座金1の第十の実施例を示し、微小に偏心した肉厚部9を設けた円錐状筒片6においては、該肉厚部9の最も肉厚となる部位を避けて、縦溝部7a若しくは欠円用スリット7を形成することにより、有効に該肉厚部9による径方向からの押圧をボルト3に作用させることができ、ボルト3のネジ部13の上下で対向した径方向からの押圧力を、ボルト3に加えて、緩み止めの効能を強固なものとすることができる。
なお、縦溝部7aと欠円用スリット7は、ボルト3のネジ部13の螺旋方向と同一方向に傾斜する場合のみならず、ストレートに形成すること、その他V字状に形成すること、波形状に形成すること等、様々な形状に形成することが可能とである。
第19図には、座金1の第十一の実施例を示し、座金1には、欠円用スリット7の他に、ベース部4に複数の切欠部4b、円錐状筒片6に複数の縦溝部7aの双方を設けている。
第19図に示す、座金1にあっては、切欠部4bと縦溝部7aとの相乗効果により、座金1の変形自由度が増大し、円錐状筒片6容易に撓み変形して縮径するため、締結作業が容易となり、作業効率を向上する。
締結具を合成樹脂製とすることも可能である。例えば、FRPを用いて形成することにより、強度と耐腐食性等を要求される部位に、本発明の締結具を用いることができ、使用目的、使用場所等に応じて適切な素材の最適な緩み止め効果を発揮する締結具を用いることができる。
第20図は、座金1の第十二の実施例を示し、合成樹脂製の座金1の円錐状筒片6の内周面の縦方向全域に亘って、三つの突起部6aを設けている。
合成樹脂製の座金1にあっては、コスト的に精密な加工が困難であるため、円錐状筒片6の内周面に突起部6aを設け、この突起部6aにボルト3のネジ山が食い込むことによって、ナット2とボルト3の間に円錐状筒片6が確実に噛み挟まれた状態となるため、ナット2とボルト3とを強力に一体化する既述の力を合成樹脂製の座金1に作用させて、大なる緩み止め効能を発揮させることができる。
なお、第20図(b)に示すように、規格値の大きい締結具に用いる座金にあっては、第16図に示す、第7実施例と同様に、座金1のベース部4に凹部4aを設けてもよい。
第21図は、座金1の第十三の実施例を示し、座金1の円錐状筒片6の内周面に設ける突起部6aは、第21図に示す、第12実施例のように三つに限らず、同一角度で複数の突起部6aを設けることも可能である。
第20図及び第21図においては、肉厚部9を設けた円錐状筒片6に突起部6aを設けた例を示したが、肉厚部9を設けない、円錐状筒片6の内周面に突起部6aを設けてもよい。
以上のように、本発明は、ボルト3とナット2との間に、座金1のベース部4と円錐状筒片6を介在させたことによって、ボルト軸直交方向とボルト軸方向との2種の一体化ルートを介して、強力にボルト3とナット2とを一体化し、大なる緩み止め効能を合理的に実現するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の緩み止め締結具を示す、ボルト、座金およびナットの分解斜視図である。
第2図は、本発明の座金の第1の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図、(c)縦断面図、(d)底面図である。
第3図は、本発明のナットの第1の実施例を示し、半縦断面図である。
第4図は、第2図及び第3図の座金とナットを組付けた状態を示す半縦断面図である。
第5図は、(a)締め付け前の座金とナットの状態を示す縦断面図、(b)締め付け後の座金とナットの状態を示す縦断面図である。
第6図は、第1図に示す締結具により、被締結物を締め付けた状態を示す縦断面図である。
第7図は、締め付けによって、締結具に加わる力の作用方向を説明する説明図である。
第8図は、締め付けによって、座金の欠円用スリットの端縁がナットに引っ掛かった状態を説明する、斜視図である。
第9図は、本発明の座金の第2の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図(c)縦断面図、(d)底面図である。
第10図は、第9図に示す座金を用いて締結具を締め付けた状態において、力の加わる方向を説明する、縦断面図である。
第11図は、本発明の座金の第3の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図(c)底面図である。
第12図は、本発明の座金の第4の実施例を示し、(a)縦断面図、(b)底面図である。
第13図は、本発明の座金の第5の実施例を示し、締結具を締め付けた状態を示す、半縦断面図である。
第14図は、本発明の座金の第6の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図、(c)底面図である。
第15図は、本発明の座金の第7の実施例を示し、(a)斜視図、(b)縦断面図である。
第16図は、本発明の座金の第8の実施例を示し、(a)平面図、(b)底面図である。
第17図は、本発明の座金の第9の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図、(b)底面図である。
第18図は、本発明の座金の第10の実施例を示し、(a)側面図、(b)底面図である。
第19図は、本発明の座金の第11の実施例を示し、(a)平面図、(b)底面図である。
第20図は、本発明の座金の第12の実施例を示し(a)平面図、(b)半縦断面図である。
第21図は、本発明の座金の第13の実施例を示し、平面図である。
第22図は、従来例を示し、ボルトと、緩み止め部材と、ナットとを示す斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトと、ベース部に、ボルトの呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔を有し、該ボルト貫通孔の周囲に、ボルト軸方向上方にしたがって縮径する円錐状筒片を起立設し、前記ベース部と前記円錐状筒片に連続した欠円用スリットを形成した座金と、前記座金と対峙しない半部分の内周の直径を、前記円錐状筒片の先端部の外周の直径よりも小さくし、前記座金と対峙する側の半部分の開口の直径を前記円錐状筒片の付け根部の外周直径よりも小さくした、前記円錐状筒片の高さよりもやや高い、座金の円錐状筒片の傾斜角度と同一傾斜角度のテーパ面を有する円錐状孔部を、前記ボルトのネジ部と螺合するメネジ部の上部に開設したナットとからなる緩み止め締結具。
【請求項2】
座金の円錐状筒片の一部をボルト貫通孔の円中心に対して、微小に偏心した肉厚部とした請求項1記載の緩み止め締結具。
【請求項3】
座金の円錐状筒片の高さを、ボルトのネジ部と同一ピッチのメネジを2リード半以上刻設可能な高さとした請求項1又は2記載の緩み止め締結具。
【請求項4】
座金とボルトの組み合わせにおいて、一方を他方よりも軟質材とした請求項1、2又は3記載の緩み止め締結具。
【請求項5】
座金の欠円用スリットを、ボルトのネジ部の螺旋方向と反対方向に傾斜して形成した請求項1、2、3または4記載の緩み止め締結具。
【請求項6】
座金の欠円用スリットを、ボルトのネジ部の螺旋方向と同一方向に傾斜して形成した請求項1、2、3または4記載の緩み止め締結具。
【請求項7】
座金の欠円用スリットを、ボルト軸方向と同一方向に形成した請求項1、2、3または4記載の緩み止め締結具。
【請求項8】
座金のベース部に、円錐状筒片の大径部の直径よりもやや大きい直径であり、該ベース部の厚さよりも少ない高さの凹部を設けた請求項1、2、3、4、5、6または7記載の緩み止め締結具。
【請求項9】
座金のベース部に、ベース部を径方向に切り欠いた少なくとも一つの切欠部を設けた請求項1、2、3、4、5、6または7記載の緩み止め締結具。
【請求項10】
座金の偏心した円錐状筒片の最も肉厚となる部位から連設した、座金のベース部に、該ベース部を径方向に切り欠いた切欠部を設けた、請求項2、3、4、5、6、7または9記載の緩み止め締結具。
【請求項11】
座金の円錐状筒片に、少なくとも一つの縦溝部を設けた請求項1、3、4、5、6、7または9記載の緩み止め締結具。
【請求項12】
座金の偏心した円錐状筒片の最も肉厚となる部位を除いて、座金の円錐状筒片に、少なくとも一つの縦溝部を設けた請求項2、3、4、5、6、7、9または10記載の緩み止め締結具。
【請求項13】
座金の円錐状筒片の傾斜角度を、略10°とした請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の緩み止め締結具。
【請求項14】
座金の欠円用スリットの傾斜角度を、ボルト軸方向に対して、略20°から略25°とした請求項5または6記載の緩み止め締結具。
【請求項15】
座金の欠円用スリットの幅を、ボルトとナットを締め切った状態で、隙間を有する幅とした請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14記載の緩み止め締結具。
【請求項16】
座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部と嵌め合う螺条を刻設した請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の緩み止め締結具。
【請求項17】
座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部と同一ピッチのメネジを刻設した請求項16記載の緩み止め締結具。
【請求項18】
座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部のピッチよりも小さいピッチの螺条を刻設した請求項16記載の緩み止め締結具。
【請求項19】
座金若しくはナットを、合成樹脂で形成した請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18記載の緩み止め締結具。
【請求項20】
座金の円錐状筒片の内周面に、縦方向全域に亘って、内方に突出する複数の突起部を設けた請求項19記載の緩み止め締結具。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本発明は、ボルトと、座金と、ナットとから成る、簡単な構造で、強固に締結具の緩みを防止する緩み止め締結具に関する。
【0002】
【背景技術】
一般的に、締結具は、ボルトとナット、若しくはボルトとナットと座金からなるものが用いられている。当然のことながら被締結材の保護上、座金があることが望ましい。締結具によって連結される最も重要な部位は、飛行機や電車等の連結部、建物、鉄塔、高速道路の橋げた等の連結部であり、このような乗り物の走行による振動や、風等の振動の緩みの影響を受ける部位には、特に、緩み止めが施された締結具が用いられる。
【0003】
緩み止め効果を奏する締結具の提案は、数多くなされている。例えば、特開平9−79247号公報には、座金の座面を傾斜した傾斜面を有する凸部若しくは凹部に形成すると共に、ナットの裏面またはボルトの頭部の裏面を、座金の凸部若しくは凹部に対応した傾斜面を有する凹部若しくは凸部に形成して、互いに嵌合した座金の傾斜面とナットの傾斜面に圧縮による摩擦力を働かせて、緩み止め効果を奏するとした締結具が開示されている。
当該締結具では、凸部形成の場合にあっては、ナットのネジ部の一部を傾斜面に提供するために失う重大な不利を、当該一部に形成した摩擦部で補うことになっているが、この限られたスパン間のみに確保の摩擦力が厳しい緩み力に抵抗するには、無理がある。また、凹部形成した場合にあっては、ナット喰い込み用の厚みを加算しなければならず、分厚い座金という奇妙なものとなってしまうし、上記凸部形成と同じく限られたスパン間のみに確保の摩擦力に頼るものであり、無理がある。
これに加え、本提案にあっては、頼りにしている座金に踏ん張りが期し難く、座金をボルトとナットの螺合に対して回らないようにしておくべく、座金に回り止め用のピンを突設する構成も記述されているが、座金に回り止め用のピンを突設するには、座金に突設した回り止め用のピンに対して、該ピンを嵌合する嵌合部を被締結物若しくはナットの方に設ける必要があり、構造が複雑となって、生産性、汎用性が低減する、と云う問題もある。究極的には、ピンの剪断力に頼るという不合理がある。
更には、緩み止めとは、ナットとボルトとの一体化であるので、座金とナットとの一体をいくら成し遂げても、別体としてのボルトに加わる緩みを阻止し得ず、本提案は大なる欠陥を有している。
【0004】
特開平11−6516号公報にあっては、ネジ孔の周囲に軸孔方向上方にしたがって縮径するテーパ状の外周面を有し、該外周面がネジ孔に対して微小偏心された凸部を設けた第1ナットと、第1ナットの凸部が嵌合するとともに、ネジ孔と同心状とした内周面を有する凹部を設けた後行取り付けの第2ナットとから構成した緩み止め効果を奏するダブルナットの提案がある。
このダブルナットは、第1ナットの偏心方向側に、樹脂、あるいは軟質金属を被覆し、第2ナットの凹部に第1ナットの凸部を嵌合して、第2ナットで第1ナットを締め付けると、偏心した第1ナットの凸部が、ネジ孔と同心状の第2ナットの凹部に嵌合することによって、クサビ的な作用を奏し、緩み止め効果を発揮するというものである。
すなわち、先行装着の第1ナットの凸部に、後行装着の第2ナットの凹部を嵌合させて、第2ナットのメネジとボルトのネジ部を螺合していくと、第1ナットの凸部が偏心されていることから、第1ナットは偏心側からボルトを押圧しつつ締め付け力が作用し、第1ナットが偏心方向他側へ若干位置がずれるため、第2ナットが偏心方向他側からボルトを押圧しつつ締め付け力が作用するものとなる。
第1、2ナットの嵌合積層体の上下の互いに相反する箇所にて、強力なボルト軸直交方向から押し付け力が作用すると共に、第1、2ナット間のテーパ面の摩擦力で緩み止めが奏されるとしたものである。
この提案では、ボルト軸に相反する直交方向から上下に不利な剪断力の強力な押し付け力が加わり、ボルトの負担が過酷である。
ダブルナットは、二つのナットを重ねて用いるため、ネジ山の破損もあり、繰り返しの使用に耐え得なく、コスト高となる。
更には、第1ナットの凸部を許容するスペースが必要となり、第1ナット及び凸部を許容し得ない狭小なスペースにあっては、ダブルナットを用いることができない、と云う使用上の制約もある。
【0005】
特開平10−306819号公報にあっては、第22図に示すように、外面をボルト軸方向上方にしたがって縮径するテーパ状に形成し、内周面にナットのメネジ部11と連続するメネジ23を刻設し、円周の一部をボルト軸方向に切り欠いた切欠部22を設けたリング状の緩み止め部材20と、該リング部材20を嵌合するテーパ状の内周面を有するテーパ凹部30aを設けたナット2とから成る緩み止め構造の提案がある。
ボルト3とナット2を締め付けていくと、リング状の緩み止め部材20は縮径して、ボルト3とナット2間の充填連結材化し、ナット2のテーパ凹部30aの中に没入する。
しかして、緩み止め部材20の圧縮に反発するボルト3、ナット2双方に向けての、軸直角方向の応力が作用し、締め付け力が大きくなり、ネジの緩みを防止する。
この提案では、既述の特開平9−79247号と同じくナットのネジの一部を犠牲にしているが、この犠牲部に縮径自在な充填連結部材(緩み止め部材20)が介在する点で異なる。
この緩み止めの効果は、結局、緩み止め部材20のテーパ状の外周面と、ナット2のテーパ凹部30aとの接触による摩擦力に頼って、緩み止め部材20が裏面にてボルト3と一体化(ネジの噛み合いのため螺動方向については一体効果は期し得ない。)するものとなっているが、この限られたスパンにしか提供されることのない接触面では限度があるので、ナット2の上部を拡径した拡径部30に形成してテーパ凹部30aを設ける必要があり、ナット2が特殊な形状となるため、製造コストが増大する、と云う問題が発生する。また、ダブルナットと同様に拡径部30を許容し得ないスペースにおいては、特殊形状となったナット2を用いることができない、と云う使用上の制約もある。
【0006】
既述の通り、緩み止めとはナットとボルトとの一体化であるが、この提案ではナット2のテーパ凹部30aでのボルト軸直交方向の作用の圧縮に対する反発力のみで、この一体化をもたらしているが、僅かなスパン間にしか確保し得ない一体化効能部では、緩み止めには極めて脆弱であり、実効性に劣る。
【0007】
【発明の開示】
第1の発明は、
緩み止め締結具であって、
ボルトと、
ベース部に、ボルトの呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔を有し、該ボルト貫通孔の周囲に、ボルト軸方向上方にしたがって縮径する円錐状筒片を起立設し、ベース部と円錐状筒片に連続した欠円用スリットを形成した座金と、
前記座金と対峙しない半部分の内周の直径を、座金の円錐状筒片の先端部の外周の直径よりも小さくし、座金と対峙する側の半部分の開口の直径を座金の円錐状筒片の付け根部の外周の直径よりも小さくした、座金の円錐状筒片の高さよりもやや高い、座金の円錐状筒片の傾斜角度と同一傾斜角度のテーパ面を有する円錐状孔部を、ボルトのネジ部と螺合するメネジ部の上部に開設したナットとからなること、にある。
【0008】
第1の発明にあっては、被締結物を締め付けていくと、ナットの締め付け力が、欠円用スリットに加わっていき、欠円用スリットの隙間が小さくなって、座金の円錐状筒片は縮径し、ナットの円錐状孔部とボルトとの間に座金の円錐状筒片があたかも目詰材の如く介装され、ナットとボルトの間に座金の円錐状筒片を噛み挟んだ状態となり、ナットと座金は、前記特開平10−306819号と同じく、ボルト軸直交方向について反発応力でもって一体化する。
【0009】
しかし、次記の点で著しく異なる。すなわち、円錐状筒片はベース部と一体であるので、ナットの締め付けで働くベース部を被締結面に押し付ける力でもって、円錐状筒片はボルト軸方向に強力に引きずられるが、この際、内面をボルトのネジ山に食い込まれた円錐状筒片は、ボルトのネジ山をちぎる方向に剪断力を働かせる。この極めて強力な剪断力は、ボルト軸方向全周についての座金(円錐状筒片)とボルトの双方に働く、ボルト軸方向についての特有の摩擦力であり、その結果、既述のナットのベース部への押圧は、強力なバネ力での反抗を受け、この抵抗力を介してナットとボルトは一体化している。
結局、座金のベース部を押圧するナットは、座金の円錐状筒片を介したボルト軸方向のネジ山に作用する剪断力の仲介を経ても、ボルトと一体化している。
しかして、本発明の締結具は、ボルト軸直交方向とボルト軸方向との2種の一体化ルートを介して強力に一体化するものとなり、大なる緩み止め効能を合理的に実現する。
【0010】
なお、ボルトとナットの間に噛み挟まれた状態の座金の円錐状筒片は、クサビ的作用を奏し、座金よりもボルト軸方向の先端部で螺合しているナットのメネジ部に、全周からボルトのネジ部を圧接する力が加わり、ナットとボルトの一体化をさらに強固なものとして、緩み止め効能を強化する。
締結具として六角ナットを用いると、六角ナットの角部によって、被締結物の締結面が傷つけられたり、被締結物の締結面に六角ナットの締結面が均等に当接せず、ボルトとナットの締め付けによる圧縮力がボルト軸対称に均等に負荷されない等の問題があるが、本発明にあっては、ボルトとナットの間に座金を介在させているため、被締結物の締結面の保護、ボルトとナットの締め付けによる圧縮力のボルト軸対称に均等な負荷等、座金が通常発揮する効果も当然のことながら発揮することになる。
座金の欠円用スリットの形状は、縮径するものであればよく、ボルト軸に対して、斜めの形状であってもよく、ストレートな形状であってもよく、その他V字形状であっても、波形状であってもよく、様々な形状の欠円用スリットを設けることができ、欠円用スリットの形状は問わない。
【0011】
第2の発明は、第1の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金の円錐状筒片の一部をボルト貫通孔の円中心に対して、微小に偏心した肉厚部としたこと、にある。
第2の発明にあっては、ボルトとナットの螺合に伴って、縮径した座金の円錐状筒片がナットの円錐状孔部に嵌合した際に、微小に偏心した円錐状筒片の肉厚部が、径方向からボルトを押圧し、座金(円錐状筒片の肉厚部)のクサビ的効果によって、座金(円錐状筒片)とボルトの双方に働く摩擦力が増大し、ナットのベース部への押圧が、座金の強力な反抗を受けて、この抵抗力を介してナットとボルトの一体化が強まり、大なる緩み止め効能を発揮する。
更に、座金の円錐状筒片の肉厚部で径方向から押圧されてやや斜めに傾いた状態になろうとするボルトを、ナットが該肉厚部とは反対の径方向から押圧するため、ボルト軸方向の上下で対向した径方向からの押圧力がボルトに加わり、緩み止めの効能が向上する。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金の円錐状筒片の高さを、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部のピッチと同一ピッチで、少なくとも二リード半以上のメネジを形成できる高さとしたこと、にある。
座金の円錐状筒片の高さを、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部のピッチと同一ピッチで、少なくとも二リード半以上のメネジを形成できる高さとすると、ボルトとナットの間に座金の円錐状筒片が確実に噛み挟まれ、噛み挟まれた状態の座金(円錐状筒片)に既述の力が確実に作用するため、大なる緩み止め効能を発揮するボルトとナットの一体化を確実なものとしている。
【0013】
第4の発明は、第1、第2または第3の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金のボルトの組み合わせにおいて、一方を他方よりも軟質材としたこと、にある。
第4の発明にあっては、例えば、座金をボルトよりも軟質材とすると、座金の円錐状筒片の内面が、ナットの締め付けによって、ボルトのネジ山に確実に食い込んだ状態となり、このボルトのネジ山に食い込んだ状態の座金(円錐状筒片)に既述の種々の力が作用するため、ナットとボルトが強力に一体化する。
ボルトを座金よりも軟質材とすると、ボルトのネジ部を座金の円錐状筒片の内面で押圧して、ボルトと座金(円錐状筒片)が圧着し、座金を介したボルトとナットとを強力に一体化するものとなる。
【0014】
第5の発明は、第1、第2、第3または第4の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金の欠円用スリットをボルトのネジ部の螺旋方向と反対方向に傾斜して形成したこと、にある。
第5の発明にあっては、ナットの締め付けにより、座金の円錐状筒片にも螺旋状に締付けトルクが加わっていくが、座金の欠円用スリットが傾斜していると、螺旋状に加わる締付けトルクが欠円用スリットに均等に加わって、座金(円錐状筒片)が縮径し、スムーズに座金がナットの円錐状孔部に嵌合し、ナットのベース部への押圧を、ボルト軸の全周にわたってボルト軸対称に均等に加えることができ、ナットとボルトの強力な一体化を実現する。
座金の欠円用スリットが、ボルトのネジ部の螺旋方向と反対方向に傾斜していると、ナットの強い締め付け力により、ナットの締め付け方向側の欠円用スリットの端縁がナットに対してエッジ状となり、該エッジ状となった欠円用スリットの端縁が、座金のベース部を押圧するナットの締結面に引っ掛かった状態となり、振動等によって、ナットが緩み方向に回動しようとすると、このエッジ状に引っ掛かっている部分がストッパーとなってナットの緩み方向の回動を阻止し、ボルトとナットの一体化を維持して、ナットの緩みを防止する。
【0015】
第6の発明は、第1、2、3または第4の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金の欠円用スリットを、ボルトのネジ部の螺旋方向と同一方向に傾斜して形成したこと、にある。
第6の発明にあっては、第5の発明と同様に、ボルトとナットの螺合の進行に伴う、螺旋状の締め付けトルクが、座金の傾斜した欠円用スリット全体に均等に加わって、座金の円錐状筒片全体が均等に縮径していくため、既述の力がボルト軸周囲の全周にわたって、ボルト軸対称に均等に作用し、座金を介してボルトとナットの強力な一体化を実現することができる。
【0016】
第7の発明は、第1、第2、第3または第4の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金の欠円用スリットを、ボルト軸方向と同一方向に形成したこと、にある。
第7の発明にあっては、ナットの締め付け力によって、座金の円錐状筒片がボルト軸方向に強力に引きずられた状態となるため、ボルト軸方向と同一方向に形成したストレートな欠円用スリットの端縁が鋭いエッジ状となって、ナットの締結面に引っ掛かった状態となり、このエッジ状に引っ掛かった部分がストッパーとなってナットの緩み方向の回動を阻止する。
【0017】
第8の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7の発明記載の緩み止め締結具の構成として、座金のベース部の中央部に、円錐状筒片の大径部の直径よりもやや大きい直径の凹部を設けたこと、にある。
第8の発明にあっては、座金のベース部の中央部に、凹部を設けたため、ナットのベース部への押圧が該凹部の内方に作用し、凹部周囲に残存している締結面となる座金のベース部が、被締結物と面均一に当接することになる。このため、ナットのベース部への押圧が、座金のベース部の全周にわたってボルト軸対称に均等に作用し、緩み止めの効能を発揮する座金を介したナットとボルトの一体化を強力なものとする。
座金のベース部に凹部を設けたため、ボルトのネジ部周囲に密着するベース部の板厚が薄くなったことと同様となり、ボルトのネジ部周囲に密着したベース部の板厚に比して大きくなる締め付けトルクを小さくすることができ、特に、規格値の大きな締結具にあっては、締め付けトルクが小さくなるため、締め付け作業を楽に行うことができる。
【0018】
第9の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金のベース部に、該ベース部を径方向に切り欠いた、少なくとも一つの切欠部を設けたこと、にある。
第9の発明にあっては、座金のベース部に切欠部を設け、該切欠部によって、座金のベース部の変形自由度を増大したため、締め付けトルクを小さくすることができ、締め付け作業を楽に行うことができる。
【0019】
第10の発明は、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第9の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の偏心した円錐状筒片の最も肉厚となる部位から連設した、座金のベース部に、該ベース部を径方向に切り欠いた少なくとも一つの切欠部を設けたこと、にある。
第10の発明にあっては、座金の偏心した円錐状筒片の肉厚部から連設するベース部に、径方向の切欠部を設けることによって、特に回動に力を要する部分の変形自由度が増大し、締め付けトルクを小さくし、締め付け作業を簡単に行うことができる。
【0020】
第11の発明は、第1、第3、第4、第5、第6、第7または第9の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の軸方向に、少なくとも一つの縦溝部を設けたこと、にある。
第11の発明にあっては、円錐状筒片に、少なくとも一つの縦溝部を設けたため円錐状筒片の変形自由度が増大し、円錐状筒片が縮径方向に容易に撓み変形するため、ナットの締め付けトルクが減少し、締め付け作業が容易となる。
座金の円錐状筒片に設けた縦溝部により、円錐状筒片の変形自由度が増大しているため、座金(円錐状筒片)のボルト軸直交方向への反発応力は衰えることなく、座金を介したボルトとナットの強力な一体化を維持して、強固な緩み止めの効能を発揮する。
なお、縦溝部の形状は、座金の円錐状筒片の変形自由度を増大するものであればよく、縦溝部を軸方向に対してストレートに形成すること、若しくは欠円用スリットと同一角度で傾斜して形成すること、その他側面V字状に形成すること、波形状に形成すること等、様々な形状に形成することが可能である。
【0021】
第12の発明は、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第10の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の偏心した円錐状筒片の最も肉厚となる部位を除いて、座金の円錐状筒片の軸方向に、少なくとも一つの縦溝部を設けたこと、にある。
第12の発明にあっては、微小に偏心した肉厚部を設けた座金の円錐状筒片の最も肉厚となる部位を除いて、座金の円錐状筒片に縦溝部を形成したため、該円錐状筒片の肉厚部による押圧力を有効にボルトに加えることができる。また、座金の変形自由度が縦溝部により増大するため、締め付けトルクを小さくし、締め付け作業を簡単にすることができる。
【0022】
第13の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11または第12の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の傾斜角度を略10°としたこと、にある。
第13の発明にあっては、座金の円錐状筒片の傾斜角度を略10°とすると、円錐状筒片の高さは、該円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部のピッチと同一ピッチのメネジを少なくとも2リード半以上刻設できる高さとなるため、座金の円錐状筒片を、ボルトとナットの間に確実に噛み挟まれる高さとし、既述の力を座金に作用させて、座金を介したボルトとナットの強力な一体化による、大いなる緩み止め効能を実現することができる。
【0023】
第14の発明は、第5または第6の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の欠円用スリットの傾斜角度をボルト軸に対して、略20°から25°としたこと、にある。
第14の発明にあっては、座金の欠円用スリットの傾斜角度を、ボルト軸に対して、略20°から25°に設定すると、欠円用スリットの端縁が、ボルトのネジ部と一定の位相差を有して均等に当ることになり、螺旋状に加わる締め付けトルクにより、スムーズに座金の円錐状筒片を縮径することができる。
【0024】
第15の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13または第14の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の欠円用スリットの幅を、ボルトとナットを締め切った状態で、隙間を有する幅としたこと、にある。
第15の発明にあっては、ナットを締め切った状態で、座金の欠円用スリットの端面が隙間を有する幅となるように、欠円用スリットの幅を設定しているため、ナットを締め切った状態にあっても、ナットとボルトの間に噛み挟まれた状態の座金の強力なバネ力を維持して、強力なナットとボルトの一体化を図っている。
【0025】
第16の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14または第15の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部と嵌め合う螺条を刻設したこと、にある。
第16の発明にあっては、座金の円錐状筒片の内周面に、螺条を刻設したため、円錐状筒片がボルトのネジ部に確実に嵌め合い、座金とボルトの双方に働く摩擦力を確実に発揮させて、ボルトとナットを強力に一体化する。
【0026】
第17の発明は、第16の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部と同一ピッチのメネジを刻設したこと、にある。
第17の発明にあっては、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部と同一ピッチのメネジを刻設したため、ボルトとナットの締め付けに伴って、座金の円錐状筒片が、ボルトのネジ部に螺嵌してスムーズに縮径して、ナットの円錐状孔に嵌合し、座金を介して、ボルトとナットの強力な一体化による、強固な緩み止め効果を発揮する
【0027】
第18の発明は、第16の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部のピッチよりも小さいピッチの螺条を刻設したこと、にある。
第18の発明にあっては、ボルトとナットの締め付けに伴って、ボルトのネジ部の尖端部のみが、座金の円錐状筒片の内周面に刻設した螺条に螺嵌した状態となり、スパナ等の器具を用いることによって、締結具を容易に緩めることが可能となり、締結具を取り外して行う点検作業をを楽に行うことができる。
【0028】
第19の発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、第17、または第18の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金若しくはナットを合成樹脂で形成したこと、にある。
第19の発明にあっては、腐食が激しい場所に用いる場合等、使用目的や使用状況に応じて、強固な緩み止め効果を発揮する合成樹脂製の締結具を用いることができる。
【0029】
第20の発明は、第19の発明記載の緩み止め締結具の構成に、座金の円錐状筒片の内周面に、縦方向に亘って内方に突出する複数の突起部を設けたこと、にある。
第20の発明にあっては、合成樹脂製の座金の円錐状筒片の内周面に、縦方向に亘って内方に突出する複数の突起部を設けたため、座金の円錐状筒片が縮径して、ナットの円錐状孔部に嵌入した際に、ボルトのネジ部に座金の円錐状筒片の突起部が強く当って、ボルトとナットの間に、座金の円錐状筒片を確実に噛み挟んだ状態となるため、合成樹脂製の座金に既述の力が確実に作用し、ボルトとナットの強力な一体化による、大なる緩み止めの効能を実現する。
【0030】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施例を、図面を参照にしながら説明する。
先ず、第1実施例として、第1図から第6図に示す、緩み止め締結具について説明する。
第1図に示すように、緩み止め締結具は、座金1、ナット2及びボルト3からなり、これらの座金1、ナット2及びボルト3を互いに螺合組付けし、座金1を介してボルト3とナット2を強力に一体化することにより、大なる緩み止め効能を実現するものである。
座金1は、第1図及び第2図に示すように、円形平板状のベース部4の中心に、ボルト3のネジ部13が貫通するネジ部13の呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔5を有し、該ボルト貫通孔5の周囲に、ボルト軸の先端方向に縮径する円錐状筒片6を起立設している。
本実施例においては、ベース部4と円錐状筒片6には、ボルト3のネジ部13の螺旋方向と反対方向に傾斜した欠円用スリット7を開設している。
本例において、円錐状筒片6の傾斜角度θ1は、略10°であり、欠円用スリット7のボルト3の軸方向に対する傾斜角度θ2は、略20°から25°である。
円錐状筒片6の傾斜角度θ1を、略10°とすると、円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のネジ部13と同一ピッチのメネジを、2リード半以上刻設することができる高さとなる。
また、ボルト軸方向に対して、欠円用スリット7の傾斜角度θ2を略20°から25°とすると、欠円用スリット7が、ボルト3のネジ部13のネジ山ごとに、一定の位相差を有して、接触することとなる。
なお、欠円用スリット7は、ボルト軸方向に対して、ストレートに形成してもよく、ボルト軸方向に対して傾斜させる場合は、傾斜角度が略20°から25°に限定するものではない。
【0031】
ナット2は、第3図に示すように、ボルト3のネジ部13と螺合するメネジ部11の上部に、座金1の円錐状筒片6を嵌合する円錐状孔部10を設けている。円錐状孔部10の傾斜角度θ3は、円錐状筒片6の傾斜角度θ1と同一角度である略10°に設定している。メネジ部11と円錐状孔部10との間には、内鍔状の段部12を設けている。
円錐状孔部10は、座金1と対峙しない半部分の内周の直径を、円錐状筒片6の先端部の外周の直径よりも小さくし、座金1と対峙する側の半部分の開口の直径を円錐状筒片6の付け根部の外周の直径よりも小さくしている。
このため、第4図に示すように、ナット2の円錐状孔部10に、座金1の円錐状筒片6を嵌入すると、円錐状筒片6の先端部のみが円錐状孔部10に嵌入し、座金1がナット2から突出した状態となる。
第5図および第6図に示すように、座金1とボルト3の間に被締結物15を挟み、ネジ部13とメネジ部11を螺合し、ナット2の締め付け力を作用させていくと、ナット2のメネジ部11のリード角に従った螺旋状の締め付け力が、傾斜した欠円用スリット7に均等に加わる。
【0032】
そして、第5図(b)に示すように、最初にL1の幅を有していた欠円用スリット7全体が均等にL2の幅まで小さくなって、円錐状筒片6全体が均等に縮径し、ナット2の締め付けに伴って、円錐状筒片6がスムーズに円錐状孔部10に嵌合していく。
欠円用スリット7の幅L1は、本実施例においては約3mm程度に設定している。欠円用スリット7の幅L1は、ナット2を締め切った状態で、欠円用スリット7の幅L2が0.5mm〜1mm程度の間隙を有する幅であればよい。
【0033】
ボルト3に対して、座金1を軟質材とすると、ナット2の締め付けに伴って、ネジ部13の尖端部が円錐状筒片6の内周面に食い込んで、円錐状筒片6の内周面が削られた状態で、円錐状筒片6の略全体が、ナット2の円錐状孔部10に嵌合する。
すなわち、第6図に示すように、円錐状筒片6があたかも目詰め材のごとく、ナット2とボルト3との間に円錐状筒片6を噛み挟んだ状態となる。
【0034】
第7図は、座金1、ナット2およびボルト3の間に働く力の方向を説明する図である。図中黒矢印は、座金1により緩み止めの効能を奏する力の方向を示し、図中白矢印は、ボルト3とナット2に加わる力の方向を示す。
第7図に示すように、先ず、ナット2と座金1は、ナット2とボルト3との間に噛み挟まれた状態の座金1のボルト軸直交方向について反発応力(矢印F1)でもって、一体化する。
【0035】
次いで、ナット2の締め付けで、ベース部4を被締結面に押し付ける力でもって、円錐状筒片6がボルト軸方向に強力に引きずられる(矢印St)。この際、内面をボルト3のネジ山に食い込まれた円錐状筒片6には、ボルト3のネジ山をちぎる方向の剪断力が働く。この極めて強力な剪断力は、ボルト軸方向全周についての座金1とボルト3の双方に働く、ボルト軸方向についての特有な摩擦力であり、その結果、ナット2のベース部4への押圧(矢印F2)は、強力な座金1のバネ力で反抗を受け、この抵抗力を介して、ナット2とボルト3は一体化している。
しかして、ボルト3とナット2は、座金1を介して、ボルト軸直交方向(矢印F1)とボルト軸方向(矢印F2)の二種の一体化ルートを介して、強力に一体化するものとなり、大なる緩み止め効能を合理的に実現する。
【0036】
ボルト3とナット2の間に噛み挟まれた座金1の円錐状筒片6は、クサビ的作用を奏し、座金1よりもボルト軸方向の先端部で螺合しているナット2のメネジ部11に、全周からボルトのネジ部13を圧接する力(矢印F4)が加わり、ナット2と螺合しているボルト3のネジ山に加わる、摩擦力(矢印F5)を強めて、ナット2とボルト3の一体化を更に強力なものとし、縦揺れ、横揺れ、斜め方向等のあらゆる振動に対して、大なる緩み止め効能を合理的に実現する。
【0037】
第8図に示すように、座金1の欠円用スリット7が、ボルト3の螺旋方向と反対方向に傾斜していると、座金1のベース部4にナット2の螺旋状の締め付け力Tが加わるため、螺旋方向前側に位置する欠円用スリット7の端縁7aがナット2の締結面2aに対して鋭いエッジ状となり、このエッジ状となった欠円用スリット7の端縁7aがナット2の締結面2aに食い込んで締結面2aを切り立てて引っ掛かった状態となる。
ボルト3とナット2の螺合が緩む方向は、締め付け力Tが加わる方向とは反対方向となるため、ボルト3とナット2との螺合が緩む方向に振動等が加わった場合であっても、欠円用スリット7の端縁7aがナット2の締結面2aに引っ掛かった部分がストッパーとなり、緩み方向へのナット2の回動を阻止する。
【0038】
なお、座金1の円錐状筒片6の高さは、円錐状孔部10の高さよりも低く設定しており、ナット2の円錐状孔部10とメネジ部11との間には、内鍔状の段部12を設けているため、ナット2の締め付け力によって円錐状筒片6が延伸されたとしても、円錐状筒片6の先端がメネジ部11まで到達することはなく、ネジ部13やメネジ部11を強く押し潰して傷つけることはない。
ボルト3に対して、座金1とナット2は、一対の組合わせのみならず、座金1とナット2の組合わせを複数用いることにより、より強固な緩み止め効果を発揮させることも可能である。
【0039】
本例においては、ボルト3に対して、軟質材の座金1を用いた例を示したが、本例に限らず、座金1とボルト3の組み合わせにおいて、座金1に対して、ボルト3を軟質材としてもよい。この場合は、硬質材の座金1が、軟質材のボルト3のネジ山を押圧して、円錐状筒片6の内周面が、ネジ山に圧着し、第7図に示す、既述の力が座金1に作用し、座金1を介したボルト3とナット2の強力な一体化による、大なる緩み止めの効能を実現することになる。
例えば、硬質材として、マルテンサイト組織を有する焼き入れした合金材と、焼き入れしない状態の合金材との組合わせ等が考えられる。硬質材として、焼き入れした合金を用いて座金1を形成すると、縮径した座金1が、ナット2の締め付け力を解除することにより、元の状態まで復元するため、緩み止めの効能を低減することなく、複数回の繰り返しの使用が可能となる。
【0040】
次に、本発明の座金1の第2の実施例について説明する。
第9図は、座金1の第2の実施例を示す、(a)平面図、(b)側面図、(c)縦断面図、(d)底面図である。
座金1は、円錐状筒片6の一部に、ボルト貫通孔5の円中心に対して微小に偏心した肉厚部9を設けている。円錐状筒片6を嵌合するナット2の円錐状孔部10にあっては、円錐状孔部10とメネジ部11との間に設けた内鍔状の段部12の面積が拡大することになる。
第10図は、偏心した座金1により、緩み止めの効能を示す力の方向を説明する図である。
第10図に示すように、円錐状孔部10に嵌合した円錐状筒片6の微小に偏心している肉厚部9が、径方向からボルト3を押圧し(矢印F1)、肉厚部9で押圧されてやや斜めに傾いた状態となろうとするボルト3を、
ナット2のメネジ部11で肉厚部9とは反対の径方向から押圧するため(矢印F2)、ボルト3にボルト軸方向の上下で、対向した径方向からの押圧力(F1,F2)が加わり、大なる緩み止め効能を発揮する。
また、ナット2の円錐状孔部10に嵌合した、円錐状筒片6の肉厚部9が、径方向からボルト3を押圧するクサビ的効果によって、座金1よりもボルト軸方向の先端部で螺合しているナット2のメネジ部11に、全周からボルトのネジ部13を圧接する力(矢印F4)が加わり、ナット2とボルト3の双方のネジ山に加わる摩擦力を強めて、ボルト3とナット2の一体化を強力なものとしている。
【0041】
第11図は、座金1の第三の実施例を示す、(a)平面図、(b)側面図、(c)底面図である。
座金1は、円錐状筒片6の内周面には、ボルト3のネジ部13と同一ピッチのメネジ8を、2リード半から3リードを刻設している。また、欠円用スリット7は、ボルト3の螺旋方向と同一方向に傾斜している。
円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のネジ部13と同一ピッチのメネジ8を刻設した場合、ボルト3とナット2の螺合に伴って、円錐状筒片6に刻設したメネジ8が、ボルト3のネジ部13に螺嵌し、螺旋方向の締め付け力が、螺旋方向と同一方向に傾斜した欠円用スリット7に均等に加わって、円錐状筒片6全体が均等に縮径し、スムーズにナット2の円錐状孔部10に、座金1の円錐状筒片6を嵌合させることができ、締め付け作業が容易となる。
【0042】
第12図に示すように、座金1の第四の実施例として、微小に偏心した肉厚部9を設けた円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のネジ部13と同一ピッチのメネジ8を刻設してもよい。
【0043】
また、第13図に示す、座金1の第五の実施例として、座金1の円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のネジ部13のピッチよりも、細かいピッチの螺条8を刻設してもよい。
螺条8を、ボルト3のネジ部13よりも細かいピッチとすると、座金1は、ネジ部13の尖端部のみが螺条8と螺嵌することになる。このため、スパナ等の器具を用いることにより、締結具を簡単に緩めることができ、一定期間ごとに締結具を取り外す必要がある場合に便利であり、定期点検等の作業を楽に行うことができる。
なお、微小に偏心した肉厚部9を設けた、座金1の円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のネジ部13よりも細かいピッチの螺条8を刻設してもよい。
【0044】
第14図に示すように、座金1の第六の実施例として、座金1の欠円用スリット7を、ボルト3の軸方向と同一方向のストレートな形状としてもよい。
ナット2の締め付け力によって、座金1の円錐状筒片6が、ボルト軸方向に強引に引きずられた状態となるため(第7図参照、矢印St)、ストレートな欠円用スリット7の端縁が、ナット2の締結面に対してエッジ状となり、このエッジ状となった欠円用スリット7の端縁が、ナット2の締結面に引っ掛かり、欠円用スリット7がエッジ状に引っ掛かった部分がストッパーとなって、ナット2の緩み方向への回動を阻止する。
【0045】
第15図は、座金1の第七の実施例を示し、座金1のベース部4の中央に、円錐状筒片6の大径部の直径よりも、やや大きい直径の凹部4aを設けている。
通常、ナット2のメネジ11の直径は、加工誤差を解消するため、ボルト3のネジ部13の直径に対して若干大きく形成されており、ボルト3がナット2に対して、多少傾いた状態で、ナット2とボルト3が締め付けられる。ナット2に対するボルト3の傾きは、ナット2とボルト3の規格値が大きくなる程、大きくなる傾向にある。ボルト3が多少傾いた状態となると、ナット2のベース部4への押圧が、座金1のベース部4の全周にわたって、ボルト軸対称に均等に加わらないため、緩み止めの効能が発揮できないことになる。
座金1のベース部4の中央部に、凹部4aを設けたため、ナット2のベース部4への押圧が、該凹部4aの内方に作用し、凹部4a周囲に残存しているベース部4が、被締結物と面均一に当接し、規格値の大きな締結具にあっても、ナット2のベース部4への押圧が、座金1のベース部4の全周にわたって、ボルト軸対称に均等に作用し、座金1を介したナット2とボルト3への一体化を強力なものとする。
また、ボルト3及びナット2が大きくなると、規格で定められた座金1のベース部4の板厚も当然厚くなるが、ベース部4の板厚が厚くなると、締め付けトルクが大きくなり、締め付け作業が困難になる、と云う問題がでてくる。
座金1のベース部4に凹部4aを設けると、該凹部4aによって、ボルト3のネジ部13と、座金1のベース部4との間に隙間が形成されて、ボルト3のネジ部13周囲において、座金1のベース部4が薄くなったことと同様となるため、締め付けトルクを小さくすることができ、必然的に座金1のベース部4が厚くなる大きな締結具であっても、締め付け作業を楽に行うことができる。
【0046】
第16図は、座金1の第八の実施例を示し、座金1のベース部4に、径方向にベース部4を切り欠いた、切欠部4bを形成している。
この切欠部4bを設けることにより、ナット2の締め付け力に対して、座金1の変形自由度が増大し、円錐状筒片6が容易に縮径方向に撓み変形して、比較的弱い力で容易にナット2を締め付けていくことができる。
円錐状筒片6に肉厚部9を設けた場合、該肉厚部9の最も肉厚となる部位から連設しているベース部4に、径方向の切欠部4bを設けることにより、肉厚部9の存在により、特に、回動に力を要する部分の変形自由度が増大するため、締め付けトルクが小さくなり、締め付け作業を楽に行うことができる。
【0047】
第17図は、座金1の第九の実施例を示し、座金1は、円錐状筒片6に軸方向に、複数の縦溝部7aを設けている。この縦溝部7aによって、ナット2の締め付け力に対して、円錐状筒片6の変形自由度が増大し、円錐状筒片6が縮径方向に容易に撓み変形するため、締め付けトルクを小さくすることができる。
また、座金1は、縦溝部7aによって変形自由度が増大しているため、円錐状筒片6のボルト軸直交方向への反発応力は衰えることはなく、ボルトとナットの強力な一体化を維持する。
縦溝部7aは、欠円用スリット7と同様に、ボルト3のネジ部13の螺旋方向と同一方向に傾斜して設けてもよい。
縦溝部7aをネジ部13の螺旋方向と同一方向に傾斜すると、螺旋状に加わるナット2の締め付け力が縦溝部7aに均等に加わっていくため、円錐状筒片6がスムーズに縮径することになり、締結具の締め付け作業が一層容易となる。
【0048】
第18図は、座金1の第十の実施例を示し、微小に偏心した肉厚部9を設けた円錐状筒片6においては、該肉厚部9の最も肉厚となる部位を避けて、縦溝部7a若しくは欠円用スリット7を形成することにより、有効に該肉厚部9による径方向からの押圧をボルト3に作用させることができ、ボルト3のネジ部13の上下で対向した径方向からの押圧力を、ボルト3に加えて、緩み止めの効能を強固なものとすることができる。
なお、縦溝部7aと欠円用スリット7は、ボルト3のネジ部13の螺旋方向と同一方向に傾斜する場合のみならず、ストレートに形成すること、その他V字状に形成すること、波形状に形成すること等、様々な形状に形成することが可能とである。
【0049】
第19図には、座金1の第十一の実施例を示し、座金1には、欠円用スリット7の他に、ベース部4に複数の切欠部4b、円錐状筒片6に複数の縦溝部7aの双方を設けている。
第19図に示す、座金1にあっては、切欠部4bと縦溝部7aとの相乗効果により、座金1の変形自由度が増大し、円錐状筒片6が容易に撓み変形して縮径するため、締結作業が容易となり、作業効率を向上する。
締結具を合成樹脂製とすることも可能である。例えば、FRPを用いて形成することにより、強度と耐腐食性等を要求される部位に、本発明の締結具を用いることができ、使用目的、使用場所等に応じて適切な素材の最適な緩み止め効果を発揮する締結具を用いることができる。
【0050】
第20図は、座金1の第十二の実施例を示し、合成樹脂製の座金1の円錐状筒片6の内周面の縦方向全域に亘って、三つの突起部6aを設けている。
合成樹脂製の座金1にあっては、コスト的に精密な加工が困難であるため、円錐状筒片6の内周面に突起部6aを設け、この突起部6aにボルト3のネジ山が食い込むことによって、ナット2とボルト3の間に円錐状筒片6が確実に噛み挟まれた状態となるため、ナット2とボルト3とを強力に一体化する既述の力を合成樹脂製の座金1に作用させて、大なる緩み止め効能を発揮させることができる。
なお、第20図(b)に示すように、規格値の大きい締結具に用いる座金にあっては、第16図に示す、第7実施例と同様に、座金1のベース部4に凹部4aを設けてもよい。
【0051】
第21図は、座金1の第十三の実施例を示し、座金1の円錐状筒片6の内周面に設ける突起部6aは、第20図に示す、第12実施例のように三つに限らず、同一角度で複数の突起部6aを設けることも可能である。
第20図及び第21図においては、肉厚部9を設けた円錐状筒片6に突起部6aを設けた例を示したが、肉厚部9を設けない、円錐状筒片6の内周面に突起部6aを設けてもよい。
【0052】
以上のように、本発明は、ボルト3とナット2との間に、座金1のベース部4と円錐状筒片6を介在させたことによって、ボルト軸直交方向とボルト軸方向との2種の一体化ルートを介して、強力にボルト3とナット2とを一体化し、大なる緩み止め効能を合理的に実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【Fig.1】
第1図は、本発明の緩み止め締結具を示す、ボルト、座金およびナットの分解斜視図である。
【Fig.2】
第2図は、本発明の座金の第1の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図、(c)縦断面図、(d)底面図である。
【Fig.3】
第3図は、本発明のナットの第1の実施例を示し、半縦断面図である。
【Fig.4】
第4図は、第2図及び第3図の座金とナットを組付けた状態を示す半縦断面図である。
【Fig.5】
第5図は、(a)締め付け前の座金とナットの状態を示す縦断面図、(b)締め付け後の座金とナットの状態を示す縦断面図である。
【Fig.6】
第6図は、第1図に示す締結具により、被締結物を締め付けた状態を示す縦断面図である。
【Fig.7】
第7図は、締め付けによって、締結具に加わる力の作用方向を説明する説明図である。
【Fig.8】
第8図は、締め付けによって、座金の欠円用スリットの端縁がナットに引っ掛かった状態を説明する、斜視図である。
【Fig.9】
第9図は、本発明の座金の第2の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図(c)縦断面図、(d)底面図である。
【Fig.10】
第10図は、第9図に示す座金を用いて締結具を締め付けた状態において、力の加わる方向を説明する、縦断面図である。
【Fig.11】
第11図は、本発明の座金の第3の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図(c)底面図である。
【Fig.12】
第12図は、本発明の座金の第4の実施例を示し、(a)縦断面図、(b)底面図である。
【Fig.13】
第13図は、本発明の座金の第5の実施例を示し、締結具を締め付けた状態を示す、半縦断面図である。
【Fig.14】
第14図は、本発明の座金の第6の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図、(c)底面図である。
【Fig.15】
第15図は、本発明の座金の第7の実施例を示し、(a)斜視図、(b)縦断面図である。
【Fig.16】
第16図は、本発明の座金の第8の実施例を示し、(a)平面図、(b)底面図である。
【Fig.17】
第17図は、本発明の座金の第9の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図、(b)底面図である。
【Fig.18】
第18図は、本発明の座金の第10の実施例を示し、(a)側面図、(b)底面図である。
【Fig.19】
第19図は、本発明の座金の第11の実施例を示し、(a)平面図、(b)底面図である。
【Fig.20】
第20図は、本発明の座金の第12の実施例を示し(a)平面図、(b)半縦断面図である。
【Fig.21】
第21図は、本発明の座金の第13の実施例を示し、平面図である。
【Fig.22】
第22図は、従来例を示し、ボルトと、緩み止め部材と、ナットとを示す斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトと、ベース部中央部に形成のボルト軸方向上方にしたがって縮径する偏心した円錐台にボルトの呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔を縦貫設して成る円錐状筒片を設け、当該筒片薄肉部にベース部と連続した欠円用スリットを形成した欠円座金と、当該座金と対峙しない半部分の内周の直径を、座金の円錐状筒片の先端部の外周の直径よりも小さくし、座金と対峙する側の半部分の開口の直径を座金の円錐状筒片の付け根部の外周の直径よりも小さくした、座金の円錐状筒片の高さよりもやや高い、座金の円錐状筒片の傾斜角度と同一傾斜角度のテーパ面を有する円錐状孔部を、ボルトのねじ部と螺合するめねじ部の下部に開設したナットとからなる緩み止め締結具。
【請求項2】
座金の円錐状筒片の高さを、ボルトのねじ部と同一ピッチのめねじを2ピッチ半以上可能な高さとした請求項1記載の緩み止め締結具。
【請求項3】
座金とボルトの組み合わせにおいて、座金をボルトよりも軟質材とした請求項1又は2記載の緩み止め締結具。
【請求項4】
座金と欠円用スリットを、ボルトのねじ部の螺旋方向と反対方向に傾斜して形成した請求項1、2または3記載の緩み止め締結具。
【請求項5】
座金の欠円用スリットを、ボルトのねじ部の螺旋方向と同一方向に傾斜して形成した請求項1、2または3記載の緩み止め締結具。
【請求項6】
座金の欠円用スリットを、ボルト軸方向と同一方向に形成した請求項1、2または3記載の緩み止め締結具。
【請求項7】
座金のベース部に、円錐状筒片の大径部の直径よりもやや大きい直径であり、該ベース部の厚さよりも少ない高さの凹部を設けた請求項1、2、3、4、5または6記載の緩み止め締結具。
【請求項8】
座金のベース部に、ベース部を径方向に切り欠いた少なくとも一つの切欠部を設けた請求項1、2、3、4、5または6記載の緩み止め締結具。
【請求項9】
座金の偏心した円錐状筒片の最も肉厚となる部位を除いて、座金の円錐状筒片に、少なくとも一つの縦溝部を設けた請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の緩み止め締結具。
【請求項10】
座金の円錐状筒片の傾斜角度を、略10°とした請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の緩み止め締結具。
【請求項11】
座金の欠円用スリットの傾斜角度を、ボルト軸方向に対して、略20°から略25°とした請求項4または5記載の緩み止め締結具。
【請求項12】
座金の欠円用スリットの幅を、ボルトとナットを締め切った状態で、隙間を有する幅とした請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の緩み止め締結具。
【請求項13】
座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部と嵌め合う螺条を刻設した請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の緩み止め締結具。
【請求項14】
座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部と同一ピッチのめねじを刻設した請求項13記載の緩み止め締結具。
【請求項15】
座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部のピッチよりも小さいピッチの螺条を刻設した請求項13記載の緩み止め締結具。
【請求項16】
座金若しくはナットを、合成樹脂で形成した請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の緩み止め締結具。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本発明は、ボルトと、座金と、ナットとから成る、簡単な構造で、強固に締結具の緩みを防止する緩み止め締結具に関する。
【0002】
【背景技術】
一般的に、締結具は、ボルトとナット、若しくはボルトとナットと座金からなるものが用いられている。当然のことながら被締結材の保護上、座金があることが望ましい。締結具によって連結される最も重要な部位は、飛行機や電車等の連結部、建物、鉄塔、高速道路の橋げた等の連結部であり、このような乗り物の走行による振動や、風等の振動の緩みの影響を受ける部位には、特に、緩み止めが施された締結具が用いられる。
【0003】
緩み止め効果を奏する締結具の提案は、数多くなされている。例えば、特開平9−79247号公報には、座金の座面を傾斜した傾斜面を有する凸部若しくは凹部に形成すると共に、ナットの裏面またはボルトの頭部の裏面を、座金の凸部若しくは凹部に対応した傾斜面を有する凹部若しくは凸部に形成して、互いに嵌合した座金の傾斜面とナットの傾斜面に圧縮による摩擦力を働かせて、緩み止め効果を奏するとした締結具が開示されている。
当該締結具では、凸部形成の場合にあっては、ナットのめねじ部の一部を傾斜面に提供するために失う重大な不利を、当該一部に形成した摩擦部で補うことになっているが、この限られたスパン間のみに確保の摩擦力が戻り回転方向に作用する力に抵抗するには、無理がある。また、凹部形成した場合にあっては、ナット喰い込み用の厚みを加算しなければならず、分厚い座金という奇妙なものとなってしまうし、上記凸部形成と同じく限られたスパン間のみに確保の摩擦力に頼るものであり、無理がある。
これに加え、本提案にあっては、頼りにしている座金に踏ん張りが期し難く、座金をボルトとナットの螺合に対して回らないようにしておくべく、座金に回り止め用のピンを突設する構成も記述されているが、座金に回り止め用のピンを突設するには、座金に突設した回り止め用のピンに対して、該ピンを嵌合する嵌合部を被締結物若しくはナットの方に設ける必要があり、構造が複雑となって、生産性、汎用性が低減する、と云う問題もある。究極的には、ピンの剪断力に頼るという不合理がある。
更には、緩み止めとは、ナットとボルトとの一体化(ねじ締結体の予張力低下をもたらすねじ噛み合い面における滑りの阻止を図るの意)であるので、座金とナットとの一体をいくら成し遂げても、ボルト締結体全体に作用する外力による緩みを阻止し得ず、本提案は大なる欠陥を有している。
【0004】
特開平11−6516号公報にあっては、ねじ孔の周囲に軸孔方向上方にしたがって縮径するテーパ状の外周面を有し、該外周面がねじ孔に対して微小偏心された凸部を設けた第1ナットと、第1ナットの凸部が嵌合するとともに、ねじ孔と同心状とした内周面を有する凹部を設けた後行取り付けの第2ナットとから構成した緩み止め効果を奏するダブルナットの提案がある。
このダブルナットは、第1ナットの偏心方向側に、樹脂、あるいは軟質金属を被覆し、第2ナットの凹部に第1ナットの凸部を嵌合して、第2ナットで第1ナットを締め付けると、偏心した第1ナットの凸部が、ねじ孔と同心状の第2ナットの凹部に嵌合することによって、くさび的な作用を奏し、緩み止め効果を発揮するというものである。
すなわち、先行装着の第1ナットの凸部に、後行装着の第2ナットの凹部を嵌合させて、第2ナットのめねじとボルトのねじ部を螺合していくと、第1ナットの凸部が偏心されていることから、第1ナットは偏心側からボルトを押圧しつつ締め付け力が作用し、第1ナットが偏心方向他側へ若干位置がずれるため、第2ナットが偏心方向他側からボルトを押圧しつつ締め付け力が作用するものとなる。
第1、2ナットの嵌合積層体の上下の互いに相反する箇所にて、強力なボルト軸直角方向から押し付け力が作用すると共に、第1、2ナット間のテーパ面の摩擦力で緩み止めが奏されるとしたものである。
この提案では、ボルト軸に相反する直交方向から上下に不利な剪断力の強力な押し付け力が加わり、ボルトの負担が過酷である。
ダブルナットは、二つのナットを重ねて用いるため、ねじ山の破損もあり、繰り返しの使用に耐え得なく、コスト高となる。
更には、第1ナットの凸部を許容するスペースが必要となり、第1ナット及び凸部を許容し得ない狭小なスペースにあっては、ダブルナットを用いることができない、と云う使用上の制約もある。
【0005】
特開平10−306819号公報にあっては、第22図に示すように、外面をボルト軸方向上方にしたがって縮径するテーパ状に形成し、内周面にナットのめねじ部11と連続するめねじ23を刻設し、円周の一部をボルト軸方向に切り欠いた切欠部22を設けたリング状の緩み止め部材20と、該リング部材20を嵌合するテーパ状の内周面を有するテーパ凹部30aを設けたナット2とから成る緩み止め構造の提案がある。
ボルト3とナット2を締め付けていくと、リング状の緩み止め部材20は縮径して、ボルト3とナット2間の充填連結材化し、ナット2のテーパ凹部30aの中に没入する。
しかして、緩み止め部材20の圧縮に反発するボルト3、ナット2双方に向けての、軸直角方向の応力が作用し、締め付け力が大きくなり、ねじの緩みを防止する。
この提案では、既述の特開平9−79247号と同じくナットのねじの一部を犠牲にしているが、この犠牲部に縮径自在な充填連結部材(緩み止め部材20)が介在する点で異なる。
この緩み止めの効果は、結局、緩み止め部材20のテーパ状の外周面と、ナット2のテーパ凹部30aとの接触による摩擦力に頼って、緩み止め部材20が裏面にてボルト3と一体化(ねじの噛み合いのため螺動方向については一体効果は期し得ない。)するものとなっているが、この限られたスパンにしか提供されることのない接触面では限度があるので、ナット2の上部を拡径した拡径部30に形成してテーパ凹部30aを設ける必要があり、ナット2が特殊な形状となるため、製造コストが増大する、と云う問題が発生する。また、ダブルナットと同様に拡径部30を許容し得ないスペースにおいては、特殊形状となったナット2を用いることができない、と云う使用上の制約もある。
【0006】
既述の通り、緩み止めとはナットとボルトとの一体化であるが、この提案ではナット2のテーパ凹部30aでのボルト軸直交方向の作用の圧縮に対する反発力のみで、この一体化をもたらしているが、僅かなスパン間にしか確保し得ないねじ込みにしたがって進行するテーパ間の乗り上げに頼った単純なクサビ作用による一体化効能部では、緩み止めには極めて脆弱であり、実効性に劣る。
【0007】
【発明の開示】
発明の第1のモデルは、緩み止め締結具であって、ボルトと、ベース部に、ボルトの呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔を有し、該ボルト貫通孔の周囲に、ボルト軸方向上方にしたがって縮径する円錐状筒片を起立設し、ベース部と円錐状筒片に連続した欠円用スリットを形成した座金と、
前記座金と対峙しない半部分の内周の直径を、座金の円錐状筒片の先端部の外周の直径よりも小さくし、座金と対峙する側の半部分の開口の直径を座金の円錐状筒片の付け根部の外周の直径よりも小さくした、座金の円錐状筒片の高さよりもやや高い、座金の円錐状筒片の傾斜角度と同一傾斜角度のテーパ面を有する円錐状孔部を、ボルトのねじ部と螺合するめねじ部の上部に開設したナットとからなること、にある。
【0008】
このものにあっては、被締結物を締め付けていくと、ナットの締め付け力が、欠円用スリットに加わっていき、欠円用スリットの隙間が小さくなって、座金の円錐状筒片は縮径し、ナットの円錐状孔部とボルトとの間に座金の円錐状筒片があたかも目詰材の如く介装され、ナットとボルトの間に座金の円錐状筒片を噛み挟んだ状態となり、ナットと座金は、前記特開平10−306819号と同じく、ボルト軸直角方向について弾性復元力でもって一体化する。
【0009】
しかし、次記の点で著しく異なる。すなわち、円錐状筒片はベース部と一体であるので、ナットの締め付けで働くベース部を被締結面に押し付ける力でもって、円錐状筒片はボルト軸方向に強力に引きずられるが、この際、内面をボルトのねじ山に食い込まれた円錐状筒片は、ボルトのねじ山をちぎる方向に剪断力を働かせる。この極めて強力な剪断力は、ボルト軸方向全周についての座金(円錐状筒片)とボルトの双方に働く、ボルト軸方向についての特有の摩擦力であり、その結果、既述のナットのベース部への押圧は、強力な弾性復元力での反抗を受け、この抵抗力を介してナットとボルトは一体化している。
結局、座金のベース部を押圧するナットは、座金の円錐状筒片を介したボルト軸方向のねじ山に作用する剪断力の仲介を経ても、ボルトと一体化している。
この締結具は、ボルト軸直角方向とボルト軸方向との2種の一体化ルートを介して強力に一体化するものとなり、大なる緩み止め効能を合理的に実現する。
【0010】
なお、ボルトとナットの間に噛み挟まれた状態の座金の円錐状筒片は、くさび的作用を奏し、座金よりもボルト軸方向の先端部で螺合しているナットのめねじ部に、全周からボルトのねじ部を圧接する力が加わり、ナットとボルトの一体化をさらに強固なものとして、緩み止め効能を強化する。
締結具として六角ナットを用いると、六角ナットの角部によって、被締結物の締結面が傷つけられたり、被締結物の締結面に六角ナットの締結面が均等に当接せず、ボルトとナットの締め付けによる圧縮力がボルト軸対称に均等に負荷されない等の問題があるが、本発明にあっては、ボルトとナットの間に座金を介在させているため、被締結物の締結面の保護、ボルトとナットの締め付けによる圧縮力のボルト軸対称に均等な負荷等、座金が通常発揮する効果も当然のことながら発揮することになる。
座金の欠円用スリットの形状は、縮径するものであればよく、ボルト軸に対して、斜めの形状であってもよく、ストレートな形状であってもよく、その他V字形状であっても、波形状であってもよく、様々な形状の欠円用スリットを設けることができ、欠円用スリットの形状は問わない。
【0011】
本発明の第二のモデルは、ボルトと、ベース部中央部に形成のボルト軸方向上方にしたがって縮径する偏心した円錐台にボルトの呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔を縦貫設して成る円錐状筒片を設け、当該筒片薄肉部にベース部と連続した欠円用スリットを形成した欠円座金と、当該座金と対峙しない半部分の内周の直径を、座金の円錐状筒片の先端部の外周の直径よりも小さくし、座金と対峙する側の半部分の開口の直径を座金の円錐状筒片の付け根部の外周の直径よりも小さくした、座金の円錐状筒片の高さよりもやや高い、座金の円錐状筒片の傾斜角度と同一傾斜角度のテーパ面を有する円錐状孔部を、ボルトのねじ部と螺合するめねじ部の下部に開設したナットとからなることにある。
このものにあっては、ボルトとナットの螺合に伴って、縮径した座金の円錐状筒片がナットの円錐状孔部に嵌合した際に、微小偏心で形成の円錐状筒片の肉厚部が、径方向からボルトを押圧し、座金(円錐状筒片の肉厚部)のくさび的効果によって、座金(円錐状筒片)とボルトの双方に働く摩擦力が増大し、ナットのベース部への押圧が、座金の強力な反抗を受けて、この抵抗力を介してナットとボルトの一体化が強まり、大なる緩み止め効能を発揮する。
更に、座金の円錐状筒片の肉厚部で径方向から押圧されてやや斜めに傾いた状態になろうとするボルトを、ナットが該肉厚部とは反対の径方向から押圧するため、ボルト軸方向の上下で対向した径方向からの押圧力がボルトに加わり、緩み止めの効能が向上する。
【0012】
いずれのモデルにあっても、座金の円錐状筒片の高さを、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部のピッチと同一ピッチで、少なくとも二ピッチ半以上のメネジを形成できる高さとすると良い。
座金の円錐状筒片の高さを、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部のピッチと同一ピッチで、少なくとも二ピッチ半以上のめねじを形成できる高さとすると、ボルトとナットの間に座金の円錐状筒片が確実に噛み挟まれ、噛み挟まれた状態の座金(円錐状筒片)に既述の力が確実に作用するため、大なる緩み止め効能を発揮するボルトとナットの一体化を確実なものとなる。
【0013】
いずれのモデルにあっても、座金とボルトの組み合わせにおいて、座金をボルトよりも軟質材とすると良い。
このものにあっては、例えば、座金をボルトよりも軟質材とすると、座金の円錐状筒片の内面が、ナットの締め付けによって、ボルトのねじ山に確実に食い込んだ状態となり、このボルトのねじ山に食い込んだ状態の座金(円錐状筒片)に既述の種々の力が作用するため、ナットとボルトが強力に一体化する。
【0014】
いずれのモデルにあっても、座金の欠円用スリットをボルトのねじ部の螺旋方向と反対方向に傾斜して形成すると良い。
このものにあっては、ナットの締め付けにより、座金の円錐状筒片にも螺旋状に締付けトルクが加わっていくが、座金の欠円用スリットが傾斜していると、螺旋状に加わる締付けトルクが欠円用スリットに均等に加わって、座金(円錐状筒片)が縮径し、スムーズに座金がナットの円錐状孔部に嵌合し、ナットのベース部への押圧を、ボルト軸の全周にわたってボルト軸対称に均等に加えることができ、ナットとボルトの強力な一体化を実現する。
座金の欠円用スリットが、ボルトのねじ部の螺旋方向と反対方向に傾斜していると、ナットの強い締め付け力により、ナットの締め付け方向側の欠円用スリットの端縁がナットに対してエッジ状となり、該エッジ状となった欠円用スリットの端縁が、座金のベース部を押圧するナットの締結面に引っ掛かった状態となり、振動等によって、ナットが緩み方向に回動しようとすると、このエッジ状に引っ掛かっている部分がストッパーとなってナットの緩み方向の回動を阻止し、ボルトとナットの一体化を維持して、ナットの緩みを防止する。
【0015】
いずれのモデルにあっても、座金の欠円用スリットを、ボルトのねじ部の螺旋方向と同一方向に傾斜して形成すると良い。
このものにあっては、上記と同様にボルトとナットの螺合の進行に伴う、螺旋状の締め付けトルクが、座金の傾斜した欠円用スリット全体に均等に加わって、座金の円錐状筒片全体が均等に縮径していくため、既述の力がボルト軸周囲の全周にわたって、ボルト軸対称に均等に作用し、座金を介してボルトとナットの強力な一体化を実現することができる。
【0016】
いずれのモデルにあっても、座金の欠円用スリットを、ボルト軸方向と同一方向に形成すると良い。
このものにあっては、ナットの締め付け力によって、座金の円錐状筒片がボルト軸方向に強力に引きずられた状態となるため、ボルト軸方向と同一方向に形成したストレートな欠円用スリットの端縁が鋭いエッジ状となって、ナットの締結面に引っ掛かった状態となり、このエッジ状に引っ掛かった部分がストッパーとなってナットの緩み方向の回動を阻止する。
【0017】
いずれのモデルにあっても、座金のベース部の中央部に、円錐状筒片の大径部の直径よりもやや大きい直径の凹部を設けるを良しとする。
このものにあっては、座金のベース部の中央部に、凹部を設けたため、ナットのベース部への押圧が該凹部の内方に作用し、凹部周囲に残存している締結面となる座金のベース部が、被締結物と面均一に当接することになる。このため、ナットのベース部への押圧が、座金のベース部の全周にわたってボルト軸対称に均等に作用し、緩み止めの効能を発揮する座金を介したナットとボルトの一体化を強力なものとする。
座金のベース部に凹部を設けたため、ボルトのねじ部周囲に密着するベース部の板厚が薄くなったことと同様となり、ボルトのねじ部周囲に密着したベース部の板厚に比して大きくなる締め付けトルクを小さくすることができ、特に、規格値の大きな締結具にあっては、締め付けトルクが小さくなるため、締め付け作業を楽に行うことができる。
【0018】
いずれのモデルにあっても、座金のベース部に、該ベース部を径方向に切り欠いた、少なくとも一つの切欠部を設けるを良しとする。
このものにあっては、座金のベース部に切欠部を設け、該切欠部によって、座金のベース部の変形自由度を増大したため、座金の弾性的変形が周辺の状況に影響されることが少なくなり、緩み止め効果が安定する。
【0019】
特に、第二のモデルにあって、座金の偏心した円錐状筒片の最も肉厚となる部位から連設した、座金のベース部に、該ベース部を径方向に切り欠いた少なくとも一つの切欠部を設けるを良しとする。
このものにあっては、座金の偏心した円錐状筒片の肉厚部から連設するベース部に、径方向の切欠部を設けることによって、特に回動に力を要する部分の変形自由度が増大し、締め付け作業を簡単に行うことができる。
【0020】
いずれのモデルにあっても、座金の円錐状筒片の軸方向に、少なくとも一つの縦溝部を設けるを良しとする。
このものにあっては、円錐状筒片に、少なくとも一つの縦溝部を設けたため円錐状筒片の変形自由度が増大し、円錐状筒片が縮径方向に容易に撓み変形するため、ナットの締め付けトルクが減少し、締め付け作業が容易となる。
座金の円錐状筒片に設けた縦溝部により、円錐状筒片の変形自由度が増大しているため、座金(円錐状筒片)のボルト軸直交方向への反発応力は衰えることなく、座金を介したボルトとナットの強力な一体化を維持して、強固な緩み止めの効能を発揮する。
なお、縦溝部の形状は、座金の円錐状筒片の変形自由度を増大するものであればよく、縦溝部を軸方向に対してストレートに形成すること、若しくは欠円用スリットと同一角度で傾斜して形成すること、その他側面V字状に形成すること、波形状に形成すること等、様々な形状に形成することが可能である。
【0021】
第二のモデルにあっては、座金の偏心した円錐状筒片の最も肉厚となる部位を除いて、座金の円錐状筒片の軸方向に、少なくとも一つの縦溝部を設けるを良しとする。
このものにあっては、微小に偏心した肉厚部を設けた座金の円錐状筒片の最も肉厚となる部位を除いて、座金の円錐状筒片に縦溝部を形成したため、該円錐状筒片の肉厚部による押圧力を有効にボルトに加えることができる。また、座金の変形自由度が縦溝部により増大するため、締め付け作業を安定したものにすることができる。
【0022】
いずれのモデルにあっても、座金の円錐状筒片の傾斜角度を略10°とするを良しとする。
このものにあっては、座金の円錐状筒片の傾斜角度を略10°とすると、円錐状筒片の高さは、該円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部のピッチと同一ピッチのめねじを少なくとも2ピッチ半以上刻設できる高さとなるため、座金の円錐状筒片を、ボルトとナットの間に確実に噛み挟まれる高さとし、既述の力を座金に作用させて、座金を介したボルトとナットの強力な一体化による、大いなる緩み止め効能を実現することができる。
【0023】
いずれのモデルにあっても、座金の欠円用スリットの傾斜角度をボルト軸に対して、略20°から25°とするを良しとする。
このものにあっては、座金の欠円用スリットの傾斜角度を、ボルト軸に対して、略20°から25°に設定すると、欠円用スリットの端縁が、ボルトのねじ部と一定の位相差を有して均等に当ることになり、螺旋状に加わる締め付けトルクにより、スムーズに座金の円錐状筒片を縮径することができる。
【0024】
いずれのモデルにあっても、座金の欠円用スリットの幅を、ボルトとナットを締め切った状態で、隙間を有する幅とするを良しとする。
このものにあっては、ナットを締め切った状態で、座金の欠円用スリットの端面が隙間を有する幅となるように、欠円用スリットの幅を設定しているため、ナットを締め切った状態にあっても、ナットとボルトの間に噛み挟まれた状態の座金の強力なバネ力を維持して、強力なナットとボルトの一体化を図っている。
【0025】
いずれのモデルにあっても、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部と嵌め合う螺条を刻設するを良しとする。
このものにあっては、座金の円錐状筒片の内周面に、螺条を刻設したため、円錐状筒片がボルトのねじ部に確実に嵌め合い、座金とボルトの双方に働く摩擦力を確実に発揮させて、ボルトとナットを強力に一体化する。
【0026】
いずれのモデルにあっても、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部と同一ピッチのめねじを刻設するを良しとする。
このものにあっては、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部と同一ピッチのめねじを刻設したため、ボルトとナットの締め付けに伴って、座金の円錐状筒片が、ボルトのねじ部に螺嵌してスムーズに縮径して、ナットの円錐状孔に嵌合し、座金を介して、ボルトとナットの強力な一体化による、強固な緩み止め効果を発揮する
【0027】
いずれのモデルにあっても、座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部のピッチよりも小さいピッチの螺条を刻設するを良しとする。
このものにあっては、ボルトとナットの締め付けに伴って、ボルトのねじ部の尖端部のみが、座金の円錐状筒片の内周面に刻設した螺条に螺嵌した状態となり、スパナ等の器具を用いることによって、締結具を容易に緩めることが可能となり、締結具を取り外して行う点検作業をを楽に行うことができる。
【0028】
いずれのモデルにあっても、座金若しくはナットを合成樹脂で形成するを良しとする。
このものにあっては、腐食が激しい場所に用いる場合等、使用目的や使用状況に応じて、強固な緩み止め効果を発揮する合成樹脂製の締結具を用いることができる。
【0029】
いずれのモデルにあっても、座金の円錐状筒片の内周面に、縦方向に亘って内方に突出する複数の突起部を設けるを良しとする。
このものにあっては、合成樹脂製の座金の円錐状筒片の内周面に、縦方向に亘って内方に突出する複数の突起部を設けたため、座金の円錐状筒片が縮径して、ナットの円錐状孔部に嵌入した際に、ボルトのねじ部に座金の円錐状筒片の突起部が強く当って、ボルトとナットの間に、座金の円錐状筒片を確実に噛み挟んだ状態となるため、合成樹脂製の座金に既述の力が確実に作用し、ボルトとナットの強力な一体化による、大なる緩み止めの効能を実現する。
【0030】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施例を、図面を参照にしながら説明する。
先ず、第1のモデルの緩み止め締結具の基本を第1〜9図で説明する。
第1図に示すように、緩み止め締結具は、座金1、ナット2及びボルト3からなり、これらの座金1、ナット2及びボルト3を互いに螺合組付けし、座金1を介してボルト3とナット2を強力に一体化することにより、大なる緩み止め効能を実現するものである。
座金1は、第1図及び第2図に示すように、円形平板状のベース部4の中心に、ボルト3のねじ部13が貫通するねじ部13の呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔5を有し、該ボルト貫通孔5の周囲に、ボルト軸の先端方向に縮径する円錐状筒片6を起立設している。
ベース部4と円錐状筒片6には、ボルト3のねじ部13の螺旋方向と反対方向に傾斜した欠円用スリット7を開設している。
図示例の円錐状筒片6の傾斜角度θ1は、略10°であり、欠円用スリット7のボルト3の軸方向に対する傾斜角度θ2は、略20°から25°である。
円錐状筒片6の傾斜角度θ1を、略10°とすると、円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のねじ部13と同一ピッチのめねじを、2リード半以上刻設することができる高さとなる。
また、ボルト軸方向に対して、欠円用スリット7の傾斜角度θ2を略20°から25°とすると、欠円用スリット7が、ボルト3のねじ部13のねじ山ごとに、一定の位相差を有して、接触することとなる。
なお、欠円用スリット7は、ボルト軸方向に対して、ストレートに形成してもよく、ボルト軸方向に対して傾斜させる場合は、傾斜角度が略20°から25°に限定するものではない。
【0031】
ナット2は、第3図に示すように、ボルト3のねじ部13と螺合するめねじ部11の上部に、座金1の円錐状筒片6を嵌合する円錐状孔部10を設けている。円錐状孔部10の傾斜角度θ3は、円錐状筒片6の傾斜角度θ1と同一角度である略10°に設定している。めねじ部11と円錐状孔部10との間には、内鍔状の段部12を設けている。
円錐状孔部10は、座金1と対峙しない半部分の内周の直径を、円錐状筒片6の先端部の外周の直径よりも小さくし、座金1と対峙する側の半部分の開口の直径を円錐状筒片6の付け根部の外周の直径よりも小さくしている。
このため、第4図に示すように、ナット2の円錐状孔部10に、座金1の円錐状筒片6を嵌入すると、円錐状筒片6の先端部のみが円錐状孔部10に嵌入し、座金1がナット2から突出した状態となる。
第5図および第6図に示すように、座金1とボルト3の間に被締結物15を挟み、ねじ部13とめねじ部11を螺合し、ナット2の締め付け力を作用させていくと、ナット2のめねじ部11のリード角に従った螺旋状の締め付け力が、傾斜した欠円用スリット7に均等に加わる。
【0032】
そして、第5図(a),(b)に示すように、最初にL1の幅を有していた欠円用スリット7全体が均等にL2の幅まで小さくなって、円錐状筒片6全体が均等に縮径し、ナット2の締め付けに伴って、円錐状筒片6がスムーズに円錐状孔部10に嵌合していく。
欠円用スリット7の幅L1は、本実施例においては約3mm程度に設定している。欠円用スリット7の幅L1は、ナット2を締め切った状態で、欠円用スリット7の幅L2が0.5mm〜1mm程度の間隙を有する幅であればよい。
【0033】
ボルト3に対して、座金1を軟質材とすると、ナット2の締め付けに伴って、ねじ部13の尖端部が円錐状筒片6の内周面に食い込んで、円錐状筒片6の内周面が削られた状態で、円錐状筒片6の略全体が、ナット2の円錐状孔部10に嵌合する。
すなわち、第6図に示すように、円錐状筒片6があたかも目詰め材のごとく、ナット2とボルト3との間に円錐状筒片6を噛み挟んだ状態となる。
【0034】
第7図は、座金1、ナット2およびボルト3の間に働く力の方向を説明する図である。図中黒矢印は、座金1により緩み止めの効能を奏する力の方向を示し、図中白矢印は、ボルト3とナット2に加わる力の方向を示す。
第7図に示すように、先ず、ナット2と座金1は、ナット2とボルト3との間に噛み挟まれた状態の座金1のボルト軸直交方向について反発応力(矢印F1)でもって、一体化する。
【0035】
次いで、ナット2の締め付けで、ベース部4を被締結面に押し付ける力でもって、円錐状筒片6がボルト軸方向に強力に引きずられる(矢印St)。この際、内面をボルト3のねじ山に食い込まれた円錐状筒片6には、ボルト3のネジ山をちぎる方向の剪断力が働く。この極めて強力な剪断力は、ボルト軸方向全周についての座金1とボルト3の双方に働く、ボルト軸方向についての特有な摩擦力であり、その結果、ナット2のベース部4への押圧(矢印F2)は、強力な座金1の弾性変形復元力で反抗を受け、この抵抗力を介して、ナット2とボルト3は一体化している。
しかして、ボルト3とナット2は、座金1を介して、ボルト軸直角方向(矢印F1)とボルト軸方向(矢印F2)の二種の一体化ルートを介して、強力に一体化するものとなり、大なる緩み止め効能を合理的に実現する。
【0036】
ボルト3とナット2の間に噛み挟まれた座金1の円錐状筒片6は、くさび的作用を奏し、座金1よりもボルト軸方向の先端部で螺合しているナット2のめねじ部11に、全周からボルトのねじ部13を圧接する力(矢印F4)が加わり、ナット2と螺合しているボルト3のねじ山に加わる、摩擦力(矢印F5)を強めて、ナット2とボルト3の一体化を更に強力なものとし、縦揺れ、横揺れ、斜め方向等のあらゆる振動に対して、大なる緩み止め効能を合理的に実現する。
【0037】
第8図に示すように、座金1の欠円用スリット7が、ボルト3の螺旋方向と反対方向に傾斜していると、座金1のベース部4にナット2の螺旋状の締め付け力Tが加わるため、螺旋方向前側に位置する欠円用スリット7の端縁7aがナット2の締結面2aに対して鋭いエッジ状となり、このエッジ状となった欠円用スリット7の端縁7aがナット2の締結面2aに食い込んで締結面2aを切り立てて引っ掛かった状態となる。
ボルト3とナット2の螺合が緩む方向は、締め付け力Tが加わる方向とは反対方向となるため、ボルト3とナット2との螺合が緩む方向に振動等が加わった場合であっても、欠円用スリット7の端縁7aがナット2の締結面2aに引っ掛かった部分がストッパーとなり、緩み方向へのナット2の回動を阻止する。
【0038】
なお、座金1の円錐状筒片6の高さは、円錐状孔部10の高さよりも低く設定しており、ナット2の円錐状孔部10とめねじ部11との間には、内鍔状の段部12を設けているため、ナット2の締め付け力によって円錐状筒片6が延伸されたとしても、円錐状筒片6の先端がめねじ部11まで到達することはなく、ねじ部13やめねじ部11を強く押し潰して傷つけることはない。
ボルト3に対して、座金1とナット2は、一対の組合わせのみならず、座金1とナット2の組合わせを複数用いることにより、より強固な緩み止め効果を発揮させることも可能である。
【0039】
次に、第二のモデルの緩み止め締結具について説明する。
第9図は、その座金1を示す、(a)平面図、(b)側面図、(c)縦断面図、(d)底面図である。
座金1は、円錐状筒片6の一部に、ボルト貫通孔5の円中心に対して微小に偏心した肉厚部9を設け、欠円用スリット7を薄肉部に設けている。第10図を示す如く、円錐状筒片6を嵌合するナット2の円錐状孔部10にあっては、円錐状孔部10とめねじ部11との間に設けた内鍔状の段部12の面積が下記の理由により拡大することになる。
第10図は、偏心した座金1により、緩み止めの効能を示す力の方向を説明する図である。
第10図に示すように、円錐状孔部10に嵌合した円錐状筒片6の微小に偏心している肉厚部9が、径方向からボルト3を押圧し(矢印F1)、肉厚部9で押圧されてやや斜めに傾いた状態となろうとするボルト3を、ナット2のめねじ部11で肉厚部9とは反対の径方向から押圧するため(矢印F2)、ボルト3にボルト軸方向の上下で、対向した径方向からの押圧力(F1,F2)が加わり、大なる緩み止め効能を発揮する。
また、ナット2の円錐状孔部10に嵌合した、円錐状筒片6の肉厚部9が、径方向からボルト3を押圧するくさび的効果によって、座金1よりもボルト軸方向の先端部で螺合しているナット2のめねじ部11に、ボルトのねじ部13を圧接する力(矢印F4)が加わり、ナット2とボルト3の双方のねじ山に加わる摩擦力を強めて、ボルト3とナット2の一体化を強力なものとしている。
【0040】
第11図は、第一のモデルにおける座金1の実施例を示す、(a)平面図、(b)側面図、(c)底面図である。
座金1は、円錐状筒片6の内周面には、ボルト3のねじ部13と同一ピッチのめねじ8を、2リード半から3ピッチを刻設している。また、欠円用スリット7は、ボルト3の螺旋方向と同一方向に傾斜している。
円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のネジ部13と同一ピッチのめねじ8を刻設した場合、ボルト3とナット2の螺合に伴って、円錐状筒片6に刻設しためねじ8が、ボルト3のねじ部13に螺嵌し、螺旋方向の締め付け力が、螺旋方向と同一方向に傾斜した欠円用スリット7に均等に加わって、円錐状筒片6全体が均等に縮径し、スムーズにナット2の円錐状孔部10に、座金1の円錐状筒片6を嵌合させることができ、締め付け作業が容易となる。
これは、第二のモデルにおける座金1についても同様である。
【0041】
すなわち、第12図に示すように、第二のモデルにおける座金1の微小に偏心した肉厚部9を設けた円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のねじ部13と同一ピッチのめねじ8を刻設してもよい。
【0042】
第13図に示すように、第一のもでるにおける座金1の円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のねじ部13のピッチよりも、細かいピッチの螺条8を刻設してもよい。
螺条8を、ボルト3のねじ部13よりも細かいピッチとすると、座金1は、ねじ部13の尖端部のみが螺条8と螺嵌することになる。このため、スパナ等の器具を用いることにより、締結具を簡単に緩めることができ、一定期間ごとに締結具を取り外す必要がある場合に便利であり、定期点検等の作業を楽に行うことができる。
なお、微小に偏心した肉厚部9を設けた、第二のモデルにおける座金1の円錐状筒片6の内周面に、ボルト3のねじ部13よりも細かいピッチの螺条8を刻設してもよい。
【0043】
第14図に示すように、第一のモデルにおける座金1の欠円用スリット7を、ボルト3の軸方向と同一方向のストレートな形状としてもよい。
ナット2の締め付け力によって、座金1の円錐状筒片6が、ボルト軸方向に強引に引きずられた状態となるため(第7図参照、矢印St)、ストレートな欠円用スリット7の端縁が、ナット2の締結面に対してエッジ状となり、このエッジ状となった欠円用スリット7の端縁が、ナット2の締結面に引っ掛かり、欠円用スリット7がエッジ状に引っ掛かった部分がストッパーとなって、ナット2の緩み方向への回動を阻止する。第二のモデルの座金にあっても同じである。
【0044】
第15図に示すように、第一のモデルにおける座金1のベース部4の中央に、円錐状筒片6の大径部の直径よりも、やや大きい直径の凹部4aを設けるとよい。
すなわち、通常、ナット2のめねじ11の直径は、加工誤差を解消するため、ボルト3のねじ部13の直径に対して若干大きく形成されており、ボルト3がナット2に対して、多少傾いた状態で、ナット2とボルト3が締め付けられる。ナット2に対するボルト3の傾きは、ナット2とボルト3の規格値が大きくなる程、大きくなる傾向にある。ボルト3が多少傾いた状態となると、ナット2のベース部4への押圧が、座金1のベース部4の全周にわたって、ボルト軸対称に均等に加わらないため、緩み止めの効能が発揮できないことになる。
座金1のベース部4の中央部に、凹部4aを設けたため、ナット2のベース部4への押圧が、該凹部4aの内方に作用し、凹部4a周囲に残存しているベース部4が、被締結物と面均一に当接し、規格値の大きな締結具にあっても、ナット2のベース部4への押圧が、座金1のベース部4の全周にわたって、ボルト軸対称に均等に作用し、座金1を介したナット2とボルト3への一体化を強力なものとする。
また、ボルト3及びナット2が大きくなると、座金1のベース部4の板厚も当然厚くなることが考えられ、ベース部4の板厚が厚くなると、締め付けトルクが大きくなり、締め付け作業が困難になる、と云う問題がでてくる。
座金1のベース部4に凹部4aを設けると、該凹部4aによって、ボルト3のネジ部13と、座金1のベース部4との間に隙間が形成されて、ボルト3のねじ部13周囲において、座金1のベース部4が薄くなったことと同様となるため、締め付けトルクを小さくすることができ、必然的に座金1のベース部4が厚くなる大きな締結具であっても、締め付け作業を楽に行うことができる。第二のモデルにおける座金についても同様である。
【0045】
第16図は、第二のモデルにおける座金1のベース部4に、径方向にベース部4を切り欠いた、切欠部4bを形成したものを示す。
この切欠部4bを設けることにより、ナット2の締め付け力に対して、座金1の変形自由度が増大し、円錐状筒片6が容易に縮径方向に撓み変形して、比較的弱い力で容易にナット2を締め付けていくことができる。
円錐状筒片6の肉厚部9の最も肉厚となる部位から連設しているベース部4に、径方向の切欠部4bを設けることにより、肉厚部9の存在により、特に、回動に力を要する部分の変形自由度が増大するため、締め付けトルクが安定し、締め付け作業を楽に行うことができる。第一のモデルにおける座金についても同様である。
【0046】
第17図は、第一のモデルの座金1が円錐状筒片6に軸方向に、複数の縦溝部7aを設けたものを示す。この縦溝部7aによって、ナット2の締め付け力に対して、円錐状筒片6の変形自由度が増大し、円錐状筒片6が縮径方向に容易に撓み変形するため、締め付けトルクを小さくすることができる。
また、座金1は、縦溝部7aによって変形自由度が増大しているため、円錐状筒片6のボルト軸直交方向への反発応力は衰えることはなく、ボルトとナットの強力な一体化を維持する。
縦溝部7aは、欠円用スリット7と同様に、ボルト3のねじ部13の螺旋方向と同一方向に傾斜して設けてもよい。
縦溝部7aをねじ部13の螺旋方向と同一方向に傾斜すると、螺旋状に加わるナット2の締め付け力が縦溝部7aに均等に加わっていくため、円錐状筒片6がスムーズに縮径することになり、締結具の締め付け作業が一層容易となる。
【0047】
第18図は、第二のモデルの座金1での上記縦溝部7aの実施例を示し、微小に偏心した肉厚部9を設けた円錐状筒片6においては、該肉厚部9の最も肉厚となる部位を避けて、縦溝部7a若しくは欠円用スリット7を形成することにより、有効に該肉厚部9による径方向からの押圧をボルト3に作用させることができ、ボルト3のねじ部13の上下で対向した径方向からの押圧力を、ボルト3に加えて、緩み止めの効能を強固なものとすることができる。
なお、縦溝部7aと欠円用スリット7は、ボルト3のねじ部13の螺旋方向と同一方向に傾斜する場合のみならず、ストレートに形成すること、その他V字状に形成すること、波形状に形成すること等、様々な形状に形成することが可能とである。
【0048】
第19図は、第二のモデルの座金1に欠円用スリット7の他に、ベース部4に複数の切欠部4b、円錐状筒片6に複数の縦溝部7aの双方を設けたものを示す。
この座金1にあっては、切欠部4bと縦溝部7aとの相乗効果により、座金1の変形自由度が増大し、円錐状筒片6が容易に撓み変形して縮径するため、締結作業が容易となり、作業効率を向上する。
締結具を合成樹脂製とすることも可能である。例えば、FRPを用いて形成することにより、強度と耐腐食性等を要求される部位に、本発明の締結具を用いることができ、使用目的、使用場所等に応じて適切な素材の最適な緩み止め効果を発揮する締結具を用いることができる。第一のモデルの座金にあっても同様である。
【0049】
第20図は、第二のモデルの座金1の円錐状筒片6の内周面の縦方向全域に亘って、三つの突起部6aを設けたものを示す。
合成樹脂製の座金1にあっては、コスト的に精密な加工が困難であるため、円錐状筒片6の内周面に突起部6aを設け、この突起部6aにボルト3のねじ山が食い込むことによって、ナット2とボルト3の間に円錐状筒片6が確実に噛み挟まれた状態となるため、ナット2とボルト3とを強力に一体化する既述の力を合成樹脂製の座金1に作用させて、大なる緩み止め効能を発揮させることができる。
なお、第20図(b)に示すように、呼び径の大きい締結具に用いる座金にあっては、第16図に示す、第7実施例と同様に、座金1のベース部4に凹部4aを設けてもよい。第一のモデルにあっても同様である。
【0050】
第21図は、第二のモデルの座金1の円錐状筒片6の内周面に設ける突起部6aを第20図に示す、第12実施例のように三つに限らず、同一角度で複数の突起部6aを設けるとしたものを示す。第一のモデルにあっても同様である。
【0051】
以上のように、本発明は、ボルト3とナット2との間に、欠円された座金1のベース部4と円錐状筒片6を介在させたことによって、ボルト軸直角方向(くさび効果)とボルト軸方向(摩擦効果)との2種の一体化ルートを介して、強力にボルト3とナット2とを一体化し、大なる緩み止め効能を合理的に実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【Fig.1】
第1図は、本発明の緩み止め締結具を示す、ボルト、座金およびナットの分解斜視図である。
【Fig.2】
第2図は、本発明の座金の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図、(c)縦断面図、(d)底面図である。
【Fig.3】
第3図は、本発明のナットの実施例を示し、半縦断面図である。
【Fig.4】
第4図は、第2図及び第3図の座金とナットを組付けた状態を示す半縦断面図である。
【Fig.5】
第5図は、(a)締め付け前の座金とナットの状態を示す縦断面図、(b)締め付け後の座金とナットの状態を示す縦断面図である。
【Fig.6】
第6図は、第1図に示す締結具により、被締結物を締め付けた状態を示す縦断面図である。
【Fig.7】
第7図は、締め付けによって、締結具に加わる力の作用方向を説明する説明図である。
【Fig.8】
第8図は、締め付けによって、座金の欠円用スリットの端縁がナットに引っ掛かった状態を説明する、斜視図である。
【Fig.9】
第9図は、本発明の座金の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図(c)縦断面図、(d)底面図である。
【Fig.10】
第10図は、第9図に示す座金を用いて締結具を締め付けた状態において、力の加わる方向を説明する、縦断面図である。
【Fig.11】
第11図は、本発明の座金の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図(c)底面図である。
【Fig.12】
第12図は、本発明の座金の実施例を示し、(a)縦断面図、(b)底面図である。
【Fig.13】
第13図は、本発明の座金の実施例を示し、締結具を締め付けた状態を示す、半縦断面図である。
【Fig.14】
第14図は、本発明の座金の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図、(c)底面図である。
【Fig.15】
第15図は、本発明の座金の実施例を示し、(a)斜視図、(b)縦断面図である。
【Fig.16】
第16図は、本発明の座金の実施例を示し、(a)平面図、(b)底面図である。
【Fig.17】
第17図は、本発明の座金の実施例を示し、(a)平面図、(b)側面図、(b)底面図である。
【Fig.18】
第18図は、本発明の座金の実施例を示し、(a)側面図、(b)底面図である。
【Fig.19】
第19図は、本発明の座金の実施例を示し、(a)平面図、(b)底面図である。
【Fig.20】
第20図は、本発明の座金の第実施例を示し(a)平面図、(b)半縦断面図である。
【Fig.21】
第21図は、本発明の座金の実施例を示し、平面図である。
【Fig.22】
第22図は、従来例を示し、ボルトと、緩み止め部材と、ナットとを示す斜視図である。
ボルトと、ベース部中央部に形成のボルト軸方向上方にしたがって縮径する偏心した円錐台にボルトの呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔を縦貫設して成る円錐状筒片を設け、当該筒片薄肉部にベース部と連続した円錐状筒片のベース部を含む全長均一縮径用の欠円用スリットを形成した欠円座金と、当該座金と対峙しない半部分の内周の直径を、座金の円錐状筒片の先端部の外周の直径よりも小さくし、座金と対峙する側の半部分の開口の直径を座金の円錐状筒片の付け根部の外周の直径よりも小さくした、該円錐状筒片の縮径完了後も螺進して該座金のベース部を被締結面に押し付ける行程確保のために座金の円錐状筒片の高さよりもやや高い、座金の円錐状筒片の傾斜角度と同一傾斜角度のテーパ面を有する円錐状孔部を、ボルトのねじ部と螺合するめねじ部の下部に開設したナットとからなるとした緩み止め締結具。
結局、座金のベース部を押圧するナットは、座金の円錐状筒片を介したボルト軸方向のねじ山に作用する剪断力の仲介を経ても、ボルトと一体化している。
よって、この締結具は、ボルト軸直角方向とボルト軸方向との2種の一体化ルートを介して強力に一体化するものとなり、大なる緩み止め効能を合理的に実現する。
座金の欠円用スリットの形状は、縮径するものであればよく、ボルト軸に対して、斜めの形状であってもよく、ストレートな形状であってもよく、その他V字形状であっても、波形状であってもよく、様々な形状の欠円用スリットを設けることができ、欠円用スリットの形状は問わない。
このものにあっては、第一のモデルと同じく、円錐状筒片は、円錐状孔部とボルトとの間に目詰材となって介装すると共に、ボルトのねじ山をちぎる方向に剪断力を働かせることとなるのであるが、この作用は、偏心した円錐状筒片の肉厚部に集約して働くこととなるので、より強力化される。
更に、座金の円錐状筒片の肉厚部で径方向から押圧されてやや斜めに傾いた状態になろうとするボルトを、ナットが該肉厚部とは反対の径方向から押圧することとなるため、ボルト軸方向の上下で対向した径方向からのブレーキとなる押圧力がボルトに加わり、緩み止めの効能が向上する。
したがって、第二のモデルにあっては、第一のモデルと異なり、第一のモデルと同じ作用が一部に集約して作用すると共に既述のボルト軸方向の上下で対向した径方向からの押圧力が新たに追加されるものとなっている。
円錐状孔部10は、座金1と対峙しない半部分の内周の直径を、円錐状筒片6の先端部の外周の直径よりも小さくし、座金1と対峙する側の半部分の開口の直径を円錐状筒片6の付け根部の外周の直径よりも小さくしている。
このため、第4図に示すように、ナット2の円錐状孔部10に、座金1の円錐状筒片6を嵌入すると、円錐状筒片6の先端部のみが円錐状孔部10に嵌入し、座金1がナット2から突出した状態となる。
第5図および第6図に示すように、座金1とボルト3の間に被締結物15を挟み、ねじ部13とめねじ部11を螺合し、ナット2の締め付け力を作用させていくと、ナット2のめねじ部11のリード角に従った螺旋状の締め付け力が、傾斜した欠円用スリット7全長に均等に加わるので、円錐状筒片6の対ボルト3への押し付けは全長均一になされる。
【請求項1】
ボルトと、ベース部中央部に形成のボルト軸方向上方にしたがって縮径する偏心した円錐台にボルトの呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔を縦貫設して成る円錐状筒片を設け、当該筒片薄肉部にベース部と連続した円錐状筒片のベース部を含む全長均一縮径用の欠円用スリットを形成した欠円座金と、当該座金と対峙しない半部分の内周の直径を、座金の円錐状筒片の先端部の外周の直径よりも小さくし、座金と対峙する側の半部分の開口の直径を座金の円錐状筒片の付け根部の外周の直径よりも小さくした、該円錐状筒片の縮径完了後も螺進して該座金のベース部を被締結面に押し付ける行程確保のために座金の円錐状筒片の高さよりもやや高い、座金の円錐状筒片の傾斜角度と同一傾斜角度のテーパ面を有する円錐状孔部を、ボルトのねじ部と螺合するめねじ部の下部に開設したナットとからなるとした緩み止め締結具。
【請求項2】
座金の円錐状筒片の高さを、ボルトのねじ部と同一ピッチのめねじを2ピッチ半以上可能な高さとした請求項1記載の緩み止め締結具。
【請求項3】
座金とボルトの組み合わせにおいて、座金をボルトよりも軟質材とした請求項1又は2記載の緩み止め締結具。
【請求項4】
座金と欠円用スリットを、ボルトのねじ部の螺旋方向と反対方向に傾斜して形成した請求項1、2または3記載の緩み止め締結具。
【請求項5】
座金の欠円用スリットを、ボルトのねじ部の螺旋方向と同一方向に傾斜して形成した請求項1、2または3記載の緩み止め締結具。
【請求項6】
座金の欠円用スリットを、ボルト軸方向と同一方向に形成した請求項1、2または3記載の緩み止め締結具。
【請求項7】
座金のベース部に、円錐状筒片の大径部の直径よりもやや大きい直径であり、該ベース部の厚さよりも少ない高さの凹部を設けた請求項1、2、3、4、5または6記載の緩み止め締結具。
【請求項8】
座金のベース部に、ベース部を径方向に切り欠いた少なくとも一つの切欠部を設けた請求項1、2、3、4、5または6記載の緩み止め締結具。
【請求項9】
座金の偏心した円錐状筒片の最も肉厚となる部位を除いて、座金の円錐状筒片に、少なくとも一つの縦溝部を設けた請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の緩み止め締結具。
【請求項10】
座金の円錐状筒片の傾斜角度を、略10°とした請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の緩み止め締結具。
【請求項11】
座金の欠円用スリットの傾斜角度を、ボルト軸方向に対して、略20°から略25°とした請求項4または5記載の緩み止め締結具。
【請求項12】
座金の欠円用スリットの幅を、ボルトとナットを締め切った状態で、隙間を有する幅とした請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の緩み止め締結具。
【請求項13】
座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部と嵌め合う螺条を刻設した請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の緩み止め締結具。
【請求項14】
座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部と同一ピッチのめねじを刻設した請求項13記載の緩み止め締結具。
【請求項15】
座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのねじ部のピッチよりも小さいピッチの螺条を刻設した請求項13記載の緩み止め締結具。
【請求項16】
座金若しくはナットを、合成樹脂で形成した請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の緩み止め締結具。
Claims (20)
- ボルトと、ベース部に、ボルトの呼び径よりもやや大きいボルト貫通孔を有し、該ボルト貫通孔の周囲に、ボルト軸方向上方にしたがって縮径する円錐状筒片を起立設し、前記ベース部と前記円錐状筒片に連続した欠円用スリットを形成した座金と、前記座金と対峙する半部分の内周の直径を、前記円錐状筒片の先端部の外周の直径よりも小さくし、前記座金と対峙する側の半部分の開口の直径を前記円錐状筒片の付け根部の外周直径よりも小さくした、前記円錐状筒片の高さよりもやや高い、座金の円錐状筒片の傾斜角度と同一傾斜角度のテーパ面を有する円錐状孔部を、前記ボルトのネジ部と螺合するメネジ部の上部に開設したナットとからなる緩み止め締結具。
- 座金の円錐状筒片の一部をボルト貫通孔の円中心に対して、微小に偏心した肉厚部とした請求項1記載の緩み止め締結具。
- 座金の円錐状筒片の高さを、ボルトのネジ部と同一ピッチのメネジを2リード半以上刻設可能な高さとした請求項1又は2記載の緩み止め締結具。
- 座金とボルトの組み合わせにおいて、一方を他方よりも軟質材とした請求項1、2又は3記載の緩み止め締結具。
- 座金の欠円用スリットを、ボルトのネジ部の螺旋方向と反対方向に傾斜して形成した請求項1、2、3または4記載の緩み止め締結具。
- 座金の欠円用スリットを、ボルトのネジ部の螺旋方向と同一方向に傾斜して形成した請求項1、2、3または4記載の緩み止め締結具。
- 座金の欠円用スリットを、ボルト軸方向と同一方向に形成した請求項1、2、3または4記載の緩み止め締結具。
- 座金のベース部に、円錐状筒片の大径部の直径よりもやや大きい直径であり、該ベース部の厚さよりも少ない高さの凹部を設けた請求項1、2、3、4、5、6または7記載の緩み止め締結具。
- 座金のベース部に、ベース部を径方向に切り欠いた少なくとも一つの切欠部を設けた請求項1、2、3、4、5、6または7記載の緩み止め締結具。
- 座金の偏心した円錐状筒片の最も肉厚となる部位から連設した、座金のベース部に、該ベース部を径方向に切り欠いた切欠部を設けた、請求項2、3、4、5、6、7または9記載の緩み止め締結具。
- 座金の円錐状筒片に、少なくとも一つの縦溝部を設けた請求項1、3、4、5、6、7または9記載の緩み止め締結具。
- 座金の偏心した円錐状筒片の最も肉厚となる部位を除いて、座金の円錐状筒片に、少なくとも一つの縦溝部を設けた請求項2、3、4、5、6、7、9または10記載の緩み止め締結具。
- 座金の円錐状筒片の傾斜角度を、略10°とした請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の緩み止め締結具。
- 座金の欠円用スリットの傾斜角度を、ボルト軸方向に対して、略20°から略25°とした請求項5または6記載の緩み止め締結具。
- 座金の欠円用スリットの幅を、ボルトとナットを締め切った状態で、隙間を有する幅とした請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14記載の緩み止め締結具。
- 座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部と嵌め合う螺条を刻設した請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の緩み止め締結具。
- 座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部と同一ピッチのメネジを刻設した請求項16記載の緩み止め締結具。
- 座金の円錐状筒片の内周面に、ボルトのネジ部のピッチよりも小さいピッチの螺条を刻設した請求項16記載の緩み止め締結具。
- 座金若しくはナットを、合成樹脂で形成した請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18記載の緩み止め締結具。
- 座金の円錐状筒片の内周面に、縦方向全域に亘って、内方に突出する複数の突起部を設けた請求項19記載の緩み止め締結具。
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