JP6638307B2 - 部材取付構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、シャフトに部材を取り付けた部材取付構造体に関し、特に、部材を取り付けるナットのゆるみを防止する部材取付構造体に関する。
従来、シャフトにナットにより部材を取り付けることが行われているが、このナットのゆるみを防止する種々の技術が知られている。
ナットのゆるみを防止する技術としては、例えば、シャフトの外周に凹部を形成するとともに、ナットの外周に凹部を形成しておき、内周側にシャフトの外周の凹部と係合する凸部を有するとともに、外周側にナットの外周の凹部と係合するための舌部を有するワッシャ(舌付ワッシャ)を用意し、このワッシャをシャフトに取り付けた後に、ナットをシャフトに螺合し、ワッシャの外周の舌部をナットの凹部と係合するように折り曲げることで、ナットをシャフトに固定する技術が知られている。
また、他の技術としては、特許文献1に記載の技術も知られている。
特表2000−500556号公報
例えば、舌付ワッシャについては、ワッシャの各部のサイズがJIS等において規格化されている。
規格化されているサイズの舌付ワッシャを用いて、シャフトにナットを締め付ける際に、場合によっては、舌付ワッシャの内周側の凸部が破断してしまう状況が発生することがあった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ワッシャの内周側の凸部の破断を適切に防止することのできる技術を提供することにある。
本発明は、ナットを締め付ける際に、ナットの座面とワッシャの外周側の舌部とが接触してしまうことがあり、ナットの座面とワッシャの舌部とが接触することにより、ナットとワッシャとの摩擦係数が増加し、ワッシャを回転させる力が増加し、結果としてワッシャの内周側の凸部が破断してしまうことに着目してなされたものである。
上記目的を達成するために、本発明の一観点に係る部材取付構造体は、外周にねじ溝を有するシャフトと、シャフトに装着される部材と、シャフトに、部材の軸方向外側から装着されるワッシャと、ワッシャの軸方向外側からねじ溝に螺合するように締付けられるナットとを有する部材取付構造体であって、シャフトは、外周の一部に第1凹部を有し、ナットは、外周に少なくとも一つの第2凹部を有し、ワッシャは、内周に、シャフトの第1凹部に係合する第1凸部を有し、外周に、ナット側に折り曲げることにより、ナットの第2凹部に係合する形状の第2凸部を複数有し、ワッシャは、第1凸部をシャフトの第1凹部に係合するようにシャフトに装着され、ナットの締付後に、ワッシャの第2凸部をナット側に折り曲げてナットの第2凹部に係合され、ワッシャの第2凸部の基端部の径が、ナットの締付時にナットの軸方向内側の座面と第2凸部とが接触しない長さとなっている。
上記部材取付構造体において、ワッシャの第2凸部の基端部までの径は、ワッシャの内周側の第1凸部とシャフトの第1凹部との想定される隙間と、ワッシャの内周とシャフトの外周との想定される隙間とが存在する場合において、ワッシャを回転させると、シャフトの軸中心から最も近くなる基端部までの距離が、ナットの座面の半径よりも長くなる長さに決定されていてもよい。
また、上記部材取付構造体において、ワッシャの内周側の第1凸部とシャフトの第1凹部との想定される隙間は、第1凸部の周方向の幅の想定される範囲の値と、第1凹部の周方向の幅の想定される範囲の値との内で、シャフトの軸中心から基端部までの距離が最も短くなるように作用する値に基づいて特定されてもよい。
また、上記部材取付構造体において、ワッシャの内周とシャフトの外周との想定される隙間は、ワッシャの内径の想定される範囲の値と、シャフトの外径の想定される範囲の値との内で、シャフトの軸中心から基端部までの距離が最も短くなるように作用する値に基づいて特定されてもよい。
本発明によると、ワッシャの内周側の凸部の破断を適切に防止することができる。
本発明の一実施形態に係る部材取付構造体を含む機械式自動マニュアル変速機の概要を示す。 本発明の一実施形態に係る部材取付構造体の分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係る部材取付構造体の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る部材取付構造体のナットの構成を示す断面図である。 図5(a)は、本発明の一実施形態に係る部分取付構造体の一部の上面図である。図5(b)は、本発明の一実施形態に係るワッシャの図5(a)のX−X線での断面図である。
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る部材取付構造体について説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本発明の一実施形態に係る部材取付構造体を含む機械式自動マニュアル変速機の概要を示す。
機械式自動マニュアル変速機(変速機という。)1は、インプットシャフト10と、インプットシャフト10と同軸に配置され、一端がインプットシャフト10の内周側に相対回転可能に支持されたメインシャフト11と、メインシャフト11の出力側にメインシャフト11と同軸に配置された副変速機60と、インプットシャフト10及びメインシャフト11と平行に配置されたカウンタシャフト12及びリバースアイドラシャフト16と、を備えている。
インプットシャフト10には、インプットメインギヤ13が一体回転可能に設けられている。メインシャフト11には、入力側から順に、第1ハブ21、5速/9速メインギヤM5、3速/7速メインギヤM3、第2ハブ31、2速/6速メインギヤM2、1速メインギヤM1、第3ハブ41、リバースメインギヤMR、ガイドピース53、副変速機60のサンギヤ61が設けられている。5速/9速メインギヤM5、3速/7速メインギヤM3、2速/6速メインギヤM2、1速メインギヤM1、及びリバースメインギヤMRは、メインシャフト11に相対回転可能に設けられ、第1ハブ21、第2ハブ31、第3ハブ41、ガイドピース53、及びサンギヤ61はメインシャフト11に一体回転可能に設けられている。
副変速機60は、メインシャフト11の回転をハイ(高速)と、ロー(低速)の2つのレンジの何れかに切り替えてキャリア63(アウトプットシャフト)に伝達する。副変速機60は、例えば、遊星歯車機構により構成される。具体的には、副変速機60は、サンギヤ61と、サンギヤ61と噛合するようにサンギヤ61の周囲に配置された複数のプラネタリギヤ62と、プラネタリギヤ62と噛合する内歯が形成されたリングギヤ64と、複数のプラネタリギヤ62を回転可能に支持するキャリア63とを有する。キャリア63の出力側は、メインシャフト11と同軸の円柱状形状となっている。リングギヤ64の出力側は、キャリア63の円柱状形状の部分を取り囲み、キャリア63と相対回転可能な円環部65が形成されている。円環部65には、第4ハブ66が一体回転可能に設けられている。
メインシャフト11の内部には、軸方向に延び、潤滑油を流すための軸方向流路11aと、軸方向流路11aからメインシャフト11の外周面に径方向に延び、潤滑油を外周面の開孔(出口)から放出するための1以上の径方向流路11bが形成されている。径方向流路11bは、例えば、5速/9速メインギヤM5、3速/7速メインギヤM3、2速/6速メインギヤM2、1速メインギヤM1、及びリバースメインギヤMR、及びガイドピース53のそれぞれの内周面に対向する位置に設けられている。
カウンタシャフト12には、入力側から順に、インプットメインギヤ13と噛合するインプットカウンタギヤ14、5速/9速メインギヤM5と噛合する5速/9速カウンタギヤC5、3速/7速メインギヤM3と噛合する3速/7速カウンタギヤC3、2速/6速メインギヤM2と噛合する2速/6速カウンタギヤC2、1速メインギヤM1と噛合する1速カウンタギヤC1、リバースメインギヤMRと噛合する後述するアイドラギヤ17と噛合するリバースカウンタギヤCRが設けられている。インプットカウンタギヤ14、5速/9速カウンタギヤC5、3速/7速カウンタギヤC3、2速/6速カウンタギヤC2、1速カウンタギヤC1、及びリバースカウンタギヤCRは、カウンタシャフト12に一体回転可能に設けられている。カウンタシャフト12の出力側には、カウンタシャフト12の回転を制動するためのカウンタシャフトブレーキ15が設けられている。
リバースアイドラシャフト16には、アイドラギヤ17が相対回転可能に設けられている。アイドラギヤ17は、リバースカウンタギヤCRと、リバースメインギヤMRと噛合している。
第1ハブ21には、回転不能且つ軸方向に移動可能に第1スリーブ22が取り付けられている。なお、第1スリーブ22と、インプットメインギヤ13及び5速/9速メインギヤM5のそれぞれに固定されている図示しないドグギヤとのそれぞれの間にシンクロナイザリングが介装されていてもよい。第1スリーブ22の外周凹溝には、第1スリーブ22を軸方向に移動させる図示しないシフトフォークが係合されている。
第1スリーブ22が図中矢印A方向(前方)に移動してインプットメインギヤ13のドグギヤとスプライン噛合すると、インプットシャフト10とメインシャフト11とが直結されて動力が伝達される。この結果、副変速機60のレンジがローに設定されている場合には、キャリア63は、4速相当で回転し、副変速機60のレンジがハイに設定されている場合には、キャリア63は、8速相当で回転する。
第1スリーブ22が図中矢印B方向(後方)に移動して5速/9速メインギヤM5に接続されているドグギヤとスプライン噛合すると、インプットメインギヤ13、インプットカウンタギヤ14、5速/9速カウンタギヤC5、5速/9速メインギヤM5、を介してメインシャフト11に動力が伝達される。この結果、副変速機60のレンジがローに設定されている場合には、キャリア63は、5速相当で回転し、副変速機60のレンジがハイに設定されている場合には、キャリア63は、9速相当で回転する。
第2ハブ31には、回転不能且つ軸方向に移動可能に第2スリーブ32が取り付けられている。なお、第2スリーブ32と、3速/7速メインギヤM3及び2速/6速メインギヤM2のそれぞれに固定されている図示しないドグギヤとのそれぞれの間にシンクロナイザリングが介装されていてもよい。第2スリーブ32の外周凹溝には、第2スリーブ32を軸方向に移動させる図示しないシフトフォークが係合されている。
第2スリーブ32が図中矢印A方向に移動して3速/7速メインギヤM3に接続されているドグギヤとスプライン噛合すると、インプットメインギヤ13、インプットカウンタギヤ14、3速/7速カウンタギヤC3、3速/7速メインギヤM3を介して動力がメインシャフト11に伝達される。この結果、副変速機60のレンジがローに設定されている場合には、キャリア63は、3速相当で回転し、副変速機60のレンジがハイに設定されている場合には、キャリア63は、7速相当で回転する。
第2スリーブ32が図中矢印B方向に移動して2速/6速メインギヤM2に接続されているドグギヤとスプライン噛合すると、インプットメインギヤ13、インプットカウンタギヤ14、2速/6速カウンタギヤC2、2速/6速メインギヤM2を介して、メインシャフト11に動力が伝達される。この結果、副変速機60のレンジがローに設定されている場合には、キャリア63は、2速相当で回転し、副変速機60のレンジがハイに設定されている場合には、キャリア63は、6速相当で回転する。
第3ハブ41には、回転不能且つ軸方向に移動可能に第3スリーブ42が取り付けられている。なお、第3スリーブ42と、1速メインギヤM1及びリバースメインギヤMRのそれぞれに固定されている図示しないドグギヤとのそれぞれの間にシンクロナイザリングが介装されていてもよい。第3スリーブ42の外周凹溝には、第3スリーブ42を軸方向に移動させる図示しないシフトフォークが係合されている。
第3スリーブ42が図中矢印A方向に移動して1速メインギヤM1に接続されているドグギヤとスプライン噛合すると、インプットメインギヤ13、インプットカウンタギヤ14、1速カウンタギヤC1、1速メインギヤM1を介して動力がメインシャフト11に伝達される。本実施形態の変速機1では、1速の変速段が選択される場合には、副変速機60のレンジは、一方のレンジ(例えば、ローのレンジ)に固定的に設定されるようになっているので、キャリア63は、1速相当で回転する。
第3スリーブ42が図中矢印B方向に移動してリバースメインギヤMRに接続されているドグギヤとスプライン噛合すると、インプットメインギヤ13、インプットカウンタギヤ14、リバースカウンタギヤCR、アイドラギヤ17、リバースメインギヤMRを介して、メインシャフト11に動力が伝達される。本実施形態の変速機1では、後退(リバース)の変速段が選択される場合には、副変速機60のレンジは、一方のレンジ(例えば、ローのレンジ)に固定的に設定されるようになっているおり、キャリア63は、逆回転する。
第4ハブ66には、回転不能且つ軸方向に移動可能に第4スリーブ67が取り付けられている。なお、第4スリーブ67と、ドグプレート71のドグギヤ及びキャリア63に固定されているドグギヤとのそれぞれの間にシンクロナイザリングが介装されていてもよい。第4スリーブ67の外周凹溝には、第4スリーブ67を軸方向に移動させる図示しないシフトフォークが係合されている。
第4スリーブ67が図中矢印A方向に移動して、変速機ケース2(例えば、センターケース2b)に固定されているドグプレート71のドグギヤとスプライン噛合すると、リングギヤ64が変速機ケース2に固定され、副変速機60の状態がローのレンジとなる。すなわち、副変速機60によって、メインシャフト11が回転すると、キャリア63は1より大きい減速比で回転する。
一方、第4スリーブ67が図中矢印B方向に移動して、キャリア63に固定されている図示しないドグギヤとスプライン噛合すると、リングギヤ64と、キャリア63とが一体回転するように固定されて、副変速機60の状態がハイのレンジとなる。すなわち、副変速機60によって、メインシャフト11とキャリア63とが直結される。
変速機1においては、基本的には、インプットシャフト10の入力側端部と、キャリア63の出力側端部とを除いて、変速機ケース2(フロントケース2a、センターケース2b、リアケース2c等)内に収容される。変速機ケース2の内部には、各部を潤滑させるための潤滑油が供給されている。
変速機ケース2の底部近傍には、底部に貯留している潤滑油を吸引するためのオイルパイプ80が配置されている。オイルパイプ80は、図示しないオイルポンプに接続されており、オイルパイプ80を介して吸引された潤滑油は、例えば、メインシャフト11の軸方向流路11aに供給される。
次に、変速機1の部材取付構造体90について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る部材取付構造体の分解斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係る部材取付構造体の斜視図である。
部材取付構造体90は、メインシャフト11と、ガイドピース53と、サンギヤ61と、ワッシャ91と、ワッシャ92と、ナット93とを有する。メインシャフト11のB方向の端部には、A方向側から順に、ガイドピース53、サンギヤ61、ワッシャ91、ワッシャ92、ナット93が配置される。
メインシャフト11のB方向端部には、外周にねじ溝11cが形成されているとともに、外周の一部には、凹部(第1凹部)11dが形成されている。
ワッシャ91は、例えば、円環状の金属部材で形成され、サンギヤ61の歯部の側面とワッシャ92との接触を防止する。
ワッシャ92は、内周側に、メインシャフト11の凹部11dと係合することにより、ワッシャ92がメインシャフト11に対して回転することを防止する回り止め部(第1凸部)92aが形成され、外周側に、ナット93がメインシャフト11に螺合された後に折り曲げられることにより、ナット93の後述する凹部93bと係合可能な複数の舌部92b(第2凸部)が形成されている。本実施形態では、ワッシャ92の舌部92bの基端部の径が、ナット93の締付時にナット93のA方向側(軸方向内側)の座面と舌部92bとが接触しない長さとなっている。
ナット93には、内周にメインシャフト11のねじ溝11cと螺合するねじ溝93aが形成され、外周には、折り曲げられたワッシャ92の舌部92bと係合するための1以上の凹部(第2凹部)93bが形成されている。本実施形態では、ナット93には、4つの凹部93bが形成されている。
次に、メインシャフト11へのガイドピース53、サンギヤ61、ワッシャ91、ワッシャ92、及びナット93の取付方法について説明する。
まず、B方向側から、メインシャフト11にガイドピース53を挿入する。次いで、メインシャフト11のガイドピース53のB方向側(軸方向外側)に、サンギヤ61をメインシャフト11とスプライン噛合するように挿入する。次いで、メインシャフト11のサンギヤ61のB方向側に、ワッシャ91を挿入する。次いで、メインシャフト11のワッシャ91のB方向側に、メインシャフト11の凹部11dと、回り止め部92aとが係合するように、ワッシャ92を挿入する。これにより、ワッシャ92のメインシャフト11との相対回転が抑制される。
次いで、メインシャフト11のワッシャ92のB方向側に、ナット93をメインシャフト11に螺合させて締付ける。ここで、本実施形態では、ワッシャ92の舌部92bの基端部の径が、ナット93の締付時にナット93のA方向側の座面と舌部92bとが接触しない長さとなっているので、ナット93の締付時に、ナット93の座面と舌部92bとの接触による抵抗が増加せず、ワッシャ92がメインシャフト11と相対回転することを抑制でき、回り止め部92aの破損を適切に防止できる。
その後、ナット93の4つの凹部93bの何れかと、軸方向の位置が合っているワッシャ92の舌部92bをナット93側に折り曲げて、凹部93bと係合させる。これにより、ナット93がワッシャ92に対して相対回転不能となり、結果として、ナット93がメインシャフト11に対して相対回転不能となり、ナット93がゆるんでしまうことを防止できる。
次に、ワッシャ92と、ナット93との構成について詳細に説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る部材取付構造体のナットの構成を示す断面図である。
ナット93は、内周側には、ねじ溝93aが形成されている。ナット93のA方向側の座面93cの外径(ナット座面外径)は、ナット93の上面の径よりも短くなっている。
図5(a)は、本発明の一実施形態に係る部分取付構造体の一部の上面図である。図5(b)は、本発明の一実施形態に係るワッシャの図5(a)のX−X線での断面図である。
ワッシャ92は、初期状態では、図5(b)に示すように、舌部92bは、舌部92bの基端部92cからB方向側に向かって傾斜して形成されている。ここで、ワッシャ92の基端部92cの外径を基端部径ということとする。
図5(a)は、図示する締付方向にナット93を締付けるために回転させた場合のワッシャ92の状態をB方向側から見た状態を示している。
メインシャフト11の凹部11dの接線方向の幅は、所定の規格(例えば、JIS)における標準値に対して所定の許容範囲(想定範囲)内となるように形成される。また、ワッシャ92の回り止め部92aの内径の接線方向の幅も、所定の規格における標準値に対して所定の許容範囲(想定範囲)内となるように形成されている。メインシャフト11の凹部11dと、ワッシャ92の回り止め部92aとの間には、予め隙間が存在するように設計されているが、その隙間の実際の幅には、それぞれの標準値の差だけではなく、凹部11d及び回り止め部92aのそれぞれの許容範囲内での標準値との差も影響する。
また、メインシャフト11の外周の径は、所定の規格における標準値に対して所定の許容範囲(想定範囲)内となるように形成される。また、ワッシャ92の内周の径は、所定の規格における標準値に対して所定の許容範囲(想定範囲)内となるように形成されている。メインシャフト11の外周と、ワッシャ92の内周との間には、予め隙間が存在するように設計されているが、その隙間の実際の幅には、それぞれの標準値の差だけではなく、メインシャフト11の外周の径及びワッシャ92の内周の径のそれぞれの許容範囲内での標準値との差も影響する。
ここで、図示する締付方向にナット53を回転させた場合には、メインシャフト11の凹部11dと、ワッシャ92の回り止め部92aとの隙間、及び、メインシャフト11の外周と、ワッシャ92の内周との隙間との影響を受けて、ワッシャ92は、図5(a)に示すように、メインシャフト11の中心(軸中心)Oから基端部92cまでの距離が場所によって異なるようになる。
ナット93の座面の位置は、図5(a)の座面外周93dに示すように、メインシャフト11の中心Oからの距離が略等しい位置にあるので、ナット93の座面外周93dと、基端部92cとの間隔が場所によって異なる。
本実施形態においては、メインシャフト11の凹部11dの幅と、ワッシャ92の回り止め部92aの幅とが許容範囲内に形成されている場合において、メインシャフト11の凹部11dと、ワッシャ92の回り止め部92aとの想定される間隔と、メインシャフト11の外周の径と、ワッシャ92の内周の径とが許容範囲内に形成されている場合において、メインシャフト11の外周の径と、ワッシャ92の内周の径との想定される間隔とに基づいて、ワッシャ92が締付方向に回転した際に、メインシャフト11の中心Oから基端部92cまでの最短距離が、ナット93の座面外周93dの半径よりも長くなるように、ワッシャ92の舌部92bの基端部92cの径(基端部径)が決定されている。ここで、ワッシャ92の舌部92bの基端部92cの径は、例えば、JIS規格で決められているナット93に対応するワッシャの径よりも長くなっている。
ワッシャ92の舌部92bの基端部92cの径を決定するために用いる、メインシャフト11の凹部11dの幅と、ワッシャ92の回り止め部92aの幅としては、それぞれの部分の許容範囲内の値であって、メインシャフト11の中心Oから基端部92cまでの距離が最も短くなるように作用する値が用いられる。例えば、メインシャフト11の凹部11dの幅と、ワッシャ92の回り止め部92aの幅との間隔が最大となる値が用いられる。
また、ワッシャ92の舌部92bの基端部92cの径を決定するために用いる、メインシャフト11の外周の径と、ワッシャ92の内周の径としては、それぞれの部分の許容範囲内の値であって、メインシャフト11の中心Oから基端部92cまでの距離が最も短くなるように作用する値が用いられる。例えば、メインシャフト11の外周と、ワッシャ92の内周との隙間が最大となる値が用いられる。
以上説明したように、本実施形態に係る変速機1の部材取付構造体によると、ワッシャ92が締付方向に回転した際における、メインシャフト11の中心Oから基端部92cまでの最短距離が、ナット93の座面外周93dの半径よりも長くなるように、ワッシャ92の舌部92bの基端部92cの径が決定されているので、ナット93を締め付ける際に、ワッシャ92が締付方向に回転した場合であっても、ナット93の座面と、ワッシャ92の舌部92bとが接触しないことが担保されるので、ワッシャ92に無理な回転力が加えられることがなく、回り止め部92aが破断してしまうことを適切に防止できる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、メインシャフト11の凹部11dと、ワッシャ92の回り止め部92aとの想定される間隔と、メインシャフト11の外周と、ワッシャ92の内周との想定される間隔との両方の間隔を考慮して、ワッシャ92の舌部92bの基端部92cの径を決定するようにしていたが、上記何れか一方の間隔のみを考慮して、ワッシャ92の舌部92bの基端部92cの径を決定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、メインシャフト11にサンギヤ61を取り付けるようにしていたが、本発明はこれに限られず、取り付ける部材は、任意の部材でよい。
また、上記実施形態では、変速機1に部材取付構造体90を備えるようにしていたが、本発明はこれに限られず、部材取付構造体は、変速機1以外に備えるようにしてもよい。
1 変速機
2 変速機ケース
2a フロントケース
2b センターケース
2c リアケース
10 インプットシャフト
11 メインシャフト
11d 凹部
12 カウンタシャフト
13 インプットメインギヤ
14 インプットカウンタギヤ
16 リバースアイドラシャフト
17 アイドラギヤ
21 第1ハブ
22 第1スリーブ
31 第2ハブ
32 第2スリーブ
41 第3ハブ
42 第3ハブ
51 ベアリング
52 ベアリングリテーナ
53 ガイドピース
60 副変速機
61 サンギヤ
62 プラネタリギヤ
63 キャリア
64 リングギヤ
66 第4ハブ
67 第4スリーブ
71 ドグプレート
90 部品取付構造体
91 ワッシャ
92 ワッシャ
92a 回り止め部
92b 舌部
93 ナット
93a ネジ溝
93b 凹部
93c 座面
M1 1速メインギヤ
M2 2速/6速メインギヤ
M3 3速/7速メインギヤ
M5 5速/9速メインギヤ
MR リバースメインギヤ
C1 1速カウンタギヤ
C2 2速/6速カウンタギヤ
C3 3速/7速カウンタギヤ
C5 5速/9速カウンタギヤ
CR リバースカウンタギヤ

Claims (4)

  1. 外周にねじ溝を有するシャフトと、前記シャフトに装着される部材と、前記シャフトに、前記部材の軸方向外側から装着されるワッシャと、前記ワッシャの軸方向外側から前記ねじ溝に螺合するように締付けられるナットとを有する部材取付構造体であって、
    前記シャフトは、外周の一部に第1凹部を有し、
    前記ナットは、外周に少なくとも一つの第2凹部を有し、
    前記ワッシャは、内周に、前記シャフトの前記第1凹部に係合する第1凸部を有し、外周に、前記ナット側に折り曲げることにより、前記ナットの第2凹部に係合する形状の第2凸部を複数有し、
    前記ワッシャは、前記第1凸部を前記シャフトの前記第1凹部に係合するように前記シャフトに装着され、前記ナットの締付後に、前記ワッシャの前記第2凸部を前記ナット側に折り曲げて前記ナットの第2凹部に係合され、
    前記ワッシャの前記第2凸部の前記基端部までの径は、前記ワッシャの内周側の前記第1凸部と前記シャフトの前記第1凹部との想定される隙間と、前記ワッシャの内周と前記シャフトの外周との想定される隙間とのうち少なくとも一方が存在する場合において、前記ワッシャを回転させると、前記シャフトの軸中心から最も近くなる基端部までの距離が、前記ナットの前記座面の半径よりも長くなる長さに決定されており、前記ワッシャの前記第2凸部の基端部の径が、前記ナットの締付時に前記ナットの軸方向内側の座面と前記第2凸部とが接触しない長さとなっている
    部材取付構造体。
  2. 前記ワッシャの前記第2凸部の前記基端部までの径は、前記ワッシャの内周側の前記第1凸部と前記シャフトの前記第1凹部との想定される隙間と、前記ワッシャの内周と前記シャフトの外周との想定される隙間とが存在する場合において、前記ワッシャを回転させると、前記シャフトの軸中心から最も近くなる基端部までの距離が、前記ナットの前記座面の半径よりも長くなる長さに決定されている
    請求項1に記載の部材取付構造体。
  3. 前記ワッシャの内周側の前記第1凸部と前記シャフトの前記第1凹部との想定される隙間は、前記第1凸部の周方向の幅の想定される範囲の値と、前記第1凹部の周方向の幅の想定される範囲の値との内で、前記シャフトの軸中心から前記基端部までの距離が最も短くなるように作用する値に基づいて特定される
    請求項2に記載の部材取付構造体。
  4. 前記ワッシャの内周と前記シャフトの外周との想定される隙間は、前記ワッシャの内径の想定される範囲の値と、前記シャフトの外径の想定される範囲の値との内で、前記シャフトの軸中心から前記基端部までの距離が最も短くなるように作用する値に基づいて特定される
    請求項2又は請求項3に記載の部材取付構造体。
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