JP2009191922A - 変速機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】変速機1は、シャフト3と、第3シンクロ機構S3と、第5入力ギヤG5と、を備えている。シャフト3は外周側に潤滑油を供給可能な潤滑油路3aを有している。第3シンクロ機構S3は、シャフト3と一体回転可能に設けられた機構であって、シャフト3に対して軸方向に移動可能に設けられたスリーブ26を有している。第5入力ギヤG5は、シャフト3に対して回転可能なようにシャフト3の外周側に設けられた本体部30と、本体部30の外周部に設けられた変速ギヤ部32と、スリーブ26と噛み合い可能なように設けられスリーブ26と噛み合い可能な複数の外歯52を有するクラッチギヤ部34と、を有している。本体部30は、潤滑油路3aから供給された潤滑油の少なくとも一部をクラッチギヤ部34に導く油路であって隣り合う2つの外歯52の間に配置された第1開口54aを有する誘導油路54を有している。
【選択図】図2
Description
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態について説明する。
図1および図2を用いて変速機1について説明する。図1は第1実施形態に係る変速機1の概略断面図である。図1ではギヤの配列が分かりやすいように各シャフトの配置を2次元的に表現している。図2は変速機1の部分断面図である。
変速機1には、シンクロ機構のスリーブが噛み合い可能なクラッチギヤ部に対して潤滑油を供給できるように、潤滑油の油路が形成されている。ここでは、第3シンクロ機構S3および第5入力ギヤG5を例に油路について説明する。
図2〜図7に示すように、第5入力ギヤG5(ギヤの一例)は、本体部30と、本体部30の外周部に設けられた変速ギヤ部32と、第3シンクロ機構S3のスリーブ26と噛み合い可能なクラッチギヤ部34と、を有している。
図2に示すように、例えば、軸受部40は、入力シャフト3の外周面に装着されたブッシュ44と、ブッシュ44と本体部30との半径方向間に配置されたニードルベアリング46と、を有している。ブッシュ44には、潤滑油路3aの第2油路3cに連通する第4油路44aが形成されている。ニードルベアリング46は複数のニードル46aを有している。複数のニードル46aの間には空間が形成されている。この空間と第4油路44aとにより、軸受部40の潤滑空間48が形成されている。潤滑油路3a内の潤滑油は第4油路44aを通って潤滑空間48に供給される。
図2に示すように、入力シャフト3の第2油路3cから半径方向外側に潤滑油が供給されると、軸受部40内の潤滑空間48に潤滑油が供給され、軸受部40が潤滑される。軸受部40の潤滑空間48に供給された潤滑油の一部は、第3シンクロ機構S3側に流れて第3シンクロ機構S3の摺動面が潤滑される。
第1実施形態の変速機1の特徴は以下の通りである。
以上に説明したように、この変速機1では、潤滑油路3aから供給された潤滑油の少なくとも一部をクラッチギヤ部34に導く誘導油路54が第5入力ギヤG5の本体部30に設けられている。誘導油路54に含まれる第1開口54aがクラッチギヤ部34の隣り合う外歯52の間に配置されているため、クラッチギヤ部34へ潤滑油が確実に供給される。すなわち、この変速機1では潤滑性能を向上させることができる。
誘導油路54が軸受部40の潤滑空間48に接続されているため、潤滑油路3aから軸受部40の潤滑空間48に供給された潤滑油を利用して、クラッチギヤ部34を潤滑することができる。これにより、この変速機1では潤滑油の有効利用を図れる。
連通孔54cが、クラッチギヤ部34周辺の空間と第5入力ギヤG5の第4入力ギヤG4側(第3シンクロ機構S3と反対側)の空間とを連通させているため、第5入力ギヤG5と第4入力ギヤG4との間を流れる潤滑油を反対側のクラッチギヤ部34に導くことができる。
第1開口54aが第2開口54bより半径方向外側に位置するように連通孔54cが傾斜しているため、連通孔54cを流れる潤滑油に遠心力が作用した際に潤滑油に軸方向の力が作用する。これにより、連通孔54cによる潤滑油の案内効果がさらに高まり、より確実にクラッチギヤ部34に潤滑油を供給することができる。
本体部30に形成された連通孔54cにより誘導油路54が構成されているため、誘導油路54を容易に形成することができる。
潤滑油路3aから供給された潤滑油の少なくとも一部を受け止めるように案内部材60が設けられているため、潤滑空間48から流れ出た潤滑油を受け止めて、受け止めた潤滑油の少なくとも一部を誘導油路54に案内することができる。これにより、より確実に潤滑油をクラッチギヤ部34に供給できる。
案内部材60を第4入力ギヤG4に装着するだけであるため、簡素な構造により潤滑油を受け止める構造を実現できる。
第5入力ギヤG5と第4入力ギヤG4との間に形成された空間を半径方向に分割するように、案内部材60(より詳細には、案内部62)が第4入力ギヤG4から軸方向に延びている。これにより、潤滑油路3aから供給される潤滑油を確実に受け止めることができ、潤滑油が誘導油路54に流れ込みやすくなる。
案内部62の第1部分62aが本体部30の凹部64内に配置されている。より詳細には、変速ギヤ部32の半径方向内側に案内部62の第1部分62aが配置されている。このため、第1部分62aおよび凹部64により、半径方向外側へ向かう流路が入り組んだ構造となる。これにより、案内部62により受け止められた潤滑油が半径方向外側へ排出されにくくなり、誘導油路54に潤滑油が流れ込みやすくなる。
誘導油路54が凹部64内の空間と接続されているため、凹部64内で滞留する潤滑油が誘導油路54に流れ込みやすくなる。これにより、誘導油路54による潤滑油の案内効果がさらに高まる。
本体部30が潤滑空間48と接続された中間油路56(より詳細には、4つの中間溝56a)を有しているため、軸受部40を潤滑した後の潤滑油を誘導油路54の第2開口54b周辺に誘導できる。これにより、誘導油路54に潤滑油が流れ込みやすくなる。
中間油路56の中間溝56aが、連通孔54cと実質的に同じ円周方向位置に配置されているため、遠心力により中間溝56aから流れ出る潤滑油がさらに効率よく誘導油路54に供給される。
第1実施形態では、案内部材60が第5入力ギヤG5の第2面38に対向する第4入力ギヤG4に装着されているが、案内部材60が第5入力ギヤG5に装着されている場合も考えられる。図8〜図11を用いて第2実施形態に係る変速機101について説明する。
前述した第1および第2実施形態では、案内部材60,160の案内部62,162が第5入力ギヤG5と別体で設けられているが、案内部を第4入力ギヤまたは第5入力ギヤと一体形成してもよい。
前述した第1〜第3実施形態では、本体部を軸方向に貫通する誘導油路によりクラッチギヤ部に潤滑油を供給しているが、以下のような実施形態も考えられる。
本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
本発明は、FF車用の手動変速機だけでなく、FR(Front Engine Rear Drive)車用の手動変速機にも適用可能である。
前述の実施形態で開示した誘導油路や中間油路などの数は一例であり、少なくとも1つの誘導油路あるいは中間油路が設けられていればよい。
前述の実施形態では、第5入力ギヤG5が誘導油路54を有しているが、他のギヤにも本発明を適用できる。図16に変速機401の要部を示す。
前述の第1および第2実施形態では、案内部材60,160を設けているが、案内部材60,160がない場合であっても、クラッチギヤ部34へ潤滑油の一部を導くことは可能である。例えば、第5入力ギヤG5に凹部64および誘導油路54が設けられている場合であっても、中間油路56から流れ出た潤滑油が凹部64内を滞留し、誘導油路54に流れ込みやすくなる。これにより、クラッチギヤ部34に潤滑油を導くことができ、潤滑性能を向上させることができる。
3 入力シャフト(シャフトの一例)
3a 潤滑油路
21 第1ケース
21a 側壁(対向部材の一例)
30,130,230,330 本体部
32 変速ギヤ部
34 クラッチギヤ部
36 第1面
38 第2面
40 軸受部
48 潤滑空間
52 外歯
54,154,354 誘導油路
54a,351a 第1開口
54b,154b 第2開口
54c,154c,354c 連通孔
56 中間油路
56a 中間溝
60,160,260,360,460 案内部材(受け止め部の一例)
62,162,262,462 案内部
62a,162a 第1部分
62b,162b 第2部分
64 凹部
164,264 第1凹部(凹部の一例)
G4,G104,G204,G304 第4入力ギヤ(対向部材の一例)
G5,G105,G205,G305 第5入力ギヤ(ギヤの一例)
G406 第6入力ギヤ(ギヤの一例)
S3 第3シンクロ機構(シンクロ機構の一例)
Claims (13)
- 外周側に潤滑油を供給可能な潤滑油路を有するシャフトと、
前記シャフトと一体回転可能に設けられた機構であって、前記シャフトに対して軸方向に移動可能に設けられた切換部材を有するシンクロ機構と、
前記シャフトに対して回転可能なように前記シャフトの外周側に設けられた本体部と、前記本体部の外周部に設けられた変速ギヤ部と、前記切換部材と噛み合い可能なように設けられ前記切換部材と噛み合い可能な複数の外歯を有するクラッチギヤ部と、を有するギヤと、を備え、
前記本体部は、前記潤滑油路から供給された前記潤滑油の少なくとも一部を前記クラッチギヤ部に導く油路であって、隣り合う2つの前記外歯の間に配置された第1開口を有する誘導油路を有している、
変速機。 - 前記シャフトと前記ギヤの前記本体部との半径方向間に配置され、前記ギヤを前記シャフトに対して回転可能に支持する軸受部をさらに備え、
前記軸受部は、前記潤滑油路および誘導油路の間に配置された潤滑空間を有している、
請求項1に記載の変速機。 - 前記誘導油路は、前記クラッチギヤ部側の端部に設けられた前記第1開口と、前記第1開口と反対側の端部に設けられた第2開口と、を有する少なくとも1つの連通孔を有しており、
前記第1開口は、前記第2開口よりも半径方向外側に配置されている、
請求項1または2に記載の変速機。 - 前記潤滑油路から供給された前記潤滑油の少なくとも一部を受け止める受け止め部をさらに備えており、
前記誘導油路は、前記受け止め部により受け止められた潤滑油の少なくとも一部を前記クラッチギヤ部に供給可能である、
請求項1から3のいずれかに記載の変速機。 - 前記本体部に対して前記シンクロ機構と軸方向の反対側に配置された対向部材をさらに備え、
前記受け止め部は、前記本体部および前記対向部材のうち一方に対して、一体あるいは別体で設けられている、
請求項4に記載の変速機。 - 前記受け止め部は、前記本体部と前記対向部材との軸方向間に形成された空間を半径方向に分割するように軸方向に延びている、
請求項5に記載の変速機。 - 前記本体部は、前記シンクロ機構と軸方向の反対側に配置された凹部を有しており、
前記受け止め部の一部は、前記凹部内に配置されている、
請求項4から6のいずれかに記載の変速機。 - 前記本体部は、前記シンクロ機構と軸方向の反対側に配置された凹部を有しており、
前記受け止め部は、前記本体部と一体あるいは別体で設けられ、前記本体部から前記シンクロ機構と軸方向に反対側に突出しており、
前記受け止め部の少なくとも一部は、前記凹部の半径方向外側に配置されている、
請求項4から6のいずれかに記載の変速機。 - 前記誘導油路は、前記凹部内の空間に接続されている、
請求項7または8に記載の変速機。 - 前記本体部は、前記誘導油路よりも半径方向内側に配置され前記潤滑油路から供給された前記潤滑油の一部を前記誘導油路近傍へ導くことが可能な中間油路を有している、
請求項1から9のいずれかに記載の変速機。 - 前記中間油路は、前記第2開口と実質的に同じ円周方向位置に配置されている、
請求項10に記載の変速機。 - 前記誘導油路は、前記本体部の内周面に形成された内周側開口と前記第1開口とを連通する連通孔として形成されている、
請求項1に記載の変速機。 - 前記内周側開口は、前記第1開口に比べて開口面積が大きい凹部として形成されている、
請求項12に記載の変速機。
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