JP2009287614A - 平行軸歯車機構式変速機における同期装置 - Google Patents

平行軸歯車機構式変速機における同期装置 Download PDF

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Abstract

【課題】常時噛合い式の平行軸歯車機構式変速機において、変速機がニュートラル状態でエンジンがアイドル状態であるときの歯打ち音等を、簡易な装置により低減する。
【解決手段】平行軸歯車機構式変速機の噛合いクラッチCRに同期装置として設けられるシンクロナイザリングSRに、遊嵌歯車R2のコーン面CFの周囲を卷回する線状リング5を取付ける。噛合いクラッチCRが設置される軸は、変速機のニュートラル時には停止する軸であり、線状リング5の先端は、ニュートラル時においては、回転する遊嵌歯車R2のコーン面CFと接触して遊嵌歯車R2に回転抵抗を付与し、そのとき発生する歯打ち音を抑制する。変速機が動力伝達を行うときは、シンクロナイザリングSRが回転し、遠心力によって線状リング5の先端がコーン面CFから離れる。これにより遊嵌歯車R2の回転抵抗は解除され、動力伝達時の伝達損失が増加することはない。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の動力伝達装置等に用いられる常時噛合い式の平行軸歯車機構式変速機における同期装置に関し、さらに詳しくは、歯車の噛合いによって発生する歯打ち音等を低減する同期装置に関するものである。
平行軸歯車機構式変速機は、手動で変速を行ういわゆるマニュアル車(MT車)の変速機として各種の車両に広汎に用いられている。車両の動力伝達装置の変速機には、オートマ車(AT車)用の自動変速機もあり、乗用車を中心に普及が進んでいるが、自動変速機のトルクコンバータには流体動力伝達による伝達損失が存在し、また、遊星歯車機構及びその制御装置は複雑で高価なものである。平行軸歯車機構式変速機には、トルクコンバータの介在に伴う動力伝達損失がないので、車両の燃料経済性の面では自動変速機よりも優れており、変速機構の構成や操作も自動変速機に比べ簡易かつ信頼性の高いものとなる。こうしたことから、トラック等車両総重量の大きな車両では、多くの場合、平行軸歯車機構式変速機が搭載される。車両運転の容易化等のために、平行軸歯車機構式変速機を自動クラッチと組み合わせ、車両の走行状態に応じて電子制御装置により変速段を切換える動力伝達装置も存在する。
平行軸歯車機構式変速機は、常時噛合い式と呼ばれる歯車機構を備えた変速機であり、エンジン動力が入力される入力軸と平行にカウンタ軸が配置され、入力軸とカウンタ軸には、減速比の異なる複数の歯車列と噛合いクラッチとが設けられている。歯車列をなす2個の歯車は、それぞれ入力軸とカウンタ軸とに設置されるが、一方の歯車は、設置された軸に対して自由に回転できるように嵌め込まれた遊嵌歯車となっている。複数の歯車列の歯車は常に噛合いながら回転し、複数の遊嵌歯車の一つが噛合いクラッチによって軸と接続したときに、その歯車列を経由した動力伝達が行われる。
遊嵌歯車と軸とを断接する噛合いクラッチは、図4の概略図に示すように、スプラインSPを形成した変速スリーブSLをクラッチハブCHの外周に取付け、例えば入力軸ISとともに回転させるよう構成されている。遊嵌歯車G1又はG2を入力軸ISと結合するときは、変速スリーブSLを結合する遊嵌歯車の方向に摺動して、遊嵌歯車と一体的に設けられたドグ歯(ギヤスプライン)DにスプラインSPを噛合わせる。変速スリーブSLとドグ歯Dとの間には、同期装置としてよく知られているシンクロナイザリングSRが、遊嵌歯車の傾斜したコーン面CFに嵌められて配置されている。シンクロナイザリングSRは、変速スリーブSLを軸方向に移動した際にコーン面CFに押付けられ、両者の間の摩擦力により、入力軸ISの回転速度と遊嵌歯車の回転速度とが同期するまでは、変速スリーブSLがドグ歯Dと噛合う位置に移動するのを阻止する。シンクロナイザリングを径方向に分割して、複数の摩擦面を設けることもある。
ところで、常時噛合い式の平行軸歯車機構式変速機においては、動力伝達に関係しない歯車列の歯車、つまり、車両を駆動する負荷が作用しない歯車も常に噛合いながら回転している。噛合う2個の歯車の間には多少なりともバックラッシュが存在するため、変速機に入力されるエンジンの回転変動等に伴って、歯面同士の衝突が起こりいわゆる歯打ち音が発生する。特に、変速機がニュートラル状態にあって動力伝達が遮断されており、エンジンがアイドル状態で運転されているときには、エンジンの回転変動が大きくなるので、この歯打ち音が増大する。
常時噛合い式の平行軸歯車機構式変速機の歯打ち音を低減するには、軸に嵌め込まれた遊嵌歯車に回転抵抗を与え、回転抵抗により歯面同士に常に押付け力を付与する方法が有効であることが知られている。一例として、特開平7−259972号公報には、変速機の従動側歯車にブレーキ力を作用させて歯打ち音を抑制する方法が開示されている。この公報に開示される装置は、潤滑油の温度が低く粘性が大きいときにはもともと回転抵抗が大きいので、潤滑油の温度が所定値以上であって、しかも、エンジン回転数がアイドル回転数以上の場合にブレーキ力を作用させるよう構成されている。また、実公昭62−15558号公報には、形状記憶合金製のコイルばねを噛合いクラッチに設置し、潤滑油の温度が所定値以上のときには、シンクロナイザリングを遊嵌歯車の傾斜したコーン面に押付けて回転抵抗を付与する歯打ち音抑制方法が記載されている。
ちなみに、本出願人も、後述する図1に示す変速機の後退段の歯車に回転抵抗を付与した場合において、歯打ち音の原因となる回転変動に伴う加振力が変化する様子を測定する実験を行った。その結果、図5のグラフに示すとおり、後退段の歯車に少量の回転抵抗を与えると、後退段の歯車の加振力が大幅に低減するのみならず、1速段及び2速段の歯車の加振力も低減し、歯打ち音が抑制されることを確認している。
特開平7−259972号公報 実公昭62−15558号公報
常時噛合い式の平行軸歯車機構式変速機で発生する、特にエンジンのアイドル状態における歯打ち音は、歯車に回転抵抗を付与すると大幅に低減される。しかし、特許文献1の装置のように、エンジン回転数を検出しそれがアイドル回転数以上の場合にブレーキ力を作用させるものでは、アイドル状態以外には回転抵抗が除去されるものの、エンジン回転数のセンサや従動側歯車にブレーキ力を付与する装置が必要となって、歯打ち音抑制のための装置が複雑化する。
特許文献2の歯打ち音抑制方法では、潤滑油の温度が所定値以上のときには、エンジンがアイドル状態以外であっても、シンクロナイザリングが遊嵌歯車のコーン面に押付けられ回転抵抗が付与される結果、エンジンの負荷がその分増大して車両の燃料経済性が悪化する。また、シンクロナイザリングの内周面とコーン面とが常に接触しながら摺動するため、接触面での摩耗が増加することとなる。
本発明は、常時噛合い式の平行軸歯車機構式変速機において、単純な形状の部品を用いて歯車に付与する回転抵抗を調整し、エンジンがアイドル状態の際の歯打ち音等を低減するとともに、アイドル状態以外では回転抵抗を解除することを課題とする。
上記の課題に鑑み、本発明は、噛合いクラッチの同期装置におけるシンクロナイザリングに、遊嵌歯車のコーン面の周囲を卷回する線状リングを取付け、その端部を、変速機がニュートラル状態でエンジンがアイドル状態のときにのみ、コーン面と接触させて回転抵抗を与えるものである。すなわち、本発明は、
「常時噛合い式の平行軸歯車機構式変速機に設けられ、動力伝達用の軸とその軸に回転自在に嵌め込まれた遊嵌歯車との断接を行う噛合いクラッチの同期装置であって、
前記噛合いクラッチは、前記平行軸歯車機構式変速機がニュートラル状態のときに回転を停止する前記動力伝達用の軸に設置され、かつ、前記同期装置は、前記遊嵌歯車のコーン面に嵌められたシンクロナイザリングを備えており、さらに、
前記シンクロナイザリングには、その軸方向端面に、前記遊嵌歯車のコーン面の周囲を卷回する線状リングが取付けられており、
前記線状リングは、その一方の端部が前記シンクロナイザリングの端面に固定され、その他方の端部が、前記動力伝達用の軸の回転停止時において前記遊嵌歯車のコーン面に接触するとともに、前記動力伝達用の軸の回転数が所定回転数以上であるときは、前記線状リングに作用する遠心力により前記遊嵌歯車のコーン面から離れる」
ことを特徴とする噛合いクラッチの同期装置となっている。
請求項2に記載のように、前記線状リングをバイメタルにより構成し、前記平行軸歯車機構式変速機の潤滑油の温度が所定温度以下であるときは、前記線状リングの他端が、前記動力伝達用の軸の回転停止時において前記遊嵌歯車のコーン面から離れるようにすることが好ましい。
また、請求項3に記載のように、前記遊嵌歯車を、前記平行軸歯車機構式変速機の後退段を構成する歯車列の遊嵌歯車とすることが好ましい。
本発明では、常時噛合い式の平行軸歯車機構式変速機の噛合いクラッチに設けられ、同期装置を構成するシンクロナイザリングに、遊嵌歯車のコーン面の周囲を卷回する線状リングを取付け、その先端部を遊嵌歯車のコーン面と接触させる。噛合いクラッチの設置される動力伝達用の軸は、変速機がニュートラル状態のときには回転を停止する軸であり、ニュートラル状態では、シンクロナイザリングと線状リングとが停止して、線状リングの先端部が回転する遊嵌歯車のコーン面に接触し、遊嵌歯車に回転抵抗を付与する。これにより、遊嵌歯車の歯面は、噛合って歯車列をなす他方の歯車の歯面に押付けられ、ニュートラル時のエンジン(アイドル状態)の回転変動に起因して生じる歯打ち音が大幅に低減される。
変速機でエンジン動力の伝達が行われるニュートラル以外の状態では、噛合いクラッチの設置される動力伝達用の軸が回転し、シンクロナイザリングがその軸と同一回転数で回転する。シンクロナイザリングに取付けられた線状リングも回転し、回転数が所定回転数以上となると、線状リングに作用する遠心力によって、その先端部は、接触していた遊嵌歯車のコーン面から自動的に離れることとなる。そのため、線状リングが付与していた回転抵抗は解除され、変速機における動力伝達損失が増大することはなく、車両の燃料経済性の悪化を回避することができる。
本発明の線状リングは、線体を略円形状に屈曲させたリングであって、僅かな遠心力でも容易に変形し、先端部が確実に遊嵌歯車のコーン面から離れるようになる。また、線状リングが取付けられるシンクロナイザリングは、その内面が遊嵌歯車のコーン面と対向するよう単体として噛合いクラッチに設けられる部品である。したがって、本発明の回転抵抗を与える装置は、回転抵抗を調整する制御装置等を必要とせず、簡単な構造のリングをシンクロナイザリング単体に取付け、これを噛合いクラッチに組み付ければよいから、加工及び組立も容易である。
請求項2に記載の発明は、線状リングをバイメタルにより構成し、平行軸歯車機構式変速機の潤滑油の温度が所定温度以下であるときは、変速機のニュートラル時で噛合いクラッチの設置される動力伝達用の軸が停止している場合でも、線状リングの先端が遊嵌歯車のコーン面から離れるようにしたものである。変速機の潤滑油の温度が低いときはその粘性が高く、遊嵌歯車の回転抵抗が大きいので、歯打ち音の低減のため余分の回転抵抗を与える必要はない。請求項2に記載の発明では、潤滑油の温度が低いときは自動的に回転抵抗の付与が回避されるので、ニュートラル状態の変速機における引きずり抵抗が増加することはなく、そのときのエンジンの燃料消費の悪化が阻止される。
請求項3に記載の発明は、平行軸歯車機構式変速機の後退段を構成する歯車列の遊嵌歯車に、本発明の回転抵抗を与える装置を組み込んだものである。アイドラ歯車を含む3個の歯車が噛合う後退段の歯車列では、歯打ち音が大きくなる傾向にあるので、これに回転抵抗を与えたときは、効果的な騒音防止が達成される。
以下、図面に基づいて本発明の同期装置について説明する。まず、図1により、本発明の同期装置が適用される車両用変速機の概要について述べる。
この変速機は、同心に配置された入力軸1と出力軸2とを備え、入力軸1は、変速機の前方(図の左方)において、クラッチを介してエンジンに連結される(クラッチ及びエンジンは図示省略)。入力軸1は中間壁3を越えて後方に延びており、入力軸1の端部が、出力軸2の端部に設けられた出力軸端歯車2Gに軸受けされている。入力軸1と平行にカウンタ軸4が配置してあり、カウンタ軸4の端部に設けられたカウンタ軸端歯車4Gは、出力軸端歯車2Gと噛合っている。
変速機の中間壁3よりも前方の部分において、入力軸1には、1速段固定歯車11及び2速段固定歯車21が入力軸1と一体的に形成され、これらは、カウンタ軸4に回転自在に遊嵌された1速段遊嵌歯車12と2速段遊嵌歯車22とにそれぞれ噛合い、1速段及び2速段の歯車列を構成する。中間壁3よりも後方の部分では、カウンタ軸4に3速段固定歯車31及び4速段固定歯車41が固着されるとともに、入力軸1に3速段遊嵌歯車32と4速段遊嵌歯車42と遊嵌され、これらの歯車がそれぞれ噛合って、3速段及び4速段の歯車列を構成している。また、入力軸1と出力軸2とは噛合いクラッチによって連結可能となっており、両者が連結されたときは直結段を構成する。4速段は、出力軸2の回転数が入力軸1の回転数よりも大きいオーバートップ段となるよう、4速段固定歯車41と4速段遊嵌歯車42との歯車比を設定してもよい。
1速段の歯車列の前方には、後退段歯車列を構成するアイドラ歯車IG及び後退段遊嵌歯車R2が配置されている。アイドラ歯車IGは、入力軸1に形成された1速段固定歯車11と噛合うとともに、カウンタ軸4に遊嵌される後退段遊嵌歯車R2と噛合っている。つまり、1速段固定歯車11は、1速段と後退段の歯車列における固定歯車として兼用されるものであり、この変速機は、直結段を含め前進5段後退1段の変速段を有する変速機となっている。
入力軸1とカウンタ軸4には、その軸に嵌め込まれた遊嵌歯車と軸とを断接するための噛合クラッチが設置される。すなわち、カウンタ軸4には1速段−2速段用噛合クラッチC12及び後退段用噛合クラッチCRが置かれ、入力軸1には3速段−直結段用噛合クラッチC3D及び4速段用噛合クラッチC4が置かれている。これらの噛合クラッチは図4に示す噛合クラッチと同様なものであるが、1速段−2速段用噛合クラッチC12は、シンクロナイザリングを径方向に分割して複数の摩擦面を設けたものであり、また、後退段用噛合クラッチCRと4速段用噛合クラッチC4とは、片側のみに置かれた遊嵌歯車に噛合わせるものとなっている。噛合クラッチは、シフトロッドXを介して変速レバーYにより操作される。
変速機が例えば1速段であるときは、1速段−2速段用噛合クラッチC12が1速段遊嵌歯車12とカウンタ軸4とを連結し、エンジン動力は、入力軸1から1速段の歯車列を介してカウンタ軸4を回転させ、さらに、カウンタ軸端歯車4Gを介して出力軸2を駆動する。変速機がニュートラル状態のときには、全ての噛合クラッチが切断されて、カウンタ軸4の回転が停止する。この変速機は、ニュートラル状態ではカウンタ軸の回転が停止する形式の変速機であるが、平行軸歯車機構式変速機の中には、変速機の前方まで延長された出力軸(メインシャフト)に遊嵌歯車と噛合クラッチとを設置するものもあり、この場合には、ニュートラル状態では出力軸の回転が停止することとなる。
ここで、歯打ち音低減を目的とする本発明の同期装置について、図2等に示す実施例に基づいて説明する。この実施例は、歯打ち音が最も大きくなる後退段遊嵌歯車の噛合クラッチに本発明を適用したもので、図2(a)には後退段遊嵌歯車R2及び後退段用噛合クラッチCRの拡大断面図を、図2(b)には図2(a)のA−A断面矢視図を、分かり易いように、シンクロナイザリングとコーン面との間隙を拡大した状態で示す。
図2(a)において、カウンタ軸4に遊嵌された後退段遊嵌歯車R2の端面には、外周にドグ歯が形成され、かつ、コーン面CFを備えたドグ歯部材DMが圧入されており、ドグ歯部材DMは後退段遊嵌歯車R2と一体的に回転を行う。後退段用噛合クラッチCRには、図4の噛合クラッチと同様に、コーン面CFに対向する内周面を備えたシンクロナイザリングSRが設けられる。このような同期装置を設けることにより、後退段への変速を行うとき(車両の停止に伴い後退段用噛合クラッチCRの回転が停止)に、後退段遊嵌歯車R2が迅速に停止し、変速が短時間でスムースに完了することとなる。
シンクロナイザリングSRのドグ歯側の端面には、回転抵抗を付与するための線状リング5が取付けられている。図2(b)から明らかなように、線状リング5は、後退段遊嵌歯車R2のドグ歯部材DMに形成されたコーン面CFの周囲を卷回し、その一端がシンクロナイザリングSRに固着されるとともに、他端(先端)部はコーン面CFと接触するように配置されている。線状リング5は、金属製の弾性を有するリングであって、先端部がコーン面CFと接触することによって、後退段遊嵌歯車R2がシンクロナイザリングSRと相対的に回転したときに両者の間に摩擦が生じ、後退段遊嵌歯車R2に回転抵抗が与えられることとなる。この実施例では、線状リング5は、コーン面CFの周囲を全周に亘って卷回しているが、コーン面CFの周囲を部分的に卷回し、先端がコーン面CFに接触するよう構成してもよい。
変速機がニュートラル状態のときは、全ての噛合クラッチが切断されてエンジン動力の伝達が遮断される。このときは、カウンタ軸4及び後退段用噛合クラッチCRのシンクロナイザリングSRの回転は停止し、エンジン及び入力軸1がアイドル回転数で回転するので、後退段遊嵌歯車R2はカウンタ軸4上で空転している。後退段遊嵌歯車R2のコーン面CFには線状リング5が接触しているため、後退段遊嵌歯車R2には回転抵抗が付与され、後退段遊嵌歯車R2の歯面はアイドラ歯車IGの歯面に押付けられる。その結果、エンジンがアイドル状態であって回転変動が大きいときも、それに起因して生じる歯打ち音は大幅に低減される。
なお、ニュートラル状態においては、1速段遊嵌歯車12及び2速段遊嵌歯車22もカウンタ軸4上で空転する。しかし、1速段−2速段用噛合クラッチC12は、シンクロナイザリングを径方向に分割して複数の摩擦面を設けたものであって、シンクロナイザリングとコーン面との接触に伴う摩擦抵抗が大きいため、これらの遊嵌歯車から生じる歯打ち音等の騒音少なく、もともと問題とならない程度のものである(図5参照)。
変速機が例えば1速段に変速されると、1速段の歯車列を介してカウンタ軸4が回転し、後退段用噛合クラッチCRのシンクロナイザリングSRも同一回転数で回転する。そのため、線状リング5には遠心力が作用し、遠心力が所定値になると、線状リング5の先端部が、接触していた後退段遊嵌歯車R2のコーン面CFから自動的に離れることとなる。このように、エンジン動力の伝達が開始された時点では、線状リング5が付与していた回転抵抗が解除されるから、変速機における動力伝達損失が増大することはなく、車両の燃料経済性の悪化が回避される。
ところで、変速機には潤滑油が供給され、変速機の各歯車や噛合いクラッチには潤滑油が跳ね掛けられた状態で作動する。潤滑油の温度が低いときはその粘性が高く、遊嵌歯車の回転抵抗が大きいので、歯打ち音の低減のため余分の回転抵抗を与える必要はない。
シンクロナイザリングSRに取付けられる線状リング5の材料にバイメタルを用いると、潤滑油の温度が高いときにのみ自動的に回転抵抗を付与することが可能となる。つまり、温度が低い状態では、線状リング5の先端部がコーン面CFから離れたバイメタル製の線状リングを取付け、潤滑油の温度が所定温度以上となったときに、線状リングが変形して図2(b)の状態となるように構成すれば、潤滑油の温度が低い場合には、ニュートラル状態の変速機の引きずり抵抗が増加することはなく、アイドル時のエンジン燃料消費の悪化が回避される。
図3は、シンクロナイザリングにバイメタル製の線状リングを取付けたときの作動を概略的に示す図である。潤滑油温が低いときは、変速機がニュートラル状態でありカウンタ軸が停止しているときも、線状リングの先端部がコーン面から離れて回転抵抗は解除されており(図3(a))、カウンタ軸の回転による遠心力は、線状リングの先端部を離す方向に作用する(図3(b))。潤滑油温が高くなると線状リングが変形し、変速機がニュートラル状態でありカウンタ軸が停止しているときには、線状リングの先端部がコーン面と接触して回転抵抗が付与される(図3(c))。カウンタ軸が回転し変速機で動力伝達が行われるときは、遠心力で線状リングの先端部が離れ、回転抵抗は解除されるようになる(図3(d))。
以上詳述したように、本発明は、常時噛合い式の平行軸歯車機構式変速機において、同期装置として噛合いクラッチに設けられるシンクロナイザリングに、遊嵌歯車のコーン面の周囲を卷回する線状リングを取付け、変速機がニュートラル状態のときにその先端をコーン面と接触させて回転抵抗を与え、歯打ち音等を低減するものである。上記の実施例では、後退段用噛合クラッチのシンクロナイザリングに線状リングを取付け、主に後退段の歯車で生じる歯打ち音を低減させているが、その他の変速段のシンクロナイザリングにも線状リングを取付けることができるのは言うまでもない。また、上記の実施例は、ニュートラル状態ではカウンタ軸の回転が停止する形式の変速機に本発明を適用したものであるが、出力軸に遊嵌歯車と噛合クラッチとを設置しニュートラル状態で出力軸を停止させる変速機に本発明を適用するなど、実施例に対し種々の変形を加えることができるのは明らかである。
本発明が適用される変速機を示す図である。 本発明を実施した同期装置を示す図である。 本発明の作動を説明する図である。 平行軸歯車機構式変速機に用いられる噛合いクラッチの概略図である。 回転抵抗の付与による歯打ち音低減効果を示す図である。
符号の説明
1 入力軸
2 出力軸
4 カウンタ軸
5 線状リング
R2 後退段遊嵌歯車
CR 後退段用噛合クラッチ
SR シンクロナイザリング
CF コーン面

Claims (3)

  1. 常時噛合い式の平行軸歯車機構式変速機に設けられ、動力伝達用の軸とその軸に回転自在に嵌め込まれた遊嵌歯車との断接を行う噛合いクラッチの同期装置であって、
    前記噛合いクラッチは、前記平行軸歯車機構式変速機がニュートラル状態のときに回転を停止する前記動力伝達用の軸に設置され、かつ、前記同期装置は、前記遊嵌歯車のコーン面に嵌められたシンクロナイザリングを備えており、さらに、
    前記シンクロナイザリングには、その軸方向端面に、前記遊嵌歯車のコーン面の周囲を卷回する線状リングが取付けられており、
    前記線状リングは、その一方の端部が前記シンクロナイザリングの端面に固定され、その他方の端部が、前記動力伝達用の軸の回転停止時において前記遊嵌歯車のコーン面に接触するとともに、前記動力伝達用の軸の回転数が所定回転数以上であるときは、前記線状リングに作用する遠心力により前記遊嵌歯車のコーン面から離れることを特徴とする噛合いクラッチの同期装置。
  2. 前記線状リングは、バイメタルにより構成されており、前記平行軸歯車機構式変速機の潤滑油の温度が所定温度以下であるときは、前記線状リングの他端が、前記動力伝達用の軸の回転停止時において前記遊嵌歯車のコーン面から離れる請求項1に記載の噛合いクラッチの同期装置。
  3. 前記遊嵌歯車は、前記平行軸歯車機構式変速機の後退段を構成する歯車列の遊嵌歯車である請求項1又は請求項2に記載の噛合いクラッチの同期装置。
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