JP2015187464A - 変速機の同期装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】摩擦性能、必要な箇所での潤滑、対磨耗性能を確保する。【解決手段】シンクロナイザリング30は、基材31と、該基材上に貼り付けられて摩擦面を形成する摩擦部材32とを含み、摩擦面は、周方向に延び且つ軸方向に並んだ複数の凸部34を有する。基材31は、摩擦面の下側において軸方向に延びた油路35(又は36)を有し、シンクロナイザリング30の摩擦面をなす第1コーン面38はギヤ20側の第2コーン面28よりも広角(又は狭角)であり、油路の入口孔35a(又は出口孔36b)が、最もハブ5寄りの“初期接触”凸部34aよりもギヤ20側の部位(又は最もギヤ20寄りの初期接触凸部34bよりもハブ5側の部位)に設けられ、出口孔35b(又は入口孔36a)が、ハブ5(又はギヤ20)側の側面に設けられる。摩擦力大の初期接触凸部の部分で必要な潤滑が確保され、他の部分では溝によるバイパスにより過剰な潤滑保持を抑止する。【選択図】 図2
Description
本発明は、車両の変速機(トランスミッション)に用いられる同期装置(シンクロメッシュ装置)に関する。
マニュアルトランスミッション、オートマチック・マニュアルトランスミッション、デュアルクラッチトランスミッション等に用いられる同期装置(シンクロメッシュ装置)は、シンクロナイザリングに形成した摩擦面を相手側部材に圧接し、そこに発生する摩擦力で同期作用を発揮させるようになっている。同期作用が行われる過程でシンクロナイザリングの摩擦面は相手方部材に対して摺動するため、摩擦熱によって焼きつきや偏摩耗が発生しないように充分な潤滑を行う必要がある。この点に鑑みて、下記特許文献1においては、シンクロナイザリングの摩擦面において、シンクロナイザハブ側から供給された潤滑油を案内すべく軸線方向に延びる潤滑油溝を備え、該潤滑油溝の油路断面積がシンクロナイザハブ側からギヤ側に向かって漸次減少する(幅狭となる)ようにした構造が開示されている。このような構造の潤滑油溝を設けることにより、潤滑油の排出方向に向かい油路断面積が減少することで、潤滑油が摩擦面にとどまる時間が長くなり、摩擦熱によって焼きつきや偏摩耗が発生しないように充分な潤滑を行うことができる。
しかし、シンクロナイザリングの摩擦面における過剰な潤滑保持は、該摩擦面の動摩擦係数低下につながり、摩擦性能を悪化させるという問題が起こり得る。また、シンクロナイザリングの摩擦面に潤滑油溝を設けると、該溝の分だけ接触面積が減少し、対磨耗性能が悪化するという問題が起こり得る。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、摩擦熱によって焼きつきや偏摩耗が発生しないように必要な潤滑を行うことができるとともに、摩擦性能を悪化させることなく、かつ、対磨耗性能も悪化させることがないように構成した変速機の同期装置を提供しようとするものである。
本発明の第1の観点に係る変速機の同期装置(1)は、回転軸(2)と一体回転するように結合されたシンクロナイザハブ(5)と、前記回転軸に相対回転可能に支持されたギヤ(20)と、前記シンクロナイザハブと前記ギヤとの間に配置され、前記シンクロナイザハブの回転を前記ギヤに伝達する摩擦面が形成されたシンクロナイザリング(30)と、前記シンクロナイザハブに前記回転軸の軸線方向に摺動自在に支持されて前記シンクロナイザリングおよび前記ギヤに係合可能なスリーブ(10)とを備えた変速機の同期装置において、前記シンクロナイザリング(30)は、基材(31)と、該基材上に貼り付けられて前記摩擦面を形成する摩擦部材(32)とを含み、前記摩擦面は、周方向に延び且つ軸方向に並んだ複数の凸部(34)を有するように凹凸状に形成されてなり、前記基材(31)は、前記摩擦面の下側において、軸方向に延びた油路(35)を有し、前記シンクロナイザリング(30)の前記摩擦面は第1のコーン面(38)を成し、該摩擦面と接する前記ギヤ(20)側の部材は第2のコーン面(28)を成していて、前記第1のコーン面(38)は前記第2のコーン面(28)よりも広角であり、前記摩擦面において、前記複数の凸部(34)のうち最も前記シンクロナイザハブ(5)寄りの凸部(34a)よりも前記ギヤ側の部位にて、前記油路の入口孔(35a)が形成されており、前記シンクロナイザリング(30)の前記ギヤ(20)側の側面に前記油路の出口孔(35b)が形成されている、ことを特徴とする。なお、括弧内には、単なる参考のために、後述する実施例における対応する構成要素の図面参照番号を記している。
これによれば、第1及び第2のコーン面(38、28)は並行ではなく、第1のコーン面(38)が第2のコーン面(28)よりも広角であるため、スリーブ(10)の軸方向移動に伴ってギヤ係合がなされるときは、シンクロナイザリング(30)の摩擦面(第1のコーン面)は、最初に、小径寄りの箇所で、前記ギヤ20側の部材(第2のコーン面)に当接することになる(これを「小径当たり」という)。従って、ギヤ係合時には、シンクロナイザリング(30)の摩擦面において、前記複数の凸部のうち最も前記シンクロナイザハブ(5)寄りの凸部(34a)(便宜上「初期接触凸部」という)が最初に前記ギヤ側の部材(第2のコーン面)に接触し、それ以後になってから、他の凸部も該ギヤ側の部材(第2のコーン面)に接触するようになる。シンクロナイザリング(30)の基材(31)において、前記摩擦面の下側に設けられた前記油路(35)は、該摩擦面において潤滑油が滞留しないように排出を促進する排出油路として機能し得る。この油路の入口孔(35a)は、前記複数の凸部のうち最も前記シンクロナイザハブ(5)寄りの凸部(34a)(「初期接触凸部」)よりも前記ギヤ(20)側の部位に設けられているので、シンクロナイザハブ(5)の側から供給される潤滑油は、この「初期接触凸部」においては、まだ前記油路の入口孔(35a)に達しておらず、従って、この部分での潤滑油の排出促進はなされない。これにより、最も摩擦力が大きくなる「初期接触凸部」(34a)の部分において潤滑油が確保されることとなり、摩擦熱によって焼きつきや偏摩耗が発生しないように充分な潤滑を行うことができる。一方、「初期接触凸部」(34a)以外の摩擦面の凸部に関しては、潤滑油の一部が油路の入口孔(35a)から油路(35)内に導かれて、前記シンクロナイザリング(30)の前記ギヤ(20)側の側面に設けられた出口孔(35b)から排出されることにより、潤滑油の一部がバイパスされることになり、過剰な潤滑保持を抑止することができる。従って、相対的に摩擦力が小さくなる部分においては、過剰な潤滑保持による摩擦性能の悪化が起こらない。また、油路(35)は、摩擦面の下側の基材(31)に形成されるので、摩擦面の接触面積を損なうことがなく、対磨耗性能が悪化することがない。
本発明の第2の観点に係る変速機の同期装置(1)は、回転軸(2)と一体回転するように結合されたシンクロナイザハブ(5)と、前記回転軸に相対回転可能に支持されたギヤ(20)と、前記シンクロナイザハブと前記ギヤとの間に配置され、前記シンクロナイザハブの回転を前記ギヤに伝達する摩擦面が形成されたシンクロナイザリング(30)と、前記シンクロナイザハブに前記回転軸の軸線方向に摺動自在に支持されて前記シンクロナイザリングおよび前記ギヤに係合可能なスリーブ(10)とを備えた変速機の同期装置において、前記シンクロナイザリング(30)は、基材(31)と、該基材上に貼り付けられて前記摩擦面を形成する摩擦部材(32)とを含み、前記摩擦面は、周方向に延び且つ軸方向に並んだ複数の凸部(34)を有するように凹凸状に形成されてなり、前記基材(31)は、前記摩擦面の下側において、軸方向に延びた油路(36)を有し、前記シンクロナイザリング(30)の前記摩擦面は第1のコーン面(38)を成し、該摩擦面と接する前記ギヤ(20)側の部材は第2のコーン面(28)を成していて、前記第1のコーン面(38)は前記第2のコーン面(28)よりも狭角であり、前記シンクロナイザリング(30)の前記シンクロナイザハブ(5)側の側面に前記油路の入口孔(36a)が形成され、前記摩擦面において、前記複数の凸部のうち最も前記ギヤ(20)寄りの凸部(34b)よりも前記シンクロナイザハブ(5)側の部位にて、前記油路の出口孔(36b)が形成されている、ことを特徴とする。
この場合は、第1のコーン面(38)が第2のコーン面(28)よりも狭角であるため、スリーブ(10)の軸方向移動に伴ってギヤ係合がなされるときは、シンクロナイザリング(30)の摩擦面(第1のコーン面)は、最初に、大径寄りの箇所で、前記ギヤ20側の部材(第2のコーン面)に当接することになる(これを「大径当たり」という)。従って、ギヤ係合時には、シンクロナイザリング(30)の摩擦面において、前記複数の凸部のうち最も前記ギヤ(20)寄りの凸部(34b)(「初期接触凸部」という)が最初に前記ギヤ側の部材(第2のコーン面)に接触し、それ以後に、他の凸部も該ギヤ側の部材(第2のコーン面)に接触するようになる。シンクロナイザリング(30)の基材(31)において前記摩擦面の下側に設けられた前記油路(36)の入口孔(36a)は、シンクロナイザリング(30)のシンクロナイザハブ(5)側の側面に形成され、出口孔(36b)は、最も前記ギヤ(20)寄りの凸部(34b)(「初期接触凸部」)よりも前記シンクロナイザハブ(5)側の部位に設けられているので、シンクロナイザハブ(5)の側から供給される潤滑油の一部が、入口孔(36a)から油路(36)にバイパスし、「初期接触凸部」(34b)の手前で出口孔(36b)から排出されることになる。これにより、これにより、最も摩擦力が大きくなる「初期接触凸部」(34b)の部分において潤滑油が確保されることとなり、摩擦熱によって焼きつきや偏摩耗が発生しないように充分な潤滑を行うことができる。一方、「初期接触凸部」(34b)以外の摩擦面の凸部に関しては、潤滑油の一部が油路の入口孔(36a)から油路(36)内に導かれて出口孔(36b)から排出されることにより、潤滑油の一部がバイパスされることになり、過剰な潤滑保持を抑止することができる。従って、相対的に摩擦力が小さくなる部分においては、過剰な潤滑保持による摩擦性能の悪化が起こらない。また、この場合も、油路(36)は、摩擦面の下側の基材(31)に形成されるので、摩擦面の接触面積を損なうことがなく、対磨耗性能が悪化することがない。
以上のとおり、いずれの場合も、摩擦熱によって焼きつきや偏摩耗が発生しないように充分な潤滑を行うことができるとともに、摩擦性能を悪化させることなく、かつ、対磨耗性能も悪化させることがないように構成することができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる変速機の同期装置1を部分的に示す側断面図である。図1に示す同期装置1は、N速段とN+1速段の変速段を設定可能な同期装置の一部であり、実質的に同一の構成であるN速用の同期機構とN+1速用の同期機構を左右対称に備えているが、ここでは、右側の同期機構(N速用の同期機構)のみを図示している。本発明の特徴は、この同期装置1の一構成要素であるシンクロナイザリング(ブロッキングリング)30の摩擦面(テーパコーン面38)に関連する構造にあり、同期装置1の基本構成それ自体は公知の任意の構成を使用することができる。
まず、図1を参照して、同期装置1の基本的な構成について説明する。本実施形態の同期装置1は、回転軸2にスプライン嵌合されて一体回転するように結合されたシンクロナイザハブ5と、該回転軸2に相対回転可能に支持された変速ギヤ20と、シンクロナイザハブ5と変速ギヤ20との間に配置されたシンクロナイザスリーブ10及びシンクロナイザリング30とを備える。シンクロナイザスリーブ10は、シンクロナイザハブ5の外周に軸方向へ摺動自在にスプライン結合されている。変速ギヤ20は、シンクロナイザハブ5及びシンクロナイザスリーブ10に対して軸方向の側部に設置されている。シンクロナイザハブ5と変速ギヤ20との間に配置されたシンクロナイザリング30は、シンクロナイザハブ5の回転を該変速ギヤ20に伝達するための摩擦面(テーパコーン面38)が形成されている。
変速ギヤ20は、ニードルベアリング3を介して回転軸2上に回転自在に支持されている。変速ギヤ20のシンクロナイザハブ5側には、外周にドグスプライン26が形成されたドグギヤ25がスプライン嵌合している。シンクロナイザスリーブ10は、図示しないシフトフォークの摺動により、図1に示すニュートラル位置から軸方向に沿って左右に移動する。そして、右側のN速位置への移動によりN速変速段が確立される。
シンクロナイザハブ5の外周面には、スプライン歯6が形成されており、シンクロナイザスリーブ10の内周面には、シンクロナイザハブ5のスプライン歯6に噛み合うスプライン歯11が形成されている。
シンクロナイザリング30は、所定幅を有する円形環状の部材で、その内周面は円錐状の傾斜面からなるテーパコーン面38(第1のコーン面)となっており、後述するように、この部分が摩擦面として形成されている。ドグギヤ25のシンクロナイザハブ5側に延びたボス部27の外周には、軸方向に対して円錐状に傾斜する傾斜面からなるテーパコーン面28(第2のコーン面)が形成されている。テーパコーン面28の外周側にシンクロナイザリング30が嵌合し、ギヤ係合時のシンクロナイザスリーブ10の軸方向移動に伴い、テーパコーン面38,28(第1及び第2のコーン面)が摺接し、摩擦係合する。
シンクロナイザリング30の外周面には、径方向の外側に突出する複数のドグ歯33が形成されている。ドグ歯33は、シンクロナイザリング30の外周面における軸方向の一方(変速ギヤ20側)の端部において周方向に沿って複数個配列されている。そして、シンクロナイザリング30は、シンクロハブ5及びシンクロスリーブ10に対して、ドグ歯33の半ピッチ分だけ相対回転するようになっている。
また、シンクロナイザリング30の外周には、環状のシンクロスプリング40が設置されている。シンクロナイザスプリング40は、弾性金属製の線材を円形環状に形成した部品であって、シンクロナイザリング30の外周において、ドグ歯33に対して軸方向でシンクロナイザハブ5及びシンクロナイザスリーブ10側に隣接して設置されている。このシンクロナイザスプリング40は、シンクロナイザスリーブ10がニュートラル位置にあるとき、シンクロナイザリング30のドグ歯33と、シンクロナイザハブ5の軸方向の端面と、シンクロナイザスリーブ10のスプライン歯11の先端部(変速ギヤ20側の端部)とに囲まれた位置にある。そして、シンクロナイザスリーブ10が変速ギヤ20側に摺動すると、スプライン歯11の先端部の下端に設けた突出部11aで押圧されることで、ドグ歯33側に向かって軸心側(図の右斜め下側)へ押し出されるようになっている。
オイルポンプ(図示せず)から供給された潤滑油は、回転軸11の潤滑油路11b、シンクロナイザハブ5のボス部の内周面のスプラインの歯溝等を通過してニードルベアリング3を潤滑し、更に切欠き5aを通過して遠心力で径方向外側に飛散することで、シンクロナイザリング30の摩擦面(テーパコーン面38)を含むその他周辺部位を潤滑する。こうして、シンクロナイザハブ5の側から該シンクロナイザリング30の摩擦面(テーパコーン面38)に潤滑油が供給される。
次に、シンクロナイザリング30の摩擦面(テーパコーン面38)に関連する潤滑構造の第1実施例について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、シンクロナイザリング30のテーパコーン面38(第1のコーン面)に関連する部分の拡大断面図である。シンクロナイザリング30は、基材31と、該基材31上に貼り付けられて摩擦面を形成する摩擦部材32とを含む。摩擦部材32は、例えばカーボン製のシート状部材からなる。図3は、シンクロナイザリング30の内周面すなわち摩擦面の一部を展開して示す図である。摩擦部材(摩擦面)32は、周方向に延び且つ軸方向に並んだ複数の凸部34を有するように凹凸状に形成されている。この摩擦部材32における複数の凸部34の頂部の合計面積が、主として直接的な摩擦面の形成に関与する。各凸部34の間の凹みにより、周方向に延びた細溝37が形成される。この周方向の細溝37は、摩擦面上の潤滑油を周方向に排出(分散)させる働きをする。一例として、各凸部34の間の細溝37の幅は、潤滑油の入口側(ハブ5側)に近いほど狭くなり、潤滑油の出口側(ギヤ20側)に近いほど広くなるように、配置されている。また、1つの凸部34の周方向の長さは適量であり、周方向に複数の凸部34が断続的に配置される。周方向に隣接する凸部34の間に凹みにより、軸方向に延びた細溝39が形成される。この軸方向の細溝39は、摩擦面上の潤滑油を軸方向に排出させる働きをする。
図2に示すように、シンクロナイザリング30のテーパコーン面38(第1のコーン面)とギヤ20側のボス部27に設けられたテーパコーン面28(第2のコーン面)は並行ではなく、シンクロナイザリング30のテーパコーン面38(第1のコーン面)の方が、ギヤ20側のテーパコーン面28(第2のコーン面)よりも広角である。このため、シンクロナイザスリーブ10の軸方向移動に伴ってギヤ係合がなされるときは、シンクロナイザリング30の摩擦面(第1のコーン面)は、最初に、小径寄りの箇所で、ギヤ20側のボス部27に設けられたテーパコーン面28(第2のコーン面)に当接することになる。つまり、この第1実施例において、シンクロナイザリング30の摩擦面は、「小径当たり」となるように構成されている。
シンクロナイザリング30の基材31には、摩擦面(摩擦部材32)の下側において、軸方向に延びた油路35がトンネル状に形成されている。摩擦面(摩擦部材32)において、前記複数の凸部34のうち最もシンクロナイザハブ5寄りの凸部(これを符号34aで示す)よりもギヤ20側の部位(細溝37の箇所)に、該油路35の入口孔35aが形成されている。つまり、油路35のシンクロナイザハブ5寄りの端部が凸部34aの辺りに位置し、シンクロナイザリング30の側面には露出していない。そこで、油路35の入口孔35aに該当する箇所の摩擦面(摩擦部材32)に開口を設けることにより、油路35のシンクロナイザハブ5寄りの端部が通気されるようにし、該油路35の入口孔35aを形成する。一方、油路35のギヤ20寄りの端部は、シンクロナイザリング30のギヤ20側の側面に露出し、この部分に出口孔35bが形成されている。この油路35は、摩擦面上の潤滑油を入口孔35aから取込み、摩擦面をバイパスさせて、出口孔35bから排出させるように作用し、摩擦面において潤滑油が滞留しないように排出を促進する排出油路として機能する。同様の構成の油路35が、シンクロナイザリング30の内周に沿って複数設けられる。
以上の構成により、この第1実施例(「小径当たり」)においては、ギヤ係合時には、シンクロナイザリング30の摩擦面(摩擦部材32)において、複数の凸部34のうち最もシンクロナイザハブ5寄りの凸部34a(便宜上「初期接触凸部」という)が、最初に、ギヤ20側のボス部27に設けられたテーパコーン面28(第2のコーン面)に接触し、それ以後になってから、他の凸部34もテーパコーン面28(第2のコーン面)に接触するようになる。油路35の入口孔35aは、「初期接触凸部」34aよりもギヤ20側の部位に設けられているので、シンクロナイザハブ5の側から供給される潤滑油は、この「初期接触凸部」34aにおいては、まだ入口孔35aに達しておらず、従って、この部分での潤滑油の排出促進はなされない。これにより、最も摩擦力が大きくなる該「初期接触凸部」34aの部分において潤滑油が確保されることとなり、摩擦熱によって焼きつきや偏摩耗が発生しないように充分な潤滑を行うことができる。一方、「初期接触凸部」34a以外の摩擦面の凸部34に関しては、潤滑油の一部が油路35の入口孔35aから油路35内に導かれて、出口孔35bから排出されることにより、潤滑油の一部がバイパスされることになり、過剰な潤滑保持を抑止することができる。従って、相対的に摩擦力が小さくなる摩擦面部分においては、過剰な潤滑保持による摩擦性能の悪化が起こらないようにすることができる。また、油路35は、摩擦面の下側の基材31に形成されるので、摩擦面の合計接触面積を損なうことがなく、対磨耗性能が悪化することがないようにすることができる。
一例として、図3に破線で示すように、前記油路35は、その断面積がシンクロナイザハブ5側からギヤ20側に向かって漸次増加する(幅広となる)ような構造とされる。このような構造とすることにより、油路35による潤滑油の排出を促進することができ、相対的に摩擦力が小さくなる摩擦面部分において、過剰な潤滑保持による摩擦性能の悪化を一層防止することができる。なお、各凸部34の間の細溝37の幅を、潤滑油の入口側(ハブ5側)に近いほど狭くし、潤滑油の出口側(ギヤ20側)に近いほど広くなるようにすることによっても、同様に、潤滑油の排出を促進することができ、相対的に摩擦力が小さくなる摩擦面部分において、過剰な潤滑保持による摩擦性能の悪化を一層防止することができる。しかし、これに限らず、油路35の断面積を一定としてもよく、また、各凸部34の間の細溝37の幅を一定としてもよい。
次に、シンクロナイザリング30の摩擦面(テーパコーン面38)に関連する潤滑構造の第2実施例について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、図2と同様の拡大断面図であり、図5は、図3と同様の展開図である。この第2実施例においては、シンクロナイザリング30のテーパコーン面38(第1のコーン面)の方が、ギヤ20側のテーパコーン面28(第2のコーン面)よりも狭角となっている点が前記第1実施例と異なり、及びそれに伴い、シンクロナイザリング30の基材31に設ける油路36の構造が前記第1実施例と異なっている。第2実施例におけるその他の構成は前記第1実施例と同様である。以下、前記第1実施例と異なる点についてのみ説明する。
この第2実施例においては、シンクロナイザリング30のテーパコーン面38(第1のコーン面)の方が、ギヤ20側のテーパコーン面28(第2のコーン面)よりも狭角であるため、シンクロナイザスリーブ10の軸方向移動に伴ってギヤ係合がなされるときは、シンクロナイザリング30の摩擦面(第1のコーン面)は、最初に、大径寄りの箇所で、ギヤ20側のボス部27に設けられたテーパコーン面28(第2のコーン面)に当接することになる。つまり、この第2実施例において、シンクロナイザリング30の摩擦面は、「大径当たり」となるように構成されている。
シンクロナイザリング30の基材31には、摩擦面(摩擦部材32)の下側において、軸方向に延びた油路36がトンネル状に形成されている。油路36のシンクロナイザハブ5寄りの端部は、シンクロナイザリング30のハブ5側の側面に露出し、この部分に入口孔36aが形成されている。一方、摩擦面(摩擦部材32)において、前記複数の凸部34のうち最もギヤ20寄りの凸部(これを符号34bで示す)よりもハブ5側の部位(細溝37の箇所)に、該油路36の出口孔36bが形成されている。つまり、油路36のギヤ20寄りの端部が凸部34bの辺りに位置し、シンクロナイザリング30の側面には露出していない。そこで、油路36の出口孔36bに該当する箇所の摩擦面(摩擦部材32)に開口を設けることにより、油路36のギヤ20寄りの端部が通気されるようにし、該油路36の出口孔36bを形成する。この油路36は、潤滑油を入口孔36aから取込み出口孔36bから排出させて、最もギヤ20寄りの凸部34bを潤滑する一方で、その他の摩擦面上の凸部34をバイパスさせるように作用する。同様の構成の油路36が、シンクロナイザリング30の内周に沿って複数設けられる。
以上の構成により、この第2実施例(「大径当たり」)においては、ギヤ係合時には、シンクロナイザリング30の摩擦面(摩擦部材32)において、複数の凸部34のうち最もギヤ20寄りの凸部34b(便宜上「初期接触凸部」という)が、最初に、ギヤ20側のボス部27に設けられたテーパコーン面28(第2のコーン面)に接触し、それ以後になってから、他の凸部34もテーパコーン面28(第2のコーン面)に接触するようになる。油路36の出口孔36bは、「初期接触凸部」34bよりもシンクロナイザハブ5側の部位に設けられているので、シンクロナイザハブ5の側から供給される潤滑油の一部が、入口孔36aから油路36にバイパスし、「初期接触凸部」34bの手前で出口孔36bから排出されることになる。これにより、これにより、最も摩擦力が大きくなる「初期接触凸部」34bの部分において潤滑油が確保されることとなり、摩擦熱によって焼きつきや偏摩耗が発生しないように充分な潤滑を行うことができる。一方、「初期接触凸部」34b以外の摩擦面の凸部34に関しては、潤滑油の一部が油路の入口孔36aから油路36内に導かれて出口孔36bから排出されることにより、潤滑油の一部がバイパスされることになり、過剰な潤滑保持を抑止することができる。従って、相対的に摩擦力が小さくなる部分においては、過剰な潤滑保持による摩擦性能の悪化が起こらないようにすることができる。また、この場合も、油路36は、摩擦面の下側の基材31に形成されるので、摩擦面の合計接触面積を損なうことがなく、対磨耗性能が悪化することがないすることができる。
上記各実施例の変更例として、「初期接触凸部」(34a又は34b)の部分の素材として、他の部分に比べて摩擦係数μの低い摩擦部材を用いるようにしてもよい。これにより、最も摩擦力が大きくなる「初期接触凸部」(34a又は34b)の部分において、過度の摩擦による摩擦面の張り付き現象が起こることの防止に寄与できるものとなる。
1 同期装置
2 回転軸
5 シンクロナイザハブ
10 シンクロナイザスリーブ
20 変速ギヤ
28 テーパコーン面(第2のコーン面)
30 シンクロナイザリング
31 基材
32 摩擦部材
34 複数の凸部
35、36 油路
35a、36a 油路の入口孔
35b、36b 油路の出口孔
38 テーパコーン面(第1のコーン面)
2 回転軸
5 シンクロナイザハブ
10 シンクロナイザスリーブ
20 変速ギヤ
28 テーパコーン面(第2のコーン面)
30 シンクロナイザリング
31 基材
32 摩擦部材
34 複数の凸部
35、36 油路
35a、36a 油路の入口孔
35b、36b 油路の出口孔
38 テーパコーン面(第1のコーン面)
Claims (2)
- 回転軸と一体回転するように結合されたシンクロナイザハブと、
前記回転軸に相対回転可能に支持されたギヤと、
前記シンクロナイザハブと前記ギヤとの間に配置され、前記シンクロナイザハブの回転を前記ギヤに伝達する摩擦面が形成されたシンクロナイザリングと、
前記シンクロナイザハブに前記回転軸の軸線方向に摺動自在に支持されて前記シンクロナイザリングおよび前記ギヤに係合可能なスリーブと
を備えた変速機の同期装置において、
前記シンクロナイザリングは、基材と、該基材上に貼り付けられて前記摩擦面を形成する摩擦部材とを含み、前記摩擦面は、周方向に延び且つ軸方向に並んだ複数の凸部を有するように凹凸状に形成されてなり、
前記基材は、前記摩擦面の下側において、軸方向に延びた油路を有し、
前記シンクロナイザリングの前記摩擦面は第1のコーン面を成し、該摩擦面と接する前記ギヤ側の部材は第2のコーン面を成していて、前記第1のコーン面は前記第2のコーン面よりも広角であり、
前記摩擦面において、前記複数の凸部のうち最も前記シンクロナイザハブ寄りの凸部よりも前記ギヤ側の部位にて、前記油路の入口孔が形成されており、
前記シンクロナイザリングの前記ギヤ側の側面に前記溝の出口孔が形成されている、
ことを特徴とする変速機の同期装置。 - 回転軸と一体回転するように結合されたシンクロナイザハブと、
前記回転軸に相対回転可能に支持されたギヤと、
前記シンクロナイザハブと前記ギヤとの間に配置され、前記シンクロナイザハブの回転を前記ギヤに伝達する摩擦面が形成されたシンクロナイザリングと、
前記シンクロナイザハブに前記回転軸の軸線方向に摺動自在に支持されて前記シンクロナイザリングおよび前記ギヤに係合可能なスリーブと
を備えた変速機の同期装置において、
前記シンクロナイザリングは、基材と、該基材上に貼り付けられて前記摩擦面を形成する摩擦部材とを含み、前記摩擦面は、周方向に延び且つ軸方向に並んだ複数の凸部を有するように凹凸状に形成されてなり、
前記基材は、前記摩擦面の下側において、軸方向に延びた油路を有し、
前記シンクロナイザリングの前記摩擦面は第1のコーン面を成し、該摩擦面と接する前記ギヤ側の部材は第2のコーン面を成していて、前記第1のコーン面は前記第2のコーン面よりも狭角であり、
前記シンクロナイザリングの前記シンクロナイザハブ側の側面に前記油路の入口孔が形成され、
前記摩擦面において、前記複数の凸部のうち最も前記ギヤ寄りの凸部よりも前記シンクロナイザハブ側の部位にて、前記溝の出口孔が形成されている、
ことを特徴とする変速機の同期装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014064904A JP2015187464A (ja) | 2014-03-26 | 2014-03-26 | 変速機の同期装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014064904A JP2015187464A (ja) | 2014-03-26 | 2014-03-26 | 変速機の同期装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015187464A true JP2015187464A (ja) | 2015-10-29 |
Family
ID=54429786
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014064904A Pending JP2015187464A (ja) | 2014-03-26 | 2014-03-26 | 変速機の同期装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015187464A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107289099A (zh) * | 2016-04-08 | 2017-10-24 | 本田技研工业株式会社 | 同步器的防粘连结构 |
KR102104365B1 (ko) * | 2019-12-02 | 2020-04-24 | 두알산업 주식회사 | 변속기용 싱크로나이저 링 |
-
2014
- 2014-03-26 JP JP2014064904A patent/JP2015187464A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107289099A (zh) * | 2016-04-08 | 2017-10-24 | 本田技研工业株式会社 | 同步器的防粘连结构 |
KR102104365B1 (ko) * | 2019-12-02 | 2020-04-24 | 두알산업 주식회사 | 변속기용 싱크로나이저 링 |
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