JP2012057786A - 変速機の同期結合機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造に手間やコストがかからない簡単な構成でありながら、ブロッキングリングの摩擦面の引き摺りによるフリクションを効果的に低減できる変速機の同期結合機構を提供する。
【解決手段】同期結合機構10のブロッキングリング20は、アウターリング21とインナーリング23との間に配置されたシンクロコーン25を備えている。シンクロコーン25は、軸方向に対して傾斜するテーパ状の摩擦面25a,25bがアウターリング21とインナーリング23とに当接可能である共に、変速ギヤ3に対して相対回転不能に係合する係合部30を有している。係合部30における係合穴28と係合突起29との間には、コイルばね(弾性部材)32が介在しており、このコイルばね32でシンクロコーン25がシンクロハブ6側へ押圧されることで、摩擦面25bがインナーリング23から離間する方向へ付勢される。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両などに用いられる変速機の同期結合機構に関し、詳細には、マルチコーン構造のブロッキングリングを備えた同期結合機構に関する。
マニュアルトランスミッション(MT)をはじめとする各種の変速機は、複数段の変速ギヤ列を有しており、シフトレバーによって変速段を切り換えて各段のギヤを噛合させる。これにより、走行条件に応じてエンジンの動力を変換して出力することで、車輪を駆動するように構成されている。このような変速機においては、ギヤの噛み合い状態の切り換えを伴う変速の際に、シンクロ荷重(シフト操作荷重)を低減して変速操作を迅速且つ容易に行うための機構として、同期結合機構(シンクロメッシュ機構)を備えている。
このような同期結合機構としては、シンクロリング(シンクロナイザリング)とドグギヤとをテーパ面同士の接触で当接させるシングルコーン方式の同期結合機構のほか、インナーリングとアウターリングとの間に挟まれたシンクロコーンをその内外周のテーパ状の摩擦面でインナーリング及びアウターリングにそれぞれ当接させるダブルコーン方式の同期結合機構が知られている。さらにトリプルコーン方式の同期結合機構もある。マニュアルトランスミッションのほか、AMT(Automatic Manual Transmission)、デュアルクラッチトランスミッションなどにおける変速段の一部には、ダブルコーン方式の同期結合機構が採用されている。
ダブルコーン方式の同期結合機構では、変速機の回転軸に固定したシンクロハブにスプライン結合したシンクロスリーブを軸方向に移動させる。そして、シンクロスリーブの内周に形成したスプライン歯でシンクロスプリングを介してブロッキングリングを径方向の内向きに押圧する。その後、回転軸に相対回転可能に支持した変速ギヤをブロッキングリングに摩擦係合させて同期回転させる。これにより、シンクロスリーブのスプライン歯をブロッキングリングのドグ歯及び変速ギヤのドグ歯に噛合させて、変速ギヤを回転軸に結合するようになっている。
ここで、シンクロコーンの内周側及び外周側の摩擦面をそれぞれインナーリング及びアウターリングに当接させる構造では、シフト操作を実行する該当変速段のシフト操作荷重を低減できる反面、シフト操作時以外では、摩擦面の摺接によってシンクロ機構自体のフリクションが増加するという問題を有している。
すなわち、シフト操作時以外の通常走行時には、シンクロコーンの摩擦面がアウターリング及びインナーリングに摺接することで引き摺りが生じ、当該引き摺りに伴うフリクションが発生し、トランスミッション効率が悪化するおそれがある。また、シフト操作時であっても、シフト操作が行われている該当段以外の変速段のブロッキングリングで引き摺りに伴うフリクションが発生することで、シフト荷重効率が悪化(低減)するおそれがある。
また、マルチコーン方式の同期結合機構は、軸心給油方式の場合、シンクロコーンの外周面とアウターリングの内周面との間に潤滑油が溜まり易い構造になっている。そのため、これらの間に溜まった潤滑油の遠心力によって、シンクロコーンに対して軸方向で変速ギヤに向かう押付力が働く。このことによってもシンクロコーンとインナーリングとの間の摩擦面のフリクションが増加するおそれがある。
上記のような問題に対処するための従来技術として、特許文献1に記載の同期結合機構がある。特許文献1に記載の同期結合機構は、シンクロコーンのテーパ状の摩擦面を周方向に沿って波打つ形状に形成している。これにより、該当段のシフト操作時以外において、摩擦面の接触面積を少なく抑えることができるので、インナーリング及びアウターリングに接触するシンクロコーンの摩擦面のフリクションを低減できる。
特開2006―132646号公報
しかしながら、特許文献1に記載のシンクロコーンは、波打つ形状の摩擦面がインナーリング及びアウターリングに対して点接触(線接触)で接触する。したがって、当該接触によって、摩擦面には少ないながらもフリクションが発生する。
また、特許文献1に記載のシンクロコーンは、軸方向に沿って傾斜するテーパ状の摩擦面を、さらに周方向に沿って波打つ形状に形成している。このような複雑な形状であるため、シンクロコーンの加工が難しく、加工精度の確保も容易でない。そのため、部品の製造に手間やコストがかかる要因になっている。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造に手間やコストがかからない簡単な構成でありながら、シンクロコーンの摩擦面の引き摺りによるフリクションを効果的に低減できる変速機の同期結合機構を提供することにある。
本発明にかかる変速機の同期結合機構は、回転軸(2)に相対回転可能に支持された変速ギヤ(3)と、回転軸(2)に結合されたシンクロハブ(6)と、シンクロハブ(6)に対して回転軸(2)の軸方向に沿って移動可能にスプライン結合されたシンクロスリーブ(7)と、シンクロハブ(6)と変速ギヤ(3)との間に配置されて、シンクロスリーブ(7)の移動に伴いシンクロハブ(6)と変速ギヤ(3)との摩擦係合を可能にするブロッキングリング(20)と、を備えた変速機の同期結合機構(10)において、ブロッキングリング(20)は、径方向の外側に配置されて、シンクロスリーブ(7)に噛合可能なドグ歯(21b)を外周に有するアウターリング(21)と、径方向の内側に配置されてアウターリング(21)と相対回転不能に係合するインナーリング(23)と、径方向におけるアウターリング(21)とインナーリング(23)との間に配置されて、軸方向に対して傾斜するテーパ状の摩擦面(25a,25b)がアウターリング(21)とインナーリング(23)とに当接可能であると共に、変速ギヤ(3)に対して相対回転不能に係合する係合部(30)を有してなるシンクロコーン(25)と、で構成されており、係合部(30)において軸方向に沿ってシンクロコーン(25)をシンクロハブ(6)側へ付勢する付勢手段(32,40)を備え、該付勢手段(32,40)によって、シンクロコーン(25)のインナーリング(23)に接する摩擦面(25b)が該インナーリング(23)から離間する方向へ付勢されることを特徴とする。
本発明にかかる変速機の同期結合機構によれば、係合部において軸方向に沿ってシンクロコーンをシンクロハブ側へ付勢する付勢手段を備え、該付勢手段によって、シンクロコーンのインナーリングに接する摩擦面が該インナーリングから離間する方向へ付勢されるようにした。これにより、該当変速段のシフト操作時以外において、インナーリングに接するシンクロコーンの摩擦面の引き摺りを効果的に防止できる。したがって、製造に手間やコストがかからない簡単な構成でありながら、同期結合機構のブロッキングリングに発生するフリクションを低減することが可能となる。
また、本発明に係る同期結合機構の一実施態様として、上記の係合部(30)は、シンクロコーン(25)に設けた変速ギヤ(3)に向けて突出する係合突起(29)と、変速ギヤ(3)に設けた係合突起(29)を係合させる係合穴(28)とを備え、付勢手段(32,40)は、係合穴(28)と係合突起(29)との間に介在する弾性部材(32)であってよい。これによれば、係合部に弾性部材を設置するだけの簡単な構成でありながら、該当変速段のシフト操作時以外において、摩擦面がインナーコーンから離間するようにシンクロコーンを付勢できるので、摩擦面の引き摺りを効果的に防止することが可能となる。
また、本発明に係る同期結合機構の他の実施態様として、上記の係合部(30)は、シンクロコーン(25)に設けた変速ギヤ(3)に向けて突出する係合突起(29)と、変速ギヤ(3)に設けた係合突起(29)を係合させる係合穴(28)とを備え、付勢手段(32,40)は、係合穴(28)の内面に形成した軸方向に対して傾斜する第1の傾斜面(41)と、係合突起(29)の外面に形成した軸方向に対して傾斜する第2の傾斜面(42)とが接触する接触部(40)であってよい。これによれば、係合穴(28)の内面と係合突起(29)の外面を傾斜面状に加工するだけの簡単な構成でありながら、第1の傾斜面(41)と第2の傾斜面(42)とが接触することで、シフト操作時以外において、摩擦面がインナーコーンから離間するようにシンクロコーンを付勢できるので、摩擦面の引き摺りを効果的に防止することが可能となる。
また、本発明にかかる同期結合機構では、アウターリング(21)とインナーリング(23)は、インナーリング(23)に設けた切欠部(23c)とアウターリング(21)に設けた係合片(21c)との係合で一体に固定されており、回転軸(2)側から径方向の外側へ供給される潤滑油が、切欠部(23c)における係合片(21c)との隙間(X)からインナーリング(23)とアウターリング(21)との間(Y)に導入されるように構成するとよい。これによれば、軸心給油方式において、回転軸側から供給される潤滑油をインナーリングとアウターリングとの間に導入して溜めることができるので、当該潤滑油の圧力(遠心力)で、インナーリングに対してアウターリングを離間する方向に付勢できる。これにより、シフト操作時以外において、アウターリング及びインナーリングに接するシンクロコーンの摩擦面の引き摺りを防止することができる。したがって、同期結合機構のブロッキングリングに発生するフリクションをより効果的に低減することが可能となる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明にかかる変速機の同期結合機構によれば、簡単な構成で、シンクロコーンにおけるインナーリング及びアウターリングに接する摩擦面の引き摺りを防止でき、ブロッキングリングのフリクションを効果的に低減することが可能となる。
本発明の第1実施形態にかかる同期結合機構を有する同期装置の構成例を示す縦断面図である。 同期結合機構の詳細構成を示す図で、図1のA部分の部分拡大図である。 同期結合機構が備えるブロッキングリングを一部切断状態で示した斜視図である。 (a)は、シンクロコーンの正面図であり、(b)は、(a)のB−B線断面図である。 アウターリングとインナーリングを軸方向から見た構成例を示す図で、(a)は、インナーリングの一部を示す図、(b)は、アウターリングの一部を示す図である。 シンクロコーンに設けた係合爪の構成を説明するための図である。 本発明の第2実施形態にかかる同期結合機構の詳細構成を示す図で、図1のA部分に対応する部分の部分拡大図である。 ブロッキングリングを一部切断状態で示した斜視図であり、係合部の詳細構成を示す図である。 係合穴のテーパ面と係合爪のテーパ面とで構成された接触部の作用を説明するための模式図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかる同期結合機構(シンクロメッシュ機構)を有する同期装置を示す縦断面図である。また、図2は、図1におけるA部分の部分拡大図である。図1に示す同期装置1は、車両用のマニュアルトランスミッションが備える所定の変速段用の同期装置であって、軸方向の両側それぞれに配置されたn(n=1,3,・・・)速用の同期結合機構10と、n+1速用の同期結合機構11とを備えている。ここで、本発明にかかる同期結合機構の構成は、同図に示すn速用の同期結合機構10に採用されているため、以下、n速用の同期結合機構10の構成及び動作を中心に説明する。また、以下の説明で右、左というときは、図1に示す状態での回転軸2の軸方向に沿った右方向、左方向を指すものとする。
同期結合機構10は、回転軸2の外周に支持されたn速用の変速ギヤ3を回転軸2に同期結合させるための機構である。変速ギヤ3は、カラー4及びニードルベアリング5を介して回転軸2の外周に相対回転自在に支持されている。軸方向における変速ギヤ3の一方の側部には、回転軸2にスプライン結合された環状のシンクロハブ6が設置されており、シンクロハブ6の外周側には、軸方向に沿って摺動自在にスプライン結合されたシンクロスリーブ7が設置されている。シンクロハブ6の外周面には、スプライン歯6aが形成されており、シンクロスリーブ7の内周面には、シンクロハブ6のスプライン歯6aに噛み合うスプライン歯7aが形成されている。シンクロスリーブ7は、外周の凹部7bに係合するシフトフォーク8によって、図1に示すニュートラル位置から左右それぞれに移動するようになっている。
シンクロハブ6の一方の側面(変速ギヤ3側の側面)に形成された環状の凹部6bには、ブロッキングリング20が設置されている。ブロッキングリング20は、径方向の外側に配置されたアウターリング21と、径方向の内側に配置されたインナーリング23と、径方向におけるアウターリング21とインナーリング23との間に挟まれたシンクロコーン25とで構成されている。
図3は、同期結合機構10の構成部品を一部切断状態で示した斜視図である。また、図4(a)は、シンクロコーン25を軸方向から見た正面図であり、同図(b)は、同図(a)のB−B線断面図である。シンクロコーン25は、所定幅の薄板状の円筒状で、その外周面及び内周面は、軸方向に沿って傾斜するテーパ状の摩擦面25a,25bになっている。摩擦面25a,25bは互いに平行で、シンクロハブ6側から変速ギヤ3側に向かって次第に拡径する方向に傾斜している。そして、図2に示すように、外側の摩擦面25aは、アウターリング21の内周面に対して摺動可能に接触するようになっている。一方、内側の摩擦面25bは、インナーリング23の外周面に対して摺動可能に接触するようになっている。
また、図2及び図3に示すように、アウターリング21は、軸方向に沿う円筒状の部分と径方向に沿う円板状の部分とで略L字型の断面形状を有するフランジ部21aを備えている。また、アウターリング21における変速ギヤ3側の端辺の外周には、ドグ歯21bが形成されている。一方、図1及び図2に示すように、変速ギヤ3におけるシンクロハブ6側の端面3aには、ドグギヤ27が一体に固定されている。ドグギヤ27の外周におけるアウターリング21の外周に隣接する位置には、ドグ歯27bが形成されている。
シンクロスリーブ7の内周に設けたスプライン歯7aの軸方向の端部には、テーパ形状のチャンファC1が形成されている。また、アウターリング21のドグ歯21b及び変速ギヤ3(ドグギヤ27)のドグ歯27bには、スプライン歯7aのチャンファC1とは逆方向にテーパする形状のチャンファC2,C3が形成されている。
インナーリング23は、所定幅の薄板状の円筒状で、シンクロハブ6側から変速ギヤ3側に向かって次第に拡径するように傾斜している。図5は、軸方向から見たアウターリング21とインナーリング23の構成例を示す図で、(a)は、インナーリング23の一部を示す図、(b)は、アウターリング21の一部を示す図である。アウターリング21に設けたフランジ部21aの内周端辺には、所定間隔で複数個の係合片21cが設けられている。係合片21cは、矩形状(長方形状)の凸部として形成されている。一方、インナーリング23におけるシンクロハブ6側の端辺における各係合片21cに対応する位置には、切欠部23cが設けられている。切欠部23cは、矩形状(長方形状)の凹部として形成されている。各切欠部23cは、各係合片21cを嵌合させることが可能な幅寸法を有している。
図2及び図3に示すように、径方向に延びる各係合片21cは、軸方向に延びる各切欠部23cに対して略直角に交わっており、各係合片21cは各切欠部23cに対して嵌め合いで係合している。そして、各係合片21cが各切欠部23cに係合した状態で、切欠部23cにおける係合片21cとの間には、隙間Xが形成されるようになっている。隙間Xは、切欠部21cと同じ幅寸法を有し、回転軸2に向かって(内径側に)開口する矩形状の貫通穴からなる。
係合片21cと切欠部23cの係合によって、アウターリング21とインナーリング23は相対回転不能に係止されている。これにより、アウターリング21とインナーリング23は、径方向の両側からシンクロコーン25を挟んだ状態でシンクロコーン25に対して一体に回転するようになっている。
一方、図2などに示すように、変速ギヤ3に固定したドグギヤ27の端面27aには、係合穴28が設けられている。係合穴28は、軸方向に延びてドグギヤ27を貫通して変速ギヤ3の端面3aに達する略円筒状の貫通穴である。この係合穴28は、ドグギヤ27の周方向に沿って所定間隔で複数個が設けられている。一方、シンクロコーン25における変速ギヤ3側の端辺25cには、ドグギヤ27の係合穴28に係合する係合爪(係合突起)29が設けられている。係合爪29は、シンクロコーン25の端辺25cにおける周方向に沿って係合穴28に対応する位置にそれぞれ設けられている。各係合爪29は、先端側が係合穴28に挿入されるように軸方向に突出する小突起状の部分である。上記の係合穴28と係合爪29とで、シンクロコーン25を変速ギヤ3に係合させる係合部30が構成されている。
係合穴28と係合爪29との間には、シンクロコーン25を軸方向に沿ってシンクロハブ6側に付勢するための付勢手段であるコイルばね(弾性部材)32が設置されている。図6は、シンクロコーン25に設けた係合爪29の構成を説明するための図である。同図に示すように、シンクロコーン25に設けた係合爪29は、その外周面に段部29aを有する形状になっている。そして、図2及び図3に示すように、コイルばね32は、軸方向の一端が変速ギヤ3の端面3aに当接しており、他端が係合爪29の先端に被せられて係合爪29の段部29aに当接している。このように、係合爪29にコイルばね32を当接させるための段部29aを形成したことで、係合爪29に取り付けたコイルばね32が簡単に外れない構造となっている。
次に、上記構成の同期結合機構10におけるシフト操作時の同期結合動作について説明する。シンクロスリーブ7がニュートラル位置にあるときは、ブロッキングリング20には荷重が作用しない。したがって、アウターリング21及びインナーリング23に対向するシンクロコーン25の摩擦面25a,25bには摩擦力が発生しておらず、シンクロコーン25は、アウターリング21及びインナーリング23に対して相対回転可能な状態にある。そのため、アウターリング21及びインナーリング23はシンクロハブ6と一体的に回転し、シンクロコーン25は変速ギヤ3と一体的に回転する。したがって、シンクロスリーブ7と変速ギヤ3との間には、同期作用が発生しない。
この状態で、シンクロスリーブ7をシンクロハブ6に対して左方向に移動させると、シンクロスリーブ7のスプライン歯7aに設けたチャンファC1がアウターリング21のドグ歯21bに設けたチャンファC2に接触する。これによって、アウターリング21が軸方向に押されることで、シンクロコーン25の両摩擦面25a,25bとアウターリング21及びインナーリング23との間に同期のための摩擦力が発生する。その結果、当該摩擦力でシンクロコーン25がシンクロスリーブ7と一体化し、係合部30でシンクロコーン25と係合している変速ギヤ3の回転がシンクロスリーブ7の回転に同期する。
シンクロスリーブ7がさらに左方向に移動すると、スプライン歯7aのチャンファC1とアウターリング21のドグ歯21bのチャンファC2との係合が外れ、スプライン歯7aとドグ歯21bが完全に噛み合う。これにより、チャンファC1,C2の係合による軸方向荷重が消滅するため、シンクロコーン25の摩擦面25a,25bに作用する摩擦力は減少する。
シンクロスリーブ7がさらに左方向に移動すると、スプライン歯7aのチャンファC1と変速ギヤ3のドグ歯27bのチャンファC3とが係合し、その楔作用でシンクロスリーブ7及び変速ギヤ3が僅かに相対回転することにより、シンクロスリーブ7のスプライン歯7aが変速ギヤ3のドグ歯27bに噛み合ってn速段が確立する。このようにして、図1に示す状態からシンクロスリーブ7が左方向に移動すると、スプライン歯7aがアウターリング21のドグ歯21b及び変速ギヤ3のドグ歯27bに噛合するようになっている。
ところで、本実施形態の同期結合機構10では、シンクロコーン25と変速ギヤ3が係合する係合部30に設置したコイルばね(弾性部材)32を備えている。このコイルばね32によって、シンクロコーン25がシンクロハブ6側に押圧されている。したがって、当該押圧力によって、摩擦面25bがインナーリング23から離間する方向へシンクロコーン25が付勢されている。これにより、同期結合機構10での該当変速段(n速段)のシフト操作時以外において、インナーリング23に接触する摩擦面25bの引き摺りを防止することができる。よって、同期結合機構10のブロッキングリング20に生じるフリクションを効果的に低減することが可能となる。
また、この同期結合機構10では、アウターリング21は、その内周側に潤滑油が溜まる形状のフランジ部21aを有していると共に、アウターリング21とインナーリング23は、アウターリング21に設けた係合片21cと、インナーリング23に設けた切欠部23cとの係合で一体に固定されている。そして、切欠部23cにおける係合片21cとの間には、隙間Xが設けられている。これにより、図2に示す矢印のように、軸心給油構造によって回転軸2側から外径側に供給される潤滑油が、切欠部23cにおける係合片21cとの隙間Xからインナーリング23とアウターリング21の間のスペースYに導入されてそこに溜まるようになっている。
この構成によれば、軸心給油方式を採用している変速機において、回転軸2側から供給される潤滑油をインナーリング23とアウターリング21との間のスペースYに導入して溜めることができるので、当該潤滑油の圧力(遠心力)で、インナーリング23に対してアウターリング21が離間する方向に付勢されるようになる。これにより、シンクロコーン25のアウターリング21に接する摩擦面25a、及びインナーリング23に接する摩擦面25bの引き摺りを防止することができる。したがって、該当変速段のシフト操作時以外において、同期結合機構10のブロッキングリング20に発生するフリクションをより効果的に低減することが可能となる。
特に、本実施形態の同期結合機構10では、係合部30に設置したコイルばね32の付勢力と、インナーリング23とアウターリング21との間に溜まる潤滑油の遠心力(遠心油圧)とのバランスによって、ダブルコーン方式の同期結合機構10が有するブロッキングリング20の摩擦面25a,25bにクリアランスを設けることができるので、ブロッキングリング20のフリクションを効果的に低減できる。
なお、本実施形態の同期結合機構10では、従来構成の同期結合機構と比較して、アウターリング21の係合片21c及びインナーリング23の切欠部23cの周方向における寸法(長さ寸法)をより大きくするような形状変更を行っている。すなわち、従来構成の同期結合機構(図示せず)では、周方向における係合片21c及び切欠部23cの長さ寸法が、本実施形態よりも小さい寸法であったのに対して、本実施形態の同期結合機構10では、各係合片21c及び切欠部23cの周方向の寸法を大きくしている。具体的には、係合片21c及び切欠部23cの部分を、隣接するそれ以外の部分よりも長くしている。これにより、切欠部23cに設けた隙間Xの寸法(周方向の長さ寸法)を従来構成よりも大きく確保できるので、隙間Xからアウターリング21とインナーリング23の間に導入される潤滑油の量が多くなる。これにより、回転軸2側から供給された潤滑油をインナーリング23とアウターリング21との間のスペースYにより多く溜めることができる。したがって、当該潤滑油の圧力(遠心力)で、インナーリング23に対してアウターリング21を離間する方向に付勢することが効果的に行えるようになる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同じである。この点は、他の実施形態においても同様である。
図7は、本発明の第2実施形態にかかる同期結合機構10−2の詳細構成を示す図で、図1のA部分に対応する部分の部分拡大図である。本実施形態の同期結合機構10−2では、シンクロコーン25をシンクロハブ6側へ付勢する付勢手段として、第1実施形態の同期結合機構10が備えていたコイルばね(弾性部材)32に代えて、変速ギヤ3に設けた係合穴28の内周面に形成したテーパ面(第1の傾斜面)41と、シンクロコーン25に設けた係合爪29の外周面に形成したテーパ面(第2の傾斜面)42とが接触する接触部40を有している。
図8は、本実施形態の同期結合機構10−2が備えるブロッキングリング20を一部切断状態で示した斜視図であり、係合部30の詳細構成を示す図である。係合穴28の内周面に形成したテーパ面41は、軸方向に沿って変速ギヤ3側からシンクロコーン25側に向かって次第に拡径するように傾斜している先太円錐形状の面である。一方、係合爪29の外周面に形成したテーパ面42は、軸方向に沿ってシンクロコーン25側から変速ギヤ3側に向かって次第に細くなるように傾斜している先細円錐形状の面である。すなわち、係合穴28のテーパ面41と係合爪29のテーパ面42とは、軸方向で互いに同じ向きに傾斜しており、かつ、互いの面の傾斜角度が略平行になっている。これにより、テーパ面41とテーパ面42との面接触が可能となるように構成されている。
図9は、係合穴28のテーパ面41と係合爪29のテーパ面42とが接触する接触部40の作用を説明するための模式図である。同期結合機構10−2では、該当段のシフト操作時以外においては、係合部30が係合(係合穴28と係合爪29が当接)していることで、シンクロコーン25が変速ギヤ3と一体的に回転している。このとき、図9に示すように、係合穴28のテーパ面41によって係合爪29のテーパ面42が回転方向(周方向)に押圧されることで、係合穴28のテーパ面42から係合爪29のテーパ面42に対して面に垂直な方向の押圧力Fが生じる。この押圧力Fによって、軸方向及び径方向にはそれぞれ該押圧力Fの分力Fx、Fyが生じる。そして、軸方向の分力Fxは、変速ギヤ3側からシンクロハブ6側への荷重なので、シンクロコーン25に対して該シンクロコーン25をシンクロハブ6側へ付勢する付勢力として作用する。この付勢力によって、シンクロコーン25の摩擦面25bがインナーリング23から離間する方向へ付勢されるようになっている。
すなわち、本実施形態の同期結合機構10−2では、係合穴28の内周面に形成したテーパ面41と係合爪29の外周面に形成したテーパ面42とが接触する接触部40によって、インナーリング23から摩擦面25bが離間する方向へシンクロコーン25を付勢する付勢手段が構成されている。
本実施形態の同期結合機構10−2においても、上記の付勢手段によって、同期結合機構10−2による該当変速段のシフト操作時以外において、シンクロコーン25が軸方向に沿ってシンクロハブ6側に付勢される。したがって、当該付勢力によって、摩擦面25bがインナーリング23から離間する方向にシンクロコーン25が押される。これにより、第1実施形態と同様、シンクロコーン25の摩擦面25bの引き摺りを防止することができ、同期結合機構10−2のブロッキングリング20に生じるフリクションを効果的に低減することが可能となる。
なお、第1実施形態の同期結合機構10が備えるコイルばね32は、変速ギヤ3の端面3aにコイルばね32の座面を設定できる場合のみ設置が可能である。すなわち、変速ギヤ3に軽量化のための肉抜穴や肉抜溝などを設けている場合には、コイルばね32の座面となり得る位置に穴や溝が位置することで、コイルばね32を設置できないことがある。そのような場合には、コイルばね32に代えて、本実施形態の同期結合機構10−2が備える係合穴28のテーパ面41と係合爪29のテーパ面42とが接触する接触部40からなる付勢手段を設けるとよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
1 同期装置
2 回転軸
3 変速ギヤ
3a 端面
4 カラー
5 ニードルベアリング
6 シンクロハブ
6a スプライン歯
7 シンクロスリーブ
7a スプライン歯
7b 凹部
8 シフトフォーク
10 同期結合機構
11 同期結合機構
20 ブロッキングリング
21 アウターリング
21a フランジ部
21b ドグ歯
21c 切欠部
23 インナーリング
23c 係合部
25 シンクロコーン
25a 摩擦面(外周面)
25b 摩擦面(内周面)
25c 端辺
27 ドグギヤ
27a 端面
27b ドグ歯
28 係合穴
29 係合爪
29a 段部
30 係合部
40 接触部
41 テーパ面(第1の傾斜面)
42 テーパ面(第2の傾斜面)
C1 チャンファ
C2 チャンファ
C3 チャンファ

Claims (4)

  1. 回転軸に相対回転可能に支持された変速ギヤと、
    前記回転軸に結合されたシンクロハブと、
    前記シンクロハブに対して前記回転軸の軸方向に沿って移動可能にスプライン結合されたシンクロスリーブと、
    前記シンクロハブと前記変速ギヤとの間に配置されて、前記シンクロスリーブの移動に伴い前記シンクロハブと前記変速ギヤとの摩擦係合を可能にするブロッキングリングと、
    を備えた変速機の同期結合機構において、
    前記ブロッキングリングは、
    径方向の外側に配置されて、前記シンクロスリーブに噛合可能なドグ歯を外周に有するアウターリングと、
    径方向の内側に配置されて前記アウターリングと相対回転不能に係合するインナーリングと、
    径方向における前記アウターリングと前記インナーリングとの間に配置されて、軸方向に対して傾斜するテーパ状の摩擦面が前記アウターリングと前記インナーリングとに当接可能であると共に、前記変速ギヤに対して相対回転不能に係合する係合部を有してなるシンクロコーンと、で構成されており、
    前記係合部において軸方向に沿って前記シンクロコーンを前記シンクロハブ側へ付勢する付勢手段を備え、該付勢手段によって、前記シンクロコーンの前記インナーリングに接する摩擦面が該インナーリングから離間する方向へ付勢される
    ことを特徴とする変速機の同期結合機構。
  2. 前記係合部は、前記シンクロコーンに設けた前記変速ギヤに向けて突出する係合突起と、前記変速ギヤに設けた前記係合突起を係合させる係合穴とを備え、
    前記付勢手段は、前記係合穴と前記係合突起との間に介在する弾性部材である
    ことを特徴とする請求項1に記載の変速機の同期結合機構。
  3. 前記係合部は、前記シンクロコーンに設けた前記変速ギヤに向けて突出する係合突起と、前記変速ギヤに設けた前記係合突起を係合させる係合穴とを備え、
    前記付勢手段は、前記係合穴の内面に形成した軸方向に対して傾斜する第1の傾斜面と、前記係合突起の外面に形成した軸方向に対して傾斜する第2の傾斜面とが接触する接触部である
    ことを特徴とする請求項1に記載の変速機の同期結合機構。
  4. 前記アウターリングと前記インナーリングは、前記インナーリングに設けた切欠部と前記アウターリングに設けた係合片との係合で一体に固定されており、
    前記回転軸側から径方向の外側へ供給される潤滑油が、前記切欠部における前記係合片との隙間から前記インナーリングと前記アウターリングとの間に導入されるように構成した
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の変速機の同期結合機構。
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