JPWO2002064569A1 - キノリンカルボキシアルデヒド誘導体の製造法及びその中間体 - Google Patents

キノリンカルボキシアルデヒド誘導体の製造法及びその中間体 Download PDF

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Abstract

医薬品原料として有用な、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒドは、3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリルと2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンとを反応させて、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリルを得たのち、これを還元することにより得ることができる。

Description

[技術分野]
本発明は、コレステロール低下剤(HMG−CoA還元酵素阻害薬)の合成中間体として特に有用な、キノリンカルボキシアルデヒド誘導体の製造法に関し、特に、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒドの製造法に関する。
[背景技術]
キノリンカルボキシアルデヒド誘導体を製造する方法として、特開平1−279866号公報、欧州公開特許出願第304063号公報、米国特許第5011930号明細書には、2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンにエチルイソブチリルアセテートを反応させてキノリンカルボン酸エステル誘導体とし、次いで、一旦、これを水素化ジイソブチルアルミニウムで還元して、キノリンメタノール誘導体とした後に、更に、ピリジニウムクロロクロメートで酸化して、目的とするキノリンカルボキシアルデヒド誘導体とする方法が記載されている。しかし、この製造法は、工程数が多く、工業的な製造法としては有利ではない。
本発明は、工業的に有利な簡便な方法によって、下記の式で表わされる2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒドを製造することを可能にする方法を提供することにある。
Figure 2002064569
[発明の開示]
本発明は、好ましくは酸の存在下にて、3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリルと2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンとを反応させて、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリルを得たのち、これを還元することを特徴とする2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒドの製造法にある。この製造法において、酸として有機スルホン酸を用いることが好ましい。
本発明はまた、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリルを還元して2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒドを得る方法にもある。
上記の2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリルは新規な物質であり、例えば、好ましくは酸の存在下にて、3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリルと2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンとを反応させる方法を利用して得ることができる。
本発明の2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒドの製造方法は、下記の反応経路に従って進行する。
Figure 2002064569
次に上記の反応経路で利用される各反応について説明する。
(A)環化反応工程
本発明における環化反応工程は、好ましくは酸の存在下にて、式(1)で示される3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリルに、式(2)で示される2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンを反応させて、式(3)で示されるキノリンカルボニトリル誘導体[2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル]とする工程である。
上記の環化反応工程において好ましく使用される酸の例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類;リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、硫酸、塩酸等の無機酸類;モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン化有機カルボン酸類が挙げられる。特に有機スルホン酸類が好ましい。
環化反応工程における酸の使用量は、2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノン1モルに対して、好ましくは0.1〜5.0モル、更に好ましくは0.5〜4.0モル、特に好ましくは1.0〜3.0モルである。
3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリルの使用量は、2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノン1モルに対して、好ましくは、0.8〜2.0モル、更に好ましくは1.0〜1.5モルである。
本発明の環化反応工程は、溶媒の存在下または非存在下において行われる。溶媒を使用する場合には、その溶媒の種類については、反応を阻害しないものならば特に制限されない。使用され得る溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−メチルブタン、2−メチルペンタン、2−メチルヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;酢酸、プロピオン酸等の有機カルボン酸類が挙げられる。
溶媒の使用量は、2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノン1質量部に対して、好ましくは2〜50質量部、更に好ましくは3〜10質量部である。これらの溶媒は、単独で使用することもでき、または二種以上を混合して使用しても良い。
本発明の環化反応工程は、好ましくは酸の存在下、3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリルに2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンを液相で接触させることが好ましい。例えば、不活性ガス雰囲気にて、酸、3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリル、2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノン及び溶媒を混合して、加熱撹拌する等の方法によって、常圧下、加圧下または減圧下で行われる。その際の反応温度は、好ましくは50〜160℃、更に好ましくは70〜140℃である。また、環化反応は、必要ならば、反応中に生成する水を除去しながら実施しても良い。2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンは、前記の酸と塩を形成した状態で反応系に導入してもよい(例えば、2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンメタンスルホン酸塩として導入することができる)。
上記の環化反応工程で得られる、前記式(3)のキノリンカルボニトリル誘導体[2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル]は、新規な化合物であり、例えば、反応終了後に、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な分離・精製方法によって、取り出すことができる。
(B)還元反応工程
本発明で利用する還元反応工程は、式(3)で示されるキノリンカルボニトリル誘導体を還元して、式(4)で示されるキノリンカルボキシアルデヒド誘導体とする工程である。
上記の還元反応工程は、シアノ基をホルミル基に変換する一般的な還元方法を利用して行なわれる。例えば、水素化アルミニウム化合物(例、水素化ジイソブチルアルミニウム)による還元、ラネーニッケル存在下における水素、ギ酸又はギ酸アンモニウムによる還元、塩化第一スズによる還元、パラジウム存在下における水素による還元等が利用される。好ましくは、水素化ジイソブチルアルミニウムによる還元(以下、還元反応(a)と言う)、ラネーニッケル存在下におけるギ酸による還元(以下、還元反応(b)と言う)、ラネーニッケル存在下における水素による還元(以下、還元反応(c)と言う)が利用される。
(1)還元反応(a):水素化ジイソブチルアルミニウムによる還元
還元反応(a)で使用される水素化ジイソブチルアルミニウムの量は、キノリンカルボニトリル誘導体1モルに対して、好ましくは0.5〜5.0モル、更に好ましくは0.9〜1.5モルである。
還元反応(a)は、溶媒の存在下または非存在下にて行われる。使用される溶媒は、反応を阻害しないものならば特に制限されず、その例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。好ましくは芳香族炭化水素類、更に好ましくはトルエンが使用される。
溶媒の使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体1質量部に対して、好ましくは2〜50質量部、更に好ましくは3〜20質量部である。これらの溶媒は、単独で使用してもよく、または二種以上を混合して使用しても良い。
還元反応(a)では、キノリンカルボニトリル誘導体に水素化ジイソブチルアルミニウムを液相で接触させて実施することが好ましく、例えば、不活性ガスの雰囲気にて、水素化ジイソブチルアルミニウム、キノリンカルボニトリル誘導体及び溶媒を、好ましくは冷却下で混合して反応させる等の方法によって、常圧下または加圧下で行われる。その際の反応温度は、好ましくは−50〜60℃、更に好ましくは−20〜40℃である。
(2)還元反応(b):ラネーニッケル存在下におけるギ酸による還元
還元反応(b)で使用されるラネーニッケルは、ニッケルとアルミニウムを主成分とする合金であり、ニッケルの含有量が、好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは40〜80質量%のものが使用される。通常、展開されたラネーニッケルが使用されるが、種々の方法によって前処理されたラネーニッケルや安定化されたラネーニッケルも使用できる。さらに、ラネーニッケル中に、コバルト、鉄、鉛、クロム、チタン、モリブデン、バナジウム、マンガン、スズ、タングステン等の金属が含まれているものも使用できる。
上記ラネーニッケルの使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体1質量部に対して、ニッケル原子換算で、好ましくは0.30〜2質量部、さらに好ましくは0.30〜1.2質量部である。
還元反応(b)で使用されるギ酸は、ギ酸単独で使用しても良いが、好ましくは、ギ酸と、ギ酸1容量部に対して0.25〜1容量部の水との存在下で行われる。
ギ酸の使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体1質量部に対して、好ましくは0.25〜50質量部、更に好ましくは1〜40質量部である。
還元反応(b)の実施に際しては、ギ酸と水以外の溶媒を存在させてもよい。使用され得る溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に制限されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;ペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸、プロピオン酸等の有機カルボン酸類が使用される。
上記溶媒の使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体1質量部に対して、好ましくは0〜60質量部、さらに好ましくは0〜10質量部である。これらの溶媒は、単独で使用してもよく、または二種以上を混合して使用しても良い。
還元反応(b)は、ラネーニッケル存在下、キノリンカルボニトリル誘導体にギ酸と水を液相で接触させることが好ましく、例えば、不活性ガス雰囲気にて、ラネーニッケル、キノリンカルボニトリル誘導体、ギ酸及び水を混合して、加熱撹拌する等の方法によって、常圧下または加圧下で行われる。その際の反応温度は、好ましくは20〜110℃、更に好ましくは30〜80℃である。
また、必要に応じて、無機塩基、有機塩基、白金塩、鉛塩、カドミウム塩等を反応系内に添加することによって、反応性を調節しても良い[久保松照夫、小松信一郎、ラネー触媒(川研ファインケミカル株式会社発行)、123〜147頁やHU 45958に記載]。
最終生成物であるキノリンカルボキシアルデヒド誘導体は、例えば、反応終了後、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって分離・精製される。
(3)還元反応(c):ラネーニッケル存在下における水素による還元
還元反応(c)で使用されるラネーニッケルとは、ニッケルとアルミニウムを主成分とする合金であり、ニッケルの含有量が、好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは40〜80質量%のものが使用される。通常、展開されたラネーニッケルが使用されるが、種々の方法によって前処理されたラネーニッケルや安定化されたラネーニッケルも使用できる。さらに、ラネーニッケル中に、コバルト、鉄、鉛、クロム、チタン、モリブデン、バナジウム、マンガン、スズ、タングステン等の金属が含まれているものも使用できる。
上記ラネーニッケルの使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体1質量部に対して、ニッケル原子換算で、好ましくは0.001〜2質量部、更に好ましくは0.01〜1.2質量部である。
還元反応(c)は、酸の存在下で行うことが好ましく、例えば、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等が使用される。その使用量はキノリンカルボニトリル誘導体1モルに対して、好ましくは1〜10モル、さらに好ましくは1.5〜5モルである。
還元反応(c)は、溶媒中にて行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に制限されず、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が使用できる。
上記溶媒の使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体1質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、さらに好ましくは2〜20質量部である。これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
還元反応(c)は、ラネーニッケル存在下、キノリンカルボニトリル誘導体に水素を液相で接触させることが好ましく、例えば、水素雰囲気(不活性ガスで希釈されていても良い)にて、ラネーニッケル、キノリンカルボニトリル誘導体及び溶媒を混合して、加熱撹拌する等の方法によって、0.1〜5MPaの圧力下で、密閉して又は水素を流通させながら行われる。その際の反応温度は、好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは20〜70℃である。
必要に応じて、無機塩基、有機塩基、白金塩、鉛塩、カドミウム塩等を系内に添加することによって、反応性を調節しても良い[久保松照夫、小松信一郎、ラネー触媒(川研ファインケミカル株式会社発行)、123〜147頁やHU 45958に記載]。
最終生成物であるキノリンカルボキシアルデヒド誘導体は、例えば、反応終了後、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって分離・精製される。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
撹拌装置、温度計、還流冷却器及びディーン・スターク(Dean−Stark)装置を備えた内容積200mLのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、トルエン80mL及びシクロヘキサン20mLを入れ、撹拌しながらメタンスルホン酸2.94g(30.6ミリモル)、3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリル3.50g(32.1ミリモル)及び2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノン6.59g(30.6ミリモル)を加えた。その後、昇温させ、90〜95℃にて、生成する水を留去しながら4時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却したのち、水100mL及び8モル/L水酸化ナトリウム水溶液5.5mL(44.0ミリモル)を加えて塩基性とした。得られた反応液を、酢酸エチル200mLで二回抽出した後、有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム2g、シリカゲル2g及び活性炭2gを加えて室温で1時間撹拌した。濾過後、減圧下で濃縮し、淡黄色固体として純度99%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル8.45gを得た(収率95%)。
得られた2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリルの物性値は以下の通りであった。
融点:161.0〜161.5℃
元素分析:炭素79.17%、水素4.54%、窒素9.76%
[理論値(C1913F):炭素79.15%、水素4.54%、窒素9.72%]
CI−MS(m/e):289(M+1)
IR(KBr法、cm−1):2225、1605、1561、1514、1493、1222、1162、846、769
H−NMR(CDCl、δ(ppm)):1.71〜1.24(2H,m)、1.37〜1.43(2H,m)、2.66〜2.72(1H,m)、7.25〜7.32(2H,m)、7.41〜7.49(3H,m)、7.58(1H,d,J=6.8Hz)、7.72〜7.79(1H,m)、7.99(1H,d,J=8.5Hz)
[実施例2]
撹拌装置、温度計、還流冷却器及びディーン・スターク装置を備えた内容積10mLのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、ジイソプロピルエーテル5mLを入れ、室温で撹拌しながら、ピロリン酸0.82g(4.6ミリモル)、3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリル0.29g(2.5ミリモル)及び2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノン0.50g(2.3ミリモル)を加えた。その後、70℃まで昇温させて、3時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析(絶対定量法)したところ、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル0.60g(収率91%)が生成していた。
[実施例3]
実施例2において、溶媒をジクロロエタンに変え、反応温度と反応時間とを、70℃で3時間及び90℃で3時間に変えたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル0.54g(収率82%)が生成した。
[実施例4]
実施例2において、酸を、モノクロロ酢酸0.66g(7.0ミリモル)に変え、反応時間を9時間に変えたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル0.40g(収率60%)が生成した。
[実施例5]
実施例2において、酸を、96質量%硫酸0.22g(2.3ミリモル)に変え、溶媒を2−ブタノールに変えたこと以外は、実施例2と同様に反応を行なった。その結果、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル0.49g(収率75%)が生成した。
[実施例6]
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積50mLのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリル0.72g(6.6ミリモル)、純度97.3%の2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンメタンスルホン酸塩1.92g(6.0ミリモル)及びトルエン10mLを入れ、80℃にて2時間反応させた。反応終了後、室温までで冷却し、1モル/L水酸化ナトリウム水溶液7.0mL(7.0ミリモル)を加えて塩基性にした後に分液し、得られた有機層を高速液体クロマトグラフィーで分析(絶対定量法)したところ、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル1.70g(収率98%)が生成していた。
[実施例7]
撹拌装置、温度計、還流冷却器及びディーン・スターク装置を備えた内容積300mLのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリル11.6g(106.6ミリモル)、純度97.3%の2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンメタンスルホン酸塩31.0g(96.9ミリモル)及びトルエン121mLを入れ、0.04MPa、80℃にて、生成する水を留去しながら2時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水60mL及び8モル/L水酸化ナトリウム水溶液13.3mL(106.4ミリモル)を加えて塩基性にした後に分液し、得られた有機層を高速液体クロマトグラフィーで分析(絶対定量法)したところ、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル27.9g(収率99%)が生成していた。
[実施例8]
撹拌装置、温度計、還流冷却器及びディーン・スターク装置を備えた内容積50mLのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリル10.72g(6.6ミリモル)、純度97.3%の2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンメタンスルホン酸塩1.92g(6.0ミリモル)及びトルエン10mLを入れ、110℃にて、生成する水を留去しながら2時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、1モル/L水酸化ナトリウム水溶液7.0mL(7.0ミリモル)を加えて塩基性にした後に分液し、得られた有機層を高速液体クロマトグラフィーで分析(絶対定量法)したところ、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル1.57g(収率91%)が生成していた。
[実施例9]
撹拌装置、温度計および滴下漏斗を備えた内容積50mLのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下で、実施例1で製造した2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル0.29g(1.0ミリモル)及びトルエン2.5mLを入れ、氷浴中で−10℃まで冷却した。次いで、液温を−10〜0℃に維持しながら、1.5モル/L水素化ジイソブチルアルミニウムトルエン溶液0.68mL(1.0ミリモル)をゆるやかに滴下した。滴下終了後、室温まで昇温させて、1時間撹拌した。反応終了後、得られた反応液にメタノール1mLを加えて10分間撹拌し、次いで1モル/L塩酸15mLを加えて中和した。その後、減圧下で濃縮し、水15mLを加え、クロロホルム30mLで3回抽出した。次に、有機層を分離回収して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下で濃縮し、黄色固体として純度99%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒド0.30gを得た(収率88%)。
得られた2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒドの物性値は以下の通りであった。
CI−MS(m/e):292(M+1)
H−NMR(CDCl、δ(ppm)):1.07〜1.13(2H,m)、1.36〜1.58(2H,m)、3.19〜3.24(1H,m)、7.23〜7.72(6H,m)、7.73〜7.77(1H,m)、7.97(1H,d,J=8.7Hz)、10.07(1H,s)
[実施例10]
撹拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積5mLのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、実施例1にて製造した2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル500mg(1.7ミリモル)、95容量%ギ酸水溶液5.0mL(141ミリモル)及び含水展開ラネーニッケル(川研ファインケミカル(株)製:NDHT−90(ニッケル含有量50質量%品))750mg(ニッケル原子として6.4ミリモル)を入れ、40℃で7時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、触媒をセライトで濾過した後、反応液を濃縮した。次いで、得られた濃縮液に1モル/L塩酸5mLを加え、トルエン50mLで二回抽出した。有機層を分離し、高速液体クロマトグラフィーにより分析(絶対定量法)したところ、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒド218mg(収率43%)が生成していた。
[実施例11]
撹拌装置を備えた内容積100mLのポリカーボネート製オートクレーブに、実施例1で製造した2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル300mg(1.0ミリモル)、97質量%硫酸526mg(5.2ミリモル)、含水展開ラネーニッケル(川研ファインケミカル株式会社製:NDHT−90(ニッケル含有量50質量%品))150mg(ニッケル原子として1.3ミリモル)及びエタノール15mLを加え、水素圧0.2〜0.4MPaにて、室温で2時間反応させた。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析(絶対定量法)したところ、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒド105mg(収率36%)が生成していた。
[産業上の利用可能性]
本発明により、入手が容易な化合物を用い、簡便な方法によって、高収率でキノリンカルボキシアルデヒド誘導体を得ることができる。従って、本発明のキノリンカルボキシアルデヒド誘導体の製造法は工業的に有利である。

Claims (8)

  1. 3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリルと2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンとを反応させて、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリルを得たのち、これを還元することを特徴とする、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒドの製造法。
  2. 3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリルと2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンとの反応を酸の存在下にて行なう請求の範囲1に記載の製造法。
  3. 酸として有機スルホン酸を用いる請求の範囲2に記載の製造法。
  4. 2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリルを還元することを特徴とする、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボキシアルデヒドの製造法。
  5. 2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリル。
  6. 3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリルと2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンとを反応させることからなる、2−シクロプロピル−4−(4’−フルオロフェニル)キノリン−3−カルボニトリルの製造法。
  7. 3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリルと2−アミノ−4’−フルオロベンゾフェノンとの反応を酸の存在下にて行う請求の範囲6に記載の製造法。
  8. 酸として有機スルホン酸を用いる請求の範囲7に記載の製造法。
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