JP4590749B2 - キノリンカルボキシアルデヒド誘導体の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、β-ケトニトリルにo-アシルアニリンを反応させてキノリンカルボニトリル誘導体とし、次いで、これを還元してキノリンカルボキシアルデヒド誘導体を製造する方法に関する。キノリンカルボキシアルデヒド誘導体は、医薬等の合成中間体として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、β-ケトニトリルにo-アシルアニリンを反応させてキノリンカルボニトリル誘導体とする方法としては、ベンゾイルアセトニトリルにo-アミノベンゾフェノンを反応させて2,4-ジフェニル-3-キノリンカルボニトリルを製造する方法が開示されている(J.Heterocycl.Chem.,1967,565)。しかしながら、この方法では、後処理が煩雑となる酢酸を溶媒として用いている上に、原料のβ-ケトニトリルの重合を促進してしまうような厳しい条件下で反応を行っており、目的物の収率も低いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、簡便な方法によって、高収率でキノリンカルボキシアルデヒド誘導体を製造することが出来る、工業的に有利なキノリンカルボキシアルデヒド誘導体の製法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、(A)酸の存在下、一般式(1)
【0005】
【化8】
【0006】
(R1は、反応に関与しない基を示す。)
で示されるβ-ケトニトリルに一般式(2)
【0007】
【化9】
【0008】
(R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、前記と同義である。)
で示されるo-アシルアニリンを、芳香族炭化水素類と脂肪族炭化水素類との混合溶媒中で反応させて、一般式(3)
【0009】
【化10】
【0010】
(R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、前記と同義である。)
で示されるキノリンカルボニトリル誘導体とする環化反応工程、
(B)次いで、キノリンカルボニトリル誘導体を還元して、一般式(4)
【0011】
【化11】
【0012】
(R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、前記と同義である。)
で示されるキノリンカルボキシアルデヒド誘導体とする還元反応工程、
を含んでなることを特徴とする、キノリンカルボキシアルデヒド誘導体の製法によって解決される。
【0013】
本発明は、又、酸の存在下、一般式(1)
【0014】
【化12】
【0015】
(R1は、反応に関与しない基を示す。)
で示されるβ-ケトニトリルに一般式(2)
【0016】
【化13】
【0017】
(R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、前記と同義である。)
で示されるo-アシルアニリンを、芳香族炭化水素類と脂肪族炭化水素類との混合溶媒中で反応させて、一般式(3)
【0018】
【化14】
【0019】
(R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、前記と同義である。)
で示されるキノリンカルボニトリル誘導体とすることを特徴とする、キノリンカルボキシアルデヒド誘導体の製法によって解決される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、
(A)酸の存在下、一般式(1)で示されるβ-ケトニトリルに、一般式(2)で示されるo-アシルアニリンを反応させて一般式(3)で示されるキノリンカルボニトリル誘導体とする環化反応工程、
(B)次いで、一般式(3)で示されるキノリンカルボニトリル誘導体を還元して、一般式(4)で示されるキノリンカルボキシアルデヒド誘導体とする還元反応工程、
を含んでなる二つの工程によってキノリンカルボキシアルデヒド誘導体を反応生成物として得るものである。
【0021】
引き続き、前記の二つの工程を順次説明する。
(A)環化反応工程
本発明の環化反応工程は、酸の存在下、一般式(1)で示されるβ-ケトニトリルに、一般式(2)で示されるo-アシルアニリンを反応させて一般式(3)で示されるキノリンカルボニトリル誘導体とする工程である。
【0022】
本発明の環化反応工程において使用するβ-ケトニトリルは、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、R1は、反応に関与しない基であり、具体的には、置換基を有していても良い、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基である。
【0023】
前記アルキル基としては、特に炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。なお、これらの基は各種異性体も含む。
【0024】
前記シクロアルキル基としては、特に炭素数3〜7のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が挙げられる。なお、これらの基は各種異性体も含む。
【0025】
前記アラルキル基としては、特に炭素数7〜10のアルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基が挙げられる。なお、これらの基は各種異性体も含む。
【0026】
前記アリール基としては、特に炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。なお、これらの基は各種異性体も含む。
【0027】
前記アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基は置換基を有していても良い。その置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子を介して出来る置換基、酸素原子を介して出来る置換基、窒素原子を介して出来る置換基の中から少なくとも一つが挙げられる。
【0028】
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0029】
前記炭素原子を介して出来る置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;エテニル基等のアルケニル基;エチニル基等のアルキニル基;フェニル基等のアリール基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基が挙げられる。
【0030】
前記酸素原子を介して出来る置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基が挙げられる。
【0031】
前記窒素原子を介して出来る置換基としては、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ニトロ基が挙げられる。
【0032】
前記β-ケトニトリルの使用量は、o-アシルアニリンに対して、好ましくは0.8〜2.0倍モル、更に好ましくは1.0〜1.5倍モルである。
【0033】
本発明の環化反応工程において使用するo-アシルアニリンは、前記の一般式(2)で示される。その一般式(2)において、R2は、反応に関与しない基であり、前記のR1と同義であり、R3、R4、R5及びR6は、具体的には、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基である。
【0034】
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0035】
前記アルキル基としては、特に炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。なお、これらの基は各種異性体も含む。
【0036】
前記シクロアルキル基としては、特に炭素数3〜7のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が挙げられる。なお、これらの基は各種異性体も含む。
【0037】
前記アラルキル基としては、特に炭素数7〜10のアルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基が挙げられる。なお、これらの基は各種異性体も含む。
【0038】
前記アリール基としては、特に炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。なお、これらの基は各種異性体も含む。
【0039】
本発明の環化反応工程において使用する酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-ブロモベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類;リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、硫酸、塩酸等の無機酸類;モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン化有機カルボン酸類が挙げられるが、好ましくは有機スルホン酸が使用される。
【0040】
前記酸の使用量は、o-アシルアニリンに対して、好ましくは0.1〜5.0倍モル、更に好ましくは0.5〜3.0倍モルである。
【0041】
本発明の環化反応工程は、溶媒の存在下又は非存在下において行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に制限されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2-メチルブタン、2-メチルペンタン、2-メチルへキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;酢酸、プロピオン酸等の有機カルボン酸類が挙げられる。
【0042】
前記溶媒の使用量は、o-アシルアニリンに対して、好ましくは2〜50質量倍、更に好ましくは3〜10質量倍である。これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0043】
本発明の環化反応工程は、酸の存在下、β-ケトニトリルにo-アシルアニリンを液相で接触させることが好ましく、例えば、不活性ガス雰囲気にて、酸、β-ケトニトリル、o-アシルアニリン及び溶媒を混合して、加熱攪拌する等の方法によって、常圧下、加圧下又は減圧下で行われる。その際の反応温度は、好ましくは50〜160℃、更に好ましくは70〜140℃である。また、本発明の反応は、必要ならば、反応中に生成する水を除去しながら反応させても良い。なお、o-アシルアニリンは、前記の酸と塩を形成した状態で使用しても良い(例えば、o-アシルアニリン有機スルホン酸塩)。
【0044】
前記環化反応工程よって主生成物として得られるキノリンカルボニトリル誘導体は、反応終了後、後処理をせずそのまま、或いは、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって分離・精製した後、次ぎの還元反応工程に使用しても良い。
【0045】
(B)還元反応工程
本発明の還元反応工程は、一般式(3)で示されるキノリンカルボニトリル誘導体を還元して、一般式(4)で示されるキノリンカルボキシアルデヒド誘導体とする工程である。
【0046】
本発明の還元反応工程は、シアノ基をホルミル基に変換する一般的な還元方法であれば特に制限はされないが、例えば、水素化アルミニウム化合物(例えば、水素化ジイソブチルアルミニウム)による還元、ラネーニッケル存在下における水素、ギ酸又はギ酸アンモニウムによる還元、塩化第一スズによる還元、パラジウム存在下における水素による還元等が挙げられるが、好ましくは、水素化ジイソブチルアルミニウムによる還元(以下、還元反応(a)と言う)、ラネーニッケル存在下におけるギ酸による還元(以下、還元反応(b)と言う)、ラネーニッケル存在下における水素による還元(以下、還元反応(c)と言う)、更に好ましくは、水素化ジイソブチルアルミニウムによる還元(還元反応(a))で行われる。
【0047】
還元反応(a);水素化ジイソブチルアルミニウムによる還元
本発明の還元反応(a)において使用される水素化ジイソブチルアルミニウムの量は、キノリンカルボニトリル誘導体に対して、好ましくは0.5〜5.0倍モル、更に好ましくは0.9〜1.5倍モルである。なお、使用する水素化ジイソブチルアルミニウムは、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドオフラン等の不活性溶媒で希釈されていても良い。
【0048】
本発明の還元反応(a)は、溶媒の存在下又は非存在下において行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に制限されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられるが、好ましくは芳香族炭化水素類、更に好ましくはトルエンが使用される。
【0049】
前記溶媒の使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体に対して、好ましくは2〜50質量倍、更に好ましくは3〜20質量倍である。これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0050】
本発明の還元反応(a)は、キノリンカルボニトリル誘導体に水素化ジイソブチルアルミニウムを液相で接触させることが好ましく、例えば、不活性ガス雰囲気にて、水素化ジイソブチルアルミニウム、キノリンカルボニトリル誘導体及び溶媒を、好ましくは冷却下で混合して、反応させる等の方法によって、常圧下又は加圧下で行われる。その際の反応温度は、好ましくは-50〜60℃、更に好ましくは-20〜40℃である。
【0051】
還元反応(b);ラネーニッケル存在下におけるギ酸による還元
本発明の還元反応(b)で使用されるラネーニッケルとは、ニッケルとアルミニウムを主成分とする合金であり、ニッケルの含有量が、好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは40〜80質量%のものが使用される。通常、展開されたラネーニッケルが使用されるが、種々の方法によって、前処理されたラネーニッケルや安定化されたラネーニッケルも使用出来る。更に、ラネーニッケル中に、コバルト、鉄、鉛、クロム、チタン、モリブデン、バナジウム、マンガン、スズ、タングステン等の金属が含まれているものも使用出来る。
【0052】
前記ラネーニッケルの使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体に対して、ニッケル原子換算で、好ましくは0.30〜2質量倍、更に好ましくは0.30〜1.2質量倍である。
【0053】
本発明の還元反応(b)で使用されるギ酸としては、ギ酸そのものでも良いが、好ましくはギ酸と、ギ酸に対して0.25〜1容量倍の水の存在下で行われる。
【0054】
ギ酸の使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体に対して、好ましくは0.25〜50質量倍、更に好ましくは1〜40質量倍である。
【0055】
本発明の還元反応(b)は、ギ酸又は水以外の溶媒の存在下又は非存在下において行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に制限されず、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;ペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸、プロピオン酸等の有機カルボン酸類が挙げられる。
【0056】
前記溶媒の使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体に対して、好ましくは0〜60質量倍、更に好ましくは0〜10質量倍である。これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0057】
本発明の還元反応(b)は、ラネーニッケル存在下、キノリンカルボニトリル誘導体にギ酸と水を液相で接触させることが好ましく、例えば、不活性ガス雰囲気にて、ラネーニッケル、キノリンカルボニトリル誘導体、ギ酸及び水を混合して、加熱攪拌する等の方法によって、常圧下又は加圧下で行われる。その際の反応温度は、好ましくは20〜110℃、更に好ましくは30〜80℃である。
【0058】
また、必要に応じて、無機塩基、有機塩基、白金塩、鉛塩、カドミウム塩等を系内に添加することによって、反応性を調節しても良い(久保松照夫、小松信一郎、ラネー触媒(川研ファインケミカル株式会社発行)、123〜147頁やHU 45958に記載)。
【0059】
なお、最終生成物であるキノリンカルボキシアルデヒド誘導体は、例えば、反応終了後、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって分離・精製される。
【0060】
還元反応(c);ラネーニッケル存在下における水素による還元
本発明の還元反応(c)で使用されるラネーニッケルとは、ニッケルとアルミニウムを主成分とする合金であり、ニッケルの含有量が、好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは40〜80質量%のものが使用される。通常、展開されたラネーニッケルが使用されるが、種々の方法によって、前処理されたラネーニッケルや安定化されたラネーニッケルも使用出来る。更に、ラネーニッケル中に、コバルト、鉄、鉛、クロム、チタン、モリブデン、バナジウム、マンガン、スズ、タングステン等の金属が含まれているものも使用出来る。
【0061】
前記ラネーニッケルの使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体に対して、ニッケル原子換算で、好ましくは0.001〜2質量倍、更に好ましくは0.01〜1.2質量倍である。
【0062】
本発明の還元反応(c)は、酸の存在下で行うことが好ましく、例えば、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等が使用されるが、その量はキノリンカルボニトリル誘導体に対して、好ましくは1〜10倍モル、更に好ましくは1.5〜5倍モルである。
【0063】
本発明の還元反応(c)は、溶媒の存在下において行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に制限されず、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;ペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。
【0064】
前記溶媒の使用量は、キノリンカルボニトリル誘導体に対して、好ましくは1〜50質量倍、更に好ましくは2〜20質量倍である。これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0065】
本発明の還元反応(c)は、ラネーニッケル存在下、キノリンカルボニトリル誘導体に水素を液相で接触させることが好ましく、例えば、水素雰囲気(不活性ガスで希釈されていても良い)にて、ラネーニッケル、キノリンカルボニトリル誘導体及び溶媒を混合して、加熱攪拌する等の方法によって、0.1〜5MPaの圧力下で、密閉して又は水素を流通させながら行われる。その際の反応温度は、好ましくは10〜100℃、更に好ましくは20〜70℃である。
【0066】
また、必要に応じて、無機塩基、有機塩基、白金塩、鉛塩、カドミウム塩等を系内に添加することによって、反応性を調節しても良い(久保松照夫、小松信一郎、ラネー触媒(川研ファインケミカル株式会社発行)、123〜147頁やHU 45958に記載)。
【0067】
なお、最終生成物であるキノリンカルボキシアルデヒド誘導体は、例えば、反応終了後、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって分離・精製される。
【0068】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0069】
実施例1
攪拌装置、温度計、還流冷却器及びDean-Stark装置を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、トルエン10ml及びシクロヘキサン10mlを加え、攪拌しながらメタンスルホン酸1.56g(16.3mmol)、3-フェニル-3-オキソプロパンニトリル2.19g(14.8mmol)及び2-アミノアセトフェノン2.00g(14.8mmol)を加えた。その後、105℃まで昇温して、生成する水を除去しながら3時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、攪拌しながら1mol/l水酸化ナトリウム水溶液25ml(25mmol)を加えた。得られた反応液を、酢酸エチル100mlで3回抽出した後、有機層を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下で濃縮し、淡黄色固体として純度94%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の2-フェニル-4-メチルキノリン-3-カルボニトリル3.66gを得た(単離収率95%)。更に、アセトンで再結晶し、純度99.5%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の白色結晶2.27gを得た。
2-フェニル-4-メチルキノリン-3-カルボニトリルの物性値は以下の通りであった。
【0070】
融点;164〜165℃
元素分析;炭素83.72%、水素4.97%、窒素11.41%
(理論値(C17H12N2);炭素83.58%、水素4.95%、窒素11.47%)
CI-MS(m/e);244(M)
1H-NMR(CDCl3、δ(ppm));3.04(s,3H)、7.50〜7.60(m,3H)、7.62〜7.70(m,1H)、7.80〜8.00(m,3H)、8.05〜8.15(m,1H)、8.17〜8.22(m,1H)
【0071】
実施例2
実施例1において、β-ケトニトリルを3-シクロプロピル-3-オキソプロパンニトリル1.65g(14.8mmol)に変えたこと以外は、実施例1と同様な操作を行った。その結果、淡黄色固体として純度96%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の2-シクロプロピル-4-メチルキノリン-3-カルボニトリル3.01gが得られた(単離収率94%)。更に、酢酸エチル/クロロホルムで再結晶し、純度99.8%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の白色結晶0.60gを得た。
2-シクロプロピル-4-メチルキノリン-3-カルボニトリルの物性値は以下の通りであった。
【0072】
融点;139℃
元素分析;炭素80.81%、水素5.90%、窒素13.35%
(理論値(C14H12N2);炭素80.74%、水素5.81%、窒素13.45%)
CI-MS(m/e);209(M+1)
1H-NMR(CDCl3、δ(ppm));1.13〜1.19(m,2H)、1.31〜1.36(m,2H)、2.58〜2.67(m,1H)、2.93(s,3H)、7.51〜7.56(m,1H)、7.72〜7.77(m,1H)、7.92〜7.99(m,2H)
【0073】
実施例3
実施例1において、メタンスルホン酸の量を1.07g(11.2mmol)に、β-ケトニトリルを3-オキソブタンニトリル0.84g(10.1mmol)、2-アミノアセトフェノンを2-アミノベンゾフェノン2.00g(10.1mmol)に変えたこと以外は、実施例1と同様な操作を行った。その結果、淡黄色固体として純度96%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の2-メチル-4-フェニルキノリン-3-カルボニトリル2.08gが得られた(単離収率81%)。更に、酢酸エチル/クロロホルムで再結晶し、純度99.6%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の白色結晶0.80gを得た。
2-メチル-4-フェニルキノリン-3-カルボニトリルの物性値は以下の通りであった。
【0074】
融点;199〜200℃
元素分析;炭素83.88%、水素4.96%、窒素11.50%
(理論値(C17H12N2);炭素83.58%、水素4.95%、窒素11.47%)
CI-MS(m/e);245(M+1)
1H-NMR(CDCl3、δ(ppm));2.99(s,3H)、7.45〜7.62(m,6H)、7.67(dd,J=1.2,8.1Hz,1H)、7.81(dt,J=1.5,6.6Hz,1H)、8.11(d,J=8.1Hz,1H)
【0075】
実施例4
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下、実施例2で合成した2-シクロプロピル-4-メチルキノリン-3-カルボニトリル0.50g(2.4mmol)及びトルエン50mlを加え、氷浴中で-10℃まで冷却した。次いで、液温を-10〜0℃に維持しながら、1.5mol/l水素化ジイソブチルアルミニウムトルエン溶液1.63ml(2.5mmol)をゆるやかに滴下した。滴下終了後、室温まで昇温して1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応液にメタノール5mlを加えて10分間攪拌し、1mmol/l塩酸2.5mlを加えて中和した。その後、減圧下で濃縮し、水15mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。次いで、有機層を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下で濃縮し、薄茶色固体として純度92%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の2-シクロプロピル-4-メチルキノリン-3-カルボキシアルデヒド0.47gを得た(単離収率85%)。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤:ワコーゲルC-200(和光純薬社製)、展開溶媒:トルエン)で精製後、更に、クロロホルム/ヘキサンで再結晶し、純度99.9%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の黄色結晶0.20gを得た。
2-シクロプロピル-4-メチルキノリン-3-カルボキシアルデヒドの物性値は以下の通りであった。
【0076】
融点;89〜90℃
元素分析;炭素79.59%、水素6.19%、窒素6.63%
(理論値(C14H13NO);炭素79.59%、水素6.20%、窒素6.63%)
CI-MS(m/e);212(M+1)
1H-NMR(CDCl3、δ(ppm));1.05〜1.11(m,2H)、1.32〜1.37(m,2H)、2.57〜2.66(m,1H)、2.88(s,3H)、7.49(dt,J=1.5,8.4Hz,1H)、7.71(dt,J=1.5,8.1Hz,1H)、7.93(d,J=8.1Hz,1H)、8.06(dd,J=1.0,8.1Hz,1H)、10.96(s,1H)
【0077】
【発明の効果】
本発明により、簡便な方法によって、高収率でキノリンカルボキシアルデヒド誘導体を製造することが出来る、工業的に有利なキノリンカルボキシアルデヒド誘導体の製法を提供するものである。
Claims (2)
- (A)有機スルホン酸の存在下、一般式(1)
で示されるβ-ケトニトリルに一般式(2)
で示されるo-アシルアニリンを、芳香族炭化水素類と脂肪族炭化水素類との混合溶媒中で反応させて、一般式(3)
で示されるキノリンカルボニトリル誘導体とする環化反応工程、
(B)次いで、キノリンカルボニトリル誘導体を還元して、一般式(4)
で示されるキノリンカルボキシアルデヒド誘導体とする還元反応工程、
を含んでなることを特徴とする、キノリンカルボキシアルデヒド誘導体の製法。 - 有機スルホン酸の存在下、一般式(1)
で示されるβ-ケトニトリルに一般式(2)
で示されるo-アシルアニリンを、芳香族炭化水素類と脂肪族炭化水素類との混合溶媒中で反応させて、一般式(3)
で示されるキノリンカルボニトリル誘導体とすることを特徴とする、請求項1記載のキノリンカルボキシアルデヒド誘導体の製法。
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