JP4177916B2 - α−イソオキサゾール置換メチルケトンの製造法 - Google Patents
α−イソオキサゾール置換メチルケトンの製造法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農薬の中間体として有用なα−イソオキサゾール置換メチルケトンの新規な製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
α−イソオキサゾール置換メチルケトンの製造法としては、例えば、以下に示す文献に報告がある。
(1)Heterocycles,38(4),853−7(1994)(A)(2)Heterocycles,29(8),1443−6(1989)(B)
(3) Bull.Chem.Soc.Jpn.,49(8),2254−8(1976)(C)
(4) Gazz.Chim.Ital.,98(2),203−9(1968)(D)
【0003】
【化3】
【0004】
しかしながら、上記(A)〜(D)のいずれの方法もリチウムアミド類や有機リチウム等の高価で特殊な試剤を用いるものであるため、大量合成に適するものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、農薬の中間体として有用な、工業的に有利な条件で製造することのできるα−イソオキサゾール置換メチルケトンの新規な製造法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明者らは、安価なアルカノイル酢酸エステルとヒドロキシルアミンから容易に製造される4−イソオキサゾリルイソオキサゾール誘導体からの誘導を検討したところ、還元反応によって、ヒドロキシイソオキサゾール環が選択的に開環し、α−イソオキサゾール置換メチルケトンが高収率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、一般式(2)
【0008】
【化4】
【0009】
(式中、R1 は、C1-4 アルキル基またはC1-4 ハロアルキル基を表す。)で表される4−イソオキサゾリルイソオキサゾール誘導体を還元分解することを特徴とする、一般式(1)
【0010】
【化5】
【0011】
(式中、R1 は前記と同じ意味を表す。)で表されるα−イソオキサゾール置換メチルケトンの製造法である。
【0012】
前記一般式(1)において、R1 は、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,s−ブチル,t−ブチルなどのC1-4 アルキル基又は、ジフロロメチル、トリフロロメチル、トリフロロエチル、ペンタフロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル等のC1-4 ハロアルキル基を表す。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明化合物は、次の方法によって製造することができる。
【0014】
【化6】
【0015】
(式中、R1 は前記と同じ意味を表す。)
【0016】
すなわち、4−イソオキサゾリルイソオキサゾール誘導体(2)を酸性条件下、パラジウムあるいはニッケルなどの金属触媒の存在下、常圧あるいは加圧下に水素添加することによりヒドロキシイソオキサゾール環を選択的に開環させ、次いで、加水分解、脱炭酸させることにより、α−イソオキサゾール置換メチルケトン(1)を製造することができる。
【0017】
この反応に用いられる溶媒としては、メタノール,エタノールなどのアルコール類、酢酸メチル,酢酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、テトラヒドロフラン(THF),ジメトキシエタンなどのエーテル類、水、酢酸などを挙げることができる。
【0018】
また、用いられる酸としては、例えば、塩酸,硫酸,燐酸,酢酸などを挙げることができ、これらは基質に対して、等モルから10倍モル当量程度添加するのが好ましい。
【0019】
触媒としてはパラジウム触媒あるいはニッケル触媒を用いることができる。パラジム触媒としては、例えば、2〜10%パラジウム付活性炭あるいは2〜10%パラジウム付硫酸バリウムなどが用いられる。また、ニッケル触媒としては、ラネーニッケルなどが用いられる。
【0020】
この反応は、−10℃から用いる溶媒の沸点の間、好ましくは室温から50℃で行われる。
【0021】
また、α−イソオキサゾール置換メチルケトン(1)は、金属または金属塩による還元反応によっても製造することができる。
【0022】
この反応に用いられる金属および金属塩としては、亜鉛,スズ,塩化スズ,鉄,硫酸鉄などを挙げることができる。また、必要に応じて、これらのものを、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,アンモニアなどのアルカリあるいは塩酸,酢酸などの酸で活性化して用いることができる。
【0023】
反応は、通常溶媒中で行われ、用いられる溶媒としては、メタノール,エタノールなどのアルコール類、酢酸メチル,酢酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、テトラヒドロフラン(THF),ジメトキシエタンなどのエーテル類、水、酢酸等の有機酸、アセトン,メチルイソブチルケトンなどのケトン類を例示することができる。反応は、−10℃から用いられる溶媒の沸点の間で円滑に進行する。
【0024】
金属または金属塩を用いる還元反応により、ヒドロキシイソオキサゾール環を選択的に開環させた後、そのまま、あるいは反応系に酸を添加することにより加水分解、脱炭酸反応が進行し、α−イソオキサゾール置換メチルケトン(1)を製造することができる。
【0025】
ここで出発原料として用いる4−イソオキサゾリルイソオキサゾール誘導体(2)は、例えば、J.Amer.Chem.Soc.,59,1072(1937)、J.Chem.Soc.,1952,4466,Tetrahedoron Letters.,1977(41)3655等に記載の方法に従って、容易に得ることができる(例えば、下記スキム参照)。
【0026】
【化7】
【0027】
反応生成物は、反応終了後、通常の後処理を行うことにより得ることができる。また、本発明にかかわる化合物などの構造は、IR,NMRおよびMSなどから決定した。
【0028】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0029】
実施例1
5−アセトニル−3−メチルイソオキサゾールの製造
【0030】
【化8】
【0031】
5−ヒドロキシ−3−メチル−4−(3−メチルイソオキサゾール−5−イル)イソオキサゾール5.40gをエタノール80mlに溶解し、その中へ3規定塩酸12mlおよび5%パラジウム炭素(54.4%水分を含む)0.54gを加えた。次に、反応容器内を窒素置換した後、水素置換し、水素の入ったゴム球をつけ、30℃で9時間撹拌した。反応混合物からパラジウム炭素を濾別後、溶媒を濃縮し、残留物を水にあけ、エーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、無色液体として表記化合物3.41gを得た。
1H−NMR(CDCl3 ,δppm):2.25(s,3H),2.30(s,3H),3.86(s,2H),6.07(s,1H)
【0032】
実施例2
5−アセトニル−3−メチルイソオキサゾールの製造
【0033】
【化9】
【0034】
5−ヒドロキシ−3−メチル−4−(3−メチルイソオキサゾール−5−イル)イソオキサゾール9.70gを酢酸18mlおよびメタノール30mlの中に加え、60℃まで加温して溶解させた。この中に、電解鉄粉3.20gを加え、60℃で1時間撹拌した。さらに反応液に3規定塩酸20mlを加え、60℃で20分撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して、赤褐色液体として表記化合物6.00gを得た。
【0035】
実施例3
5−アセトニル−3−メチルイソオキサゾールの製造
【0036】
【化10】
【0037】
50%ヒドロキシアミン水溶液208g及び28%アンモニア水91mlを、水350mlに加え、そこへ、アセト酢酸メチル348gを、15℃以下で50分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を室温に戻し、6日間放置して、粗成5−ヒドロキシ−3−メチル−4−(3−メチルイソオキサゾール−5−イル)イソオキサゾールのアンモニウム塩水溶液900mlを得た。
【0038】
次に、6規定塩酸600mlとトルエン300mlを混合して、80℃に加熱して、電解鉄粉39.0gを添加した後、前記で得た粗成5−ヒドロキシ−3−メチル−4−(3−メチルイソオキサゾール−5−イル)イソオキサゾールのアンモニウム塩水溶液のうち300mlを、80℃で30分かけて滴下した。さらに同温度で30分間撹拌したのち、反応液を室温まで冷却した。トルエン層を分取し、水層をさらに酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせて、飽和食塩水で水洗、次いで重曹水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、減圧蒸留することにより、淡黄色液体の表記化合物28.0gを得た。
沸点:98℃/2mmHg
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、農薬の製造中間体として有用なα−イソオキサゾール置換メチルケトンを、工業的に有利な条件かつ高収率で得ることができる。
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