JPS6055706B2 - 車両用燃料蒸発防止装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は車両、特に自動車用燃料蒸発防止装置に関する
ものてある。

従来公知のこの種の装置としては例えば特開昭５３−７
７９２３号公報に記載されたものがある。

これは第１図のことく、容器１の内部に粒状の活性炭よ
りなる吸着剤を充填し、この吸着剤層４の内部に円錐台
形状の流れ方向変向体１４を埋設し、この流れ方向変向
体１４の底部１４ａを蒸発燃料導入管１２の端部に対向
せしめた構造になつている。蒸発燃料の吸着剤層４への
吸着は蒸発燃料導入管１２の端部より始まり、徐々に吸
着剤層４に広がつていくが、この広がり方を支配してい
るのは、蒸発燃料の１流れョと０拡散ョとである。

ところが、本発明者の研究によれば、支配的なのは１流
れョであることが判明し、１拡散ョはほとんど．無視し
ても良い程度であることが明らかになつた。そこで、従
来構造の第１図に蒸発燃料の流れを示すと、実際には上
述のごとく１流れョが支配的であることを考慮すれば蒸
発燃料は通気抵抗を極！力小さくする様に流れる。

つまり、第１図の矢印の様に流れることになる。従つて
図中に斜線で示すべく、吸着剤層４の未利用な領域イ，
口，ハが存在することがわかる。一方、従来装置におい
ては、前記円錐台形の変４向体１４を底部に、吸着剤層
４の内部に蒸発燃料を脱離（パージ）するための脱離用
空気を導入するチェックバルブ１６を設置し、かつ容器
１の底部にパージ室１１を設置した構造になつている。

上記チェックバルブ１６はエンジンの吸気管に発生する
負圧を利用して開弁させるのてあるが、チェックバルブ
１６とパージ室１１の大気口１１ａとが独立した構造に
なつているため、チェックバルブ１６の開弁圧と、パー
ジ室１１および大気口１１ａの部分の通気抵抗とが問題
になり、この通気抵抗がチェックバルブ１６の開弁圧よ
り大きければチェックバルブ１６が開弁することになる
。しかし、上記部分の通気抵抗が大きいのは吸）着燃料
の脱離性能が低下し、またエンジン側にとつて好ましく
ない。そこで、本発明は上述の諸点に鑑み、その第１の
目的とするところは吸着剤層を有効に利用し、第２の目
的とするところはパージ室および大気口・の通気抵抗を
増大することなく確実にチェックバルブを開弁させよう
とするものである。

以下本発明を具体的実施例により、詳細に説明する。

まず、第１発明の一実施例を示す第２図において、横断
面円形状の金属容器１内の下部には多数の通孔を有する
パンチングメタル２ａが棚状に固定されるとともに、そ
の上にはフィルター部材たるガラスウール３ａが載置さ
れ、更にその上に吸着剤である粒状活性炭が層状に充填
されている。

この吸着剤層４の上面にはガラスウール３ｂが、更にそ
の上にはパンチングメタル２ｂが載置されており、容器
１の上部開口には蓋５がパンチングメタル２ｂを下方へ
押し付けた状態で固着されている。蓋５にはスプリング
１５を介して厚肉のバルブ基体部５ａが設けられ、該基
体部５ａには蒸発燃料導入管６および混合気導出管７が
連結されている。なお図示は省略したが、蒸発燃料導入
管６は蒸発燃料流通管を介して燃料タンク気化器浮子室
でも可に連通され、混合気導出管７は混合気流通管を介
して気化器の吸気通路と連通している。上記バルブ基体
部５ａには、通路８、蒸発燃料導入管６からの燃料蒸気
の流通を制御するためのチェックバルブ９、および容器
１内から混合気導出管７への混合気の流通を制御するた
めのチェックバルブ１０が設けられている。

チェックバルブ９は、チェックボール９ａおよびこのボ
ール９ａを通路８の開口部に押し付けるためのスプリン
グ９ｂとより成り、燃料タンクの蒸発燃料の圧が所定値
に達したときに蒸発燃料蒸気が支持板９ｃの導入口９ｄ
より容器１内に流入することを許容し、燃料の逆方向の
流れを遮断する。チェックバルブ１０はチェックボール
１０ａおよびボール１０ａを混合気導出口１０ｃ側へ押
し付けるためのスプリング１０ｂとより成り、エンジン
の吸気通路負圧が所定値に達したときに混合気が混合気
導出管７へ流出するのを許容するが、混合気の逆方向の
流れを遮断する。一方、容器１の底部中央にはパージ室
１１が形成され、このパージ室１１は大気口１１ａによ
り大気開放されている。バルブ基体部５ａの下面には、
チェックバルブ９を設けた蒸発燃料導入口９ｄと連通す
る位置に蒸発燃料導入管１２の一端が固着されている。

この導入管１２はその径が上記導入口９ｄの径よりも大
きく先端、即ち下端側はパンチングメタル２ｂおよびガ
ラスウール３ｂの中央を貫通して吸着剤層４内に挿置さ
れ、下端開口は吸着剤層４のほぼ中央に位置している。
また、このバイブ１２内にも吸着剤層４と同一レベルま
で吸着剤が充填され、その上面にはガラスウール１３が
載置されている。吸着剤層４のうち導入管１２の端部の
下方位置には、上方に向かうに従つて次第に径が増大す
る円錐台形状の流れ方向変向体１４が埋設してある。

この流れ方向変向体１４の底部１４ａは導入管１２の端
部に対向しており、かつ円維形面に取付けた４本の棒状
脚部１４ｂで容器１内のガラスウール３ａ上に支持して
ある。しかして、エンジン停止時、燃料タンクに発生し
た蒸発燃料蒸気は所定圧に達するとチェックバルブ９を
開弁して蒸発燃料導入管１２を通つて吸着剤層４に入つ
て吸着される。

そしてエンジン作動時、気化器通路内の負圧が所定値に
達するとチェックバルブ１０を開弁し、これにより大気
口１１ａからパージ室１１を経て空気が容器１内に吸入
され、この空気により吸着燃料蒸気は吸着剤より脱離さ
れ、混合気が混合気導出口１０ｃを通り管７を経て気化
器に供給される。なお、エンジン停止時に多量の蒸発燃
料蒸気が発生したチェックバルブ９を開いて容器１内に
流入しても、チェックバルブ１０が混合気導出口１０ｃ
を遮断しているため、該導出口１０ｃより導出されない
。次に、上記実施例構造のものにおいて、流れ方向変向
体１４の仕様と燃料吸着性能（実際に吸着作用を行なつ
ている吸着剤層４の容量／活性炭層４の全体の容量の比
）について具体的実験データを示す。第３図〜第５図が
その実験データである。第６図のＡ，ｂ，ｄ，Ｄ，ｅ，
ｆを参照するに第３図は燃料導入管１２の内径ｅと、こ
の導入管１２の端部および流れ方向変向体１４の底部間
の対向距離ｆとの関係を示したデータである。この第３
図において、上記ｅとｆとの比、ｆ／ｅは０・７〜１・
４の間でほぼ同程度の吸着性能を示していることがわか
る。即ち、ｆ／ｅが１・４より大きくなると蒸発燃料導
入管１２からの蒸発燃料が流れ方向変向体１４の底部１
４ａの近傍まで流れなくなり、この近傍での蒸発燃料の
吸着が行なわれなくなる。一方、ｆ／ｅが０・７より小
さくなると蒸発燃料の流路の通気抵抗が大きくなり過ぎ
その後の燃料流れに悪影響を及ぼし、結果として蒸発燃
ｉの吸着性能は悪化する。従つて、ｆ／ｅをＯ・７〜１
・４とすることにより、第１図の従来装置にみられた未
吸着領域イがなくなる。第４図は、流れ方向変向体１４
の端部と吸着剤層４の上端との距離ａ１および流れ方向
変向体１４の端部と吸着剤層４の側端との距離ｂの関係
を示したデータである。

この第４図において、ａ／ｂの比が０・８〜１・５の間
でほぼ同程度の吸着性能を示している。即ち、ａ／ｂの
比が１・５より大きくなると、吸着剤層４の上端部の角
部まで蒸発燃料が到達しにくく、一方ａ／ｂがＯ・８よ
”り小さくなるとａもしくはｂを流れる蒸発燃料の通気
抵抗が増大し、その後の蒸発燃料の流れに悪影響を及ぼ
す。従つて、ａ／ｂを０・８〜１・５とすることにより
、従来装置にみられた第１図の未吸着領域口がなくなる
。第５図は流れ方向変向体１４の最大径ｄ部分の横断面
纏，と吸着剤層４の横断面積Ｓ２（Ｄ部分）との関係を
示すデータである。

この第５図から明らかなように、Ｓ１／Ｓ２がＯ・４〜
Ｏ・６の間でほぼ同程度の吸着性能を示していることが
理解できノる。Ｓ１／Ｓ２が０・６より大きいこと、流
れ方向変向体１４の端部側での通気抵抗が増大し、蒸発
燃料が流れにくくなる。一方、Ｓ１／Ｓ２がＯ・４より
小さいと図示ｂの部分の通過断面積が大きくなり、蒸発
燃料の流れは第１図のごとくなつてハの領域が残る。従
つて、Ｓ１／Ｓ２を０・４〜０・６とすることにより、
未吸着領域ハがなくなる。なお、本実施例のものでは、
図中二，ホの未吸着領域が生じるものの、これは第１図
の従来装置に比較して極めてわずかな領域であり、従つ
て本実施例では吸着剤層４の利用率は極めて高いもので
ある。なお、本実施例からもわかるように、流れ方向変
向体１４は、本装置における容器と独立して吸着剤層内
に埋設してあるため、前記流れ方向変向体の下部領域に
も吸着剤が充填されることになる。

そのため例えば、吸着剤層の層厚が厚くなつた場合、つ
まり、流れ方向変向体底部１４ａ以下、吸着剤層の層厚
が厚くなつた場合において、この領域は、前述のように
蒸発燃料が流れるため、吸着、脱離において十分利用さ
れる。さらに、流れ方向変向体１４の仕様は、それ自身
が容器と独立しているため、流れ方向変向体１４の脚部
１４ｂの長さを変えるだけで、他の箇所に変更を与えず
、容易に適合せし得る。なお、蒸発燃料導入管１２に若
干数の小孔を穿設することにより、上記未吸着領域ホを
なくすことができる。

次に、第２発明の一実施例を第７図に示し、説明する。

この実施例では、流れ方向変向体１４の底部１４ａの裏
面に、一体にチェックバルブ１６を設けてある。チェッ
クバルブ１６はバルブ基体１６ａの通気孔１６ｂ内に、
チェックボール１７およびスプリング１８を収納してお
り、スプリング押え板１９（例えばパンチングメタル、
金網）によつてスプリング１８でチェックボール１７を
押圧している。なお、押え板１９の上にはガラスウール
よりなるフィルター２０が載置してある。また、チェッ
クバルブ１６の通気孔１６ｂはパージ室１１に連通して
いる。上記構成によれば、導出管７に作用するエンジン
の負圧で吸着剤層４内に圧力差を生じると、チェックバ
ルブ１６は開弁し、空気がチェックバルブ１６の部分を
通過することになる。

従つて、変向体１４の内側にも燃料脱離用空気が導入さ
れる一ので、再吸右時の吸着性能が悪化することはない
。また、この実施例によれば、チェックバルブ１６の存
在によつて第６図における未吸着領域二がなくなる。な
お、この実施例においても第１発明の実施例と同様にｆ
／Ｅ，ａ／Ｂ，Ｓｌ／Ｓ２はそれぞれ０・７〜１●４，
０・８〜１●５，０●４〜０・６にする必要があること
は勿論である。

第８図は第２発明の他の実施例を示すもので、流れ方向
変向体１４の脚部１４ｂをプレート状になし、その脚部
１４ｂの対向距離Ｌを容器１の内径Ｄに合わせてある。

このような流れ方向変向体１４によれば、容器１内への
位置決めが容易であ・り、かつ流れ方向変向体１４の中
心が容器１の中心と同心になる。従つて、蒸発燃料およ
び脱離用空気の流れの偏りを防ぐことができる。なお、
このようなプレート状脚部１４ｂについては第１発明の
実施例にも適用できることは言うまでもない。以上詳述
したごとく、第１発明によれば、吸着剤層中での蒸発燃
料の流れに変化を与えて吸着剤層中のほぼ全域に蒸発燃
料を回すことができるから、従来に比べて吸着剤層を有
効に利用することができるという優れた効果がある。

また、第２発明によれば、流れ方向変向体の底部裏面に
チェックバルブを設け、このチェックバルブを、大気開
放のパージ室に通じるようにしたから、従来のようにチ
ェックバルブを、パージ室を介さずに直接大気へ開放す
る場合に比し、吸着剤層中に生じる圧力差を利用して確
実にチェックバルブを開弁させることができ、従つて、
従来のようにチェックバルブを開弁させるためにパージ
室の大気口の通気抵抗を無理に増大する必要がなく、こ
れによる種々の悪影響をなくすことができるという優れ
た効果がある。

また、チェックバルブは流れ方向変向体の底部裏面に設
けられ、しかも吸着剤層内に埋設してあるから、容器の
構造を変更する必要がないという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置を示す断面図、第２図は第１発明の一
実施例を示す断面図、第３図乃至第５図は第１発明の実
施例において流れ方向変向体の形状および寸法と吸着性
能との関係を示す特性図、第６図は第１発明の実施例に
おける蒸発燃料の流れ状態を示す断面図、第７図は第２
発明の一実施例を示す断面図、第８図は第２発明の他の
実施例における流れ方向変向体を示す斜視図である。 １・・・容器、４・・・吸着剤層をなす活性炭層、１１
・・・パージ室、１１ａ・・・大気口、１２・・・蒸発
燃料導入管、１４・・・流れ方向変向体、１４ａ・・・
底部、１６・・・チェックバルブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車両の燃料タンクまたは気化器浮子室で発生する蒸
   発燃料を吸着する吸着剤と、この吸着剤を収納した容器
   と、この容器の一端側に取付けられ、端部が前記容器内
   の前記吸着剤層内に没入した蒸発燃料導入管と、前記吸
   着剤層内に埋設され、前記容器の前記一端側の縁部に向
   つて次第に端部の径が増大した円錐又は円錐台形状を有
   するとともに、中心に位置した底部が前記蒸発燃料導入
   管の前記端部に対向した流れ方向変向体とを具備し、前
   記流れ方向変向体の内側および外側領域が前記吸着剤に
   覆われるように、前記流れ方向変向体を独立して埋設し
   、かつ、前記流れ方向変向体の最大径となる端部の部分
   の横断面積Ｓ＿１と前記容器内の前記吸着剤層の横断面
   積Ｓ＿２との比（Ｓ＿１／Ｓ＿２）を０．４〜０．６と
   したことを特徴とする車両用燃料蒸発防止装置。 ２ 前記流れ方向変向体の前記端部と前記吸着剤層の上
   端との間の距離ａ、および前記流れ方向変向体の前記端
   部と前記吸着剤層の側端との間の距離ｂの比（ａ／ｂ）
   を０．８〜１．５としたことを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載の車両用燃料蒸発防止装置。 ３ 前記流れ方向変向体の中心に位置した底部が前記蒸
   発燃料導入管の前記端部に対向し、その対向距離ｆと前
   記蒸発燃料導入管の前記端部の内径ｅとの比（ｆ／ｅ）
   を０．７〜１．４としたことを特徴とする特許請求の範
   囲第１項もしくは第２項記載の車両用燃料蒸発防止装置
   。 ４ 車両の燃料タンクまたは気化器浮子室で発生する蒸
   発燃料を吸着する吸着剤と、この吸着剤を収納した容器
   と、この容器の一端側に取付けられ、端部が前記容器内
   の前記吸着剤層内に没入した蒸発燃料導入管と、前記吸
   着剤層内に埋設され、前記容器の前記一端側の縁部に向
   つて次第に端部の径が増大した円錐又は円錐台形状を有
   するとともに、中心に位置した底部が前記蒸発燃料導入
   管の前記端部に対向した流れ方向変向体と、前記容器の
   他端と前記吸着剤層との間に設けられた大気に通じるパ
   ージ室と、前記流れ方向変向体の底部の裏面に設けられ
   、前記パージ室内の空気を前記流れ方向変向体の内側に
   流す方向のみ開弁するチェックバルブとを具備し、前記
   流れ方向変向体の最大径となる端部の部分の横断面積Ｓ
   ＿１と前記容器内の前記吸着剤層の横断面積Ｓ＿２との
   比（Ｓ＿１／Ｓ＿２）を０．４〜０．６としたことを特
   徴とする車両用燃料蒸発防止装置。 ５ 前記流れ方向変向体の前記端部と前記吸着剤層の上
   端との間の距離ａ、および前記流れ方向変向体の前記端
   部と前記吸着剤層の側端との間の距離ｂの比（ａ／ｂ）
   を０．８〜１．５としたことを特徴とする特許請求の範
   囲第４項記載の車両用燃料蒸発防止装置。 ６ 前記流れ方向変向体の中心に位置した底部が前記蒸
   発燃料導入管の前記端部に対向し、その対向距離ｆと前
   記蒸発燃料導入管の前記端部の内径ｅとの比（ｆ／ｅ）
   を０．７〜１．４としたことを特徴とする特許請求の範
   囲第４項もしくは第５項記載の車両用燃料蒸発防止装置
   。