JPH0517412Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、横置きタイプのキヤニスタによる蒸
発燃料処理装置に関するものである。

（従来の技術） 充填より、蒸発燃料を吸着するキヤニスタは縦
方向に設置され、上方から蒸発燃料を導入して吸
着材に吸着させるようにしているが、例えば、燃
料タンクに給油中に発生する蒸発燃料についても
吸着して蒸発燃料の排出抑止を行うようにした場
合には、吸着能力の増大に伴つてキヤニスタが大
型化し、燃料タンクの近傍に配設しようとする
と、スペース的に横向きに設置しなければならな
くなる。

このように横向きタイプのキヤニスタとして
は、例えば実開昭56−84021号公報に開示されて
いるように、その一側方に燃料タンクからの蒸発
燃料を導入する通路が接続され、他側方に向けて
蒸発燃料が流れて内部に収容した吸着材に吸着さ
せる構造である。

（考案が解決しようとする問題点） しかして、上記のような横置きタイプのキヤニ
スタによる蒸発燃料処理装置においては、蒸発燃
料の流れが重力の影響を受けて曲るとともに流れ
方向の力が作用して偏ることにより、キヤニスタ
内の吸着材が均等に利用されず、全体の吸着能力
が有効に発揮できない恐れがある。

すなわち、キヤニスタに導入パイプによつて挿
入された蒸発燃料は、その流入力によつて入口部
では略直進し、内部で徐々に下方に曲つて流れる
ことになり、入口部の下方部分および奥部の上方
部分の吸着材に対しては蒸発燃料が接触せず、こ
の部分の吸着能力が有効利用されないことにな
る。従つて容量に対する実質的な吸着能力が低
く、さらに大型化する問題がある。

そこで本考案は上記事情に鑑み、キヤニスタ全
体の吸着材の利用効率の向上を図つて実質的な吸
着能力を拡大するようにした蒸発燃料処理装置を
提供することを目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案の蒸発燃料処理装置は、横置きに設置さ
れたキヤニスタ内部に、蒸発燃料の流れに対して
その下流側が上向きとなる傾斜プレートを設ける
とともに、該プレートに多数の流通孔を穿設し、
該流通孔は蒸発燃料の流れに対して導入口側の上
流部の開口面積より奥部の下流部の開口面積が小
さくなるように形成したことを特徴とするもので
ある。

（作用） 上記のような蒸発燃料処理装置では、導入口か
ら流入した蒸発燃料は奥部になるに従つて下向き
に流れようとするが、傾斜プレートの小開口面積
の流通孔によつて下方への蒸発燃料の流れが少な
く、その傾斜によつて蒸発燃料の流れが上方に規
制されて、奥部上方部分の吸着材に対して蒸発燃
料を接触させてこの部分の吸着能力の利用効率を
高めている。また、傾斜プレートの上流側部分は
流通孔の開口面積も大きく傾斜の低い部分であ
り、プレート下方への蒸発燃料の流れが多くなる
とともにプレートに付着してその傾斜によつて燃
料が流れ、入口部下方部分の吸着能力の利用効率
を高め、全体として同一容量に対する蒸発燃料の
吸着能力が増大している。

（実施例） 以下、図面に沿つて本発明の実施例を説明す
る。第１図は一実施例の蒸発燃料処理装置の断面
図である。

蒸発燃料処理装置１は、横置きタイプのキヤニ
スタ２によつて構成され、このキヤニスタ２は筒
状のケーシング３の内部に前後の多孔質部材４，
５によつて活性炭粒子による吸着材６が収容され
ている。上記ケーシング３の一側面３ａには中央
部より若干上方には蒸発燃料の導入口７を形成す
る導入パイプ８が接続され、この導入パイプ８は
内端部が上方に屈曲して形成されている。また、
このケーシング３の一側面３ａの下部にはパージ
パイプ９が接続される一方、他側面３ｂには通気
口１０が開口されている。

そして、上記キヤニスタ２の吸着材６に対し蒸
発燃料吸着時には図の左方から右方に蒸発燃料が
流れるものであり、上記キヤニスタ２の吸着材６
の層内には蒸発燃料の流れに対してその下流側が
上向きとなる傾斜プレート１１が設置されてい
る。なお、この傾斜プレート１１の導入口７側の
端部１１ａは前部多孔質部材４に対して所定間隔
だけ離れて設けられる一方、他端部１１ｂは後部
多孔質部材５に接して設けられている。

さらに、上記傾斜プレート１１には、第２図に
示すように多数の流通孔１２が穿設され、該流通
孔１２は蒸発燃料の流れに対して導入口７側の上
流部の開口面積より奥部の下流部の開口面積が小
さくなるように形成されている。

上記のような実施例の構造では、内端部が上向
きに曲がつた導入パイプ８によつて上方に方向性
をもつて導入された蒸発燃料は、入口部から中間
部の上部の吸着材６を流れた後、奥部になるに従
つて下向きに流れようとするが、傾斜プレート１
１の小開口面積の流通孔１２によつて下方への蒸
発燃料の流れが少なく、その傾斜によつて蒸発燃
料の流れが上方に規制されて、奥部上方部分の吸
着材６に対して蒸発燃料を接触させてこの部分の
吸着能力の利用効率を高めている。

また、傾斜プレート１１の上流側部分は流通孔
１２の開口面積も大きく傾斜の低い部分であり、
プレート１１下方への蒸発燃料の流れが多くなる
とともにプレート１１に付着してその傾斜によつ
て燃料が流れ、入口部下方部分の吸着能力の利用
効率を高め、全体として同一容量に対する蒸発燃
料の吸着能力が増大している。

なお、上記実施例においては、流通孔１２の孔
径の大小によつて開口面積を変えるようにしてい
るが、流通孔の開口数の多少によつて開口面積を
変更するようにしてもよい。

（考案の効果） 上記のような本考案によれば、横置きタイプの
キヤニスタ内部に傾斜プレートを設けるととも
に、該プレートに開口面積が奥部で小さくなる流
通孔を設けたことにより、傾斜プレートの傾斜に
よる蒸発燃料の流れの規制と、流通孔による蒸発
燃料の振り分けとによつて、従来利用効率の低か
つた奥部上方部分および入口部下方部分の吸着材
の利用効率を高め、全体に蒸発燃料を効率的に吸
着させて同一容量のキヤニスタにおける蒸発燃料
の吸着能力を増大することができ、ひいては要求
吸着能力に対するキヤニスタの小型化を図ること
ができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例における蒸発燃料処
理装置の断面正面図、第２図は傾斜プレートの平
面図である。 １……蒸発燃料処理装置、２……キヤニスタ、
３……ケーシング、６……吸着材、７……導入
口、１１……傾斜プレート、１２……流通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 蒸発燃料を吸着する吸着材を収容し、蒸発燃料
   の導入口が一側部に形成されたキヤニスタが横置
   きに設置された蒸発燃料処理装置において、キヤ
   ニスタ内部に蒸発燃料の流れに対してその下流側
   が上向きとなる傾斜プレートを設けるとともに、
   該傾斜プレートに多数の流通孔を穿設し、該流通
   孔は蒸発燃料の流れに対して導入口側の上流部の
   開口面積より奥部の下流部の開口面積が小さくな
   るように形成したことを特徴とする蒸発燃料処理
   装置。