JPH116902A - 反射防止膜およびそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

反射防止膜およびそれを用いた画像表示装置

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JPH116902A
JPH116902A JP10110173A JP11017398A JPH116902A JP H116902 A JPH116902 A JP H116902A JP 10110173 A JP10110173 A JP 10110173A JP 11017398 A JP11017398 A JP 11017398A JP H116902 A JPH116902 A JP H116902A
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卓 中村
Kazuhiro Nakamura
和浩 中村
Tomokazu Yasuda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大量生産に適し、屈折率が非常に低く、強度
が優れた低屈折率層を有する反射防止膜を得る。 【解決手段】 反射防止膜の低屈折率層に、平均粒径が
0.5乃至200nmの無機微粒子を50乃至95重量
%およびポリマーを5乃至50重量%含ませ、無機微粒
子を少なくとも2個以上積み重ねることにより微粒子間
にミクロボイドを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低屈折率層を有す
る反射防止膜およびそれを用いた画像表示装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】反射防止膜は、液晶表示装置(LC
D)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレク
トロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表
示装置(CRT)のような様々な画像表示装置に設けら
れている。眼鏡やカメラのレンズにも反射防止膜が設け
られている。反射防止膜としては、金属酸化物の透明薄
膜を積層させた多層膜が従来から普通に用いられてい
る。複数の透明薄膜を用いるのは、様々な波長の光の反
射を防止するためである。金属酸化物の透明薄膜は、化
学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理
蒸着法の一種である真空蒸着法により形成されている。
金属酸化物の透明薄膜は、反射防止膜として優れた光学
的性質を有しているが、蒸着による形成方法は、生産性
が低く大量生産に適していない。
【0003】蒸着法に代えて、無機微粒子の塗布により
反射防止膜を形成する方法が提案されている。特公昭6
0−59250号公報は、微細空孔と微粒子状無機物と
を有する反射防止層を開示している。反射防止層は、塗
布により形成される。微細空孔は、層の塗布後に活性化
ガス処理を行ない、ガスが層から離脱することによって
形成される。特開昭59−50401号公報は、支持
体、高屈折率層および低屈折率層の順に積層した反射防
止膜を開示している。同公報は、支持体と高屈折率層の
間に中屈折率層を設けた反射防止膜も開示している。低
屈折率層は、ポリマーまたは無機微粒子の塗布により形
成されている。
【0004】特開平2−245702号公報は、二種類
以上の超微粒子(例えば、MgF2とSiO2 )を混在
させて、膜厚方向にその混合比を変化させた反射防止膜
を開示している。混合比を変化させることにより屈折率
を変化させ、上記特開昭59−50401号公報に記載
されている高屈折率層と低屈折率層を設けた反射防止膜
と同様の光学的性質を得ている。超微粒子は、エチルシ
リケートの熱分解で生じたSiO2 により接着してい
る。エチルシリケートの熱分解では、エチル部分の燃焼
によって、二酸化炭素と水蒸気も発生する。特開平2−
245702号公報の第1図に示されているように、二
酸化炭素と水蒸気が層から離脱することにより、超微粒
子の間に間隙が生じている。特開平5−13021号公
報は、上記特開平2−245702号公報記載の反射防
止膜に存在する超微粒子間隙をバインダーで充填するこ
とを開示している。特開平7−48527号公報は、多
孔質シリカよりなる無機微粉末とバインダーとを含有す
る反射防止膜を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、無機微粒
子の塗布により形成する低屈折率層について、研究を進
めた。本発明者の研究により、無機微粒子を少なくとも
2個以上積み重ねることにより微粒子間にミクロボイド
を形成すると、層の屈折率が低下することが判明した。
微粒子間にミクロボイドを形成することで、屈折率が非
常に低い低屈折率層が得られる。特開平2−24570
2号公報に記載の反射防止膜では、積み重なった超微粒
子の間に間隙が生じている。ただし、同公報は、間隙を
第1図に示唆しているだけであって、間隙の光学的機能
については全く記載していない。また、空隙を有する低
屈折率層は、強度が弱いとの問題がある。低屈折率層
は、画像表示装置の表示面やレンズの外側表面に配置さ
れる。そのため、低屈折率層には一定の強度が要求され
ている。特開平2−245702号公報に記載の反射防
止膜は、実質的に無機化合物のみで構成されており、硬
いが非常に脆い膜になっている。特開平5−13021
号公報に記載されているように、微粒子間の空隙をバイ
ンダーで充填すれば、強度の問題は解消できる。しか
し、本発明者の研究によれば、微粒子間の空隙をバイン
ダーで充填すると、層の屈折率を低下させる間隙の光学
的機能が失われる。
【0006】本発明の目的は、大量生産に適した反射防
止膜を提供することである。また、本発明の目的は、屈
折率が非常に低い低屈折率層を有する反射防止膜を提供
することでもある。さらに、本発明の目的は、強度が優
れた低屈折率層を有する反射防止膜を提供することでも
ある。さらにまた、本発明の目的は、有効な手段で反射
が防止された画像表示装置を提供することでもある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(5)の反射防止膜および下記(6)の画像表
示装置により達成された。 (1)平均粒径が0.5乃至200nmの無機微粒子を
50乃至95重量%およびポリマーを5乃至50重量%
含み、該無機微粒子を少なくとも2個以上積み重ねるこ
とにより微粒子間にミクロボイドが形成されている低屈
折率層を有することを特徴とする反射防止膜。 (2)低屈折率層が、3乃至50体積%の空隙率を有す
る(1)に記載の反射防止膜。 (3)低屈折率層が、1.20乃至1.55の屈折率を
有する(1)に記載の反射防止膜。 (4)無機微粒子の周囲に、ポリマーからなるシェルが
設けられている(1)に記載の反射防止膜。 (5)ミクロボイドが、無機微粒子およびポリマーによ
り閉じている(1)に記載の反射防止膜。 (6)平均粒径が0.5乃至200nmの無機微粒子を
50乃至95重量%およびポリマーを5乃至50重量%
含み、該無機微粒子を少なくとも2個以上積み重ねるこ
とにより微粒子間にミクロボイドが形成されている低屈
折率層を有する反射防止膜を、表示面に配置したことを
特徴とする画像表示装置。
【0008】
【発明の効果】本発明の反射防止膜は、塗布により簡単
に製造することができ、大量生産に適している。そし
て、無機微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることに
より微粒子間にミクロボイドが形成されているため、屈
折率が非常に低い低屈折率層が形成されている。さら
に、ポリマーにより無機微粒子が接着されているため、
低屈折率層の強度も優れている。ミクロボイドはポリマ
ーにより充填されていないため、ミクロボイドの屈折率
低下機能も損なわれていない。以上のような反射防止膜
を用いることで、画像表示装置の画像表示面における光
の反射を有効に防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の反射防止膜の基本的な構
成を図面を引用しながら説明する。図1は、反射防止膜
の低屈折率層の断面模式図である。図1の反射防止膜の
上側が表面であり、下側に画像表示装置またはレンズが
ある。図1に示すように、低屈折率層(1)は多孔質層
である。低屈折率層(1)内では、平均粒径が0.5乃
至200nmの無機微粒子(11)が少なくとも2個以
上(図1では3個)積み重なっている。そして、無機微
粒子(11)の間に、ミクロボイド(12)が形成され
ている。低屈折率層(1)は、さらにポリマー(13)
を5乃至50重量%の量で含む。ポリマー(13)は、
無機微粒子(11)を接着しているが、ミクロボイド
(12)を充填していない。図1に示すように、ミクロ
ボイド(12)は、ポリマー(13)と無機微粒子(1
1)により閉じている(開口ではない)ことが好まし
い。
【0010】図2は、反射防止膜の様々な層構成を示す
断面模式図である。図2の(a)に示す態様は、透明支
持体(3)、ハードコート層(2)、そして低屈折率層
(1)の順序の層構成を有する。なお、ガラスのような
硬い物質の表面(CRTの画像表面や眼鏡やカメラのレ
ンズ表面)に、反射防止膜を設ける場合は、透明支持体
(3)なしで、低屈折率層(1)やハードコート層
(2)を直接、画像表示面あるいはレンズ表面に形成し
てもよい。図2の(b)に示す態様は、透明支持体
(3)、ハードコート層(2)、高屈折率層(4)、そ
して低屈折率層(1)の順序の層構成を有する。(b)
のように、高屈折率層(4)と低屈折率層(1)とを有
する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に
記載されているように、高屈折率層が下記式(I)、低
屈折率層が下記式(II)をそれぞれ満足することが好ま
しい。
【0011】
【数1】
【0012】式中、mは正の整数(一般に1、2または
3)であり、n1は高屈折率層の屈折率であり、そし
て、d1は高屈折率層の層厚(nm)である。
【0013】
【数2】
【0014】式中、nは正の奇数(一般に1)であり、
n2は低屈折率層の屈折率であり、そして、d2は低屈
折率層の層厚(nm)である。図2の(c)に示す態様
は、透明支持体(3)、ハードコート層(2)、中屈折
率層(5)、高屈折率層(4)、そして低屈折率層
(1)の順序の層構成を有する。(c)のように、中屈
折率層(5)、高屈折率層(4)と低屈折率層(1)と
を有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公
報に記載されているように、中屈折率層が下記式(II
I)、高屈折率層が下記式(IV)、低屈折率層が下記式
(V)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0015】
【数3】
【0016】式中、hは正の整数(一般に1、2または
3)であり、n3は中屈折率層の屈折率であり、そし
て、d3は中屈折率層の層厚(nm)である。
【0017】
【数4】
【0018】式中、jは正の整数(一般に1、2または
3)であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そし
て、d4は高屈折率層の層厚(nm)である。
【0019】
【数5】
【0020】式中、kは正の奇数(一般に1)であり、
n5は低屈折率層の屈折率であり、そして、d5は低屈
折率層の層厚(nm)である。
【0021】[無機微粒子]無機微粒子の平均粒径は、
0.5乃至200mmである。粒子径が増大すると前方
散乱が増加し、200nmを越えると散乱光に色付きが
生じる。平均粒径は、1乃至100nmであることが好
ましく、3乃至70nmであることがさらに好ましく、
5乃至40nmの範囲であることが最も好ましい。無機
微粒子の粒径は、なるべく均一(単分散)であることが
好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化
物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸
化物または金属ハロゲン化物からなることがさらに好ま
しく、金属酸化物または金属フッ化物からなることが最
も好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、C
a、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、I
n、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、A
g、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、Pbお
よびNiが好ましく、Mg、Ca、BおよびSiがさら
に好ましい。二種類の金属を含む無機化合物を用いても
よい。特に好ましいい無機化合物は、アルカリ金属フッ
化物(例、NaF、KF)、アルカリ土類金属フッ化物
(例、CaF2 、MgF2 )および二酸化ケイ素(Si
2 )である。
【0022】無機微粒子は、非晶質であることが好まし
い。無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53−112
732号、特公昭57−9051号の各公報記載)また
は析出法(APPLIED OPTICS、27、3356頁(1988)記載)
により、分散物として直接合成することができる。ま
た、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に粉砕して
分散物を得ることもできる。市販の無機微粒子(例え
ば、二酸化ケイ素ゾル)を用いてもよい。無機微粒子
は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状
態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、ア
ルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール)およびケトン(例、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン)が好ましい。無機微粒子の量
は、低屈折率層全量の50乃至95重量%である。無機
微粒子の量は、50乃至90重量%であることが好まし
く、60乃至90重量%であることがさらに好ましく、
70乃至90重量%であることが最も好ましい。
【0023】[ミクロボイド]低屈折率層では、無機微
粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより微粒子
間にミクロボイドが形成されている。低屈折率層の空隙
率は、3乃至50体積%であることが好ましく、5乃至
35体積%であることがさらに好ましい。なお、粒径が
等しい(完全な単分散の)球状微粒子を最密充填する
と、微粒子間に26体積%の空隙率のボイドが形成され
る。粒径が等しい球状微粒子を単純立方充填すると、微
粒子間に48体積%の空隙率のボイドが形成される。実
際の低屈折率層では、微粒子の粒径にある程度の分布が
存在するため、空隙率は上記よりも低めの値となる。空
隙率(ミクロボイドの大きさ)を増加させると、低屈折
率層の屈折率が低下する。本発明では、無機微粒子を積
み重ねてミクロボイドを形成するため、無機微粒子の粒
径を調整することで、ミクロボイドの大きさも適度の
(光を散乱せず、低屈折率層の強度に問題が生じない)
値に容易に調節できる。さらに、無機微粒子の粒径を均
一にすることで、ミクロボイドの大きさも均一である光
学的に均一な低屈折率層を得ることができる。これによ
り、低屈折率層は微視的にはミクロボイド含有多孔質膜
であるが、光学的あるいは巨視的には均一な膜にするこ
とができる。
【0024】ミクロボイドを形成することにより、低屈
折率層の巨視的屈折率は、低屈折率層を構成する微粒子
とポリマーとの総屈折率和よりも低い値になる。層の屈
折率は、層の構成要素の体積当りの屈折率の和になる。
微粒子とポリマーの屈折率は1よりも大きな値であるの
に対して、空気の屈折率は1.00である。そのため、
ミクロボイドを形成することによって、屈折率が非常に
低い低屈折率層を得ることができる。ミクロボイドは、
無機微粒子およびポリマーによって低屈折率層内で閉じ
ていることが好ましい。閉じている空隙は、低屈折率層
表面に開かれた開口と比較して、低屈折率層表面での光
の散乱が少ないとの利点がある。
【0025】[ポリマー]低屈折率層は、5乃至50重
量%の量のポリマーを含む。ポリマーは、無機微粒子を
接着し、ミクロボイドを含む低屈折率層の構造を維持す
る機能を有する。ポリマーの使用量は、ミクロボイドを
充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように
調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10乃
至30重量%であることが好ましい。ポリマーで無機微
粒子を接着するためには、(1)無機微粒子の表面処理
剤にポリマーを結合させるか、(2)無機微粒子をコア
として、その周囲にポリマーシェルを形成するか、ある
いは(3)無機微粒子間のバインダーとして、ポリマー
を使用することが好ましい。
【0026】(1)の表面処理剤に結合させるポリマー
は、(2)のシェルポリマーまたは(3)のバインダー
ポリマーであることが好ましい。(2)のポリマーは、
低屈折率層の塗布液の調製前に、無機微粒子の周囲に重
合反応により形成することが好ましい。(3)のポリマ
ーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折
率層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成
することが好ましい。(1)〜(3)を二種類または三
種類組み合わせて、実施することが好ましく、(1)と
(3)の二種類の組み合わせ、または(1)〜(3)の
三種類の組み合わせで実施することが特に好ましい。 (1)表面処理、(2)シェルおよび(3)バインダー
について、順次説明する。
【0027】(1)表面処理 無機微粒子には、表面処理を実施して、ポリマーとの親
和性を改善することが好ましい。表面処理は、プラズマ
放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、
カップリング剤を使用する化学的表面処理に分類でき
る。化学的表面処理のみ、または物理的表面処理と化学
的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。カ
ップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合
物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング
剤)が好ましく用いられる。無機微粒子が二酸化ケイ素
からなる場合は、シランカップリング剤による表面処理
が特に有効に実施できる。好ましいシランカップリング
剤を、下記式(VIa)および(VIb)で示す。
【0028】
【化1】
【0029】式中、R1 、R5 およびR6 は、それぞれ
独立に、炭素原子数が1乃至10のアルキル基、炭素原
子数が6乃至10のアリール基、炭素原子数が2乃至1
0のアルケニル基、炭素原子数が2乃至10のアルキニ
ル基または炭素原子数が7乃至10のアラルキル基であ
り、R2 、R3 、R4 、R7 およびR8 は、それぞれ独
立に、炭素原子数が1乃至6のアルキル基または炭素原
子数が2乃至6のアシル基である。式(VIa)および式
(VIb)において、R1 、R5 およびR6 は、アルキル
基、アリール基、アルケニル基またはアラルキル基であ
ることが好ましく、アルキル基、アリール基またはアル
ケニル基であることがさらに好ましく、アルキル基また
はアルケニル基であることが最も好ましい。アルキル
基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基およびア
ラルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例
には、グリシジル基、グリシジルオキシ基、アルコキシ
基、ハロゲン原子、アシルオキシ基(例、アクリロイル
オキシ、メタクリロイルオキシ)、メルカプト、アミ
ノ、カルボキシル、シアノ、イソシアナトおよびアルケ
ニルスルホニル基(例、ビニルスルホニル)が含まれ
る。
【0030】式(VIa)および式(VIb)において、R
2 、R3 、R4 、R7 およびR8 は、アルキル基である
ことが好ましい。アルキル基は、置換基を有していても
よい。置換基の例には、アルコキシ基が含まれる。シラ
ンカップリング剤は、分子内に二重結合を有し、その二
重結合の反応によりポリマーと結合させることが好まし
い。二重結合は、式(VIa)と式(VIb)のR1 、R5
またはR6 の置換基中に存在していることが好ましい。
特に好ましいシランカップッリング剤を、下記式(VII
a)および(VIIb)で示す。
【0031】
【化2】
【0032】式中、R11およびR15は、それぞれ独立
に、水素原子またはメチルであり、R16は、炭素原子数
が1乃至10のアルキル基、炭素原子数が6乃至10の
アリール基、炭素原子数が2乃至10のアルケニル基、
炭素原子数が2乃至10のアルキニル基または炭素原子
数が7乃至10のアラルキル基であり、R12、R13、R
14、R17およびR18は、それぞれ独立に、炭素原子数が
1乃至6のアルキル基または炭素原子数が2乃至6のア
シル基であり、L1 およびL2 は二価の連結基である。
式(VIIb)において、R16は、式(VIa)および式(VI
b)のR1 、R5 およびR6 と同様の定義を有する。式
(VIIa)式(VIIb)において、R12、R13、R14、R17
およびR18は、式(VIa)および式(VIb)のR2 、R
3 、R4 、R7 およびR8 と同様の定義を有する。式(V
IIa)式(VIIb)において、L1 およびL2 は、アルキ
レン基であることが好ましく、炭素原子数が1乃至10
のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素原子
数が1乃至6のアルキレン基であることが最も好まし
い。
【0033】式(VIa)で示されるシランカップリング
剤の例には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メ
チルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメト
キシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシ
ラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエト
キシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エ
ポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエト
キシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)
−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびβ−シ
アノエチルトリエトキシシランが含まれる。
【0034】分子内に二重結合を有するビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリア
セトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、
γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランお
よびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシ
ランが好ましく、式(VIIa)で示されるγ−アクリロイ
ルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタク
リロイルオキシプロピルトリメトキシシランが特に好ま
しい。
【0035】式(VIb)で示されるシランカップリング
剤の例には、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェ
ニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキ
シプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシ
ラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチル
ジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラ
ン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニル
ジエトキシシランが含まれる。
【0036】分子内に二重結合を有するγ−アクリロイ
ルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリ
ロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メ
タクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシ
ラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニ
ルジエトキシシランが好ましく、式(VIIb)で示される
γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメ
トキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピル
メチルジエトキシシランが特に好ましい。
【0037】二種類以上のカップリング剤を併用しても
よい。式(VIa)および式(VIb)で示されるシランカ
ップリング剤に加えて、他のシランカップリングを用い
てもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ
酸のアルキルエステル(例、オルトケイ酸メチル、オル
トケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケ
イ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケ
イ酸sec-ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)およびその
加水分解物が含まれる。カップリング剤による表面処理
は、無機微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室
温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物
を放置することにより実施できる。表面処理反応を促進
するため、無機酸(例、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、
次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、
有機酸(例、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン
酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの
塩(例、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加し
てもよい。
【0038】(2)シェル シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖とし
て有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を
主鎖または側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子
を側鎖に含むポリマーがさらに好ましい。ポリアクリル
酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルが好まし
く、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸またはポリ
メタクリル酸とのエステルが最も好ましい。シェルポリ
マーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増
加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるた
め、シェルポリマーは35乃至80重量%のフッ素原子
を含むことが好ましく、45乃至75重量%のフッ素原
子を含むことがさらに好ましい。フッ素原子を含むポリ
マーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの
重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を
含むエチレン性不飽和モノマーの例には、フルオロオレ
フィン(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライ
ド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレ
ン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキ
ソール)、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素置換ア
ルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル
が含まれる。フッ素原子を含むポリマーは、下記式(II
I)で示すフッ素を含む繰り返し単位を有することが特に
好ましい。
【0039】
【化3】
【0040】式中、R31は、水素原子、フッ素原子また
はメチルであり、pは0または正の整数であり、nは正
の整数である。シェルを形成するポリマーは、フッ素原
子を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し
単位からなるコポリマーであってもよい。フッ素原子を
含まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレ
ン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好まし
い。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの
例には、オレフィン(例、エチレン、プロピレン、イソ
プレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エ
ステル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル
(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレー
ト)、スチレンおよびその誘導体(例、スチレン、ジビ
ニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ン)、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテル)、
ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例、N−tertブ
チルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミ
ド)、メタクリルアミドおよびアクリロニトリルが含ま
れる。
【0041】後述する(3)のバインダーポリマーを併
用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入し
て、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋によ
り化学的に結合させてもよい。シェルポリマーは、結晶
性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温
度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、
低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。ただ
し、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微
粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されな
い(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合
は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バ
インダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成
することが望ましい。
【0042】無機微粒子の周囲にポリマーシェルを形成
して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微粒子
中に無機微粒子からなるコアが5乃至90体積%含まれ
ていることが好ましく、15乃至80体積%含まれてい
ることがさらに好ましい。ポリマーシェルは、ラジカル
重合法により形成することが好ましい。ラジカル重合法
については、大津隆行・木下雅悦共著、高分子合成の実
験法、化学同人(1972)および大津隆行、講座重合反応論
1ラジカル重合(I)、化学同人(1971)に記載がある。
ラジカル重合法は、具体的には、乳化重合法または分散
重合により実施することが好ましい。乳化重合について
は、室井宗一、高分子ラテックスの化学、高分子刊行会
(1970)に記載がある。分散重合法については、Barrett,
Keih E.J.、Dispersion Polymerization in Organic M
edia、JOHN WILLEY & SONS(1975)に記載がある。
【0043】乳化重合法に使用する重合開始剤の例に
は、無機過酸化物(例、過硫酸カリウム、過硫酸アンモ
ニウム)、アゾニトリル化合物(例、アゾビスシアノ吉
草酸ナトリウム)、アゾアミジン化合物(例、2,2’
−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)塩酸塩)、
環状アゾアミジン化合物(例、2,2’−アゾビス〔2
−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパ
ン塩酸塩)、アゾアミド化合物(例、2,2’−アゾビ
ス{2−メチル−N−〔1,1’−ビス(ヒドロキシメ
チル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド)が
含まれる。無機過酸化物が好ましく、過硫酸カリウムお
よび過硫酸アンモニウムが特に好ましい。
【0044】分散重合法に使用する重合開始剤の例に
は、アゾ化合物(例、2,2’−アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチ
ルプロピオネート)、ジメチル−2,2’−アゾビスイ
ソブチレート)および有機過酸化物(例、ラウリルパー
オキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパー
オクトエート)が含まれる。分散重合法では、表面処理
された無機微粒子にポリマー分散剤を加え、モノマーと
重合開始剤を溶解し、生成するポリマーは不溶である重
合媒体中で重合反応を実施することが好ましい。重合媒
体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロパノール、2−メトキシ
−1−プロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ペ
ンタノール、ネオペンタノール、シクロヘキサノール、
1−メトキシ−2−プロパノール)、メチルエチルケト
ン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル
が含まれる。水、メタノール、エタノールおよびイソプ
ロパノールが好ましい。二種類以上の重合媒体を併用し
てもよい。
【0045】乳化重合法または分散重合法において、連
鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤の例には、ハロ
ゲン化炭化水素(例、四塩化炭素、四臭化炭素、二臭化
酢酸エチル、三臭化酢酸エチル、二臭化エチルベンゼ
ン、二臭化エタン、二塩化エタン)、炭化水素(例、ベ
ンゼン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン)、チ
オエーテル(例、ジアゾチオエーテル)、メルカプタン
(例、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカ
プタン、ヘキサデシルメルカプタン、n−オクタデシル
メルカプタン、チオグリセロール),ジスルフィド
(例、ジイソプロピルザントゲンジスルフィド)、チオ
グリコール酸およびその誘導体(例、チオグリコール
酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコ
ール酸ブチル、チオグリコール酸メトキシブチル、トリ
メチロールプロパントリス(チオグリコレート))が含
まれる。二種類以上のコアシェル微粒子を併用してもよ
い。また、シェルのない無機微粒子とコアシェル粒子と
を併用してもよい。
【0046】(3)バインダー バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテ
ルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、
飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが
さらに好ましい。バインダーポリマーは架橋しているこ
とが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマ
ーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得る
ことが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得
るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーを用いることが好ましい。
【0047】二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸と
のエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペン
タエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シク
ロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリア
クリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニル
ベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベン
ゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエ
ステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニル
スルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド
(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリル
アミドが含まれる。ポリエーテルを主鎖として有するポ
リマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により
合成することが好ましい。
【0048】二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応によ
り、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ
基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カ
ルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロー
ル基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン
酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、
エーテル化メチロール、エステルおよびウレタンも、架
橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブ
ロックイソシアナート基のように、分解反応の結果とし
て架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明に
おいて架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分
解した結果反応性を示すものであってもよい。前記
(2)のシェルポリマーと併用する場合、バインダーポ
リマーのガラス転移温度(Tg)は、シェルポリマーの
Tgよりも低いことが好ましい。バインダーポリマーの
TgとシェルポリマーのTgとの温度差は、5℃以上で
あることが好ましく、20℃以上であることがさらに好
ましい。バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液に
モノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布
後に重合反応(必要ならばさらに架橋反応)により形成
することが好ましい。重合開始剤については、前述した
シェルポリマーの合成に用いる重合開始剤と同様であ
る。低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例、ポリ
ビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメ
タクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセ
ルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロー
ス、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
【0049】[低屈折率層]低屈折率層は、以上の微粒
子およびポリマーを含み、ミクロボイド構造を有する層
である。低屈折率層の屈折率は、1.20乃至1.55
であることが好ましく、1.30乃至1.55であるこ
とがさらに好ましい。低屈折率層の層厚は、50乃至4
00nmであることが好ましく、50乃至200nmで
あることがさらに好ましい。
【0050】[透明支持体]反射防止膜をCRT画像表
示面やレンズ表面に直接設ける場合を除き、反射防止膜
は透明支持体を有することが好ましい。透明支持体とし
ては、プラスチックフイルムを用いることが好ましい。
プラスチックフイルムの材料の例には、セルロースエス
テル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロ
ース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、
アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロー
ス)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル
(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテ
レフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエ
タン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテ
レフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチッ
クポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエー
テルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエー
テルケトンが含まれる。トリアセチルセルロース、ポリ
カーボネート及びポリエチレンテレフタレートが好まし
い。透明支持体の光透過率は、80%以上であることが
好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透
明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好まし
く、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支
持体の屈折率は、1.4乃至1.7であることが好まし
い。
【0051】[高屈折率層および中屈折率層]図2の
(b)に示すように、低屈折率層と透明支持体との間に
高屈折率層を設けてもよい。また、図2の(c)に示す
ように、高屈折率層と透明支持体との間に中屈折率層を
設けてもよい。高屈折率層の屈折率は、1.65乃至
2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20
であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、
低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値と
なるように調整する、中屈折率層の屈折率は、1.55
乃至1.70であることが好ましい。
【0052】中屈折率層および高屈折率層は、比較的屈
折率が高いポリマーを用いて形成することが好ましい。
屈折率が高いポリマーの例には、ポリスチレン、スチレ
ン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香
族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポ
リウレタンが含まれる。その他の環状(芳香族、複素環
式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロ
ゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高
い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノ
マーの重合反応によりポリマーを形成してもよい。屈折
率の高い無機微粒子を上記ポリマー中に分散してもよ
い。屈折率の高い無機微粒子を用いる場合は、比較的屈
折率の低いポリマー、例えば、ビニル系ポリマー(アク
リル系ポリマーを含む)、ポリエステル系ポリマー(ア
ルキド系ポリマーを含む)、セルロース系ポリマーやウ
レタン系ポリマーでも、無機微粒子を安定に分散するた
めに用いることができる。
【0053】有機置換されたケイ素化合物を、高屈折率
層または中屈折率層に添加してもよい。ケイ素化合物と
しては、低屈折率層の無機微粒子の表面処理に使用する
シランカップリング剤またはその加水分解物が好ましく
用いられる。無機微粒子としては、金属(例、アルミニ
ウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン)の酸化
物が好ましい。無機微粒子の粉末またはコロイド状分散
物を上記のポリマーまたは有機ケイ素化合物中と混合し
て、使用する。無機微粒子の平均粒径は、10乃至10
0nmであることが好ましい。被膜形成能を有する有機
金属化合物から、高屈折率層または中屈折率層を形成し
てもよい。有機金属化合物は、適当な媒体に分散できる
か、あるいは液状であることが好ましい。
【0054】有機金属化合物の例には、金属アルコレー
ト(例、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−i−
プロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタ
ンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−sec-ブトキ
シド、チタンテトラ−tert−ブトキシド、アルミニウム
トリエトキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシ
ド、アルミニウムトリブトキシド、アンチモントリエト
キシド、アンチモントリブトキシド、ジルコニウムテト
ラエトキシド、ジルコニウムテトラ−i−プロポキシ
ド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニ
ウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−se
c-ブトキシド、ジルコニウムテトラ−tert−ブトキシ
ド)、キレート化合物(例、ジ−イソプロポキシチタニ
ウムビスアセチルアセトネート、ジ−ブトキシチタニウ
ムビスアセチルアセトネート、ジ−エトキシチタニウム
ビスアセチルアセトネート、ビスアセチルアセトンジル
コニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミ
ニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテー
ト、アルミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセ
トアセテート、トリ−n−ブトキシドジルコニウムモノ
エチルアセトアセテート)、有機酸塩(例、炭酸ジルコ
ニールアンモニウム)およびジルコニウムを主成分とす
る活性無機ポリマーが含まれる。
【0055】アルキルシリケート類、その加水分解物お
よび微粒子状シリカ、特にコロイド状に分散したシリカ
ゲルを高屈折率層または中屈折率層に添加してもよい。
高屈折率層および中屈折率層のヘイズは、3%以下であ
ることが好ましい。
【0056】[その他の層]反射防止膜には、さらに、
ハードコート層、防湿層、帯電防止層、下塗り層や保護
層を設けてもよい。ハードコート層は、透明支持体に耐
傷性を付与するために設ける。ハードコート層は、透明
支持体とその上の層との接着を強化する機能も有する。
ハードコート層は、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポ
リマー、エポキシ系ポリマーやシリカ系化合物を用いて
形成することができる。顔料をハードコート層に添加し
てもよい。
【0057】低屈折率層の上に、保護層を設けてもよ
い。保護層は、滑り層または汚れ防止層として機能す
る。滑り層に用いる滑り剤の例には、ポリオルガノシロ
キサン(例、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシ
ロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェ
ニルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサ
ン)、天然ワックス(例、カルナウバワックス、キャン
デリラワックス、ホホバ油、ライスワックス、木ろう、
蜜ろう、ラノリン、鯨ろう、モンタンワックス)、石油
ワックス(例、パラフィンワックス、マイクロクリスタ
リンワックス)、合成ワックス(例、ポリエチレンワッ
クス、フィッシャー・トロプシュワックス)、高級脂肪
脂肪酸アミド(例、ステアラミド、オレインアミド、
N,N’−メチレンビスステアラミド)、高級脂肪酸エ
ステル(例、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチ
ル、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノオレ
エート)、高級脂肪酸金属塩(例、ステアリン酸亜鉛)
およびフッ素含有ポリマー(例、パーフルオロ主鎖型パ
ーフルオロポリエーテル、パーフルオロ側鎖型パーフル
オロポリエーテル、アルコール変性パーフルオロポリエ
ーテル、イソシアネート変性パーフルオロポリエーテ
ル)が含まれる。汚れ防止層には、含フッ素疎水性化合
物(例、含フッ素ポリマー、含フッ素界面活性剤、含フ
ッ素オイル)を添加する。保護層の厚さは、反射防止機
能に影響しないようにするため、20nm以下であるこ
とが好ましい。
【0058】[反射防止膜]反射防止膜の各層は、ディ
ップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート
法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビ
アコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2
681294号明細書)により、塗布により形成するこ
とができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時
塗布の方法については、米国特許2761791号、同
2941898号、同3508947号、同35265
28号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工
学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。反射防止
膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していて
もよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸
を形成することにより得られる。本発明では、低屈折率
層に微粒子を使用するため、図1に示すように反射防止
膜の表面に凹凸が形成されている。微粒子により得られ
るアンチグレア機能では不充分な場合は、低屈折率層に
比較的大きな粒子(粒径:50nm乃至2μm)を少量
(0.1乃至50重量%)添加してもよい。
【0059】反射防止膜のヘイズは、3乃至30%であ
ることが好ましく、5乃至20%であることがさらに好
ましく、7乃至20%であることが最も好ましい。反射
防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプ
レイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディ
スプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のよう
な画像表示装置に適用する。反射防止膜が透明支持体を
有する場合は、透明支持体側を画像表示装置の画像表示
面に接着する。
【0060】
【実施例】
[合成例1] (無機微粒子の表面処理)攪拌装置、温度計および還流
冷却管を装着した500mlのガラス製三口フラスコに、
蒸留水300mlおよびスルホコハク酸ジオクチルナト
リウム塩(界面活性剤)の70重量%水溶液0.57g
を入れて、混合物を攪拌した。反応液に、21.1重量
%のフッ化マグネシウムコロイド液90.0g(粒子
径:30.5nm)を攪拌下ゆっくり添加した。反応液
のpHを、2N硫酸を用い7.5に調整した。窒素気流
下で80℃に昇温した後、3−メタクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン1.0gを添加し、4時間攪
拌を続け、フッ化マグネシウム粒子を表面処理した。
【0061】(ポリマーシェルの形成)表面処理したフ
ッ化マグネシウム粒子に、過硫酸カリウム0.128g
を蒸留水8mlに溶解した溶液(重合開始剤溶液)を添
加した。直ちにヘキサフルオロイソプロピルメタクリレ
ート(モノマー)4.5gを3時間にわたり滴下した。
モノマーの滴下終了時点で、重合開始剤溶液を再度添加
し、さらにそのまま80℃で3時間加熱攪拌を続け、重
合反応を完了させた。これを室温まで冷却後、濾過して
固形分6.0重量%、平均粒径40.2nmのコアシェ
ル微粒子分散物415g(収率:98%)を得た。
【0062】[合成例2] (無機微粒子の表面処理)攪拌装置、温度計および還流
冷却管を装着した300mlの4口フラスコに、ドデシ
ル硫酸ナトリウム5g、コロイダルシリカ(ST−Z
L、日産化学(株)製、平均粒子径:72nm、固形分
濃度:30重量%)300gおよびイオン交換水74m
lを入れた。混合物のpHを2N硫酸を用い7.5に調
整し、攪拌した。窒素気流下で60℃に昇温した後、3
−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1
0gを添加し、4時間攪拌を続け、シリカ粒子を表面処
理した。
【0063】(ポリマーシェルの形成)表面処理したシ
リカ粒子に、過硫酸アンモニウム0.5gおよび重亜硫
酸ナトリウム0.2gを添加した。さらに、ヘキサフル
オロイソプロピルメタクリレート54g、グリシジルメ
タクリレート4.8gとアクリル酸1.2gを混合した
液を3時間にわたって滴下した。滴下中の反応温度は6
0〜70℃の範囲に保持し、滴下終了後も同温度範囲を
維持しながら2時間攪拌を続けた。この後、冷却し、分
画分子量1万の透析膜を用いて3日間透析し、濾過し
て、固形分20.3重量%、平均粒径81.3nmのコ
アシェル微粒子分散物757g(収率:96%)を得
た。
【0064】[合成例3〜7]合成例1および2に類似
の乳化重合法で、下記のポリマーを無機微粒子の周囲に
シェルとして形成し、第1表に示すコアシェル微粒子を
合成した。 合成例1:ポリヘキサフルオロイソプロピルメタクリレ
ート 合成例2:ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート
(90重量部)−グリシジルメタクリレート(8重量
部)−アクリル酸(2重量部)コポリマー 合成例3:ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート
(90重量部)−グリジシルメタクリレート(10重量
部)コポリマー 合成例4:1H,1H−ペンタデカフルオロオクチルア
クリレート(95重量部)−2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート(5重量部)コポリマー 合成例5:ヘキサフルオロイソプロピルα−フルオロア
クリレート(90重量部)−2−ヒドロキシエチルアク
リレート(10重量部)コポリマー 合成例6:トリフルオロエチルアクリレート(80重量
部)−グリシジルアクリレート(20重量部)コポリマ
ー 合成例7:ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート
(90重量部)−アリルメタクリレート(10重量部)
コポリマー
【0065】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── コアシェル コア コア粒径 コア/シェル比 固形分濃度 粒子径 フッ素含率 微粒子 化合物 (nm) (重量比) (重量%) (nm)(重量%) ──────────────────────────────────── 合成例1 MgF2 30.5 81/19 6.0 40.2 59.2 合成例2 SiO2 72.0 60/40 20.3 81.3 18.6 合成例3 MgF2 30.5 70/30 8.2 53.9 56.7 合成例4 SiO2 72.0 50/50 12.6 92.0 29.8 合成例5 CaF2 55.4 90/10 11.3 61.4 48.8 合成例6 CaF2 55.4 82/18 6.2 67.9 45.2 合成例7 MgF2 123.0 76/24 3.9 139.0 58.8 ────────────────────────────────────
【0066】[実施例1]合成例1で調製した微粒子9
0重量部と、ポリメチルメタクリレートのラテックス1
0重量部を混合して、低屈折率層の塗布液を調製した。
塗布液をトリアセチルセルロースフイルム上に、スピン
コータを用いて塗布し、90℃で90分乾燥し、厚さ1
00nmの低屈折率層を形成した。得られた反射防止膜
について、屈折率、空隙率、視感反射率(光波長400
nm〜800nmの平均反射率値)および膜表面強度を
測定した。低屈折率層の空隙率は、層の屈折率を測定
し、用いた層構成成分の組成から得られる層の屈折率の
計算値と実測値の差から、空気の体積分率を計算した。
膜表面強度は、指先、ティッシュ、消しゴムでそれぞれ
こすり、目視観察し、指先で傷付くものをD、ティッシ
ュで傷付くものをC、消しゴムで傷付くものをB、どの
方法でも傷が認められないものをAとした。結果は第2
表に示す。
【0067】[実施例2〜10および比較例1〜4]微
粒子とポリマーバインダーの組成を第2表に示すように
変更した以外は、実施例1と同様にして、反射防止膜を
作成した。反射防止膜について、実施例1と同様に測定
して評価した。結果を第2表に示す。
【0068】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── 反射 微粒子 バインダー 低屈折率 表面 強 層の 防止膜 種類 混合比 種類 混合比 層屈折率 反射率 度 空隙率 ──────────────────────────────────── 実施例1 合成例1 90 BP3 10 1.33 0.5 A 18% 実施例2 合成例1 85 BP1 15 1.32 0.3 A 14% 実施例3 合成例3 100 なし 0 1.31 0.3 A 21% 実施例4 合成例3 90 BP1 10 1.31 0.3 A 17% 実施例5 合成例3 80 BP3 20 1.32 0.5 A 11% 実施例6 合成例2 75 BP2 25 1.34 0.6 A 7% 実施例7 合成例4 75 BP2 25 1.33 0.4 A 5% 実施例8 合成例5 75 BP2 25 1.32 0.2 A 12% 実施例9 合成例6 75 BP2 25 1.33 0.4 A 9% 実施例10 合成例7 75 BP2 25 1.31 0.3 A 9% ──────────────────────────────────── 比較例1 NP−1 75 BP1 25 1.45 3.2 C 1% 比較例2 NP−2 80 BP2 20 1.36 0.7 C 10% 比較例3 NP−2 75 BP1 25 1.34 0.5 B 9% 比較例4 なし − BP1 100 1.38 2.4 D 0% ────────────────────────────────────
【0069】(註) 混合比:重量% NP−1:メチルメタクリレート(80重量部)−ジビ
ニルベンゼン(25重量部)コポリマーからなる微粒子
(平均粒径:52nm) NP−2:ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート
(80重量部)−ジビニルベンゼン(20重量部)コポ
リマーをコア(70重量%)とし、ヘキサフルオロイソ
プロピルメタクリレート(90重量部)−グリシジルメ
タクリレート(10重量部)コポリマーをシェル(30
重量%)とする微粒子(平均粒径:61nm) BP1:ポリヘキサフルオロイソプロピルメタクリレー
トのラテックス BP2:ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート
(91重量部)−ジビニルベンゼン(9重量部)コポリ
マーのラテックス BP3:ポリメチルメタクリレートのラテックス
【0070】[実施例11] (ハードコート層の形成)ジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレートを5重量%、光重合開始剤(イルガキュ
ア907、チバガイギー社製)を0.5重量%、および
光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)
を0.2重量%を含むトルエン溶液を調製した。90μ
mの厚さを有するトリアセチルセルロースフイルムに、
溶液をワイヤーバーを用いて8μmの厚さに塗布し、乾
燥した。これを100℃に加熱して12W/cmの高圧
水銀灯を用いて1分間紫外線照射し架橋した。その後室
温まで放冷した。
【0071】(高屈折率層の形成)n−ブチルメタクリ
レート(80重量部)−メタクリル酸(20重量部)コ
ポリマーのラテックス(平均粒子径:71nm、固形分
濃度:12.5重量%)100gに、酸化錫微粒子(石
原産業(株)より入手)25gを混合した。ジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレート6g、光重合開始剤
(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.5g、
光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)
0.2gおよび酢酸エチル20gを、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム1gを用いて水100gに乳化分
散した。乳化物液とラテックスとを混合、攪拌して、高
屈折率層の塗布液を調製した。塗布液をハードコート層
の上にワイヤーバーを用いて厚さ0.16μmに塗布
し、これを乾燥後、100℃に加熱して12W/cmの
高圧水銀灯を用いて1分間紫外線照射し架橋、その後室
温まで放冷した。
【0072】(低屈折率層の形成)ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート6g、光重合開始剤(イルガキ
ュア907、チバガイギー社製)0.5g、光増感剤
(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.2g
および酢酸エチル20gを、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム1gを用いて水100gに乳化分散した。
乳化物液と合成例1で合成した微粒子100gとを混
合、攪拌して、低屈折率層の塗布液を調製した。塗布液
を高屈折率層の上にワイヤーバーを用いて厚さ0.10
μmに塗布し、これを乾燥後、100℃に加熱して12
W/cmの高圧水銀灯を用いて1分間紫外線照射し架橋
した。その後室温まで放冷した。こうして得られた反射
防止膜について、実施例1と同様に視感の表面反射率と
膜表面強度を測定した。視感の表面反射率は0.3%、
膜表面強度はAであった。
【0073】[実施例12〜16および比較例5、6]
高屈折率層に使用したポリマーと低屈折率層に使用した
微粒子を第3表に示すように変更した以外は、実施例1
1と同様にして、反射防止膜を作成した。なお、塗布液
は、固形分濃度が実施例11と同じになるように濃度を
調製した。得られた反射防止フイルムについて、視感の
表面反射率と膜表面強度を測定した。結を第3表に示
す。
【0074】
【表3】 第3表 ──────────────────────────────────── 反射 高屈折率層 低屈折率層 表面 膜表面 防止膜 ポリマー 屈折率 微粒子 反射率 強度 ──────────────────────────────────── 実施例11 HP1 1.55 合成例1 0.3% A 実施例12 HP2 1.57 合成例3 0.3% A 実施例13 HP3 1.59 合成例3 0.2% A 実施例14 HP2 1.57 合成例4 0.4% A 実施例15 HP1 1.55 合成例5 0.2% A 実施例16 HP3 1.59 合成例7 0.3% A ──────────────────────────────────── 比較例5 HP1 1.55 NP−1 4.2% C 比較例6 HP1 1.55 NP−2 0.3% C ────────────────────────────────────
【0075】(註) HP1:n−ブチルメタクリレート(80重量部)−メ
タクリル酸(20重量部)コポリマー HP2:メチルメタクリレート(65重量部)−エチル
メタクリレート(25重量部)−グリシジルメタクリレ
ート(10重量部)コポリマー HP3:ベンジルメタクリレート(50重量部)−メチ
ルメタクリレート(25重量部)−アリルメタクリレー
ト(20重量部)−メタクリル酸(5重量部)コポリマ
ー NP−1:メチルメタクリレート(80重量部)−ジビ
ニルベンゼン(25重量部)コポリマーからなる微粒子
(平均粒径:52nm) NP−2:ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート
(80重量部)−ジビニルベンゼン(20重量部)コポ
リマーをコア(70重量%)とし、ヘキサフルオロイソ
プロピルメタクリレート(90重量部)−グリシジルメ
タクリレート(10重量部)コポリマーをシェル(30
重量%)とする微粒子(平均粒径:61nm)
【0076】[実施例17]実施例12で作成した反射
防止フイルムを、パーソナルコンピューター(PC98
21NS/340W、日本電気(株)製)の液晶ディス
プレイ表面に貼り付けた。表示画像を確認したところ、
周囲の風景映り込みがほとんどなく、快適な視認性が得
られた。
【0077】[実施例18]実施例13で作成した反射
防止フイルムを、パーソナルコンピューター(PC98
21NS/340W、日本電気(株)製)の液晶ディス
プレイ表面に貼り付けた。表示画像を確認したところ、
周囲の風景映り込みがほとんどなく、快適な視認性が得
られた。
【0078】[実施例19]実施例15で作成した反射
防止フイルムを、パーソナルコンピューター(PC98
21NS/340W、日本電気(株)製)の液晶ディス
プレイ表面に貼り付けた。表示画像を確認したところ、
周囲の風景映り込みがほとんどなく、快適な視認性が得
られた。
【0079】[比較例7]比較例5で作成した反射防止
フイルムを、パーソナルコンピューター(PC9821
NS/340W、日本電気(株)製)の液晶ディスプレ
イ表面に貼り付けた。表示画像を確認したところ、周囲
の映り込みが多く、実施例17〜19の結果と比較して
視認性が劣っていた。
【0080】[比較例8]比較例6で作成した反射防止
フイルムを、パーソナルコンピューター(PC9821
NS/340W、日本電気(株)製)の液晶ディスプレ
イ表面に貼り付けた。表示画像を確認したところ、周囲
の映り込みが多く、実施例17〜19の結果と比較して
視認性が劣っていた。
【0081】[実施例21] (ハードコート層の形成)ジペンタエリスリトールペン
タアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリ
レートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)125
gおよびウレタンアクリレートオリゴマー(UV−63
00B、日本合成化学工業(株)製)125gを、43
9gの工業用変性エタノールに溶解した。得られた溶液
に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー
社製)7.5gおよび光増感剤(カヤキュアーDET
X、日本化薬(株)製)5.0gを49gのメチルエチ
ルケトンに溶解した溶液を加えた。混合物を攪拌した
後、1μmメッシュのフィルターで濾過してハードコー
ト層の塗布液を調製した。80μmの厚さのトリアセチ
ルセルロースフイルム(TAC−TD80V、富士写真
フイルム(株)製)に、ゼラチン下塗り層を設け、ゼラ
チン下塗り層の上に、上記のハードコート層の塗布液
を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥し
た。次に紫外線を照射して、塗布層を硬化させ、厚さ
7.5μmのハードコート層を形成した。
【0082】(低屈折率層塗布液の調製)シリカ微粒子
のメタノール分散液(R507、日産化学(株)製)2
00gにシランカップリング剤(KBN−803、信越
シリコーン(株)製)10gおよび0.1N塩酸2gを
加え、室温で5時間攪拌した後、約6日間室温で放置し
て、シランカップリング処理したシリカ微粒子の分散物
を調製した。分散物149gに、イソプロピルアルコー
ル789gおよびメタノール450gを加えた。光重合
開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)3.
21gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化
薬(株)製)1.605gを31.62gのイソプロピ
ルアルコールに溶解した溶液を加え、さらに、ジペンタ
エリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリ
トーツヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化
薬(株)製)2.17gを78.13gのイソプロピル
アルコールに溶解した溶液を加えた。混合物を20分間
室温で攪拌し、1μmのメッシュのフィルターで濾過し
て、低屈折率層用塗布液を調製した。
【0083】(反射防止膜の作成)ハードコート層の上
に、低屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布
し、120℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を
硬化させ、低屈折率層(厚さ:0.1μm)を形成し
た。このようにして、反射防止膜を作成した。得られた
反射防止膜について、450〜650nmの波長におけ
る平均反射率および表面の鉛筆硬度を測定した。結果は
第4表に示す。
【0084】[実施例22]100μmの厚さのポリエ
チレンテレフタレートフイルムにゼラチン下塗り層を設
け、ゼラチン下塗り層の上に、実施例21で用いたハー
ドコート層の塗布液を、バーコーターを用いて塗布し、
120℃で乾燥した。次に紫外線を照射して、塗布層を
硬化させ、厚さ7.5μmのハードコート層を形成し
た。実施例21と同様に、ハードコート層の上に低屈折
率層を設け、反射防止膜を作成した。得られた反射防止
膜について、450〜650nmの波長における平均反
射率および表面の鉛筆硬度を測定した。結果は第4表に
示す。
【0085】[実施例23]100μmの厚さのシンジ
オタクチックポリスチレンフイルムの表面にグロー放電
処理を実施した。その上に、実施例21で用いたハード
コート層の塗布液を、バーコーターを用いて塗布し、1
20℃で乾燥した。次に紫外線を照射して、塗布層を硬
化させ、厚さ7.5μmのハードコート層を形成した。
実施例21と同様に、ハードコート層の上に低屈折率層
を設け、反射防止膜を作成した。得られた反射防止膜に
ついて、450〜650nmの波長における平均反射率
および表面の鉛筆硬度を測定した。結果は第4表に示
す。
【0086】
【表4】 第4表 ──────────────────────────────────── 反射防止膜 透明支持体(支持体の屈折率) 空隙率 平均反射率 鉛筆硬度 ──────────────────────────────────── 実施例21 トリアセチルセルロース (1.48) 14% 1.5% 2H 実施例22 ポリエチレンテレフタレート(1.66) 14% 1.3% 2H 実施例23 ポリスチレン (1.58) 14% 1.4% 2H ────────────────────────────────────
【0087】[実施例24] (二酸化チタン分散物の調製)二酸化チタン(一次粒子
重量平均粒径:50nm、屈折率:2.70)30重量
部、下記のアニオン性モノマー(1)3重量部、下記の
アニオン性モノマー(2)3重量部、下記のカチオン性
モノマー1重量部およびメチルエチルケトン63重量部
を、サンドグラインダーにより分散し、二酸化チタン分
散物を調製した。
【0088】
【化4】
【0089】
【化5】
【0090】
【化6】
【0091】(中屈折率層用塗布液の調製)シクロヘキ
サノン172gおよびメチルエチルケトン43gに、光
重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)
0.18gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日
本化薬(株)製)0.059gを溶解した。さらに、二
酸化チタン分散物15.8gおよびジペンタエリスリト
ールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)
製)3.1gを加え、室温で30分間攪拌した後、1μ
mのメッシュのフィルターで濾過して、中屈折率層用塗
布液を調製した。
【0092】(高屈折率層用塗布液の調製)シクロヘキ
サノン183gおよびメチルエチルケトン46gに、光
重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)
0.085gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、
日本化薬(株)製)0.028gを溶解した。さらに、
二酸化チタン分散物17.9gおよびジペンタエリスリ
トールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘ
キサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)
製)1.0gを加え、室温で30分間攪拌した後、1μ
mのメッシュのフィルターで濾過して、高屈折率層用塗
布液を調製した。
【0093】(反射防止膜の作成)実施例21で形成し
たハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液をバーコ
ーターを用いて塗布し、120℃で乾燥した後、紫外線
を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(厚さ:0.
081μm)を設けた。中屈折率層の上に、高屈折率層
用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾
燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折
率層(厚さ:0.053μm)を設けた。高屈折率層の
上に、実施例21で用いた低屈折率層用塗布液をバーコ
ーターを用いて塗布し、120℃で乾燥した後、紫外線
を照射して塗布層を硬化させ、低屈折率層(厚さ:0.
092μm)を設けた。このようにして反射防止膜を作
成した。得られた反射防止膜について、450〜650
nmの波長における平均反射率および表面の鉛筆硬度を
測定した。さらに、指紋付着性を評価するため表面の接
触角も測定した。結果は第5表に示す。
【0094】[実施例25]低屈折率層の厚さを0.0
72μmとする以外は、実施例24と同様にして、ハー
ドコート層の上に、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率
層を設けた。低屈折率層の上に、架橋性含フッ素ポリマ
ーの溶液を塗布し、120℃に加熱して含フッ素ポリマ
ーを架橋させ、厚さ0.02μmの保護層を設けた。得
られた反射防止膜について、450〜650nmの波長
における平均反射率および表面の鉛筆硬度を測定した。
さらに、指紋付着性を評価するため表面の接触角も測定
した。結果は第5表に示す。
【0095】
【表5】 第5表 ──────────────────────────────────── 反射防止膜 保護層 平均反射率 鉛筆硬度 接触角 ──────────────────────────────────── 実施例24 なし 0.35% 2H 106° 実施例25 あり 0.36% 2H 28° ────────────────────────────────────
【図面の簡単な説明】
【図1】反射防止膜の低屈折率層の断面模式図である。
【図2】反射防止膜の様々な層構成を示す断面模式図で
ある。
【符号の説明】
1 低屈折率層 2 ハードコート層 3 透明支持体 4 高屈折率層 5 中屈折率層 11 無機微粒子 12 ミクロボイド 13 ポリマー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G09F 9/00 318 G09F 9/00 318A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.5乃至200nmの無機
    微粒子を50乃至95重量%およびポリマーを5乃至5
    0重量%含み、該無機微粒子を少なくとも2個以上積み
    重ねることにより微粒子間にミクロボイドが形成されて
    いる低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜。
  2. 【請求項2】 低屈折率層が、3乃至50体積%の空隙
    率を有する請求項1に記載の反射防止膜。
  3. 【請求項3】 低屈折率層が、1.20乃至1.55の
    屈折率を有する請求項1に記載の反射防止膜。
  4. 【請求項4】 無機微粒子の周囲に、ポリマーからなる
    シェルが設けられている請求項1に記載の反射防止膜。
  5. 【請求項5】 ミクロボイドが、無機微粒子およびポリ
    マーにより閉じている請求項1に記載の反射防止膜。
  6. 【請求項6】 平均粒径が0.5乃至200nmの無機
    微粒子を50乃至95重量%およびポリマーを5乃至5
    0重量%含み、該無機微粒子を少なくとも2個以上積み
    重ねることにより微粒子間にミクロボイドが形成されて
    いる低屈折率層を有する反射防止膜を、表示面に配置し
    たことを特徴とする画像表示装置。
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