JP2004317734A - 反射防止膜、その製造方法、反射防止フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】含フッ素ポリマーと無機微粒子の両方を含む塗布液を一回塗布、硬化することにより、無機微粒子を含有する高屈折率層と含フッ素ポリマーを含む低屈折率層を同時に形成することからなる反射防止膜の製造方法、この方法によって製造された反射防止膜、この反射防止膜を透明支持体上に配置した反射防止フィルム、及びこの反射防止フィルムを配置した画像表示装置。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射防止膜、その製造方法、反射防止フィルム、及びそれを用いた表示装置、特に液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止膜は一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するようにディスプレイの最表面に配置される。
【0003】
このような反射防止膜は、高屈折率層の上に適切な膜厚の低屈折率層を形成することにより作製できる。低屈折率層素材としては反射防止性能の観点からできる限り屈折率の低い素材が望まれ、同時にディスプレイの最表面に用いられるため高い耐擦傷性が要求される。
【0004】
厚さ100nm前後の薄膜において高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体に十分な強度を付与することに加え、下層への密着性を高めることが特に重要である。材料の屈折率を下げる手段としては、▲1▼フッ素原子を導入する、▲2▼密度を下げる(空隙を導入する)という手段があるがいずれも皮膜強度および密着性が損なわれ耐擦傷性の低下をもたらすものである。
【0005】
こうした問題点に対し、含フッ素ポリマーに無機微粒子を添加することで低屈折率層に強度を付与する技術が知られている(例えば特許文献1の段落0006及び0007参照)。この手法でもある程度の耐傷性改良効果が認められる場合はあるが、微粒子は低屈折率層中に均一に分布することとなり、強度は改善される一方で屈折率は上がってしまう。すなわち、無機微粒子は自ずと添加量、種類を制限されるものであった。
【0006】
界面での密着性を改善する手段として、低屈折率層とその下層(すなわち高屈折率層)とを同時に形成することが考えられる。すなわち塗布後、硬化までの過程に於いて、一層中に相分離により屈折率差の大きい二相を同時に形成することで、機能的には明確な界面が存在しつつも、剥離の起点となるような構造的な界面が存在しない層とするものである。また、このような方法が確立されれば、工程数を一つ減らせることになり、製造コストの面からも有用である。
【0007】
二層を同時に形成する技術としては、写真感光材料やインクジェット用記録紙、あるいは磁気記録材料等の生産において用いられている多層同時塗布の技術が広く知られているところである(例えば特許文献2の2頁〜3頁、特許文献3の段落0008〜0009、特許文献4の段落0014〜0015参照)。
写真感光材料分野では温度調節によるゼラチンのゾル−ゲル変換を利用しているが、有機溶剤系では広範な溶剤で用いることのできる良好なゾルゲル変換物質は見出されていない。また支持体が紙である場合は、塗布した液の水分が紙に吸収されることで塗布された液が増粘し、多層同時塗布が可能になる場合もある。
有機溶剤系での多層同時塗布の例として、磁気記録材料の分野では、有機溶剤系の塗布で液粘度、比重等の物性を制御することで精度良く多層を同時に塗布する技術が確立されている。しかしながら、反射防止膜の製造に要求されるような、薄膜を精度良く作成することは困難であり、そのままの形で適用することは難しい。
以上のような背景から、一度の塗布で低屈折率層、高屈折率層の二層を同時に形成する技術が求められている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−100006号公報
【特許文献2】
特公平2−22711号公報
【特許文献3】
特開平11−147363号公報
【特許文献4】
特許2707368号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、大量生産に適した塗布型の反射防止膜であり、しかも反射率が低く、耐擦傷性に優れた反射防止膜及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、透明支持体上に上記反射防止膜を設けた反射防止フィルムを提供することにある。
本発明のさらなる他の目的は、表面の耐傷性に優れ反射が防止された画像表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、段落0006に記載した方法をベースとして、二層を同時に形成する方法を鋭意研究した結果、本発明の上記目的は下記構成の発明により達成された。
1.含フッ素ポリマーと無機微粒子の両方を含む塗布液を一回塗布、硬化することにより、無機微粒子を含有する高屈折率層と含フッ素ポリマーを含む低屈折率層を同時に形成させることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
2.上記1記載の方法によって製造された反射防止膜。
3.含フッ素ポリマーが、カチオン重合性基またはラジカル重合性基を架橋反応性基として有することを特徴とする上記2に記載の反射防止膜。
4.無機微粒子の屈折率が1.50以上であることを特徴とする上記2に記載の反射防止膜。
5.反射防止膜が支持体上に設けられており、反射防止膜の高屈折率層の屈折率が1.57以上であり、かつ該支持体との屈折率の差が0.3以下であることを特徴とする上記2〜4に記載の反射防止膜。
6.無機微粒子が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなることを特徴とする上記2〜5のいずれかに記載の反射防止膜。
7.第一の高屈折率層を予め形成し、その上に含フッ素ポリマーと無機微粒子の両方を含む塗布液を一回塗布、硬化させることにより、第一の高屈折率層と合わさって一層化した無機微粒子を含有する高屈折率層と含フッ素ポリマーを含む低屈折率層を同時に形成させることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
8.ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層などの層を予め形成し、その上に含フッ素ポリマーと無機微粒子の両方を含む塗布液を一回塗布、硬化させることにより、予め形成しておいた層の上に無機微粒子を含有する高屈折率層と含フッ素ポリマーを含む低屈折率層を同時に形成させることを特徴とする、三層以上の多層構成の反射防止膜の製造方法。
9.上記2〜5のいずれかに記載の反射防止膜または上記6もしくは7の方法で製造した反射防止膜を透明支持体上に配置したことを特徴とする反射防止フィルム。
10.上記6記載の反射防止フィルムを配置したことを特徴とする画像表示装置。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の反射防止膜の製法は、含フッ素ポリマーと無機微粒子とを含有する組成物(塗布液)を一回塗布、硬化することで、一層中に屈折率1.20〜1.49の低屈折率な相と、無機微粒子を含む屈折率1.50〜2.40の高屈折率な相が同時に形成されることを特徴とする。なおこれ以降で、これら二相からなる層を「最表層」と、ここで形成される含フッ素ポリマーを含む低屈折率な相を「低屈折率層」と、無機微粒子を含む高屈折率な相を「高屈折率層−a」と、それぞれ呼称することがある。
相分離が発現する機構としては、塗布後の乾燥過程において表面自由エネルギーの低い含フッ素ポリマーの表面への偏析と、比重の大きい無機微粒子の沈降が共に起こるためと推測される。
【0012】
[反射防止膜の層構成]
本発明の製法によって製造された反射防止膜は、画像表示装置などに直接(その場で)形成しても、相分離により低屈折率層(上)−高屈折率層(下)が形成され、機能的に二層よりなる反射防止膜を得ることができるが、前もって反射防止フィルムを形成してから画像表示装置に配置することが好ましい。このような場合の層構造を図1の(a)に示す。
【0013】
図1は、本発明の方法により作成され、透明支持体上に形成された反射防止膜の断面模式図である。図1の(a)に示す態様は、透明支持体5、高屈折率層−a2、低屈折率層1の順序の層構造を有する。(a)のように、高屈折率層と低屈折率層とを有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、高屈折率層が下記式(I)、低屈折率層が下記式(II)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0014】
【数1】
【0015】
式中、mは正の整数(一般に1、2または3)であり、n1は高屈折率層の屈折率であり、そして、d1は高屈折率層の層厚(nm)である。
【0016】
【数2】
【0017】
式中、nは正の奇数(一般に1)であり、n2は低屈折率層の屈折率であり、そして、d2は低屈折率層の層厚(nm)である。
高屈折率層の屈折率n1は、好ましくは透明支持体より少なくとも0.05高く、そして、低屈折率層の屈折率n2は、好ましくは高屈折率層の屈折率より少なくとも0.1低くかつ透明支持体より少なくとも0.05低い。更に、高屈折率層の屈折率n1は、好ましくは1.57〜2.40の範囲にある。
【0018】
上記のように、低屈折率層と高屈折率層の二層からなる構成でもよいが、さらに中屈折率層、高屈折率層、ハードコート層などの層を予め形成し、この上に本発明の方法に従い低屈折率層と高屈折率層を形成させた三層以上の多層構成であってもよい。好ましくは三層以上の多層構成の形態であり、特に好ましくは中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の三層以上の層を積層してなる形態である。このような形態を図1の(b)に示す。
【0019】
図1の(b)に示す態様は、透明支持体5、ハードコート層4、中屈折率層6、高屈折率層−a 2、低屈折率層1の順序の層構成を有する。ここで、層1と層2は本発明の方法、すなわち相分離により形成される層である。(b)のように、中屈折率層6、高屈折率層2と低屈折率層1とを有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記式(III)、高屈折率層が下記式(IV)、低屈折率層が下記式(V)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0020】
【数3】
【0021】
式中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、n3は中屈折率層の屈折率であり、そして、d3は中屈折率層の層厚(nm)である。
【0022】
【数4】
【0023】
式中、jは正の整数(一般に1、2または3)であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そして、d4は高屈折率層の層厚(nm)である。
【0024】
【数5】
【0025】
式中、kは正の奇数(一般に1)であり、n5は低屈折率層の屈折率であり、そして、d5は低屈折率層の層厚(nm)である。
【0026】
中屈折率層の屈折率n3は、好ましくは1.5〜1.7の範囲にあり、高屈折率層の屈折率n4は、好ましくは1.7〜2.2の範囲にある。
【0027】
さらに別の態様を図1の(c)に示す。透明支持体5、ハードコート層4、中屈折率層6、高屈折率層−b 3、そして高屈折率層−a 2、低屈折率層1の順序の層構成を有する。ここで、層1と層2は本発明の方法、すなわち相分離により形成される層である。層3(高屈折率層−b)は、予め形成した高屈折率層であり、層2と合わせて高屈折率層として機能するものであるため、層3と層2との屈折率の差は0.3以下であることが好ましい。(c)のように、中屈折率層6、高屈折率層2、3と低屈折率層1とを有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記式(VI)、高屈折率層が下記式(VII)、低屈折率層が下記式(VIII)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0028】
【数6】
【0029】
式中、lは正の整数(一般に1、2または3)であり、n6は中屈折率層の屈折率であり、そしてd6は中屈折率層の層厚(nm)である。
【0030】
【数7】
【0031】
式中、pは正の整数(一般に1、2または3)であり、n7は高屈折率層の屈折率であり、そして、d7は高屈折率層の層厚(nm)である。ここで、高屈折率層の屈折率n7は高屈折率層−a 2と高屈折率層−b 3の体積平均であり、膜厚d7はこれら両層の膜厚の和で定義する。
【0032】
【数8】
【0033】
式中、qは正の奇数(一般に1)であり、n8は低屈折率層の屈折率であり、そして、d8は低屈折率層の層厚(nm)である。
【0034】
中屈折率層の屈折率n6は、一般に1.5〜1.7の範囲にあり、高屈折率層の屈折率n7は、一般に1.7〜2.2の範囲にある。
【0035】
このような形態においては本発明の方法で形成される無機微粒子を含有する層は、高屈折率層の一部として機能するだけでなく、低屈折率層と高屈折率層との密着性を高める機能も果たしている。
【0036】
また、式(I)〜(VIII)中のλは可視光線の波長であり、380〜680nmの範囲の値である。ここで記載した高屈折率、中屈折率、低屈折率とは層相互の相対的な屈折率の高低をいう。中屈折率層は、高屈折率層に添加する高屈折率無機微粒子の含有量を変えるなどの方法で作製される。
【0037】
[低屈折率層]
低屈折率層は、図1に示すごとく、高屈折率層の上層に形成される。低屈折率層の上側が反射防止膜の表面である。この低屈折率層について以下に説明する。
【0038】
本発明の方法により得られる相分離構造の上相より成る低屈折率層について説明する。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49であることがより好ましく、1.20〜1.45であることがより好ましく、1.20〜1.43であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0039】
本発明の低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
本発明の低屈折率層には、含フッ素ポリマーを含む。このようなポリマーとしては、熱または活性エネルギー線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。
【0040】
熱または活性エネルギー線により架橋する含フッ素ポリマーとしてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
【0041】
含フッ素共重合体を製造するための含フッ素モノマーの具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
【0042】
架橋反応性付与のための構成単位としては次のような架橋反応性基を含む構成単位を挙げることができる。
(架橋反応性基の例示)
活性水素原子を有する基(たとえば水酸基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、カチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等)、酸無水物、ラジカル種による付加または重合が可能な不飽和2重結合を有する基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基等)、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等。
【0043】
上記の架橋反応性基の中で、好ましくは水酸基、カチオン重合性基、ラジカル重合性基または加水分解性シリル基であるが、より好ましくはカチオン重合性基またはラジカル重合性基であり、特に好ましくはエポキシ基または(メタ)アクリロイル基である。
【0044】
なお、共重合体への(メタ)アクリロイル基の導入方法としては下記(1)〜(6)の手法が好ましい。
(1)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法
(2)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法
(3)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法
(4)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法
(5)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法
(6)3―クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法
これらの中でも、特に水酸基を含有するポリマーに対して(1)または(2)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
【0045】
また、含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマー単位を含むこともできる。そのようなモノマー単位には特に限定はなく、モノマーとして、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
【0046】
これらモノマー単位は、含フッ素共重合体を構成する含フッ素モノマー単位の種類にもよるが、全モノマー単位の5〜70質量%を占めることが好ましく、10〜60質量%を占めることがより好ましく、20〜55質量%を占めることが特に好ましい。
【0047】
上記の含フッ素共重合体に対しては、特開平10−25388号および特開平10−147739号公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
【0048】
本発明に用いられる含フッ素共重合体の好ましい形態として下記一般式1が挙げられる。
【0049】
【化1】
【0050】
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*‐(CH2)2−O−**、*−(CH2)2−NH−**、*−(CH2)4−O−**、*−(CH2)6−O−**、*−(CH2)2−O−(CH)2−O−**、*−CONH−(CH2)3−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
Xは、水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、水素原子であることが好ましい。
【0051】
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の重合単位であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に影響を与える)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーの重合単位によって構成されていても良い。
【0052】
重合単位Aに対応する好ましいビニルモノマーの例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を例として挙げることができる。好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
【0053】
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。ここで、x、y、zの合計は100モル%である。
【0054】
本発明に用いる含フッ素共重合体の数平均分子量は、GPC法で測定したポリスチレン換算値として、1,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは5,000〜500,000であり、特に好ましくは10,000〜200,000である。
【0055】
以下に本発明で有用な共重合体の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
【化2】
【0057】
【化3】
【0058】
【化4】
【0059】
【化5】
【0060】
【化6】
【0061】
【化7】
【0062】
本発明に用いられる含フッ素共重合体は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合等によって合成することができる。あるいはこれらの手法によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基等を導入することにより合成することができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
【0063】
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
【0064】
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
【0065】
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
【0066】
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
【0067】
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
【0068】
[高屈折率層−a]
次に本発明の方法により得られる相分離構造の下相から成る高屈折率層−aについて説明する。
高屈折率層−aの屈折率は、一般に1.50〜2.40である。前述した図1(c)の形態で用いる場合には、下層(高屈折率層−b)との屈折率差が0.3以下であることが好ましく、より好ましくは0.2以下であり、特に好ましくは0.05以下である。屈折率差を上記範囲とするには、無機微粒子の種類及び、塗布液中の無機微粒子の割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
【0069】
本発明の相分離構造の下相より成る高屈折率層−aは無機微粒子を含む。本発明に使用する無機微粒子形状は特に制限されるものではなく、例えば、球状、板状、繊維状、棒状、不定形、中空等のいずれも好ましく用いられるが、球状が分散性がよくより好ましい。
【0070】
無機微粒子の比重は、下相に沈降させるために大きいことが好ましく、これは共に用いる含フッ素共重合体にもよるが、好ましくは比重2.0以上であり、より好ましくは比重3.0以上であり、特に好ましくは比重5.0以上である。
【0071】
無機微粒子の種類については、非晶質のものが好ましく用いられ、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物が特に好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNi等が挙げられるが、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなることが好ましい。
【0072】
無機微粒子の平均粒子径は、透明な硬化膜を得るためには、0.001〜0.2μmの範囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは0.001〜0.1μm、さらに好ましくは0.001〜0.06μmである。すなわち、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、膜中に該無機微粒子が分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。なお、粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
【0073】
本発明では、無機微粒子は、最表層を形成する塗布液に添加する方法が好ましい。その際、無機微粒子は、例えば乾燥状態で使用することができるし、あるいは水もしくは有機溶媒に分散した状態で使用することもできる。好ましくは有機溶媒中に分散した状態で添加する方法である。また、粒子表面を表面処理し架橋反応性官能基を導入してもよく、このような架橋反応性官能基としては低折率層に用いられたポリマーの架橋反応性基と反応しうるものが特に好ましい。
【0074】
[最表層塗布液組成物]
本発明の最表層形成組成物は、通常液状であり、前記含フッ素共重合体および無機微粒子を必須の構成成分とし、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製される。この際、固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが、一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
【0075】
さらに、最表層の皮膜硬度の観点から硬化剤などの添加剤を添加しても良く、多官能性(メタ)アクリレート化合物、多官能性エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラストを少量添加することができる。これらを添加する場合には、最表層皮膜の全固形分に対して、0〜30質量%の範囲であることが好ましく、0〜20質量%の範囲であることがより好ましく、0〜10質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0076】
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0〜5質量%の場合である。
【0077】
ラジカル重合開始剤としては、熱の作用によりラジカルを発生するもの、あるいは光の作用によりラジカルを発生するもののいずれのものも使用可能である。
【0078】
熱の作用によりラジカル重合を開始する化合物としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド等が挙げられる。また、無機過酸化物としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。また、アゾ化合物としては、2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
【0079】
光の作用によりラジカル重合を開始する化合物を使用する場合は、活性エネルギー線の照射によって皮膜の硬化が行われる。
このような光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類等が挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。これらの光ラジカル重合開始剤と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
【0080】
熱または光の作用によってラジカル重合を開始する化合物の添加量としては、炭素−炭素二重結合の重合を開始できる量であれば良いが、一般的には最表層形成組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%の場合である。
【0081】
最表層塗布液組成物に含まれる溶剤としては、含フッ素共重合体を含む組成物が沈殿を生じることなく、均一に溶解または分散されるものであれば特に制限はなく2種類以上の溶剤を併用することもできる。好ましい例としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
【0082】
その他最表層形成組成物には各種シランカップリング剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を必要に応じて適宜添加しても良い。
【0083】
[高屈折率層−b,中屈折率層]
本発明の反射防止膜が、三層以上の多層膜の態様をとる場合、一般に、低屈折率層は、高屈折率層−a以外に、低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一つの層、即ち、前記の高屈折率層−b及び中屈折率層のいずれかの層と共に用いられる。
【0084】
低屈折率層より高い屈折率を有する層を形成するための有機材料としては、
熱可塑性樹脂(例、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン以外の芳香環、複素環、脂環式環状基を有するポリマー、フッ素以外のハロゲン基を有するポリマー等);熱硬化性樹脂(例、メラミン樹脂、フェノール樹脂、またはエポキシ樹脂等);ウレタン樹脂(例、脂環式または芳香族イソシアネートおよびポリオールの組み合わせ);およびラジカル重合性化合物(上記の化合物(ポリマー等)に二重結合を導入することにより、ラジカル硬化を可能にした変性樹脂またはプレポリマー)などを挙げることができる。高い被膜形成性を有する材料が好ましい。
低屈折率層より高い屈折率を有する層は、有機材料中に無機系微粒子を分散させた材料から形成することができる。このような有機材料としては、透明性があり無機系微粒子を安定に分散させることができる有機材料が好ましく挙げられる。また、使用される有機材料として、一般に無機系微粒子が高屈折率を有するため、有機材料単独で用いる場合よりも低屈折率のものも用いることができる。そのような有機材料として、上記に述べた有機材料の他、アクリル系を含むビニル系共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、繊維素系重合体、ウレタン樹脂およびこれらのポリマーとこれらを硬化させる各種の硬化剤との組み合わせ、さらには硬化性官能基を有する重合体などが挙げられる。
【0085】
さらに有機置換されたケイ素系化合物を無機系微粒子を安定に分散させることができる透明性有機材料に含めることができる。これらのケイ素系化合物は下記一般式で表される化合物、あるいはその加水分解生成物である。
Ra mRb nSiZ(4−m−n)
上記式中、Ra及びRbは、それぞれ独立に、置換されていても良いアルキル基、アルケニル基、またはアリル基を表す。置換基としては、ハロゲン、エポキシ、アミノ、メルカプト、メタクリロイル、シアノが挙げられる。
Zは、アルコキシル基、アルコキシアルコキシル基、ハロゲン原子、及びアシルオキシ基から選ばれた加水分解可能な基を表す。
m及びnは、それぞれ0、1または2であり、mとnの和は1または2である。
【0086】
これらに分散される無機系微粒子の好ましい無機化合物としては、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモンなどの金属元素の酸化物を挙げることができる。これらの化合物は、微粒子状で、即ち粉末または水および/またはその他の溶媒中へのコロイド状分散体として、市販されている。これらをさらに上記の有機材料中に混合分散して使用する。
【0087】
上記より高い屈折率を有する層を形成する材料として、被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機系材料(例、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例、キレート化合物)、無機ポリマー)を挙げることができる。これらの好適な例としては、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−sec −ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモントリブトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラ−i−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−sec −ブトキシド及びジルコニウムテトラ−tert−ブトキシドなどの金属アルコレート化合物;ジイソプロポキシチタニウムビス(アセチルアセトネート)、ジブトキシチタニウムビス(アセチルアセトネート)、ジエトキシチタニウムビス(アセチルアセトネート)、ビス(アセチルアセトンジルコニウム)、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセトアセテート及びトリ−n−ブトキシドジルコニウムモノエチルアセトアセテートなどのキレート化合物;さらには炭素ジルコニルアンモニウムあるいはジルコニウムを主成分とする無機ポリマーなどを挙げることができる。上記に述べた他に、屈折率が比較的低いが上記の化合物と併用できるものとしてとくに各種のアルキルシリケート類もしくはその加水分解物、微粒子状シリカとくにコロイド状に分散したシリカゲルも使用することができる。
【0088】
高屈折率層―bの屈折率は、1.57〜2.40であることが好ましい。屈折率は、アッベ屈折率計を用いる測定や、層表面からの光の反射率からの見積もりにより求めることができる。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましく、30nm〜0.5μmであることが最も好ましい。高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な高屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0089】
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
高屈折率層に無機微粒子とポリマーを用い、中屈折率層は、高屈折率層よりも屈折率を低めに調節して形成することが特に好ましい。中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。
【0090】
[その他の層]
反射防止フィルムには、さらに、ハードコート層、防湿層、帯電防止層、下塗り層や保護層を設けてもよい。ハードコート層は、透明支持体に耐傷性を付与するために設ける。ハードコート層は、透明支持体とその上の層との接着を強化する機能も有する。ハードコート層は、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコン系ポリマーやシリカ系化合物を用いて形成することができる。顔料をハードコート層に添加してよい。アクリル系ポリマーは、多官能アクリレートモノマー(例、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート)の重合反応により合成することが好ましい。ウレタン系ポリマーの例には、メラミンポリウレタンが含まれる。シリコン系ポリマーとしては、シラン化合物(例、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン)と反応性基(例、エポキシ、メタクリル)を有するシランカップリング剤との共加水分解物が好ましく用いられる。二種類以上のポリマーを組み合わせて用いてもよい。シリカ系化合物としては、コロイダルシリカが好ましく用いられる。ハードコート層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。透明支持体の上には、ハードコート層に加えて、接着層、シールド層、滑り層や帯電防止層を設けてもよい。シールド層は、電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
【0091】
[透明支持体]
反射防止膜をCRT画像表示面やレンズ表面に直接設ける場合を除き、反射防止膜は透明支持体を有することが好ましい。透明支持体としては、ガラス板よりもプラスチックフイルムの方が好ましい。プラスチックフイルムの材料の例には、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましい。透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。透明支持体には、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルクおよびカオリンが含まれる。透明支持体に、表面処理を実施してもよい。
表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理がさらに好ましい。
【0092】
[反射防止フィルム]
反射防止膜の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)により、塗布により形成することができる。
本発明の方法によれば、これらのうち最表面である低屈折率層、高屈折率層の二層を同時に形成することができる。二層の形成は、塗布後の乾燥過程で相分離により為される。完全に溶媒を除去する事に加え、欠陥なく二相に分離させるという観点からも、乾燥工程では加熱することが好ましい。加熱温度としては、用いる溶媒の沸点及びポリマーのガラス転移温度から決定できる。さらに、熱または光により皮膜の硬化を行う。硬化を熱により行う場合、乾燥工程と硬化工程とを同時におこなってもよい。
反射防止膜の反射率は低いほど好ましい。具体的には450〜650nmの波長領域での平均反射率が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.7%以下であることが最も好ましい。反射防止膜(下記のアンチグレア機能がない場合)のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。反射防止膜の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましい。反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。微粒子を使用した低屈折率層では、微粒子により反射防止膜の表面に凹凸が形成できる。微粒子により得られるアンチグレア機能では不充分な場合は、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層あるいはハードコート層に比較的大きな粒子(粒径:50nm〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加してもよい。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用する。反射防止膜は、高屈折率層が画像表示装置の画像表示面側になるように配置する。反射防止膜が透明支持体を有する場合は、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。反射防止膜は、さらに、ケースカバー、光学用レンズ、眼鏡用レンズ、ウインドウシールド、ライトカバーやヘルメットシールドにも利用できる。
【0093】
【実施例】
以下に実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)パーフルオロオレフィン共重合体(P−1)の合成
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cm2であった。温度を65℃に保持し8時間反応を続け、圧力が3.2kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次にこのポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより共重合体P−1を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
【0094】
(2)パーフルオロオレフィン共重合体(P−21)の合成
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル31.0g、およびグリシジルビニルエーテル(GVE)10.01g、エチルビニルエーテル(EVE)1.80gおよび過酸化ジラウロイル0.398gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)18.78gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cm2であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.2kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。反応液を大過剰のn−ヘキサンに投入した。得られたポリマーを少量の酢酸エチルに溶解して2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー17.7gを得た。次にこのポリマーの15gをメチルイソブチルケトン(MIBK)40mlに溶解、アクリル酸10.5g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド128mg、重合禁止剤としてチバガイギー社製Irganox1010を84mgをこれに加え、100℃で5時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより共重合体P−21を12.2g得た。得られたポリマーの屈折率は1.427であった。
【0095】
他のポリマーについても同様に合成した。
【0096】
(二酸化チタン分散物の調製)
コア/シェル構造の二酸化チタン微粒子(TTO−55B(商品名)、シェル材料;アルミナ粒子全体の9質量% 、比重4、石原産業(株)製)30質量部、市販のアニオン性モノマー(PM−21(商品名),日本化薬製)4.5質量部、市販のカチオン性モノマー(DMAEA(商品名)、(株)興人)0.3質量部およびシクロヘキサノン65.2質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径53nmの二酸化チタン分散物(TTO−disp)を調製した。
【0097】
(最表層塗布液の調製)
下記表1に示す各成分を混合し、メチルイソブチルケトンに溶解した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
また表1中において、Irg907はチバガイギー製光重合開始剤 イルガキュア907(商品名)を表し、KZはJSR製ジルコニア微粒子分散物KZ−7114A(商品名)を表し、MEK−ST(商品名)は日産化学工業(株)社製シリカ微粒子分散物を表す。
【0098】
表1中の( )内は各成分それぞれの乾燥時の体積比を表す。また、硬化触媒はいずれもパーフルオロオレフィン共重合体にたいして5質量%の割合で添加した。
【0099】
【表1】
【0100】
(中屈折率層用塗布液の調製)
上記二酸化チタン分散物(TTO−disp.)49.60gに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA(商品名)、日本化薬(株)製)を18.08g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバガイギー社製)を0.920g、光増感剤(カヤキュアーDETX(商品名)、日本化薬(株)製)を0.307gおよびメチルエチルケトンを230.0gおよびシクロヘキサノンを500g添加して撹拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層の塗布液を調製した。
【0101】
(高屈折率層−b用塗布液の調製)
上記二酸化チタン分散物110.0gに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)を6.29g、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)を0.520g、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)を0.173gおよびメチルエチルケトンを230.0gおよびシクロヘキサノンを460.0g添加して撹拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層の塗布液を調製した。
【0102】
(ハードコート層用塗布液の調製)
ペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA(商品名)、日本化薬(株)製)125gおよびウレタンアクリレートオリゴマー(UV−6300B(商品名)、日本合成化学工業(株)製)125gを、439gの工業用変性エタノールに溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ−ガイギー社製)7.5gおよび光増感剤(カヤキュア−DETX(商品名)、日本化薬(株)製)5.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。混合物を撹拌した後、1ミクロンメッシュのフィルターでろ過してハードコート層の塗布液を調製した。
【0103】
(反射防止膜の作製)
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフイルム(TAC−DU(商品名)、富士写真フィルム(株)製)上に、上記のハードコート層用塗布液をバーコーターを用いて塗布した。90℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、上記中屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布した。60℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.70、膜厚70nm、TTB−55B、21体積%)を形成した。中屈折率層の上に、上記の高屈折率層−b用塗布液をバーコーターを用いて塗布した。60℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層−b(設計膜厚を実施例1、7、比較例2では膜厚55nm、比較例1では膜厚75nm、それ以外では膜厚65nmとした。)を形成した。屈折率1.95であった。高屈折率層−bの上に、上記表1に示した最表層用塗布液(本発明S1〜12および比較例S13〜15)をバーコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥した後、窒素雰囲気下で紫外線を照射した後、120℃で10分間加熱し、その後室温まで放冷して最表層(設計膜厚を実施例1、7、比較例2では層厚105nm、比較例1では層厚85nm、それ以外では層厚95nmとした。)を形成し、反射防止膜を作製した。
【0104】
(反射防止膜の評価)
こうして得られた、第1〜4層を塗設してなる膜(本発明1〜12、比較例1〜3)について、下記性能評価を実施した。得られた結果を表2に示した。
【0105】
(1)平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの鏡面平均反射率を用いた。
【0106】
(2)相分離構造の確認
試料の超薄切片(切片厚50nm)を作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)により層の断面を撮影し(倍率150,000倍)、相分離構造が形成されていることを確認した。判定は次の通り。
低屈折率層と高屈折率層の界面が明確である :○
低屈折率層中に微粒子が混入している、または
低屈折率層と高屈折率層の界面が明確でない :×
【0107】
(3)鉛筆硬度評価
反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JISK 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。
【0108】
(4)耐傷性試験
膜表面をスチールウール#0000を用いて、500gの荷重下で20回擦った後に、傷のつくレベルを確認した。判定は次の基準に従った。
全くつかない :○
細かい傷がつく:△
傷が著しい :×
【0109】
(5)密着性評価
碁盤目―セロテープ剥離試験をJISK5400に準拠して行った。100分割した桝目の内の剥がれずに残った数(x)をx/100の形で表記した。
【0110】
【表2】
【0111】
本実施例から明らかなように、本発明の反射防止膜は広い波長領域で、非常に低い表面反射率、かつ十分に強靱な膜強度を有し、各層間での密着性にも優れていることがわかる。また、断面を観察すると、最表層内で相分離により低屈折率層と高屈折率層−aが形成され、設計通りの層構成を有することが確認できた。高屈折率層−aはその下層である高屈折率層−bとは、もはやその界面を明確に判別できず、構造的に単一層の高屈折率層となっている。例えば、実施例1では高屈折率層−bを設計膜厚55nm、最表層を設計膜厚105nmに設定して塗布したが、最表層に相分離構造が形成されたことにより、低屈折率層が85.3nm、高屈折率層が75.4nmと観察された。実施例2では高屈折率層−bを設計膜厚65nm、最表層を設計膜厚95nmに設定して塗布したが、最表層に相分離構造が形成されたことにより、低屈折率層が85.4nm、高屈折率層が75.6nmと観察された。さらに本発明の反射防止膜が比較例1と反射率の点で同等であることから、高屈折率層−aと高屈折率層−bとは機能的にも単一層となっている。
これに対し、最表層に無機粒子が配合されていない比較例1では、低屈折率層−高屈折率層界面での密着性が低下し、耐傷性が劣るものであり、比較例2,3では最表層内で二層構造が形成されず、微粒子が低屈折率層内に分散した形態となってしまうため、層厚が設計したものと異なってしまい、反射率が高くなってしまう。さらに密着性を改善する効果も見られず、結果として膜強度、耐傷性にも劣るものである。
【0112】
[反射防止フィルムを設置した表示装置の作成]
上記で作成した実施例1〜9、比較例1〜3の反射防止フィルムを日本電気株式会社より入手したパーソナルコンピューターPC9821NS/340Wの液晶ディスプレイ表面に貼り付け、表面装置サンプルを作成し、その表面反射による風景映り込み程度を目視にて評価した。本発明の実施例1〜12の反射防止フィルムを設置した表示装置は周囲の風景映り込みが殆どなく、快適な視認性を示しかつ充分な表面強度を有するものであったのに対し、比較例1〜3の膜を設置した表示装置は周囲の映り込みはある程度低減できるものの表面強度にも劣るものであった。
【0113】
【発明の効果】
本発明の反射防止膜は、反射防止性能が高く、支持体との密着が良好であるため耐傷性にも優れる。この反射防止フィルムを用いた偏光板及び液晶表示装置は、外光の映り込みが十分に防止されているうえ、耐傷性も高いという優れた性質を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止膜の断面模式図であり、(a)は2層構成、(b)は4層構成、(c)は5層構成の例を示す。
【符号の説明】
1 低屈折率層
2 高屈折率層−a
3 高屈折率層−b
4 ハードコート層
5 透明支持体
6 中屈折率層
Claims (4)
- 含フッ素ポリマーと無機微粒子の両方を含む塗布液を一回塗布、硬化させることにより、無機微粒子を含有する高屈折率層と含フッ素ポリマーを含む低屈折率層を同時に形成させることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項1記載の方法によって製造された反射防止膜。
- 請求項2記載の反射防止膜を透明支持体上に配置したことを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項3記載の反射防止フィルムを配置したことを特徴とする画像表示装置。
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