JP2001100003A - 反射防止膜および画像表示装置 - Google Patents

反射防止膜および画像表示装置

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JP2001100003A
JP2001100003A JP27533899A JP27533899A JP2001100003A JP 2001100003 A JP2001100003 A JP 2001100003A JP 27533899 A JP27533899 A JP 27533899A JP 27533899 A JP27533899 A JP 27533899A JP 2001100003 A JP2001100003 A JP 2001100003A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空隙を含有する低屈折率層の屈折率を上昇さ
せることなく、低屈折率層の表面を汚れから保護し、さ
らに耐傷性も改善する。 【解決手段】 透明支持体、および透明支持体よりも低
い屈折率と3乃至50体積%の空隙率とを有する低屈折
率層が積層されている反射防止膜において、該低屈折率
層の上にポリマー層が積層され、さらにその上に含フッ
素化合物、含ケイ素化合物、炭素数4以上の長鎖アルキ
ル基含有化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物が
含まれるオーバーコート層が積層されている反射防止
膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防汚層、保護層を
有する反射防止膜およびそれを用いた画像表示装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】反射防止膜は、液晶表示装置(LC
D)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレク
トロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表
示装置(CRT)のような様々な画像表示装置に設けら
れている。反射防止膜としては、金属酸化物の透明薄膜
を積層させた多層膜が従来から普通に用いられている。
複数の透明薄膜を用いるのは、様々な波長の光の反射を
防止するためである。金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸
着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着
法の一種である真空蒸着法により形成されている。金属
酸化物の透明薄膜は、反射防止膜として優れた光学的性
質を有しているが、蒸着による形成方法は、生産性が低
く大量生産に適していない。蒸着法に代えて、透明支持
体上に光学的機能層を塗布により形成して反射防止膜を
製造する方法も提案されている。
【0003】反射防止機能のためには、透明支持体の屈
折率よりも低い屈折率を有する層(低屈折率層)を設け
る必要がある。透明支持体上に複数の光学的機能層を設
ける場合、低屈折率層は透明支持体から最も遠い側に設
けられる。塗布層の屈折率を低下させるためには、低屈
折率層内に空隙を導入する方法が有効である。空気の屈
折率は1.00であって、空隙中に空気を含む層は、非
常に低い屈折率を有する。低屈折率層に微粒子を含ま
せ、微粒子間または微粒子内に空隙を形成する方法が提
案されている。特公昭60−59250号公報は、微細
空孔と微粒子状無機物とを有する反射防止層を開示して
いる。反射防止層は、塗布により形成される。微細空孔
は、層の塗布後に活性化ガス処理を行ない、ガスが層か
ら離脱することによって形成される。
【0004】特開平2−245702号公報は、二種類
以上の超微粒子(例えば、MgF2とSiO2)を混在さ
せて、膜厚方向にその混合比を変化させた反射防止膜を
開示している。混合比を変化させることにより屈折率を
変化させ、高屈折率層と低屈折率層を設けた反射防止膜
と同様の光学的性質を得ている。超微粒子は、エチルシ
リケートの熱分解で生じたSiO2により接着してい
る。エチルシリケートの熱分解では、エチル部分の燃焼
によって、二酸化炭素と水蒸気も発生する。同公報の第
1図に示されているように、二酸化炭素と水蒸気が層か
ら離脱することにより、超微粒子の間に間隙が生じてい
る。特開平7−48527号公報は、多孔質シリカより
なる無機微粉末とバインダーとを含有する反射防止膜を
開示している。特開平9−288201号公報は、含フ
ッ素ポリマーからなる微粒子を二個以上積み重ねること
により、微粒子間に空隙を形成した低屈折率層を有する
反射防止膜を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】空隙を有する低屈折率
層は、空隙中の空気によって非常に低い屈折率が得られ
るとの特徴がある。しかしながら、このような低屈折率
層は、膜強度が弱く、傷がつきやすいという問題が生じ
る。また、上記の低屈折率層は、その空隙の中に、指
紋、マジック等の汚れが入り込み、汚れがとれにくいと
いう問題が生じる。反射防止膜において低屈折率層は通
常、透明支持体から最も遠い側、すなわち反射防止膜の
表面側に設けられることが多く、上記の問題を解決する
必要がある。基材表面を汚れから保護し、耐傷性を向上
させるために、含フッ素化合物や含シリコーン化合物等
を含む素材を表面側に設ける対策が、反射防止膜の技術
分野に限らず一般に、良く知られている。しかし、空隙
を有する低屈折率層の上に、これらの層を設けようとす
ると、これらの防汚性素材が低屈折率層の空隙に浸入し
て、低屈折率層の空隙率が低下する問題が生じた。低屈
折率層の空隙率が低下すれば、低屈折率層の屈折率は上
昇してしまい、反射防止性能が悪化する。本発明の目的
は、低屈折率層の屈折率を上昇させることなく、低屈折
率層の表面が汚れから保護され、かつ耐傷性も改善され
ている反射防止膜を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(9)の反射防止膜および下記(10)の画像
表示装置により達成された。 (1)透明支持体、および透明支持体よりも低い屈折率
と3乃至50体積%の空隙率とを有する低屈折率層が積
層されている反射防止膜であって、該低屈折率層の上に
ポリマー層が積層され、さらにその上に含フッ素化合
物、含ケイ素化合物および炭素数4以上の長鎖アルキル
基含有化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物が含
まれるオーバーコート層が積層されていることを特徴と
する反射防止膜。 (2)ポリマー層の厚みが3nm以上30nm以下、屈
折率が1.35〜1.80であることを特徴とする
(1)に記載の反射防止膜。 (3)ポリマー層が重量平均分子量2万以上のポリマー
からなることを特徴とする(1)または(2)に記載の
反射防止膜。 (4)ポリマー層に粒径10nm以上のポリマー微粒子
が含まれる(1)〜(3)のいずれかに記載の反射防止
膜。 (5)オーバーコート層中に含フッ素化合物が含まれる
ことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の反
射防止膜。
【0007】(6)ポリマー層に架橋性成分を含むこと
を特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の反射防
止膜。 (7)ポリマー層がポリビニルアルコール及びその誘導
体、ポリ塩化ビニリデン及びその誘導体から選ばれるポ
リマーであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれ
かに記載の反射防止膜。 (8)低屈折率層が微粒子を含み、微粒子間または微粒
子内に空隙が形成されている(1)〜(7)記載の反射
防止膜。 (9)透明支持体の屈折率より高い屈折率を有する高屈
折率層が、該透明支持体と該低屈折率層との間に設けら
れていることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに
記載の反射防止膜。 (10)画像表面上に、透明支持体および透明支持体よ
りも低い屈折率と3乃至50体積%の空隙率とを有する
低屈折率層がこの順に積層されている反射防止膜であっ
て、該低屈折率層の上にポリマー層、さらにその上に防
汚性付与のためのオーバーコート層がさらに積層されて
いることを特徴とする画像表示装置。本明細書におい
て、低屈折率層の空隙と空隙率は、ポリマー層、オーバ
ーコート層の材料が占有している部分を含めた空隙と、
その空隙の低屈折率層全体に対する割合を意味する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の反射防止膜の基本的な構
成を図面を引用しながら説明する。図1は、反射防止膜
の主な層構成を示す断面模式図である。図1の(a)に
示す態様は、透明支持体(1)、低屈折率層(2)、ポ
リマー層(3)、そしてオーバーコート層(4)の順序
の層構成を有する。透明支持体(1)と低屈折率層
(2)は、以下の関係を満足する屈折率を有する。 低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率 図1の(b)に示す態様は、透明支持体(1)、ハード
コート層(5)、低屈折率層(2)、ポリマー層
(3)、そしてオーバーコート層(4)の順序の層構成
を有する。透明支持体(1)と低屈折率層(2)は、以
下の関係を満足する屈折率を有する。 低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率 図1の(c)に示す態様は、透明支持体(1)、ハード
コート層(5)、高屈折率層(6)、低屈折率層
(2)、ポリマー層(3)、そしてオーバーコート層
(4)の順序の層構成を有する。透明支持体(1)、高
屈折率層(6)および低屈折率層(2)は、以下の関係
を満足する屈折率を有する。 低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率<高屈折率層
の屈折率 図1の(c)のように、高屈折率層6と低屈折率層2と
を有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公
報に記載されているように、高屈折率層が下記式
(I)、低屈折率層が下記式(II)をそれぞれ満足す
ることが好ましい。
【0009】
【数1】
【0010】式中、mは正の整数(一般に1、2または
3)であり、n1は高屈折率層の屈折率であり、そし
て、d1は高屈折率層の膜厚(nm)である。
【0011】
【数2】
【0012】式中、nは正の奇数(一般に1)であり、
2は低屈折率層の屈折率であり、そして、d2は低屈折
率層の膜厚(nm)である。
【0013】図1の(d)に示す態様は、透明支持体
(1)、ハードコート層(5)、中屈折率層(7)、高
屈折率層(6)、低屈折率層(2)、ポリマー層
(3)、そしてオーバーコート層(4)の順序の層構成
を有する。透明支持体(1)、中屈折率層(7)、高屈
折率層(6)および低屈折率層(2)は、以下の関係を
満足する屈折率を有する。 低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率<中屈折率層
の屈折率<高屈折率層の屈折率 図1の(d)のように、中屈折率層7、高屈折率層6と
低屈折率層2とを有する反射防止膜では、特開昭59−
50401号公報に記載されているように、中屈折率層
が下記式(III)、高屈折率層が下記式(IV)、低
屈折率層が下記式(V)をそれぞれ満足することが好ま
しい。
【0014】
【数3】
【0015】式中、hは正の整数(一般に1、2または
3)であり、n3は中屈折率層の屈折率であり、そし
て、d3は中屈折率層の膜厚(nm)である。
【0016】
【数4】
【0017】式中、jは正の整数(一般に1、2または
3)であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そし
て、d4は高屈折率層の膜厚(nm)である。
【0018】
【数5】
【0019】式中、kは正の奇数(一般に1)であり、
5は低屈折率層の屈折率であり、そして、d5は低屈折
率層の膜厚(nm)である。
【0020】図2は、本発明の好ましい態様における低
屈折率層とポリマー層、オーバーコート層の断面模式図
である。図2に示す低屈折率層(2)は、微粒子(2
1)およびバインダー(22)を含む。そして、微粒子
(21)間に空隙(23)が形成されている。空隙は、
微粒子の内部に存在していてもよい。この低屈折率層の
上にポリマー層(3)が設けられている。このポリマー
層は、粒径が10nm以上のポリマーの微粒子を用い
る、分子量が20000以上のポリマーを用いる等の手
段により低屈折率層の空隙を維持したまま層を形成する
ことができる。このポリマー層(3)により、低屈折率
層(2)の空隙(23)の開口部が塞がれるため、ポリ
マー層(3)の形成後に上にオーバーコート層(4)を
設けた時、防汚層成分が空隙に拡散せず、空隙が維持さ
れていると推定される。
【0021】[透明支持体]透明支持体としては、プラ
スチックフイルムを用いることが好ましい。プラスチッ
クフイルムを形成するポリマーの例には、セルロースエ
ステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセル
ロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロー
ス、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロー
ス)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル
(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテ
レフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエ
タン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテ
レフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチッ
クポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエー
テルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエー
テルケトンが含まれる。上記の内、トリアセチルセルロ
ース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレートが好ましい。透明支持体
の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86
%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイ
ズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以
下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率
は、1.4乃至1.7であることが好ましい。
【0022】[ハードコート層]透明支持体に耐傷性を
付与するために、ハードコート層を支持体表面に設ける
ことが好ましい。ハードコート層は、架橋しているポリ
マーを含むことが好ましい。架橋しているポリマーを含
むハードコート層は、多官能モノマーと重合開始剤を含
む塗布液を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーを重
合させることにより形成できる。ハードコート層に用い
る化合物は、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖と
して有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水
素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ま
しい。バインダーポリマーは架橋していることが好まし
い。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチ
レン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ま
しい。架橋しているバインダーポリマーを得るために
は、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用
いることが好ましい。
【0023】二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸と
のエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペン
タエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シク
ロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリア
クリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニル
ベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベン
ゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエ
ステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニル
スルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド
(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリル
アミドが含まれる。ポリエーテルを主鎖として有するポ
リマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により
合成することが好ましい。これらのエチレン性不飽和基
を有するモノマーは、塗布後電離放射線または熱による
重合反応により硬化させる必要がある。上記の多官能モ
ノマーの重合反応の内、光重合開始剤を用いることは特
に好ましい。光重合開始剤の例には、アセトフェノン
類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエ
ート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラ
ムモノサルファイドおよびチオキサントン類が含まれ
る。光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。
光増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンお
よびチオキサントンが含まれる。
【0024】光重合開始剤は、多官能モノマー100重
量部に対して、0.1乃至15重量部の範囲で使用する
ことが好ましく、1乃至10重量部の範囲で使用するこ
とがさらに好ましい。光重合反応は、ハードコート層の
塗布および乾燥後、紫外線照射により実施することが好
ましい。
【0025】二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応によ
り、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ
基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カ
ルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロー
ル基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン
酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、
エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テト
ラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構
造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロッ
クイソシアナート基のように、分解反応の結果として架
橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明におい
て架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解し
た結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋基
を有する化合物は塗布後熱などによって架橋させる必要
がある。
【0026】更にハードコート層には、屈折率の調節や
膜の硬化強度を高めるために無機の微粒子を添加しても
良い。無機の微粒子としては平均粒子サイズが0.5μ
m以下のものが好ましく、0.2μm以下のものが特に
好ましい。無機微粒子としては二酸化ケイ素粒子、二酸
化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化錫粒子、炭
酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、タルク、カオリ
ンおよび硫酸カルシウム粒子があげられ、二酸化ケイ素
粒子、二酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子が特に
好ましい。これらの微粒子は、塗布液中での安定性、膜
強度の強化のために、表面処理されていることも好まし
い。無機微粒子の添加量は、ハードコート層の全重量の
10乃至90重量%であることが好ましく、20乃至8
0重量%であると更に好ましく、30乃至60重量%が
特に好ましい。ハードコート層の厚さは1乃至15μm
であることが好ましい。また、ハードコート層の屈折率
は1.4乃至1.8であることが好ましい。
【0027】[高屈折率層および中屈折率層]図1の
(c)に示すように、透明支持体と低屈折率層との間
に、高屈折率層を設けてもよい。また、図1の(d)に
示すように、透明支持体と高屈折率層との間に中屈折率
層を設けてもよい。高屈折率層の屈折率は、1.65乃
至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.2
0であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率
は、透明支持体の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間
の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、
1.55乃至1.70であることが好ましい。高屈折率
層および中屈折率層の厚さは、5nm乃至100μmで
あることが好ましく、10nm乃至10μmであること
がさらに好ましく、30nm乃至1μmであることが最
も好ましい。高屈折率層および中屈折率層のヘイズは、
5%以下であることが好ましく、3%以下であることが
さらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
高屈折率層および中屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛
筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上である
ことがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ま
しい。高屈折率層および中屈折率層は、無機微粒子とポ
リマーとを含むことが好ましい。
【0028】高屈折率層および中屈折率層に用いる無機
微粒子は、屈折率が1.80乃至2.80であることが
好ましく、1.90乃至2.80であることがさらに好
ましい。無機微粒子の一次粒子の重量平均径は、1乃至
150nmであることが好ましく、1乃至100nmで
あることがさらに好ましく、1乃至80nmであること
が最も好ましい。塗布層中の無機微粒子の重量平均径
は、1乃至200nmであるることが好ましく、5乃至
150nmであることがより好ましく、10乃至100
nmであることがさらに好ましく、10乃至80nmで
あることが最も好ましい。無機微粒子の平均粒径は、光
散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。無機微粒子
の比表面積は、10乃至400m2/gであることが好
ましく、20乃至200m2/gであることがさらに好
ましく、30乃至150m2/gであることが最も好ま
しい。
【0029】無機微粒子は、金属の酸化物または硫化物
から形成することが好ましい。金属の酸化物または硫化
物の例には、二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナ
ターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化
錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよ
び硫化亜鉛が含まれる。酸化チタン、酸化錫および酸化
インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金
属の酸化物または硫化物を主成分とし、さらに他の元素
を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分
の中で最も含有量(重量%)が多い成分を意味する。他
の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、F
e、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、A
l、Mg、Si、PおよびSが含まれる。無機微粒子を
表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物または有
機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合
物の例には、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウムおよ
び酸化鉄が含まれる。アルミナおよびシリカが好まし
い。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオー
ル、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップ
リング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。
シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表
面処理を組み合わせて実施してもよい。以上を組み合わ
せて処理されていても構わない。無機微粒子の形状は、
米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状
であることが好ましい。二種類以上の無機微粒子を高屈
折率層および中屈折率層内で併用してもよい。
【0030】高屈折率層および中屈折率層中の無機微粒
子の割合は、5乃至65体積%である。無機微粒子の割
合は、10乃至60体積%であることが好ましく、20
乃至55体積%であることがさらに好ましい。無機微粒
子は、分散物の状態で高屈折率層および中屈折率層の形
成に使用する。高屈折率層および中屈折率層の無機微粒
子の分散媒体は、沸点が60乃至170℃の液体を用い
ることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール
(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブ
タノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エ
チル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素
(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水
素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭
素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシ
レン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル
(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロ
フラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2
−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノンおよびブタノールが特に好ましい。無機微粒子
は、分散機を用いて媒体中に分散できる。分散機の例に
は、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミ
ル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミ
ル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サン
ドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好
ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分
散処理に用いる分散基の例には、ボールミル、三本ロー
ルミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
【0031】高屈折率層、及び中屈折率層は架橋してい
るアニオン性基を有するポリマーをバインダーとして用
いることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有す
るポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が
架橋している構造を有する。アニオン性基は、無機微粒
子の分散状態を維持する機能を有する。架橋構造は、ポ
リマーに皮膜形成能を付与して皮膜を強化する機能を有
する。ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和
炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタ
ン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラ
ミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテ
ル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィ
ン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリ
オレフィン主鎖が最も好ましい。ポリオレフィン主鎖
は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例
えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。
ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって
繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例
えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリ
ウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)に
よって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖
は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反
応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合
(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合
している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネー
ト基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合
反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結
合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合して
いる。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基
(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を
含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖
は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が
結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイ
ミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖
は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し
単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソ
シアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)
との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例え
ば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、
ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。な
お、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有す
る。
【0032】アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結
合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させ
る。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として、主鎖
に結合させることが好ましい。アニオン性基の例には、
カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スル
ホ)およびリン酸基(ホスホノ)が含まれる。スルホン
酸基およびリン酸基が好ましい。アニオン性基は、塩の
状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチ
オンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。ま
た、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、
−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およ
びこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であること
が好ましい。架橋構造は、二以上の主鎖を化学的に結合
(好ましくは共有結合)する。架橋構造は、三以上の主
鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO
−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残
基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる
二価以上の基からなることが好ましい。ポリマーは、ア
ニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する
繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好まし
い。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位
の割合は、2乃至96重量%であることが好ましく、4
乃至94重量%であることがさらに好ましく、6乃至9
2重量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、
二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー
中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4乃至9
8重量%であることが好ましく、6乃至96重量%であ
ることがさらに好ましく、8乃至94重量%であること
が最も好ましい。
【0033】ポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基
と架橋構造の双方を有していてもよい。ポリマーには、
その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない
繰り返し単位)が含まれていてもよい。その他の繰り返
し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を
有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し
単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基
は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維
持する機能を有する。ベンゼン環は、高屈折率層の屈折
率を高くする機能を有する。なお、アミノ基、四級アン
モニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する
繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に
含まれていても、同様の効果が得られる。アミノ基また
は四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミ
ノ基または四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直
接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合さ
せる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を
介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、
三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好
ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基である
ことがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基ま
たは四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、ア
ルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1乃至1
2のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1
乃至6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級
アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであるこ
とが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポ
リマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH
−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれ
らの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ま
しい。ポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基
を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.0
6乃至32重量%であることが好ましく、0.08乃至
30重量%であることがさらに好ましく、0.1乃至2
8重量%であることが最も好ましい。
【0034】ベンゼン環を有する繰り返し単位では、ベ
ンゼン環は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、ある
いは連結基を介して主鎖に結合させる。ベンゼン環は、
連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好
ましい。ベンゼン環は、置換基(例、アルキル基、ヒド
ロキシ、ハロゲン原子)を有していてもよい。ベンゼン
環とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、
−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの
組み合わせから選ばれる二価の基であることが好まし
い。ポリマーが、ベンゼン環を有する繰り返し単位を含
む場合、その割合は、2乃至98重量%であることが好
ましく、4乃至96重量%であることがさらに好まし
く、6乃至94重量%であることが最も好ましい。架橋
しているアニオン性基を有するポリマーは、高屈折率
層、及び中屈折率層の塗布液(前述した無機微粒子の分
散液)にモノマーとして添加し、層の塗布と同時または
塗布後に、重合反応によって形成することが好ましい。
アニオン性基を有するモノマーは、塗布液中で無機微粒
子の分散剤として機能する。アニオン性基を有するモノ
マーの無機微粒子に対する使用量は、1乃至50重量%
の範囲であることが好ましく、5乃至40重量%の範囲
であることが好ましく、10乃至30重量%であること
が最も好ましい。また、アミノ基または四級アンモニウ
ム基を有するモノマーは、塗布液中で分散助剤として機
能する。アミノ基または四級アンモニウム基を有するモ
ノマーのアニオン性基を有するモノマーに対する使用量
は、3乃至33重量%であることが好ましい。層の塗布
と同時または塗布後に、重合反応によってポリマーを形
成すれば、層の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能
させることができる。アニオン性基を有するモノマー、
およびアミノ基または四級アンモニウム基を有するモノ
マーは市販のモノマーを用いてもよい。好ましく用いら
れる市販のアニオン性基を有するモノマーとしては、KA
YAMARPM-21 、PM-2(日本化薬(株)製)、Antox MS-6
0、MS-2N、MS-NH4(日本乳化剤(株)製)、アロニック
ス M-5000、M-6000、M-8000シリーズ(東亞合成化学工
業(株)製)、ビスコート#2000シリーズ(大阪有機化
学工業(株)製)、ニューフロンティアGX-8289(第一
工業製薬(株)製)、NKエステル CB-1、A-SA(新中村
化学工業(株)製)、AR-100、MR-100、MR-200(第八化
学工業(株)製)などがあげられる。また、好ましく用
いられる市販のアミノ基または四級アンモニウム基を有
するモノマーとしてはDMAA(大阪有機化学工業
(株)製)、DMAEA,DMAPAA(興人(株)
製)、ブレンマーQA(日本油脂(株)製)、ニューフ
ロンティアC−1615(第一工業製薬(株)製)など
があげられる。
【0035】ポリマーの重合反応は、光重合反応または
熱重合反応を用いることができる。光重合反応が好まし
い。重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ま
しい。例えば、前述した熱重合開始剤、及び光重合開始
剤が挙げられる。
【0036】市販の重合開始剤を使用してもよい。重合
開始剤に加えて、重合促進剤を使用してもよい。重合開
始剤と重合促進剤の添加量は、モノマーの全量の0.2
乃至10重量%の範囲であることが好ましい。塗布液
(モノマーを含む無機微粒子の分散液)を加熱して、モ
ノマー(またはオリゴマー)の重合を促進してもよい。
また、塗布後の光重合反応の後に加熱して、形成された
ポリマーの熱硬化反応を追加処理してもよい。アニオン
性基を有するポリマーは、架橋しているため分子量の規
定は困難である。高屈折率層中の架橋しているアニオン
性基を有するポリマーの割合は、35乃至95体積%で
ある。好ましくは40乃至90体積%、更に好ましくは
45乃至80体積%である。中屈折率層および高屈折率
層には、比較的屈折率が高いポリマーを用いることも好
ましい。屈折率が高いポリマーの例には、ポリスチレ
ン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹
脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式
または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で
得られるポリウレタンが含まれる。その他の環状(芳香
族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素
以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、
屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能
にしたモノマーの重合反応によりポリマーを形成しても
よい。被膜形成能を有する有機金属化合物から、高屈折
率層または中屈折率層を形成してもよい。有機金属化合
物は、適当な媒体に分散できるか、あるいは液状である
ことが好ましい。有機金属化合物の例には、金属アルコ
レート(例、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−
I−プロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、
チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−sec
-ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブトキシド、
アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−I−
プロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アンチモ
ントリエトキシド、アンチモントリブトキシド、ジルコ
ニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラ−I−プ
ロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、
ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテ
トラ−sec-ブトキシド、ジルコニウムテトラ−tert
−ブトキシド)、キレート化合物(例、ジ−イソプロポ
キシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−ブトキ
シチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−エトキシ
チタニウムビスアセチルアセトネート、ビスアセチルア
セトンジルコニウム、アルミニウムアセチルアセトネー
ト、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセト
アセテート、アルミニウムジ−I−プロポキシドモノメ
チルアセトアセテート、トリ−n−ブトキシドジルコニ
ウムモノエチルアセトアセテート)、有機酸塩(例、炭
酸ジルコニールアンモニウム)およびジルコニウムを主
成分とする活性無機ポリマーが含まれる。
【0037】[低屈折率層]低屈折率層の屈折率は、
1.20乃至1.55であることが好ましく、1.30
乃至1.55であることがさらに好ましい。低屈折率層
の厚さは、50乃至400nmであることが好ましく、
50乃至200nmであることがさらに好ましい。低屈
折率層は、ポリマー層、オーバーコート層の形成前に空
隙を有する層として形成し、ポリマー層、オーバーコー
ト層を塗布した後に、3乃至50体積%の空隙率を有す
る層とする。オーバーコート層の形成前の低屈折率層の
空隙率は、5乃至35体積%であることがさらに好まし
い。低屈折率層の空隙は、微粒子を用いて微粒子間また
は微粒子内のミクロボイドとして形成することができ
る。微粒子の平均粒径は、0.5乃至200mmである
ことが好ましく、1乃至100nmであることがより好
ましく、3乃至70nmであることがさらに好ましく、
5乃至40nmの範囲であることが最も好ましい。微粒
子の粒径は、なるべく均一(単分散)であることが好ま
しい。無機微粒子あるいは有機微粒子を低屈折率層に用
いることができる。
【0038】無機微粒子は、非晶質であることが好まし
い。無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物また
はハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物ま
たは金属ハロゲン化物からなることがさらに好ましく、
金属酸化物または金属フッ化物からなることが最も好ま
しい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、B
a、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、
Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、
B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNiが
好ましく、Mg、Ca、BおよびSiがさらに好まし
い。二種類の金属を含む無機化合物を用いてもよい。特
に好ましい無機化合物は、二酸化ケイ素、すなわちシリ
カである。
【0039】無機微粒子内ミクロボイドは、例えば、粒
子を形成するシリカの分子を架橋させることにより形成
することができる。シリカの分子を架橋させると体積が
縮小し、粒子が多孔質になる。ミクロボイドを有する
(多孔質)無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53−
112732号、特公昭57−9051号の各公報記
載)または析出法(APPLIED OPTICS、27、3356頁(198
8)記載)により、分散物として直接合成することがで
きる。また、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に
粉砕して分散物を得ることもできる。市販の多孔質無機
微粒子(例えば、二酸化ケイ素ゾル)を用いてもよい。
ミクロボイドを有する無機微粒子は、低屈折率層の形成
のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好
ましい。分散媒としては、水、アルコール(例、メタノ
ール、エタノール、イソプロピルアルコール)およびケ
トン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン)が好ましい。
【0040】有機微粒子も、非晶質であることが好まし
い。有機微粒子は、モノマーの重合反応(例えば乳化重
合法)により合成されるポリマー微粒子であることが好
ましい。有機微粒子のポリマーはフッ素原子を含むこと
が好ましい。ポリマー中のフッ素原子の割合は、35乃
至80重量%であることが好ましく、45乃至75重量
%であることがさらに好ましい。含フッ素ポリマーを合
成するために用いるフッ素原子を含むモノマーの例に
は、フルオロオレフィン類(例、フルオロエチレン、ビ
ニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキ
サフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチ
ル−1,3−ジオキソール)、アクリル酸またはメタク
リル酸のフッ素化アルキルエステル類およびフッ素化ビ
ニルエーテル類が含まれる。フッ素原子を含むモノマー
とフッ素原子を含まないモノマーとのコポリマーを用い
てもよい。フッ素原子を含まないモノマーの例には、オ
レフィン類(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、
塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル類
(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類
(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル)、スチレン類(例、スチレン、ビニル
トルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル類
(例、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル類
(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル)、アクリルア
ミド類(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シ
クロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド類お
よびアクリルニトリル類が含まれる。
【0041】有機微粒子内ミクロボイドは、例えば、粒
子を形成するポリマーを架橋させることにより形成する
ことができる。ポリマーを架橋させると体積が縮小し、
粒子が多孔質になる。粒子を形成するポリマーを架橋さ
せるためには、ポリマーを合成するためのモノマーの2
0モル%以上を多官能モノマーとすることが好ましい。
多官能モノマーの割合は、30乃至80モル%であるこ
とがさらに好ましく、35乃至50モル%であることが
最も好ましい。多官能モノマーの例には、ジエン類
(例、ブタジエン、ペンタジエン)、多価アルコールと
アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジア
クリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、多価ア
ルコールとメタクリル酸とのエステル(例、エチレング
リコールジメタクリレート、1,2,4−シクロヘキサ
ンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
メタクリレート)、ジビニル化合物(例、ジビニルシク
ロヘキサン、1,4−ジビニルベンゼン)、ジビニルス
ルホン、ビスアクリルアミド類(例、メチレンビスアク
リルアミド)およびビスメタクリルアミド類が含まれ
る。
【0042】粒子間のミクロボイドは、微粒子を少なく
とも2個以上積み重ねることにより形成することができ
る。なお、粒径が等しい(完全な単分散の)球状微粒子
を最密充填すると、26体積%の空隙率の微粒子間ミク
ロボイドが形成される。粒径が等しい球状微粒子を単純
立方充填すると、48体積%の空隙率の微粒子間ミクロ
ボイドが形成される。実際の低屈折率層では、微粒子の
粒径の分布や粒子内ミクロボイドが存在するため、空隙
率は上記の理論値からかなり変動する。空隙率を増加さ
せると、低屈折率層の屈折率が低下する。微粒子を積み
重ねてミクロボイドを形成と、微粒子の粒径を調整する
ことで、粒子間ミクロボイドの大きさも適度の(光を散
乱せず、低屈折率層の強度に問題が生じない)値に容易
に調節できる。さらに、微粒子の粒径を均一にすること
で、粒子間ミクロボイドの大きさも均一である光学的に
均一な低屈折率層を得ることができる。これにより、低
屈折率層は微視的にはミクロボイド含有多孔質膜である
が、光学的あるいは巨視的には均一な膜にすることがで
きる。
【0043】ミクロボイドを形成することにより、低屈
折率層の巨視的屈折率は、低屈折率層を構成する成分の
屈折率の和よりも低い値になる。層の屈折率は、層の構
成要素の体積当りの屈折率の和になる。微粒子やポリマ
ーのような低屈折率層の構成成分の屈折率は1よりも大
きな値であるのに対して、空気の屈折率は1.00であ
る。そのため、ミクロボイドを形成することによって、
屈折率が非常に低い低屈折率層を得ることができる。粒
子間ミクロボイドは、微粒子およびポリマーによって低
屈折率層内で閉じていることが好ましい。空隙を閉じる
と、オーバーコート層の形成後も空隙が低屈折率層内に
残存する。閉じている空隙には、低屈折率層表面に開か
れた開口と比較して、低屈折率層表面での光の散乱が少
ないとの利点もある。
【0044】低屈折率層は、5乃至50重量%の量のポ
リマーを含むことが好ましい。ポリマーは、微粒子を接
着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有
する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低
屈折率層の強度を維持できるように調整する。ポリマー
の量は、低屈折率層の全量の10乃至30重量%である
ことが好ましい。ポリマーで微粒子を接着するために
は、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させる
か、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシ
ェルを形成するか、あるいは(3)微粒子間のバインダ
ーとして、ポリマーを使用することが好ましい。(1)
の表面処理剤に結合させるポリマーは、(2)のシェル
ポリマーまたは(3)のバインダーポリマーであること
が好ましい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布液
の調製前に、微粒子の周囲に重合反応により形成するこ
とが好ましい。(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布
液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または
塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。
(1)〜(3)を二種類または三種類組み合わせて、実
施することが好ましく、(1)と(3)の二種類の組み
合わせ、または(1)〜(3)の三種類の組み合わせで
実施することが特に好ましい。 (1)表面処理、(2)シェルおよび(3)バインダー
について、順次説明する。
【0045】(1)表面処理 微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を実施して、
ポリマーとの親和性を改善することが好ましい。表面処
理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理
的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処
理に分類できる。化学的表面処理のみ、または物理的表
面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが
好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキ
シメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカ
ップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子が二酸化
ケイ素からなる場合は、シランカップリング剤による表
面処理が特に有効に実施できる。具体的なシランカップ
リング剤の例には、メチルトリメトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラ
ン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリ
メトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセト
キシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、
γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオ
ロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキ
シエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,
4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびβ
−シアノエチルトリエトキシシランが含まれる。
【0046】また、ケイ素に対して2置換のアルキル基
を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメ
トキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエト
キシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオ
キシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイ
ルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタク
リロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキ
シシランおよびメチルビニルジエトキシシランが含まれ
る。
【0047】これらのうち、分子内に二重結合を有する
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシ
エトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリ
メトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン、ケイ素に対して2置換のアルキ
ル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイ
ルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニ
ルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシラ
ンが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメ
トキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルメチルジメトキシシランおよびγ−メタクリ
ロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好
ましい。
【0048】二種類以上のカップリング剤を併用しても
よい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、
他のシランカップリングを用いてもよい。他のシランカ
ップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル
(例、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オル
トケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オ
ルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec-ブチル、オル
トケイ酸t−ブチル)およびその加水分解物が含まれ
る。カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物
に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度
で、数時間から10日間分散物を放置することにより実
施できる。表面処理反応を促進するため、無機酸(例、
硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オ
ルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例、酢酸、ポリ
アクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグ
ルタミン酸)、またはこれらの塩(例、金属塩、アンモ
ニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
【0049】(2)シェル シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖とし
て有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を
主鎖または側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子
を側鎖に含むポリマーがさらに好ましい。ポリアクリル
酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルが好まし
く、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸またはポリ
メタクリル酸とのエステルが最も好ましい。シェルポリ
マーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増
加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるた
め、シェルポリマーは35乃至80重量%のフッ素原子
を含むことが好ましく、45乃至75重量%のフッ素原
子を含むことがさらに好ましい。フッ素原子を含むポリ
マーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの
重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を
含むエチレン性不飽和モノマーの例には、フルオロオレ
フィン(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライ
ド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレ
ン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキ
ソール)、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素置換ア
ルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル
が含まれる。
【0050】シェルを形成するポリマーは、フッ素原子
を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し単
位からなるコポリマーであってもよい。フッ素原子を含
まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレン
性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好まし
い。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの
例には、オレフィン(例、エチレン、プロピレン、イソ
プレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エ
ステル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル
(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレー
ト)、スチレンおよびその誘導体(例、スチレン、ジビ
ニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ン)、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテル)、
ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例、N−tertブ
チルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミ
ド)、メタクリルアミドおよびアクリロニトリルが含ま
れる。
【0051】後述する(3)のバインダーポリマーを併
用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入し
て、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋によ
り化学的に結合させてもよい。シェルポリマーは、結晶
性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温
度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、
低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。ただ
し、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微
粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されな
い(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合
は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バ
インダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成
することが望ましい。微粒子の周囲にポリマーシェルを
形成して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微
粒子中に無機微粒子からなるコアが5乃至90体積%含
まれていることが好ましく、15乃至80体積%含まれ
ていることがさらに好ましい。ポリマーシェルは、ラジ
カル重合法により形成することが好ましい。ラジカル重
合法については、大津隆行・木下雅悦共著、高分子合成
の実験法、化学同人(1972)および大津隆行、講座重合反
応論1ラジカル重合(I)、化学同人(1971)に記載があ
る。ラジカル重合法は、具体的には、乳化重合法または
分散重合により実施することが好ましい。乳化重合につ
いては、室井宗一、高分子ラテックスの化学、高分子刊
行会(1970)に記載がある。分散重合法については、Barr
ett, Keih E.J.、Dispersion Polymerization in Organ
ic Media、JOHN WILLEY & SONS(1975)に記載がある。
【0052】乳化重合法に使用する熱重合開始剤の例に
は、無機過酸化物(例、過硫酸カリウム、過硫酸アンモ
ニウム)、アゾニトリル化合物(例、アゾビスシアノ吉
草酸ナトリウム)、アゾアミジン化合物(例、2,2’
−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)塩酸塩)、
環状アゾアミジン化合物(例、2,2’−アゾビス〔2
−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパ
ン塩酸塩)、アゾアミド化合物(例、2,2’−アゾビ
ス{2−メチル−N−〔1,1’−ビス(ヒドロキシメ
チル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド)が
含まれる。無機過酸化物が好ましく、過硫酸カリウムお
よび過硫酸アンモニウムが特に好ましい。分散重合法に
使用する熱重合開始剤の例には、アゾ化合物(例、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビ
ス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−
2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ
メチル−2,2’−アゾビスイソブチレート)および有
機過酸化物(例、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパ
ーオキシド、tert−ブチルパーオクトエート)が含まれ
る。
【0053】分散重合法では、表面処理された微粒子に
ポリマー分散剤を加え、モノマーと重合開始剤を溶解
し、生成するポリマーは不溶である重合媒体中で重合反
応を実施することが好ましい。重合媒体の例には、水、
アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、2−メトキシ−1−プロパノー
ル、ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ネオ
ペンタノール、シクロヘキサノール、1−メトキシ−2
−プロパノール)、メチルエチルケトン、アセトニトリ
ル、テトラヒドロフラン、酢酸エチルが含まれる。水、
メタノール、エタノールおよびイソプロパノールが好ま
しい。二種類以上の重合媒体を併用してもよい。乳化重
合法または分散重合法において、連鎖移動剤を使用して
もよい。連鎖移動剤の例には、ハロゲン化炭化水素
(例、四塩化炭素、四臭化炭素、二臭化酢酸エチル、三
臭化酢酸エチル、二臭化エチルベンゼン、二臭化エタ
ン、二塩化エタン)、炭化水素(例、ベンゼン、エチル
ベンゼン、イソプロピルベンゼン)、チオエーテル
(例、ジアゾチオエーテル)、メルカプタン(例、t−
ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ヘ
キサデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタ
ン、チオグリセロール),ジスルフィド(例、ジイソプ
ロピルザントゲンジスルフィド)、チオグリコール酸お
よびその誘導体(例、チオグリコール酸、チオグリコー
ル酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸ブチル、チ
オグリコール酸メトキシブチル、トリメチロールプロパ
ントリス(チオグリコレート))が含まれる。二種類以
上のコアシェル微粒子を併用してもよい。また、シェル
のない無機微粒子とコアシェル粒子とを併用してもよ
い。
【0054】(3)バインダー バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテ
ルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、
飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが
さらに好ましい。バインダーポリマーは架橋しているこ
とが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマ
ーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得る
ことが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得
るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーを用いることが好ましい。二以上のエチレン性不飽
和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メ
タ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレー
ト、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリ
アクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体
(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸
−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニル
シクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルス
ルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリル
アミド)およびメタクリルアミドが含まれる。ポリエー
テルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化
合物の開環重合反応により合成することが好ましい。
【0055】二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応によ
り、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ
基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カ
ルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロー
ル基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン
酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、
エーテル化メチロール、エステルおよびウレタンも、架
橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブ
ロックイソシアナート基のように、分解反応の結果とし
て架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明に
おいて架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分
解した結果反応性を示すものであってもよい。バインダ
ーポリマーの重合反応および架橋反応に使用する重合開
始剤は、(2)シェルポリマーの合成に用いる熱重合開
始剤よりも、光重合開始剤の方が好ましい。光重合開始
剤の例には、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾ
フェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アン
トラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化
物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィ
ド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニ
ウム類がある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジ
エトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノ
ン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒド
ロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4
−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよ
び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モル
フォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン
類の例には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエ
チルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが
含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノ
ン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロ
ロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含
まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−
トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
が含まれる。
【0056】前記(2)のシェルポリマーと併用する場
合、バインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)は、
シェルポリマーのTgよりも低いことが好ましい。バイ
ンダーポリマーのTgとシェルポリマーのTgとの温度
差は、5℃以上であることが好ましく、20℃以上であ
ることがさらに好ましい。バインダーポリマーは、低屈
折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布
と同時または塗布後に重合反応(必要ならばさらに架橋
反応)により形成することが好ましい。低屈折率層の塗
布液に、少量のポリマー(例、ポリビニルアルコール、
ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ
メチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセ
チルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、ア
ルキド樹脂)を添加してもよい。
【0057】[ポリマー層]本発明の空隙を有する低屈
折率層上に設けるポリマー層は、低屈折率層の上に塗布
して形成する。本発明では、ポリマー層の材料は低屈折
率層の空隙を占有する割合が小さいほど好ましく、ポリ
マー層の材料が低屈折率層の空隙を占有している割合
は、50体積%未満であることが好ましく、40体積%
未満であることがより好ましく、30体積%未満である
ことがさらに好ましく、20体積%未満であることが最
も好ましい。このようなポリマー層を用いることによ
り、低屈折率層の空隙率を3乃至50体積%に保存する
ことができる。低屈折率層の空隙を残してポリマー層を
形成するためには、様々な手段が採用できる。例えば、
前述したように低屈折率層の空隙を微粒子とバインダー
ポリマーで閉じた状態で形成すれば、ポリマー層を塗布
により形成しても低屈折率層の空隙が残存する。また、
ポリマー層の塗布液が低屈折率層の空隙に浸入しないよ
うに塗布液の粘度を高くしてもよい。特に好ましい方法
は、ポリマーを、粒径10nm以上の微粒子として付与
する方法か、あるいは重量平均分子量2万以上のポリマ
ーを含む層を塗布する方法である。これらの方法の内、
重量平均分子量2万以上のポリマーを含む塗布液を塗布
する方法が最も好ましい。ポリマー層の化合物を、微粒
子として付与する方法は、低屈折率層の空隙の開口サイ
ズより大きい粒子として付与するため、低屈折率層の内
部の空隙には拡散せず、低屈折率層表面の開口部を塞ぐ
ような形でオーバーコート層を付与できる。この微粒子
のサイズとしては、粒径10nm以上とすることが好ま
しい。より好ましい粒径は10nm以上100nm以
下、更に好ましくは15nm以上70nm以下、特に好
ましくは20nm以上50nm以下である。これらのポ
リマー微粒子は、ポリマー化合物を含有した溶液の乳化
・析出等による方法、ポリマーの乳化重合等によるラテ
ックス化、等により得ることができる。また、市販のポ
リマー微粒子、ラテックス等も使用できる。また、これ
らのポリマー微粒子により付与された層は付与後の加熱
等により、融着させて、連続層とすることがより好まし
い。
【0058】重量平均分子量2万以上のポリマーを含む
層を付与する方法は、ポリマー溶液を空隙を有する低屈
折率層上に付与する時、ポリマーの分子量が大きくなる
と、低屈折率層の内部の空隙中に拡散しなくなることを
利用している。ポリマー層に含まれるポリマーの重量平
均分子量としては、2万以上が好ましく、より好ましく
は4万以上200万以下、特に好ましくは5万以上10
0万以下である。本発明のポリマー層は、その上層に防
汚性を付与するためのオーバーコート層を塗布したと
き、そのオーバーコート層の素材が低屈折率層に拡散し
ないようにする機能、表面の膜強度を付与するための機
能を持たせるために付与している。これらの機能を持た
せるためには、ポリマー層の膜厚は3nm以上あること
が好ましい。また、このポリマー層は、空隙を有する低
屈折率層に比べると、屈折率が高いため、厚くなると、
低屈折率層による反射防止性を損なう。したがって、ポ
リマー層の厚さは30nm以下が好ましい。膜厚として
より好ましくは5nm以上25nm以下、特に好ましく
は8nm以上20nm以下である。また、ポリマー層の
屈折率は1.35以上1.80以下が好ましく、より好
ましくは1.40以上1.70以下である。本発明のポ
リマー層に用いられるポリマーとしては、特に制限はな
いが、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イ
ソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル
酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、
メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコー
ルジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、
ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル
等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−te
rtブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリ
ルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル
誘導体、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体、ポ
リオルガノシロキサン(例、ポリジメチルシロキサン、
ポリジエチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、
ポリメチルフェニルシロキサン、アルキル変性ポリジメ
チルシロキサン)類等、また、各種アルコキシシランを
ゾル−ゲル法の手法により重合させたもの等を挙げるこ
とができる。
【0059】本発明のポリマー層に用いるポリマーは、
各種素材、特に油分等に対するバリアー性を持たせるこ
とが好ましい。これは、防汚層となるオーバーコート層
を設ける時、そのオーバーコートの素材が低屈折率層に
拡散することを防ぐ、また、防汚層塗布後に、指紋や、
マジック等の油溶性の成分が付着したとき、その成分が
低屈折率層の空隙に拡散することを抑えることができ
る。このようなバリアー性を付与するためにはポリマー
を架橋する方法、バリアー性の高いポリマーを用いるこ
とによって可能である。ポリマーを架橋するためには架
橋性基をポリマー中に導入する、ポリマーと反応できる
ような架橋性成分を添加する等の手段を用いることがで
きる。架橋性官能基の例には、アクリロイル、メタクリ
ロイル、アリル、イソシアナート、エポキシ、アルコキ
シシリル、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カ
ルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール、お
よび活性メチレン基等があげられる。ビニルスルホン
酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、
エーテル化メチロール、エステルおよびウレタンも、架
橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブ
ロックイソシアナート基のように、分解反応の結果とし
て架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明に
おいて架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分
解した結果反応性を示すものであってもよい。また、油
分、気体、液体等に対しバリアー性の高いポリマーとし
ては、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体、ポリ
塩化ビニリデンもしくはその誘導体等が一般に知られて
いる。特にポリビニルアルコールもしくはその誘導体は
耐油性が高く、指紋の付着耐性等の点で好ましい。
【0060】[オーバーコート層]防汚性を付与するた
めのオーバーコート層は、前記のポリマー層上に塗布に
よって付与することができる。オーバーコート層に用い
ることのできる素材としては、一般に防汚性コーティン
グとして知られている、含フッ素化合物、含ケイ素化合
物、炭素数4以上の長鎖アルキル基含有化合物を用いる
ことができる。 含フッ素化合物としては、含フッ素界
面活性剤、含フッ素ポリマー、含フッ素エーテルや含フ
ッ素シラン化合物が好ましく用いられる。含ケイ素化合
物としては、ポリジメチルシロキサン等、各種のシリコ
ーン誘導体等が含まれる。炭素数4以上の長鎖アルキル
基含有化合物としては、各種の長鎖アルキル基を持つ界
面活性剤等が含まれる。これらの内、含フッ素化合物が
特に好ましい。含フッ素化合物としては、含フッ素界面
活性剤、含フッ素ポリマー、含フッ素エーテルや含フッ
素シラン化合物が好ましく用いられる。
【0061】含フッ素界面活性剤としては、親水性部が
アニオン性、カチオン性、ノニオン性、および両性のい
ずれでも良い。含フッ素界面活性剤では、疎水性部を構
成する炭化水素の水素原子の一部または全部がフッ素原
子により置換されている。含フッ素ポリマーは、フッ素
原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応により
合成することが好ましい。フッ素原子を有するモノマー
を重合して形成されたポリマーにおいて、モノマー単位
の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例え
ばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラ
フルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフ
ルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−
1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分
または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類、完全ま
たは部分フッ素化ビニルエーテル類、パーフルオロポリ
エーテルおよびその誘導体等であり、これらの中から一
つまたは複数のモノマーを任意の比率で組み合わせて共
重合により目的のポリマーを得ることができる。また、
上記含フッ素モノマーと、フッ素原子を含有しないモノ
マーとの共重合体を含フッ素ポリマーとして用いてもよ
い。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例え
ばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、
塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル
類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル
酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタク
リレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベ
ンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビ
ニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエ
ステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビ
ニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアク
リルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、
メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げ
ることができる。また、含フッ素ポリマー中に、滑り性
付与のため、ポリオルガノシロキサンを導入することも
好ましい。これは、例えば末端にアクリル基、メタクリ
ル基、ビニルエーテル基、スチリル基等を持つポリオル
ガノシロキサンと上記のモノマーとの重合によって得ら
れる。フッ素ポリマーとしては、市販されている素材を
使用することもできる。市販されているフッ素ポリマー
の例としては、サイトップ(旭硝子)、テフロンAF
(デュポン)、ポリフッ化ビニリデン、ルミフロン(旭
硝子)、オプスター(JSR)、等があげられる。
【0062】含フッ素エーテルは、一般に潤滑剤として
使用されている化合物である。含フッ素エーテルの例に
は、パーフルオロポリエーテルおよびその誘導体が含ま
れる。具体的には、デュポン(株)のクライトックス、
ダイキンのデムナム、アウジモント社のフォンブリン等
が上げられる。また、これらのパーフルオロポリエーテ
ルの末端にカルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、
イソシアネート基、アルコキシシリル基、エチレン性不
飽和基(アクリロイル、メタクリロイル、アリル、ビニ
ルエーテル等)、を持つことも好ましい。含フッ素シラ
ン化合物の例には、パーフルオロアルキル基を含むシラ
ン化合物、例えば(ヘプタデカフルオロ−1,2,2,
2−テトラデシル)トリエトキシシラン、市販品として
KBM−7803,KP−801M(以上信越化学)等
が上げられる。
【0063】オーバーコート層に用いる含フッ素化合物
は、フッ素原子を35乃至80重量%の範囲で含むこと
が好ましく、45乃至75重量%の範囲で含むことがさ
らに好ましい。以上のオーバーコート層に用いられるフ
ッ素化合物のうち、架橋性基を有する含フッ素ポリマ
ー、もしくはパーフルオロポリエーテルを用いることが
好ましい。架橋性含フッ素ポリマーの架橋性基は含フッ
素ポリマーに側鎖として導入することが好ましい。側鎖
として導入する方法としては、反応性基を持つモノマー
を、含フッ素ポリマーを合成する時に共重合する方法
や、含フッ素ポリマーの側鎖と反応し、かつ、ポリマー
間の架橋を行うことのできる2官能以上の反応基を持つ
化合物を含フッ素ポリマーと共存させる方法が好まし
い。架橋性基は、光(好ましくは紫外線)、電子ビーム
(EB)等の放射線照射、あるいは加熱により反応して
含フッ素ポリマーを架橋させる官能基であることが好ま
しい。架橋性基の例には、アクリロイル、メタクリロイ
ル、アリル、イソシアナート、エポキシ、アルコキシシ
リル、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボ
ニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール、および
活性メチレン基等があげられる。架橋性フッ素ポリマー
として、市販品を用いてもよい。含フッ素ポリマーの架
橋反応(光照射、電子ビーム照射や加熱)は、オーバー
コート層の形成後に実施することが好ましい。パーフル
オロポリエーテルは、防汚性に関して、特に良好な性能
を示すため好ましい。パーフルオロポリエーテルにさら
に官能基を導入して、基材と反応、固定できるようにす
ることはさらに好ましい。オーバーコート層の厚さは、
50nm以下であることが好ましく、20nm以下であ
ることがより好ましく、10nm以下であることが特に
好ましい。
【0064】[反射防止膜]反射防止膜の各層またはそ
の塗布液には、前述した成分(無機微粒子、ポリマー、
分散媒体、重合開始剤、重合促進剤)以外に、重合禁止
剤、レベリング剤、増粘剤、着色防止剤、紫外線吸収
剤、シランカップリング剤、帯電防止剤や接着付与剤を
添加してもよい。反射防止膜の各層は、ディップコート
法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラ
ーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法
やエクストルージョンコート法(米国特許268129
4号明細書記載)により、塗布により形成することがで
きる。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方
法については、米国特許2761791号、同2941
898号、同3508947号、同3526528号の
各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253
頁、朝倉書店(1973)に記載がある。反射防止膜の反射率
は低いほど好ましい。具体的には450乃至650nm
の波長領域での平均反射率が2%以下であることが好ま
しく、1%以下であることがさらに好ましく、0.7%
以下であることが最も好ましい。反射防止膜のヘイズ
は、3%以下であることが好ましく、1%以下であるこ
とがさらに好ましく、0.5%以下であることが最も好
ましい。反射防止膜の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度
で、H以上であることが好ましく、2H以上であること
がさらに好ましく、3H以上であることが最も好まし
い。
【0065】反射防止膜には、以上述べた以外の層を設
けてもよい。例えば、透明支持体の上には、ハードコー
ト層に加えて、接着層、シールド層、滑り層や帯電防止
層を設けてもよい。シールド層は電磁波や赤外線を遮蔽
するために設けられる。反射防止膜は、外光を散乱させ
るアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア
機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより
得られる。これらの凹凸は、反射防止膜のいずれかの層
(好ましくはハードコート層)に粒子(粒径:0.1乃
至15μm)を添加する等の手段により付与できる。反
射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜
のヘイズは、3乃至30%であることが好ましく、5乃
至20%であることがさらに好ましく、7乃至20%で
あることが最も好ましい。反射防止膜は、液晶表示装置
(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、
エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰
極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用す
る。反射防止膜の透明支持体側を画像表示装置の画像表
示面に接着する。
【0066】図3は反射防止膜を画像表示装置に適用す
る様々な態様を示す断面模式図である。図3(a)は、
反射防止膜をPDP、ELD、CRTに適用する好まし
い態様である。反射防止膜は、透明支持体(13)を粘
着剤層(イ)を介して画像表示装置の画像表示面に接着
する。図3(b)、(c)及び(d)は、反射防止膜を
LCDに適用する好ましい態様である。図3(b)で
は、反射防止膜は透明支持体(13)が粘着剤層(イ)
を介して偏光板保護膜(ロ−1)に接着しており、もう
一方の偏光板保護膜(ロ−2)を粘着剤層(イ)を介し
て画像表示装置の画像表示面に接着する。図3(c)で
は、反射防止膜は透明支持体(13)が粘着剤層(イ)
を介して偏光板(ハ)に接着しており、偏光板保護膜
(ロ−2)を粘着剤層(イ)を介して画像表示装置の画
像表示面に接着する。図3(d)では、反射防止膜は透
明支持体(13)が直接偏光板(ハ)に接着しており、
偏光板保護膜(ロ−2)側を粘着剤層(イ)を介して画
像表示装置の画像表示面に接着する。粘着剤層(イ)に
は、粒子,染料などの添加剤を添加してもよい。
【0067】
【実施例】[実施例1] (ハードコート層用塗布液の調製)JSR社製ハードコ
ート素材デソライトZ7503のMEK溶液(固形分濃
度72%、シリカ含量38%)625gを、375gの
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50重
量%の混合溶媒に溶解した。混合物を撹拌した後、孔径
0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハ
ードコート層の塗布液を調製した。
【0068】(二酸化チタン分散物の調製)二酸化チタ
ン(一次粒子重量平均粒径:50nm、屈折率:2.7
0)30重量部、アニオン性ジアクリレートモノマー
(PM21、日本化薬(株)製)4.5重量部、カチオ
ン性メタクリレートモノマー(DMAEA、興人(株)
製)0.3重量部およびメチルエチルケトン65.2重
量部を、サンドグラインダーにより分散し、二酸化チタ
ン分散物を調製した。
【0069】(中屈折率層用塗布液の調製)シクロヘキ
サノン151.9gおよびメチルエチルケトン37.0
gに、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギ
ー社製)0.14gおよび光増感剤(カヤキュアーDE
TX、日本化薬(株)製)0.04gを溶解した。さら
に、上記の二酸化チタン分散物6.1gおよびジペンタ
エリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリ
トールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化
薬(株)製)2.4gを加え、室温で30分間攪拌した
後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ
過して、中屈折率層用塗布液を調製した。
【0070】(高屈折率層用塗布液の調製)シクロヘキ
サノン1152.8gおよびメチルエチルケトン37.
2gに、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイ
ギー社製)0.06gおよび光増感剤(カヤキュアーD
ETX、日本化薬(株)製)0.02gを溶解した。さ
らに、上記の二酸化チタン分散物13.13gおよびジ
ペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、
日本化薬(株)製)0.76gを加え、室温で30分間
攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィル
ターでろ過して、高屈折率層用塗布液を調製した。
【0071】(低屈折率層用塗布液の調製)平均粒径1
5nmのシリカ微粒子のメタノール分散液(メタノール
シリカゾル、日産化学(株)製)200gにシランカッ
プリング剤(KBM−503、信越シリコーン(株)
製)3gおよび0.1N塩酸2gを加え、室温で5時間
撹拌した後、3日間室温で放置して、シランカップリン
グ処理したシリカ微粒子の分散物を調製した。分散物3
5.04gに、イソプロピルアルコール58.35gお
よびジアセトンアルコール39.34gを加えた。ま
た、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー
社製)1.02gおよび光増感剤(カヤキュアーDET
X、日本化薬(株)製)0.51gを772.85gの
イソプロピルアルコールに溶解した溶液を加え、さら
に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DP
HA、日本化薬(株)製)25.6gを加えて溶解し
た。得られた溶液67.23gを、上記分散液、イソプ
ロピルアルコールおよびジアセトンアルコールの混合液
に添加した。混合物を20分間室温で撹拌し、孔径0.
4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈
折率層用塗布液を調製した。
【0072】(ポリマー層用塗布液1−1の調製)市販
のPMMA(重量平均分子量(Mw)60000)をメ
チルイソブチルケトンに濃度1%になるよう溶解し、ポ
リマー層用の塗布液を調製した。 (ポリマー層用塗布液1−2の調製)ポリマー層用塗布
液1−2として、日本純薬製ジュリマーET−410
(自己乳化型アクリルラテックス)の1%水溶液を調製
した。この時ラテックスの粒径をコールターカウンター
で測定したところ、20nmであった。 (オーバーコート層用塗布液1の調製)デュポン社製パ
ーフルオロポリエーテル、クライトックスGPL107
を、フッ素系溶剤バートレルXFに溶解し、オーバーコ
ート用塗布液を調製した。
【0073】(反射防止膜の作成)80μmの厚さのト
リアセチルセルロースフイルム(TAC−TD80U、
富士写真フイルム(株)製)に、上記のハードコート層
用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥
の後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μm
のハードコート層を形成した。その上に、上記中屈折率
層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、60℃で乾
燥の後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率
層(屈折率1.72,厚さ0.081μm)を形成し
た。その上に、上記高屈折率層用塗布液をバーコーター
を用いて塗布し、60℃で乾燥の後、紫外線を照射して
塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.92,厚
さ:0.053μm)を形成した。その上に、上記低屈
折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、60℃
で乾燥の後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、低屈
折率層(屈折率1.40,厚さ0.070μm)を形成
した。形成した低屈折率層の空隙率は16体積%であっ
た。その上に、上記ポリマー層用塗布液1−1,1−2
をバーコーターを用いて#3バーで塗布し、120℃で
5分乾燥した。その後、オーバーコート用塗布液を塗布
量が15nmになるよう調製しながら塗布し、120℃
で5分乾燥し反射防止膜を形成した。
【0074】(反射防止膜の評価)得られたフィルムに
ついて、以下の項目の評価を行った。 (1)平均反射率 分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜7
80nmの波長領域において、入射角5°における分光
反射率を測定した。結果には450〜650nmの平均
反射率を用いた。 (2)低屈折率層の屈折率 反射率の測定結果から計算して、低屈折率層の屈折率を
フィッティングにより求めた。 (3)表面接触角 反射防止膜を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時
間調湿したあと、水に対する接触角を測定した。
【0075】(4)指紋付着性評価 サンプル表面に指紋を付着させてから、それをベンコッ
トン(旭化成(株)製)で拭き取ったときの状態を観察
して、以下のように指紋付着性を評価した。 簡単に指紋が拭き取れる A しっかり擦れば指紋が拭き取れる B 指紋の一部が拭き取れずに残る C 指紋がほとんど拭き取れない D (5)鉛筆硬度評価 耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆
硬度評価を行った。反射防止膜を温度25℃、湿度60
%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規
定する2Hおよび3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの
荷重にてn=5行い、3/5以上傷が認められない硬度
を測定した。
【0076】(6)スチールウール擦り #0000のスチールウールを用い、10円玉の面積に
400gの荷重をかけ、十往復した時の傷の程度で評価
した。 ○:傷が全く付かない。 △:少し傷がつくが、見えにくい。 ×:かなり傷がつく。 (7)動摩擦係数測定 表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩
擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿し
た後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφ
ステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/min
にて測定した値を用いた。
【0077】[比較例1]ポリマー溶液1−1において
ポリマーを低分子量のPMMA(Mw=10000)に
したポリマー溶液1−3を調整し、1−1と同様に反射
防止膜を形成した。 [比較例2,3]比較例2として、ポリマー層を塗布せ
ず、OC層を塗布したサンプルを作製した。また、比較
例3として、ポリマー層、オーバーコート層共塗布しな
いサンプルを用いた。実施例、比較例について、評価し
た結果を表1に示す。本発明のサンプルは、低屈折率層
の屈折率が低く、良好な平均反射率を示す。また、指紋
付着性、スチールウールでの傷も、良好である。
【0078】
【表1】
【0079】[実施例2] (ポリマー層用塗布液2−1の調製)メチルメタクリレ
ートと、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキ
シシランを1対1の割合でラジカル共重合したポリマー
を調製した。このポリマーの重量平均分子量は6万であ
った。この共重合ポリマーをメチルイソブチルケトンに
濃度1%になるように希釈し、反応触媒としてトリエチ
ルアミンをポリマー固形分に対し約1%加え、ポリマー
層用の塗布液を調製した。 (ポリマー層用塗布液2−2の調製)クラレポバールP
VA−120(ケン化度98.5%、重合度約200
0)を水に溶かしたのち、水/メタノール=7/3の比
率になるよう1%濃度に希釈し、ポリマー固形分に対し
約1%のグルタルアルデヒドを加え、ポリマー層用の塗
布液を調製した。 (ポリマー層用塗布液2−3の調製)サランラテックス
L108(旭化成(株)製ポリ塩化ビニリデンラテック
ス、粒径0.12μm)の1%水溶液を調製し、ポリマ
ー層用塗布溶液とした。 (オーバーコート層用塗布液2の調製)熱架橋性含フッ
素ポリマー(JN−7214、日本合成ゴム(株)製)
をメチルイソブチルケトンに溶解して、0.3重量%溶
液を調製した。 (反射防止膜の作成)実施例1で作成した低屈折率層の
上に、上記ポリマー層用塗布液2−1〜2−3をバーコ
ーターを用いて#3バーで塗布し、120℃で5分乾燥
した。その後、オーバーコート用塗布液を塗布量が10
nmになるよう調製しながら塗布し、120℃で30分
乾燥し反射防止膜を形成した。また、比較例4として、
上記ポリマー層用塗布液2−2をバーコーターを用いて
#3バーで塗布し、120℃で30分乾燥したサンプル
も作成した。得られた反射防止膜について、実施例1と
同様に評価した。結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】本発明のサンプル2−1〜2−3は、低屈
折率層の屈折率が低く、良好な反射率をしめす。また、
指紋付着性、強度共良好な性能を示す。それに対してオ
ーバーコート層を付与していない比較例4は指紋付着性
が劣る。
【0082】[実施例3] (オーバーコート層用塗布液3−1の調製)ポリジメチ
ルシロキサンKF−96H(信越化学株)製)をメチル
イソブチルケトンに溶解して、0.1重量%溶液を調製
した。 (オーバーコート層用塗布液3−2の調製)含フッ素シ
ランカップリング剤(KP−801M、信越化学(株)
製)をフッ素系溶剤(フロリナートFC−77、3M社
製)に溶解して、0.15重量%溶液を調製した。 (オーバーコート層用塗布液3−3の調製)両末端イソ
シアネート化パーフルオロポリエーテルFOMBLIN
Z−DISOC(アウジモント(株)製)をフッ素系
溶剤(フロリナートFC−77、3M社製)に溶解し
て、0.15重量%溶液を調製した。 (オーバーコート層用塗布液3−4の調製)下記に示し
た構造を持つフッ素含有ポリマーを合成した。
【0083】
【化1】
【0084】このフッ素ポリマーの分子量は数平均分子
量で4万、重量平均分子量で7万であった。このポリマ
ーをメチルイソブチルケトンに溶解して、0.1重量%
溶液を調整した。さらに硬化触媒として、p−トルエン
スルホン酸をポリマー固形分の1%となるように添加し
オーバーコート層用塗布液を作成した。 (オーバーコート層用塗布液3−5の調製)熱架橋性含
フッ素ポリマー(JN−7214、日本合成ゴム(株)
製)をメチルイソブチルケトンに溶解して、0.1重量
%溶液を調製した。
【0085】(反射防止膜の作成)実施例1で作成した
低屈折率層の上に、実施例2で用いたポリマー層用塗布
液2−2をバーコーターを用いて#3バーで塗布し、1
20℃で5分乾燥した。その後、オーバーコート用塗布
液を塗布量が5nmになるよう調製しながら塗布し、1
20℃で30分乾燥し反射防止膜を形成した。得られた
反射防止膜について、実施例1と同様に評価した。結果
を表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】本発明のサンプル3−1から3−5は、低
屈折率層の屈折率低く、良好な反射率を示す。また、防
汚性も良好な性能を示す。特にフッ素系の素材を用いた
3−2〜3−5は防汚性が良好である。
【0088】
【発明の効果】本発明者の研究の結果、空隙を有する低
屈折率層の上にポリマー層を設け、さらにその上にオー
バーコート層として防汚性付与のための素材を含む層を
設けることにより、低屈折率層の空隙を3乃至50体積
%に保持し、かつ防汚性、膜強度を付与することが可能
であることが判明した。以上の結果、本発明の反射防止
膜では、低屈折率層の屈折率を上昇させることなく、低
屈折率層の表面が汚れから保護され、耐傷性も改善され
ている。このような反射防止膜を用いることで、画像表
示装置の画像表示面における光の反射を有効に防止する
ことができる。
【0089】
【図面の簡単な説明】
【図1】反射防止膜の主な層構成を示す断面模式図であ
る。
【図2】本発明の好ましい態様における低屈折率層、ポ
リマー層とオーバーコート層の断面模式図である。
【図3】反射防止膜を画像表示装置に適用する様々な態
様を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 透明支持体 2 低屈折率層 3 ポリマー層 4 オーバーコート層 5 ハードコート層 6 高屈折率層 7 中屈折率層 11 高屈折率層 12 低屈折率層 13 透明支持体 14 ハードコート層 15 中屈折率層 16 オーバーコート層 21 微粒子 22 バインダー 23 空隙 イ 粘着剤層 ロ−1 偏光板保護膜 ロ−2 偏光板保護膜 ハ 偏光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA04 AA05 AA06 AA15 BB24 BB28 CC03 CC06 CC09 CC21 CC22 CC24 CC42 DD02 DD05 EE05 4F100 AH06E AH10D AH10E AK01C AK08E AK16C AK21C AR00A AR00B AR00E BA05 BA07 BA10A BA10E DE01B DJ02B GB90 JA07C JA20C JL06 JL06E JN01A JN06 JN18B JN18C YY00B YY00C 4J038 CD091 CE051 JC31 NA19 PA07 PC08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体、および透明支持体よりも低
    い屈折率と3乃至50体積%の空隙率とを有する低屈折
    率層が積層されている反射防止膜であって、該低屈折率
    層の上にポリマー層が積層され、さらにその上に含フッ
    素化合物、含ケイ素化合物および炭素数4以上の長鎖ア
    ルキル基含有化合物から選ばれる少なくとも一つの化合
    物が含まれるオーバーコート層が積層されていることを
    特徴とする反射防止膜。
  2. 【請求項2】 ポリマー層の厚みが3nm以上30nm
    以下、屈折率が1.35〜1.80であることを特徴と
    する請求項1に記載の反射防止膜。
  3. 【請求項3】 ポリマー層が重量平均分子量2万以上の
    ポリマーからなることを特徴とする請求項1または2に
    記載の反射防止膜。
  4. 【請求項4】 オーバーコート層中に含フッ素化合物が
    含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の反射防止膜。
  5. 【請求項5】 ポリマー層に架橋性成分を含むことを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止膜。
  6. 【請求項6】 ポリマー層がポリビニルアルコール及び
    その誘導体、ポリ塩化ビニリデン及びその誘導体から選
    ばれるポリマーであることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載の反射防止膜。
  7. 【請求項7】 低屈折率層が微粒子を含み、微粒子間ま
    たは微粒子内に空隙が形成されている請求項1〜6のい
    ずれかに記載の反射防止膜。
  8. 【請求項8】 透明支持体の屈折率より高い屈折率を有
    する高屈折率層が、該透明支持体と該低屈折率層との間
    に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいず
    れかに記載の反射防止膜。
  9. 【請求項9】 画像表面上に、透明支持体および透明支
    持体よりも低い屈折率と3乃至50体積%の空隙率とを
    有する低屈折率層がこの順に積層されている反射防止膜
    であって、該低屈折率層の上にポリマー層、さらにその
    上に防汚性付与のためのオーバーコート層がさらに積層
    されていることを特徴とする画像表示装置。
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