JP2014015518A - 膜形成用組成物、並びに、機能性膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、簡便かつ低コストで、均一に分布した空孔を有する機能性膜を形成することができ、液安定性に優れる膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】溶媒と、式(1)で表される化合物で表面処理された金属または半金属の酸化物粒子と、式(1)で表される化合物および/またはその加水分解縮合物とを含有する混合溶液に、超音波処理および/またはバブリング処理を施して得られる膜形成用組成物。
式(1) (X)nM(Y)m-n
【選択図】なし

Description

本発明は、膜形成用組成物に係り、特に、所定の成分を含む混合液に超音波処理および/またはバブリング処理が施されることにより得られる組成物に関する。
また、本発明は、機能性膜およびその製造方法に係り、特に、空孔を有する機能性膜およびその製造方法に関する。
従来から中空粒子を用いて形成される空孔を有する機能性膜が提案されている。このような機能性膜中には、中空粒子由来の空孔が形成され、この空孔の大きさ・分布などを制御することにより屈折率や断熱性を制御することができるので、機能性膜は、光学機能性層、反射防止フィルム、反射防止フィルムを用いた偏光板などに適用されている。
より具体的には、特許文献1には、熱または活性エネルギー線照射により重合可能な化合物、粘度調整剤、溶剤、および中空粒子を含有する塗布組成物を透明基材上に塗布し、乾燥により溶媒を除去し、熱または活性エネルギー線照射により硬化することにより得られる光学機能層が開示されている。
また、特許文献2では、高分子基板と、高分子基板上に設けられ、無機物を主成分とするマトリックスと無機物の中空粒子とを含み、空孔率5〜60%の断熱層とを有する半導体素子用基板が開示されている。
さらに、特許文献3では、中空または多孔質粒子、光重合開始剤、およびアルカリ可能性を有する重合性化合物を含有する組成物が開示されており、その組成物より形成される層の用途として、低屈折率層、反射防止膜などが開示されている。
特開2006−96861号公報 特開2010−171176号公報 特開2012−13960号公報
上述の特許文献1〜3においては、いずれも中空粒子または多孔質粒子を使用して、空孔を備える機能性膜を形成している。
しかしながら、中空粒子または多孔質粒子を用いた場合は、コストが嵩むという問題がある。また、硬さなどの膜質の向上および光学特性などの機能性の向上の点からは、空孔をなるべく均一に膜内に配置することが望ましいが、中空粒子または多孔質粒子を使用した場合、それらが層中で凝集しやすく、均一に膜中に分散させることが難しい。
また、通常、中空粒子を形成した後、中空粒子、溶媒、分散用リガンド、ポリマーなどを混合して膜形成用組成物を作製し、この膜形成用組成物を塗布して機能性薄膜を形成する。その際、中空粒子の比重が小さいため浮いてしまい、多層膜を作製する際に、中間層部分に中空粒子を位置させることが困難であり、安価に所望の機能性薄膜を形成することができなかった。
本発明は、上記実情を鑑みて、簡便かつ低コストで、均一に分布した空孔を有する機能性膜を形成することができ、液安定性に優れる膜形成用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、簡便かつ低コストで製造し得る、均一に分布した空孔を有する機能性膜およびその製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討を行ったところ、所定の官能基を有する加水分解性の化合物と金属または半金属の酸化物粒子とを含む混合液に対して、超音波処理および/またはバブリング処理を施すことにより、所望の機能性膜を形成し得る膜形成用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
つまり、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 溶媒と、後述する式(1)で表される化合物で表面処理された金属または半金属の酸化物粒子と、後述する式(1)で表される化合物および/またはその加水分解縮合物とを含有する混合溶液に、超音波処理および/またはバブリング処理を施して得られる膜形成用組成物。
(2) 炭化水素基が、少なくとも一つの第1級アミノ基と、少なくとも一つの第2級アミノ基と、芳香族炭化水素基とを含む1価の炭化水素基である、(1)に記載の膜形成用組成物。
(3) 炭化水素基が、後述する式(2)で表される炭化水素基である、(1)または(2)に記載の膜形成用組成物。
(4) 金属または半金属の酸化物粒子に含まれる金属原子または半金属原子が、ケイ素、ゲルマニウム、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、テルビウム、イッテルビウム、セリウム、ハフニウム、エルビウムおよびイットリウムからなる群から選ばれる原子である、(1)〜(3)のいずれかに記載の膜形成用組成物。
(5) 式(1)中のMで表される金属原子または半金属原子が、ケイ素、ジルコニウム、チタニウムおよびアルミニウムからなる群から選ばれる原子である、(1)〜(4)のいずれかに記載の膜形成用組成物。
(6) 式(1)中のMで表される金属原子または半金属原子の種類と、金属または半金属の酸化物粒子中の金属原子または半金属原子の種類が同じである、(1)〜(5)のいずれかに記載の膜形成用組成物。
(7) 金属または半金属の酸化物粒子の平均粒径が、3〜50nmである、(1)〜(6)のいずれかに記載の膜形成用組成物。
(8) 溶媒が、SP値10以下の溶媒を含む、(1)〜(7)のいずれかに記載の膜形成用組成物。
(9) 混合溶液に、さらに酸性触媒が含まれる、(1)〜(8)のいずれかに記載の膜形成用組成物。
(10) (1)〜(9)のいずれかに記載の膜形成用組成物を支持体上に塗布して、硬化させ、機能性膜を得る、機能性膜の製造方法。
(11) 後述する式(3)で表される単位を有するマトリックスと、マトリックス中に分散した金属または半金属の酸化物粒子とを有し、マトリックス中に空孔が形成されている、機能性膜。
(12) 金属または半金属の酸化物粒子が、空孔を形成するマトリックスの内壁面近傍に配置される、(11)に記載の機能性膜。
(13) 炭化水素基が、少なくとも一つの第1級アミノ基と、少なくとも一つの第2級アミノ基と、芳香族炭化水素基とを含む1価の炭化水素基である、(11)または(12)に記載の機能性膜。
(14) 炭化水素基が、後述する式(2)で表される炭化水素基である、(11)〜(13)のいずれかに記載の機能性膜。
(15) 式(1)中のMで表される金属原子または半金属原子が、ケイ素、ジルコニウム、チタニウムおよびアルミニウムからなる群から選ばれる原子である、(11)〜(14)のいずれかに記載の機能性膜。
(16) 金属または半金属の酸化物粒子の平均粒径が3〜50nmである、(11)〜(15)のいずれかに記載の機能性膜。
(17) マトリックスが、ポリオルガノシロキサンまたはポリオルガノチタニアサンである、(11)〜(16)のいずれかに記載の機能性膜。
本発明の膜形成用組成物によれば、中空粒子または多孔質粒子を用いることなく、空孔が均一に形成された機能性膜を得ることができる。しかも、中空粒子または多孔質粒子を使用していないため、機能性膜を低コストで製造することができる。なお、膜形成用組成物は、液安定性に優れる。
また、本発明の機能性膜には、空孔が均一に形成されている。このため、本発明の機能性膜は、従来、中空粒子または多孔質粒子を用いて形成された種々の機能性膜の代替として用いることができる。
本発明の機能性膜の好適な実施形態を示す模式的断面図である。 本発明の機能性膜の他の好適な実施形態を示す断面図である。 実施例1で得られた機能性膜の上面TEM写真である。 マトリックスとしてSiO2とSi34を使用した場合の屈折率と充填率との理論的な変化を示す図である。 実施例7で得られた機能性膜の断面TEM写真である。 実施例8で得られた反射防止膜の反射率を示す図である。
以下に、本発明の膜形成用組成物、並びに、機能性膜およびその製造方法の好適実施態様について説明する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
本発明の特徴点の一つとしては、所定の官能基を有する化合物(以後、加水分解性化合物とも称する)で表面処理された金属または半金属の酸化物粒子(以後、被覆酸化物粒子とも称する)と、この加水分解性化合物および/またはその加水分解縮合物(以後、両者の総称として化合物Aとも称する)と、を使用する点が挙げられる。
これらの化合物の作用メカニズムの詳細は不明だが、以下のように推測する。
まず、加水分解性化合物に含まれる官能基には、第1級アミン基および第2級アミン基が含まれ、この2つの官能基は溶媒中で酸化物粒子との間で水素結合などの相互作用を形成し配位する。加水分解を促進する酢酸等の溶媒の添加により、加水分解性基は脱水反応が進行し僅かな水が発生すると共に、第1級アミン基および第2級アミン基が酸化物粒子表面に配位していない部分に水素結合などの相互作用を形成する。化合物Aと被覆酸化物粒子とを含む溶液に超音波処理および/またはバブリング処理を施すと、混合溶液中に発生した気泡の気液界面に被覆酸化物粒子が気泡を覆うよう(囲うよう)に凝集する。なお、気泡形状は、球が好ましいが、それ以外の形状であってもよい。
より具体的には、例えば、溶媒としてSP値10以下のトルエンを使用して、超音波処理を行った場合には、粗密波により被覆酸化物粒子の電気2重層で電荷の局在化が生じ極性を有すると共に、第1級アミン基および第2級アミン基にて電荷が一次的に保持され、被覆酸化物粒子の凝集化が進む。この際、加水分解性基の脱水反応により発生した僅かな水分子は被覆酸化物粒子周囲にOH-、H+状態で浮遊して凝集物中に取り込まれ、凝集が進むとやがて水分子を中心に含むシングルナノオーダー凝集状態が形成される。形成された凝集体はシングルナノオーダーため表面積が非常に大きく、超音波エネルギーを吸収して水分子が電離気化し、最安定となる球状気泡を形成する。この際、球状気泡表面に形成された気液界面に被覆酸化物粒子が凝集化し、化合物A間および被覆酸化物粒子間で水素結合が形成され凝集構造が維持される。結果として、気泡が消滅することなく組成物中で残存する。
また、芳香族炭化水素基を有する化合物Aではより電荷を一次的に保持して電荷の局在を形成しやすく、電荷による引力と斥力が相対的に強く寄与できるので、凝集化の進行や分散性の改善、および、気泡形状の均一性のより一層の改善が行える。
さらに、例えば、SP値10以下のトルエン溶媒を使用してナノバブル処理を行った場合には、ナノバブルの気液界面は帯電しているために、電荷を有することができる1級アミン基および第2級アミン基を有する被覆酸化物粒子は、ナノバルブがこれらを通過する際に、ナノバルブの表面電荷にトラップされ球状に凝集化し球状気泡を形成する。特に、トルエンなどの無極性溶媒を使用した場合、第1級アミン基および第2級アミン基に蓄えられた電荷は、一次的に気泡形状を保持しやすい。
超音波処理やバブリング処理を施して球状気泡を組成物中に形成した後、化合物Aの加水分解反応・縮合反応がより進行し、気液界面に被覆酸化物粒子の凝集化した球状気泡を含みながら、組成物中で3次元ネットワークを形成し、ゲル状のマトリックスが形成されていく。この際に、球状気泡の表面は電荷を有しているため、球状気泡はゲル状のマトリックス中に均一に分散した状態となる。
この組成物を塗布して膜を形成すると、組成物中に残存していた気泡が膜中の空孔領域となり、空孔が均一に分散した機能性膜が形成される。
つまり、本発明の膜形成用組成物中では、被覆酸化物粒子の凝集体の内部に気泡が保持されており、この気泡が機能性膜の空孔になると推測される。この組成物を使用すれば、従来使用していた中空粒子などを使用することなく、空孔を有する機能性膜を形成することができる。
以下では、まず、膜形成用組成物に含まれる成分(溶媒、酸化物粒子、式(1)で表される化合物など)およびこの組成物の製造方法について詳述し、その後、機能性膜およびその製造方法について詳述する。
<溶媒>
溶媒は、膜形成用組成物において、酸化物粒子および後述する式(1)で表される化合物が分散する媒体である。
使用される溶媒の種類は特に制限されず、公知の溶媒を使用できる。例えば、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶媒、などが挙げられる。
なお、使用される溶媒の中でも、主溶媒(溶媒中でその体積比が80%以上を占める溶媒)は、実施される超音波処理またはバブリング処理という処理の種類に応じて、適宜最適な溶媒が選択されることが好ましい。両者に共通していえるのは、超音波処理とバブリング処理を施して膜形成用組成物中に気泡を安定に形状保持するためには、気液界面で蓄えられた電荷の放電を抑制することが好ましく、電荷の放電が抑制される溶媒を使用することが好ましい。つまり、溶媒の極性を低くすることにより、被覆酸化物粒子により形成される電気二重層から溶媒への溶媒拡散による電荷拡散を抑制する電荷伝達遅延構造にすることが好ましい。そこで、使用される溶媒としては、SP値(溶解度パラメーター)が10.0以下である溶媒が好ましく、なかでも、膜形成用組成物の安定性がより優れる、または、この組成物より形成される機能性膜の空孔の大きさがより均一である点で、SP値が6.0〜9.0である溶媒が好ましい。なお、上記のようなSP値の溶媒を主溶媒として使用することにより、後述する触媒である酢酸(SP値10以上)を添加しても、より優れた効果を得ることができる。
なお、溶解度パラメータ(SP値)は、分子凝集エネルギーの平方根で表される値である。SP値については、Polymer HandBook(Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載があり、その値を本発明におけるSP値とする。また、単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。なお、データの記載がないものについては、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147〜154(1974)に記載の方法で計算した値を本発明におけるSP値とする。
<式(1)で表される化合物で表面処理された金属または半金属の酸化物粒子>
後述する式(1)で表される化合物(以後、加水分解性化合物とも称する)で表面処理された金属または半金属の酸化物粒子(以後、被覆酸化物粒子とも称する)とは、酸化物粒子に対して加水分解性化合物を用いた表面処理が施されて得られる粒子である。言い換えれば、被覆酸化物粒子は、金属または半金属の酸化物粒子(以後、単に酸化物粒子とも称する)の表面の少なくとも一部が加水分解性化合物で被覆される。なお、被覆の程度は特に制限されず、表面全面が被覆されていても、一部が露出していてもよい。
この被覆酸化物粒子は、膜形成用組成物より形成される機能性膜中の空孔の形成を補助する役割を果たす。上述したように、組成物中において被覆酸化物粒子が気泡の周辺を覆うように凝集することにより、その凝集体の内部に気泡が保持され、この気泡が機能性膜の空孔になっていると推測される。
なお、ここで金属または半金属の酸化物粒子とは、金属原子と酸素原子とからなる酸化物粒子(金属酸化物粒子)、および、半金属原子と酸素原子とからなる酸化物粒子(半金属酸化物粒子)を意図する。半金属原子としては、例えば、ホウ素,ケイ素,ゲルマニウム,ヒ素,アンチモン,セレン,テルルなどが挙げられる。
被覆酸化物粒子中の金属または半金属の酸化物粒子の種類は特に制限されず、公知の金属または半金属の酸化物粒子を使用することができる。例えば、ケイ素、ゲルマニウム、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、テルビウム、イッテルビウム、セリウム、ハフニウム、エルビウム、イットリウム、亜鉛、インジウム、スズ、およびアンチモンからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素または半金属元素の酸化物粒子が挙げられる。より具体的には、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウムなどが挙げられる。
このうち、後述する式(1)で表される化合物および/またはその加水分解縮合物を構成している金属原子または半導体原子Mと、酸化物粒子を構成している金属原子または半導体原子が一致していると、比較的電荷の偏りが少なく均一となるため、組成物中における被覆酸化物粒子の分散均一性がより優れる。例えば、シランカップリング剤とシリカ粒子、または、チタンカップリング剤と酸化チタン粒子のような組み合わせである。
被覆酸化物粒子中の酸化物粒子の平均粒径は特に制限されないが、組成物より形成される機能性膜の空孔の大きさがより均一である点で、3〜50nmが好ましく、3〜20nmがより好ましい。
なお、酸化物粒子の平均粒径は、粒度分布計において100個以上の酸化物粒子の体積を動的光散乱測定により求め、酸化物粒子が正球の形状をしていると仮定し算術した粒径値を、酸化物粒子の個数分統計処理し、そのメジアン値を平均粒径とした。
酸化物粒子を加水分解性化合物で表面処理する方法は特に制限されず、酸化物粒子と加水分解性化合物とを接触させる公知の方法(湿式法または乾式法)を採用し得る。
乾式法としては、例えば、酸化物粒子に加水分解性化合物を直接付着させる方法が挙げられる。より具体的には、ミキサーに酸化物粒子を仕込んで、攪拌しながら加水分解性化合物または加水分解性化合物を水若しくは有機溶媒に溶解させた溶液を滴下または噴霧した後、必要に応じて加熱しながら攪拌し、ふるいにより分級を行う。
湿式法としては、酸化物粒子と溶媒とを含むスラリーを調製後、そこに加水分解性化合物を添加し、必要に応じて加熱しながら攪拌し、溶媒除去(例えば、濾過)、乾燥およびふるいによる分級を行う。
なお、湿式法においては、加水分解性化合物と共に、必要に応じて、後段で詳述する酸性触媒を添加してもよい。また、湿式法において使用される溶媒の種類は特に制限されず、例えば、上述した組成物中に含まれる溶媒が挙げられる。
上記表面処理を施すことにより、加水分解性化合物の加水分解性基が加水分解して、酸化物粒子との縮合反応が進行し、式(1)中のX基が酸化物粒子表面上に導入される。
また、上記反応以外にも、X基中の第1アミノ基および/または第2級アミノ基が酸化物粒子表面と静電相互作用を生じて、固定化される。
なお、式(1)で表される化合物の詳細については、後段で詳述する。
<式(1)で表される化合物および/またはその加水分解縮合物>
式(1)で表される化合物および/またはその加水分解縮合物は、これら化合物に含まれる所定の官能基の機能により、溶媒中で相互作用(水素結合)を生じ、ネットワークを形成する。
以下に、式(1)で表される化合物の態様について詳述する。
式(1) (X)nM(Y)m-n
式(1)中、Xは、少なくとも一つの第1級アミノ基と、少なくとも一つの第2級アミノ基とを含む1価の炭化水素基を表す。ここで第1級アミノ基とは−NH2であり、第2級アミノ基とは−NH−である。
炭化水素基には、第1級アミノ基と第2級アミノ基とが、それぞれ少なくとも1以上含まれていればよい。なお、これらアミノ基の数を増やしすぎると、機能性膜中の空孔分布形状が悪化し、空孔形状の均一性が低下する場合がある。そのため、第1級アミノ基と第2級アミノ基の合計が4個以下であることが好ましい。
炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または、これらを組み合わせた基が挙げられる。
炭化水素基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、炭化水素基に含まれる炭素原子の長さにより、その化合物の双極子モーメントが変化すること、または、親疎水傾向の変化することが知られている。これを利用して被覆酸化物粒子の分散性を制御することができるが、炭化水素基中の炭素数が長すぎると、塗布膜を形成する際のせん断応力が高くなり、塗布方向に配向するモーメントが働くため、球状気泡が破壊する、または、変形するというおそれがある。このため、炭素原子の数は16以下が好ましく、5以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、通常、1以上である。
Yは、加水分解性基を表す。加水分解性としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI、特にClおよびBr)、アルコキシ基(好ましくは、C1-6アルコキシ、特にC1-4アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、C6-10アリールオキシ、例えば、フェノキシ)、アシルオキシ基(好ましくは、C1-6アシルオキシ、例えば、アセトキシまたはプロピオニルオキシ)、アルキルカルボニル基(好ましくは、C2-7アルキルカルボニル、例えばアセチル)などが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、アルコキシ基およびアシルオキシ基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
Mは、金属原子または半金属原子を表す。金属原子および半金属原子の種類は特に制限されないが、例えば、ケイ素、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛およびタングステンからなる群から選ばれる金属原子または半金属原子が挙げられる。なかでも、Mと、上述した酸化物粒子を構成している金属原子または半金属原子の種類が一致していると、比較的電荷の偏りがすくなく均一となるため、被覆酸化物粒子の分散均一性が向上する。
mは、金属原子または半金属原子Mの原子価を表す。nは1から(m−1)の整数を表す。
例えば、Mがケイ素、チタンなどの4価の金属原子または半金属原子の場合、mは4を表し、nは1〜3の整数を表す。Mがアルミニウムなどの3価の金属原子または半金属原子の場合、mは3を表し、nは1〜2を表す。
なお、mおよびnが2以上の場合(XおよびYが複数ある場合)、各XおよびYは互いに同一であっても異なっていてもよい。
加水分解性化合物の好適態様としては、炭化水素基が少なくとも一つの第1級アミノ基と、少なくとも一つの第2級アミノ基と、芳香族炭化水素基とを含む1価の炭化水素基である加水分解性化合物が挙げられる。該態様であれば、組成物より形成される機能性膜の空孔の大きさがより均一で、かつ、空孔形状が1か月程長期間保持できる。より具体的には、炭化水素基中に芳香族炭化水素基が含まれることにより、被覆酸化物粒子間、被覆酸化物粒子と加水分解性化合物および/またはその加水分解縮合物との間において、芳香族炭化水素基間のπ−π相互作用が生じる。このπ−π相互作用と、アミノ基同士の相互作用(水素結合)とが複合的に作用することにより強固な3次元構造を形成され、組成物中の気泡の大きさがより均一なものとなり、結果として機能性膜の膜強度がより強化されると共に、機能性膜中に形成される空孔の大きさがより均一なものとなる。
芳香族炭化水素基中に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、溶媒への溶解性などがより優れ、取扱い性がより優れる点より、炭素数6〜18が好ましく、炭素数6〜12がより好ましい。
芳香族炭化水素基は単環式であっても、多環式であってもよい。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環などが挙げられる。なかでも、汎用性がより優れる点で、ベンゼン環が好ましい。
芳香族炭化水素基の価数は特に制限されないが、組成物より形成される機能性膜の空孔の大きさがより均一である点で、1〜3価が好ましく、2価がより好ましい。
加水分解性化合物の最好適態様としては、炭化水素基が式(2)で表される炭化水素基である加水分解性化合物が挙げられる。該態様であれば、組成物より形成される機能性膜の空孔の大きさがより均一である。
式(2)中、*はM(金属原子)に結合する位置を示す。
式(2)中、Zは、少なくとも一つの第1級アミノ基と、少なくとも一つの第2級アミノ基とを含むアルキル基を表す。
アルキル基中に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、溶媒への溶解性などがより優れ、取扱い性がより優れる点より3〜20個がより好ましく、5〜15個がさらに好ましく、5〜10個が特に好ましい。
第1級アミノ基および第2級アミノ基の数の好適範囲は、上述の通りである。
また、Zの好適態様としては、式(4)で表されるアルキル基が挙げられる。
式(4) NH2−L−NH−L−*
式(4)中、Lは、後述するLと同義であり、好適態様も同じである。なお、式(4)中のLは、互いに同一であっても異なっていてもよい。*は結合位置を示す。
Lは、単結合、または、アルキレン基を表す。
アルキレン基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、溶媒への溶解性などがより優れ、取扱い性がより優れる点より、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。
上記加水分解性化合物の加水分解縮合物とは、加水分解性化合物の加水分解反応、縮合反応(いわゆるゾルゲル反応)によって形成される化合物を意味する。より具体的には、加水分解性化合物が部分的に加水分解したもの、加水分解性化合物が完全に加水分解したもの、加水分解性化合物が部分的に加水分解・縮合したもの、加水分解性化合物が完全に加水分解し、その一部が縮合したものなどを含む。
加水分解縮合物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、所定の溶媒(例えば、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒など)中で加水分解性化合物を混合攪拌する方法や、所定の触媒(例えば、酸性触媒、塩基性触媒、金属キレート触媒など)の存在下、所定の溶媒中で加水分解性化合物の加水分解・縮合させる方法が挙げられる。
酸性触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸、シュウ酸などの無機酸;酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、シュウ酸、マレイン酸などの有機酸などが挙げられる。
塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。
<その他の成分>
超音波処理および/またはバブリング処理が施される混合溶液および膜形成用組成物には、上記成分以外に他の成分が含まれていてもよい。
例えば、加水分解性反応用の触媒(酸性触媒、塩基性触媒、金属キレート触媒)などが挙げられ、溶液中での被覆酸化物粒子の分散性の向上の観点から、被覆酸化物粒子表面の電荷零点pHからより外れるようになる触媒が好ましい。
また、式(1)で表される化合物以外にも、加水分解性基を有する化合物を併用してもよい。例えば、式(5)で表される化合物を使用してもよい。
式(5) (Y)m
式(5)中、Y、M、mは、式(1)中のY、M、mと同義である。
<混合溶液>
超音波処理および/またはバブリング処理が施される混合溶液には、上述した溶媒、被覆酸化物粒子、および、式(1)で表される化合物および/または加水分解縮合物が含まれる。
被覆酸化物粒子の含有量は特に制限されないが、溶媒100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜3.0質量部がより好ましい。
式(1)で表される化合物およびその加水分解縮合物の含有量は特に制限されないが、溶媒100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。上記範囲内であれば、式(1)で表される化合物およびその加水分解縮合物が膜形成用組成物で偏りを生じることなくコロイド運動することができ、組成物中に形成されるゲル状物質の均一性に優れる。
混合溶液の調製方法は特に制限されず、例えば、溶媒、被覆酸化物粒子、および、式(1)で表される化合物および/または加水分解縮合物を別々に用意して、それらを混合する方法が挙げられる。
また、他の方法として、金属または半金属の酸化物粒子と溶媒とを有する溶液中に、加水分解性化合物を添加して、加水分解性化合物の加水分解反応・縮合反応を進行させ、酸化物粒子の表面処理を行うと同時に、加水分解性化合物の加水分解縮合物を生成して、所望の混合溶液を調製してもよい。
混合溶液に触媒が添加される場合、触媒の含有量は特に制限されないが、溶媒100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。上記範囲内であれば、球状気泡を保持しつつ、ゲル状マトリックスを適度な速度で形成することができる。
<膜形成用組成物およびその製造方法>
膜形成用組成物は、上述した混合溶液に超音波処理および/またはバブリング処理を施すことにより製造される。
上述したように、超音波処理および/またはパブリング処理を上記混合溶液に施すと、溶液中に気泡が発生し、この気泡の気液界面近傍に被覆酸化物粒子が凝集し、結果としてこの凝集体内部に気泡が内包され、気泡が組成物中に残存する。
以下に、超音波処理、バブリング処理について詳述する。
(超音波処理)
超音波処理とは、混合溶液に対して超音波を照射する処理である。
超音波処理の際の超音波の周波数は特に制限されない。なかでも、機能性膜中における空孔の分散性がより優れる点で、10kHz〜100MHz、または、700kHz〜2MHzが好ましい。また、周波数を適宜設定することにより機能性膜中の空孔の大きさを制御することができ、例えば、周波数を200〜600kHzとすると空孔の平均直径は1〜10μm程度に制御でき、周波数を700kHz〜2MHzとすると空孔の平均直径は0.1〜1μm程度の制御できる。
また、超音波処理の際の超音波の照射時間は混合溶液中の被覆酸化物粒子および加水分解縮合物の含有量により最適時間が異なり、機能性膜の空孔の大きさをより均一にする観点から、10分〜3時間が好ましく、20分〜1時間がより好ましい。
超音波処理では公知の超音波装置(例えば、株式会社カイジョー製 クオーバ(QUAVA Mult)3周波対応、ハイ・メガソニック)を使用できる。
(バブリング処理)
バブリング処理とは、混合溶液に対して気体(気泡)を供給する処理である。
混合溶液に供給される気体の種類は特に制限されず、例えば、空気、不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素)などが挙げられる。
混合溶液に供給される気体の単位時間あたりの量は特に制限されないが、組成物より形成される空孔が機能性膜中に均一に形成させるために、酸化物粒子の含有量から推測される気泡密度に適合した量になっていることが好ましい。
また、バブリング処理時に供給されるバブルの大きさは特に制限されないが、浴槽底より上部に向かって拡散していき浴槽の深さに対応してバブルにかかる圧力が低下し、バルブ径が大きくなる傾向を示すことから、所望する空孔状凝集物よりやや小さいバブルを発生させることが好ましい。より具体的には、供給されるバブルの大きさは0.09〜9.9μmが好ましい。
バブリング処理の時間は特に制限されないが、機能性膜の空孔の大きさをより均一にする観点から、10分〜3時間が好ましく、20分〜1時間がより好ましい。
バブリング処理では公知のバブリング装置(例えば、IDEC株式会社nano-GaAF)を使用できる。なお、AAOなどのナノオーダの規則配向空孔が開いたメンブレンを使用するなど、発生させたいバブル径に合わせたメンブレンを使用することが好ましい。また、バブルのナノ化に伴い圧損が増えるため、ポンプや配管等を高圧化対応させることが好ましい。
超音波処理とバブリング処理とは、少なくとも一方の処理が実施されればよく、両者を順不同に実施してもよい。なお、バブリング処理後にさらに超音波処理を行うと、バブリング処理により形成された気泡が、超音波処理によりさらに凝集することがあるため、超音波処理とバブリング処理の一方のみの実施することが好ましい。
必要に応じて、加熱処理を実施してもよい。
膜形成用組成物中に形成される気泡の大きさは、例えば、バブリングの条件を変えることにより、調整することができる。超音波を用いている場合には、超音波の照射時間、照射強度等の条件を変えることにより、調整することができる。
これに加え、膜形成用組成物のpH、または、電離定数等を制御し静電反発による配列を制御することにより、球状気泡の自己集積配列を制御することができる。
このように膜形成用組成物中の気泡の大きさ・配列を制御することにより、後述する機能性膜内における空孔の数・分布・大きさなどを制御することができる。
(膜形成用組成物)
上述した方法により製造された膜形成用組成物には、溶媒、被覆酸化物粒子、および、式(1)で表される化合物および/または加水分解縮合物が含まれる。
また、上述したように、組成物中には、気泡が残存していると考えられる。気泡の存在は、目視、光学顕微鏡による確認、または、超音波処理および/またはバブリング処理前後での組成物の入射光に対する散乱特性および吸収特性などから確認される。
後述するように、本発明の膜形成用組成物を使用すれば、この組成物を用いて形成される機能性膜内での空孔の形成位置、空孔の大きさ、および空孔の配置密度を適宜変えることもでき、機能性膜内で屈折率を連続的に変化させることもできる。これにより、機能性膜は、単体で、例えば、反射防止膜等に利用することができる。
<機能性膜およびその製造方法>
本発明の機能性膜は、所定の単位を有するマトリックスと、金属または半金属の酸化物粒子とを有し、マトリックスに空孔が形成されている膜である。
以下では、まず、機能性膜の製造方法について詳述し、その後機能性膜の態様について詳述する。
機能性膜の製造方法は特に制限されないが、生産性に優れ、形成される機能性膜の空孔の大きさがより均一である点で、上述した膜形成用組成物を使用することが好ましい。
膜形成用組成物を使用する方法においては、まず、上述した膜形成用組成物を用意し、その後、この組成物を所定の支持体上に塗布し、得られた塗膜を硬化させることにより機能性膜を製造することができる。
機能性膜のより具体的な製造メカニズムとしては、膜形成用組成物中に含まれる被覆酸化物粒子と、加水分解性化合物および/またはその加水分解縮合物との間で、加水分解反応・縮合反応がさらに進行し、加水分解性化合物由来の加水分解縮合物であるマトリックスと、このマトリックス中に分散した金属または半金属の酸化物粒子とを有する機能性膜が得られる。この機能性膜中においては、超音波処理および/またはバブリング処理によって形成された組成物中の気泡に起因したと推測される空孔が多数形成される。
以下では、支持体上に組成物を塗布する態様について詳述する。
支持体の種類は特に制限されず、機能性膜を配置したい支持体(例えば、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板など)を適宜選択することができる。なお、易剥離性を示す表面を有する支持体上に機能性膜を製造して、支持体から機能性膜を剥離して、自立型の機能性膜を製造することもできる。また、易剥離性を示す表面を有する支持体上にあらかじめ、SAM分子等を用いて表面処理し密着性を改善した後、機能性膜を製造することもできる。
膜形成用組成物の塗布の方法は特に制限されず、公知の方法(スピンコーター、ダブルロールコーター、スリットコーター、ディップコーター、ダイコーターなど)を採用できる。
硬化の方法は加水分解反応・縮合反応が進行すれば特に制限されず、室温で自然乾燥させる方法や、加熱処理を施す方法などが挙げられる。加熱処理を施す場合、溶媒の発火点以下、好ましくは50℃以下の自然乾燥が好ましい。
なお、生産効率の点から、硬化の際には加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理の条件は特に制限されないが、成分の分解などをより抑制できる点で、80℃、5分程度で実施することが好ましく、支持体の耐熱性上可能であれば150℃、5分程度がより好ましい。
(機能性膜)
機能性膜は、式(3)で表される単位を有するマトリックスと、マトリックス中に分散した金属または半金属の酸化物粒子とを含む。なお、マトリックスは、上述したように、上記加水分解性化合物が加水分解・縮合反応を経て得られる加水分解縮合物に相当する。
以下、式(3)で表される単位について詳述する。
式(3) (X)n−MOm-n/2
式(3)中、X、M、m、nの定義は、式(1)中のX、M、m、nとそれぞれ同義であり、好適な範囲も同じである。
例えば、Mが4価のケイ素原子であり、nが1の場合、以下の式(6)で表されるオルガノシロキサン単位を意味する。
式(6) (X)−SiO3/2
また、Mがチタン原子であり、nが1の場合、以下の式(7)で表されるオルガノチタニア単位を意味する。
式(7) (X)−TiO3/2
マトリックスを構成する材料は特に制限されず、上記式(3)で表される単位を含んでいればよい。なかでも、製造適性に優れ、機能性膜の強度、光学特性がより優れる点で、ポリオルガノシロキサンであることが好ましい。また、光触媒特性効果が必要な場合にはポリオルガノチタニアサンであることが好ましい。
なお、ポリオルガノチタニアサンとは、オルガノチタン化合物の加水分解縮合反応により形成されるものを意図する。オルガノチタン化合物とは、(R)n−Ti−(Y)mで表される化合物を意図し、Rは有機基を、Yは加水分解性基を表し、nおよびmはそれぞれ1以上の整数を表し、n+m=4の関係を満たす。
マトリックス中においては、式(3)で表される単位以外の構成単位が含まれていてもよい。例えば、上述した式(5)で表される化合物由来の単位が含まれていてもよい。式(5)で表される化合物由来の単位は、以下の式(8)で表される単位である。
式(8) MO2
マトリックス中においては、式(3)で表される単位が主成分として含まれていることが好ましい。ここで主成分とは、式(3)で表される単位の含有量が、マトリックスの全構成単位に対して、80モル%以上であることを意図し、90〜100モル%であることが好ましい。
機能性膜中に含まれる金属または半金属の酸化物粒子の定義・平均粒径の好適範囲は、上述した通りである。
機能性膜中におけるマトリックスと酸化物粒子との含有質量比は特に制限されないが、酸化物粒子をより均一に空孔を形成できる点から、マトリックス100質量部に対して、酸化物粒子が0.1〜5.0質量部含まれることが好ましい。
機能性膜のマトリックスは、空孔を有する。
空孔の平均直径は上述した超音波処理および/またはバブリング処理の条件を制御することにより調整でき特に制限されないが、空孔の直径の分布がより均一となる点で、0.1〜10μmが好ましい。
機能性膜の空孔率は特に制限されないが、膜強度の点から、3〜25%が好ましい
空孔率の測定方法としては、まず、機能性膜断面のSEMまたは光学顕微鏡により、500×500μmの視野サイズの領域を測定し、その領域で重ならないように50×50μmの視野サイズの領域を任意に10か所抽出して、平面での空孔部と充填部の比率から空孔率(空孔部の面積/空孔部の面積+充填部の面積)を出し、10箇所の領域の空孔率の算術平均値を求め、それを機能性膜の空孔率とする。
また、平均直径は、機能性膜断面のSEMまたは光学顕微鏡により、500×500μmの視野サイズの領域を測定し、任意の100個以上の空孔の直径を測定し、それらを算術平均した値である。空孔が真円状でない場合、その長径を直径とする。
マトリックス中における空孔の分散状態は、超音波処理および/またはバブリング処理などの条件、または、機能性膜の製造条件などを制御することにより、調整できる。例えば、空孔が機能性膜全体に渡って均一に分散している態様や、機能性膜の一方の表面から他方の表面に向かって空孔の大きさが漸増している態様が挙げられる。
また、屈折率が空孔率によって変化することが知られており、この屈折率と空孔率との関係を用いることにより、機能性膜の屈折率を調整することができる。
機能性膜の厚みは特に制限されず、使用される用途に応じて、適宜最適な厚みが調整される。
上記構成を有する機能性膜は、種々の用途に適用することができる。例えば、反射防止膜、偏光板、低屈折率膜、高屈折率膜、断熱膜などが挙げられる。
特に、機能性膜中の空孔率などによって、機能性膜自体の屈折率を調整することができるため、機能性膜を低屈折率膜または高屈折率膜として好適に応用することができる。
また、例えば、結晶シリコン太陽電池に応用する場合、太陽電池用途に求められているARコート膜の機能は、低反射性であることと適度な光散乱性が挙げられ、これにより結晶シリコン太陽電池活性層での光路長の増大による光吸収率の向上が見込まれる。また、太陽光に対しては広い波長領域でのARコートが望まれるが、本発明の機能性膜を含む2〜3層コート等の積層膜であれば広い波長領域に対応したARコートとなりうる。
なお、本実施形態の膜形成用組成物を用いて形成した機能性膜は、優れた耐熱性を有している。より具体的には、例えば、機能性膜に対して、熱処理(例えば、温度150℃で30分の熱処理)を施しても、空孔がなくなることはない。このように、本実施形態の膜形成用組成物を用いて形成した機能性膜は、耐熱性に優れる。よって、機能性膜は、例えば、断熱膜として利用することができ、更には所定の耐熱性を有する基板として利用することができる。
(好適態様)
機能性膜の好適態様の一つとして、図1に示す態様が挙げられる。
機能性膜10は、マトリックス12と、図示しない金属または半金属の酸化物粒子とを有する。なお、マトリックス12中においては、複数の空孔14が形成されている。
機能性膜10では、空孔14の周辺領域16において、金属または半金属の酸化物粒子が高い割合で存在している。言い換えると、機能性膜の好適態様の一つとしては、空孔14を形成するマトリックス12の内壁面近傍に金属または半金属の酸化物粒子が配置されることが好ましい。特に、空孔14を囲むように(覆うように)酸化物粒子が配置されることが好ましい。ここで、近傍とは、内壁面から20nm以内の領域を意味する。
上述したように、膜形成用組成物中においては、気泡の周辺に金属または半金属の酸化物粒子が多く存在していると考えられる。そのため、機能性膜10の空孔14の周辺においても、同様に金属または半金属の酸化物粒子が多く存在することにより、より大きさの均一な空孔が形成される。
本実施形態においては、バブリング処理または超音波処理により膜形成用組成物内部に気泡を形成することにより、空孔を有する機能性膜10を作製することができる。本実施形態においては、中空粒子、多孔質体等が不要であるため、低コストで機能性膜10を形成することができる。しかも、形成される機能性膜10は、空孔14が膜内に均一に配置されている。
また、本実施形態においては、内部に形成する空孔の数、空孔の配置密度および空孔の形成位置を変えることにより、図2に示す機能性膜20を形成できる。機能性膜20においては、マトリックス12に空孔14が形成されていない第1の領域22と、空孔14が形成されている第2の領域24がある。第2の領域24において、空孔14は、例えば、第1の領域22側からが第2の領域24に向かうにつれて大きくなっている。配置密度についても、第1の領域22側からが第2の領域24に向かうにつれて高くなっている。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の膜形成用組成物および機能性膜について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
SiO2ナノパウダー(アルドリッチ社製、粒径:5〜15nm、5mg)をトルエン溶液(100mL)に加えて、撹拌しながら混合した。その後、以下の式(X)で表される加水分解性化合物をトルエン溶液に対して5質量%となるように添加した後、10分撹拌した。その後、遠心分離器(600rpm、1分程度)にてトルエン溶液に対して遠心分離処理を施し、沈殿物である2次凝集粒子を取り除き、上澄み液のみを回収した。次に、上澄み液に対して酢酸を1mL添加して10分間撹拌することにより、式(X)で表される加水分解性化合物の加水分解反応・縮合反応が進行し、SiO2ナノパウダー表面が式(X)で表される加水分解性化合物で表面処理されると共に、式(X)で表される加水分解性化合物の加水分解縮合物が混合溶液中で形成された。
得られた混合溶液に対して、超音波処理装置を用いて40MHzにて30分超音波処理を実施し、膜形成用組成物を調製した。
次に、あらかじめUVオゾン処理を施した透明ポリイミドフイルム支持体を準備した。
調製直後の膜形成用組成物を厚みが塗布後100nm程度になるように透明ポリイミドフイルム支持体上にキャストした後、表面に凹凸が施されているバー状棒で引延して塗布し自然乾燥させた。室温下で10分放置して、溶媒を揮発させ、機能性膜を製造した。
得られた機能性膜のTEM観察を行ったところ、図3に示すように、機能性膜中において多数の空孔が膜全体に渡って均一に分散していることが確認された。また、図3に示す機能性膜においては、空孔近傍をTEMにて拡大観察したところコントラストの差異より、図1に示すように空孔を形成するマトリックスの内壁面近傍に空孔を囲むようにSiO2ナノパウダーが多数存在していることが確認された。なお、機能性膜中におけるSiO2ナノパウダーの含有量は、マトリックス100質量部に対して、約1質量部であった。
<実施例2>
式(X)で表される加水分解性化合物の代わりに、式(Y)で表される加水分解性化合物を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、機能性膜を製造した。
得られた機能性膜中では、実施例1と同様に、多数の空孔が形成されていた。また、実施例1と同様に、空孔を形成するマトリックスの内壁面近傍に空孔を囲むようにSiO2ナノパウダーが多数存在していた。
<実施例3>
式(X)で表される加水分解性化合物の代わりに、式(Z)で表される加水分解性化合物を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、機能性膜を製造した。
得られた機能性膜中では、実施例1と同様に、多数の空孔が形成されていた。また、実施例1と同様に、空孔を形成するマトリックスの内壁面近傍に空孔を囲むようにSiO2ナノパウダーが多数存在していた。
<実施例4>
トルエンをキシレンに変更した以外は、実施例3と同様の手順に従って、機能性膜を製造した。得られた機能性膜中では、実施例1と同様に、多数の空孔が形成されていた。また、実施例1と同様に、空孔を形成するマトリックスの内壁面近傍に空孔を囲むようにSiO2ナノパウダーが多数存在していた。
<実施例5>
SiO2ナノパウダーの代わりに、平均粒径50nmのTiO2粒子を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、機能性膜を製造した。
得られた機能性膜中では、実施例1と同様に、多数の空孔が形成されていた。また、実施例1と同様に、空孔を形成するマトリックスの内壁面近傍に空孔を囲むようにTiO2粒子が多数存在していた。
<比較例1>
式(X)で表される加水分解性化合物の代わりに、式(V)で表される加水分解性化合物を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、膜の成膜を行った。しかしながら、得られた膜中においては、空孔の形成は確認できなかった。
なお、以下の化合物中には、第2級アミノ基が含まれていない。
<比較例2>
SiO2ナノパウダーを使用しなかった以外は、実施例1と同様の手順に従って、膜を製造した。得られた膜中においては、空孔の形成は確認できなかった。
<比較例3>
超音波処理を実施せずに、混合溶液を膜形成用組成物として使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、膜を製造した。得られた膜中においては、空孔の形成は確認できなかった。
[膜形成用組成物の液安定性評価]
実施例1〜5および比較例1〜3で使用された膜形成用組成物の液安定性に関して、以下の基準に従って評価した。結果をまとめて、以下の表1に示す。実用上、「D」でないことが望ましい。
「A」:組成物調整後から、組成物を室温下で1週間放置しても沈殿の発生や、白濁が見られない。
「B」:組成物調整後から、組成物を室温下で放置した場合、3日間は沈殿の発生や、白濁が見られないが、1週間以内に沈殿の発生や、白濁が見られる。
「C」:組成物調整後から、組成物を室温下で放置した場合、24時間は沈殿の発生や、白濁が見られないが、3日以内に沈殿の発生や、白濁が見られる。
「D」:組成物調整後から、組成物を室温下で放置した場合、24時間以内に沈殿の発生や、白濁が見られる。
上記実施例1〜5および比較例1〜3の結果を以下の表1にまとめて示す。
なお、表1中、空孔の平均直径および空孔率は、上述した方法により測定した。
表1に示すように、本発明の膜形成用組成物を使用した実施例1〜5においては、多数の空孔が含まれた機能性膜を製造することができた。
特に、実施例1と3との比較から分かるように、式(1)中の炭化水素基に芳香族炭化水素基が含まれる場合、膜形成用組成物の液安定性がより優れることが確認された。
また、実施例1と5との比較から分かるように、式(1)中のMの原子の種類と、酸化物粒子中の原子の種類が同じ場合、膜形成用組成物の液安定性がより優れることが確認された。
一方、式(1)中の炭化水素基に第2級アミノ基が含まれない加水分解性化合物を使用した比較例1では、形成された膜中には空孔の存在が確認できなかった。
また、酸化物粒子を使用しなった比較例2、および、超音波処理を実施しなかった比較例3においても、同様に形成された膜中には空孔の存在が確認できなかった。
<実施例6>
40MHzで30分間の超音波処理の条件を、40MHzで5分間に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、機能性膜を製造した。
得られた機能性膜中では、実施例1と同様に、多数の空孔が形成されていた。また、実施例1と同様に、空孔の内壁面近傍にSiO2ナノパウダーが多数存在していた。
得られた機能性膜の空孔率は3%であった。
上述したように、機能性膜中の空孔率を制御することにより、機能性膜の屈折率を制御することができる。
図4において、マトリックス材がSiO2(1.46)とSi34(2.1)で空孔を形成したときの充填率による屈折率の理論的な変化を示す。より具体的には、図4中、横軸はマトリックスの充填率(100(%)−空孔率(%)に該当)で、縦軸が屈折率を示す。
実施例1および6で得られた機能性膜の空孔率はそれぞれ25%および3%であることから、それぞれの機能性膜の充填率は75%および97%と計算される。つまり、図4中の星印で示した部分が、それぞれ実施例1および6で得られた機能性膜が該当する。該図から分かるように、空孔率を制御することにより、機能性膜の屈折率を制御することが可能となる。
<実施例7>
40MHzで30分間の超音波処理の条件を、28KHzと45KHzで各15分間に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、機能性膜を製造した。
得られた機能性膜中では、実施例1と同様に、多数の空孔が形成されていた。また、機能性膜の断面TEM観察を行ったところ、図5に示すように、図中の下側から上側に向かって、機能性膜中の空孔の平均直径が漸減していることが確認された。
<実施例8>
ポリマー溶液(ポリマーの種類:脂環式エポキシもしくはビスフェノールエポキシとオキセタンを7:3に配合し、光開始剤(重量比5%)とシランカップリング剤(重量比1%)とを添加したトルエン溶媒)に、ジルコニア粒子(販売元 日産化学)を分散し塗布後UVにて光重合させて下層を形成した後、上記実施例1で使用した膜形成用組成物を下層上に塗布して乾燥処理を施して上層を形成した。この得られた2層コートに対して、日立U4000分光反射装置、12度正反射評価系にて、その分光反射特性を評価した。結果を、図6に示す。
図6に示すように、本発明の機能性膜は優れた反射防止膜としての機能を有することが確認された。なお、図6中、横軸が波長(nm)で、横軸は反射率(%)を示す。
10,20 機能性膜
12 マトリックス
14 空孔
16 周辺領域
22 第1の領域
24 第2の領域

Claims (17)

  1. 溶媒と、式(1)で表される化合物で表面処理された金属または半金属の酸化物粒子と、前記式(1)で表される化合物および/またはその加水分解縮合物とを含有する混合溶液に、超音波処理および/またはバブリング処理を施して得られる膜形成用組成物。
    式(1) (X)nM(Y)m-n
    (式(1)中、Xは、少なくとも一つの第1級アミノ基と、少なくとも一つの第2級アミノ基とを含む1価の炭化水素基を表す。Yは、加水分解性基を表す。Mは、金属原子または半金属原子を表す。mは、金属原子または半金属原子Mの原子価を表す。nは、1から(m−1)の整数を表す。なお、XおよびYが複数ある場合、各XおよびYは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記炭化水素基が、少なくとも一つの第1級アミノ基と、少なくとも一つの第2級アミノ基と、芳香族炭化水素基とを含む1価の炭化水素基である、請求項1に記載の膜形成用組成物。
  3. 前記炭化水素基が、式(2)で表される炭化水素基である、請求項1または2に記載の膜形成用組成物。

    (式(2)中、Zは、少なくとも一つの第1級アミノ基と、少なくとも一つの第2級アミノ基とを含むアルキル基を表す。Lは、単結合、または、アルキレン基を表す。*は結合位置を示す。)
  4. 前記金属または半金属の酸化物粒子に含まれる金属原子または半金属原子が、ケイ素、ゲルマニウム、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、テルビウム、イッテルビウム、セリウム、ハフニウム、エルビウムおよびイットリウムからなる群から選ばれる原子である、請求項1〜3のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  5. 前記式(1)中のMで表される金属原子または半金属原子が、ケイ素、ジルコニウム、チタニウムおよびアルミニウムからなる群から選ばれる原子である、請求項1〜4のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  6. 前記式(1)中のMで表される金属原子または半金属原子の種類と、前記酸化物粒子中の金属原子または半金属原子の種類が同じである、請求項1〜5のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  7. 前記金属または半金属の酸化物粒子の平均粒径が、3〜50nmである、請求項1〜6のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  8. 前記溶媒が、SP値10以下の溶媒を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  9. 前記混合溶液に、さらに酸性触媒が含まれる、請求項1〜8のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の膜形成用組成物を支持体上に塗布して、硬化させ、機能性膜を得る、機能性膜の製造方法。
  11. 式(3)で表される単位を有するマトリックスと、前記マトリックス中に分散した金属または半金属の酸化物粒子とを有し、前記マトリックス中に空孔が形成されている、機能性膜。
    式(3) (X)n−MOm-n/2
    (式(3)中、Xは、少なくとも一つの第1級アミノ基と、少なくとも一つの第2級アミノ基とを含む1価の炭化水素基を表す。Mは、金属原子または半金属原子を表す。mは、金属原子または半金属原子Mの原子価を表す。nは1から(m−1)の整数を表す。なお、Xが複数ある場合、各Xは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  12. 前記金属または半金属の酸化物粒子が、前記空孔を形成するマトリックスの内壁面近傍に配置される、請求項11に記載の機能性膜。
  13. 前記炭化水素基が、少なくとも一つの第1級アミノ基と、少なくとも一つの第2級アミノ基と、芳香族炭化水素基とを含む1価の炭化水素基である、請求項11または12に記載の機能性膜。
  14. 前記炭化水素基が、式(2)で表される炭化水素基である、請求項11〜13のいずれかに記載の機能性膜。

    (式(2)中、Zは、少なくとも一つの第1級アミノ基と、少なくとも一つの第2級アミノ基とを含むアルキル基を表す。Lは、単結合、または、アルキレン基を表す。*は結合位置を示す。)
  15. 前記式(1)中のMで表される金属原子または半金属原子が、ケイ素、ジルコニウム、チタニウムおよびアルミニウムからなる群から選ばれる原子である、請求項11〜14のいずれかに記載の機能性膜。
  16. 前記金属または半金属の酸化物粒子の平均粒径が3〜50nmである、請求項11〜15のいずれかに記載の機能性膜。
  17. 前記マトリックスが、ポリオルガノシロキサンまたはポリオルガノチタニアサンである、請求項11〜16のいずれかに記載の機能性膜。
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