JPH11354324A - 積層インダクタ - Google Patents

積層インダクタ

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JPH11354324A
JPH11354324A JP10160513A JP16051398A JPH11354324A JP H11354324 A JPH11354324 A JP H11354324A JP 10160513 A JP10160513 A JP 10160513A JP 16051398 A JP16051398 A JP 16051398A JP H11354324 A JPH11354324 A JP H11354324A
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conductor
coil
shaped
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Yasuo Suzuki
靖生 鈴木
Noboru Kojima
暢 小島
Yoshinari Noyori
佳成 野寄
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  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 導体パターンの印刷ズレによるL値のばらつ
きを低減させると共に、導体パターン同士、或いは、導
体パターンと外部電極との接続を確実なものにして積層
インダクタの信頼性を向上させる。 【解決手段】 電気絶縁層1と導体パターン2を交互に
印刷・積層すると共に、各導体パターン2の端部を順次
接続して積層方向に重畳したコイルパターンを形成し、
このコイルパターンの始端と終端を外部電極3,3に接
続して積層インダクタを構成する。ここで、前記コイル
パターンは、U字形パターン2−2とI字形パターン2
−3との組み合わせで構成する。I字とU字の組み合わ
せであれば印刷ズレがコイル断面積に与える影響は少な
く、L値のばらつきは抑えられるため、コイルの特性は
安定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信機器等
の高周波回路に使用されるインダクタに関し、特に電気
絶縁層と導体パターンの積層工程を全てスクリーン印刷
により製造される積層インダクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子部品の小型化、薄型化傾向に
あって、インダクタ素子においても各種チップ型インダ
クタが使用されるようになってきた。このような、イン
ダクタ素子は従来のように巻線を使用せず、電気絶縁層
内に導体パターンによる周回コイルを形成して成る、所
謂、積層インダクタが注目されている。
【0003】上記周回コイルの形成方法として、セラミ
ックスをシート状に形成して行うシート積層法、或は、
電気絶縁層および内部導体の全てをスクリーン印刷によ
り形成する印刷積層法が公知であるが、これらの形成方
法の内、特に印刷積層法は、自動化が容易で量産に適し
ている等の理由から注目されており、性能、信頼性、或
いは価格等の面より様々な提案が成されている。例え
ば、特公昭60−50331号公報,特開平4−111
709号公報,特開平5−24644号公報,実開平6
−50312号公報等である。
【0004】以下に、従来公知の印刷積層法による周回
コイルの形成の内、特に代表的なものを説明する。
【0005】例えば、その1例として図6に示す方法が
ある。本図によれば、先ず、工程で所定の厚さまで誘
電体セラミックスパターン1−21を印刷・積層し、そ
の上に逆L字形の導体パターン2−21を印刷すること
により、コイルの半ターン分を形成する。次に、工程
でその下半面に誘電体セラミックスパターン1−22を
印刷し、工程で露出している導体パターン2−21の
1端に接続するように、新たなL字形の導体パターン2
−22を印刷して更にコイルの半ターン分を形成する。
以降、上記工程を繰り返して所定ターン数の周回コイル
を形成するものである。
【0006】また、その他の例として、図7に示すよう
にU字形パターンを交互に印刷して1/2ターンづつ印
刷・積層していく方法、或いは、図8に示すように窓部
を接続部として、3/4ターンづつ印刷・積層していく
方法等が知られており、何れの方法も図6の場合と同様
の工程を経てコイル形成を行うものである。
【0007】尚、このようにして形成されたコイルパタ
ーンの始端と終端が引出しパターンによって各々チップ
の外端に引き出され、その露出端部に図示しない外部電
極が接続される。ここで、上記した接続用の引き出しパ
ターンは、例えば、図10(a)、(b)、(c)に示
すように外部電極との接地面を広くした形状とされてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記印刷積
層方式にあっては、以下のような幾つかの問題点が残さ
れていた。
【0009】第一の点は、印刷精度に係わる問題であ
る。
【0010】例えば、図6による方法では、各導体パタ
ーンの印刷が横方向にズレを生じると、図9に示すよ
うに、L字の組合せで形成される周回コイルの断面積が
横方向に縮小し、コイルのインダクタンス値(L値)が
ばらつくという問題である。さらに、縦方向にもズレる
可能性がある。その場合、図9に示すように、さらに
コイルパターンに囲まれた面積が小さくなりL値が小さ
くなり、L値がばらつく原因となる。このうような印刷
ズレの発生しない高精度の位置決めを行うには、印刷
機、スクリーン、印刷条件等、様々な印刷要素を全て安
定に制御・維持する必要があるが、これは極めて困難な
作業である。しかも、このような印刷ズレは、図6によ
る方法のみならず、図7に示す方法においても、1/2
ターンコイルパターンではしばしば発生するものであ
る。特に、図8の場合では、窓部における導体パターン
同士の接続がコイルの幅方向となるため、接続の信頼性
に欠ける。
【0011】また、図7に示す1/2ターンU字形パタ
ーンを使用する方法では、チップが小型化しU字の縦棒
が短くなった場合には、コイル形状においてダレが発生
しやすく印刷精度が出しにくい角部の占める割合が多く
なり、精度の高い印刷ができなくなる。
【0012】また、内部導体を印刷する部分が先に印刷
した絶縁層より下部にある場合は、内部導体の印刷面が
谷底になるが、特に、チップが小型で印刷部分の面積が
小さいものにあっては、谷底部分の印刷の際に上部の絶
縁層が邪魔してスキージが効率よく作動できないため、
精度の良い印刷ができなくなる。
【0013】さらに、図8の方法では、各導体パターン
を接続するための窓枠の部分が印刷毎にコイルパターン
上を1/4づつ移動し、窓枠部により凸凹になるため、
精度の高い印刷が困難になる。また、インダクタが小型
になり窓枠部が0.15mm×0.15mm以下の極小
となった場合、印刷ができない。
【0014】第二の点は、コイルのQ値に係わる問題で
ある。
【0015】一般的に、コイルのQ値を高くするには内
部導体を厚く形成し、導体の抵抗を小さくする必要があ
る。内部導体を厚くするには同じ導体パターンを重ね印
刷(2度塗り)すれば良いが、これでは作業工程が複雑
化し、工数アップとなる。また、図7の形状で重ね印刷
した場合、同一面で印刷されるコイル形状が1/2と小
さいため、精度の高いコイル形状を維持することが難し
い。
【0016】第三の点は、内部導体と外部電極との接続
に係わる問題である。
【0017】外部電極との接続を確実なものにするた
め、引き出しパターンは既述した図10(a)〜(c)
のように、外部電極との接続部分Aの面積を広くした形
状とされているが、図示のように、接続部分Aに導体パ
ターンが直角に交わる形状であると、この直角部分に歪
みが残り易く、亀裂が発生する原因ともなる。また、図
10(b)、(c)のように、接続部分Aのパターンを
コイル側に接近させると、コイルと外部電極との間の浮
遊容量が大きくなり、共振周波数が下がり高周波特性が
悪化する。
【0018】本発明は、上記問題点を解消し、高位置精
度で且つQ値の高いコイル形成を実現した高品質の積層
インダクタを提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に記
載の本発明では、電気絶縁層(1)と導体パターン
(2)が交互に印刷・積層され、各導体パターン(2)
の端部が順次接続されて積層方向に重畳したコイルパタ
ーンが形成されると共に、該コイルパターンの始端およ
び終端が引き出しパターンにてチップ外端の外部電極
(3,3)に接続されて成る積層インダクタにおいて、
前記コイルパターンは、片端を長くして接続部(a1)
としたU字形パターン(2−2)と、このU字開放側に
配置され、片端を直角方向に曲げて接続部(a2)とし
たI字形パターン(2−3)とを交互に組み合わせて構
成した。
【0020】この様に、1ターンのコイルを形成する際
に、従来の1/2ターンのパターンを組み合わせるので
はなく、3/4ターンのU字と1/4ターンのI字を組
み合わせることにより、コイル形状が小型になってもU
字パターンは印刷精度を出しにくい角部の占める割合が
少ないため精度の高い印刷を行い易く、残りは形状が単
純で印刷がし易いI字とを組み合わせることにより、コ
イルのパターン精度が1/2ターンパターンの組み合わ
せより高くなる。さらに、3/4ターンのU字パターン
がコイル断面積をほぼ決定するため、断面積のバラツキ
も小さくなる。
【0021】また、請求項2に記載の本発明では、前記
I字形パターン(2−3)の導体幅を前記U字形パター
ン(2−2)の導体幅よりコイルパターンの外側方向に
太く形成した。
【0022】これにより、U字形パターン(2−2)と
I字形パターン(2−3)の接続を確実にしている。さ
らに、太くする方向を外側にすることにより、コイル断
面積を小さくしないようにしている。
【0023】また、請求項3に記載の本発明では、前記
I字形パターン(2−3)の接続部(a2)のみをコイ
ルパターンの外側方向に太く形成した。
【0024】これにより、U字形パターン(2−2)と
I字パターン(2−3)の接続を確実にしている。さら
に、太くする方向を外側にすることにより、コイル断面
積を小さくしないようにしている。
【0025】また、請求項4に記載の本発明では、前記
I字形パターン(2−3)の印刷用導体ペーストの組成
と、前記U字形パターン(2−2)の印刷用導体ペース
トの組成を各々パターン形状に合わせて違えた。
【0026】すなわち、U字形ペーストには形状が複雑
であるため良好な印刷精度が得られる高いメッシュ数の
スクリーンを使用するため、それに適した高粘度で導体
粒子の粒度分布がシャープなペーストにし、I字形ペー
ストは接続性を考慮した少し粘度の低めのペーストにす
る。
【0027】また、請求項5に記載の本発明では、前記
I字パターン(2−3)の印刷位置をU字方向に移動さ
せることによりコイルパターンの断面積を可変とし、L
値を変更可能とした。
【0028】これにより、専用の印刷スクリーンを作製
しなくても、I字パターンの移動により容易にL値を変
更できる。
【0029】また、請求項6に記載の本発明では、前記
導体パターン(2)はその接続部を除いて全て直前に印
刷された電気絶縁層(1)の上側に印刷されるように構
成した。
【0030】精度の良い印刷を行うには、印刷面が平ら
であることと、印刷面が一番上の層にあることが重要で
ある。もし、印刷面が谷にあると、スキージ圧力が不均
一となり、精度の高い印刷ができない。よって、主とし
て一番上の面に導体パターンを印刷することにより精度
の高い印刷が可能となる。すなわち、接続部は谷底にな
るが、コイル形状を決める大きな要因とはならず、印刷
面が重要である。
【0031】また、請求項7に記載の本発明では、電気
絶縁層(1)と導体パターン(2)が交互に印刷・積層
され、各導体パターン(2)の端部が順次接続されて積
層方向に重畳したコイルパターンが形成されると共に、
該コイルパターンの始端および終端が引き出しパターン
にてチップ外端の外部電極(3,3)に接続されて成る
積層インダクタにおいて、前記導体パターン(2)は、
U字形状部(2−12)と、このU字形状部(2−1
2)の片端よりU字開放側に形成されたI字形状部(2
−13)とで成り、前記コイルパターンは、同時に印刷
される導体パターン(2)が先に印刷された導体パター
ン(2)で前記電気絶縁層(1)により覆われていない
導体パターン(2)と、電気絶縁層(1)上に新たに印
刷する導体パターン(2)から成り、ほぼ1ターンを構
成するものである。
【0032】これにより、前回印刷した導体部分が2重
印刷となり、これを繰り返すことにより、通常の印刷回
数で導体厚が2倍に厚くなりQ値が向上する。図7の2
度塗りと異なるのは、印刷精度の出やすい大きなU字
と、印刷が容易なI字との組み合わせにより、従来の小
さなU字の組み合わせより、2度塗りしてもコイル精度
が高い。インダクタの外形が大きい時は従来の小さなU
字の組み合わせでも問題は無かったが、縦横が1.0m
m×0.5mm以下の極小チップでは大きな差となる。
【0033】また、請求項8に記載の本発明では、前記
重ね印刷で生ずる段差部(a3,a4)を通過する導体
パターンの幅をコイルパターンの外側に向けて広くし
た。これにより段差部の接続を確実にしている。さら
に、太くする方向を外側にすることにより、コイル断面
積を小さくしないようにしている。
【0034】また、請求項9に記載の本発明では、前記
引き出しパターンの導体をコイルパターンより厚く印刷
した。これにより、コイル導体の抵抗を低くしている。
【0035】また、請求項10に記載の本発明では、前
記引き出しパターンの導体幅が前記コイルパターンの外
側方向に徐々に広くなるように形成し、外部電極に接続
した。これにより、亀裂が無く、コイルと引き出し導体
の外部電極との接続部で浮遊容量を大きくしないで外部
電極への接続ができる。
【0036】また、請求項11に記載の本発明では、前
記電気絶縁層(1)の素材として低温焼結誘電体セラミ
ックスを使用した。これにより、高周波で使用しても高
いQ値を得ることが可能となる。
【0037】また、請求項12に記載の本発明では、前
記コイルパターンを形成する各々導体パターン(2)の
U字の開放部がチップの外部電極方向と直角の方向に向
けて印刷・積層される構成とした。これにより、導体パ
ターンの接続部が両外部電極側に同じように配置される
ため、チップの構造的なバランスが良くなる。
【0038】さらに、請求項13に記載の本発明では、
前記コイルパターンを形成する各々導体パターン(2)
のU字の開放部が外部電極(3,3)側に向けて印刷・
積層される構成とした。この場合、U字部分の縦棒を長
くすることにより コイル1ターンにおける直線部が占
める割合が多くなり、精度の良いコイルパターンが形成
できる。
【0039】
【発明の実施の形態】図1は、積層インダクタの外観を
示す斜視図である。積層インダクタは、電気絶縁層1と
導体パターン2を交互に印刷・積層して直方体状の積層
チップを形成し、積層される各々導体パターン2の端部
を順次接続することにより、前記電気絶縁層1内に積層
方向に重畳する周回コイルを形成すると共に、前記周回
コイルの始端と終端をチップの両端に引き出し、これら
に外部電極3,3を接続して構成されるものであって、
本発明では、前記周回コイルがU字形パターンとI字形
パターンの組み合わせにて成ることを基本構成としてい
る点に大きな特徴を有するものである。
【0040】本実施形態の積層インダクタは、セラミッ
クス系の電気絶縁素材として、例えば、ガラスを添加し
て低温焼結化した誘電体セラミックスが使用されてい
る。ここでは、ホウケイ酸ガラスをアルミナに体積で7
0:30の比率に混合した誘電体材料を使用し、これ
に、ビヒクルとしてエチルセルロースと分散剤、可塑剤
を混合したものを配合し混合して印刷のための誘電体ペ
ーストを作製した。
【0041】また、導体用として銀を用い、これに前記
ビヒクルを混合して導体ペーストを作製した。尚、バイ
ンダーとしてエチルセルロース以外でPVB、メチルセ
ルロースやアクリル樹脂を使用しても良い。また、導体
ペーストに銀パラジウムを使用しても良い。
【0042】次に、図2に示す工程図に基づいてコイル
パターン形成方法の第1実施形態を説明する。本実施形
態は、高位置精度のコイル形成を目的としたものであ
る。
【0043】先ず、工程では、誘電体ペーストによる
誘電体パターン1−1を繰り返し印刷・積層して所定厚
の電気絶縁層を形成し、さらに、この電気絶縁層上に導
体ペーストにてコイルの始端を外部電極(図示せず)に
引出すための導体パターン2−1を印刷する。
【0044】次に、工程では、前記導体パターン2−
1の一部をI字形に残して他の部分を誘電体パターン1
−2で覆う。
【0045】次に、工程では、前記導体パターン2−
1の露出終端部と接続するように新たなU字形の導体パ
ターン2−2を印刷する。本実施形態では、このU字形
パターン2−2の左端を長く形成して接続部a1として
いる。この接続部a1では、各導体パターン2−1,2
−2の端部が互いに直交する形となるから、接続は確実
に行える。
【0046】次に、工程では、誘電体パターン1−3
で導体パターン2−1のI字部分を覆う。
【0047】次に、工程では、露出している導体パタ
ーン2−2の終端部と接続するように新たなI字形の導
体パターン2−3を印刷する。本実施形態では、このI
字形パターン2−3の右端を幾分直角に曲げて接続部a
2としている。この時、I字形パターンをU字形パター
ンより幅広にしておくことにより、工程、工程にお
けるパターン接続時の信頼性を向上できる。また、I字
形パターンの幅は全体に渡って広くするのではなく、接
続部a2のみ広くしても良い。但し、幅を広げる方向
は、何れの場合も、コイルパターンの外側方向とする必
要がある。これは、従来のように、コイルパターンの幅
を内側と外側に向けて均等に広くするとコイル断面積が
小さくなり、L値の低下を招くためである。
【0048】次に、工程では、前記導体パターン2−
2をI字形に残して他の部分を誘電体パターン1−4で
覆う。この後、前記工程〜を繰り返し、所定巻数の
周回コイルを形成する。
【0049】次に、工程では、コイルの終端を工程
とは別の外部電極(図示せず)に引き出すための導体パ
ターン2−4を印刷する。
【0050】最後に、工程では、所定厚になるまで誘
電体パターンを繰り返し印刷・積層する。実際の工程に
おいては、上記コイルパターンを整列配置した多数個取
りの積層ブロックとして作製する。
【0051】以上のように、工程〜工程を経て作製
した積層ブロックをチップ単位に切断し、脱脂、焼成、
バリ取りの後、その両端に外部電極3,3を形成し、こ
れを焼き付け、メッキ処理をして図1に示すような積層
インダクタを作製する。
【0052】このように、本発明の第一実施形態による
コイル形成方法は、コイルパターンがU字形パターン2
−2とI字形パターン2−3の組み合わせで構成される
ため、I字とU字の印刷ズレで生じるコイル断面積のば
らつきは、コイルの3/4を構成するU字がコイル形状
を決定するため、従来の1/2ターンであるL字やU字
の組み合わせに比べて十分小さくでき、よって、L値の
ばらつきが少ない安定したコイル特性が得られる。
【0053】また、従来のように1ターンのコイルを1
/2にしたU字とは異なり、コイルの3/4ターンで形
成したU字はパターンに占める印刷ダレ等の問題が起こ
り易い角部の割合が小さく、高精度の印刷が可能とな
る。また、ここでは、I字の高精度印刷は容易であり、
いかにU字を精度良く印刷できるかが本発明のポイント
であり、3/4ターンU字のように直線部が多いパター
ンは良好なコイルの作製を可能にする。
【0054】また、U字形パターン2−2とI字形パタ
ーン2−3が、それぞれ別々に印刷されることから、各
々導体ペーストの組成(例えば、粘性)を変えて、それ
ぞれのパターン形状に合った最適な組成で印刷すること
により、印刷性をより向上させることができる。
【0055】例えば、U字パターンの導体ペーストの粘
度を高くすれば精度の高い印刷が可能となるが、印刷ペ
ーストの安定性は低くなるため、途中でペーストの入れ
換えを行う必要が出てくる場合がある。この時、入れ換
えはU字パターンペーストのみで良く、I字パターンペ
ーストは高い粘度のペーストを必要としないから、その
分工程が削減される。これが両方ともU字であると、両
パターンのペーストを変更する必要がある。
【0056】また、I字形パターン2−3の印刷位置を
U字方向(U字の縦方向)に移動させることにより、同
一パターンを使用したコイルパターンの断面積を任意に
且つ容易に変更できる。従って、L値の変更のために新
たな導体パターンを作る必要はない。
【0057】また、上記工程で示したように、本実施形
態では、導体パターンは接続部a1,a2を除いて全て
直前に印刷された電気絶縁層上に、換言すれば、常に最
上面に印刷されるようになっている。このように、導体
印刷が常に段差のある面の最上面に成されることによ
り、スキージが効率的に作動できるようになり、小型の
チップに対しても谷底印刷を余儀なくされた従来方式に
比べて高精度な印刷が可能となる。
【0058】さらに、印刷面に凸凹を形成する導体パタ
ーン同士の接続部a1,a2をI字形パターン2−3の
両端2個所にまとめることにより、コイルパターンの3
/4を占めるU字形パターン2−2部分を凸凹の無い平
らな面にすることができる。これにより精度の高い印刷
が可能となる。
【0059】以上、説明したコイルパターンの形成で
は、U字パターンの開放部がチップの外部電極方向と直
角の方向(チップの幅方向)に向けて幅広形状に印刷・
積層される場合を示したが、これに限定されるものでは
なく、勿論、U字パターンの開放部がチップの外部電極
3、3方向(チップの長手方向)に向けて縦長形状に印
刷・積層されるものであっても良い。
【0060】この場合、U字部分の縦棒を長くすること
により、前者のものに比べコイル1ターンにおけるU字
パターンにおいて直線部が占める面積の割合が増加し、
小型のチップであっても印刷性は良く、精度の高いコイ
ルパターンが形成できる。但し、本構成の場合は、導体
パターン2の接続部a1,a2が片側の外部電極3に偏
るため、構造的なバランスは良好でない。したがって、
前者の構成は構造的なバランスが良いことから特性が安
定し易く、後者は印刷精度が良好なことから小さな断面
積のコイル形成に優れている。よって、所望の特性に応
じて形成方法を選ぶことができる。図3に後者の場合の
方法を示すが、印刷工程は既述した図2の場合と同様で
あるので、ここでは説明を省略する。
【0061】次に、図4に示す工程図に基づいてコイル
パターン形成方法の第2実施形態を説明する。本実施形
態は、内部導体を2度塗りすることにより、Q値の高い
コイル形成を実現するものである。
【0062】先ず、工程では、所定の厚みになるまで
誘電体パターン1−11を繰り返し印刷・積層し、その
上に、外部電極(図示せず)に接続する導体パターン2
−11(コイル始端の引き出しパターン)を印刷する。
ここで、引き出し導体部分(後述する2度塗りにならな
い部分)の幅をコイルパターンの外側方向に広くする
か、或いは、印刷が厚くなるような別組成の導体ペース
トを用いて他の内部導体部分より厚く形成する。
【0063】次に、工程では、前記導体パターン2−
11をI字形に残して他の部分を誘電体パターン1−1
2で覆う。
【0064】次に、工程では、前記導体パターン2−
11の露出したI字形の部分に重ねるように新たな導体
パターンを印刷する。この時、前記誘電体パターン1−
12により生じる段差部分a3付近は1度塗りになるた
め、導体幅をコイルパターンの外側方向に広く形成する
ことにより段部の印刷を確実にでき、且つ、この部分の
導体抵抗を小さくできる。
【0065】ところで、前記導体パターンは、U字形状
部2−12とI字形状部2−13とで成る矩形状であっ
て、前記第一実施形態で述べたI字形パターンとU字形
パターンの組合せによる形状と基本的に同一である。
【0066】次に、工程では、誘電体パターン1−1
3で前記I字形状部2−13を覆う。
【0067】次に、工程では、露出した前記U字形状
部2−12に重ねるように、矩形状の導体パターンを印
刷する。このように、先に印刷した導体パターンの露出
部分も同時に重ねて印刷することにより、工程を増やさ
ずに導体部分を厚くすることができる。この時、前記同
様に段差部分a4の導体幅はコイルパターンの外側方向
に広く形成する。
【0068】次に、工程では、I字形状部2−13を
残して他の部分を誘電体パターン1−14で覆う。この
後、前記工程〜を繰り返し、所定巻数の周回コイル
を形成する。
【0069】次に、工程では、I字形状部2−13に
重ねるように工程とは別のもう一方の外部電極(図示
せず)に接続する導体パターン2−14(コイル終端の
引き出しパターン)を印刷する。ここで、工程と同
様、前記導体パターン2−14の内2度塗りされない部
分の導体幅を外側方向に広くするか、或いは導体ペース
トを変えて導体を厚く印刷する。
【0070】最後に、工程では、所定の厚みまで誘電
体パターン11−5を繰り返し印刷積層する。尚、作製
された積層ブロックはチップ単位に切断され、その両端
に外部電極3,3が形成されて、図1に示すような積層
インダクタが作製される。この過程は既述した第1実施
形態と同様である。
【0071】このように、本発明の第二実施形態による
コイル形成方法においては、内部導体を重ね印刷するこ
とにより導体抵抗を低くしてインダクタのQ値を改善し
ている。そして、本実施形態では、重ね印刷の形状をU
字形とI字形とに分けて、矩形コイルパターンの内の3
/4を占めるU字部分を同一面の印刷とすることによ
り、印刷時のパターン精度の向上を図っている。つま
り、形状の単純なI字パターンの印刷面は小さくても良
いが、U字パターンは大きな印刷面を確保することによ
り、1/2ターンにして角部を含んだパターンを重ね印
刷するより、I字とU字に分けてコイル断面積を支配す
るU字に印刷をし易い広い印刷面を与えた方が、単層の
印刷でも重ね印刷でも精度の高いパターン形成が可能と
なる。しかも、既述したように、コイルの精度を決定す
る重ね印刷の1度目は必ず絶縁層の最上面となるため、
コイル形状の安定性に優れる。
【0072】以上、第二実施形態で説明したコイルパタ
ーンの形成では、U字パターンの開放部がチップの外部
電極と直角の方向(チップの幅方向)に向けて印刷・積
層される場合を示したが、これに限定されるものではな
く、勿論、U字パターンの開放部がチップの外部電極方
向(チップの長手方向)に印刷・積層されるものであっ
ても良い。図5に、この場合のコイル形成方法を示す
が、印刷工程は既述した図4の場合と同様であるので、
説明は省略する。
【0073】次に、導体パターンと外部電極との接続に
ついて説明する。
【0074】既述した図10の従来例では、外部電極と
の接地部分Aが直角形状であるのに対し、本発明では、
第一実施形態に示す図2の、、或いは第二実施形態
に示す図4の、のように、外部電極側(図示せず)
に引き出される導体パターンの幅が接地部分A1,A2
において、コイルの外側方向に徐々に広くなるように形
成されている。
【0075】接地部分A1,A2の導体幅を徐々に広く
していくことにより、角部に掛かる応力が緩和され亀裂
等が生じ難くなるため、外部電極との接続の信頼性は極
めて高くなる。また、幅広部をコイルの外側方向のみに
形成することにより、浮遊容量を極力小さくすることが
できる。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
本発明によれば、U字形パターンとI字形パターンの組
み合わせによりコイルパターンを構成したので、I字と
U字の印刷ズレによるコイル断面積のばらつきは従来の
L字や1/2ターンU字の組み合わせの場合に比べて十
分小さくでき、よって、L値のばらつきが少ない安定し
たコイル特性が得られる。
【0077】また、請求項2または請求項3に記載の本
発明によれば、I字形パターンの導体幅をU字形パター
ンの導体幅よりコイルパターンの外側方向に太く形成し
たので、I字とU字の接続は確実となり、信頼性が向上
する。しかも、コイルパターンの外側方向に広げること
により、コイル断面積は縮小されないからL値は低下し
ない。また、パターン幅の拡張は接続部のみとしても良
い。
【0078】また、請求項4に記載の本発明では、I字
形パターンとU字形パターンとで、各々パターン形状に
合わせて導体ペーストの組成を変えることができ、印刷
性が向上し特にU字形では角ダレの無い高精度の印刷が
行えるためコイル形状が安定する。
【0079】また、請求項5に記載の本発明では、I字
パターンの印刷位置をU字方向に移動させることにより
コイルパターンの断面積を可変とし、L値を変更可能と
したので、新たな導体パターン作ることなく任意のL値
が簡単に実現できる。
【0080】また、請求項6に記載の本発明では、導体
パターンは、その接続部を除いて全て直前に印刷された
電気絶縁層の上側に印刷されるように構成したので、従
来方式における谷底印刷のように印刷の際にスキージが
既に印刷された絶縁層に邪魔されることなく効率的に作
動できるようになり、高精度の印刷が可能となる。
【0081】また、請求項7に記載の本発明では、コイ
ルパターンは、U字形状部とI字形状部とによる導体パ
ターンを、露出している前記U字形状部あるいはI字形
状部に重ね印刷するようにしたので、新たな導体パター
ンの印刷と同時に、先の印刷パターンが順次重ね印刷さ
れていくため、重ね印刷による工数増は発生しない。し
かも、この場合、導体パターンの内の3/4を占めるU
字形状部が同一面の印刷となるから、重ね印刷の位置精
度は極めて良好である。
【0082】また、請求項8に記載の本発明では、前記
重ね印刷で生ずる段差部を通過する導体パターンの幅を
コイルパターンの外側に向けて広くしたので、段差部の
印刷を確実にでき、且つ、この部分の導体抵抗を小さく
できる。しかも、パターン幅の拡張がコイルパターンの
外側方向であるからコイル断面積は小さくならない。
【0083】また、請求項9に記載の本発明では、前記
重ね印刷において、引き出しパターンの導体厚をコイル
パターンより厚く印刷したので、重ね印刷されない前記
引き出しパターン部分もコイルパターンと同様に導体抵
抗を小さくでき、Q値を高くできる。
【0084】また、請求項10に記載の本発明では、引
き出しパターンの導体幅をコイルパターンの外側方向に
徐々に広くなるように形成したので、接地部分の角部に
加わる応力が緩和され亀裂等が生じ難くなるため、外部
電極との接続の信頼性は極めて高くなる。また、幅広部
をコイルの外側方向のみに形成することにより、内部コ
イルとの間の浮遊容量を極力小さくできる。
【0085】また、請求項11に記載の本発明では、電
気絶縁層として低温焼結誘電体セラミックスを使用した
ので、線間浮遊容量を減少させることができ、高周波帯
域での使用が可能となる。また、低温焼成が可能である
ため、積層インダクタの作製が容易となる。
【0086】また、請求項12に記載の本発明では、コ
イルパターンを形成する各々導体パターンのU字の開放
部がチップの外部電極と直角の方向に向くように印刷・
積層したので、導体パターンの接続部が両外部電極側に
同じように配置されるため構造的なバランスが良く、特
性が安定する。
【0087】さらに、請求項13に記載の本発明では、
コイルパターンを形成する各々導体パターンのU字の開
放部が外部電極側に向くように印刷・積層したので、U
字を長くすることにより、コイル1ターンにおいて直線
部が占める割合が多くなり角部の印刷ダレを少なくでき
るから、小型チップにおいても印刷性は良く、精度の良
いコイルパターンが形成できる。したがって、特にL値
の公差が厳しいチップに有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層インダクタの外観斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る積層インダクタの
コイル形成方法を示す工程図である。
【図3】同、図2とは別の積層インダクタのコイル形成
方法を示す工程図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る積層インダクタの
コイル形成方法を示す工程図である。
【図5】同、図4とは別の積層インダクタのコイル形成
方法を示す工程図である。
【図6】従来の積層インダクタのコイル形成方法を示す
工程図である。
【図7】同、図6とは別の積層インダクタのコイル形成
方法を示す工程図である。
【図8】同、図7とは別の積層インダクタのコイル形成
方法を示す工程図である。
【図9】コイルパターンの印刷ズレを示す平面図であ
る。
【図10】外部電極へ引き出される導体パターンを示す
平面図である。
【符号の説明】
1 電気絶縁層 2 導体パターン 2−2 U字形パターン 2−3 I字形パターン 2−12 U字形状部 2−13 I字形状部 3 外部電極 a1,a2 接続部 a3,a4 段差部

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁層(1)と導体パターン(2)
    が交互に印刷・積層され、各導体パターン(2)の端部
    が順次接続されて積層方向に重畳したコイルパターンが
    形成されると共に、該コイルパターンの始端および終端
    が引き出しパターンにてチップ外端の外部電極(3,
    3)に接続されて成る積層インダクタにおいて、 前記コイルパターンは、片端を長くして接続部(a1)
    としたU字形パターン(2−2)と、このU字開放側に
    配置され、片端を直角方向に曲げて接続部(a2)とし
    たI字形パターン(2−3)を交互に組み合わせて構成
    されていることを特徴とする積層インダクタ。
  2. 【請求項2】 前記I字形パターン(2−3)の導体幅
    が前記U字形パターン(2−2)の導体幅よりコイルパ
    ターンの外側方向に太く形成されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の積層インダクタ。
  3. 【請求項3】 前記I字形パターン(2−3)の接続部
    (a2)のみがコイルパターンの外側方向に太く形成さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の積層インダ
    クタ。
  4. 【請求項4】 前記I字形パターン(2−3)の印刷用
    導体ペーストの組成と、前記U字形パターン(2−2)
    の印刷用導体ペーストの組成が各々パターン形状に合わ
    せて違えてあることを特徴とする請求項1から請求項3
    までの何れかに記載の積層インダクタ。
  5. 【請求項5】 前記I字パターン(2−3)の印刷位置
    をU字方向に移動させることによりコイルパターンに囲
    まれた面積を可変し、L値を変更可能としたことを特徴
    とする請求項1から請求項4までの何れかに記載の積層
    インダクタ。
  6. 【請求項6】 前記導体パターン(2)は、その接続部
    を除いて全て直前に印刷された電気絶縁層(1)の上側
    に印刷されていることを特徴とする請求項1から請求項
    5までの何れかに記載の積層インダクタ。
  7. 【請求項7】 電気絶縁層(1)と導体パターン(2)
    が交互に印刷・積層され、各導体パターン(2)の端部
    が順次接続されて積層方向に重畳したコイルパターンが
    形成されると共に、該コイルパターンの始端および終端
    が引き出しパターンにてチップ外端の外部電極(3,
    3)に接続されて成る積層インダクタにおいて、 前記導体パターン(2)は、U字形状部(2−12)
    と、このU字形状部(2−12)の片端よりU字開放側
    に形成されたI字形状部(2−13)とで成り、 前記コイルパターンは、同時に印刷される導体パターン
    (2)が先に印刷された導体パターン(2)で前記電気
    絶縁層(1)により覆われていない導体パターン(2)
    と、電気絶縁層(1)上に新たに印刷する導体パターン
    (2)から成り、ほぼ1ターンを構成するものであるこ
    とを特徴とする積層インダクタ。
  8. 【請求項8】 前記重ね印刷で生ずる段差部(a3,a
    4)を通過する導体パターンの幅をコイルパターンの外
    側に向けて広くしたことを特徴とする請求項7に記載の
    積層インダクタ。
  9. 【請求項9】 前記引き出しパターンの導体厚が前記コ
    イルパターンより厚く印刷されていることを特徴とする
    請求項7または請求項8に記載の積層インダクタ。
  10. 【請求項10】 前記引き出しパターンの導体幅が外部
    電極(3,3)に近づくにつれ、前記コイルパターンの
    外側方向に徐々に広くなるように形成されて外部電極
    (3,3)に接続されていることを特徴とする請求項1
    から請求項9までの何れかに記載の積層インダクタ。
  11. 【請求項11】 前記電気絶縁層(1)の素材が低温焼
    結誘電体セラミックスであることを特徴とする請求項1
    から請求項10までの何れかに記載の積層インダクタ。
  12. 【請求項12】 前記コイルパターンを形成する各導体
    パターン(2)のU字の開放部がチップの外部電極方向
    と直角の方向に向くように印刷・積層されていることを
    特徴とする請求項1から請求項11までの何れかに記載
    の積層インダクタ。
  13. 【請求項13】 前記コイルパターンを形成する各導体
    パターン(2)のU字の開放部が外部電極(3,3)側
    に向くように印刷・積層されていることを特徴とする請
    求項1から請求項11までの何れかに記載の積層インダ
    クタ。
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