JP2010287722A - 電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚膜導電材料を使用して導体パターンを形成した場合であっても、設計自由度の低下を招くことなく、主導体部にうねりや断線が発生するのを回避することが可能な信頼性に優れた電子部品を実現する。
【解決手段】第7の層間絶縁層5gの表面にはコイル状に巻回された幅寸法W′の第6の主導体部7fが形成されると共に、該第7の層間絶縁層5gの一端部には第6の主導体部7fの幅寸法W′よりも大きな幅寸法Wを有する引出導体部9aが形成されている。引出導体部9aと第6の主導体部7fとは、内縁が曲げ半径Rを有する円弧状に形成された接続部10aにより、引出導体部9aから第6の主導体部7fに架けて徐々に細くなるように接続されている。第6の主導体部7fの端部には、該第6の主導体部7fよりも幅広に形成された長方形状の応力緩衝部11aが形成されている。
【選択図】図4
【解決手段】第7の層間絶縁層5gの表面にはコイル状に巻回された幅寸法W′の第6の主導体部7fが形成されると共に、該第7の層間絶縁層5gの一端部には第6の主導体部7fの幅寸法W′よりも大きな幅寸法Wを有する引出導体部9aが形成されている。引出導体部9aと第6の主導体部7fとは、内縁が曲げ半径Rを有する円弧状に形成された接続部10aにより、引出導体部9aから第6の主導体部7fに架けて徐々に細くなるように接続されている。第6の主導体部7fの端部には、該第6の主導体部7fよりも幅広に形成された長方形状の応力緩衝部11aが形成されている。
【選択図】図4
Description
本発明は電子部品に関し、より詳しくは厚膜導電材料を使用して形成されるコイル部品、LC複合部品、多層機能部品等の電子部品に関する。
従来より、コイルパターンを内蔵した積層型電子部品としては、特許文献1に記載されているように、絶縁基板と、該絶縁基板上に複数の絶縁樹脂層と複数の導体パターンとを交互に積層した積層体と、前記導体パターンの引出電極部に接続され、前記積層体の側面から前記絶縁基板の側面にわたって形成された外部電極とを備えた電子部品が知られている。
この種の積層型電子部品では、図11に示すように、主導体部(コイル導体)101が、絶縁層102の端部に形成された引出導体部103を介して外部電極に電気的に接続されている。また、引出導体部103の幅寸法wは、引出導体部103と外部電極との接続信頼性を確保するために、主導体部101の幅寸法w′よりも大きく形成され、主導体部101と引出導体部103とはL字状に接続されている。
しかしながら、特許文献1のような従来の積層型電子部品は、引出導体部103が主導体部101に対し非対称構造とされているため、厚膜導電材料を使用して導体パターンを形成しようとした場合、焼成処理時の熱収縮差によって応力が発生し、このため引出導体部103に接続される主導体部101の端部近傍でうねりや断線が生じるおそれがある。
また、この種の従来の積層型電子部品では、通常、主導体部101及び引出導体部103が一体化された内部電極を形成し、その後に外部電極用導電性ペーストを塗布して焼成し、これにより外部電極が形成される。
しかしながら、この場合、外部電極の焼結によって内部電極が外部電極側に引っ張られ、これによってもうねりが発生し、主導体部が断線するおそれがある。
一方、図12に示すように、引出導体部103を絶縁層102の端面略中央部に形成し、該引出導体部103を主導体部101に対して対称構造とすることにより、焼成処理時の熱収縮差による応力が発生するのを防ぐことができ、これにより引出導体部103近傍の主導体部101にうねりや断線が生じるのを回避することが可能である。
しかしながら、引出導体部103を主導体部101に対して対称構造とするためには、主導体部101の端部をL字状に屈曲させなければならず、したがって、コイルとして使用できる有効面積が小さくなり、設計自由度が低下するという問題点が新たに生じる。
すなわち、図11に示すように、引出導体部103と主導体部101とをL字状に接続した場合は、引出導体部103は、主導体部101に対し非対称構造であるため、コイルの有効面積は、a部に示すように比較的大きくすることが可能である。
しかしながら、図12に示すように、引出導体部103を主導体部101に対し、対称構造となるように形成した場合は、上述したうねりや断線が生じるのを回避できるものの、主導体部101の端部を屈曲させなければならず、このためコイルの有効面積は、b部に示すように、非対称構造の図10に比べて小さくせざるを得ず、設計自由度が低下する。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、厚膜導電材料を使用して導体パターンを形成した場合であっても、設計自由度の低下を招くことなく、主導体部にうねりや断線が発生するのを回避することが可能な信頼性に優れた電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る電子部品は、内部電極が、線状に形成された主導体部と、線幅が前記主導体部よりも大きく形成された引出導体部とを有し、前記内部電極が絶縁層に埋設されると共に、前記引出導体部が外部電極に電気的に接続された電子部品において、前記引出導体部と前記主導体部とは、前記引出導体部から前記主導体部に架けて線幅が徐々に狭くなるように接続部を介して電気的に接続され、かつ、応力緩衝部が、前記引出導体部と接続される前記主導体部の端部に形成されていることを特徴としている。
また、本発明の電子部品は、前記接続部は、内縁が円弧状、傾斜状、及びこれらの組み合わせのいずれかに形成されていることを特徴としている。
また、本発明の電子部品は、前記応力緩衝部が、長方形状に形成されると共に、前記主導体部と直交する幅寸法は、前記主導体部の幅寸法の1.5倍以上であって且つ前記引出導体部の幅寸法の1/4以上に形成され、かつ、前記主導体部と平行する長さ寸法は、前記引出導体部の長さ寸法の1.5倍以上であることを特徴としている。
さらに、本発明の電子部品は、前記応力緩衝部が、多角形状、円形状及び楕円形状のうちのいずれかの形状に形成されていることを特徴としている。
また、本発明の電子部品は、前記主導体部が、前記絶縁層を介して複数積層されると共に、前記絶縁層を貫通するビアホールを介して電気的に接続され、コイル状に巻回されていることを特徴としている。
上記電子部品によれば、引出導体部と主導体部とは、前記引出導体部から前記主導体部に架けて線幅が徐々に狭くなるように接続部を介して電気的に接続され、かつ、応力緩衝部が、前記引出導体部と接続される前記主導体部の端部に形成されているので、感光性導電性ペースト等の厚膜導電材料を使用して焼成した場合であっても、焼成処理時の熱収縮差により発生する応力を緩和することができ、主導体部端部近傍でのうねりや断線の発生を回避することができる。したがって、外部電極と内部電極との接続信頼性と主導体部の有効面積を確保しつつ、うねりや断線を防止することができ、設計自由度を低下させることなく、信頼性に優れた電子部品を得ることができる。
また、前記接続部は、内縁が円弧状、傾斜状、及びこれらの組み合わせのいずれかに形成されているので、上記作用効果を容易に奏することができる。
前記応力緩衝部が、多角形状、円形状及び楕円形状のうちのいずれかの形状に形成されていてもよく、長方形状に形成された場合は、前記主導体部と直交する幅寸法は、前記主導体部の幅寸法の1.5倍以上であって且つ前記引出導体部の幅寸法の1/4以上に形成され、かつ、前記主導体部と平行する長さ寸法は、前記引出導体部の長さ寸法の1.5倍以上とすることにより、確実に上記作用効果を得ることができる。
また、前記主導体部が、前記絶縁層を介して複数積層されると共に、前記絶縁層を貫通するビアホールを介して電気的に接続され、コイル状に巻回されているので、感光性導電性ペースト等の厚膜導電材料を使用して焼成した場合であっても、設計自由度の低下を招くことなく、信頼性に優れた積層コイル部品等の各種電子部品を得ることができる。
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき詳説する。
図1は本発明に係る電子部品としての積層コイル部品の一実施の形態を示す斜視図であって、この積層コイル部品は、部品素体1と該部品素体1の両端部に形成された一対の外部電極2a、2bとを備えている。
図2は図1のA−A断面図である。
部品素体1は、基板3と保護層4との間に層間絶縁層5が介装され、該層間絶縁層5に内部電極6が埋設されている。
本実施の形態では、層間絶縁層5は7層構造とされ、表面に第1〜第6の主導体部7a〜7fが形成された第1〜第7の層間絶縁層5a〜5gが積層焼結されている。そして、図3に示すように、第1〜第6の主導体部7a〜7fは第1〜第6のビアホール8a〜8fを介してコイル状に巻回されて端部が引出導体9a、9bに接続されている。そして、第1〜第6の主導体部7a〜7f、第1〜第6のビアホール8a〜8f、及び引出導体9a、9bで内部電極6を形成し、引出導体9a、9bが外部電極2a、2bに電気的に接続されている。
図4は、最上層の第7の層間絶縁層5gの平面図である。
すなわち、第7の層間絶縁層5gの表面にはコイル状に巻回された幅寸法W′の第6の主導体部7fが形成されると共に、該第7の層間絶縁層5gの一端部には第6の主導体部7fの幅寸法W′よりも大きな幅寸法Wを有する引出導体部9aが形成されている。そして、引出導体部9aと第6の主導体部7fとは、接続部10aを介して接続されている。すなわち、接続部10aは、内縁が曲げ半径Rを有する円弧状に形成され、引出導体部9aから第6の主導体部7fに架けて徐々に細くなるように、引出導体部9aと第6の主導体部7fとを接続している。さらに、第6の主導体部7fの端部には、該第6の主導体部7fよりも幅広に形成された長方形状の応力緩衝部11aが形成されている。
このように本実施の形態では、引出導体部9aと第6の主導体部7fとは、引出導体部9aから第6の主導体部7fに架けて線幅が徐々に狭くなるように接続部10aを介して電気的に接続され、かつ、応力緩衝部11aが、引出導体部9aと接続される第6の主導体部7fの端部に形成されているので、感光性導電性ペースト等の厚膜導電材料を使用して焼成した場合であっても、焼成処理時の熱収縮差により発生する応力を緩和することができ、主導体部端部近傍でのうねりや断線の発生を回避することができる。
すなわち、〔発明が解決しようとする課題〕の項でも述べたように、コイルの有効面積を確保する観点から、通常、引出導体部9aは、第6の主導体部7fとの間の距離が短くなるように、第6の主導体部7fに対し非対称構造に形成される。このため厚膜電極材料を使用して第7の層間絶縁層5gの表面に第6の主導体部7f及び引出導体部9aを形成した場合、焼成時の熱収縮力の差に起因して応力が発生し、引出導体部9a近傍の第6の主導体部7fにうねりや断線が生じるおそれがある。しかも外部電極2aの焼結により、内部電極6が引っ張られるため、うねりが生じた部分が断線するおそれがある。
そして、このようなうねりや断線の発生を回避するためには、熱収縮による応力を緩和する必要があり、そのためには、引出導体部9aと第6の主導体部7fとを、引出導体部9aから第6の主導体部7fに架けて徐々に狭くなるように接続させる必要がある。
このため本実施の形態では、接続部10aの内縁を曲げ半径Rの円弧状としている。
しかしながら、この場合、曲げ半径Rを大きくすればするほど、応力緩和には効果的であるが、その一方で曲げ半径Rを大きくすると、コイルに使用することのできる有効面積が小さくなる。
そこで、本実施の形態では、接続部10aの内縁をコイルの有効面積が小さくならない程度の曲げ半径Rを有する円弧状とする一方、第6の主導体部7fの端部に該第6の主導体部7fの幅寸法W′より大きな応力緩衝部11aを設け、これにより外部電極2aと内部電極6との接続信頼性とコイル配線に使用できる有効面積を確保しつつ、焼成時の熱収縮差による応力発生を緩和している。すなわち、本実施の形態によれば、厚膜導電材料を使用して層間絶縁層上に主導体部及び引出導体部を形成しても、うねりや断線の発生を効果的に防止することができ、設計自由度を低下させることなく、信頼性に優れた電子部品を得ることができる。
尚、この応力緩衝部11aは、焼成処理時の熱収縮による応力を緩和できるのであれば、その大きさは特に限定されるものではないが、この実施の形態のように長方形状に形成する場合は、幅寸法W″を、前記主導体部の幅寸法W′の1.5倍以上、且つ引出導体部9aの幅寸法Wの1/4以上とし、長さ寸法L″を、引出導体部9aの長さ寸法Lの1.5倍以上とするのが好ましい。例えば、引出導体部9aの幅寸法Wが60μm、長さ寸法Lが20μm、第6の主導体部7fの幅寸法W′が10μmの場合、応力緩衝部11aの幅寸法W″は15μm以上、長さ寸法L″30μm以上が好ましく、応力緩衝部11aをこのような大きさとすることにより、接続部10aの内縁形状と相俟って焼成時の熱収縮差を効果的に緩和することができ、これにより第6の主導体部7fの端部付近のうねりや断線の発生を効果的に防止することができる。
尚、上記実施の形態では、一方の引出導体9aと第6の主導体部7fの接続構造について説明したが、他方の引出導体9bと第1の主導体部7aについても同様であり、説明を省略する。
図5は本実施の形態の第1の変形例であって、この第1の変形例では、応力緩衝部12aが、第6の主導体部6fの上部に形成されている。
図6は本実施の形態の第2の変形例であって、この第2の変形例では、応力緩衝部13aが、主導体部6fの下部に形成されている。
応力緩衝部は、焼成時の熱収縮差による応力を緩和するものであり、主導体部の端部に該主導体部の幅寸法W′よりも幅広の領域を有するように形成されていればよく、したがって第1の変形例や第2の変形例のような形状でもよく、その他の多角形形状(五角形形状、六角形形状等)、円形状、楕円形状であってもよい。
尚、上記積層コイル部品は、周知のフォトリソグラフィ技術を使用して以下のように容易に製造することができる。
すなわち、例えば、基板3上に感光性絶縁ペーストを塗布し、露光して前記感光性絶縁ペーストを硬化させ、その後十分に脱脂した後、焼成し、第1の層間絶縁層5aを形成する。
次いで、この第1の層間絶縁層5a上に前記感光性導電ペーストを塗布して乾燥させた後、所定パターンのフォトマスクを介して露光し、その後現像して前記所定パターンに相当する部分の感光性導電ペーストを除去し、次いで、上述と同様、十分に脱脂した後、焼成し、これにより第1の主導体部6a、接続部10b、及び引出導体部9bを形成する。
次いで、第1の層間絶縁層5a上に感光性絶縁ペーストを塗布して乾燥させ、ビアホール形成用のフォトマスクを介して露光し、その後現像してビアホール形成領域の感光性絶縁ペーストを除去する。次いで、上述と同様、十分に脱脂した後、焼成し、これによりビアホール用孔を有する第2の層間絶縁層5bを形成する。
次いで、ビアホール用孔が充填されるように第2の層間絶縁層5b上に感光性導電ペーストを塗布し、乾燥させた後、所定パターンのフォトマスクを介して露光し、その後現像して所定パターンに相当する部分の感光性導電ペーストを除去し、次いで、上述と同様、十分に脱脂した後、焼成し、これにより第2の主導体部6bを形成する。
このようにして上述した感光性絶縁ペーストの塗布・乾燥→露光・現像→脱脂・焼成→感光性導電ペーストの塗布・乾燥→露光・現像→脱脂・焼成の各処理を所定回数繰り返し、さらにガラス材を塗布して乾燥させ、焼成を行なって保護層4を形成し、これにより部品素体1を作製する。
そして、最後に部品素体1の両端部にAgペースト等の外部電極用導電性ペーストを塗布し、焼き付け、これにより上記積層コイル部品を作製することができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、接続部10a、10bは内縁が円弧状に形成されているが、引出導体部9a、9bから主導体部7f、7aに架けて線幅が徐々に小さくなればよく、例えば傾斜状、或いは円弧状と傾斜状の組み合わせでもよい。
また、本発明の適用可能な電子部品についても、積層コイル部品に限定されるものではなく、引出導体部を有する電子部品、例えば、LC複合部品、多機能部品等に広く適用できるのはいうまでもない。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
まず、以下の成分を含有した感光性導電ペースト及び感光性絶縁ペーストを用意した。
〔感光性導電ペースト〕
(1)導電性粉末…Ag(平均粒径2.3μm、比表面積0.44m3/g、タップ密度5.0g/cm3)
(2)アクリル系共重合体…メタクリル酸とメタクリル酸メチルとの共重合体
(3)感光性モノマー…ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
(4)光重合開始剤…2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モノフォリノプロパン−1−オン、2,4−ジジエチルチオキサンソン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−0−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1
(5)チクソ剤…水添ひまし油
(6)分散剤…ポリマレイン酸系界面活性剤
(7)消泡剤…アクリル共重合体/キシレン
〔感光性絶縁ペースト〕
(1)絶縁性粉末…硼珪酸ガラス、低融点ガラス、クォーツフィラー、石英ガラスフィラー
(2)アクリル系共重合体…メタクリル酸とメタクリル酸メチルとの共重合体
(3)感光性モノマー…エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントアクリレート
(4)光重合開始剤…2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モノフォリノプロパン−1−オン、2,4−ジジエチルチオキサンソン
(5)チクソ剤…水添ひまし油
(6)分散剤…ポリマレイン酸系界面活性剤
(7)消泡剤…アクリル共重合体/キシレン
(8)光散乱防止剤…黄色染料
次に、厚みが0.15mのアルミナ基板上に感光性絶縁ペーストを塗布し乾燥させた後、露光して前記感光性絶縁ペーストを硬化させ、その後十分に脱脂した後、昇温速度80℃/分、最高焼成温度815℃で40分間焼成し、第1の層間絶縁層を形成した。
(1)導電性粉末…Ag(平均粒径2.3μm、比表面積0.44m3/g、タップ密度5.0g/cm3)
(2)アクリル系共重合体…メタクリル酸とメタクリル酸メチルとの共重合体
(3)感光性モノマー…ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
(4)光重合開始剤…2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モノフォリノプロパン−1−オン、2,4−ジジエチルチオキサンソン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−0−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1
(5)チクソ剤…水添ひまし油
(6)分散剤…ポリマレイン酸系界面活性剤
(7)消泡剤…アクリル共重合体/キシレン
〔感光性絶縁ペースト〕
(1)絶縁性粉末…硼珪酸ガラス、低融点ガラス、クォーツフィラー、石英ガラスフィラー
(2)アクリル系共重合体…メタクリル酸とメタクリル酸メチルとの共重合体
(3)感光性モノマー…エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントアクリレート
(4)光重合開始剤…2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モノフォリノプロパン−1−オン、2,4−ジジエチルチオキサンソン
(5)チクソ剤…水添ひまし油
(6)分散剤…ポリマレイン酸系界面活性剤
(7)消泡剤…アクリル共重合体/キシレン
(8)光散乱防止剤…黄色染料
次に、厚みが0.15mのアルミナ基板上に感光性絶縁ペーストを塗布し乾燥させた後、露光して前記感光性絶縁ペーストを硬化させ、その後十分に脱脂した後、昇温速度80℃/分、最高焼成温度815℃で40分間焼成し、第1の層間絶縁層を形成した。
次いで、第1の層間絶縁層上に前記感光性導電ペーストを塗布して乾燥させた後、所定パターンのフォトマスクを介して露光し、その後現像して前記所定パターンに相当する部分の感光性導電ペーストを除去し、次いで上述と同様、十分に脱脂した後、焼成し、これにより引出導体部、接続部、及び第1の主導体部を形成した。
次いで再び、第1の層間絶縁層上に感光性絶縁ペーストを塗布し乾燥させた後、ビアホール形成用のフォトマスクを介して露光し、その後現像してビアホール形成領域の感光性絶縁ペーストを除去した。次いで、上述と同様、十分に脱脂した後、焼成し、ビアホール用孔を有する第2の層間絶縁層を形成した。
次いで、第2の層間絶縁層上に感光性導電ペーストを塗布し乾燥させた後、所定パターンのフォトマスクを介して露光し、その後現像して所定パターンに相当する部分の感光性導電ペーストを除去し、その後、上述と同様、十分に脱脂した後、焼成し、これにより第2の主導体部を形成した。
このようにして上述した感光性絶縁ペースト塗布→露光・現像→脱脂・焼成→感光性導電ペースト塗布→露光・現像→脱脂・焼成の各処理を所定回数繰り返し、さらに硼珪酸ガラス絶縁ペーストを塗布して乾燥させ、その後、焼成を行なって部品素体を形成した。
その後、部品素体の両端部にAgペーストを塗布し、焼き付け、これにより7層構造を有する縦:0.6mm、横:0.3mm、厚み:0.3mmの実施例試料を作製した。
図7は、上記実施例試料の最上層の引出導体部と主導体部の接続構造を示す平面図である。
実施例試料は、引出導体部が線幅W:60μm、長さL:20μm、主導体部が線幅W′:10μm、接続部の曲げ半径R:70μmであった。また、引出導体部の端面からの距離Dが40μmの位置から長さ寸法L″:70μmで、幅W″:15μmの応力緩衝部が形成されている。また、層間絶縁層の厚みは11μm、ビアホールの直径は50μmであり、主導体部の線間隔は24μm、厚みは6μmの3ターン構造であった。
また、上述と同様の方法・手順により比較例1及び2の試料を作製した。
図8は比較例1の最上層における内部電極の要部平面図であって、この比較例1は、実施例と同様、曲げ半径Rが70μmの接続部により引出導体部と主導体部とが接続されているが、応力緩衝部が形成されていない。
図9は比較例2の最上層における内部電極の要部平面図であって、この比較例2は、線幅W:60μm、長さL:20μmの引出導体部と、線幅W′:10μmの主導体部とがL字状に接続され、円弧状の接続部や応力緩衝部が設けられていない。
次に、実施例、比較例1、比較例2の試料各1000個について、うねり発生率及び断線発生率を測定した。
すなわち、各試料を樹脂で固めた後、平面を内部電極が露出するまで研磨し、図10に示す寸法tを測定した。そして、寸法tが、線幅W′に対し50%以上小さくなった試料をうねりが発生していると判断し、その個数を計数してうねり発生率を求めた。
同様に、各試料を樹脂で固めた後、平面を内部電極が露出するまで研磨し、引出導体部で断線が生じているか否かを確認し、断線発生率を測定した。
表1は、その測定結果を示している。
この表1から明らかなように比較例2は、円弧状の接続部も応力緩衝部も形成されていないため、うねり発生率が97.7%、断線発生率が2.3%であり、特に、うねり発生率は97.7%と高いことが分かった。これは、線幅の大きい引出導体部と線幅の小さい主導体部とがL字状に接続されているため、焼成時の熱収縮差の影響が大きく、その結果うねり発生率が極端に高くなったものと思われる。
また、比較例1は、うねり発生率が22.4%、断線発生率が0.5%であり、比較例2に比べると改善されたが、未だ不十分であった。そして、うねりや断線が生じた個所を調べたところ、引出導体部の端面からの距離Dが47〜107μmの位置で発生していることが分かった。
これに対し実施例は、比較例1でうねりや断線が発生した個所に長方形状の応力緩衝部を形成しているので、うねりや断線の発生率を皆無とすることができた。
厚膜電極材料を使用した場合であっても、外部電極と内部電極の接続信頼性や設計自由度を低下させることなく、信頼性の高い積層コイル部品等の電子部品を得ることができる。
2a、2b 外部電極
5 層間絶縁層(絶縁層)
6 内部電極
7a〜7f 第1〜第6の主導体部
9a、9b 引出導体部
10a、10b 接続部
11a、11b 応力緩衝部
12a 応力緩衝部
13a 応力緩衝部
5 層間絶縁層(絶縁層)
6 内部電極
7a〜7f 第1〜第6の主導体部
9a、9b 引出導体部
10a、10b 接続部
11a、11b 応力緩衝部
12a 応力緩衝部
13a 応力緩衝部
Claims (5)
- 内部電極が、線状に形成された主導体部と、線幅が前記主導体部よりも大きく形成された引出導体部とを有し、前記内部電極が絶縁層に埋設されると共に、前記引出導体部が外部電極に電気的に接続された電子部品において、
前記引出導体部と前記主導体部とは、前記引出導体部から前記主導体部に架けて線幅が徐々に狭くなるように接続部を介して電気的に接続され、
かつ、応力緩衝部が、前記引出導体部と接続される前記主導体部の端部に形成されていることを特徴とする電子部品。 - 前記接続部は、内縁が円弧状、傾斜状、及びこれらの組み合わせのいずれかに形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品。
- 前記応力緩衝部が、長方形状に形成されると共に、前記主導体部と直交する幅寸法は、前記主導体部の幅寸法の1.5倍以上であって且つ前記引出導体部の幅寸法の1/4以上に形成され、かつ、前記主導体部と平行する長さ寸法は、前記引出導体部の長さ寸法の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子部品。
- 前記応力緩衝部は、多角形状、円形状及び楕円形状のうちのいずれかの形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子部品。
- 前記主導体部は、前記絶縁層を介して複数積層されると共に、前記絶縁層を貫通するビアホールを介して電気的に接続され、コイル状に巻回されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子部品。
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