JPH11310658A - ポリイミド多孔膜及び製造方法 - Google Patents

ポリイミド多孔膜及び製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セパレータなどに有用な特定の径の貫通孔を
有するポリイミド膜と及びポリイミド膜の製造方法を提
供する。 【解決手段】 直径約0.01〜10μmの貫通穴を有
するポリイミド多孔膜及びポリアミック酸ワニスのキャ
ストフィルムに多孔質フィルムを積層した後、貧溶媒に
浸漬することを特徴とするポリイミド多孔膜の製造方法
を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミド多孔膜
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高性能のガス分離膜として、芳香
族ポリアミド、ポリイミド−アミド、芳香族ポリイミド
などのガス分離膜が、耐熱性、耐薬品性、耐圧密性のよ
いものとして提案されている。特に、芳香族ポリイミド
系のガス分離膜は、耐薬品性、機械的性質などの優れて
いる耐熱性のガス分離膜として期待されている。
【0003】例えば、特開昭49−45152号公報に
は、次の製造方法が記載されている。すなわち、芳香族
テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重合反
応によって得られたポリアミック酸の溶液を使用して、
そのポリアミック酸溶液から液状の薄膜を形成し、その
薄膜を凝固液中でイミド化しながら凝固して、芳香族ポ
リイミドのガス分離膜を製造する方法である。
【0004】換言すれば、テトラカルボン酸二無水物と
芳香族ジアミンとの重縮合反応で得られたポリアミック
酸の溶液を調製し、そのポリアミック酸の溶液で液状の
薄膜を形成し、その薄膜を凝固液中で凝固し、最後にそ
のポリアミック酸の半透膜を製造する方法、ポリアミッ
ク酸の溶液で薄膜を形成しながら一部イミド化を進め
て、その薄膜を凝固液中で凝固し、最後にそのポリアミ
ック酸−イミドの半透膜を加熱シテイミド化を完結させ
てポリイミドの半透膜を製造する方法、さらに、ポリア
ミック酸の液状の薄膜を、イミド化剤含有凝固液中で、
イミド化しながら凝固し、選られた凝固膜を加熱する方
法などが知られている。溶媒中に溶解したポリイミドワ
ニス(ポリアミック酸)をキャストした後、溶媒を貧溶
媒あるいは非溶媒にに置換することによりポリアミック
酸の相分離析出を誘起する方法が知られている。
【0005】これらの方法によるフィルムは、最表面
(特に、大気接触面)に緻密層が形成され、フィルム内
部に数十μmの孔が形成される。その場合、孔は独立気
泡になっていると思われる。また、例えば、特公平6−
36854号公報には、特定の構造を有するポリイミド
気体分離膜およびその製造方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、セパレータ
などに有用な特定の径の貫通孔を有するポリイミド膜と
及びポリイミド膜の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、直径約0.0
1〜10μmの貫通穴を有するポリイミド多孔膜に関す
る。
【0008】また、本発明は、ポリアミック酸ワニスの
キャストフィルムに多孔質フィルムを積層した後、貧溶
媒あるいは非溶媒に浸漬することを特徴とするポリイミ
ド多孔膜の製造方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のポリイミド樹脂とは、テ
トラカルボン酸成分とジアミン成分の好ましくは芳香族
化合物に属するモノマーを有機極性溶媒に溶解して、こ
れらを重合することにより得られたポリマーであり、後
述のイミド化率が約90%以上の耐熱性のポリマーであ
る。
【0010】有機極性溶媒としては、N−メチルピロリ
ドン、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テ
トラメチル尿素、フェノール、クレゾールなどが挙げら
れる。
【0011】テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成
分を、上記の有機溶媒中に大略等モル溶解して、約80
℃以下、特に0〜60℃の温度で重合して、対数粘度
(30℃、濃度;0.5g/100mLN−メチルピロ
リドン)が0.3以上、特に0.5〜7であるポリアミ
ック酸を製造し、そのポリアミック酸の有機溶媒の溶液
(重合反応液をそのまま使用してもよい)を用いる。
【0012】芳香族ジアミンとしては、例えば、一般式
(1)又は(2)
【化1】 (ただし、前記一般式において、R1またはR2は、水
素、低級アルキル、低級アルコキシなどの置換基であ
り、Aは、O、S、CO、SO、SO、CH、C
(CHなどの二価の基である)で示される芳香族
ジアミン化合物が好ましい。
【0012】具体的な化合物としては、4,4’−ジア
ミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,
4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジエト
キシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどが挙
げられる。前記の一般式HN−R−NHで示される
芳香族ジアミン成分としては、一般式(3)
【化2】 で示されるシアミンピリジンであってもよく、具体的に
は、2,6−ジアミノピリジン、3,6−ジアミノピリ
ジン、2,5−ジアミノピリジン、3,4−アジミノピ
リジンなどが挙げられる。
【0013】ビフェニルテトラカルボン酸成分として
は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物(以下、s−BPDAと略記することもあ
る)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物(以下、a−BPDAと略記することもあ
る)が好ましいが、2,3,3’,4’−又は3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、あるい
は2,3,3’,4’−又は3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸の塩またはそれらのエステル化
誘導体であってもよい。ビフェニルテトラカルボン酸成
分は、上記の各ビフェニルテトラカルボン酸類の混合物
であってもよい。また、上記のビフェニルテトラカルボ
ン酸成分は、前述のビフェニルテトラカルボン酸類のほ
かに、テトラカルボン酸として、ピロメリット酸、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸,
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパ
ン,ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン,
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル,ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル,ブタ
ンテトラカルボン酸,あるいはそれらの酸無水物、塩ま
たはエステル化誘導体などのテトラカルボン酸類を、全
テトラカルボン酸成分に対して10モル%以下、特に5
モル%以下の割合で含有してもよい。
【0014】上述のポリイミドワニス(ポリアミック
酸)を、ガラスプレートなどにキャストし、多孔フィル
ムを積層する。ポリイミドワニス(ポリアミック酸溶
液)としては、以下の性質が好ましい。 1)キャストする雰囲気温度でキャストするのに支障が
ない程度の粘度であることが必要であり、濃度が重量で
0.1〜50%,好ましくは1%〜30%程度であるこ
と。 2)膜が実用的な力学強度を持つのに十分大きくかつ製
膜過程においてゲル化を起こさない程度である分子量で
あること。
【0015】積層する多孔フィルムとしては、以下の性
質を有するものが好ましい。 1)析出するポリアミック酸から容易に剥がれること。 2)DMAc等のポリアミック酸溶媒及び水,アルコー
ル等の析出溶媒が適切な速度で透過する事が出来る程度
の透過性を有し、これらの溶媒と適度な親和性をもち、
0.1〜数μmの孔が十分な密度で分散している構造を
もつこと。 3)少なくとも片面が、作成しようとしている多孔膜に
求められる程度以上の平滑性を有していること。 4)ポリアミック酸溶液が浸漬した際にしわを発生しな
い程度の剛性を有すること。上記の多孔フィルムとして
は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィ
ン、テフロンなどの孔径0.1〜5μm,厚み10〜1
00μm多孔フィルムが好適に用いられる。
【0016】
【実施例】(実施例1)ベース材料としては、固形分濃
度が18.5%となるように調整したポリアミック酸/
DMAc溶液(宇部興産(株)製のU−ワニスA)を用
いた。積層する多孔フィルムとしては、電池用セパレー
タとして用いられているオレフィン系の孔径0.1〜1
μmのもの(以下セパレータと記す)(宇部興産製)を
用いた。 1)U−ワニスAを厚さ150μmの厚みでガラス板上
に塗布した。 2)ワニスの表面上に、しわにならないように注意しな
がら全体にセパレータを被せた。 3)室温の10wt%DMAc水溶液中に15分間浸漬
し、ポリアミック酸を析出させる。その後5分間、イオ
ン交換水中に浸漬し完全にポリアミック酸フィルムをガ
ラス版及びセパレータから剥離した。 4)ポリアミック酸フィルムをテンダーに張り付け、大
気中にて280〜300℃で10分間熱処理を行ない、
ポリイミド多孔膜を得た。得られたポリイミド多孔膜
は、直径0.1〜5μmの貫通孔を有していた。
【0017】(比較例)実施例1において、2)のセパ
レータを被せずに行った以外は、同様に行った。得られ
たポリイミド膜の構造は、空気接触面及びガラス面の両
平面に緻密な層を有し、フィルム内部の孔もほとんどが
独立孔であった。
【0018】
【発明の効果】1)従来の溶媒置換析出手法ではフィル
ム表面付近に緻密層が形成されるために貫通孔を得るこ
とは非常に困難であった。本発明により、緻密層が形成
されることが容易に避けられる。 2)非常に簡便に貫通孔を有するポリイミドフィルムを
作成することができる。 3)出発原料の濃度,置換溶媒の種類及び濃度,浸漬時
間,被せる多孔膜の種類等によって、容易に得られる多
孔膜の構造を制御する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のポリイミド多孔膜の断面構造を示
す電子顕微鏡写真(1,000倍)である。
【図2】実施例1のポリイミド多孔膜の断面構造を示す
電子顕微鏡写真(5,000倍)である。
【図3】実施例1のポリイミド多孔膜の表面構造を示す
電子顕微鏡写真(5,000倍)である。
【図4】比較例1のポリイミド多孔膜の断面構造を示す
電子顕微鏡写真(750倍)である。
【図5】比較例1のポリイミド多孔膜の断面構造を示す
電子顕微鏡写真(10,000倍)である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直径約0.01〜10μmの貫通穴を有
    するポリイミド多孔膜。
  2. 【請求項2】 ポリアミック酸ワニスのキャストフィル
    ムに多孔質フィルムを積層した後、貧溶媒に浸漬するこ
    とを特徴とするポリイミド多孔膜の製造方法。
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