JP2002086476A - 多孔質膜の連続製造方法および連続製造装置 - Google Patents

多孔質膜の連続製造方法および連続製造装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】膜厚、孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性
を均質に制御することができる工業的な多孔質ポリマー
膜の連続製造方法および連続製造装置を提供すること。 【解決手段】 ベルトコンベア上に溶液粘度が1
0〜30000ポイズのポリマー溶液を供給してポリマ
ー溶液流延膜を形成し、前記ポリマー溶液流延膜を均一
な膜厚に調整し、溶媒置換速度調整材を連続的に供給し
前記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せ、前記工程で形
成されたベルトコンベアとポリマー溶液流延膜と溶媒置
換速度調整材とからなる積層体を前記ポリマーに対する
非溶媒からなる凝固液中に浸漬し且つ凝固液中を移動さ
せて多孔質ポリマー膜を析出させ、前記積層体を構造安
定化溶媒中に浸漬し、前記構造安定化溶媒中に浸漬中あ
るいは前記構造安定化溶媒から取り出した後で前記積層
体から溶媒置換速度調整材および多孔質ポリマー膜を剥
離し、剥離された前記多孔質ポリマー膜を乾燥及び/あ
るいは熱処理することによって、膜厚、孔径、空孔率、
孔形状などの多孔質特性が均質な多孔質膜を連続製造す
ることが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマー溶液の流
延膜から溶媒置換速度を調節しながら相転換法によって
ポリマー多孔質膜を得ることができる方法であって、特
にバラツキが少なく均質な貫通した多孔特性を有する多
孔質膜を連続的に得ることができる多孔質膜の製造方法
および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔質ポリマー膜は、フィルター、分離
膜、電池用セパレータ等の産業用材料、医療材料の素
材、光学材料や電子材料などに幅広く使用されている。
多孔質ポリマー膜の製造方法は、例えば、ポリマーに無
機微粒粉体や有機液状体を混合し製膜したあとで前記無
機微粒粉体や有機液状体を抽出除去して細孔を形成する
方法、結晶性ポリマーを賦形したあとアニール処理をお
こなって賦形物にラメラ積層構造を形成し次いで延伸し
てこのラメラ積層結晶間を剥離させてフィブリルを成長
させることにより細孔を形成する方法、また、ポリマー
溶液を流延しそれを凝固液(ポリマー溶液の溶媒とは相
溶性を有し、ポリマーは不溶な有機溶剤、水など)に浸
漬してその際に生じる相分離現象を利用して細孔を形成
させる相転換法などがある。
【0003】前記相転換法は、酢酸セルロース、ポリス
ルホン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポ
リアミド、ポリイミド、ポリ弗化ビニリデンなどのポリ
マーから多孔質膜を製造するときに好適に用いられる。
しかし、相転換法で得られる多孔質膜は最表面に緻密層
が形成され膜内部に細孔が形成された非対称膜であるた
め、得られた膜の用途がガス分離膜などに限定されてい
た。
【0004】特開平11−310658号公報には、ポ
リアミック酸溶液をキャストした後に多孔質フィルムを
積層し、該積層体を貧溶媒に浸漬することを特徴とする
ポリイミド多孔膜の製造方法が開示されている。この方
法によれば、直径約0.01〜10μmの貫通孔を有す
るポリイミド多孔質膜を得ることができた。この方法で
得られる貫通した微細孔を有する多孔質膜は前記の種々
の用途において極めて有用である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記特開平
11−310658号公報に示された多孔質膜を得る方
法において、膜厚、孔径、空孔率、孔形状などの多孔質
特性を均質に制御することができる工業的な多孔質膜の
連続製造方法および連続製造装置を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を
解決することを目的としたものであって、ベルトコンベ
ア上に溶液粘度が10〜30000ポイズのポリマー溶
液を供給してポリマー溶液流延膜を形成する工程と、前
記ポリマー溶液流延膜を均一な膜厚に調整する工程と、
溶媒置換速度調整材を連続的に供給し前記ポリマー溶液
流延膜の上に貼り合せる工程と、前記工程で形成された
ベルトコンベアとポリマー溶液流延膜と溶媒置換速度調
整材とからなる積層体を前記ポリマーに対する非溶媒を
含む凝固液中に浸漬し且つ凝固液中を移動させて多孔質
ポリマー膜を析出させる工程と、前記積層体を構造安定
化溶媒中に浸漬する工程と、前記構造安定化溶媒中に浸
漬中あるいは前記構造安定化溶媒から取り出した後で前
記積層体から溶媒置換速度調整材および多孔質ポリマー
膜を剥離する工程と、剥離された前記多孔質ポリマー膜
を乾燥及び/あるいは熱処理する工程とを含んで構成さ
れる多孔質膜の連続製造方法に関する。さらに、本発明
は駆動可能なベルトコンベアと、ポリマー溶液を供給す
る供給部と、ポリマー溶液流延膜の膜厚調整部と、溶媒
置換速度調整材を連続的に供給して前記ポリマー流延膜
の上に貼り合せる供給部及び貼り合せ部と、凝固液槽及
び構造安定化溶媒槽と、溶媒置換速度調整材及び多孔質
ポリマー膜の剥離部とを含んで構成され、ベルトコンベ
ア上に均質な厚みのポリマー溶液流延膜を形成した後で
前記流延膜の上に溶媒置換速度調整材を貼り合せて積層
体を形成し、次いで前記積層体を凝固液に浸漬し且つ凝
固液中を移動させて多孔質ポリマー膜を析出させるよう
に構成された多孔質膜の連続製造装置に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本願請求項1〜6に記載の多孔質
膜の連続製造方法と、本願請求項7〜10に記載の連続
製造装置は、各々の各構成が以下に述べるように相互に
対応した関係を持つものである。
【0008】本発明の多孔質膜の連続製造法について説
明する。ポリマー溶液はポリマーが溶媒中に均一に溶解
され十分脱気される。前記ポリマー溶液のポリマー濃度
は0.3〜60重量%、好ましくは1〜30重量%であ
る。0.3重量%未満では得られる多孔質膜の強度が低
下するので好ましくなく、60重量%を越えるとポリマ
ーの析出の制御が難しくなるので好ましくない。また、
ポリマー溶液の溶液粘度(回転粘度)は10〜3000
0ポイズ、好ましくは50〜10000ポイズ、特に好
ましくは100〜5000ポイズである。溶液粘度が3
0000ポイズを越えるとベルトコンベア上に容易に流
延させたり膜厚を均一に調整するのが困難になり且つ溶
媒置換速度の制御が難しくなって孔径、空孔率、孔形状
などの多孔質特性を均質に制御することが困難になるの
で適当ではない。10ポイズ未満では流延膜としての形
状を保持できなくなり厚みムラが生じ易くなるのでるの
で適当ではない。均一な膜厚を得るためには前記ポリマ
ー溶液は一定流量でベルトコンベア上に供給されること
が好適である。供給方法としては、ポリマー溶液を貯え
た供給装置内を気体特に乾燥空気あるいは不活性ガスな
どを用いて一定の圧力に加圧することによってポリマー
溶液をノズル(Tダイ)から押し出す方法が気泡などの
混入を防げるので好ましい。ポリマー溶液は例えばTダ
イによってベルトコンベア上に一定の幅を持って一定流
量で供給されることが好ましい。
【0009】ベルトコンベアは表面が平滑であり且つ析
出した多孔質膜を容易に剥がすことができる剥離性を有
するものが好ましい。また、有機溶剤と接触しても耐久
性が優れたものである必要があるので、金属製ベルト特
にステンレス製のベルトが好ましい。また、ベルトコン
ベアは速度を変えることが出来るものであって、且つ、
駆動中は変動が少なく定速度になるものが好適である。
【0010】ベルトコンベア上に流延されたポリマー溶
液流延膜は膜厚が調整される。膜厚の調整は、例えばベ
ルトコンベアと幅方向に均一な隙間を持つように設置さ
れその隙間が調整できるブレード(ドクターナイフ)に
よって好適におこなわれるが、膜厚を精度よく均一に調
整する必要があるのでベルト下面が例えばロールやプレ
ートによって支えられている部位でおこなわれることが
好ましい。また、本発明の方法においてポリマー流延膜
厚は1〜2000μm、特に好ましくは10〜500μ
mに調整される。膜厚が1μmより小さいと得られる多
孔質膜の強度が十分でなくなり好ましくない。また、膜
厚が2000μmを越えると得られる多孔質膜の膜厚方
向の多孔質構造の均一性が悪くなるので、孔径、空孔
率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御することが難
しくなるので好ましくない。
【0011】次いで、前記ポリマー溶液流延膜の上に溶
媒置換速度調整材を貼り合せる。この張り合せの際、ポ
リマー溶液流延膜の膜厚が実質的に変化しないように圧
力が制御されることが好適である。実質的に変化しない
とは、貼り合せられる前のポリマー流延膜の膜厚に対し
て90%以上の膜厚、好ましくは95%以上の膜厚を保
持するようにして貼り付けることである。貼り合せると
きの圧力が高いとポリマー溶液が強制的に流動して、流
延膜厚のバラツキが大きくなり、得られる多孔質膜の膜
厚や孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制
御することが困難になるので好ましくない。
【0012】また、前記溶媒置換速度調整材の貼り合せ
はベルトコンベア上のポリマー溶液流延膜を略水平方向
へ移動させながおこなっても構わないが、ベルトコンベ
ア上のポリマー溶液流延膜を略垂直方向へあるいはポリ
マー溶液流延膜を上側にした状態で垂直方向に対して6
0度以下(より好ましくは略垂直から45度以下)の角
度で下方へ移動させながら、溶媒置換速度調整材を前記
ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せることが、貼り合せ
た溶媒置換速度調整材の重量によってポリマー流延膜の
膜厚が変化しにくいので特に好適である。例えば、ベル
トコンベアとポリマー流延膜との積層体がロールによっ
て略水平方向から略垂直方向へ方向を変えながら進んで
いく途中で貼り合せをおこなうことが特に好適である。
【0013】本発明の溶媒置換速度調整材は、多孔質フ
ィルムであり、ポリマー流延膜を凝固液と接触させてポ
リマーを析出させる際に、ポリマー溶液の溶媒と凝固液
が適切な速度で透過することができる程度の透過性を有
するものが好ましい。特に、透気度(ガーレー値)が5
0〜1000秒/100cc、更に250〜800秒/
100ccであるものが好ましい。溶媒置換速度調整材
の膜厚は5〜500μm、好ましくは5〜100μmで
あり、フィルム断面方向に貫通した孔径が0.01〜1
0μm、好ましくは0.03〜1μmの孔が十分な密度
で分散しているものが好適である。溶媒置換速度調整材
の透気度が上記範囲より大きいと溶媒置換速度が速すぎ
て析出するポリマー表面に緻密層が形成されるなど溶媒
置換速度を十分調整できなくなるので適当でなく、上記
範囲よりも小さいと溶媒置換速度が遅くなり過ぎて析出
ポリマーに形成される多孔質構造が不均一になる。
【0014】溶媒置換速度調整材としては、具体的に
は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン、セルロース、テフロン(登録商標)などを材料にし
た不織布或いは多孔質膜などが用いられ、特にポリオレ
フィン製の微多孔膜を用いると、製造された多孔質膜の
フィルム表面の平滑性に優れるので好適である。
【0015】本発明においては、ベルトコンベアとポリ
マー流延膜と溶媒置換速度調整材とが貼り合せられた積
層体を凝固液に浸漬し且つ凝固液中を移動させて多孔質
ポリマー膜を析出させる。凝固液中では、非溶媒が溶媒
置換速度調整材を介してポリマー溶液流延膜と接触しポ
リマー溶液流延膜中の溶媒と徐々に置換されポリマー溶
液流延膜の相分離が進んて多孔質ポリマー膜が析出す
る。この溶媒と非溶媒の置換が偏りなくおこなわれれ
ば、得られる多孔質膜の膜厚や孔径、空孔率、孔形状な
どの多孔質特性を均質にすることができる。溶媒と非溶
媒の置換にバラツキが生じると、相分離の進み具合が均
質にならないので得られる多孔質膜の膜厚や孔径、空孔
率、孔形状などが不均質になる。本発明の特徴の一つ
は、前記積層体を凝固液中で移動させ、前記積層体表面
に接する溶媒を常にリフレッシュさせながら多孔質ポリ
マー膜を析出させることにある。すなわち、ポリマー流
延膜中の溶媒と凝固液中の非溶媒とが置換するときに起
こる局所的な溶媒と非溶媒の濃度、組成の偏りを表面に
接する溶媒を常にリフレッシュすることによって抑制
し、溶媒と非溶媒との置換を偏りなく進めることによっ
て、得られる多孔質膜の膜厚や孔径、空孔率、孔形状な
どの多孔質特性をより均質に制御する。
【0016】また、本発明において、ベルトコンベアと
ポリマー流延膜と溶媒置換速度調整材とが貼り合せられ
た積層体を凝固液中に進入させる速度即ちベルトコンベ
アの速度は、0.01m/分〜50m/分であることが
好ましい。0.01m/分未満では生産性が悪いので好
適でなく、50m/分を越えると、装置が大きくなり過
ぎて、ベルト駆動の制御や凝固液(凝固槽)の管理等に
問題が生じるので好ましくない。
【0017】本発明の凝固液としては、前記ポリマーの
非溶媒、又は、これら非溶媒99.9〜40重量%と前
記ポリマー溶液の溶媒0.1〜60重量%との混合溶媒
を用いることができる。凝固液に非溶媒と溶媒とからな
る混合溶媒を用いた場合には析出する多孔質膜の構造が
均一になり易いので好適である。即ち、凝固液として用
いられる非溶媒はポリマー非溶媒であり且つポリマー溶
液の溶媒と相溶性を持つものであり、例えばメタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコ
ール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテルな
どのエーテル類、水などが用いられる。
【0018】次いで、ベルトコンベアと析出した多孔質
膜と溶媒置換速度調整材とは貼り合せた状態で、構造安
定化溶媒中に浸漬される。構造安定化溶媒は、前記凝固
液中で析出した多孔質膜中に残存しているポリマー溶液
の溶媒を完全に除去して多孔質構造を安定化させる。前
記凝固液はポリマー溶液の相分離を促す作用をもつもの
であり、非溶媒と溶媒との混合液などを用いてもよい
が、構造安定化溶媒は凝固液と相溶性は持つがポリマー
に対しては溶解性を示さない溶剤が好ましい。例えば低
級アルコール、ヘキサン、水などを好適に用いることが
できる。
【0019】更に、構造安定化溶媒はベルトコンベアと
析出した多孔質膜と溶媒置換速度調整材との剥離を促進
する効果も持っている。従って、構造安定化溶媒中に浸
漬されている間に溶媒置換速度調整材や析出した多孔質
膜を剥離させてもよい。あるいは、構造安定化溶媒中か
ら取り出したあとで、溶媒置換速度調整材や析出した多
孔質膜を剥離させてもよい。構造安定化溶媒に浸漬しな
いで溶媒置換速度調整材や多孔質膜を剥離させ乾燥や熱
処理をおこなうと、多孔質膜中にポリマー溶液の溶媒が
かなり残存した状態で応力や熱を加えられるので多孔質
構造が変形を起こしやすく、均一な多孔質特性を得るた
めには好ましいものではない。
【0020】溶媒置換速度調整材とベルトコンベアから
剥離された多孔質膜は、次いで乾燥及び/あるいは熱処
理される。この工程は、ポリマーの種類や用いた溶媒の
種類によってそれぞれ好適に処理をおこなうことが好ま
しい。例えばポリアミック酸の多孔質膜では80〜10
0℃の熱風乾燥に続いて、200℃〜500℃の温度範
囲での高温熱処理を施して熱イミド化することによっ
て、最終的にポリイミド多孔質膜を得ることができる。
これらの乾燥や熱処理の際、多孔質膜の幅方向の熱収縮
を抑制するために例えば幅方向の両端部をピンテンター
等で支えて一定の張力を掛け、又、該膜の縦方向の熱収
縮を抑制するために例えば膜にテンションロールで一定
の張力を掛けておこなうことは、多孔質構造(孔形状、
孔径など)を安定化させて均一な多孔質をもった多孔質
膜を得ることができるので好適である。
【0021】本発明において用いられるポリマーは、通
常の相転換法において用いられているポリマーであれば
よく、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリカーボネー
ト、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、
ポリ弗化ビニリデン、それらの前駆体、及び、それらの
混合物などを好適に用いることができるが、耐熱性、耐
溶剤、寸歩安定性、絶縁性などにおいて極めて優れた特
性を有するので芳香族ポリイミドあるいは芳香族ポリイ
ミド前駆体が特に有用であり好適に用いることができ
る。
【0022】以下ポリマーとしてポリイミド前駆体を用
いた場合について説明する。前記ポリイミド前駆体と
は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分、好ましくは
芳香族モノマーを重合して得られたポリアミック酸或い
はその部分的にイミド化したものであり、熱イミド化あ
るいは化学イミド化することで閉環してポリイミド樹脂
とすることができるものである。ポリイミド樹脂とは、
イミド化率が約80%以上、好適には約95%以上の耐
熱性ポリマーである。
【0023】前記ポリイミド前駆体の溶媒として用いる
有機溶媒は、パラクロロフェノール、N−メチル−2−
ピロリドン(NMP)、ピリジン、N,N−ジメチルア
セトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド、テトラメチル尿素、フェノール、クレゾ
ールなどが挙げられる。
【0024】前記のテトラカルボン酸成分と芳香族ジア
ミン成分は、上記の有機溶媒中に大略等モル溶解し重合
して、対数粘度(30℃、濃度;0.5g/100mL
NMP)が0.3以上、特に0.5〜7であるポリイ
ミド前駆体が製造される。また、重合を約80℃以上の
温度でおこなった場合に、部分的に閉環してイミド化し
たポリイミド前駆体が製造される。
【0025】前記の芳香族ジアミンとしては、例えば、
一般式(1) H2N−R(R1)m−A−(R2)nR’−NH2 (1) (ただし、前記一般式において、RおよびR’は直接結
合あるいは二価の芳香族環、R1およびR2は、水素、
低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン原子などの置
換基であり、Aは直接結合あるいはO、S、CO、SO
2、SO、CH2、C(CH32などの二価の基であり、
mおよびnは1〜4の整数である。)で示される芳香族
ジアミン化合物が好ましい。
【0026】前記芳香族ジアミンの具体的な化合物とし
ては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、
DADEと略記することもある)、3,3’−ジメチル
−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−
ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
パラフェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0027】また、前記の芳香族ジアミン成分として
は、ジアミノピリジンであってもよく、具体的には、
2,6−ジアミノピリジン、3,6−ジアミノピリジ
ン、2,5−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリ
ジンなどが挙げられる。芳香族ジアミン成分は上記の各
芳香族ジアミン成分を2種以上組み合わせて使用しても
よい。
【0028】前記のテトラカルボン酸成分としては、好
適にはビフェニルテトラカルボン酸成分が挙げられ、例
えば3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物(以下、s−BPDAと略記することもあ
る)、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物が好ましいが、3,3’,4,4’−又は2,
3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、あるい
は3,3’,4,4’−又は2,3,3’,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸の塩またはそれらのエステル誘
導体であってもよい。ビフェニルテトラカルボン酸成分
は、上記各ビフェニルテトラカルボン酸類の混合物であ
ってもよい。
【0029】また、上記のテトラカルボン酸成分は、ピ
ロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェ
ニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
チオエーテルあるいはそれらの酸無水物、塩またはエス
テル化誘導体などのテトラカルボン酸類であってもよ
い。またこれら芳香族テトラカルボン酸成分の一部をブ
タンテトラカルボン酸、あるいはそれらの酸無水物、塩
またはエステル化誘導体などの脂肪族テトラカルボン酸
類で、全テトラカルボン酸成分に対して10モル%以
下、特に5モル%以下の割合で置き換えてもよい。
【0030】前記のポリイミド前駆体は、前記有機溶媒
に0.3〜60重量%、好ましくは1〜30重量%の割
合で溶解してポリイミド前駆体溶液に調製される(有機
溶媒を加えてもよくあるいは重合溶液をそのまま用いて
もよい)。ポリイミド前駆体の割合が0.3重量%より
小さいと多孔質膜を作製した際のフィルム強度が低下す
るので適当でなく、60重量%より大きいと溶液粘度調
整が難しく溶液粘度が高くなって流延が難しくなるし、
多孔質膜析出の制御が難しくなるので好ましくないため
上記の範囲が好適である。前記のポリマー濃度におい
て、ポリマー溶液は好適な溶液粘度である10〜300
00ポイズ、より好ましくは50〜10000ポイズ、
特に好ましくは100〜5000ポイズに容易に調整で
きる。
【0031】本発明法において得られたポリイミド前駆
体からなる多孔質膜は、加熱処理によって熱イミド化さ
れてポリイミド多孔質膜とされる。化学イミド化でもイ
ミド化できるが、熱イミド化する方法では工程が複雑に
ならないのに加え、得られる膜の強度が大きくなる傾向
があるので好適である。熱イミド化は前述のとおり、大
気中にて250℃〜500℃で5分間〜60分間熱処理
することによって好適におこなうことができる。
【0032】次に、本発明の多孔質膜の連続製造装置に
ついて、代表的な実施形態の概略図である図1〜図4に
よって説明する。尚、本発明の連続製造装置は図1〜図
4の概略図に示された実施形態に限定されるものではな
い。本発明の連続製造装置は速度可変で、かつ定速で駆
動するベルトコンベア1を備える。ベルトコンベア1は
表面が平滑であり且つ析出した多孔質膜を容易に剥がす
ことができる剥離性を有するものが好ましい。また、有
機溶剤と接触しても耐久性が優れたものである必要があ
るので、金属製ベルト特にステンレス製のベルトが好ま
しい。
【0033】また、ポリマー溶液を一定流量で供給する
供給部2を備える。この供給部は、ポリマー溶液を脱気
された状態で保持し一定流量で、ノズル(或いは、Tダ
イ)3からベルトコンベア上に供給する。供給はポンプ
を用いておこなってもよいが、ポリマー溶液を収納した
密閉された容器に気体好ましくは乾燥空気または窒素ガ
スなどの不活性気体を注入して一定の圧力によってポリ
マー溶液を一定流量で押し出す方法によって、気泡を混
入させることなく好適におこなうことができる。また、
ベルトコンベア上への供給形態はノズルから押し出す方
法やスプレイする方法などがあり、それらのノズルがベ
ルトの幅方向にトラバースするものでもよいが、ベルト
の幅方向にスリットを持つTダイを通して幅方向に一定
幅で均一に供給されるものが好適である。こうすると溶
液粘度が比較的高いときでも膜厚が揃ったポリマー溶液
の流延膜を形成することができる。形成された流延膜は
ベルトによって移動して膜厚調整部4によってより高い
精度で厚みを調整される。膜厚調整部4はベルト表面に
対して一定の隙間を置いて備えられたブレード(ドクタ
ーナイフ)によって構成される。隙間の大きさは可変で
ある。また、膜厚を精度よく均一に調整するためにベル
ト下面が例えばロールや平滑表面を持つ台座によって支
えられたり、更にベルトの遊びを防ぐために下面が吸引
されて平滑面に吸着されるように構成されていてもよ
い。
【0034】また、本発明の連続製造装置は、溶媒置換
速度調整材の供給部5と貼り合せ部6とを備える。溶媒
置換速度調整材の供給部5は例えば溶媒置換速度調整材
が供給ロールから連続的に供給され、貼り合せ部6では
例えばピンチロールによってガイドされてベルトコンベ
ア上に形成されたポリマー溶液流延膜の上に貼り合せら
れる。この際、ピンチロールとベルトコンベアとの間の
隙間は、溶媒置換速度調整材が張り付けられてもポリマ
ー流延膜の厚みが実質的に変化しない程度の圧力を加え
るように調整が可能なものである。また、貼り合せ部
は、ベルトコンベア上のポリマー溶液流延膜を略水平方
向へ移動させながおこなうように構成されていても構わ
ないが、ベルトコンベア上のポリマー溶液流延膜を略垂
直方向にあるいはポリマー溶液流延膜を上にした状態で
垂直方向に対して60度以下(より好ましくは45度以
下)の角度で下方へ移動させながら、溶媒置換速度調整
材を前記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せるように構
成されると、貼り合せた溶媒置換速度調整材の重量によ
ってポリマー流延膜の膜厚が変化しにくいので特に好適
である。例えば、図1〜図4に示されているように、ベ
ルトコンベアとポリマー流延膜がロールに導かれて略水
平方向から略垂直方向へ進んでいく部位で貼り合せがお
こなわれるように構成されると、溶媒置換速度調整材の
重量によってポリマー溶液流延膜が影響を受けて膜厚な
どの変動が起こりにくいので好適である。
【0035】また、本発明の連続製造装置では、ポリマ
ー溶液供給部2、流延膜の膜厚調整部4、溶媒置換速度
調整材の貼り合せ部6、貼り合せ部から凝固液槽7まで
のベルトコンベア1が通過する空間の湿度及び温度が制
御できるように構成されることが好ましい。温度はポリ
マー溶液粘度に影響を与えるので一定に制御する必要が
ある。また、吸湿性の溶媒を用いている場合には低湿度
に保持しないと溶媒が水分を吸湿してポリマーを析出さ
せ易くなるという問題が生じる。温度も湿度も相分離析
出工程に影響を与えるので、一定に管理することが孔
径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御する
うえで重要である。更に、塵埃の影響を避けるためにこ
れらの空間のクリーン度は必要なレベルに保持されるよ
うにクリーン化装置が備えられることが望ましい。
【0036】また、本発明の連続製造装置は、凝固液槽
7および構造安定化溶媒槽8を備える。これらの槽に
は、それぞれ前述の凝固液と構造安定化液が貯えられて
いる。本発明では、ベルトコンベアとポリマー溶液の流
延膜と溶媒置換速度調節材とを貼り合せた積層体が凝固
液に浸漬され、且つ、凝固液中を移動するように構成さ
れる。浸漬中にポリマー溶液の溶媒と凝固液溶媒が徐々
に置換して相分離を起こして多孔質膜が析出する。これ
らの溶媒の置換を均質におこなうことが多孔質膜の孔
径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御する
上で極めて重要である。本発明では、前記積層体を凝固
液溶媒中で移動させて積層体表面に接する溶媒を常にリ
フレッシュさせ、局所的な溶媒濃度の偏りを抑制するよ
うに構成されている。また、浸漬は十分行われる必要が
あるのでこれらの槽は複数備えられていても構わない。
また、図2の実施形態のように、凝固液槽内で積層体が
蛇行するようにして、十分な浸漬時間を稼ぐように構成
されてもよい。相分離は、温度や溶媒の組成によって影
響を受けるので凝固液槽は温度や溶媒組成などの管理が
十分おこなわれるようになっていることが好適である。
【0037】また、本発明の製造装置においては、、図
1及び図2の実施形態のように前記積層体が略垂直に凝
固液へ進入させるように構成されてもよいし、図3及び
図4の実施形態のように前記積層体が凝固液表面に対し
て傾斜して凝固液に進入するように構成されても構わな
い。また、図4の実施形態のように、前記積層体が凝固
液へ進入し移動する工程で積層体が凝固液表面に対して
傾斜して移動するように構成し、また、凝固液からの取
り出される工程でも積層体が凝固液表面に対して傾斜し
て移動するように構成すれば、凝固液の水位を高くして
浸漬時間(浸漬距離)を長くしたり、凝固液の水位を低
くして浸漬時間(浸漬距離)を短くしたりするなどの調
整が容易にできるので極めて好適である。更に、積層体
の凝固液への進入速度もまた溶媒置換、相分離析出挙動
に対して影響を与えるので0.01m/分〜50m/分
の範囲で調整可能であることが望ましい。
【0038】また、本発明の製造装置においては、ベル
トコンベアの駆動は特に限定されるものではなく通常の
駆動方法を用いることができるが、駆動ロールやフリー
ロールを用いて好適におこなわれる。また、図1〜図4
の13で示したようなロールでは、積層体の溶媒置換速
度調整材がロール表面と直接接触するので、多孔質膜へ
加わる圧縮応力を緩和するために、ロール表面をゴムな
どの弾性体で被覆したものが好適に用いられる。このよ
うなロールの表面がステンレスなどの金属では、多孔質
膜が圧縮応力を受けて多孔形態が変形することがあるの
で好ましいものではない。
【0039】構造安定化溶媒槽8は、構造安定化溶媒中
で溶媒置換速度調節材及び/あるいは析出した多孔質膜
を剥離するように、溶媒置換速度調節材の剥離部9や析
出した多孔質膜の剥離部10が組み込まれていてもよ
い。この場合には、最初に溶媒置換速度調整材を剥離し
て多孔質膜に溶媒をより接触させた後で多孔質膜を剥離
するように配置することが、各々の剥離が容易になるの
で好適である。また、構造安定化溶媒を出た後で溶媒置
換速度調節材及び/あるいは析出した多孔質膜を剥離す
るように、構造安定化溶媒槽8と溶媒置換速度調節材の
剥離部9と多孔質膜の剥離部10が構成されてもよい。
【0040】剥離された多孔質膜は乾燥及び/あるいは
熱処理がおこなわれる。このためには熱風乾燥器及び/
あるいは高温熱処理装置が備えられる。熱風乾燥器及び
/あるいは高温熱処理装置は、ポリマー供給部から剥離
部までと一体化して、剥離された多孔質膜が連続的に乾
燥及び/あるいは熱処理されるように構成されていても
よいし、あるいは、乾燥及び/あるいは熱処理を別の工
程となるように熱風乾燥器及び/あるいは高温熱処理装
置が配置されてもよい。
【0041】本発明によって、特に好ましくは空孔率が
15〜85%、平均孔径が0.01〜10μmの微細な
連続孔を有する多孔質構造を持つ多孔質膜を得ることが
できる。この微細な連続孔は任意の表面から細孔が通路
状に他の表面まで連続しており、屈曲しながら非直線的
に通じているものである。また、本発明によって得られ
る多孔質膜は空孔率が高くしても機械的強度が高いもの
であり、しかも、膜厚や孔径、空孔率、孔形状などの多
孔質特性が均質な多孔質膜であるので、種々の用途にお
いて極めて有用である。
【0042】
【実施例】次に、本発明を実施例によって説明する。但
し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 (参考例) ポリアミック酸溶液の調整 テトラカルボン酸成分としてs−BPDAを、ジアミン
成分としてDADEを用い、S−BPDAに対するDA
DEのモル比が0.996で且つ該モノマー成分の合計
重量が10重量%になるようにNMPに溶解し、温度4
0℃、6時間重合をおこなってポリイミド前駆体溶液を
得た。ポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は800ポイズ
であった。
【0043】(実施例) 多孔質膜の製造 図4で概略図を示した装置を用いて多孔質膜を製造し
た。ポリマー供給部に、参考例で得たあとで減圧脱気し
たポリイミド前駆体溶液を気泡を巻き込まないように注
ぎ込み、2.5kg/cm2に加圧した窒素ガスを注入
してその圧力によって、前記ポリイミド前駆体溶液をT
ダイを通じて0.3m/分の速さで駆動するステンレス
製のベルトコンベア上に流延し、続いて厚さ調整部によ
って流延膜の厚さを100μmに調整した。溶媒置換速
度調整材としてポリエチレン多孔質膜(宇部興産(株)
製、ユーポアUP2015、透気度550秒/100c
c)を用い、ピンチロールを介して前記流延膜上に実質
的に膜厚は変化しないようにして貼り付けた。これらの
工程は温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下でおこな
った。次に、ベルトコンベアと流延膜とポリエチレン多
孔質膜とを貼り合せた積層体をメタノールが貯えられた
凝固液槽中に進入させ5分間凝固液中を移動させて浸漬
しポリイミド前駆体多孔質膜を析出させた。これを更に
ロールによって凝固液槽から水が貯えられた構造安定化
溶媒槽へ導いて浸漬し、構造安定化溶媒槽から出たあと
で、溶媒置換速度調整材を剥離して取り除き、次いで、
ポリイミド前駆体多孔質膜をベルトコンベアから剥離し
た。
【0044】次に、ポリイミド前駆体多孔質膜は、両端
部を膜を支えるに十分な間隔で並ぶピンにより固定して
幅方向の収縮を抑制し、且つ、進行方向に収縮を抑制す
る程度の張力を掛けながら、温度80℃の乾燥槽を10
分間で通過させて乾燥し、続いて400℃の熱処理槽を
20分間で通過させて熱イミド化をおこないポリイミド
多孔質膜を得た。
【0045】得られたポリイミド多孔質膜は、可撓性を
持ち30.0μmの均一な膜厚を持っており、表面にメ
タノールを滴下すると裏面に透過する連続孔を有してい
た。走査型電子顕微鏡で観察したところ平均孔径は0.
23μmの均一性の高い多孔質膜であり、空孔率は65
%で透気度は160秒/100ccであった。
【0046】更に、引き続き連続製造したポリイミド多
孔質膜を10mごとにサンプリングして平均孔径と透気
度を測定した結果を表1に示す。孔径は平均値が0.2
4μmで標準偏差が0.022であり、また、透気度は
平均値が155秒/100ccで標準偏差が11.0で
あった。また、膜厚は平均値が29.9μmで標準偏差
は1.004であった。
【0047】
【表1】
【0048】尚、本発明において、多孔質膜の孔径、透
気度は次の方法によって測定した。 多孔質膜の平均孔径 膜表面の走査型電子顕微鏡写真を撮り、50点以上の開
口部について孔面積を測定し、該孔面積の平均値から次
式に従って孔形状が真円であるとした際の平均直径を計
算より求めた。次式のSaは孔面積の平均値を意味す
る。 平均孔径=2×(Sa/π)1/2 透気度 JIS P8117に準じて測定した。測定装置として
B型ガーレーデンソメーター(東洋精機社製)を使用し
た。試料の膜を直径28.6mm、面積645mm2
円孔に締付ける。内筒重量567gにより、筒内の空気
を試験円孔部から筒外へ通過させる。空気100ccが
通過する時間を測定し、透気度(ガーレー値)とした。 空孔率 所定の大きさに切取った膜の膜厚、面積及び重量を測定
し、目付重量から次式により空孔率を求めた。次式のS
は膜面積、dは膜厚、wは測定した重量、Dは該多孔質
膜を形成するポリマー密度であり、例えば芳香族ポリイ
ミドでは1.34とした。 空孔率=(1−W/(S×d×D))×100
【0049】
【発明の効果】本発明は以上説明をしたようなものであ
るから、以下に述べるような効果を奏する。本発明の多
孔質膜の連続製造方法および連続製造装置によって、膜
厚、孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性が均質な多
孔質ポリマー膜を工業的に連続製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の多孔質膜の連続製造装置の実施
形態の一つの概略図である。
【図2】図2は本発明の多孔質膜の連続製造装置の実施
形態の一つの概略図である。
【図3】図3は本発明の多孔質膜の連続製造装置の実施
形態の一つの概略図である。
【図4】図4は本発明の多孔質膜の連続製造装置の実施
形態の一つの概略図である。
【符号の説明】
1:ベルトコンベア 2:ポリマー溶液供給部 3:Tダイ 4:ブレード 5:溶媒置換速度調整材供給部 6:貼り合せ部(ピンチロール) 7:凝固液槽 8:構造安定化溶媒槽 9:溶媒置換速度調整材剥離ロール 10:多孔質膜剥離ロール 11:駆動ロール 12:フリーロール 13:ゴムロール 14:溶媒置換速度調整材 15:多孔質膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 79:08 C08L 79:08 (72)発明者 浅野 之彦 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部興 産株式会社高分子研究所内 Fターム(参考) 4D006 GA02 MA03 MA06 MA22 MA31 MC18 MC29 MC33 MC49 MC54 MC58 MC58X MC62 MC89 NA10 NA16 NA46 NA62 NA63 NA64 4F074 AA02 AA38 AA42 AA70 AA71 AA74 AA87 AA97 CB32 CB43 CC04Z CC28Z CC61 CC64 CD20 DA02 DA03 DA10 DA23 DA43 DA49 DA59 4F205 AA01 AA16 AA19 AA28 AA29 AA34 AA40 AC05C AD17 AG01 AR07 AR12 GA07 GB02 GC07 GE02 GE27 GF01 GF06 GF23 GF36 GN04 GN21 GN24 GN29 GW05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ベルトコンベア上に溶液粘度が10〜30
    000ポイズのポリマー溶液を供給してポリマー溶液流
    延膜を形成する工程と、前記ポリマー溶液流延膜を均一
    な膜厚に調整する工程と、溶媒置換速度調整材を連続的
    に供給し前記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せる工程
    と、前記工程で形成されたベルトコンベアとポリマー溶
    液流延膜と溶媒置換速度調整材とからなる積層体を前記
    ポリマーに対する非溶媒を含む凝固液に浸漬し且つ凝固
    液中を移動させて多孔質ポリマー膜を析出させる工程
    と、前記積層体を構造安定化溶媒に浸漬する工程と、前
    記構造安定化溶媒に浸漬中あるいは前記構造安定化溶媒
    から取り出した後で前記積層体から溶媒置換速度調整材
    および多孔質ポリマー膜を剥離する工程と、剥離された
    前記多孔質ポリマー膜を乾燥及び/あるいは熱処理する
    工程とを含んで構成される多孔質膜の連続製造方法。
  2. 【請求項2】ポリマー溶液流延膜を1〜2000μmの
    均一な膜厚に調整すること、および、溶媒置換速度調整
    材を実質的に膜厚が変化しない程度の圧力を加えて前記
    ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せることを特徴とする
    請求項1に記載の多孔質膜の連続製造方法。
  3. 【請求項3】ベルトコンベア上のポリマー溶液流延膜を
    略垂直方向にあるいはポリマー溶液流延膜を上側にした
    状態で垂直方向に対して60度以下の角度で下方へ移動
    させながら、溶媒置換速度調整材を前記ポリマー溶液流
    延膜の上に貼り合せることを特徴とする請求項1〜2の
    いずれかに記載の多孔質膜の連続製造方法。
  4. 【請求項4】ベルトコンベアとポリマー溶液流延膜と溶
    媒置換速度調整材とからなる積層体を、溶媒置換速度調
    整材を下側にし且つ凝固液表面に対して60度以下の角
    度で凝固液へ進入させて浸漬することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の多孔質膜の連続製造方法。
  5. 【請求項5】ポリマーが酢酸セルロース、ポリスルホ
    ン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリア
    ミド、ポリイミド、ポリ弗化ビニリデン、及びそれらの
    前駆体ポリマーとからなる群から選択された1種または
    2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の多孔質膜の連続製造方法。
  6. 【請求項6】ポリマーが芳香族ポリイミドあるいは芳香
    族ポリイミド前駆体であることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれかに記載の多孔質膜の連続製造方法。
  7. 【請求項7】駆動可能なベルトコンベアと、ポリマー溶
    液を供給する供給部と、ポリマー溶液流延膜の膜厚調整
    部と、溶媒置換速度調整材を連続的に供給して前記ポリ
    マー溶液流延膜の上に貼り合せる供給部及び貼り合せ部
    と、凝固液槽及び構造安定化溶媒槽と、溶媒置換速度調
    整材及び多孔質ポリマー膜の剥離部とを含んで構成さ
    れ、ベルトコンベア上に均質な厚みのポリマー溶液流延
    膜を形成した後で前記流延膜の上に溶媒置換速度調整材
    を貼り合せて積層体を形成し、次いで前記積層体を凝固
    液に浸漬し且つ凝固液中を移動させて多孔質ポリマー膜
    を析出させるように構成された多孔質膜の連続製造装
    置。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の多孔質膜の連続製造装置
    において、ポリマー溶液を収納した密閉容器に気体を注
    入して一定の圧力によってポリマー溶液を押し出すこと
    によってポリマー溶液を供給するように構成されたこと
    を特徴とする多孔質膜の連続製造装置。
  9. 【請求項9】請求項7〜8のいずれかに記載の多孔質膜
    の連続製造装置において、ベルトコンベア上のポリマー
    溶液流延膜を略垂直方向にあるいは前記ポリマー溶液流
    延膜を上側にした状態で垂直方向に対して60度以下の
    角度で下方へ移動させながら、溶媒置換速度調整材を前
    記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せるように構成され
    たことを特徴とする多孔質膜の連続製造装置。
  10. 【請求項10】請求項7〜9のいずれかに記載の多孔質
    膜の連続製造装置において、ベルトコンベアとポリマー
    溶液流延膜と溶媒置換速度調整材とからなる積層体を、
    溶媒置換速度調整材を下側にし且つ凝固液表面に対して
    60度以下の角度で凝固液へ進入させて浸漬するように
    構成されたことを特徴とする多孔質膜の連続製造装置。
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