JPH11192583A - ハンダ材及びハンダ材の製造方法 - Google Patents
ハンダ材及びハンダ材の製造方法Info
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Abstract
発揮し、汎用性及び取扱容易性を備えたハンダ材及びハ
ンダ材の製造方法を提供する。 【解決手段】 第1の金属材料を薄層状の第2の金属材
料で覆って被覆体を得て、被覆体を圧延によって線状に
延伸成形して線状ハンダ材を得る。更に、延伸成形した
線状成形体の軸と交差する方向に線状成形体を切断して
粒化すると粒状ハンダ材が得られる。これらのハンダ材
4は、互いに組成の異なる第1の金属層6と第2の金属
層5とを有し、第1の金属層は一軸方向に延伸した軸性
を有する形状で、第2の金属層は第1の金属層の軸を包
囲するように第1の金属層を被覆する。第1の金属層は
亜鉛を含有し、第2の金属層は亜鉛を含有せず錫を含有
する。
Description
品等の各種金属部品の接合に用いられるハンダ材及びそ
の製造方法に関する。詳細には、鉛を含有せず、金属部
品の接合において良好な接合を形成可能なハンダ材及び
その製造方法に関する。
物体同士を接合する技術であり、古くから用いられ、そ
の起源は古代メソポタミア文明に遡ることができると言
われている。現代の産業において、ハンダ付けは機械的
な組立や電子機器の接合等に幅広く使用され、例えば、
電子機器においては、半導体、マイクロプロセッサー、
メモリー、抵抗などの電子部品を基板に実装するための
実装基板の接合等に用いられている。その長所は、部品
を基材に固定するだけでなく、ハンダに含まれる金属の
導電性により電気的接続が形成されることであり、この
点において有機系の接着剤と異なる。
る共晶ハンダで、その共晶点が183℃であり、アルミ
ニウムや銅などの板材等の接合に用いられる。ハンダ付
けする金属母材の融点よりも低いばかりでなく、多くの
熱硬化性樹脂がガス化を始める温度よりも低いという特
徴を有している。また、この共晶ハンダは、錫成分が銅
板の界面で特有の金属間化合物層を形成し、ハンダと銅
の接着力をより強固にすることも知られている。このよ
うな特徴を備えた錫と鉛による共晶ハンダ以外に、錫と
亜鉛とのハンダ、銀と錫とのハンダなどの使用が試みら
れているが、濡れ性が悪く接合が難しいために、実用化
されていない。
においてハンダによる接合は依然として重要なものであ
り、今日のパーソナルコンピューター、携帯電話やペー
ジャーなどに代表されるパーソナル機器の急激な普及が
進むにつれ、ハンダの重要性は益々増大している。
々の生活を豊かにしている。しかし、その反面、使用し
なくなった電子機器が多量に廃棄されていることも事実
であり、廃棄物により環境汚染が起きることが危ぶまれ
ている。このため、廃棄物のリサイクル使用や有害性の
高い物質を用いない製造方法が提唱されている。特に、
有害性の高い物質の排除は、環境汚染を未然に防ぐとい
う観点から望ましく、ハンダによる接合技術においても
開発の必要がある。
ハンダを用いた接合技術が必要とされている。ところ
が、鉛を他の金属に代えたハンダや別の金属の組合せに
よるハンダは、高温による母材への悪影響を避けられる
ほどハンダ付け温度を低くすることが困難であり、濡れ
性が非常に劣り接合する母材に対して満足に付着しない
といった問題を有するために、半導体実装のような微細
なハンダ処理はおろか一般的なハンダ接合にも使用は難
しい。特に、錫及び亜鉛を用いたハンダにおいては、問
題点が多すぎるためにエレクトロニクス実装での実用化
は困難と考えられている(竹本 正:「接合サイエンス
からみたPbフリーソルダ」、第5回環境対応実装技術
フォーラム講演集(1997年5月14日)参照)。
ような微細なハンダ付け処理に鉛を含まないハンダの使
用を可能とするために、ハンダ粉末とフラックスとを混
合したペースト状のソルダーペーストを用いたスクリー
ン印刷方式等が提案されている。しかし、ソルダーペー
ストに用いられるフラックスは、JIS Z3284に
あるように、有機化合物、無機化合物及び樹脂に大別さ
れるが、有機化合物又は樹脂が用いられる場合には、有
機酸、アミノ基のハロゲン塩及び有機酸塩等が活性成分
として添加され、無機化合物の場合には、ハロゲン化ア
ンモニウム、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化錫、燐酸、ハ
ロゲン化水素酸等が添加されることが多い。このような
添加物は金属を腐食させる作用を有するため、ソルダー
ペーストをリフローした後のフラックス残渣による腐食
の検査が必要になる。又、フラックスを除去するために
ペーストを加熱した際に気化した有機物の処理等が必要
であるという問題もある。
材であって接合する部材に対して良好に濡れを発揮し、
汎用性及び取扱容易性を備えたハンダ材及びハンダ材の
製造方法を提供することを目的とする。
廃棄物中の鉛による環境汚染をなくすために、鉛を用い
ない汎用性の高い金属によるハンダを用いたハンダ付け
について鋭意研究を重ねた結果、複層構造を有するハン
ダ材によって十分な接合強度を有する錫/亜鉛ハンダ接
合を容易に形成できることを見出した。このハンダ材の
構造は他種の金属によるハンダ接合を形成する場合にも
利用できる。
簡便な方法によって製造することができることを見出し
た。
なる第1の金属層と第2の金属層とを有するハンダ材で
あって、該第1の金属層は一軸方向に延伸した軸性を有
する形状で、該第2の金属層は該第1の金属層の軸を包
囲するように該第1の金属層を被覆する。
2の金属層は実質的に亜鉛を含有せず錫を含有する。
とができる。
の金属材料を薄層状の第2の金属材料で覆って被覆体を
得る工程と、該被覆体を圧延によって線状に延伸成形す
る工程とを有する。
成形体の軸と交差する方向に該線状成形体を切断して粒
化する工程を有し、前記第1の金属材料は亜鉛を含有
し、前記第2の金属層は実質的に亜鉛を含有せず錫を含
有する。
に比べて濡れ性が劣るため、安価で溶融温度が低く、
又、電子部品の接合においては錫/鉛ハンダに比べてマ
イグレーションの発生が抑えられるので、実用化におい
ては非常に有効な材料である。錫/亜鉛合金の濡れ性が
劣るのは、亜鉛が非常に酸化され易いために溶融合金表
面に酸化亜鉛膜を形成して合金の母材に対する濡れを阻
害することによることを本願発明者らは見出している。
つまり、錫/亜鉛ハンダを従来のハンダ材に代えて実用
化するためには、亜鉛の酸化に対処する必要がある。
の亜鉛成分を雰囲気から遮蔽するために他の物質による
被覆層で亜鉛成分を包囲する複層構造のハンダ材を提案
するものであり、亜鉛成分が被覆層の内側に配置されて
亜鉛成分が雰囲気に曝される面積が減少あるいは実質的
に無くなることにより、ハンダ材が加熱によって溶融ハ
ンダとなるまで酸化亜鉛の生成が抑制され、実質的に均
一な溶融ハンダになると同時に部材表面を濡らしハンダ
接合が良好に形成される。
な有機物や亜鉛以外の金属等を用いて形成することがで
きる。加熱により除去容易な有機物によって被覆層が形
成される場合は、接合する部材間にハンダ材を配置して
加熱し接合を形成する間に、被覆層は熱によって接合す
る部材から除去され、ハンダ材の金属成分によってハン
ダ接合が形成される。従って、被覆層は接合を形成する
ハンダの組成に関与しない。他方、亜鉛以外の金属によ
って被覆層を形成する場合は、ハンダ材全体の金属成分
の溶融混合によってハンダ接合が形成される。従って、
接合を形成するハンダの組成は被覆層を含むハンダ材全
体の金属組成によって決定される。いずれの場合におい
ても、亜鉛以外の金属を被覆層の外側に配置した三層以
上の多層構造をとることも可能であるが、以下において
は、被覆層を最外層として構成したハンダ材について説
明する。尚、被覆層の外側に更に層を有する構造のハン
ダ材については、以下の記載に基づいて適宜応用、変更
を行うことによって得ることができる。錫/亜鉛ハンダ
以外のハンダ材についても、本願において提示する複層
構造のハンダ材として提供できる。
って形成する場合、図1の(a)に示すように、ハンダ
材1の被覆層2の内側にある内層部3は、接合を形成す
る錫/亜鉛ハンダの組成に相当する割合で錫及び亜鉛を
含有しており、錫単味層及び亜鉛単味層の混層形態、錫
/亜鉛合金層による均一形態、及びこれらの複合形態な
どのいずれの形態であってもよい。更に、錫及び亜鉛以
外の他の金属を内層部3に添加すれば、錫及び亜鉛を含
有する三元合金ハンダあるいはそれ以上の多元合金ハン
ダとすることができる。混層形態のハンダ材は、加熱す
ると、錫/亜鉛共晶点温度において錫と亜鉛との接触部
分から溶融し始めて錫/亜鉛共晶物が生成し、温度上昇
に従って融合均一化が進行し、内層部3全体の金属組成
における液層線温度において完全に溶融する。従って、
ハンダ材が低い温度で溶融するには、ハンダ材の内層部
3全体の金属組成が錫/亜鉛共晶組成に近いことが好ま
しく、又、迅速に溶融するには、内層部3が錫/亜鉛合
金層による均一状態であるのが好ましい。被覆層2を構
成する加熱により除去容易な有機物は、常温において固
体であってハンダ材の溶融温度より低い温度で気化又は
分解等によりガスとなって放散する化合物であり、ハン
ダペーストのフラックスに用いられるような物質が好ま
しい。特に、ロジン(松脂成分)のような天然高分子系
の樹脂等が好適であるが、これに限定されるものではな
い。
材は、被覆層を構成する樹脂等の溶融物に内層部を構成
するための線材を浸して取り出し、溶融物を冷却固化
し、必要に応じて圧延することによって得られる。得ら
れた線状ハンダ材を切断することにより粒状ハンダ材が
得られる。
は、図1の(b)に示すように、ハンダ材4の被覆層5
の内側の内層部6は、単味亜鉛層による単層形態、錫単
味層及び亜鉛単味層の混層形態、錫/亜鉛合金層による
均一形態、及びこれらの複合形態などのいずれの形態で
あってもよい。但し、被覆層5及び内層部6を合わせた
ハンダ材全体の金属組成が接合を形成する錫/亜鉛ハン
ダの組成と一致するように被覆層5及び内層部6の含有
量を決定する。錫及び亜鉛以外の他の金属を被覆層5あ
るいは内層部6に添加すれば、接合を形成するハンダは
錫及び亜鉛を含有する三元合金ハンダあるいはそれ以上
の多元合金ハンダとなる。このハンダ材4の加熱におい
ても、錫/亜鉛共晶点温度で錫と亜鉛との接触部分から
溶融し始めて錫/亜鉛共晶物が生成し、温度上昇に従っ
て融合均一化が進行し、ハンダ材全体の金属組成におけ
る液層線温度で完全に溶融する。従って、ハンダ材が低
い温度で溶融するには、ハンダ材全体の金属組成が錫/
亜鉛共晶組成に近いことが好ましく、又、ハンダ材が迅
速に溶融するには、内層部6が錫/亜鉛合金層であるの
が好ましい。これを満足する例として、例えば、錫/亜
鉛共晶組成より若干錫の少ない組成の合金によって内層
6を形成し、ハンダ材全体の組成が錫/亜鉛共晶組成と
なるように少量の錫によって被覆層5を形成したものが
挙げられる。しかし、実際には、ハンダ材の寸法(太
さ、径等)が数mm程度の場合には熱伝導にさほどの時間
を必要としないので、内層部6が錫/亜鉛合金でなくて
も溶融拡散により迅速に均一化する。実用的に十分有効
な構成のハンダ材の一例として、単味錫による被覆層で
単味亜鉛内層を覆った二層構造のハンダ材が挙げられ
る。このハンダ材は、構造が単純で製造においても複雑
な処理を必要とすることなく簡便に製造できるので、非
常に有利である。以下、単味錫による被覆層で単味亜鉛
内層を覆った二層構造のハンダ材について説明する。
二層構造のハンダ材の例としては、図2の(a),
(b)に示すような断面形状が円形のハンダ材7a,7
bがあり、このような断面形状を有する線材あるいは球
状粒子として製造することができる。(a)では1つの
亜鉛内層部9aが錫被覆層8aに覆われ、(b)では複
数の亜鉛内層部9bが錫被覆層9bに覆われている。
又、(c),(d)に示すように断面が楕円形の線状又
は楕円球状のハンダ材7c,7dや、(e),(f)に
示すような断面形状が多角形状の線状、多角柱状又は多
面体のハンダ材7e,7fとして製造することもでき
る。このような断面形状の場合にも(d)、(f)に示
すように複数の亜鉛内層部9d,9fを錫被覆層8d,
8fで覆うことができる。
するハンダ材の製造は、二層構造の線状ハンダ材の製造
を基本とし、粒状のハンダ材は、二層構造の線状ハンダ
を用いて製造することができる。まず、線状ハンダ材の
製造について以下に説明する。
は塊の周囲に薄層状の錫を巻き付け、これを圧延ロール
等を用いて徐々に圧延して均一の太さの細線状に延伸す
ることによって簡便に製造することができる。使用する
薄層状錫及び亜鉛棒材又は塊の量は、形成するハンダ接
合の組成割合に一致させる。好ましくは、錫85〜97
重量部及び亜鉛3〜15重量部の割合で用いる。圧延の
際に錫及び亜鉛が延伸成形し易いように、錫及び亜鉛が
溶融しない温度、即ち、錫/亜鉛共晶温度より低い温度
に、好ましくは50〜198℃程度に加熱するとよい。
この方法によって、径が2μm〜20mm程度、断面の亜
鉛内層部の平均径が1μm〜10mm程度の線状ハンダ材
を製造することができる。又、太い棒状や薄いシート状
に圧延成形することもでき、このような形状のハンダ材
も本発明に係るものとする。図2(e),(f)のよう
なハンダ材断面が多角形の線状ハンダ材は、圧延工程に
おける圧力のかけ方を調整したり、円形断面の線状に延
伸した線状ハンダ材を型を用いて加圧成形することによ
って得られる。このようにして得られる線状ハンダ材
は、雰囲気に亜鉛が曝される部分が端部におけるわずか
な面のみであり実質的に雰囲気から遮断されているの
で、線ハンダとして、錫のみで形成された線ハンダと同
様の取扱いでハンダ付けに用いることができ、通常のハ
ンダごて等を用いて好適にハンダ付けを行うことができ
る。ハンダ付け操作中の亜鉛の酸化が実質的に抑制さ
れ、ハンダ材は部材に対して良好な濡れを示す。大気雰
囲気においても良好なハンダ接合を形成することができ
る。
によっても製造することができる。この製造方法では、
亜鉛の線材又は棒材と溶融錫とを用い、溶融錫の温度を
錫の融点より僅かに高い温度に保持して、この中に亜鉛
線材を短時間浸してすぐに取り出し、亜鉛の線材又は棒
材に付着した溶融錫を冷却固化する。亜鉛線材又は棒材
を溶融錫に浸す前に予め冷却しておくと好ましい。この
後、錫で被覆した亜鉛線材又は棒材を適宜圧延して所望
の径になるまで延伸することにより線状ハンダ材が得ら
れる。あるいは、亜鉛線材の周囲に細い錫線材又は錫箔
をコイル状に密に巻き付けて、これを圧延器を用いて圧
延し所望の径になるまで延伸することによっても線状ハ
ンダ材を得ることができる。この際、錫線材と共に松脂
線材を並べて亜鉛線材の周囲に巻き付けると、錫及び松
脂からなる被覆層を有する線状ハンダ材が得られる。
て、被覆層5の外径つまりハンダ材4の外径d1及び内
層部6の径d2は、次式(1)で表される範囲にあるの
が適正である。
〜3mmである場合には下記式(2)で表される範囲が好
ましい。図2の(b),(d)又は(f)のようにハン
ダ材に複数の内層部を設けるには、d2がd1の約1/
4より小さくなるのが好ましい。
を用いて製造される。まず、線状ハンダ材を軸と交差す
る方向に切断して図3の(a)のように亜鉛内層部9を
軸中心として錫被覆層8が周囲を取り囲む筒状のハンダ
片10を作成する。図3の(a)においては、線状ハン
ダ材の径方向に沿って軸と垂直に切断を行っているが、
斜めに行ってもよい。この筒状のハンダ片10を振動す
る加熱プレート上に供給すると、振動によるハンダ片1
0の角部とプレートとの衝突及び熱によって錫被覆層8
が変形して、錫被覆層8が亜鉛内層部9の両端面を徐々
に覆いながら丸くなり、次第に(b)のハンダ片11の
ように球形に近くなる。従って、加熱プレートの加熱温
度及びハンダ片の滞留時間を適宜調整することにより亜
鉛内層部9が完全に錫被覆層8によって覆われたほぼ球
形の粒状ハンダ材を得ることができる。振動する加熱プ
レート上に筒状のハンダ片10を供給する代わりに、傾
斜した加熱プレート上を筒状のハンダ片10を転がして
もよい。この場合、錫が軟化し易いように加熱プレート
の温度を高く設定し、且つ、ハンダ片内部の温度が上が
らないように加熱プレート上を転がる時間を短くするこ
とによって、錫被覆層8のみが熱変形して亜鉛内層部9
をほぼ完全に被覆したハンダ材を好適に得ることができ
る。このような方法によって粒径が平均で約2μm〜2
0mm程度の粒状ハンダ材を得ることができる。
断面において亜鉛内層部9が雰囲気に曝されているの
で、この部分においては酸化物が生じるが、亜鉛の容積
に比べて曝されている面積が極めて小さいので、実質的
に雰囲気から遮断されているのに近く、実用においては
さほど問題とならない。従って、本発明の粒状ハンダ材
として使用可能である。又、線状ハンダ材をハンダ片に
切断する際に、2枚の押切り刃を用いて線状ハンダ材を
挟むように切断すると、金属の塑性変形を伴うことによ
り、図3の(c)のような亜鉛内層部9が殆ど雰囲気に
曝されないハンダ片12が得られる。切断面毎に押切り
刃の切断方向を線状ハンダの軸方向について90度づつ
回転させると、図3の(d)のようなハンダ片13が得
られる。このようなハンダ片12,13はハンダ片11
と実質的に同等の効果を発揮し、本発明の粒状ハンダ材
として有効に用いることができる。多数の押切り刃を絞
り状に構成した押切り器を用いてもよい。押切りによっ
て形成される切断面の形状は押切り刃の形状及び押切り
速度によって調整することができる。(d)のハンダ片
13において、切断面の傾斜が大きくなるような押切り
刃を用いてハンダ片の軸方向の長さが短くなるように製
造すると、四面体に近い形状の粒状ハンダ材が得られ
る。加熱した押切り刃を用いると、線状ハンダ材の塑性
変形が容易になり、亜鉛内層部の切断面を錫の薄膜で被
覆し易いので、切断操作の効率及び錫による亜鉛内層部
の被覆性が向上する。
状ハンダ材を用いて上述の製造方法に従って粒状ハンダ
材を形成すると、図3の(b)〜(d)に示すハンダ片
11〜13と同様に、亜鉛内層部9が錫被覆層8によっ
て覆われた類似構造の粒状ハンダ材が得られる。更に、
上述の線状ハンダ材及び粒状ハンダ材の製造方法は、錫
以外の金属による被覆層を有するハンダ材や合金による
内層部及び被覆層を有するハンダ材の製造に応用でき、
被覆層を構成するための薄層状金属材及び内層部を構成
するための金属棒材又は塊を用いて同様の操作を行うこ
とにより所望の組成による二層構造の線状ハンダ材及び
粒状ハンダ材を得ることができる。更に、同心円筒状の
多数の層を有する構造の線状ハンダ材及び粒状ハンダ材
の製造も可能である。圧延工程及び粒子化工程における
加熱の程度によっては内層部と被覆層とが接触部におい
て融合して連続する場合がある。この様な場合において
も、内層部の亜鉛が被覆層の外表面にまで拡散しなけれ
ばハンダ付け操作における亜鉛の雰囲気による酸化は抑
制されるので、本発明の趣旨に沿ったハンダ材であると
言うことができる。
図5に示す。図4の(a)〜(c)は、断面形状が正方
形、正六角形及び星形の亜鉛内層9を錫被覆層8が被覆
した円筒形線状ハンダ材14,15,16を示す。これ
らも、上述において説明した製造方法を応用して製造す
ることができる。例えば、断面形状が正方形、正六角形
又は星形の亜鉛線材を溶融錫に浸して錫を冷却固化する
工程を所定回数繰り返して所望の厚さの錫被覆層を形成
した後に圧延処理によって細線状に加工することによっ
て得られる。あるいは、極細の亜鉛線材及び錫線材を用
い、図4の形状に類似した断面になるように亜鉛線材及
び錫線材を多数積み重ねて圧着した後に、圧延処理によ
って細線状に加工してもよい。あるいは、これらの方法
及び前述した方法を適宜組み合わせて製造してもよい。
これらを図3を参照して説明した切断方法を用いて粒子
化すれば、内部に各々正方形、正六角形又は星形の断面
の亜鉛層を有する粒状ハンダ材が得られる。このような
ハンダ材は、亜鉛内層9の容積に対する錫被覆層8と亜
鉛内層9との境界面の面積の比が大きくなるので、ハン
ダ材の溶融時における内部の均一化速度が速くなるとい
う点で優れている。
きる粒状ハンダ材の具体例を示す。(a)〜(c)の粒
状ハンダ材17,18,19はいずれも、線状ハンダ材
を切断して粒子化する際に、軸方向あるいは放射方向の
力を作用させて加圧成形を行うことによって得ることが
できる。これらは、線状ハンダ材の末端において放射方
向の圧力を用いて湾曲した側面部分を形成した後に切断
して粒子化することによって得られる。あるいは、
(a)の粒状ハンダ材17については、ハンダ片に切断
すると同時に軸方向に圧縮するようにしても得られる。
これらの他に、円錐形、円錐台形、角錐形や角錘台形の
粒状ハンダ材も同様にして製造することができる。
図2の(c)に示すような断面形状が楕円形の線状ハン
ダ材を切断する際に押切り操作によって端部を狭搾して
閉じることによって得られ、袋状の錫被覆層8cに亜鉛
内層部9cが被覆されている。(e)に示す粒状ハンダ
材21は円柱状の亜鉛内層部9gに錫被覆層8gをコイ
ル状に巻き付けた線状ハンダを切断して得られるもの
で、(f)の粒状ハンダ材22は角形の錫被覆層8h及
び亜鉛内層部9hを有する線状ハンダ材を切断したもの
である。図5に示す粒状ハンダ材17〜22はいずれも
平面上に据えたときに転がることなく位置固定すること
ができるので、接合する部材間に据え付けてハンダ付け
するのに好都合である。
層構造の線状ハンダ材から製造されるので、粒状ハンダ
材の構造にはこの製造方法に起因して線状ハンダ材に由
来する特徴がある。即ち、粒状ハンダ材の内層部は、図
3〜5からも明らかなように、一軸方向に延伸した軸性
を有する形状であり、内層部の軸を包囲するように被覆
層が内層部を被覆している。ハンダ材の粒形を真円球状
に成形した場合においても内層部は細長く延伸した軸性
の形状となり、内層部が真円球のような延伸性のない形
状になることはかなり希と考えられる。
造は、得られるハンダ材の含有酸素濃度を100ppm 以
下に抑えるために、酸素濃度を100ppm 以下の非酸化
性雰囲気を作業雰囲気として用いて原材料の酸化を防止
するのが望ましい。
び粒状ハンダ材は、従来のハンダに代えて好適に使用す
ることができ、機械装置の製造における組立接合等に限
らず、半導体分野のような微小接合の形成にも用いるこ
とができる。例えば、ICパッケージやCPUの導電部
の接合、パーソナルコンピュータやプリンタの接続等に
用いられるケーブルコネクタ及び通信用ケーブルに用い
られる光コネクタにおける接合、自動車のラジエータの
接合、基板への部品実装等が挙げられる。基板への実装
形態としては、片面表面実装、両面表面実装、両面表面
実装リード付き部品搭載、片面表面実装リード付き部品
搭載、リードスルー実装などがある。又、実装部品とし
ては、受動部品としてのセラミック、コンデンサ、イン
ダクタ、ジャンパ、トランジスタ、ダイオード、アルミ
電解コンデンサ、タンタル半固定抵抗、トリマー、コイ
ル等が代表例として挙げられ、能動部品としては、I
C、SI等が代表例である。パッケージ外形又は形状に
ついては、SOIC、SOPQIP、QFP、PLC
C、LCC、SOJ、MSP、さらには、BGA、FC
−BGA、CSP、PLC、MCM、OE−MCM、チ
ップを重ねた高密度実装が挙げられる。
説明する。
素雰囲気で満たされたグローブボックスの中で、純度9
9.99%の予め計量した針金状の亜鉛9gに、純度9
9.98%の錫箔91gをロール状に巻き付けて固め
た。この時錫箔を巻いたロールの径は5mmであった。こ
のロールを圧延器を用いて段階的に延伸して径を5mmか
ら3.5mmへ、次に3.5mmから2mmへ、そして2mmか
ら1.2mmへ、最後に1.2mmから0.8mmへと細くし
て、0.8mm径のワイヤを得た。このワイヤを巻取って
ワイヤの一部分を試料として含有酸素濃度を測定したと
ころ、50ppm 以下であり、ワイヤの外表面部分の錫の
含有量は95%以上であった。
のハンダごてを用いて上述のワイヤで、RMAタイプの
フラックスを塗布したパソコン用基板のQFP(208
pin、金フラッシュメッキ仕上げ、0.5mmピッチ)の
接合不良が生じていた部分の補強ハンダ付けを実施し
た。この結果、ハンダごてによってワイヤが溶融して生
じた溶融ハンダが良好な濡れを示して接合不良部分に広
がってパッドとリード部との隙間を満たし、好適に補強
ハンダ付けが行われた。
素雰囲気で満たされたグローブボックスの中で、純度9
9.98%の予め計量した錫182gを細長い坩堝に入
れて加熱溶融させた。溶融した錫に熱電対による温度指
示計を設置して溶融錫を徐々に冷却し、溶融錫の中心部
が235℃になった時点で、純度99.99%の亜鉛線
材18gを溶融錫に浸してすぐに取り出し、十分に冷却
した。これにより、固化した錫で周りを覆われた亜鉛線
材が得られた。この線材の径は平均で10mmであった。
この線材を圧延器を用いて段階的に延伸して径を10mm
から7.5mmへ、次に7.5mmから5mmへ、そして5mm
から3mmへ、最後に3mmから2mmへと細くして、3mm径
のワイヤを得た。このワイヤを巻取ってワイヤの一部分
を試料として含有酸素濃度を測定したところ、50ppm
以下であり、ワイヤの外表面部分の錫の含有量は95%
以上であった。
のハンダごてを用いて上述のワイヤで、RMAタイプの
フラックスを塗布したパソコン用基板のQFP(208
pin、金フラッシュメッキ仕上げ、0.5mmピッチ)の
接合不良が生じていた部分の補強ハンダ付けを実施し
た。この結果、ハンダごてによってワイヤが溶融して生
じた溶融ハンダが良好な濡れを示して接合不良部分に広
がってパッドとリード部との隙間を満たし、好適に補強
ハンダ付けが行われた。
素雰囲気で満たされたグローブボックスの中で、純度9
9.99%の予め計量した針金状の亜鉛9gの周りに、
純度99.98%の錫線材54.6g及び3本の松脂線
材計8.1gを密に並べてコイル状に巻き付けた。この
時線材を巻き付けたロールの径は5mmであった。このロ
ールを圧延器を用いて段階的に延伸して径を5mmから
3.5mmへ、次に3.5mmから2mmへ、そして2mmから
1.2mmへ、最後に1.2mmから0.8mmへと細くし
て、0.8mm径のワイヤを得た。このワイヤを巻取って
ワイヤの一部分を試料として金属部分の含有酸素濃度を
測定したところ、100ppm 以下であり、ワイヤの外表
面部分の錫部分の純度は95%以上であった。
のハンダごてを用いて上述のワイヤで、RMAタイプの
フラックスを塗布したパソコン用基板のQFP(208
pin、金フラッシュメッキ仕上げ、0.5mmピッチ)の
接合不良が生じていた部分の補強ハンダ付けを実施し
た。この結果、ハンダごてによってワイヤが溶融して生
じた溶融ハンダが良好な濡れを示して接合不良部分に広
がってパッドとリード部との隙間を満たし、好適に補強
ハンダ付けが行われた。この際、松脂はクレームハンダ
に用いられるフラックスと同等の作用をした後にガス化
したと考えられる。
いて、拡大鏡で確認しながら実施例1で得られたワイヤ
を長さが1.5mmの円筒状ペレットに切断細粒化した。
このペレットを吸引ストローで吸引してBGAチップ
(20pin )を搭載するための基板のハンダバンプの位
置に並べた。この上の所定の位置に、チップマウンター
を用いてBGAチップを搭載し、酸素濃度が500ppm
以下の窒素フローを用いて最高加熱温度230℃である
ようにリフローしたところ、ペレットは溶融して溶融ハ
ンダとなり、良好な濡れを示して基板とBGAチップと
を接合した。
素雰囲気で満たされたグローブボックスの中で、純度9
9.98%の予め計量した錫91gを坩堝に入れて加熱
溶融させた。溶融した錫に純度99.99%の亜鉛9g
を加えて溶融させ、清浄なステンレス製匙で攪拌して均
一にした。この溶融金属を円筒形の金型に流し込んで冷
却して固化した。この後、金形から固化した円筒状合金
を取り出した。この円筒状合金の径は5mmであった。こ
の合金を圧延器を用いて段階的に延伸して径を5mmから
3.5mmへ、次に3.5mmから2mmへ、そして2mmから
1.2mmへ、最後に1.2mmから0.8mmへと細くし
て、0.8mm径のワイヤを得た。松脂を主成分とする低
融点フラックス(WW系統、千住金属工業社製)を溶解
し、得られたワイヤをフラックス中に浸して取り出し、
冷却して巻取った。巻取ったワイヤの一部分を試料とし
て金属部分の含有酸素濃度を測定したところ、50ppm
以下であり、金属組成はほぼ均一であった。
のハンダごてを用いて上述のワイヤで、RMAタイプの
フラックスを塗布したパソコン用基板のQFP(208
pin、金フラッシュメッキ仕上げ、0.5mmピッチ)の
接合不良が生じていた部分の補強ハンダ付けを実施し
た。この結果、ハンダごてによってワイヤが溶融して生
じた溶融ハンダが良好な濡れを示して接合不良部分に広
がってパッドとリード部との隙間を満たし、好適に補強
ハンダ付けが行われた。
は、鉛を含まず大気雰囲気でも使用可能で良好な濡れを
示す複層構造のハンダ材であり、様々な部材の接合組立
に使用できるので、その工業的価値は極めて大である。
また、本発明のハンダ材の製造方法は、このような複層
構造のハンダ材を簡便に製造でき、高品質のハンダ材を
供給することができる。
(b)を示す断面図。
(a)〜(f)を示す断面図。
らから製造される粒状ハンダ材の具体例(a)〜(d)
を示す側面図(左:軸方向に見た図、右:径方向に見た
図)。
(a)〜(c)を示す斜視図。
(a)〜(f)を示す斜視図。
Claims (5)
- 【請求項1】 互いに組成の異なる第1の金属層と第2
の金属層とを有するハンダ材であって、該第1の金属層
は一軸方向に延伸した軸性を有する形状で、該第2の金
属層は該第1の金属層の軸を包囲するように該第1の金
属層を被覆することを特徴とするハンダ材。 - 【請求項2】 前記第1の金属層は亜鉛を含有し、前記
第2の金属層は実質的に亜鉛を含有せず錫を含有する請
求項1記載のハンダ材。 - 【請求項3】 全体形状が略球形である請求項1記載の
ハンダ材。 - 【請求項4】 第1の金属材料を薄層状の第2の金属材
料で覆って被覆体を得る工程と、該被覆体を圧延によっ
て線状に延伸成形する工程とを有することを特徴とする
ハンダ材の製造方法。 - 【請求項5】 更に、延伸成形した線状成形体の軸と交
差する方向に該線状成形体切断して粒化する工程を有
し、前記第1の金属材料は亜鉛を含有し、前記第2の金
属層は実質的に亜鉛を含有せず錫を含有する請求項4記
載のハンダ材の製造方法。
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