JPH10509377A - ジルコニア／セリア支持体を含む触媒 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 危険な三酸化二窒素の還元ならびに一酸化炭素および炭化水素の酸化を触媒するのに適する触媒が提供される。この触媒は、酸化ジルコニウム、酸化セリウムおよびこれらの混合物から選択される酸化物支持体上に捕捉された、触媒として有効な形態の貴金属および好ましくはさらに遷移金属酸化物からなる。好ましい触媒は、貴金属として金および遷移金属酸化物としてスピネル構造の酸化コバルトを含有する。このような触媒中の金は、酸化コバルトと結合している。

Description

【発明の詳細な説明】 ジルコニア／セリア支持体を含む触媒 発明の背景 本発明は触媒に関する。 ＰＣＴ／ＧＢ９４／００３２１は、多孔性アルミナ支持体からなる一酸化炭素 および炭化水素の酸化に用いるための触媒であって、該支持体に捕捉させて金、 コバルトおよびマンガンから選択される遷移金属、およびアルミナからなる複合 体を含み、支持体上の金の濃度が触媒の２質量％未満であり、金と遷移金属の原 子比が１：３０〜１：２００の範囲内である触媒を開示している。これら触媒の 中で好ましい触媒は、遷移金属としてコバルトを含むものである。このアルミナ は、通常は８０〜４００m²／gの大きな表面積を持つと言及されている。 ＰＣＴ／ＧＢ９５／００１３６は、多孔性支持体上に捕捉された少なくとも２ 種類の金属(少なくとも１つは還元可能な酸化物を生成することができる)を含有 する触媒の製造方法であって、該２種類の金属の溶液を供し、支持体を該溶液の 一方に含浸させ、該含浸させた支持体を３００℃を越える温度で還元性雰囲気に 暴露し、このように処理した支持体を他の溶液に含浸させる工程を含む方法を開 示している。 米国特許Ｎo.4,957,896は、排気ガスを精製するための触媒であって、支持体 基材、該支持体基材の表面上に生成させた少なくとも１種の酸化ニッケルおよび 酸化コバルトを含む活性アルミナ被覆層、該活性アルミナ被覆層中に生成させた 酸化セリウムおよび酸化ジルコニウムからなる複合酸化物、および該活性アルミ ナ被覆層上に供した貴金属からなる触媒を開示している。この貴金属は、白金、 パラジウムまたはロジウムであってよい。酸化セリウムおよび酸化ジルコニウム からなる複合酸化物は、酸化ニッケルおよび／または酸化コバルトによる硫化水 素放出の抑制効果の低下を防止するために供され、触媒の支持体として供される のではない。 発明の要約 本発明の触媒は、酸化ジルコニウム、酸化セリウムおよびこれらの混合物から 選択される酸化物支持体上に捕捉された、触媒として有効な形態の貴金属からな る。 態様の説明 本発明の触媒における酸化物支持体は、アルミナ、シリカ、アルミノケイ酸塩 、チタニアなどの酸化物を用いる従来技術の触媒とは対照的に、酸化ジルコニウ ム、酸化セリウムまたはこれらの混合物である。即ち、この酸化物支持体は、触 媒の少なくとも５０質量％、通常は触媒の少なくとも６０質量％の量で触媒中に 存在しているであろう。この支持体は、独立して酸化ジルコニウムまたは独立し て酸化セリウムであってよい。このような酸化物の混合物を用いるのが好ましい 。支持体がこれら酸化物の混合物からなるときには、通常、酸化セリウムが混合 物の少なくとも５０質量％を構成するであろう。酸化セリウムと酸化ジルコニウ ムの好ましい質量比は、５：１〜２：１の範囲内、通常は約３：１である。 本触媒は、触媒として有効な形態の貴金属を含有する。この形態は、触媒の性 質によって変化するであろう。一般に、貴金属は金、白金、パラジウム、ロジウ ムまたは銀であろう。金が好ましい貴金属である。 一般に貴金属の濃度は低く、触媒の２質量％未満であろう。貴金属濃度は、触 媒の０．１〜０.５質量％程度であるのが好ましい。 また、本触媒は、酸化物形態の遷移金属を含有しているのが好ましい。この遷 移金属酸化物は、スピネル構造を有しているのが好ましい。スピネル構造を形成 する遷移金属酸化物の例は、酸化コバルト(Ｃo₃Ｏ₄)および三酸化二鉄(Ｆe₃Ｏ₄) である。 貴金属が金であるときには、好ましい触媒はスピネル構造を有する遷移金属酸 化物をも含有し、これに金が結合、例えばコンプレックス化している。 また、本触媒は、その熱安定性を改善することができるドーパントを含有する のが好ましいであろう。適当なドーパントの例は、アルカリ土類金属酸化物、二 酸化ケイ素およびランタニド系列の金属の酸化物である。適当な金属酸化物の例 は、酸化カルシウム、酸化バリウム、二酸化ケイ素、酸化ランタン(Ｌa₂Ｏ₃)、 酸化イットリウム(Ｙ₂Ｏ₃)および酸化ネオジム(Ｎd₂Ｏ₃)である。特に好ましい ドーパントは、酸化ランタンおよび酸化ネオジムの混合物である。存在する場合 、このドーパントは、触媒中に触媒の１５質量％まで、好ましくは２〜１０質量 ％の量で存在しているのが普通であろう。 酸化物支持体は多孔性であり、できるだけ多くの貴金属／遷移金属酸化物をそ れに捕捉することができるものである。この酸化物支持体は、できるだけ大きな 表面積、通常は８０〜２００m²／gを有しているべきである。この酸化物支持体 は任意の適当な形態であってよく、例えば、モノリス、押出し物、ペレット、リ ング、真珠様粒子、または好ましくは粉末であってよい。 触媒中の貴金属と存在している場合の遷移金属の比は、広い範囲にわたって変 化することができる。一般に、貴金属と遷移金属の原子比は１：２００を越えな いであろう。 触媒が貴金属と遷移金属酸化物の両方を含有するときには、ＰＣＴ／ＧＢ９５ ／００１３６に記載された方法によって製造するのが好ましい。この方法は、酸 化物支持体を遷移金属の溶液に含浸させ、所望によりこの生成物を乾燥し、この 含浸させた生成物を３００℃を越える温度で水素または一酸化炭素などの還元性 雰囲気に暴露し、このように処理した生成物を貴金属の溶液に含浸させ、そして 、この含浸させた生成物を乾燥することからなる。この触媒を、酸素の存在下に 少なくとも３００℃、通常は３００〜７００℃の温度に暴露することによって活 性化することができる。この酸素は、空気もしくは他のガスと混合した酸素、ま たは純粋もしくは実質的に純粋な酸素であってよい。 本発明の触媒、特にスピネル構造を有する遷移金属酸化物および金を含有する 触媒は、一酸化二窒素の還元ならびに低温および高温での一酸化炭素および炭化 水素の酸化に有効であることがわかった。このことは、本触媒を、例えば動力車 の排気系、ガス安全マスク、工業的過程および地下操作における空気の精製、種 々の工業的排出ガスの精製ならびにレーザー中の二酸化炭素の再循環において使 用するのに適したものにする。また、本触媒は、オゾンの分解を触媒しうること が見い出された。 本発明の例を以下に説明する。酸化ジルコニウムおよび酸化セリウム粉末の混 合物を、１２０℃のオーブン中で約２時間乾燥した。この粉末は約８０〜１００ m²／gの表面積を有しており、酸化セリウムと酸化ジルコニウムの比は、質量基 準で約３：１であった。 この粉末混合物を、少量の酸化ランタンおよび酸化ネオジム粉末と混合した。 この粉末混合物を、約２．７モル／Ｌの硝酸コバルトを含む硝酸コバルト溶液 に含浸させた。 この硝酸コバルト含浸した支持体を１２０℃で６〜２４時間乾燥させ、硝酸塩 から酸化物への一部分解を引き起こした。乾燥後に、この物質を水素流(３０ml ／分)下に５００℃に加熱し、２０分間この温度に維持した。これにより、硝酸 コバルト／酸化物が還元された。次いで、この物質を水素流中で室温まで冷却し た。次いで所望により、この物質を、４０℃未満の温度で空気に暴露するか、ま たは窒素中に保持した。 このように処理した生成物を、金溶液、即ちテトラクロロ金酸溶液(０.０７７ モル／Ｌ)に含浸させ、乾燥した。 この含浸した支持体を乾燥し、酸素または空気流(３０ml／分)中、約５００℃ の温度で加熱することによって活性化した。この活性化は１０〜３０分間維持し た。 この方法によって製造した触媒は、一酸化二窒素ガスの還元および一酸化炭素 および炭化水素の酸化を触媒するのに有効であることがわかった。 この触媒は、次の組成(質量％)を有することがわかった： ０.５％金、１９.５％コバルト、７０％酸化ジルコニウム／酸化セリウム； ５％酸化ランタンおよび５％酸化ネオジム(ドーパントとして)； 酸化コバルト(Ｃo₃Ｏ₄)はスピネル構造を持ち； 金は酸化コバルトスピネルと結合(コンプレックス化)している。 上記の金／酸化コバルト／酸化ジルコニウム−酸化セリウム触媒の、炭化水素 および一酸化炭素の酸化における触媒活性を、ＰＣＴ／ＧＢ９４／００３２１に 記載および特許請求されている種類の金／酸化コバルト／アルミナ触媒と比較し た。得られた結果を表１に示す。 上記から、本発明の触媒は、特に比較的低い温度での炭化水素の酸化において 、有意に良好な酸化触媒活性を有することがわかるであろう。 また、ランタンおよびネオジムドーパントを含むかまたは含まない上記の金／ 酸化コバルト／酸化ジルコニウム−酸化セリウム触媒の触媒活性を、それらの一 酸化炭素および炭化水素の酸化を触媒する能力について比較した。得られた結果 を表２に示す。 ドーパントを含む触媒は、ドーパントを含まない触媒よりも熱的に安定である ことが示され、低温でより高い酸化触媒活性を有していた。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，Ｕ Ｇ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，Ｂ Ｙ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ， ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，Ｌ Ｖ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ， ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ (71)出願人 タミルティ，ジェイムズ・アンソニー・ジ ュード 南アフリカ共和国2128サントン、リボニ ア、ファースト・アベニュー７ビー番 (71)出願人 ガフィン，アンソニー・ハロルド 南アフリカ共和国2192ヨハネスブルク、グ レンヘイゼル、ファー・ロード64番 (72)発明者 グリゴロワ，ボジダラ 南アフリカ共和国2196サントン、ハイド・ パーク、モルシム・ロード52番 (72)発明者 パラゾフ，アタナス 南アフリカ共和国2195ヨハネスブルク、ノ ースクリフ、ピッチフォード・ロード15番 (72)発明者 メラー，ジョン 南アフリカ共和国2196ヨハネスブルク、ク レイグホール・パーク、ベッドフォード・ アベニュー22番 (72)発明者 タミルティ，ジェイムズ・アンソニー・ジ ュード 南アフリカ共和国2128サントン、リボニ ア、ファースト・アベニュー７ビー番 (72)発明者 ガフィン，アンソニー・ハロルド 南アフリカ共和国2192ヨハネスブルク、グ レンヘイゼル、ファー・ロード64番

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．酸化ジルコニウム、酸化セリウムおよびこれらの混合物から選択される酸 化物支持体上に捕捉された、触媒として有効な形態の貴金属からなる触媒。 ２．酸化物支持体が、触媒の少なくとも５０質量％の量で触媒中に存在する請 求項１に記載の触媒。 ３．酸化物支持体が、触媒の少なくとも６０質量％の量で触媒中に存在する請 求項１に記載の触媒。 ４．酸化物支持体が、酸化ジルコニウムと酸化セリウムの混合物である前記請 求項のいずれかに記載の触媒。 ５．酸化セリウムが、混合物の少なくとも５０質量％を構成する請求項４に記 載の触媒。 ６．酸化セリウムと酸化ジルコニウムの質量比が５：１〜２：１の範囲内であ る請求項４または５に記載の触媒。 ７．酸化物形態の遷移金属をさらに含有する請求項１に記載の触媒。 ８．遷移金属酸化物がスピネル構造を有するものである請求項７に記載の触媒 。 ９．遷移金属酸化物が、酸化コバルトおよび三酸化二鉄から選択される請求項 ７に記載の触媒。 10．貴金属が金であり、スピネル構造を有する遷移金属酸化物も存在し、金が この遷移金属酸化物と結合している請求項１に記載の触媒。 11．熱安定性を改善することができるドーパントをさらに含有する請求項１に 記載の触媒。 12．ドーパントが、アルカリ土類金属酸化物、二酸化ケイ素およびランタニド 系列の金属の酸化物から選択される請求項11に記載の触媒。 13．ドーパントが、酸化カルシウム、酸化バリウム、二酸化ケイ素、酸化ラン タン、酸化イットリウムおよび酸化ネオジムから選択される請求項11または12に 記載の触媒。 14．ドーパントが酸化ランタンおよび酸化ネオジムの混合物である請求項11〜 13のいずれかに記載の触媒。 15．ドーパントが触媒の１５質量％までの量で触媒中に存在する請求項11〜14 のいずれかに記載の触媒。 16．ドーパントが触媒の２〜１０質量％の量で触媒中に存在する請求項11〜15 のいずれかに記載の触媒。 17．酸化物支持体が８０〜２００m²／gの表面積を有するものである前記請求 項のいずれかに記載の触媒。 18．酸化物支持体が、モノリス、押出し物、ペレット、リング、真珠様粒子、 または粉末の形態を有するものである前記請求項のいずれかに記載の触媒。