JPH1045034A - 車体前部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダッシュパネルの振動に起因する車体の振動
及び騒音を抑える。 【解決手段】 ダッシュパネル１８の車幅方向外側端縁
部に形成されたフランジ１８Ａがフロントピラー２２の
側部閉断面部２７に結合されている。また、ダッシュパ
ネル１８の上部を構成するダッシュアッパパネル２１の
車両上端縁部に形成されたフランジ２１Ｂが、カウルリ
インフォースメント４４の上部閉断面部４６に結合され
ている。ダッシュパネル１８の下部を構成するダッシュ
ロアパネル１９の車両下端縁部近傍は、ダッシュクロス
メンバ２８とで車幅方向に延びる下部閉断面部３０を形
成している。即ち、ダッシュパネル１８の左右方向両端
縁部及び上下両端縁部が、それぞれ、側部閉断面部２
７、上部閉断面部４６、下部閉断面部３０にそれぞれ結
合されており、これらの４辺の支持剛性が高くなってい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は車体前部構造に係
り、特に、ダッシュパネルを補強するための車体前部構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ダッシュパネルを補強する車体前
部構造の一例としては、特開平４−２９７３８２号公報
に示される構造が知られている。

【０００３】図５に示される如く、この車体前部構造で
は、ダッシュパネル７０の前面７０Ａとで車幅方向に延
びる閉断面部を形成するメンバー７２を設け、このメン
バー７２をダッシュパネル７０と、左右のフロントサイ
ドメンバ７４、７６の各後端部７４Ａ、７６Ａとに固定
している。また、ダッシュパネル７０の上下両端はカウ
ル７８とフロアパネル８０に結合されており、ダッシュ
パネル７０の下端にはダッシュロアメンバ８２が固着さ
れている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この車
体前部構造では、ダッシュパネル７０の上端がカウル７
８の板部に結合されており、ダッシュパネル７０の左右
両端縁部がそれぞれ、左右のフロントピラー８４、８６
の前方に配設されたカウルサイドパネル等の板部に連結
されている。このため、ダッシュパネル７０の左右両端
の支持強度及び支持剛性が必ずしも充分でなく、ダッシ
ュパネル７０の振動がダッシュパネル７０の周囲に配設
された他のパネルに伝達され車体の振動及び騒音の原因
となる恐れがあった。

【０００５】本発明は上記事実を考慮し、ダッシュパネ
ルの振動に起因する車体の振動及び騒音を抑えることが
できる車体前部構造を得ることが目的である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の本発明の
車体前部構造はダッシュパネルの左右両端縁部が結合さ
れる車両上下方向に延びる側部閉断面部を有するフロン
トピラーと、ダッシュパネルの上端縁部が結合される車
幅方向に延びる上部閉断面部を有し、該上部閉断面部の
左右両側が前記側部閉断面部に結合しているカウルと、
車幅方向に延びる下部閉断面部をダッシュパネルの下端
縁部とで形成し、該下部閉断面部の左右両側が前記側部
閉断面部に結合している下部閉断面部形成部材と、を、
備えたことを特徴としている。

【０００７】従って、ダッシュパネルの左右両端縁部が
車両上下方向に延びる側部閉断面部に結合され、ダッシ
ュパネルの上端縁部が車幅方向に沿って延びる上部閉断
面部に結合され、さらに、ダッシュパネルの下端縁部に
車幅方向に延びる下部閉断面部が形成されている。即
ち、ダッシュパネルの周囲が各閉断面部で支持されてお
り、ダッシュパネルの支持剛性が向上し、ダッシュパネ
ル自体が振動し難く、且つダッシュパネルの振動がダッ
シュパネルの周囲に配設されたパネルに伝達され難い。

【０００８】請求項２記載の本発明は、請求項１記載の
本発明の車体前部構造において、ダッシュパネルの上下
中間部とで車幅方向に沿った中間部閉断面部を形成する
中間部閉断面部形成部材と、トンネル部に沿ったトンネ
ル部閉断面部をダッシュパネルに形成されたトンネル部
とで形成し、該トンネル部閉断面部が前記中間部閉断面
部と前記下部閉断面部とを連結するトンネル部閉断面部
形成部材と、後部とダッシュパネルとで前記トンネル部
閉断面部の車幅方向外側に略平行にフロントサイドメン
バ閉断面部を形成するフロントサイドメンバと、を備え
たことを特徴としている。

【０００９】従って、ダッシュパネルを中間部閉断面
部、中間部閉断面部と下部閉断面部とを連結するトンネ
ル部閉断面部、及び、フロントサイドメンバ閉断面部と
で支持するため、ダッシュパネル内でも振動の伝播を抑
制できる。また、フロントサイドメンバから入力される
衝突エネルギーを各断面に分散させて客室変形量を減少
させることができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の車体前部構造の一実施形
態を図１〜図４に従って説明する。

【００１１】なお、図中矢印ＦＲは車両前方方向を、矢
印ＵＰは車両上方方向を、矢印ＩＮは車幅内側方向を示
す。

【００１２】図２に示される如く、本実施形態の車体前
部１０には、車幅方向両端下部近傍に車体前後方向に沿
って左右一対のフロントサイドメンバ１２が配設されて
いる（車両左側の部材は図示省略）。フロントサイドメ
ンバ１２は、フロントサイドメンバ１２の車幅方向外側
部を構成するフロントサイドメンバアウタパネル１４
と、フロントサイドメンバ１２の車幅方向内側部を構成
するフロントサイドメンバインナパネル１６とで構成さ
れており、車両前後方向へ延びる閉断面構造とされてい
る。

【００１３】図１に示される如く、フロントサイドメン
バ１２の後部１２Ａは、ダッシュパネル１８の下部を構
成するダッシュロアパネル１９に沿って車両後方斜め下
方へ延設されており、フロントサイドメンバ１２の後部
１２Ａは、ダッシュロアパネル１９とでフロントサイド
メンバ閉断面部１７を形成している。なお、ダッシュパ
ネル１８は、ダッシュロアパネル１９とダッシュパネル
１８の上部を構成するダッシュアッパパネル２１とで構
成されている。

【００１４】フロントサイドメンバ１２のダッシュロア
パネル１９との当接部には、車幅方向外側と車幅方向内
側へ向けてフランジ１２Ｂとフランジ１２Ｃとが形成さ
れており、これらのフランジ１２Ｂ、１２Ｃがダッシュ
ロアパネル１９にスポット溶接によって結合されてい
る。

【００１５】フロントサイドメンバ１２の後方には、ダ
ッシュパネル１８を挟んで中間部閉断面部形成部材とし
てのピラーブレース２０が配設されており、このピラー
ブレース２０はフロントサイドメンバ１２のダッシュパ
ネル１８との結合部を補強している。ピラーブレース２
０の車幅内側方向から見た断面形状は、ダッシュパネル
１８側（車両前側）に開口部を向けたハット状とされて
おり、開口部に車両上下方へ向けて形成されたフランジ
２０Ａ、２０Ｂが、ダッシュパネル１８の後面に結合さ
れている。従って、ピラーブレース２０はダッシュパネ
ル１８とで車幅方向に延びる中間部閉断面部２３を形成
している。

【００１６】ピラーブレース２０の車幅方向内側部２０
Ｃは、ダッシュロアパネル１９を挟んでフロントサイド
メンバ１２のフランジ１２Ｂに結合されている。また、
ピラーブレース２０は車幅外側端部には、フランジ２０
Ｄが形成されており、このフランジ２０Ｄが、フロント
ピラー２２に結合されている。

【００１７】図３に示される如く、フロントピラー２２
は、フロントピラー２２の車幅方向外側部を構成するフ
ロントピラーアウタパネル２４と、フロントピラー２２
の車幅方向内側部を構成するフロントピラーインナパネ
ル２６とで構成されており、車両上下方向へ延びる側部
閉断面部２７を形成している。ダッシュパネル１８の車
幅方向外側縁部には、車両後方へ向けたフランジ１８Ａ
が形成されており、このフランジ１８Ａがフロントピラ
ー２２の側部閉断面部２７に結合されている。

【００１８】図４に示される如く、ダッシュロアパネル
１９の下部には、車両後方下側へ向けて傾斜した傾斜面
１９Ｂが形成されており、この傾斜面１９Ｂの車両前方
側には、下部閉断面部形成部材としてのダッシュクロス
メンバ２８が配設されている。このダッシュクロスメン
バ２８は、側面視でＬ字状とされており、前壁部２８Ａ
の上端縁部が、ダッシュロアパネル１９の縦壁部１９Ｃ
に結合されている。また、下壁部２８Ｂの後端縁部が、
ダッシュロアパネル１９の下壁部１９Ｄに結合されてお
り、ダッシュクロスメンバ２８とダッシュロアパネル１
９とで車幅方向に沿って延びる下部閉断面部３０を形成
している。

【００１９】図１に示される如く、下部閉断面部３０の
車幅方向両端部は、下部閉断面部形成部材としてのトル
クボックス３１を介して側部閉断面部２７の下部に結合
されている。また、ダッシュアッパパネル２１の下端部
には、側断面視で前方へＶ字状に突出した屈曲部２１Ａ
が形成されており、この屈曲部２１Ａの開口を、ダッシ
ュロアパネル１９の上端部１９Ｅが塞いでいる。従っ
て、ダッシュアッパパネル２１とダッシュロアパネル１
９とで車幅方向に延びる中間部閉断面部３２を形成して
いる。この中間部閉断面部３２の両端部は、それぞれフ
ロントサイドメンバ１２の後部１２Ａに達しており、中
間部閉断面部３２の車両上下方向の位置は、ピラーブレ
ース２０の車両上下方向の位置と一致している。

【００２０】また、中間部閉断面部３２の車幅方向中央
部には、トンネル部閉断面部形成部材としてのトンネル
リインフォースメント３６の前端上部３６Ａが結合され
ている。トンネルリインフォースメント３６は、ダッシ
ュロアパネル１９に形成されたトンネル部３４上に配設
されており、トンネルリインフォースメント３６は、ト
ンネル部３４とで、車両前後方向に平行に延びる一対の
トンネル部閉断面部３８、４０を形成している。

【００２１】図４に示される如く、ダッシュアッパパネ
ル２１の上端縁部には、車両後方へ向けてフランジ２１
Ｂが形成されており、このフランジ２１Ｂは、カウル４
２の下壁部４２Ａの下面に結合されている。カウル４２
は車幅方向に延設されており、車幅方向から見た断面形
状は、開口部を上方へ向けたハット状とされている。ハ
ット状とされカウル４２の内側後部には、カウルリイン
フォースメント４４が配設されており、このカウルリイ
ンフォースメント４４の車幅方向から見た断面形状は逆
Ｌ字状になっている。カウルリインフォースメント４４
の上壁部４４Ａの後端縁部は、カウル４２の開口縁部後
側に形成されたフランジ４２Ｂに結合されており、カウ
ルリインフォースメント４４の縦壁部４４Ｂの下端縁部
には、車両前方へ向けてフランジ４４Ｃが形成されてい
る。カウルリインフォースメント４４のフランジ４４Ｃ
は、カウル４２の下壁部４２Ａの上面に結合されてい
る。

【００２２】従って、カウルリインフォースメント４４
はカウル４２とで車幅方向に延びる上部閉断面部４６を
形成しており、この上部閉断面部４６にダッシュアッパ
パネル２１の上端縁部に形成されたフランジ２１Ｂが結
合されている。

【００２３】図１に示される如く、上部閉断面部４６の
車幅方向両端部は、上部閉断面部４６の車幅方向両端部
を形成するブラケット４８を介して、側部閉断面部２７
に結合されている。

【００２４】次に、本実施形態の作用を説明する。本実
施形態の車体前部構造では、図３に示される如く、ダッ
シュパネル１８の車幅方向外側端縁部に形成されたフラ
ンジ１８Ａがフロントピラー２２の側部閉断面部２７に
結合されている。また、図４に示される如く、ダッシュ
パネル１８の上部を構成するダッシュアッパパネル２１
の車両上端縁部に形成されたフランジ２１Ｂが、カウル
リインフォースメント４４の上部閉断面部４６に結合さ
れている。さらに、ダッシュパネル１８の下部を構成す
るダッシュロアパネル１９の車両下端縁部近傍は、ダッ
シュクロスメンバ２８とで、車幅方向に延びる下部閉断
面部３０を形成している。即ち、本実施形態では、ダッ
シュパネル１８の左右方向両端縁部及び上下両端縁部
が、それぞれ、側部閉断面部２７、上部閉断面部４６、
及び下部閉断面部３０にそれぞれ結合されており、これ
らの４辺の支持剛性が高くなっている。

【００２５】従って、ダッシュパネル１８に入った振動
が、ダッシュパネル１８の周囲に配設された、フロアパ
ネル等の他のパネルに伝わり難くなるため、ダッシュパ
ネル１８の振動に起因する車体の振動及び騒音を抑える
ことができる。

【００２６】また、本実施形態の車体前部構造では、図
２に示されるフロントスプリングサポート５０に結合さ
れたフロントサイドメンバ１２の後部１２Ａと、ダッシ
ュパネル１８との結合部が振動の入力点となるが、図１
に示される如く、この部位が、中間部閉断面部２３、３
２、側部閉断面部２７、下部閉断面部３０を形成するト
ルクボックス３１及びトンネル閉断面部３８、４０に
て、分割されているため、ダッシュパネル１８内でも振
動の伝播を抑制することが可能となる。同時に、フロン
トサイドメンバ１２の後部１２Ａの支持剛性も向上で
き、フロントサイドメンバ１２の振動も抑制できる。

【００２７】また、本実施形態の車体前部構造では、図
３に示される如く、ダッシュパネル１８の車幅方向外側
端縁部に形成されたフランジ１８Ａがフロントピラー２
２の側部閉断面部２７に直接結合されている。このた
め、従来構造の様に、ダッシュパネル１８の車幅方向外
側端縁部を、フロントスプリングサポート５０に接続さ
れるダッシュカウル等のパネル部材を介してフロントピ
ラー２２に接続する構成に比べ、フロントスプリングサ
ポート５０からの振動がダッシュパネル１８に入り難く
なり、騒音対策上有利になる。

【００２８】また、本実施形態の車体前部構造では、前
突時、ダッシュパネル１８の変形を抑制でき、ダッシュ
パネル１８の変形に起因する他部品の変形を抑制できる
とともに、車室変形量も抑制できる。

【００２９】以上に於いては、本発明を特定の実施形態
について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に
限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々
の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかで
ある。

【００３０】

【発明の効果】請求項１記載の本発明の車体前部構造
は、ダッシュパネルの左右両端縁部が結合される車両上
下方向に延びる側部閉断面部を有するフロントピラー
と、ダッシュパネルの上端縁部が結合される車幅方向に
延びる上部閉断面部を有し、上部閉断面部の左右両側が
側部閉断面部に結合しているカウルと、車幅方向に延び
る下部閉断面部をダッシュパネルの下端縁部とで形成
し、下部閉断面部の左右両側が側部閉断面部に結合して
いる下部閉断面部形成部材と、を備えた構成としたの
で、ダッシュパネルの振動に起因する車体の振動及び騒
音を抑えることができるという優れた効果を有する。

【００３１】請求項２記載の本発明は、請求項１記載の
本発明の車体前部構造において、ダッシュパネルの上下
中間部とで車幅方向に沿った中間部閉断面部を形成する
中間部閉断面部形成部材と、トンネル部に沿ったトンネ
ル部閉断面部をダッシュパネルに形成されたトンネル部
とで形成し、トンネル部閉断面部が中間部閉断面部と下
部閉断面部とを連結するトンネル部閉断面部形成部材
と、後部とダッシュパネルとでトンネル部閉断面部の車
幅方向外側に略平行にフロントサイドメンバ閉断面部を
形成するフロントサイドメンバと、を備えた構成とした
ので、請求項１記載の効果に加えて、ダッシュパネル内
でも振動の伝播を抑制できるという優れた効果を有す
る。また、フロントサイドメンバから入力される衝突エ
ネルギーを各断面に分散させて客室変形量を減少させる
ことができるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る車体前部構造を示す
車両斜め後方内側から見た斜視図である。

【図２】本発明の一実施形態に係る車体前部構造を示す
車両斜め前方内側から見た斜視図である。

【図３】図１の３−３線に沿った断面図である。

【図４】図１の４−４線に沿った断面図である。

【図５】従来の実施形態に係る車体前部構造を示す斜視
図である。

【符号の説明】

１０ 車体前部 １２ フロントサイドメンバ １７ フロントサイドメンバ閉断面部 １８ ダッシュパネル １９ ダッシュロアパネル ２０ ピラーブレース（中間部閉断面部形成部材） ２２ フロントピラー ２３ 中間部閉断面部 ２７ 側部閉断面部 ２８ ダッシュクロスメンバ（下部閉断面部形成部
材） ３０ 下部閉断面部 ３１ トルクボックス（下部閉断面部形成部材） ３２ 中間部閉断面部 ３６ トンネルリインフォースメント（トンネル部閉
断面部形成部材） ３８ トンネル部閉断面部 ４０ トンネル部閉断面部 ４２ カウル ４４ カウルリインフォースメント ４６ 上部閉断面部 ４８ ブラケット

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダッシュパネルの左右両端縁部が結合さ
   れる車両上下方向に延びる側部閉断面部を有するフロン
   トピラーと、 ダッシュパネルの上端縁部が結合される車幅方向に延び
   る上部閉断面部を有し、該上部閉断面部の左右両側が前
   記側部閉断面部に結合しているカウルと、 車幅方向に延びる下部閉断面部をダッシュパネルの下端
   縁部とで形成し、該下部閉断面部の左右両側が前記側部
   閉断面部に結合している下部閉断面部形成部材と、 を、備えたことを特徴とする車体前部構造。
2. 【請求項２】 ダッシュパネルの上下中間部とで車幅方
   向に沿った中間部閉断面部を形成する中間部閉断面部形
   成部材と、 トンネル部に沿ったトンネル部閉断面部をダッシュパネ
   ルに形成されたトンネル部とで形成し、該トンネル部閉
   断面部が前記中間部閉断面部と前記下部閉断面部とを連
   結するトンネル部閉断面部形成部材と、 後部とダッシュパネルとで前記トンネル部閉断面部の車
   幅方向外側に略平行にフロントサイドメンバ閉断面部を
   形成するフロントサイドメンバと、 を備えたことを特徴とする請求項１記載の車体前部構
   造。