JPH10245652A - 接点材料 - Google Patents

接点材料

Info

Publication number
JPH10245652A
JPH10245652A JP9052901A JP5290197A JPH10245652A JP H10245652 A JPH10245652 A JP H10245652A JP 9052901 A JP9052901 A JP 9052901A JP 5290197 A JP5290197 A JP 5290197A JP H10245652 A JPH10245652 A JP H10245652A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
contact
contact material
tungsten carbide
silver
alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9052901A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3598195B2 (ja
Inventor
Isao Okutomi
功 奥富
Shigeaki Sekiguchi
薫旦 関口
Atsushi Yamamoto
敦史 山本
Keisei Seki
経世 関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SHIBAFU ENG KK
Toshiba Corp
Toshiba Development and Engineering Corp
Original Assignee
SHIBAFU ENG KK
Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SHIBAFU ENG KK, Toshiba Corp, Toshiba Electronic Engineering Co Ltd filed Critical SHIBAFU ENG KK
Priority to JP5290197A priority Critical patent/JP3598195B2/ja
Priority to DE69834448T priority patent/DE69834448T2/de
Priority to EP98301684A priority patent/EP0863521B1/en
Priority to CN98107837A priority patent/CN1071925C/zh
Priority to US09/037,032 priority patent/US6024896A/en
Publication of JPH10245652A publication Critical patent/JPH10245652A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3598195B2 publication Critical patent/JP3598195B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C29/00Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides
    • C22C29/02Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides based on carbides or carbonitrides
    • C22C29/06Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides based on carbides or carbonitrides based on carbides, but not containing other metal compounds
    • C22C29/08Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides based on carbides or carbonitrides based on carbides, but not containing other metal compounds based on tungsten carbide
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
    • H01H1/00Contacts
    • H01H1/02Contacts characterised by the material thereof
    • H01H1/0203Contacts characterised by the material thereof specially adapted for vacuum switches

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は信頼性の高い接点材料を提供するこ
とを課題としている。 【解決手段】 本発明の接点材料は、平均粒径が0.1
乃至6μmの炭化タングステンWCを重量割合で55乃
至70%含有する銀−炭化タングステン合金からなる接
点材料に於いて、等価直径が0.01乃至5μmで、し
かも非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボ
ンCが重量割合で0.005乃至0.2%存在している
ことを特徴としている。 【効果】 本発明により接点材料の遮断性能を向上させ
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた裁断特性と
耐電圧特性を必要とする真空遮断器などの開閉電極に用
いられる接点材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の真空バルブの接点は、耐溶着特
性、耐電圧特性および遮断特性で代表される基本三要件
の他に、裁断特性、耐消耗性、接触抵抗特性および温度
上昇特性などを維持し向上させるために種々の素材から
構成されている。しかし、上述の要求特性は互いに相反
する材料物性を要求する場合が多いことから、1っの元
素で十分満足させることは不可能とされている。そこ
で、材料の複合化や素材張り合わせなどによって、大電
流遮断用途、高耐電圧用途または低裁断用途などのよう
に特定の用途に合った接点材料の開発が行われ、それな
りに優れた特性を発揮している。
【0003】上記基本三要件を満たした大電流遮断用接
点材料として、例えば特公昭41−12131号や特公
昭44−23751号に記載されているとうに、ビスマ
スBiやテルルTeのような溶着防止成分を5重量%以
下含有する銅−ビスマス(Cu−Bi)合金や、銅−テ
ルル(Cu−Te)合金などが知られている。
【0004】しかし、銅−ビスマス合金は結晶粒界に析
出した脆いビスマスBiが、また、銅−テルル合金は結
晶粒界および結晶粒内に析出した脆いCu2 Teが合金
自体を脆化させ、低溶着引き外し力が実現したことから
大電流遮断特性に優れている。 同じく基本三要件を満
たした高耐圧・大電流遮断用接点材料としては、銅−ク
ロム(Cu−Cr)合金が知られている。この銅−クロ
ム合金は銅−ビスマス合金や銅−テルル合金よりも、構
成成分間の蒸気圧差が少ないため、均一な性能発揮を期
待し得る利点があり使い方によっては優れたものであ
る。
【0005】一方、低裁断性接点材料としては、例えば
特願昭42−68447号に記載されているように、銀
−炭化タングステン(Ag−wc)合金(銀が40%)
が知られている。この合金は炭化タングステンWCの熱
電子放出効果と銀Agの適度な蒸気圧との相乗的な作用
によって優れた低裁断性を発揮するので広く多用されて
いる。
【0006】それで、真空遮断器は下記2つの課題を一
層改善すれば更に高性能化が計られると言える。その1
つは、真空バルブを十分に配慮することなしに電動機負
荷などの誘導性回路に用いて電流を遮断する時には、過
渡の異常サージ電圧が発生し、負荷機器の絶縁性に悪影
響を与える場合があると言うことである。
【0007】この異常サージ電圧の発生原因は、真空中
に於ける遮断時に、低電流側で発生する裁断現象(交流
電流波形の自然零点を待たずに強制的に電流遮断を行う
こと)によるものである。この場合、異常サージ電圧の
値Vsは、回路のサージインピーダンスZoと電流裁断
値Icに比例する。従って、異常サージ電圧の値Vsを
低く抑制するための一手段としては、電流裁断値Icを
低くする必要があり、銀−炭化タングステン合金がこの
要求に対して有益な接点合金の1つとして利用されてい
る。
【0008】他の1つは、真空遮断器には電流遮断後に
真空バルブ内で閃絡が発生し、接点間が再び導通状態に
なる(その後放電は継続しない)現象を誘起する場合が
ある。この現象を再点弧と呼び、その発生メカニズムは
未解明であるが、電気回路がー度電流遮断状態となった
後に、再び導通状態に急激に変化するため、異常過電圧
が発生しやすい。
【0009】銀−炭化タングステン合金を使用した遮断
器でも、コンデンサバンク(群)を遮断させ再点弧を発
生させる実験によれば、極めて大きな過電圧の発生や、
過大な高周波電流の発生が観測されるため、銀−炭化タ
ングステン合金に対して再点弧発生を抑制させる技術の
開発が求められている。
【0010】銀−炭化タングステン合金の再点弧現象の
発生メカニズムは未だ知られていないが、本発明者らの
実験における観察によれば、再点弧は真空バルブ内の接
点/接点間、接点/アークシールド間でかなり高い頻度
で発生している。その為、本発明者らは、例えば接点が
アークを受けた時に放出される突発性ガスを抑制する技
術や接点の表面形態を最適化する技術など、再点弧の発
生抑制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生の
抑制に貢献した。
【0011】すなわち、銀−炭化タングステン合金の加
熱過程で放出されるガス総量、ガスの種類並びに放出形
態に注目し、再点弧発生との相関を詳細に観察を行った
ところ、溶融点の近傍で極めて短時間ではあるが、パル
ス状に突発的に放出されるガスが多い接点では、再点弧
発生率も高くなることを見出だした。
【0012】そこで銀Agの溶融温度以上にて加熱する
など、予め銀−炭化タングステン合金中の突発的ガス放
出の一因を除去しておくことや、銀−炭化タングステン
合金の中のポアや組織的偏析を抑制するように焼結技術
を改良することなどによって、再点弧現象の発生を低減
させた。しかし、近年の更なる再点弧発生抑制要求に対
しては、尚、改善の必要性を認めると共に他の施策の開
発が重要となっている。
【0013】近年では、顕著な傾向としてリアクトル回
路、コンデンサ回路などへの適応拡大など、需要家の使
用条件の過酷化と共に負荷の多様化が進行し、低裁断性
の銀−炭化タングステン合金に対しても、一層の低裁断
化と、一層の低再点弧性をも兼備することの要求が高ま
り、それに伴う接点材料の開発や改良が急務となってい
る。特に、コンデンサ回路では通常の2倍、3倍の電圧
が印加される関係上、電流遮断や電流開閉時のア−クに
よって接点の表面が著しく損傷し、その結果、接点の表
面荒れや脱落消耗を招き、再点弧発生の一因と考えられ
ることから接点消耗についても低消耗化が必要である。
しかし、再点弧現象は製品の信頼性向上の観点から重要
であるにもかかわらず、未だ防止技術はむろんのこと、
直接的な発生原因についても明らかにはなっていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】低裁断型接点材料とし
ては、前記した銅−ビスマス合金、銅−テルル合金ある
いは銅−クロム合金に優先して銀−炭化タングステン合
金を適用してきたが、さらに強まる低再点弧化の要求に
対しては十分な接点材料とはいえない実情である。すな
わち今まで低裁断型接点材料として優先して使用してき
た銀−炭化タングステン合金でも、より過酷な高電圧領
域及び突入電流を伴う回路では、やはり再点弧現象の発
生が観察されている。そこで上記基本三要件を一定レベ
ルに維持した上で、特に低裁断性と再点弧特性とに優れ
た接点材料の開発が望まれている。
【0015】そこで本発明は上記の事情に鑑みてなされ
たもので、銀−炭化タングステン合金の冶金的諸条件を
最適化することにより、裁断特性と再点弧特性とを向上
させることが出来る接点材料を提供することを目的とし
ている。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した接点
材料は、平均粒径0.1〜6μmの炭化タングステンW
Cを55〜70%(重量%。以下同様)含有する銀−炭
化タングステン合金に於いて、大きさが0.01〜5μ
m(球に換算した時の直径。以下同様)の範囲にあり、
かつ非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボ
ンCが0.005〜0.2%存在していることを特徴と
している。
【0017】請求項2に記載した接点材料は、平均粒径
0.1〜5μmのコバルトCoを5%以下(ゼロ含
む)、平均粒径0.1〜6μmの炭化タングステンWC
を55〜70%含有するAg−WC−Co合金に於い
て、大きさが0.01〜5μmの範囲にあり、かつ非固
溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが
0.005〜0.2%存在している事を特徴としてい
る。
【0018】請求項3に記載した接点材料は、鉄Feを
0.01〜0.5%含有した銀−炭化タングステン合金
または銀−炭化タングステン−コバルト合金に於いて、
大きさが0.01〜5μmの範囲にあり、かっ非固溶状
態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが0.0
05〜0.2%存在していることを特徴としている。
【0019】請求項4に記載した接点材料は、ビスマス
Bi、アンチモンSbおよびテルルTeのうち少なくと
も1っを0.05〜0.5%含有した銀−炭化タングス
テン合金、銀−炭化タングステン−コバルト合金に於い
て、大きさが0.01〜5μmの範囲にあり、かつ非固
溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが
0.005〜0.2%存在していることを特徴としてい
る。
【0020】請求項5に記載した接点材料は、非固溶状
態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCは銀−炭
化タングステン系合金中に高度に分散分布し、そのカー
ボン粒子の間隙は、最隣接するカーボン粒子の大きさよ
り大きく十分隔離していることを特徴としている。
【0021】請求項6に記載した接点材料は、接点材料
接触面から内部の方向(垂直の方向)に向かってCu量
を増加させたことを特徴としている。
【0022】請求項7に記載した接点材料は、接点材料
接触面の他方の面にCu層を付与したことを特徴として
いる。
【0023】請求項8に記載した接点材料は、接点材料
接触面の厚さを0.3mm以上の厚さとしたことを特徴
としている。
【0024】請求項9に記載した接点材料は、接点材料
接触面の平均表面粗さ(Rave.)を10μm以下、
最小値を0.05μm以上としたことを特徴としてい
る。
【0025】請求項10に記載した接点材料は、接点材
料接触面の表面に10kV以上の電圧を印加した状態で
1〜10mAの電流を遮断させ表面仕上げしたことを特
徴としている。
【0026】前記した様に、銀−炭化タングステン合金
は低裁断性接点材料として安定した特性を発揮する接点
として使用されている。しかし、前記した裁断特性と再
点弧特性を同時に改善する要求に対しては更に改良する
必要がある。近年の遮断器では両特性をより低い値にす
ること事と同時に、特に所定回数を開閉させた後もその
低い値を維持する事とそのばらつき幅も低い値とする事
が極めて重要である。銀−炭化タングステン接点に外部
磁界(例えば縦磁界技術)を与え、大電流を遮断した場
合、遮断により発生したアークは、アーク電圧の低い部
分に停滞し集中することが抑止され、接点電極面上を移
動する。これによって低裁断特性を維持した上、再点弧
発生率の低減化に寄与している。すなわち、接点電極上
をアークは容易に移動するため、アークの拡散が促進さ
れ、遮断電流を処理する接点電極面積の実質的増加につ
ながり、アークの停滞、集中が低減化される結果、接点
電極の局部的異常蒸発現象の阻止、表面荒れの軽減化の
利益も得られ、再点弧抑制に寄与する。
【0027】しかし、一定値以上の電流値を遮断する
と、アークは予測出来ない一点もしくは複数点の場所で
停滞し、異常融解させ遮断限界に至る。また、異常融解
は銀−炭化タングステン接点材料の、瞬時的爆発的な蒸
発によって発生した金属蒸気は、開極過程にあった真空
遮断器の絶縁回復性を著しく阻害し、遮断限界の一層の
劣化を招く。
【0028】さらに、異常融解は巨大な融滴を作り、接
点電極面の荒れを招き、耐電圧特性の低下、再点弧発生
率の増加、材料の異常な消耗をも招く。これらの現象の
原因となるア−クが、接点電極面上のどこで停滞するか
は前述したように全く予測出来ない以上、発生したアー
クが停滞させることなく移動拡散できるような表面条件
を接点に与えることが望ましい。
【0029】その望ましい条件として、本発明では銀−
炭化タングステン合金中の炭化タングステンWCの量や
カーボンCの量を最適化すると共に、カーボンCの大き
さを最適化した。その結果再点弧抑制に有効な炭化タン
グステン粒子とカーボン粒子との密着強度の向上、接点
材料中の銀Agと炭化タングステンWCとの組織的均一
性をを図った。
【0030】その結果、アークを受けた時に選択的に優
先して蒸発、飛散する銀Agの量を少なくなるように制
御するのみならず、被アーク時の熱衝撃によっても接点
面上には、再点弧発生に対して有害な著しい亀裂発生も
抑止され、タングステン粒子の飛散脱落も軽減された。
特にカーボン量を最適量としその大きさを0.01〜5
μm以下に制限した接点合金組織が、再点弧特性の劣化
を最小限にとどめた上で、裁断特性向上と安定化に寄与
した。
【0031】以上は主として銀−炭化タングステンを代
表例として示したが、銀−炭化タングステン−コバルト
合金、銀−炭化タングステン−鉄合金あるいは銀−炭化
タングステン−コバルト−鉄合金に対しても所定条件の
カーボンCの存在は同じ傾向の効果を得る。
【0032】なお実験によれば、銀−炭化タングステン
中でのカーボンCの量や大きさを最適化することによっ
て合金組織の均一化、銀Ag、炭化タングステンWCお
よびカーボンCの一体化等の改良を図ったので、アーク
を受けた後でも、接点表面の溶融、飛散損傷が少なくな
り、再点弧抑止に重要な影響を及ぼす接点表面荒れを少
なくし、耐アーク消耗性の向上にも有益となった。
【0033】さらに、耐アーク消耗性の向上は接点表面
の平滑化を持たらし、多数回開閉後でも裁断特性、再点
弧特性のばらつき(散在)幅の縮小に有益となってい
る。これらの相乗的効果によって、裁断特性を維持した
上で銀−炭化タングステン合金の再点弧発生頻度の抑制
と耐消耗性の向上を得た。
【0034】所定比率の銀−炭化タングステン中に存在
するカーボンCが非固溶状態もしくは化合物非形成状態
にあることが好ましく、この様な状態(カーボンCが非
固溶状態もしくは化合物非形成状態)にないと,多数回
開閉後の裁断特性安定性特にそのばらつき幅が増大する
傾向となる。また、多数回開閉後の再点弧発生率に大き
なばらつきを生じさせている。
【0035】前記した様に、再点弧現象の発生メカニズ
ムは未だ知られていないが、実験の観察によれば、再点
弧は真空バルブ内の接点/接点間、接点/アークシール
ド間でかなり高い頻度で発生している。その為、例えば
接点がアークを受けた時に放出される突発性ガスの抑
制、接点表面形態の最適化などを進め、再点弧の発生抑
制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大
幅に低減化した。
【0036】しかし、近年の真空バルブに対する高耐電
圧化要求、大電流遮断化要求、小形化要求には上記接点
の改良のみではすでに限界と考えられ、これら以外に於
いても改良最適化が必要となってきた。
【0037】なお実験によれば、銀−炭化タングステン
中でのカーボンCの量や大きさを最適化することによっ
て合金組織の均一化、銀Ag、炭化タングステンWCお
よびカーボンCの一体化等の改良を図ったので、アーク
を受けた後でも、接点表面の溶融、飛散損傷が少なくな
り、再点弧抑止に重要な影響を及ぼす接点表面荒れを少
なくし、耐アーク消耗性の向上にも有益となった。
【0038】さらに、耐アーク消耗性の向上は接点表面
の平滑化を持たらし、多数回開閉後でも裁断特性、再点
弧特性のばらつき(散在)幅の縮小に有益となってい
る。これらの相乗的効果によって、裁断特性を維持した
上で銀−炭化タングステン合金の再点弧発生頻度の抑制
と耐消耗性の向上を得た。
【0039】所定比率の銀−炭化タングステン中に存在
するカーボンCが非固溶状態もしくは化合物非形成状態
にあることが好ましく、この様な状態(カーボンCが非
固溶状態もしくは化合物非形成状態)にないと,多数回
開閉後の裁断特性安定性特にそのばらつき幅が増大する
傾向となる。また、多数回開閉後の再点弧発生率に大き
なばらつきを生じさせている。
【0040】前記した様に、再点弧現象の発生メカニズ
ムは未だ知られていないが、実験の観察によれば、再点
弧は真空バルブ内の接点/接点間、接点/アークシール
ド間でかなり高い頻度で発生している。その為、例えば
接点がアークを受けた時に放出される突発性ガスの抑
制、接点表面形態の最適化などを進め、再点弧の発生抑
制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大
幅に低減化した。
【0041】しかし、近年の真空バルブに対する高耐電
圧化要求、大電流遮断化要求、小形化要求には上記接点
の改良のみではすでに限界と考えられ、これら以外に於
いても改良最適化が必要となってきた。
【0042】さらに、再点弧の発生に対する模擬実験に
よって詳細な解析した結果、接点材料が直接的に関与す
る場合と、電極構造やシールド構造など設計に関与する
場合と、予期しない高電圧暴露など電気的や機械的な外
部条件などが関係していた。また、セラミックス製の絶
縁容器の外管、接点、アークシールド、金属蓋体、通電
軸、封着金具およびベローズなど各構成部材を、適宜、
真空バルブ内へ装着したり取外ししたりしながら模擬再
点弧発生実験を行ったところ、直接アークを受ける接点
の組成、材質とその状態、その製造条件が再点弧発生に
対して重要であるとの知見を得た。特に、材質的には脆
性なため、投入時や遮断時の衝撃によって電極空間への
微小金属粒子の放出や飛散が多く観察された銅−ビスマ
ス、銅−テルルあるいは銅−クロム合金よりも高硬度で
高融点性のある銀−炭化タングステンの方が有利てある
との知見も得た。
【0043】更に重要な観察的な知見は同じ銀−炭化タ
ングステンであっても、電極空間への微小金属粒子の放
出や飛散にある程度のばらつきが存在し、銀−炭化タン
グステンの製造過程での特に焼結温度の高い方が、再点
弧発生の抑制に有利な傾向にあることであった。この観
察的な知見は銀−炭化タングステン合金の改良の必要性
と共に再点弧抑制の可能性を示唆している。
【0044】そこで、補助成分として銀−炭化タングス
テン中での所定条件の鉄Feの存在が投入時や遮断時の
衝撃による電極空間への微小金属粒子の放出や飛散の低
減に有益であることを認めた。通常は投入、遮断後の接
点表面は多数の微細突起(凹凸)が発生し、かつその一
部は飛散したり脱落したりしているが、本発明では銀−
炭化タングステン中の鉄Feの存在によって、銀Agと
炭化タングステンWCとの結び付きの強化と、極く微小
面積での延性(伸び)とを改善し、その結果微細凹凸の
発生自体を少なくすると共に、微細凹凸の先端部にある
程度の丸みを与えている効果を発揮した。そのため接点
表面の電界強化係数βは100以上から100以下に改
善されていた。
【0045】このように銀−炭化タングステン中のカー
ボンC、鉄Feの存在による電界強化係数βの改善の利
益は接点表面の平均表面粗さ(Rave.)を改善し、
重畳させる示唆ともなっている。
【0046】以上のように銀−炭化タングステンの製造
プロセスに於いて、焼結、溶浸条件や[Ag・WC]混
合粉体の解砕・分散・混合条件を組合わせて真空バルブ
を作り、再点弧発生状況を観察した実験によると、高硬
度、高融点性を保持した銀−炭化タングステンに於い
て、混合条件の最適化、組織状態の最適化、焼結技術の
最適化を行うことが再点弧抑制に有益であることを示し
ている。そして、混合条件の最適化に於いては、特に後
記する製法例1〜5で示す原料粉[銀Ag]と[炭化タ
ングステンWC]とカーボンCとの均一混合方法や、原
料粉[銀Ag]と[炭化タングステンWC]に揺動運動
と攪拌運動とを重畳させながら混合する混合方法が有効
であつた。
【0047】すなわち、再点弧現象の発生の時期と銀−
炭化タングステンの材料状態との関わりとを観察した結
果では、 (イ) 接点組織およびその状態(偏析、均一性)につ
いては、製造プロセスのうち特に混合条件の最適化と相
関し、電流遮断開閉の経過回数とは関係無くランダムな
再点弧現象の発生がみられる特徴がある。
【0048】(口) 接点表面に付着、吸着したガスや
水分の量、状態については、予め仕上げられた接点の加
工後の管理環境の問題であって、直接的に焼結技術が関
与するものではないが、電流遮断開閉の回数の比較的初
期から再点弧現象の発生が見られる特徴がある。
【0049】(ハ) 接点内部に内蔵している異物の
量、状態などの接点内部の状態については、原料粉末の
品質(Ag粉、WC粉の選択)及び原料の混合状態がポ
イントとなり、電流遮断回数の経過の比較的後半に発生
した再点弧の原因と考えられるなど製造プロセスの重要
性が示唆される。
【0050】以上から、再点弧現象の発生の時期は、電
流遮断回数の進展に対して見掛け上では、関係無く見え
るが、上記(イ)(口)(ハ)の様に各発生の時期によ
ってその原因は異なっている事が判明した。このことが
各真空バルブ毎に再点弧現象の発生にばらつきが生じて
いた重要な一因とも考えられた。
【0051】従って再点弧の各発生の時期の総てを抑制
もしくは軽減化するには、品質的に好ましい状態の原料
粉[銀Ag]と[炭化タングステンWC]とを得た後、
これらを解砕・分散・混合しながら均一で微細な[銀−
炭化タングステン]混合粉体を得る必要があり、更に所
定量のカーボンCや鉄Feの存在によって、投入、遮断
による接点表面の微細凹凸の発生の低減化と電極空間へ
の微小金属粒子の放出、飛散の低減の効果を得る事が重
要である。
【0052】
【発明の実施の形態】次に本発明の接点材料の実施の形
態を説明する。
【0053】本発明の要旨は、Ag−WC系接点を搭載
した真空バルブに於いて、補助的成分としてのCの存在
は、C量を増加させると電流裁断特性は概略向上する
が、再点弧特性は概略劣化する。この様に二律背反的関
係にある真空バルブの電流裁断特性(低裁断化とその安
定化)と再点弧現象発生の軽減化とを同時に達成させる
ために、所定量のAg−WC中に存在するCを非固溶状
態若しくは化合物形成状態とし、C量を0.005〜
0.2%の範囲に管理すると共に接点中に存在するその
大きさを0.01〜10μm(マイクロメートル)の範
囲に管理し、効果を得たものである。従って、Ag−W
C系接点材料中のCの平均粒径と量が重要なポイントと
なる。
【0054】以下に本発明の効果を明らかにした評価条
件、評価方法などを示す。
【0055】(1) 裁断特性;直径20mm、厚さ4
mmで、一方は平面、他方が50mmRの所定接点を着
脱式の裁断電流テスト用真空遮断装置に装着する。10
−3Pa(パスカル)以下に排気し、接点表面をベーキ
ング、放電エージングなどで清浄化した後、この装置を
0.8m/秒の開極速度で開極させた。裁断電流値はL
C回路を経て50Hz(ヘルツ)、実効値44Aの回路
電流を開閉中の初期(1〜100回開閉中)および後期
(19,900〜20,000回開閉中)の接点に直列
に挿入した同軸型シャント(分流器)の電圧降下を観測
することによって求めたものである。 なお、測定結果
は実施例5の裁断電流値の平均値を1.0としその値と
相対比較したものである。この裁断電流値はその値が小
さく、ばらつき範囲も小さい程優れた裁断特性を有して
いる。
【0056】(2) 再点弧特性;径30mm,厚さ5
mmの円盤状接点をディマウンタブル(取り外し可能)
形真空バルブに装着し、6kv×500Aの回路を1〜
1,000回遮断、または1,001〜20,000回
遮断した時の再点弧発生頻度を2台の遮断器(真空バル
ブとして6本)のバラツキ値を考慮して表1乃至表3に
示した。
【0057】
【表1】
【表2】
【表3】 接点の装着に際しては、ベーキング加熱(450℃×3
0分)のみ行い、ろう材の使用並びにこれに伴う加熱は
行わなかった。なお測定結果はばらっきを考慮して上限
値と下限値を示した。この再点弧発生頻度はその値が小
さく、ばらつき範囲も小さい程優れた再点弧特性を有し
ている。
【0058】(3) 耐アーク消耗性;各接点を着脱式
の真空遮断装置に装着し、接点電極表面のベーキング、
電流、電圧エージング、開極速度条件を一定同一とした
後、7.2kV、4.4kAを1000回遮断前後の表
面凹凸から損失重量を計算した後、実施例5の値を1.
0とし相対比較した。
【0059】(4) 各接点の製造方法の一例;本発明
接点の製造の一例について説明する。この接点材料の製
造方法は大別すると、炭化タングステンWCとカーボン
Cで構成したスケルトンに銀Agを溶かし流し込む溶浸
法と、炭化タングステンWCとカーボン粉と銀粉とを所
定割合で混合した粉末を焼結又は成型焼結する焼結法が
ある。
【0060】従来より銀−炭化タングステン合金中のカ
ーボンCはその量を多くすると、再点弧発生率が増大
(特性低下)する傾向にあることが知られている。本発
明では再点弧発生率の引き金の1つとされているこのカ
ーボンCの銀−炭化タングステン合金中での存在状態を
最適化し、裁断特性と再点弧特性とを両立させたもの
で、従って、カーボンCの存在状態を左右する銀−炭化
タングステン合金中へのカーボンCの合金化の方法も重
要である。
【0061】銀−炭化タングステン合金中へのカーボン
Cの合金化の方法は、カーボンCの量が炭化タングステ
ン量,銀量に比較し少量であるため、均質混合性を良く
する必要がある。その手段として、例えば最終的に必要
な炭化タングステン量(55〜70%)の内の一部から
取り出した極く少量の炭化タングステンWCと、カーボ
ン粉とを混合(必要によりビスマスBi、アンチモンS
bおよびテルルTeのうち少なくとも1つを追加する。
以下ビスマスBiで代表する。また鉄FeやクロムCo
も同様に取り扱っても良い)して得た第1次混合粉を得
る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返す)。この
第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りの炭化タング
ステン粉とを再度混合し,最終的に十分に良好な混合状
態にある[炭化タングステンWC、カーボンC]粉を得
る。この[炭化タングステンWC、カーボンC]粉と所
定量の銀粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも
可)で、例えば930℃の温度での焼結と加圧とを1回
もしくは複数回組合せて、Ag−WC−C接点素材(又
はAg−WC−CoーC,Ag−WC−Fe−C、Ag
−WC−Co−Fe−C、Ag−WC−CoーC−Bi
接点素材など)を製造(以下Ag−WC−Cで代表す
る)し、所定形状に加工して接点とした(製法例1)。
別の合金化の方法として、逆に最終的に必要な銀量の
内の一部から取り出した極く少量の銀Ag(必要により
ビスマスBiを追加、また必要により鉄Fe、コバルト
Coを追加)と、カーボン粉とを混合して得た第1次混
合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返
す)。この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りの
銀粉とを再度混合し,最終的に十分に良好な混合状態に
ある[Ag,C]粉を得る。
【0062】この[Ag,C]粉と所定WC粉(最終的
に必要なWC量)とを混合した後、水素雰囲気中(真空
中でも可)で、例えば940℃の温度での焼結と加圧と
を1回若しくは複数回組合せて、Ag−WC−C接点素
材又はAg−WC−C−Bi接点素材を製造した(製法
例2)。
【0063】他の製造方法としては、上記方法で製造し
た第n次混合[WC,C]粉または[WC,Co,C]
粉を,1200℃の温度で焼結し所定空隙率を持つ{W
C,C}スケルトンを作製し、その空孔中にAg(必要
によりBiを追加)を例えば1050℃の温度で溶浸
し,Ag−WC−C接点素材又はAg−WC−C−Bi
接点素材を製造した(製法例3)。
【0064】また別の合金化の方法としては、[WC、
C]粉または[WC、Co、C]粉を1500℃の温度
で焼結し所定空隙率を持つスケルトンを作製し、その空
孔中に別途用意したAgを例えば1050℃の温度で溶
浸しAg−WC−C接点素材を製造した。(必要により
前記CuMo(Fe)にBiを追加しAg−WCーC−
Bi接点素材を製造した)(製法例4)。
【0065】また別の合金化の方法としては、イオンプ
レーティング装置やスパッタリング装置を用いた物理的
方法、或いはボールミル装置を用いた機械的方法で、W
粉の表面にCを被覆(必要によりBiも同時に)したW
C粉を得て、このMo(Fe)被覆W粉とCu粉(必要
によりBiを同時に添加)とを混合の後、水素雰囲気中
(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結
と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Ag−WC−
C接点素材又はAg−WC−C−Bi接点素材を製造し
た(製法例5)。
【0066】また別の合金化の方法としては、特にAg
粉、WC粉とC粉との均一混合技術に於いて、揺動運動
と攪拌運動とを重畳させる方法も有益である。これによ
って、混合粉は一般に行われているアセトンなど溶剤使
用時に見られる固まりとなったり凝集体となったりする
現象がなく、作業性も向上する。
【0067】また,混合作業での攪拌容器の攪拌運動の
攪拌数Rと攪拌容器に与える揺動運動の揺動数Sとの比
率R/Sをほぼ10〜0.1程度の好ましい範囲に選択
すれば、解砕、分散、混合中の粉末へのエネルギー入力
が好ましい範囲となり、混合作業での粉末の変質や汚染
の程度を低く押さえる事ができる特徴を有する。
【0068】従来のらいかい機などによる混合、粉砕で
は粉体を押し潰す作用が加わるが、揺動運動と攪拌運動
とを重畳させる本発明の方法では、前記R/S比率をほ
ぽ10〜0.1程度に分布しているため、粉体同士が絡
み合う程度の混合となり、良好な通気性を持つ為焼結性
が向上し、良質な成型体または焼結体あるいはスケルト
ンを得る。
【0069】更に必要以上のエネルギ−入力がなく粉体
が変質することがない。このような状態の混合粉を原料
とするれば、焼結、溶浸後の合金も低ガス化が可能とな
り、遮断性能、再点弧特性の安定化に寄与している(製
法例6)。
【0070】本発明実施例では、これらの方法を適宜選
択し採用したもので、いずれの技術の選択でも本発明の
効果を発揮する接点材料を得ることが出来る。
【0071】以下に本発明の実施例を詳細に説明する。
【0072】実施例1〜2,比較例1〜2 まず、遮断テスト用実験バルブの組立ての概要を示す。
端面の平均表面粗さを約1.5μmに研磨したセラミッ
クス製絶縁容器(主成分:AL203)を用意し、この
セラミックス製絶縁容器に対して組立て前に1650℃
の前加熱処理を施した。
【0073】封着金具として、板厚さ2mmの42%N
i−Fe合金を用意し、ロウ材として厚さ0.Immの
72%Ag−Cu合金板を用意し、用意した各部材を被
接合物間(セラミックス製絶縁容器の端面と封着金具)
に気密封着接合が可能のように配置して、5×10−4
Pa.の真空雰囲気で封着金具とセラミックス製絶縁容
器との気密封着工程に供する。
【0074】次いで、供試接点材料の内容、評価内容と
結果などを表1乃至表7に示す。
【0075】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】 Ag−WCに於いて、原料粉として平均粒径が0.8〜
1.0μmのWC、0.5μmのC、5μmのCoを用
意し、前記製造法1〜6の方法を適宜選択しながら、W
C,C粉混合粉を得て62重量%WC−Co−C残部A
gの接点素材を1100度Cで製造した。
【0076】供試接点は試作した接点素材から顕微鏡組
織観察によって、非固溶状態もしくは化合物非形成状態
にある時のC量を0.005%以下(比較例1),0.
005%〜0.20%(実施例1〜2)、0.95%
(比較例2)含有したAg−WC合金を選出したもので
ある。
【0077】これらの素材を厚さ3mm、接触面の平均
表面粗さを0.3μmの所定形状に加工し試験片とし裁
断特性、再点弧特性、耐消耗性を測定した。その内容を
表1乃至表3に、評価条件と結果を表4乃至表7に示し
た。
【0078】C量が0.005%以下のAg−WC合金
の場合(比較例1)では、表1乃至表7から明らかな様
に、裁断特性は開閉初期(1〜100回開閉中)と開閉
後期(19,900〜20,000回開閉中)とを比較
しても好ましい裁断値と低い変動幅を示し許容範囲にあ
り、かつ接点の耐消耗性も良好であったが、一方6kV
×500Aの回路を20,000回を遮断した時の再点
弧特性では、1,000回を遮断した時の場合に比べ再
点弧発生率が著しく増大していると共にばらつきも大幅
に増大し好ましくなかった。
【0079】表面の顕微鏡観察によれば、20,000
回開閉させ再点弧特性を評価した接点では、接点表面は
C量の不足による表面損傷及びAgの飛散した痕跡を示
す軽い凹凸が広い範囲に亘って存在しているのが観察さ
れた。
【0080】これに対して、C量が0.005%〜0.
20%のAg−WC合金の場合(実施例1〜2)では、
0〜20×10−3%以下の許容される範囲の再点弧発
生頻度を示した。一方裁断特性に於いても、0.9A〜
1.3Aの好ましい範囲にあり、耐消耗性に於いても,
相対値が許容される範囲の0.9〜2.5にある事を示
し、開閉回数の経過に対して裁断特性、再点弧特性、耐
消耗性の総てに於いて安定した特性を示した。20,0
00回開閉させ再点弧特性を評価した後の接点表面の顕
微鏡観察によれば、接点表面は所定条件のCの分布効果
によって、広い範囲に亘って上記比較例1より平滑な状
態が観察された。
【0081】一方、C量が0.95%のAg−WC合金
の場合(比較2)では、裁断特性は開閉初期(1〜10
0回開閉中)と開閉後期(19,900〜20,000
回開閉中)とを比較しても好ましい裁断値と低い変動幅
を示し許容範囲にあっが、7.2kv×4.4kAを
1、000回遮断させた時の接点の耐消耗性は、実施例
1〜2,比較例1に比較して著しく大きくかつ接点間の
ばらっきも多く、6kV×500Aの回路を20,00
0回を遮断した時の再点弧特性では、1,000回を遮
断した時の場合に比べ再点弧発生率が著しく増大してい
ると共にばらっきも大幅に大きく好ましくなかった。
【0082】20,000回開閉させ再点弧特性を評価
した接点表面の顕微鏡観察によれば、接点表面は広い範
囲に亘ってAgが飛散揮発した痕跡を示す著しい凹凸が
存在し、かつ遮断表面に巨大なCの脱落跡による凹凸も
観察された。これらより、Ag−WC中の非固溶状態も
しくは化合物非形成状態にあるC量は、0.005〜
0.2%の範囲に於いて本発明効果を発揮する。
【0083】なお、Ag−WC中のC量は、上記実施例
2同じ量の0.20%であっても、非固溶状態もしくは
化合物非形成状態にあるC量が実施例1で示している
0.005%以下の時には、耐消耗特性、再点弧特性は
同等の値を維持するものの、裁断特性が劣化し、裁断特
性と再点弧特性と耐消耗性とのバランスを欠く傾向にあ
り好ましくない。以上のようにC量が0.005%〜
0.20%のAg−WC合金の場合では、再点弧の多
発、大幅な接点消耗損失の発生、裁断特性の低下等が著
しく好ましくなく、本発明の目的に対してC量は0.0
05〜0.2%げ施例1〜2)の範囲が総合的に安定性
を示している。
【0084】また、観察の結果Ag−WC中のC量が同
量であっても、所定量のCが非固溶状態もしくは炭化物
などの化合物非形成状態にある時には、多数回開閉後で
も裁断特性を維持した上で少ない再点弧頻度と少ないば
らつき幅を得るのに有利である事が判った。すなわちC
量は、総C量でなく非固溶状態もしくは化合物非形成状
態にあるC量が重要であることを示している。これに対
してCが固溶状態もしくは化合物形成状態にあるAg−
WCでは、開閉回数の進行とともに接点表面荒れのが多
くなる傾向を示し、再点弧発生頻度が増加した。複数の
素材間には再点弧発生頻度に大きなばらつきが観察され
た。接点消耗量の増加も見られた。
【0085】実施例3〜7,比較例3 前記実施例1〜2,比較例1〜2では、Ag−WC合金
中のC量が0.005%以下、0.005%〜0.95
%の合金中のについて、Co量を0.7%に一定とした
時の本発明効果を示したが、本発明効果はCo量をこれ
に限ることなく発揮される。すなわちCo量をゼロ、
0.7〜10.0%とした62%WC残部Ag合金(実
施例3〜7)に於いて、同様の評価を実施したところ再
点弧発生率は4〜31×10−3%の範囲の好ましい範
囲にあり、特に遮断回数が1,000回と20,000
回を比較しても両者間には顕著な差異は見られずもばら
つきも少ない。消耗量は0.9〜2.3%の範囲にあ
り、裁断値も0.95〜1.8Aの範囲にあり安定した
再点弧特性、裁断特性、耐消耗性を示した。従って本発
明は、Ag−WC接点、Ag−WC−Co接点の再点弧
特性と裁断特性と耐消耗性のバランスに対して有効であ
る。
【0086】しかし、Co量を10%とした62%WC
残部Ag合金(比較例3)に於いて同様の評価を実施し
たところ、裁断電流値が大幅に増加(特性が劣化)し
た。Co量が10%存在した事による合金自体の導電率
した事と、WC自体の熱電子断特性を維持した上で少な
い再点弧頻度と少ないばらつき幅を得るのに有利である
事が判った。すなわちC量は、総C量でなく非固溶状態
もしくは化合物非形成状態にあるC量が重要であること
を示している。これに対してCが固溶状態もしくは化合
物形成状態にあるAg−WCでは、開閉回数の進行とと
もに接点表面荒れのが多くなる傾向を示し、再点弧発生
頻度が増加した。複数の素材間には再点弧発生頻度に大
きなばらつきが観察された。接点消耗量の増加も見られ
た。
【0087】実施例3〜7,比較例3 前記実施例1〜2,比較例1〜2では、Ag−WC合金
中のC量が0.005%以下、0.005%〜0.95
%の合金中のについて、Co量を0.7%に一定とした
時の本発明効果を示したが、本発明効果はCo量をこれ
に限ることなく発揮される。すなわちCo量をゼロ、
0.7〜10.0%とした62%WC残部Ag合金(実
施例3〜7)に於いて、同様の評価を実施したところ再
点弧発生率は4〜31×10−3%の範囲の好ましい範
囲にあり、特に遮断回数が1,000回と20,000
回を比較しても両者間には顕著な差異は見られずもばら
つきも少ない。消耗量は0.9〜2.3%の範囲にあ
り、裁断値も0.95〜1.8Aの範囲にあり安定した
再点弧特性、裁断特性、耐消耗性を示した。従って本発
明は、Ag−WC接点、Ag−WC−Co接点の再点弧
特性と裁断特性と耐消耗性のバランスに対して有効であ
る。
【0088】しかし、Co量を10%とした62%WC
残部Ag合金(比較例3)に於いて同様の評価を実施し
たところ、裁断電流値が大幅に増加(特性が劣化)し
た。Co量が10%存在した事による合金自体の導電率
した事と、WC自体の熱電子放出能を低下させてしまっ
たことが一因と考えられた。
【0089】更に上記実施例4の1,000回遮断時の
再点弧発生頻度を基本として、比較例3の再点弧発生頻
度比較を比較すると、比較例3では1000回遮断で3
〜7倍に増加(特性低下)、20,000回遮断では5
〜8倍に増加した。
【0090】顕微鏡観察の結果によれば、所定量以上の
Coは、組織中で過剰のCoとして存在し組織中のCを
凝集、粗大化させる傾向にあり、Cの偏析が再点弧発生
頻度を増大させた一因と考えられた。従って再点弧特性
と裁断特性と耐消耗性のバランスを得る為には実施例7
で示したCo量5%を上限(前記実施例1に示している
様にCoゼロも含む)としたAg−WC接点に於いて、
本発明技術が有効に発揮される。
【0091】実施例8〜10,比較例4 前記実施例1〜7ではAg−WC合金中のFe量をゼロ
として、Co量を0〜5%とし場合の本発明効果につい
て示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮され
る。すなわちCo量を0.7%とし、Fe量を0.01
〜0.5%とした62%WC−Co残部Ag合金(実施
例8〜10)とした場合に於いて、再点弧発生率は5〜
25×10−3%、消耗量は1.0〜1.7%以下、電
流裁断値は0.95〜1.4Aを示し、標準とする実施
例4の特性と同等の安定した再点弧特性、裁断特性、耐
消耗性を示した。
【0092】しかし、Fe量を10%とした62%WC
残部Ag合金(比較例4)に於いて同様の評価を実施し
たところ、1〜100回開閉中、19、900〜20,
000回開閉中の裁断電流値は、両者共に大幅に増加
(特性が劣化)した。Fe量が10%存在した事による
合金自体の導電率した事と、WC自体の熱電子放出能を
低下させてしまった事とが一因と考えられた。更に比較
対象としている実施例4の1,000回遮断時の再点弧
発生頻度を基本として、比較例4の再点弧発生頻度比較
を比較すると、比較例4では1000回遮断で4〜7.
5倍に増加(特性低下)、20,000回遮断では5〜
8倍に増加した。
【0093】顕微鏡観察の結果によれば、所定量以上の
Feは、組織中で過剰のFeとして存在し組織中のCを
凝集、粗大化させる傾向にあり、Cの偏析が再点弧発生
頻度を増大させた一因と考えられた。従って再点弧特性
と裁断特性と耐消耗性のバランスを得る為には実施例1
0で示したFe量0.5%を上限Ag−WC接点に於い
て、本発明技術が有効に発揮される。
【0094】実施例11〜12,比較例5〜6 前記実施例1〜10,比較例1〜4では、Ag−WC、
Ag−WC−Co,Ag−WC−Co−Fe合金中のW
C量を62%とした場合の本発明効果にっいて示した
が、本発明効果はWC量はこれに限ることなく発揮され
る。すなわちWC量を55〜75%とした時には、標準
としている実施例4と比較して、裁断特性、再点弧発生
率、耐消耗性のいずれもがほぽ同等の良好な特性を発揮
している(実施例9〜10)。
【0095】しかしWC量を36%とした0.7%Co
残部Ag(比較例5)に於いて同様の評価を実施したと
ころ、耐消耗性は標準としている実施例4と比較して、
1.05〜1.25倍程度の消耗で好ましい範囲であっ
たが、しかし、同様の評価を実施したところ、1〜10
0回開閉の範囲では特性の低下は無かったが、19、9
00〜20,000回開閉中の裁断電流値に於いて2倍
程度に若干増加(特性劣化)が見られた。
【0096】また再点弧発生率に於いて大幅な増加(特
性劣化)とばらつきとが見られた。すなわち比較対象と
している実施例4の1,000回遮断時の再点弧発生頻
度を基本として、比較例4の再点弧発生頻度比較を比較
すると、比較例4では1000回遮断で3倍に増加(特
性低下)、20,000回遮断では2〜4.5倍に増加
した。顕微鏡観察の結果によれば、接点表面にAgの凝
集が見らた。
【0097】一方、WC量を85%としたWC残部Ag
(比較例6)に於いて同様の評価を実施したところ、1
〜100回開閉中、19、900〜20,000回開閉
中の裁断電流値は、標準とする実施例4の特性と比較し
ても同等以上の極めて良好な特性を示したが、再点弧発
生率、耐消耗性に於いて大幅な増加(特性劣化)とばら
っきとが見られた。
【0098】すなわち、比較対象としている実施例4の
1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比
較例6の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例6で
は1000回遮断で5〜10倍に増加(特性低下)、2
0,000回遮断では6〜12倍に大幅に増加(特性低
下)した。顕微鏡観察の結果によれば、接点表面はAg
の不在部分の点在、WCの凝集とWCの脱落が見らた。
従って再点弧特性と裁断特性と耐消耗性のバランスを得
る為には実施例9〜10で示したWC量55〜75%に
於いて、本発明技術が有効に発揮される。
【0099】実施例13〜15,比較例7〜8 前記実施例1〜12,比較例1〜6では、Ag−WC)
Ag−WC−Co,Ag−WC−Co−Fe合金中のW
C粒子の平均粒径(粒子を球体とした時の直径)を0.
8〜1.0μmとした場合の本発明効果について示した
が、本発明効果は平均粒径はこれに限ることなく発揮さ
れる。
【0100】すなわち、WCの平均粒径を0.1〜6μ
mとして、上記同様の評価を実施したところ、標準とし
ている実施例4と比較して、裁断特性、再点弧発生率、
耐消耗性のいずれもがほぽ同等の良好な特性を発揮して
いる(実施例13〜15)。しかしWCの平均粒径を1
2μmとした62%WC−Co残部Ag(比較例8)に
於いて同様の評価を実施したところ、耐消耗性は標準と
している実施例4と比較して、10〜18倍程度の大幅
な消耗量を示した。更に裁断特性に於いても1〜100
回開閉の範囲では実施例4と比較して特性の低下は無か
ったが、19、900〜20,000回開閉中の裁断電
流値に於いて1.5〜4.6倍程度に増加(特性劣化)
している。また、再点弧発生率に於いても大幅な増加
(特性劣化)とばらつきとが見られた。
【0101】すなわち、比較対象としている実施例4の
1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比
較例4の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例8で
は1000回遮断で3〜5倍に増加(特性低下)、2
0,000回遮断でも3〜5倍に増加した。顕微鏡観察
の結果によれば、接点表面にWCの凝集とAgの欠落部
分が存在している。
【0102】WCの平均粒径を0.1μm以下とした6
2%WC−Co残部Ag(比較例7)に於いては,接点
合金中に残存する気孔のやガスが多く良質の接点合金が
得難く、その為評価中に接点に亀裂、破断が発生し一部
の評価を中止した。以上からAg−WC−Co合金中の
WCの平均粒径は、0.1〜6μmの範囲を選択した接
点である事が望ましい。
【0103】なお各接点に於ける所定粒径のWC粒子の
選別は、篩(ふるい)などで選別した上、合金化した接
点素材も顕微鏡的組織測定によって確認、選別して供試
接点片とした。
【0104】実施例16〜18,比較例9 前記実施例1〜15,比較例1〜8では、Ag−WC−
Co,Ag−WCーCo−Fe合金中のCo粒子の平均
粒径(粒子を球体とした時の直径)を5μmとした場合
の本発明効果について示したが、本発明効果は平均粒径
はこれに限ることなく発揮される。
【0105】すなわちWCの平均粒径を0.7μmとし
た上で、Co粒子の平均粒径を0.1〜10μmとして
上記同様の評価を実施したところ、標準としている実施
例4と比較して、裁断特性、再点弧発生率、耐消耗性の
いずれもがほぽ同等の良好な特性を発揮している(実施
例16〜18)。
【0106】しかし、Coの平均粒径を44μmとした
62%WC−Co残部Ag(比較例9)に於いて同様の
評価を実施したところ、耐消耗性は標準としている実施
例4と比較して、15〜25倍程度の大幅な消耗量を示
した。更に裁断特性に於いても1〜100回開閉の範囲
では実施例4と比較して、最大値が2.5倍程度に増加
した。19、900〜20,000回開閉中の裁断電流
値に於いても最大値が3倍以上に増加(特性劣化)して
いる。また、再点弧発生率に於いても大幅な増加(特性
劣化)とばらつきとが見られた。
【0107】すなわち、比較対象としている実施例4の
1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比
較例4の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例9で
は1000回遮断で6〜11倍に増加(特性低下)、2
0,000回遮断でも15〜17倍に増加した。顕微鏡
観察の結果によれば、接点表面にWCとCoの凝集、A
gの欠落部分が存在した。以上から、再点弧特性と裁断
特性と耐消耗性のバランスを得る為には実施例3,実施
例16〜18で示したCoの平均粒径は10μm以下に
於いて、本発明技術が有効に発揮される。
【0108】実施例19〜21,比較例10 前記実施例1〜18,比較例1〜9では、合金中のCの
平均粒径(粒子を球体とした時の直径)を0.5μmと
した場合の本発明効果について示したが、本発明効果は
Cの平均粒径はこれに限ることなく発揮される。
【0109】すなわち、Cの平均粒径を0.01〜5μ
mとして上記同様の評価を実施したところ、裁断特性、
再点弧発生率、耐消耗性のいずれもがほぽ同等の良好な
特性を発揮している(実施例19〜21)。
【0110】しかしCの平均粒径を20μmとした62
%WC−Co残部Ag(比較例10)に於いて同様の評
価を実施したところ、耐消耗性は標準としている実施例
4と比較して、20〜44倍と大幅な消耗量を示した。
更に裁断特性に於いても1〜100回開閉の範囲では実
施例4と比較して、最大値が2.6倍程度に増加し、、
19、900〜20,000回開閉中の裁断電流値に於
いても最大値が4.8倍に増加(特性劣化)している。
また、再点弧発生率に於いても大幅な増加(特性劣化)
とばらつきとが見られた。
【0111】すなわち、比較対象としている実施例4の
1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比
較例4の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例9で
は1000回遮断で2.7〜4.5倍に増加(特性低
下)、20,000回遮断でも6〜8倍に増加した。顕
微鏡観察の結果によれば、Cの平均粒径を20μmとし
た比較例10では、接点表面にCの凝集とCの欠落部分
が存在した。以上から、再点弧特性と裁断特性と耐消耗
性のバランスを得る為には実施例19〜21で示したC
の平均粒径は,0.01〜5μm以下に於いて、本発明
技術が有効に発揮される。
【0112】実施例22〜24 前記実施例1〜21,比較例1〜10では、Ag−W
C、Ag−WC−Co,Ag−WC−Co−Fe合金中
について、合金中に存在した非固溶状態もしくは化合物
非形成状態にあるC量が0.005〜0.2%の範囲に
於いて本発明効果を発揮する事を示したが、本発明効果
はこれに限ることなく発揮される。合金中のCの存在効
果は溶着防止成分として、Bi,Sb,Teを含有した
これらの合金に対しても同様に効果を示した(実施例2
2〜24)。
【0113】すなわち、上記同様の評価を実施したとこ
ろ、裁断特性、再点弧発生率、耐消耗性のいずれもがほ
ぽ同等の良好な特性を発揮している(実施例19〜2
1)。なお、これら溶着防止成分は、0.05%以下で
はAg−WC、Ag−WC−Co,Ag−WC−Co−
Fe合金の耐溶着性の改善に効果が少なく、また0.5
%以上では再点弧特性に悪影響を示す。従って、Ag−
WC、Ag−WC−Co,Ag−WC−Co−Fe合金
中の溶着防止成分の量は、0.05%〜0.5%の範囲
に於いて、再点弧特性と裁断特性と耐消耗性と耐溶着性
のバランスを得る。
【0114】比較例11 前記実施例19〜21,比較例10に示したAg−WC
−Co合金について、非固溶状態もしくは化合物非形成
状態にあるCの粒子の分布状態を更に詳細に分析するた
めに、各合金についてCの粒子の分散度(最近接するC
粒子の間隔)を観察すると、実施例19〜21の合金で
は、最近接する2つのC粒子の間隔Lが、小さい方のC
粒子の直径dと同等若しくは同等以上離れていた(L≧
d)。すなわち、良好な分散状態にあった。
【0115】これに対して比較例10の合金では、C粒
子の直径dの方がC粒子の間隔Lより大であ.事が判っ
た(L<d)。すなわち、C粒子は局部的に凝集状態が
見られ分散状態は良好ではなかった。
【0116】そこで、比較例10の素材から、L<dで
C粒径が0.5μmの接点を選択し、前記と同様の評価
を実施したところ、特に再点弧発生率に於いて、上記実
施例4の1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本と
して、比較例11の再点弧発生頻度を比較すると、比較
例11では1000回遮断で2倍程度の増加(特性低
下)に止まっていたが、20,000回遮断では2.6
〜13倍に増加していると共に発生頻度には大きなばら
つきも見られた。
【0117】裁断耗性は標準としている実施例4と比較
して、同様の評価を実施したところ、1〜100回開閉
の範囲では1.2〜1.45倍程度の増加であったが、
19、900〜20,000回開閉中の裁断電流値に於
いて3倍以上の増加(特性劣化)が見られた。
【0118】実施例25〜26,比較例12 前記実施例1〜24,比較例1〜11では、供試接点の
合金層の厚さを3mmに一定に揃えた時についての本発
明効果を示したが、本発明効果はこれに限ることなく発
揮される。すなわち、接点の厚さが0.3mmで好まし
い特性を発揮している(実施例25)。その厚さが更に
厚い6mmの場合でも同様である(実施例26)。
【0119】しかしながら、合金層の厚さが0.1mm
(比較例12)では、遮断特性評価後の接点面の一部分
に下地材である純Ag層の露出や合金層に亀裂、破断が
認められている。これが一因となって再点弧特性、耐消
耗性の評価を中止した。従って合金層の厚さは、0.3
mm以上とすることが望ましい。Ag−WC接点の内部
方向(垂直の方向)に向かってAg量を増加させたり、
この合金層の下部にCu層を付与するなどによって接点
素材としての導電率を改善する事も可能である。
【0120】実施例27〜29,比較例13 前記実施例1〜26,比較例1〜12では、接点面の平
均表面仕上げの粗さを0.3μmに一定に揃えた時につ
いての本発明効果を示したが、本発明効果はこれに限る
ことなく発揮される。すなわち、接触面の平均表面仕上
げの粗さを0.05μm、1μm、10μmとしても好
ましい特性を発揮した(実施例27〜29)。
【0121】なお、接触面の平均表面仕上げの粗さを逆
に極端に平滑とすると、仕上げ加工の条件によっては、
加工の途中にAgのみが除去されることがあり、WCの
みが表面に残りAg相の存在が少ない接触面となりやす
い。その結果接触抵抗特性、温度上昇特性に問題を生ず
る。
【0122】一方、接触面の平均表面仕上げの粗さを2
5μm(比較例13)とした時には、再点弧発生頻度が
著しく増大しかつばらつき幅も大となった。すなわち、
比較対象としている実施例4の1,000回遮断時の再
点弧発生頻度を基本として、比較例13の再点弧発生頻
度比較を比較すると、比較例13では1000回遮断で
4〜20倍に増加(特性低下)、20,000回遮断で
も3.5〜27.5倍に増加した。消耗量も4.4〜1
9.6倍に増加した。従って接触面の平均表面仕上げの
粗さは、0.05〜10μmとすることが望ましい。な
お接触面の平均表面粗さを、前記0.05〜10μmに
仕上げした接触面に対して、電圧10kVを印加した状
態で電流1〜10mAを遮断させ、表面を追加仕上げす
ることによって、再点弧特性の一層の安定化に寄与し
た。
【0123】上記実施例の結果からも理解される様に、
本発明に係わる真空遮断器用接点材料は、Ag−WC合
金中のC量や存在状態を最適化すると共に補助成分とし
てCo、Fe,Bi,Sb,Teなどを合金化させてる
事によって、特性の安定性を向上させた。
【0124】すなわち、非固溶状態もしくは化合物非形
成状態にある時のC量と間隙を最適化を図った。その結
果アークを受けた時に選択的に優先して蒸発、飛散する
Agを少なくなる様に制御するのみならず被アーク時の
熱衝撃によっても接点面上には、再点弧発生に対して有
害な著しい亀裂発生も抑止され、WC粒子の飛散脱落も
軽減された。
【0125】この様に合金組織の均一化等の改良を図っ
たので、アークを受けた後でも接点表面の溶融、飛散損
傷が少なくなり、再点弧抑止に重要な影響を及ぽす接点
表面荒れを少なくし、耐アーク消耗性の向上にも有益と
なり、優れた特性を有する真空遮断器用接点材料を提供
できる。
【0126】
【発明の効果】本発明により、接点材料の信頼性を向上
させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関口 薫旦 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 東 芝電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 山本 敦史 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 関 経世 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.1乃至6μmの炭化タン
    グステンWCを重量割合で55乃至70%含有する銀−
    炭化タングステン合金からなる接点材料に於いて、等価
    直径が0.01乃至5μmで、しかも非固溶状態もしく
    は非化合物形成状態にあるカーボンCが重量割合で0.
    005乃至0.2%存在していることを特徴とする接点
    材料。
  2. 【請求項2】 重量割合で5%以下のコバルトCoと、
    平均粒径が0.1乃至6μmの炭化タングステンWCを
    重量割合で55乃至70%含有する銀−炭化タングステ
    ン−コバルト合金からなる接点材料に於いて、等価直径
    が0.01乃至5μmで、しかも非固溶状態もしくは非
    化合物形成状態にあるカーボンCが重量割合で0.00
    5乃至0.2%存在していることを特徴とする接点材
    料。
  3. 【請求項3】 重量割合で0.01乃至0.55%の鉄
    Feを含有した前記銀−炭化タングステン合金または前
    記銀−炭化タングステン−コバルト合金からなる接点材
    料に於いて、等価直径が0.01乃至5μmで、しかも
    非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンC
    が重量割合で0.005乃至0.2%存在していること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載した接点材
    料。
  4. 【請求項4】 ビスマスBi、アンチモンSbおよびテ
    ルルTeのうち少なくとも1つを重量割合で0.05乃
    至0.5%含有した前記銀−炭化タングステン合金また
    は前記銀−炭化タングステン−コバルト合金からなる接
    点材料に於いて、等価直径が0.01乃至5μmで、し
    かも非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボ
    ンCが重量割合で0.005乃至0.2%存在している
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載した接点
    材料。
  5. 【請求項5】 前記非固溶状態もしくは非化合物形成状
    態にあるカーボンCが前記銀−炭化タングステン合金中
    に高度に分散分布し、それらのカーボン粒子間の間隙が
    最隣接するカーボン粒子の大きさより十分に隔離してい
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載した接
    点材料。
  6. 【請求項6】 接触面を請求項1乃至請求項5に記載し
    た接点材料で構成し、前記接触面から内部垂直の方向に
    向かって銅の含有量を次第に増加させたことを特徴とす
    る請求項1乃至請求項5に記載した接点材料。
  7. 【請求項7】 接触面を請求項1乃至請求項6に記載し
    た接点材料で構成し、前記接触面の他方の面に銅の層を
    付与したことを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載
    した接点材料。
  8. 【請求項8】 接触面を請求項1乃至請求項7に記載し
    た接点材料で構成し、前記銅の層の厚さを0.3mm以
    上としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載
    した接点材料。
  9. 【請求項9】 接触面を請求項1乃至請求項8に記載し
    た接点材料で構成し、前記接触面の平均表面粗さを10
    乃至0.05μmとしたことを特徴とする請求項1乃至
    請求項8に記載した接点材料。
  10. 【請求項10】 接触面を請求項1乃至請求項9に記載
    した接点材料で構成し、前記接触面に10kV以上の電
    圧を印加した状態で1乃至10mAの電流を遮断させる
    ことによって表面仕上げを行なったことを特徴とする請
    求項1乃至請求項9に記載した接点材料。
JP5290197A 1997-03-07 1997-03-07 接点材料 Expired - Lifetime JP3598195B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5290197A JP3598195B2 (ja) 1997-03-07 1997-03-07 接点材料
DE69834448T DE69834448T2 (de) 1997-03-07 1998-03-06 Kontaktwerkstoffe
EP98301684A EP0863521B1 (en) 1997-03-07 1998-03-06 Contacts material
CN98107837A CN1071925C (zh) 1997-03-07 1998-03-07 触点材料
US09/037,032 US6024896A (en) 1997-03-07 1998-03-09 Contacts material

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5290197A JP3598195B2 (ja) 1997-03-07 1997-03-07 接点材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10245652A true JPH10245652A (ja) 1998-09-14
JP3598195B2 JP3598195B2 (ja) 2004-12-08

Family

ID=12927759

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5290197A Expired - Lifetime JP3598195B2 (ja) 1997-03-07 1997-03-07 接点材料

Country Status (5)

Country Link
US (1) US6024896A (ja)
EP (1) EP0863521B1 (ja)
JP (1) JP3598195B2 (ja)
CN (1) CN1071925C (ja)
DE (1) DE69834448T2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004214183A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Wieland Werke Ag 電気接点を製造するための複合材およびその製造方法
KR100485245B1 (ko) * 2002-10-22 2005-04-25 희성금속 주식회사 은과 텅스텐 카바이드 합금의 전기접점재료
JP2013222497A (ja) * 2012-04-12 2013-10-28 Toshiba Corp 真空バルブ用接点材料
CN105671401A (zh) * 2016-01-22 2016-06-15 浙江亚通金属陶瓷有限公司 一种纳米碳化钨银触头材料及制备方法

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6849811B1 (en) * 2000-07-31 2005-02-01 General Electric Company Methods and apparatus for transfer switch
US7364692B1 (en) * 2002-11-13 2008-04-29 United States Of America As Represented By The Secretary Of The Air Force Metal matrix composite material with high thermal conductivity and low coefficient of thermal expansion
TW200710905A (en) * 2005-07-07 2007-03-16 Hitachi Ltd Electrical contacts for vacuum circuit breakers and methods of manufacturing the same
SE528908C2 (sv) * 2005-07-15 2007-03-13 Abb Research Ltd Kontaktelement och kontaktanordning
US7709759B2 (en) 2005-07-15 2010-05-04 Abb Research Ltd. Contact element and a contact arrangement
CN101976615B (zh) * 2010-08-31 2012-12-26 扬州乐银合金科技有限公司 银碳化钨石墨触头材料及其制备方法
US8890019B2 (en) 2011-02-05 2014-11-18 Roger Webster Faulkner Commutating circuit breaker
ITTO20110397A1 (it) 2011-05-05 2012-11-06 Menber S Spa Contattore, in particolare per il distacco delle batterie in impianti elettrici a bordo di veicoli
CN103151186B (zh) * 2013-04-09 2016-08-03 温州宏丰电工合金股份有限公司 一种用于断路器的复合电接触材料的制备方法
JP5753244B2 (ja) * 2013-09-28 2015-07-22 日本タングステン株式会社 接点材料およびそれを用いた遮断器
CN103706783B (zh) * 2013-10-15 2017-02-15 陕西斯瑞新材料股份有限公司 一种高抗熔焊性CuCr40Te触头材料及其制备方法
US10468205B2 (en) * 2016-12-13 2019-11-05 Eaton Intelligent Power Limited Electrical contact alloy for vacuum contactors
WO2019155655A1 (ja) * 2018-02-06 2019-08-15 三菱電機株式会社 電気接点およびそれを用いた真空バルブ
CN112951647B (zh) * 2019-11-26 2023-03-10 天津平高智能电气有限公司 真空灭弧室老炼及绝缘测试装置
RU2739493C1 (ru) * 2020-06-29 2020-12-24 Федеральное государственное автономное образовательное учреждение высшего образования "Национальный исследовательский технологический университет "МИСиС" Способ получения композиционного электроконтактного материала Cu-SiC

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1257417A (ja) * 1970-03-20 1971-12-15
DE2709278C3 (de) * 1977-03-03 1980-05-08 Siemens Ag, 1000 Berlin Und 8000 Muenchen Sinter-Tränkwerkstoff für elektrische Kontaktstücke und Verfahren zu seiner Herstellung
US4689196A (en) * 1985-06-24 1987-08-25 Gte Products Corporation Silver-tungsten carbide-graphite electrical contact
JP2653486B2 (ja) * 1988-08-19 1997-09-17 株式会社東芝 真空バルブ用接点材料
JP2692886B2 (ja) * 1988-08-30 1997-12-17 株式会社東芝 真空バルブ用接点材料
JP2768721B2 (ja) * 1989-03-01 1998-06-25 株式会社東芝 真空バルブ用接点材料
JP2778826B2 (ja) * 1990-11-28 1998-07-23 株式会社東芝 真空バルブ用接点材料
US5831186A (en) * 1996-04-01 1998-11-03 Square D Company Electrical contact for use in a circuit breaker and a method of manufacturing thereof

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100485245B1 (ko) * 2002-10-22 2005-04-25 희성금속 주식회사 은과 텅스텐 카바이드 합금의 전기접점재료
JP2004214183A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Wieland Werke Ag 電気接点を製造するための複合材およびその製造方法
JP4571397B2 (ja) * 2002-12-27 2010-10-27 ヴィーラント ウェルケ アクチーエン ゲゼルシャフト 電気接点を製造するための複合材の製造方法
JP2013222497A (ja) * 2012-04-12 2013-10-28 Toshiba Corp 真空バルブ用接点材料
CN105671401A (zh) * 2016-01-22 2016-06-15 浙江亚通金属陶瓷有限公司 一种纳米碳化钨银触头材料及制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN1071925C (zh) 2001-09-26
CN1197990A (zh) 1998-11-04
EP0863521A3 (en) 2001-03-21
DE69834448T2 (de) 2007-05-10
EP0863521A2 (en) 1998-09-09
DE69834448D1 (de) 2006-06-14
EP0863521B1 (en) 2006-05-10
JP3598195B2 (ja) 2004-12-08
US6024896A (en) 2000-02-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3598195B2 (ja) 接点材料
JP2778826B2 (ja) 真空バルブ用接点材料
JP3773644B2 (ja) 接点材料
JPH0254819A (ja) 真空バルブ用接点材料
JP3663038B2 (ja) 真空バルブ
JP4404980B2 (ja) 真空バルブ
JP2000235825A (ja) 真空遮断器用電極部材及びその製造方法
JP4515696B2 (ja) 真空遮断器用接点材料
JP3442644B2 (ja) 真空バルブ用接点材料
JP5002398B2 (ja) 真空遮断器用接点材料
JPH10199379A (ja) 真空遮断器用接点材料
JP3688473B2 (ja) 真空バルブ用接点材料の製造方法
JP3827991B2 (ja) 真空遮断器用接点材料
JP4156867B2 (ja) 接点及びそれを搭載した真空遮断器
JP2001243857A (ja) 真空バルブ
JP2004332046A (ja) 遮断器用接点材料及び真空遮断器
JP4515695B2 (ja) 真空遮断器用接点材料
JP2937620B2 (ja) 真空バルブ用接点合金の製造方法
JPS5914218A (ja) 真空しや断器用接点材料
JP2001236865A (ja) 真空バルブ
JP2511019B2 (ja) 真空バルブ用接点材料
JPH09213153A (ja) 真空遮断器用接点材料及びその製造方法
JP2695939B2 (ja) 真空バルブ用接点材料
JP3068880B2 (ja) 真空バルブ用接点
JPH03295118A (ja) 真空バルブ用接点材料

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040907

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040913

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070917

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080917

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080917

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090917

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090917

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100917

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110917

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110917

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120917

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120917

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 9

R154 Certificate of patent or utility model (reissue)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R154

R154 Certificate of patent or utility model (reissue)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R154

EXPY Cancellation because of completion of term