JP3688473B2 - 真空バルブ用接点材料の製造方法 - Google Patents

真空バルブ用接点材料の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮断電流特性を維持した上で、特に再点弧特性に優れた真空バルブ用接点材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空バルブの接点は、耐溶着特性、耐電圧特性、遮断特性で代表される基本三要件の他に裁断特性、耐消耗性、接触抵抗特性、温度上昇特性などを維持向上させるために種々の素材から構成されている。しかし、上述要求特性は互いに相反する材料物性を要求する場合が多いことから、1つの元素で十分満足させることは不可能とされている。そこで、材料の複合化、素材張合わせなどによって、大電流遮断用途、高耐電圧用途などの様に特定用途に合った接点材料の開発が行われ、それなりに優れた特性を発揮している。
【0003】
例えば、基本三要件を満たした大電流遮断用接点材料として、BiやTeの様な溶着防止成分を5重量%(wt%)以下含有するCu−Bi合金、Cu−Te合金が知られている(特公昭41−12131号、特公昭44−23751号)。Cu−Bi合金は結晶粒界に析出した脆いBi、Cu−Te合金は結晶粒界及び粒内に析出した脆いCu2 Teが合金自体を脆化させ低溶着引き外し力が実現したことから大電流遮断特性に優れている。
【0004】
一方、高耐圧・大電流遮断用接点材料として、Cu−Cr合金が知られている。この合金は前記Cu−Bi合金、Cu−Te合金よりも、構成成分間の蒸気圧差が少ない為均一な性能発揮を期待し得る利点があり使い方によっては優れたものである。また高耐電圧接点材料としてCu−W合金が知られている。この合金は高溶融点材料の効果によって優れた耐アーク性を発揮している。
【0005】
真空遮断器には、電流遮断後真空バルブ内で閃絡が発生し接点間が再び導通状態になる(その後放電は継続しない)現象を誘起することがある。この現象を再点弧と呼び、その発生メカニズムは未解明であるが、電気回路が一度電流遮断状態となった後に導通状態に急激に変化する為、異常過電圧が発生しやすい。特にコンデンサバンクの遮断時に再点弧を発生させる実験によれば、極めて大きな過電圧の発生や、過大な高周波電流が流れる為、再点弧の発生抑制技術の開発が求められている。
【0006】
上記した様に、再点弧現象の発生メカニズムは未だ知られていないが、本発明者らの実験観察によれば、再点弧は真空バルブ内の接点/接点間、接点/アークシールド間でかなり高い頻度で発生している。その為本発明者らは、例えば接点がアークを受けた時に放出される突発性ガスの抑制技術、接点表面形態の最適化技術など、再点弧の発生抑制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大幅に低減化した。しかし、近年の真空バルブに対する高耐電圧化要求、大電流遮断化要求、特に小形化要求には、接点の一層の低再点弧化が必要となってきた。
【0007】
すなわち近年では、需要家の使用条件の過酷化と共に負荷の多様化が進行している。最近の顕著な傾向として、リアクトル回路、コンデンサ回路などへの適応拡大が挙げられ、それに伴う接点材料の開発、改良が急務となっている。コンデンサ回路では通常の2倍、3倍の電圧が印加される関係上、電流遮断、電流開閉時のアークによって接点の表面が著しく損傷しその結果接点の表面荒れ、脱落消耗を招き、再点弧発生の一因と考えられるが、しかし再点弧現象は、製品の信頼性向上の観点から重要であるにもかかわらず、未だ防止技術はむろんのこと直接的な発生原因についても明らかにはなっていない。
【0008】
本発明者らは、接点材料の加熱過程で放出されるガス総量、ガスの種類並びに放出形態について、再点弧発生との相関を詳細に観察を行ったところ、溶融点近傍で極めて短時間ではあるがパルス状に突発的に放出されるガスが多い接点では、再点弧発生率も高くなることを見出だした。そこで例えばCu−W、Cu−Crなど導電性成分としてCuを使用した場合には1083℃以上(導電性成分の溶融温度以上)にて加熱するなど、あらかじめ接点中の突発的ガス放出の一因を除去しておくことや、接点合金中のポアや組織的偏析を抑制する様に焼結技術を改良することなどによって、再点弧現象の発生を低減させた。
【0009】
しかし近年の更なる再点弧発生抑制要求に対しては、尚改善の必要性を認めると共に他の施策の開発が重要となっている。なお、再点弧発生が集中した場合には、著しい接点の消耗を伴う表面損傷が見られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
高耐圧接点材料としては、前記したCu−Bi合金、Cu−Te合金、Cu−Cr合金に優先してCu−W合金を適用してきたが、さらに強まる低再点弧化の要求に対しては十分な接点材料とはいえない実情にある。
【0011】
すなわち、今まで優先して使用してきたCu−W合金でも、より過酷な高電圧領域及び突入電流を伴う回路ではやはり再点弧現象の発生が観察されると共に接点材料間で再点弧発生にバラツキも観察されている。そこで上記基本三要件を一定レベルに維持した上で、特に再点弧特性に優れた真空バルブと接点材料の開発が望まれている。
【0012】
そこで本発明の目的は、上記の事情に鑑みてなされたもので、接点の冶金的諸条件を最適化することにより、再点弧特性を向上させることができる真空バルブ用接点の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、
Cu、Agの少なくとも1つよりなる導電性成分と、W、Mo、W炭化物、Mo炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第1の耐アーク性成分とで構成され、導電性成分量を50〜90重量%、第1の耐アーク性成分量を10〜50重量%の範囲で混合した混合体を得る工程と、
混合体を非酸化性雰囲気中で焼結し、平板状(但し、焼成する平板が円形板の時には、その直径Dと板厚さHとの比率D/Hが、D/H≧2、焼成する平板が多角形板の時には、その幅Wと板厚さHとの比率W/HがW/H≧2)の焼結体を得る工程と
を備えた真空バルブ用接点材料の製造方法に於いて、
焼結体を得る工程で、平板状の焼結体を加熱する時に、焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で焼結体面上の加熱前線を移動させて行くことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の本発明は、
Cu、Agの少なくとも1つよりなる導電性成分と、Cr、Ti、Cr炭化物、Ti炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第2の耐アーク性成分とで構成され、導電性成分を40〜85重量%、第2の耐アーク性成分を15〜60重量%の範囲で混合した混合体を得る工程と、
混合体を非酸化性雰囲気中で焼結し、平板状(但し、焼成する平板が円形板の時には、その直径Dと板厚さHとの比率D/Hが、D/H≧2、焼成する平板が多角形板の時には、その幅Wと板厚さHとの比率W/HがW/H≧2)の焼結体を得る工程と
を備えた真空バルブ用接点材料の製造方法に於いて、
焼結体を得る工程で平板状焼結体を加熱する時に、焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で焼結体面上の加熱前線を移動させて行くことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の真空バルブ用接点材料の製造方法に於いて、混合体を得る工程が、導電性成分と第1の耐アーク性成分、又は導電性成分と第2の耐アーク性成分とで構成される合金系に対して、Bi、Te、Sbより選ばれた少なくとも1つよりなる補助成分を0.05〜2重量%の範囲で混合した混合体を得る工程であることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の本発明は、
Cu、Agの少なくとも1つよりなる導電性成分と、W、Mo、W炭化物、Mo炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第1の耐アーク性成分と、Cr、Ti、Cr炭化物、Ti炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第2の耐アーク性成分とを混合した混合体を得る工程と、
混合体を非酸化性雰囲気中で焼結し、平板状(但し、焼成する平板が円形板の時には、その直径Dと板厚さHとの比率D/Hが、D/H≧2、焼成する平板が多角形板の時には、その幅Wと板厚さHとの比率W/HがW/H≧2)の焼結体を得る工程と
を備えた真空バルブ用接点材料の製造方法に於いて、
焼結体を得る工程で、平板状の焼結体を加熱する時に、焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で焼結体面上の加熱前線を移動させて行くことを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の本発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の真空バルブ用接点材料の製造方法に於いて、混合体を得る工程と焼結体を得る工程との間に、混合体を加圧し成型体を得る工程を挿入したことを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の本発明は、
Cu、Agの少なくとも1つよりなる導電性成分と、W、Mo、W炭化物、Mo炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第1の耐アーク性成分及びCr、Ti、Cr炭化物、Ti炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第2の耐アーク性成分の内の少なくとも一方の耐アーク性成分とを混合し、必要によりBi、Te、Sbより選ばれた少なくとも1つよりなる補助成分を混合した混合体を得る工程と、
混合体を非酸化性雰囲気中で焼結し、平板状(但し、焼成する平板が円形板の時には、その直径Dと板厚さHとの比率D/Hが、D/H≧2、焼成する平板が多角形板の時には、その幅Wと板厚さHとの比率W/HがW/H≧2)の焼結体を得る工程と、
焼結体中に導電性成分又は導電性成分と補助成分とを溶浸し溶浸体を得る工程と
を備えた真空バルブ用接点材料の製造方法に於いて、
溶浸体を得る工程での溶浸体加熱時に、溶浸体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で溶浸体面上の加熱前線を移動させて行くことを特徴とする真空バルブ用接点材料の製造方法。
【0019】
請求項7に記載の本発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の真空バルブ用接点材料の製造方法に於いて、焼結体を得る工程または溶浸体を得る工程に於いて加熱前線を移動させて行く場合、焼結体又は溶浸体の温度が少なくとも600℃から熱処理保持温度(焼結温度又は溶浸温度)に到達するまでの間を、焼結体又は溶浸体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で加熱前線を移動させて行くことを特徴とする。
【0020】
このように、真空バルブ用接点材料の製造工程に於いて、平板状焼結体又は溶浸体を加熱する時に、焼結体又は溶浸体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で焼結体又は溶浸体面上の加熱前線を移動させる様にしたので、安定した素材を得て、接点特性の安定性を向上させることができる。
【0021】
すなわち、接点面上での加熱前線の移動を最適化したので、焼結体又は溶浸体面上の汚染物質、熱歪みの除去、加工変形の抑制に対して有益で、再点弧発生率、裁断特性に優れた特性を有する真空バルブ用接点材料を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
この実施形態における真空バルブ用接点材料の製造方法は以下のような工程からなる。
【0023】
「第1A工程」は、Cu、Agの少なくとも1つよりなる導電性成分量を50〜90重量%(以下wt%)と、W、Mo、W炭化物、Mo炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第1の耐アーク性成分を10〜50wt%の範囲で混合した混合体を得る工程、Cu、Agの少なくとも1つよりなる導電性成分を40〜85wt%と、Cr、Ti、Cr炭化物、Ti炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第2の耐アーク性成分を15〜60wt%の範囲で混合した混合体を得る工程、導電性成分と第1の耐アーク性成分、または導電性成分と第2の耐アーク性成分とで構成される合金系に対して、必要によりBi、Te、Sbより選ばれた少なくとも1つよりなる補助成分を0.05〜2wt%の範囲で混合した混合体を得る工程、Cu、Agの少なくとも1つよりなる導電性成分と、W、Mo、W炭化物、Mo炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第1の耐アーク性成分と、Cr、Ti、Cr炭化物、Ti炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第2の耐アーク性成分とを混合した混合体を得る工程などのいずれかからなる。
【0024】
「第2工程」は、「第1A工程」のいずれかで得た混合体を、非酸化性雰囲気中で焼結し、平板状(焼成する平板が円形板の時には、その直径Dと板厚さHとの比率D/HがD/H≧2、また、焼成する平板が多角形板の時には、その幅Wと板厚さHとの比率W/HがW/H≧2)の焼結体を得る工程からなる。
【0025】
この「第2工程」で平板状焼結体を加熱する時に、焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で焼結体面上の加熱前線を移動させて行く。
混合体を得る「第1A工程」と、焼結体を得る「第2工程」との間に、混合体を加圧し成型体を得る工程「第1B工程」を挿入してもよい。
【0026】
焼結体を得る「第2工程」の後工程として、焼結体中に導電性成分又は導電性成分と補助成分とを溶浸し溶浸体を得る工程である「第3工程」を備え、この「第3工程」による平板状溶浸体の製造時の溶浸体加熱時に、溶浸体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で溶浸体面上の加熱前線を移動させて行くようにしてもよい。
【0027】
「第2工程」、又は「第3工程」に於いて、平板状CuCr焼結体または溶浸体温度が、600℃から熱処理保持温度(焼結温度又は溶浸温度)に到達するまでの間、煤結体又は溶浸体を一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で加熱前線を移動させて行く。
【0028】
耐アーク性成分が第1の耐アーク性成分の少なくとも1つと第2の耐アーク性成分の少なくとも1つとで耐アーク性成分を構成してもよい。
次に、この実施形態の作用について説明する。
【0029】
接点に外部磁界(例えば縦磁界技術)をかけた時、一般に大電流を遮断した場合、遮断により発生したアークは、アーク電圧の低い部分に停滞、集中することが抑止され、接点電極面上を移動する。これによって遮断特性の改善、再点弧発生率の低減化に寄与している。すなわち、接点電極上をアークは容易に移動するため、アークの拡散が促進され、遮断電流を処理する接点電極面積の実質的増加につながり、遮断電流特性の向上に寄与する。更にアークの停滞、集中が低減化される結果、接点電極の局部的異常蒸発現象の阻止、表面荒れの軽減化の利益も得られ、再点弧抑制寄与する。
【0030】
しかし、一定値以上の電流値を遮断すると、アークは全く予測出来ない一点もしくは複数点の場所で停滞し、異常融解させ遮断限界に至る。
また異常融解は、接点電極材料の瞬時的爆発的な蒸発によって発生した金属蒸気が、開極過程にあった真空遮断器の絶縁回復性を著しく阻害し、遮断限界の一層の劣化を招く。上記現象の引き金の一因として材料的不均一さが挙げられる。
【0031】
更に異常融解は、巨大な融滴を作り接点電極面の荒れを招き耐電圧特性の低下、再点弧発生率の増加、材料の異常な消耗をも招く。再点弧発生率の大きい接点及び接点表面の観察結果によれば、主として接点表面のミクロ領域間の材質的不均一さ(組成、成分の不均一さ、吸着、付着、内蔵ガスの成分、量の不均一さ、表面の凹凸程度の不均一さなど)が重要な意義を持つとみられる。これらの現象の原因となるアークが、接点電極面上のどこで停滞するかは前述したように全く予測出来ない以上、発生したアークが停滞させることなく移動拡散を容易とする様な表面条件(均一性表面)を接点に与えることが望ましい。
【0032】
そこでこの実施形態では、上述した材質的不均一さを取り除いた均一性表面を得る手段として、「第2工程」で平板状焼結体を加熱する時に、焼結体の一端から他端に向かって、所定条件(0.1〜20mm/秒)で加熱前線を移動させて行くことが極めて有益となる。
【0033】
「第2工程」に於いて、加熱前線を移動させない方法、すなわち、前記平板状焼結体全体を加熱すると、前記した接点表面のミクロ領域間の材料的不均一さがそのままその場所に滞留する。更に加熱中の被焼結体の表面温度は、加熱装置の特徴や癖による微妙な温度分布、温度の差異の影響を反映し、焼結の進行の程度にバラツキを生ずる。その結果、焼結進行のバラツキは、焼結後の平板状焼結体に対して、場所によりその大きさが異なる熱歪みを残存させている。
【0034】
加熱前線の移動が0.1mm/秒以下の時又は20mm/秒以上の時には、この様な現象が観察される。特に0.1mm/秒以下の時には生産効率の観点で選択出来ない為、本実施形態では除外する。また20mm/秒以上の時には、材質的不均一さが十分には除去出来ない状況の為、本実施形態では除外する。
【0035】
これに対して焼結体の一端から他端に向かって、加熱前線を所定条件(0.1〜20mm/秒)で移動させることによって、材質的不均一さの懸念は総て除外され、かつ経済的問題点も解消される。
【0036】
上記効果は、被熱処理体の形態と関係し、形態が円形板の時にはその直径Dと板厚さHとの比率D/HがD/H≧2(焼成する平板が多角形板の時にはその幅Wと板厚さHとの比率W/HがW/H≧2)の様な形状的特徴を有する場合に有効的に発揮される。比率D/Hが2未満では、材質的不均一さが十分には除去出来ず、焼結体の一端から他端に向かって加熱前線を移動させる効果が発揮されない。
【0037】
以下、導電性成分としてCuを代表例とし、耐アーク性成分としてWを代表例としたCu−W合金について説明を追加する。すなわち発明者らの実験によれば、材料的不均一さを軽減化することによって、接点面上でのアークの停滞をなくしCuの選択的蒸発、飛散を少なくなる様に制御するのみならず、被アーク時の熱衝撃による亀裂発生も抑止され、W粒子の飛散脱落も軽減された。均一化を図ったので、アークを受けた後でも接点表面の溶融、飛散損傷が少なくなり、再点弧抑止に重要な影響を与える接点表面荒れを少なくし有益となった。
【0038】
これらの相乗的効果によって、遮断電流特性を維持した上でCu−W合金の、再点弧発生を抑制した。なお、平板状焼結体に与える加熱前線を移動させる手段は、被焼結体と加熱源との相対的位置関係であることから、被焼結体を固定して加熱源を移動させる様にしても、逆に被焼結体を移動させ加熱源を固定しても、両者を異なる速度で移動させても、「第2工程」に於いて平板状焼結体を加熱する時に、焼結体の一端から他端に向かって、加熱前線の移動(0.1〜20mm/秒)を選択する限りに於いてその効果は同等に得られる。
【0039】
さらに、Cu−W合金に於いて、Cu、Wに固溶度を持たない溶着抑制成分Bi、Te、Sbなどの偏析は耐溶着性を低下させるのみならず、耐電圧性、遮断特性を著しく阻害する。焼結体の一端から他端に向かって加熱前線を移動させる動作を経た焼結体では、接点面のBi、Te、Sbなどの偏析は緩和され、耐溶着性、耐電圧性、遮断特性の安定化にも有益となる。
【0040】
前記した様に、再点弧現象の発生メカニズムは未だ知られていないが、再点弧発生の現実は、真空バルブ内の接点/接点間、接点/アークシールド間でかなり高い頻度で発生している。その為本発明者らは、例えば接点がアークを受けた時に放出される突発性ガスの抑制、接点表面形態の最適化などを進め、再点弧の発生を抑制するのに有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大幅に低減化して来た。しかし、近年の真空バルブに対する高耐電圧化要求、大電流遮断化要求、小形化要求には上記接点の改良のみではすでに限界と考えられ、これら以外に於いても改良最適化が必要となってきた。
【0041】
本発明者らは、セラミックス製絶縁容器外管、接点、アークシールド、金属蓋体、通電軸、封着金具、ベローズなど各構成部材を適宜真空バルブ内へ装着したり、取外しをしたりしながら模擬再点弧発生実験を行ったところ、直接アークを受ける接点の組成、材質とその状態、その製造条件が再点弧発生に対して重要であるとの知見を得た。特に材質的には脆性な為、投入時、遮断時の衝撃によって電極空間への微小金属粒子の放出、飛散が盛んに観察されるCu−Bi、Cu一Te、Cu−Cr合金よりも、高硬度、高融点性のCu−Wの方が有利てあるとの知見も得た。しかし、同じCu−Wであっても再点弧発生にバラツキが存在し、発生率に著しく大きい場合があった。この観察知見はCu−W合金の改良の必要性と共に再点弧抑制の可能性を示唆している。
【0042】
そこで本発明者らは、材質的不均一さを取り除いた均一性表面を有するCu−Wとすることで、投入時、遮断時の衝撃による電極空間への微小金属粒子の放出、飛散の低減に有益であることを認めた。通常は投入、遮断後の接点表面には多数の微細突起(凹凸)が生成し、かつその一部は飛散したり脱落したりして再点弧発生の一因となっているが、本発明では、上記によって材料的不均一さを取り除いた均一性表面としたことによって、アークの集中が少なくなり、その結果、微細凹凸の発生自体を少なくすると共に微細凹凸の先端部に、ある程度の丸みを与える効果を発揮した。その為接点表面の電界強化係数βは100以上から100以下に改善されていた。この効果が原因となって微小金属粒子の放出、飛散の低減と表面荒れの低減に有益となり、また次の効果を得ることを繰り返す好ましいサイクルを実現し、投入時、遮断時の衝撃によっても微小金属粒子の生成力が少なく抑制されると共にその放出、飛散量が少なくなり、再点弧抑制に寄与した。
【0043】
本発明者らがCu−Wを使用した再点弧現象の発生の時期とCu−Wの材科状態との関わりとを観察した結果では、
(イ):接点組織およびその状態(偏析、均一性)については、製造プロセスの特に「第2工程」で平板状焼結体を加熱する時の加熱前線の移動条件の最適化と相関し、電流遮断開閉の経過回数とは関係無くランダムな再点弧現象の発生がみられる特徴がある。
(ロ):接点表面に付着、吸着したガスや水分の量、その状態については、あらかじめ仕上げられた接点の加工後の管理環境が問題となると共に、「第2工程」で平板状焼結体を加熱する時の加熱前線の移動条件が、電流遮断開閉回数の比較的初期から再点弧現象の発生が見られる特徴がある。
(ハ):接点内部に内蔵している異物の量、状態などの接点内部の状態については、原料粉末の品質(Cu粉、W粉の選択)及び原料の混合状態がポイントとなり、電流遮断回数の経過の比較的後半に発生した再点弧の原因と考えられる。
【0044】
以上は接点製造プロセスの重要性が示唆されている。
この様に再点弧現象の発生の時期は、電流遮断回数の進展に対して、見掛け上では関係なく見えるが、上記(イ)、(ロ)、(ハ)の様に各発生の時期によってその原因が存在している。このことが各真空バルブ毎に再点弧現象の発生にバラツキが生じていた重要な一因とも考えられた。従って再点弧の各発生の時期の総てを抑制もしくは軽減化するには、基本的には品質的に好ましい状態の原料粉CuとWとを得た後、これらを解砕・分散・混合しながら均一で微細なCu・W混合粉体を得ることが必須であるが、これとは別に材質的均一さを確保することによる投入、遮断による接点表面の微細凹凸の発生の低減化と電極空間への微小金属粒子の放出、飛散の低減の効果を得ることも、再点弧発生の軽減化に重要である。
【0045】
導電性成分としてCu、耐アーク性成分としてWを代表例としたCu−W合金について述べたが、導電性成分としてAg、耐アーク性成分としてCr、Ti、これらの炭化物とした合金系でも有効である。以上の様に、「第2工程」で平板状焼結体を加熱する時に、焼結体の一端から他端に向かって、所定条件(0.1〜20mm/秒)で、加熱前線を移動させて得た接点を搭載した真空バルブが再点弧抑制に有益であることを示している。
【0046】
なお、「第3工程」による平板状溶浸体の製造時の溶浸体加熱時に、溶浸体の一端から他端に向かって、所定条件(0.1〜20mm/秒)で、溶浸体面上の加熱前線を移動させて行くことも再点弧抑制に有益である。
【0047】
この実施形態においては、真空バルブの再点弧現象発生の抑制軽減化の為に、特に「第2工程」または「第3工程」の平板状焼結体または溶浸体を加熱する時に於いて、加熱前線の移動条件を所定範囲に制御することによって、材質的均一さを最適の状態に管理し効果を得たものである。
【0048】
以下に、本発明の効果を明らかにする評価条件、評価方法などを示す。
(1)再点弧特性:
径30mm、厚さ5mmの円盤状接点をディマウンタブル形真空バルブに装着し、12kv×1000Aの回路を遮断した時の再点弧発生線度のバラツキ値を考慮した。接点の装着に際しては、ベーキング加熱(450℃×30分)のみ行い、ロウ材の使用並びにこれに伴う加熱は行わなかった。
(2)遮断特性;
着脱式の遮断テスト用真空遮断装置に所定接点電極(径42mm、厚さ5mm)を装着し、接点表面のベーキング、電流、電圧エージング、開極速度条件を一定同一とした後、7.2kV、25kAを3回遮断させ、遮断電流値の範囲を評価した。
(3)接触抵抗:
直流10Aで接触抵抗を測定した(使用前接触抵抗)。次いで上記遮断特性を観測した後の接点に対して、直流10Aで接触抵抗を測定した(遮断テスト後接触抵抗)。なお、参考として一部の接点については、静耐電圧特性を求め総合判定の一助とした。遮断テスト後、接触抵抗を測定後の供試試験片について、1kVずつ昇電圧させスパークを発生した時の電圧を静耐電圧値として求め相対値によって判定した。
(4)各接点の製造方法の例:
本実施形態において、接点を製造するに際して、採用した製法の例について説明する。この接点材科の製造方法は大別すると溶浸法と、所定割合で混合した粉末を焼結又は成型焼結する焼結法、及びアトマイズド法、アークメルト法を主として採用した。耐アーク性成分(例えばCr量)の少ない合金では、高周波誘導加熱法も採用した。
【0049】
ここでも、導電性成分としてCuを代表例とし、耐アーク性成分としてWを代表例としたCu−W合金についてその製造方法の例を示す。
合金化の方法としては、W粉を1100℃の温度で焼結し所定空隙率を持つWスケルトンを作製する時に、加熱過程(第2工程)で焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で加熱前線を移動させると同時に、その空孔中に、別途用意したCuを例えば1150℃の温度で溶浸しCu−W接点素材を製造した(所定空隙率を持つCu−Wスケルトンを作製し、その空孔中に別途用意したCu−Biを例えば1150℃の温度で溶浸しCu−W−Bi接点素材を製造した)(製法例1)。
【0050】
また別の合金化の方法としては、所定量のWとCuとを十分混合、混合体を加圧し、成型体を得る工程(第1B工程)の後、1040℃の温度で焼結する加熱過程(第2工程)で、焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で、加熱前線を移動させCu−W接点素材を製造した(製法例2)。
【0051】
また別の合金化の方法としては、アトマイズド法によって製造したW−Cu合金(又は混合体)を加圧し成型体を得る工程(第1B工程)の後、1040℃の温度で焼結する加熱過程(第2工程)で、焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で、加熱前線を移動させCu−W接点素材を製造した(製法例3)。
【0052】
また別の合金化の方法としては、Cu−W(+微量Mo)合金中の製造方法は、Moの量がW量に比較して著しく微量な為、混合性を良くする必要がある。その手段として、例えば最終的に必要な所定W量の内からその一部を取り出した極く少量のWと、目標の微量Mo粉とを混合(必要によりBi、Sb、Teの少なくとも1つを追加。以下Biで代表)して得た第1次Mo−Bi混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返す)。この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りのW粉とを再度混合し、最終的に十分に良好な混合状態にあるWMo粉を得る。このWMo粉と所定量のCu粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結(加熱過程で焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で、加熱前線を移動させる)と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Cu−W−Mo接点素材を製造し、所定形状に加工して接点を製造することも出来る(製法例4)。
【0053】
別の合金化の方法として、最終的に必要なCu量の内の一部から取り出した極く少量のCu(必要によりBiを追加)と、W粉とを混合して得た第1次混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで燥り返す)。この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りのCu粉とを再度混合し、最終的に十分に良好な混合状態にあるCuW粉を得る。このCuW粉と所定W粉(最終的に必要なW量)とを混合した後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結(加熱過程で焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で、加熱前線を移動させる)と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Cu−W接点素材を製造することも出来る(製法例5)。
【0054】
また別の合金化の方法としては、イオンプレーティング装置やスパッタリング装置を用いた物理的方法或いはボールミル装置を用いた機械的方法で、W粉の表面にCuを被覆(必要によりBiも同時に)したW粉を得て、このCu被覆W粉とCu粉(必要によりBiを同時に添加)とを混合の後、水秦雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結(加熱過程で焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で、加熱前線を移動させる)と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Cu−W接点素材を製造した。
【0055】
同様にイオンプレーティング装置やスパッタリング装置を用いた物理的方法或いはボールミル装置を用いた機械的方法で、W粉の表面にMoを被覆(必要によりBiも同時に)したW粉を得て、このMo被覆W粉とCu粉(必要によりBiを同時に添加)とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結(加熱過程で焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で、加熱前線を移動させる)と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Cu−W−Mo接点素材を製造することも出来る(製法例6)。
【0056】
また別の合金化の方法としては、特にCu粉、W粉との均一混合技術に於いて、揺動運動と攪拌運動とを重畳させる方法も有益である。これによって、混合粉は一般に行われているアセトンなど溶剤使用時に見られる固まりとなったり凝集体となったりする現象がなく、作業性も向上する。また混合作業での攪拌容器の攪拌運動の攪拌数Rと攪拌容器に与える揺動運動の揺動数Sとの比率R/Sをほぼ10〜0.1程度の好ましい範囲に選択すれば、解砕、分散、混合中の粉末へのエネルギー入力が好ましい範囲となり、混合作業での粉末の変質や汚染の程度を低く押さえることができる特徴を有する。従来のらいかい機などによる混合、粉砕では粉体を押し潰す作用が加わるが、揺動運動と攪拌運動とを重畳させる本方法では、前記R/S比率をほぼ10〜0.1程度に分布している為、粉体同士が絡み合う程度の混合となり、良好な通気性を持つ為焼結性が向上し、良質な成型体または焼結体あるいはスケルトンを得る。更に必要以上のエネルギー入力がなく粉体が変質することがない。この様な状態の混合粉を原科とすれば、焼結・溶浸後(焼結又は溶浸又は焼結・溶浸時の加熱過程で、焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で、加熱前線を移動させる)の合金も低ガス化が可能となり、遮断性能、再点弧特性の安定化に寄与している。この様にして接点を製造することも出来る(製法例7)。
【0057】
上記では、導電性成分としてCu、耐アーク性成分としてWを代表例としたCu−W合金について述べたが、導電性成分としてAg、耐アーク性成分としてMo、Cr、Ti、W炭化物、Mo炭化物、Cr炭化物、Ti炭化物とした合金系の製造に採用しても良い。
上記実施形態の効果を明らかとする為、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0058】
(実施例1〜3、比較例1〜2)
まず、遮断テスト用実験バルブの組立ての概要を示す。端面の平均表面組さを約1.5μmに研磨したセラミックス製絶縁容器(主成分:AL23 )を用意し、このセラミックス製絶縁容器に対して組立て前に1650℃の前加熱処理を施した。
【0059】
封着金具として、板厚さ2mmの42%Ni−Fe合金を用意した。
ロウ材として、厚さ0.1mmの72%Ag−Cu合金板を用意した。
用意した各部材を被接合物間(セラミックス製絶縁容器の端面と封着金具)の気密封着接合が可能なように配置して、5×10-4Pa.の真空雰囲気で封着金具とセラミックス製絶縁容器との気密封着工程に供する。
【0060】
次いで、供試接点材料の内容、評価内容と結果などを図1乃至図6に示す。
平均粒子直径(大きさ)が3μmのW粉(第1の耐アーク性成分)を25wt%、残部が平均粒径が40μmのCu(導電性成分)をボールミルによって、十分に混合した混合体を得た(第1A工程)。次いで、この混合体を真空度5×10-4Pa.の真空雰囲気中、1040℃で焼結処理によって、直径Dと厚さHとの比率(D/H)を7.5とした円盤状の25wt%W−Cu接点素材を製造するに際して、例えば1040℃の焼結処理温度になるまでの、前記円盤状25wt%W−Cuの加熱前線の移動を、0.01〜50mm/秒(実施例1〜3、比較例1〜2)の範囲で変化させて得た焼結体を接点素材とした(第2工程)。
【0061】
これらの素材を厚さ3mm、接触面の平均表面組さを0.3μmの所定形状に加工し試験片とした後、再点弧特性、遮断特性、接触抵抗特性(使用前と遮断テスト後)、耐電圧特性(静耐圧値)を測定した。接触抵抗特性では、実施例5の特性を標準とした比較値、静耐圧値も実施例5の特性を標準とした比較値で示した。その内容を図1(評価条件)と図4(結果)に示した。
【0062】
本実施例及び比較例に於いては、接点面上での加熱前線の移動を0.01mm/秒(比較例1)から20mm/秒(実施例1〜3)までの範囲とした時には、再点弧発生率、遮断特性のいずれもが良好な特性を発揮している。0.01mm/秒(比較例1)の場合には、使用前の接触抵抗特性が標準としている実施例5と比較して、極めて安定した0.8倍から、極めて大の24.2倍、遮断テスト後でも、更に51.4倍を示すなど大きなバラツキが見られたのみならず、生産効率にも支障を来す為、0.01mm/秒の場合には、再点弧発生率、遮断特性が良好であっても総合的には好ましくない(比較例1)。この様に加熱前線の移動を必要以上に小とした時には、接点面上の成分の蒸発損失の助長、それによる表面形態(凹凸など)の変化、炉壁など炉の構成物からの飛来物の付着の有り無しによって、接触抵抗値が変動したものと考えられる。表面の顕微鏡的観察によって、接点面上に異物の存在が観察されている。
【0063】
一方、接点面上での加熱前線の移動が50mm/秒(比較例2)の場合は、使用前の接触抵抗特性は、標準としている実施例5と比較しても同等以上の好ましい値にあるが、しかし遮断テスト後の値では、32.6倍を示しバラツキが見られ好ましくない。更に再点弧特性、遮断特性に於いてバラツキが見られ、特に再点弧特性では著しいバラツキが見られている。表面の顕微鏡的観察によれば、接点面上の加熱前線を所定以上に早く移動させても、接点加工などで付着した接点面上の汚染物質を十分には除去できないことが示された(比較例2)。
【0064】
これに対して、加熱前線の移動を0.1〜20mm/秒(実施例1〜3)の範囲とした時には、再点弧特性、遮断特性、使用前と遮断テスト後の接触抵抗特性、耐電圧特性(静耐圧値)に於いて安定している。
【0065】
なお本実施例では、被焼結体を室温から(又は炉管理上常に400〜600℃に保持させている炉では400〜600℃から)、焼結処理温度部分にまで移送させる。
【0066】
この時被焼結体面上の温度は一定の等温線を描きながら、被焼結体面上の一端から他端に向って等温線を移動させながら目標の焼結処理温度にまで次第に上昇させる。この動作を本発明では「接点面上での加熱前線の移動」と定義した。上記では、室温から焼結処理温度部分にまで被焼結体を移送する場合を示したが、被焼結体は移送せず、焼結処理温度を移送させても、被焼結体面上の温度は一定の等温線を描きながら、被焼結体面上の一端から他端に向って等温線を移動させながら目標の焼結処理温度にまで次第に上昇する。この動作も同等の効果を得ることから、本発明の定義「接点面上での加熱前線の移動」に包含される。
【0067】
また、上記では室温から焼結処理温度部分にまで加熱前線を移動させることとしたが、少なくとも600℃から焼結処理温度部分にまで加熱前線を移動させるとが好ましい。600℃より高い温度、例えば700℃から加熱前線を移動させることは、焼結体内部にガスを取り残す(即ち、局部的に焼結が進行する結果、ポア(空孔)を作る)ために、好ましくない。
【0068】
さらに、被焼結体を移送し、焼結処理温度も移送させても、加熱前線の移動を0.1〜20mm/秒の範囲とした時には、本発明の定義「接点面上での加熱前線の移動」に包含される。
【0069】
なお、例えば目標の焼結処理温度に保持したバッチ炉中に被焼結体を投入することによって、接点面上での加熱前線の移動を比較例2で示したよりも更に大とすると、接点面上の汚染物質が除去できないのみならず、被焼結体には特に熱歪みが残存し接点として加工した後や銀ロウ付けの後に、変形が生じている場合が見られ、接点面上での加熱前線の移動を所定値範囲に制御させる効果の有効牲が確認される。顕微鏡的観察の結果によれば、接点表面は比較例1では組成の変動部分の点在が見られた。従って再点弧特性と接触抵抗特性とのバランスを得る為には実施例1〜3で示した接点面上での加熱前線の移動を0.1〜20mm/秒の範囲に於いて、本発明技術が有効に発揮される。
【0070】
(実施例4〜6、比較例3〜4)
前記実施例1〜3、比較例1〜2では、第1の耐アーク性成分をWとして、その量を25wt%とした時の接点面上での加熱前線の移動を0.1mm/秒〜20mm/秒までの範囲とした時の再点弧発生率、接触抵抗特性に及ぼす効果について示したが、本発明は、第1の耐アーク性成分のWの量は、25wt%以外の接点に対しても、その効果を発揮する。上記耐アーク性成分のW量を5wt%、15〜50wt%、70wt%としたCu−W系合金を前記方法を選択して製造し、前記特性を評価した。
【0071】
W量が5wt%以下としたCu−W合金の場合(比較例3)では、図1、図42から明らかな様に、実施例5と比較して、耐電圧特性が低下しているのみならず、耐溶着性が低下した。特に接触抵抗特性では使用前の特性は、実施例5と比較して極めて良好な範囲にあるが、遮断テストの一部で溶着現象が発生し、接点材科としての基本機能が欠落している(比較例3)。
【0072】
また、第1の耐アーク性成分のW量を70wt%及びそれ以上としたCu−W合金の場合(比較例4)では、再点弧発生率にバラツキが見られるのみならず、接触抵抗特性の特に遮断後の値が、実施例5の使用前の値を1.0とした時の265.2倍を示すなど、著しくバラツキが発生し好ましくなかった。接触抵抗値の増大は、表面の顕微鏡的観察によれば、相対的にW量が大であることによる接点表面のCu量の不足による表面損傷、W部分の変化(酸化など)が原因している。またCuの飛散した痕跡を示す軽い凹凸が広い範囲に亘って存在している部分も観察された(比較例4)。
【0073】
これに対して前記W量が10wt%〜50wt%(Cu量は50〜90wt%)(実施例4〜6)では、再点弧特性、遮断特性、接触抵抗特性(使用前と遮断テスト後の両方)、耐電圧特性(静耐圧値)のいずれもが良好な特性を発揮している。すなわち、W量が10wt%〜50wt%のCu−W合金の場合(実施例4〜5)では、0〜0.036%の許容される範囲の再点弧発生頻度を示した。更に遮断特性に於いても、実施例5と同等レベルの好ましい範囲にあり、接触抵抗値、静耐圧値に於いても、相対値が許容される範囲にあることを示し安定した特性を示した。接点表面の顕微鏡的観察によれば、接点表面は所定条件のCuの分布効果によって、広い範囲に亘って上記比較例3〜4より平滑な状態が観察された。
【0074】
以上から、再点弧特性と遮断特性と接触抵抗特性のバランスを得る為には、W量を10〜50wt%(実施例4〜6)の範囲としたCu−W合金に於いて、本発明技術が有効に発揮される。
【0075】
(実施例7〜9、比較例5)
前記実施例1〜6、比較例1〜4では、平板状接点の直径Dと厚さHとの比率D/Hを7.5に一定とした時の本発明効果を示したが、本発明は、比率D/Hを7.5に限ることなくその効果が発揮される。すなわち比率D/Hを28、15、2とした場合に於いて、同様の評価を実施したところ、再点弧発生率は、0〜0.028の範囲の好ましい範囲にあり、特にバラツキ幅も少ない。更に遮断特性、遮断特性、接触抵抗特性、耐電圧特性のいずれもが好ましい特性であった。前記した接点面上の加熱前線の好ましい移動の効果は、D/H比率を所定値範囲に選択することによって、一層安定化する(実施例7〜9)(図1、図4参照)。
【0076】
なお、ここではD/H比率が28の場合を実施例7として示したが、D/H比率はこれより大である場合には、その効果は同様に得られる。
これに対して、比較例5で示したD/H比率を1.0とした場合には、遮断特性は25.0〜26.5kAを示し、耐電圧特性も0.95〜1.05を示し、前記した実施例7〜9と同等の優れた範囲にあったが、遮断後の接触抵抗特性において実施例5を1.0とした時の29.4倍に達し、著しい特性の劣化とバラツキを示した(比較例5)。
【0077】
(実施例10〜13)
上記実施例1〜9、比較例1〜5では、Cu−Wを焼結法(Cuの溶融温度1083℃以下に加熱)で製造する際の、第2工程での接点面上の加熱前線の移動について注目したが、本発明では、焼結法のみでなく溶浸法(第3工程:Cuの溶融温度以上に加熱)で接点を製造する場合でも、同等の加熱前線の移動の効果を得る。すなわち溶浸時の加熱前線の移動を0.1〜20mm/秒とすることによって、遮断特性、接触抵抗特性、耐電圧特性のいずれもが好ましい特性であった(実施例10〜13)(図2、図5参照)。
【0078】
(実施例14〜17、比較例6)
前記実施例1〜13、比較例1〜5では、第1の耐アーク性成分としてW、導電性成分としてCuを使用したCu−Wについて、焼結及び溶浸時の接点面上の加熱前線の移動を適切に制御した時の、各特性に対する効果を示したが、本発明は、所定量範囲のBi、Te、Sbを補助成分として含有したCu−W接点の製造に対しても、その効果を発揮する(実施例14〜17)(図2、図5参照)。
【0079】
すなわち補助成分が0.05wt%〜2wt%のBiを含有するCu−Wに於いて良好な特性を発揮したが、Bi量が5wt%の場合には、再点弧発生率が著しく高いレベルを示すと共に遮断後の接触抵抗も、実施例5を1.0とした時と比較して51.2倍に達しバラツキの大きさも指摘される(比較例6)。
【0080】
特に、溶着抑止成分のBi、Te、Sbは、Cu−Wに対して固溶度のない為、接点面上でその分布に偏析を起し易く、これらの分布、分散、量制御は極めて難しく、耐溶着性、耐電圧特性(再点弧特性)、遮断特性などに対してバラツキなどの障害を起こしやすいが、前記焼結及び溶浸時の接点面上の加熱前線の移動を適切に制御した時には、それらの分布は、分散し平準化する結果、特性の低下が抑制される。更に、通常条件の焼結及び溶浸では、コントロールし得ないガスの分布を、本発明条件によって平準化でき再点弧の発生率の低下に寄与している。
【0081】
(実施例18〜21)
前記実施例1〜17、比較例1〜6では、第1の耐アーク性成分としてWを選択したCu−W系合金について、焼結及び溶浸時の接点面上の加熱前線の移動を適切に制御した時の、各特性に対する効果を示したが、本発明は、W以外の第1の耐アーク性成分として、W炭化物(WC)、Mo、Mo炭化物(Mo2 C)、(WMo)複合炭化物を使用したCu合金に於いても、その効果を有効に発揮する(実施例18〜21)(図2、図5参照)。
【0082】
再点弧発生率、遮断特性、接触抵抗特性、耐電圧特性のいずれもが標準としている実施例5と比較して、ほぼ同等の特性を発揮している(実施例18〜21)。
【0083】
(実施例22〜27、比較例7〜8)
前記実施例1〜21、比較例1〜6では、第1の耐アーク性成分としてW、W炭化物(WC)、Mo、Mo炭化物(Mo2 C)、(WMo)複合炭化物を選択したCu合金について、焼結及び溶浸時の接点面上の加熱前線の移動を適切に制御した時の、各特性に対する効果を示したが、本発明は、Cr、Ti、CrTi(第2の耐アーク性成分)を使用したCu合金に於いても、再点弧発生率、遮断特性、っ接触抵抗特性、耐電圧特性のいずれもが標準としている実施例5と比較して、ほぼ同等の特性を発揮している(実施例22〜27)(図3、図6)。
【0084】
すなわち、Cr量が10wt%のCu−Cr合金の場合(比較例7)では、図3、図6から明らかな様に、実施例5と比較して、耐電圧特性が低下しているのみならず、耐溶着性が低下した。特に接触抵抗特性では使用前の特性は、0.8を示し実施例5と比較して極めて良好な範囲にあるが、遮断テストの一部で溶着現象が発生し遮断テスト後の接触抵抗の測定を中止した。溶着の発生や耐電圧特性の低下などで接点材料としての基本構能が欠落した(比較例7)。
【0085】
また、第1の耐アーク性成分のCr量を75wt%及びそれ以上としたCu−Cr合金の場合(比較例8)では、遮断特性が23.0kVに低下、再点弧発生率も0.04〜0.152を示しバラツキが見られるのみならす、接触抵抗特性の特に遮断後の値が、実施例5の使用前の値を1.0とした時の288.9倍を示すなど、著しくバラツキが発生し好ましくなかった。接触抵抗値の増大は、表面の顕微鏡的観察によれば、相対的にCr量が大であることによる接点表面のCu量の不足による表面損傷、Cr部分の変化(酸化など)が原因している。またCuの飛散した痕跡を示す軽い凹凸が広い範囲に亘って存在している部分も観察された(比較例8)。
【0086】
これに対して、Cr量が15wt%〜60wt%のCu−Cr合金の場合(実施例22〜24)では、0〜0.028%の許容される範囲の再点弧発生頻度を示した。更に遮断特性に於いても、実施例5と同等レベルの好ましい範囲にあり、接触抵抗値、静耐圧値に於いても、相対値が許容される範囲にあることを示し安定した特性を示した。接点表面の顕微鏡的観察によれば、接点表面は所定条件のCuの分布効果によって、広い範囲って平滑な状態が観察された。
【0087】
一方、第1の耐アーク性成分としてCrに代わってTi、CrTiとした時にも再点弧発生率、遮断特性、接触抵抗特性、耐電圧特性のいずれもが標準としている実施例5と比較して、ほぼ同等の特性を発揮している(実施側25〜27)。
【0088】
(実施例28〜30)
前記実施例22〜27、比較例7〜8では、第2の耐アーク性成分としてCr、Ti、CrTiを選択したCu合金について、焼結及び溶浸時の接点面上の加熱前線の移動を適切に制御した時の、各特性に対する効果を示したが、本発明は、これらの炭化物(第2の耐アーク性成分)を使用したCu合金に於いても、
再点弧発生率、遮断特性、接触抵抗特性、耐電圧特性のいずれもが標準としている実施例5と比較して、ほぼ同等の特性を発揮している(実施例28〜30)(図3、図6)。
【0089】
すなわち、第2の耐アーク性成分Cr炭化物、Ti炭化物量が30wt%のCu合金の場合では、0.009〜0.027%の許容される範囲の再点弧発生頻度を示した。更に遮断特性に於いても、実施例5と同等レベルの好ましい範囲にあり、接触抵抗値、静耐圧値に於いても、相対値が許容される範囲にあることを示し安定した特性を示した(実施例28〜29)。接点表面の顕微鏡的観察によれば、接点表面は所定条件のCuの分布効果によって、広い範囲に亘って平滑な状態が観察された。
【0090】
TiCr炭化物とした時にも0.014〜0.030%の許容される範囲の再点弧発生頻度を示した。遮断特性、接触抵抗特性、耐電圧特性のいずれもが標準としている実施例5と比較して、ほぼ同等の特性を発揮している(実施例30)。
【0091】
(実施例31〜33)
前記実施例1〜30では、第1の耐アーク性成分(W、Mo、WMo及びこれらの炭化物)と第2の耐アーク性成分(Cr、Ti、CrTi及びこれらの炭化物)とが、単独で存在するCu合金について、焼結及び溶浸時の接点面上の加熱前線の移動を適切に制御した時の、各特性に対する効果を示したが、本発明は、これらの第1の耐アーク性成分と第2の耐アーク性成分とが同時に存在したCu合金に於いても、再点弧発生率、遮断特性、接触抵抗特性、耐電圧特性のいずれもが標準としている実施例5と比較して、ほぼ同等の特性を発揮している(実施例31〜33)(図3、図6)。
【0092】
すなわち、第1の耐アーク性成分として15%W、第2の耐アーク性成分として15%Tiを選択したWTi−Cu合金の場合でも、0.003〜0.016%の許容される範囲の再点弧発生頻度を示した。更に遮断特性に於いても、実施例5と同等レベルの好ましい範囲にあり、接触抵抗値、静耐圧値に於いても、相対値が許容される範囲にあることを示し安定した特性を示した(実施側31)。接点表面の顕微鏡的観察によれば、接点表面は所定条件のCuの分布効果によって、広い範囲に亘って平滑な状態が観察された。
【0093】
第1の耐アーク性成分として15%W炭化物、第2の耐アーク性成分として15%Ti炭化物を選択した(WTi)炭化物−Cu合金の場合でも、0.007〜0.022%の許容される範囲の再点弧発生頻度を示した(実施例32)。
【0094】
第1の耐アーク性成分として15%(WMo)炭化物、第2の耐アーク性戌分として15%Ti炭化物を選択した(WMoTi)炭化物−Cu合金の場合でも、0.007〜0.022%の許容される範囲の再点弧発生頻度を示した(実施例33)。更に遮断特性に於いても、実施例5と同等レベルの好ましい範囲にあり、接触抵抗値、静耐圧値に於いても、相対値が許容される範囲にあることを示し安定した特性を示した。
【0095】
(実施例34〜35)
前記実施例1〜33では、導電性成分としてCuを選択したCu−(耐アー
ク性成分)合金について、焼結及び溶浸時の接点面上の加熱前線の移動を適切に制御た時の、各特性に対する効果を示したが、本発明は、導電性成分としてAgを選択したAg−(耐アーク性成分)合金に於いても、再点弧発生率、遮断特性、接触抵抗特性、耐電圧特性のいずれもが標準としている実施例5と比較して、ほぼ同等の特性を発揮している(実施例34〜35)(図3、図6)。
【0096】
すなわち、WCを耐アーク性成分とし、導電性成分としてAg(実施例34)、AgCu(実施例35)を選択したWC−Ag合金またはWC−AgCu合金の場合でも、0.012〜0.031%の許容される範囲の再点弧発生頻度を示した。更に遮断特性に於いても、実施例5と同等レベルの好ましい範囲にあり、接触抵抗値、静耐圧値に於いても、相対値が許容される範囲にあることを示し安定した特性を示した。接点表面の顕微鏡的観察によれば、接点表面は所定条件のAg(またはCu)の分布効果によって、広い範囲に亘って平滑な状態が観察された。
【0097】
【発明の効果】
上記実施例の結果からも理解される様に、本発明によれば、真空バルブ用接点材料の製造工程に於いて、平板状焼結体又は溶浸体を加熱する時に、焼結体又は溶浸体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で焼結体面上の加熱前線を移動させる様にしたので、安定した素材を得て、接点特性の安定性を向上させることができる。
【0098】
すなわち、接点面上での加熱前線の移動を最適化したので、焼結体又は溶浸体面上の汚染物質、熱歪みの除去、加工変形の抑制に対して有益で、再点弧発生率、裁断特性に優れた特性を有する真空バルブ用接点材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜9、及び比較例1〜5の評価条件を示す表図。
【図2】 実施例10〜21、及び比較例6の評価条件を示す表図。
【図3】 実施例22〜35、及び比較例7〜8の評価条件を示す表図。
【図4】 実施例1〜9、及び比較例1〜5の評価結果を示す表図。
【図5】 実施例10〜21、及び比較例6の評価結果を示す表図。
【図6】 実施例22〜35、及び比較例7〜8の評価結果を示す表図。

Claims (7)

  1. Cu、Agの少なくとも1つよりなる導電性成分と、W、Mo、W炭化物、Mo炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第1の耐アーク性成分とで構成され、前記導電性成分量を50〜90重量%、第1の耐アーク性成分量を10〜50重量%の範囲で混合した混合体を得る工程と、
    前記混合体を非酸化性雰囲気中で焼結し、平板状(但し、焼成する平板が円形板の時には、その直径Dと板厚さHとの比率D/Hが、D/H≧2、焼成する平板が多角形板の時には、その幅Wと板厚さHとの比率W/HがW/H≧2)の焼結体を得る工程と
    を備えた真空バルブ用接点材料の製造方法に於いて、
    前記焼結体を得る工程で、平板状の焼結体を加熱する時に、焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で焼結体面上の加熱前線を移動させて行くことを特徴とする真空バルブ用接点材料の製造方法。
  2. Cu、Agの少なくとも1つよりなる導電性成分と、Cr、Ti、Cr炭化物、Ti炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第2の耐アーク性成分とで構成され、導電性成分を40〜85重量%、第2の耐アーク性成分を15〜60重量%の範囲で混合した混合体を得る工程と、
    前記混合体を非酸化性雰囲気中で焼結し、平板状(但し、焼成する平板が円形板の時には、その直径Dと板厚さHとの比率D/Hが、D/H≧2、焼成する平板が多角形板の時には、その幅Wと板厚さHとの比率W/HがW/H≧2)の焼結体を得る工程と
    を備えた真空バルブ用接点材料の製造方法に於いて、
    前記焼結体を得る工程で平板状焼結体を加熱する時に、焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で焼結体面上の加熱前線を移動させて行くことを特徴とする真空バルブ用接点材料の製造方法。
  3. 前記混合体を得る工程は、前記導電性成分と前記第1の耐アーク性成分、又は前記導電性成分と前記第2の耐アーク性成分とで構成される合金系に対して、Bi、Te、Sbより選ばれた少なくとも1つよりなる補助成分を0.05〜2重量%の範囲で混合した混合体を得る工程であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空バルブ用接点材料の製造方法。
  4. Cu、Agの少なくとも1つよりなる導電性成分と、W、Mo、W炭化物、Mo炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第1の耐アーク性成分と、Cr、Ti、Cr炭化物、Ti炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第2の耐アーク性成分とを混合した混合体を得る工程と、
    前記混合体を非酸化性雰囲気中で焼結し、平板状(但し、焼成する平板が円形板の時には、その直径Dと板厚さHとの比率D/Hが、D/H≧2、焼成する平板が多角形板の時には、その幅Wと板厚さHとの比率W/HがW/H≧2)の焼結体を得る工程と
    を備えた真空バルブ用接点材料の製造方法に於いて、
    前記焼結体を得る工程で、平板状の焼結体を加熱する時に、焼結体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で焼結体面上の加熱前線を移動させて行くことを特徴とする真空バルブ用接点材料の製造方法。
  5. 前記混合体を得る工程と前記焼結体を得る工程との間に、前記混合体を加圧し成型体を得る工程を挿入したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の真空バルブ用接点材料の製造方法。
  6. Cu、Agの少なくとも1つよりなる導電性成分と、W、Mo、W炭化物、Mo炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第1の耐アーク性成分及びCr、Ti、Cr炭化物、Ti炭化物より選ばれた少なくとも1つよりなる第2の耐アーク性成分の内の少なくとも一方の耐アーク性成分とを混合し、必要によりBi、Te、Sbより選ばれた少なくとも1つよりなる補助成分を混合した混合体を得る工程と、
    前記混合体を非酸化性雰囲気中で焼結し、平板状(但し、焼成する平板が円形板の時には、その直径Dと板厚さHとの比率D/Hが、D/H≧2、焼成する平板が多角形板の時には、その幅Wと板厚さHとの比率W/HがW/H≧2)の焼結体を得る工程と、
    前記焼結体中に導電性成分又は導電性成分と補助成分とを溶浸し溶浸体を得る工程と
    を備えた真空バルブ用接点材料の製造方法に於いて、
    溶浸体を得る工程での溶浸体加熱時に、溶浸体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で溶浸体面上の加熱前線を移動させて行くことを特徴とする真空バルブ用接点材料の製造方法。
  7. 前記焼結体を得る工程または溶浸体を得る工程に於いて加熱前線を移動させて行く場合、焼結体又は溶浸体の温度が少なくとも600℃から熱処理保持温度(焼結温度又は溶浸温度)に到達するまでの間を、焼結体又は溶浸体の一端から他端に向かって、0.1〜20mm/秒で加熱前線を移動させて行くことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の真空バルブ用接点材料の製造方法。
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