JP2004332046A - 遮断器用接点材料及び真空遮断器 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のCu−W合金やCu−W−(微量)Mo合金接点に代わって、冶金的諸条件を最適化することにより、遮断特性を向上させることが出来るCu−Mo系合金等からなる遮断器用接点材料、及び真空遮断器を提供する。
【解決手段】遮断器用接点材料を、平均粒径0.4〜6μmのMoを60〜75重量%、平均粒径0.4〜4μmのWを0.002〜9重量%用いるとともに、残部の主成分としてCuを用いた合金からなるものとし、MoとWとを一体化させ、一体化させたMoWの大きさを0.4〜10μmの範囲とする。このような構成で、主成分Moに補助成分Wを一体化させることで、主成分Moの耐熱性が改良され、遮断後の接点面の荒れを改良し、遮断特性を向上させることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】遮断器用接点材料を、平均粒径0.4〜6μmのMoを60〜75重量%、平均粒径0.4〜4μmのWを0.002〜9重量%用いるとともに、残部の主成分としてCuを用いた合金からなるものとし、MoとWとを一体化させ、一体化させたMoWの大きさを0.4〜10μmの範囲とする。このような構成で、主成分Moに補助成分Wを一体化させることで、主成分Moの耐熱性が改良され、遮断後の接点面の荒れを改良し、遮断特性を向上させることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮断器用接点材料及び真空遮断器に係り、特に遮断電流特性に優れた遮断器用接点材料及び真空遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空遮断器に用いられる真空バルブの接点は、耐溶着特性、耐電圧特性、遮断特性で代表される基本三要件の他に裁断特性、耐消耗性、接触抵抗特性、温度上昇特性などを維持向上させるために種々の素材から構成されている。しかし、要求される上述の特性には、互いに相反する材料物性を要求する場合が多いことから、1つの元素で十分満足させることは不可能とされている。そこで、材料の複合化、素材の張合わせなどによって、大電流遮断用途、高耐電圧用途などの様に特定用途に合った接点材料の開発が行われ、それなりに優れた特性を発揮している。
【0003】
例えば基本三要件を満たした大電流遮断用接点材料として、BiやTeの様な溶着防止成分を5重量%以下含有するCu−Bi合金、Cu−Te合金が知られている(例えば、特許文献1、及び特許文献2参照)。Cu−Bi合金は結晶粒界に析出した脆いBi、Cu−Te合金は結晶粒界及び粒内に析出した脆いCu2Teが合金自体を脆化させ低溶着引き外し力が実現したことから大電流遮断特性に優れている。
【0004】
一方高耐圧・大電流遮断用接点材料として、Cu−Cr合金が知られている。この合金は前記Cu−Bi合金、Cu−Te合金よりも、構成成分間の蒸気圧差が少ないため均一な性能発揮を期待し得る利点があり使い方によっては優れたものである。
【0005】
また高耐電圧接点材料としてCu−W合金やCu−W−(微量)Mo合金が知られている(例えば、特許文献3参照)。これらの合金は高溶融点材料の効果によって優れた耐ア−ク性を発揮している。
【0006】
真空遮断器には、電流遮断後真空バルブ内で閃絡が発生し接点間が再び導通状態になる(その後放電は継続しない)現象を誘起することがある。この現象を再点弧と呼び、その発生メカニズムは未解明であるが、電気回路が一度電流遮断状態となった後に導通状態に急激に変化する為、異常過電圧が発生しやすい。特にコンデンサバンクの遮断時に再点弧を発生させる実験によれば、極めて大きな過電圧の発生や、過大な高周波電流が流れる為、再点弧の発生抑制技術の開発が求められている。
【0007】
上記した様に、再点弧現象の発生メカニズムは未だ知られていないが、本発明者らの実験観察によれば、再点弧は真空バルブ内の接点と接点との間、接点とア−クシ−ルドとの間でかなり高い頻度で発生している。その為本発明者らは、例えば接点がア−クを受けた時に放出される突発性ガスの抑制技術、接点表面形態の最適化技術など、再点弧の発生抑制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大幅に低減化した。
【0008】
しかし、近年の真空バルブに対する高耐電圧化要求と共に遮断性能(大電流遮断化の要求)、特に小形化要求には、上記した高耐電圧接点材料として優れたCu−W合金やCu−W−(微量)Mo合金接点よりも大電流遮断性能に一層優れた高耐電圧系の接点が必要となってきた。
【0009】
【特許文献1】
特公昭41−12131号公報(第9頁、第6〜8図)
【特許文献2】
特公昭44−23751号公報(第1〜2頁)
【特許文献3】
特開平10−199379号公報(第1頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
高耐圧接点材料としては、前記したCu−Bi合金、Cu−Te合金、Cu−Cr合金に優先してCu−W合金を適用してきたが、さらに強まる低再点弧化の要求に対しては、新しいCu−W合金として0.001〜5重量%のMoを加えたCu−W−Moが開発された(特許文献3)。しかし、遮断特性の要求に対しては十分な接点材料とはいえない実情である。
【0011】
すなわち、従来のCu−W合金やCu−W−(微量)Mo合金接点に対しても、遮断特性も要求されるようになってきた。そこである程度の高耐圧性を持った上で優れた遮断特性を持つ真空バルブ用接点材料の開発が望まれてきた。
【0012】
そこで本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、従来のCu−W合金やCu−W−(微量)Mo合金接点に代わって、冶金的諸条件を最適化することにより、遮断特性を向上させることが出来るCu−Mo系合金等からなる遮断器用接点材料、及び真空遮断器を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る遮断器用接点材料は、平均粒径0.4〜6μmのMoを60〜75重量%、平均粒径0.4〜4μmのWを0.002〜9重量%用いるとともに、残部の主成分としてCuを用いた合金からなり、MoとWとが一体化され、一体化されたMoWの大きさが0.4〜10μmの範囲にあることを特徴とする。
【0014】
すなわちこの構成により、合金における主成分のMo量を60〜75重量%とすることで、導電性を低下させることなく所要レベルの硬さ、融点を確保する。主成分のMo量が75重量%を越えると、導電性が低下してジュ−ル熱増大の原因となる。静耐溶着特性は低下の傾向、遮断特性も低下が認められる。Mo量が60重量%未満では、遮断面の表面荒れが大となる。
【0015】
また、原料として使用する時点での主成分のMoの平均粒径が0.4μm未満では、遮断特性の大幅な低下とばらつき幅を示す。これは0.4μm未満では、原料表面の吸着ガス量が増大していることが原因と考えられる。原料として使用する時点での主成分のMoの平均粒径が6μmを越えると、一体化後のMoW粒子(MoとWとが単独でなく合金化した状態)を粗大化させると共に、平均粒径を大きくばらつかせる原因となって、遮断特性に著しいばらつきを発生させる。補助成分として使用するWの平均粒径も、0.4μm未満では同じ現象で好ましくない。
【0016】
主成分Moに補助成分としてWを0.002〜9%の範囲で一体化(単独でなく合金化している意味)させることで、主成分Moの耐熱性が改良され、遮断後の接点面の荒れを改良し、遮断特性の改良に寄与する。補助成分のW量は、0.002%以上でその効果が発揮され、9%を越えると遮断特性の低下と接点の過剰な消耗の原因となる。補助成分としてのW量が0.002%未満の量、例えば0.001%以下では、この効果が低い。補助成分としてのW量が9%を越えた量、例えば15%では、一体化後のMoW一体化粒子の高溶融点化で、遮断特性が低下すると共にMoW一体化粒子の機械的特性の増加で静耐溶着特性の低下も見られ好ましくない。
【0017】
さらに、MoとWとを一体化し、一体化されたMoWの平均粒径を0.4〜10μmとすることで、主成分のMoと補助成分のWとが単独で存在するよりも、微小金属粒子の放出、飛散の低減と表面荒れの低減に特に有効となる。MoWの一体化粒子の平均粒径が10μmを越えると接点消耗量および表面荒れが増加する傾向となり遮断特性がばらつく傾向を示し好ましくない。
【0018】
以上のように、MoWの一体化粒子の平均粒径を0.4〜10μmとするためには、原料とする主成分Moや補助成分Wの平均粒径を、それぞれ0.4〜6μm、0.4〜4μmとすることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る遮断器用接点材料は、平均粒径0.4〜6μmのMoを60〜75重量%、平均粒径0.4〜4μmのWを0.002〜9重量%、平均粒径0.4〜4μmのFeを0.001〜5重量%用いるとともに、残部の主成分としてCuを用いた合金からなり、Mo、W、及びFeが一体化され、一体化されたMoWFeの大きさが0.4〜10μmの範囲にあることを特徴とする。
【0020】
すなわちこの構成により、原料Moに補助成分として平均粒径0.4〜4μmのWを0.002〜9重量%用いるとともに平均粒径0.4〜4μmのFeを0.001〜5重量%用いてMo、W、及びFeを一体化させ、平均粒径が0.4〜10μmのMoWFeとすることにより、補助成分としてWを用いた上述の場合とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
Cu−Mo系接点に外部磁界(例えば縦磁界技術)をかけた時、一般に大電流を遮断した場合、遮断により発生したア−クはア−ク電圧の低い部分に停滞、集中することが抑止され、接点電極面上を移動する。これによって接点面積の有効な活用によって遮断特性の改善に寄与している。すなわち、接点電極上をア−クは容易に移動するため、ア−クの拡散が促進され、遮断電流を処理する接点電極面積の実質的増加につながり、遮断電流特性の向上に寄与する。さらにア−クの停滞、集中が低減化される結果、接点電極の局部的異常蒸発現象の阻止、表面荒れの軽減化の利益も得られ、遮断電流特性の向上に寄与する。
【0023】
しかし、一定値以上の電流値を遮断すると、ア−クは予測出来ない一点もしくは複数点の場所で停滞し、異常融解させ遮断限界に至る。また異常融解は、接点電極材料の瞬時的爆発的な蒸発によって発生した金属蒸気が、開極過程にあった真空遮断器の絶縁回復性を著しく阻害し、遮断限界の一層の劣化を招く。さらに異常融解は、巨大な融滴を作り接点電極面の荒れを招き耐電圧特性の低下、再点弧発生率の増加、材料の異常な消耗をも招く。これらの現象の原因となるア−クが、接点電極面上のどこで停滞するかは前述したように全く予測出来ない以上、発生したア−クが停滞させることなく移動拡散できるような表面条件を接点に与えることが望ましい。
【0024】
本実施の形態では、その望ましい条件として、Cu−Mo合金中のMoの量および粒径を最適化すると共に、Mo(主成分)に補助成分としてW、若しくはW、Feを一体化させた。一体化はMoとW、若しくはMoとWとFeとが均一に合金化(X線回折などで確認)した状態にある。
【0025】
その結果、CuとMoとの間の濡れ性を改良し、Mo粒子とCuとの密着強度を向上させた。
【0026】
また、一体化したMoW、MoWFeによって囲まれるCu相の大きさも好ましい範囲である50μm以下(より好ましくは10μm以下)の領域が所定面積以上占める様に制限し、接点合金組織の均一化を図った。
【0027】
その結果ア−クを受けた時に選択的に優先して蒸発、飛散するCuを少なくなる様に制御するのみならず、被ア−ク時の熱衝撃によっても接点面上には、遮断特性を阻害する有害な亀裂発生も抑止され、Mo粒子の飛散脱落も軽減する効果を得る。この効果は、従来のCu−W、Cu−W−微量Mo接点よりも優れ、遮断特性の向上に寄与した。
【0028】
本発明者らの実験によれば、この様に、合金組織の均一化、補助成分のW、Feの一体化等の改良を図ったので、ア−クを受けた後でも接点表面の溶融、飛散損傷が少なくなり、接点表面荒れを少なくし、耐ア−ク消耗性の向上にも有益となった。
【0029】
そして、これらの相乗的効果によって、遮断特性を向上した。
【0030】
この様にWを主成分とする従来のCu−W系接点から、Moを主成分とする新規のCu−Mo系接点に代替することによって、同一の大電流を遮断した場合に熱電子放出に差異が見られ、Moを主成分とするCu−Mo系の方が遮断特性が向上した。Moを主成分とするMoW一体化粒子の融解温度が、Wを主成分とするWMo一体化粒子のそれよりも約800度以上も低いという両者の融解温度の差の効果が有効に作用したものである。従ってMoW一体化粒子中のW量の増加によって、融解温度が上昇するにつれて遮断特性が低下して行く傾向と一致する。
【0031】
すなわち、Cuに対するMo(および微量の補助成分W)の容積%と、Cuに対するW(および微量の補助成分Mo)の容積%とをほぼ揃えたCu−60.1重量%Mo−0.05重量%W接点(本発明Cu−Mo系接点)、Cu−74重量%W−0.09重量%Mo接点(参考例Cu−W系接点)を準備した。両接点について、低い電流値から遮断電流値を増加させながら遮断試験を実施してゆくと、15〜20kA程度の大電流を遮断すると、参考例Cu−W系接点では、遮断不能を起こす回数が、本発明Cu−Mo系接点よりも多い(劣る)傾向にある。更に、電流遮断後の接点面の微小領域での接触面積にも差異が見られ、Moを主成分とする本発明Cu−Mo系接点の方が、真実接触面積が大きく観察され、接触面積の増大効果による温度特性の向上(温度上昇が低いこと)、遮断特性の向上が見られた。
【0032】
上述したように、本実施の形態の真空遮断器用接点材料は、Cu−Mo系接点を搭載した真空バルブに於いて、真空バルブの遮断特性向上の為に、所定量のW若しくはWFeよりなる補助成分を、CuMoに合金化すると共にその大きさを最適の状態に管理し効果を得たものである。従って、主成分のMo、補助成分のW、Feの平均粒径と、一体化した後のMoW、MoWFeの粒径、量が重要なポイントとなる。このように本発明での一体化は、均一な合金化を指している。
【0033】
次に本実施の形態における各実施例及び比較例の評価条件、評価方法などを示す。
【0034】
(1)遮断特性
着脱式の遮断テスト用真空遮断装置に所定接点電極を装着し、接点表面のベ−キング電流、電圧エ−ジング、開極速度条件を一定同一とした後、7.2kV、50Hzで、遮断電流値を5kAより漸次増加させながら、遮断限界電流値を測定した。実施例2の遮断限界電流値を100とし各条件下でのその値と対比し、その倍率を遮断倍率として表示した。
【0035】
(2)静耐溶着特性
静耐溶着特性は、各接点に50kgの荷重を与えながら、10kAを通電した時の溶着引きはずし力を、実施例2(標準接点)の値と相対比較し参考とした。なお、実施例2(標準接点)と同程度の特性の場合を評価(C)、これより約10%以上良好な特性の場合を評価(B)、特性値にばらつきが少ない場合を評価(A)とした。また、実施例2(標準接点)より約10%以上劣る場合を評価(D)とした。
【0036】
(3)再点弧特性
再点弧特性は、径30mm、厚さ5mmの円盤状接点をディマウンタブル形真空バルブに装着し、6kv×500Aの回路を20,000回遮断した時の再点弧発生頻度を2台の遮断器(真空バルブとして6本)のバラツキ値を考慮して図3〜図4に示した。接点の装着に際しては、ベ−キング加熱(450℃×30分)のみ行い、ろう材の使用並びにこれに伴う加熱は行わなかった。なお、再点弧特性の評価は、再点弧発生頻度を実施例2(標準接点)の値と相対比較し、実施例2(標準接点)と同程度の特性の場合を評価(C)、これより約10%以上良好な特性の場合を評価(B)、特性値にばらつきが少ない場合を評価(A)とした。また、実施例2(標準接点)より約10%以上劣る場合を評価(D)とした。
【0037】
次に本実施の形態の接点の製造方法例について説明する。
【0038】
(製法例1):MoWFe粉で構成したスケルトンにCuを溶かし流し込む溶浸法によって接点とした。すなわち主成分のMo粉を1100℃の温度で焼結し所定空隙率を持つスケルトンを作製し、その空孔中に別途用意したCuMoを例えば1150℃の温度で溶浸しCu−MoW接点素材を製造した(必要により前記CuMo(Fe)にBiを追加しCu−MoW(Fe)−Bi接点素材を製造した)。MoWFe粉で構成したスケルトンに、0.35%以下のCrを含有するCuCrを溶かし流し込む溶浸法によっても接点として利用できる。
【0039】
(製法例2):MoWFe粉とCu粉を所定割合で混合した粉末を焼結又は成型焼結する焼結法によって接点とした。
【0040】
(製法例3):Cu−Mo合金と補助成分W(Fe)との合金化の方法は、補助成分W(Fe)の量が主成分のMo量に比較して極めて少量な為、均質混合性が難しい。これらを均一に混合する手段として、例えば最終的に必要な主成分Mo量(60〜75重量%)の内の一部から取り出した極く少量のMoと、補助成分W(又は/及びFe)粉とを混合(必要によりBi、Sb、Teの少なくとも1つを追加)して第1次混合粉を得る(必要によりこの作業を第n次混合まで繰り返す)。この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と、残りのMo粉とを再度混合し、最終的に十分に良好な混合状態にあるMoW(Fe)粉を得る。このMoW(Fe)粉と所定量の銅(Cu)粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Cu−MoW(Fe)接点素材(又はCu−MoW(Fe)−Bi接点素材)を製造し、所定形状に加工して接点とした。
【0041】
(製法例4):別の合金化の方法として、最終的に必要なCu量の内の一部から取り出した極く少量のCu(必要によりBiを追加)と、主成分のMo粉の一部とを混合して得た第1次混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返す)。この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りのCu粉(または残りのMo粉)とを再度混合し、最終的に十分に良好な混合状態にあるCuMo粉を得る。このCuMo粉と所定W粉(最終的に必要な補助成分のW量)とを混合した後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、CuMoW接点素材を製造した。
【0042】
(製法例5):他の製造方法としては、上記方法で製造した第n次混合MoW粉を、1100℃の温度で焼結し所定空隙率を持つMoWスケルトンを作製し、その空孔中にCuを例えば1150℃の温度で溶浸し、Cu−MoW接点素材又はCu−MoW(Fe)接点素材を製造した。
【0043】
(製法例6):また別の合金化の方法としては、イオンプレ−ティング装置やスパッタリング装置を用いた物理的方法或いはボ−ルミル装置を用いた機械的方法で、Mo粉の表面にW(Fe)を被覆(必要によりBiも同時に)したMo粉を得て、このW(Fe)で被覆したMo粉とCu粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Cu−MoW(Fe)接点素材を製造した。
【0044】
(製法例7):また別の合金化の方法としては、特にCu粉と、Mo粉と、W(Fe)粉との均一混合技術に於いて、揺動運動と攪拌運動とを重畳させる方法も有益である。これによって、混合粉は一般に行われているアセトンなど溶剤使用時に見られる固まりとなったり凝集体となったりする現象がなく、作業性も向上する。また混合作業での攪拌容器の攪拌運動の攪拌数Rと攪拌容器に与える揺動運動の揺動数Sとの比率R/Sをほぼ10〜0.1程度の好ましい範囲に選択すれば、解砕、分散、混合中の粉末へのエネルギ−入力が好ましい範囲となり、混合作業での粉末の変質や汚染の程度を低く押さえることができる特徴を有する。
【0045】
従来のらいかい機などによる混合、粉砕では粉体を押し潰す作用が加わるが、揺動運動と攪拌運動とを重畳させる本方法では、前記R/S比率がほぼ10〜0.1程度に分布している為、粉体同士が絡み合う程度の混合となり、良好な通気性を持つ為焼結性が向上し、良質な成型体または焼結体あるいはスケルトンを得る。更に必要以上のエネルギ−入力がなく粉体が変質することがない。この様な状態の混合粉を原料とすれば、焼結、溶浸後の合金も低ガス化が可能となり、遮断性能、再点弧特性の安定化に寄与している。
【0046】
(製法例8):所定比率を持ったCuMo−(微量)W混合体を作成し、それをア−ク溶解後凝固させる。溶解に際しては前記CuMo−(微量)W混合体の一部分にア−クを照射させながら、一部分の溶融部分を集合させてMoを主成分とするCuMoW合金とする。所定比率を持ったCuMo−(微量)W、Fe混合体を作成し、それをア−ク溶解後凝固させることもできる。
【0047】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0048】
まず、遮断テスト用実験バルブの組立ての概要を示す。端面の平均表面粗さを約1.5μmに研磨したセラミックス製絶縁容器(主成分:AL2O3)を用意し、このセラミックス製絶縁容器に対して組立て前に1650℃の前加熱処理を施した。
【0049】
封着金具として、板厚さ2mmの42%Ni−Fe合金を用意した。
【0050】
ロウ材として、厚さ0.1mmの72%Ag−Cu合金板を用意した。
【0051】
上記用意した各部材を被接合物間(セラミックス製絶縁容器の端面と封着金具)に気密封着接合が可能なように配置して、5×10−4Paの真空雰囲気で封着金具とセラミックス製絶縁容器との気密封着工程に供する。
【0052】
次いで、供試接点材料の内容、評価内容と結果などについて説明する。
【0053】
Cu−Moに於いて、原料粉として平均粒径が0.9μmのMo粉、1.5μmのW粉、3μmのFe粉等を用意し、前記製法例1〜8の方法を適宜選択しながら、MoW一体化粒子、またはMoWFe一体化粒子の平均粒径が0.9〜6.4μmの範囲にあるCu−Mo−W接点の素材を製造した(WはMoの補助成分)。
【0054】
これらの素材を所定形状に加工後、接触面の表面粗さを、一部を除いて、2μmに仕上げ試験片とした。評価条件と評価結果を図1〜図4に示した。
【0055】
WとFeを各々0.01%(重量%。以下、接点組成については重量%を、単に%として示す。)としたCu−68%Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の遮断特性、溶着特性、再点弧特性を測定し、その値を標準値とした(実施例2:標準接点)。他の実施例、比較例は、この標準接点と比較した場合の相対値である。
【0056】
(実施例1〜3、比較例1〜2)
Cu−85%Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の場合(比較例1)では、50Hzで7.2kVの回路を5kAより漸増させながら観測した遮断特性(遮断倍率)では、実施例2の100に対して50〜60に低下し、標準接点より著しく劣り好ましくなかった。遮断によって接点面に亀裂が生じた。さらに静耐溶着特性は評価(D)、再点弧特性は評価(C)〜(D)を示し好ましくない。
【0057】
これに対して、Mo量を75%、60%としたCu−Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の場合(実施例1、3)では、実施例2の標準接点のCu−68%Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の値を100として、95〜100(実施例1)、105〜115(実施例3)の遮断倍率を示し安定した遮断特性を示した。さらに静耐溶着特性は、Mo量が75%では評価(B)、Mo量が60重量%では評価(A)を示し良好である。再点弧特性もMo量が75%、60%共に評価(B)を示し良好である。
【0058】
Mo量を50%としたCu−Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の場合(比較例2)では、静耐溶着特性は評価(A)、再点弧特性は評価(B)を示し良好であるにもかかわらず、遮断特性が75〜85の遮断倍率を示し好ましくない。
【0059】
以上のように、Mo量を60〜75%とすることで、導電性を低下させることなく所要レベルの硬さ、融点を確保する。主成分のMo量が75%を越えると、導電性が低下してジュ−ル熱増大の原因となる。静耐溶着特性は低下の傾向、遮断特性も低下が認められる。Mo量が60%未満では、遮断面の表面荒れが大となる。
【0060】
(実施例4〜8、比較例3〜4)
前記実施例1〜3、比較例1〜2では、Cu−Mo−W−Fe合金中のW量を0.01%に一定とした場合の、好適なMo量の範囲を示した(WはMoの補助成分)。しかし本発明でのW量は0.01%に限ることなく、その効果が発揮される。
【0061】
すなわちW量を0.001%以下(比較例3)、0.002〜9%(実施例4〜8)、15%(比較例4)としたCu−68%Mo−W−Fe合金では、W量が0.002〜9%に於いて、良好な遮断倍率95以上(最高では実施例7の145)を示した。
【0062】
これに対してW量が0.001%以下(比較例3)では、静耐溶着特性が評価(A)、再点弧特性は評価(B)を示し良好であるにもかかわらず、遮断特性が70〜90の遮断倍率を示し好ましくない。W量が15%(比較例4)では、再点弧特性は評価(C)を示し、実施例2の標準材料と同等で合格の範囲であったが、静耐溶着特性では、大きくばらつき評価(C〜D)を示した上に、遮断特性も70〜95の遮断倍率を示し好ましくない。
【0063】
以上のように、補助成分のW量は、0.002%以上でその効果が発揮され、9%を越えると遮断特性の低下と接点の過剰な消耗の原因となる。補助成分としてのW量が0.002%未満の量、例えば0.001%以下では、この効果が低い。補助成分としてのW量が9%を越えた量、例えば15%では、一体化粒子の高溶融点化で、遮断特性が低下すると共に一体化粒子の機械的特性の増加で静耐溶着特性の低下も見られ好ましくない。
【0064】
なお実施例4〜8に於けるCu−Mo合金中のWとFeとの比率(重量比率)(W/Fe比)は、0.2〜500の範囲であり、均一組成のMoWFe一体化粒子となった。W/Fe比が1200(比較例4)の場合のMoWFe一体化粒子は、組成的に偏析の状態となった。このような偏析の状態にあると、遮断特性にばらつきが発生する傾向にあった。
【0065】
(実施例9〜12、比較例5〜6)
前記実施例1〜8、比較例1〜4では、Cu−Mo−W−Fe合金中のFe量を0.01%に一定とした場合の、好適なMo量、W量の範囲を示した。しかし本発明でのFe量は0.01%に限ることなく、その効果が発揮される。
【0066】
すなわちFe量を0.001未満(比較例5)、0.001〜5%(実施例9〜12)、12%(比較例6)としたCu−68%Mo−W−Fe合金では、Fe量が0.001〜5%の範囲に於いて、良好な遮断倍率95以上(最高では実施例10の120)を示した。
【0067】
これに対してFe量が0.001%未満(比較例5)では、静耐溶着特性が評価(A)、再点弧特性は評価(B)を示し良好で、遮断特性も100〜105の遮断倍率を示しているが、Fe量を安定して0.001%未満に制御するのは経済性がない。Fe量が12%(比較例6)では、再点弧特性は評価(C)を示し合格の範囲にあったにもかかわらず、静耐溶着特性では実施例2の標準材料と同等の時とそれ以下の時にばらつき評価(C〜D)を示した上に、遮断特性も75〜100の遮断倍率を示し、ばらつきが大きく好ましくない。
【0068】
なお実施例9〜12に於けるCu−Mo合金中のWとFeとの比率(W/Fe比)は、0.5〜0.002の範囲であり、均一組成のMoWFe一体化粒子となった。Mo/Fe比が0.0008(比較例6)の場合には,MoWFe一体化粒子中でFeが偏析する場合があった。このような偏析にあると、遮断特性にばらつきが発生する傾向にあった。
【0069】
以上の実施例4〜12、比較例3〜6から分かるように、補助成分のWとFeとの比率(W/Fe比)が500〜0.002の範囲にある場合、すなわちWとFeとの比が500:1〜1:500の範囲にある場合に、MoWFeが均一組成の一体化粒子となり、遮断時(遮断中や遮断後)にMoWFe一体化粒子の一部が破砕したり、接点表面から微小金属粒子が放出、飛散したりすることの低減と、表面荒れの低減に特に有効となる。補助成分のWとFeとの比率が上記範囲を越えると、MoWFe一体化粒子は組成的に偏析した状態となり、遮断性能にばらつきが発生する傾向となる。
【0070】
(実施例13〜15、比較例7〜8)
前記実施例1〜12、比較例1〜6では、原料粉として使用するMo、補助成分Wの平均粒径をそれぞれ1.5μm、原料粉として使用する補助成分Feの平均粒径を3μmとし、Cu−Mo−W−Fe合金中のMoWFe一体化粒子の平均粒子を0.9〜6.4μmとした場合の本発明効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0071】
すなわち原料粉Moの平均粒径を0.4μmとした時には、遮断倍率は実施例2の標準接点のCu−68%Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の値を100として、95〜100(実施例13)、原料粉Moの平均粒径を1.5μmとした時には100〜105(実施例14)、平均粒径を6μmとした時には、95〜105(実施例15)の遮断倍率を示し安定した遮断特性を示した。さらに静耐溶着特性も、原料粉Moの平均粒径が0.4μmでは評価(A)、1.5μmでも評価(A)、6μmでも評価(B)を示し良好である。再点弧特性も原料粉Moの平均粒径が0.4μmでは評価(A〜B)、1.5μmおよび6μmでは評価(B)を示し良好である。
【0072】
しかし、原料粉Moの平均粒径が9μmでは静耐溶着特性は評価(C〜D)となりばらつきが見られ、再点弧特性も評価(D)である(比較例8)。また、原料粉Moの平均粒径が0.3μm以下では、静耐溶着特性は評価(A〜B)、再点弧特性は評価(B〜C)を示し良好であるにもかかわらず、遮断特性が75〜100の遮断倍率を示し好ましくない(比較例7)。また原料粉Moの平均粒径を9μm(比較例8)とした時には、合金中のMoWFe一体化粒子の平均粒子が9〜24μmと大きなばらつきを示し、それが原因となって遮断特性にばらつきが発生した。以上からCu−Mo−0.01%W−0.01%Fe合金中の原料粉Moの平均粒径は、0.4〜6μmとすることが望ましい。
【0073】
以上のように、原料粉Moの平均粒径を0.4μm〜6μmとすることにより本発明の効果が発揮される。原料粉のMoの平均粒径が0.4μm未満では、遮断特性の大幅な低下とばらつき幅を示す。これは0.4μm未満では、原料表面の吸着ガス量が増大していることが原因と考えられる。原料粉Moの平均粒径が6μmを越えると、一体化粒子を粗大化させると共に、平均粒径を大きくばらつかせる原因となって、遮断特性に著しいばらつきを発生させる。
【0074】
(実施例16〜18、比較例9)
前記実施例13〜15、比較例7〜8では、原料粉として使用する補助成分Wの平均粒径を1.5μm、補助成分Feの平均粒径を3μmとし、Cu−Mo−W−Fe合金中のMoWFe一体化粒子の平均粒子を0.4〜10μmとした場合の本発明効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0075】
すなわち原料粉W(補助成分)の平均粒径を0.4μmとした時には、遮断倍率は実施例2の標準接点のCu−68%Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の値を100として、90〜100(実施例16)、原料粉W(補助成分)の平均粒径を1.5μmとした時には95〜105(実施例17)、平均粒径を4μmとした時には100〜105(実施例18)の遮断倍率を示し、安定した遮断特性を示した。さらに静耐溶着特性も、原料粉W(補助成分)の平均粒径が0.4μmでは評価(A〜B)、1.5μmでも評価(A)、4μmでも評価(B)を示し良好である。再点弧特性も原料粉W(補助成分)の平均粒径が0.4μmでは評価(A〜B)、1.5μmおよび6μmでは評価(B)を示し良好である。
【0076】
しかし、原料粉W(補助成分)の平均粒径が12μmでは静耐溶着特性は、評価(C〜D)となりばらつきが見られる。再点弧特性も評価(D)となり好ましくない(比較例9)。
【0077】
また、補助成分W粉の平均粒径を12μm(比較例9)とした時には、合金中のMoWFe一体化粒子の平均粒子が10〜18μmと大きなばらつきを示し、それが原因となって遮断特性にばらつきが発生した。
【0078】
以上からCu−Mo−0.01%W−0.01%Fe合金中の原料粉W(補助成分)の平均粒径は、0.4〜4μmとすることが望ましい。
【0079】
(実施例19〜20、比較例10)
前記実施例1〜18、比較例1〜9では、補助成分のFe粉の平均粒径を3μmとした場合に本発明効果が発揮されることを示したが,本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0080】
すなわちFe粉の平均粒径を0.4〜4μmとした時には、遮断倍率は0.4μmでは95〜105、4μmでは100〜105の遮断特性を示した。さらに静耐溶着特性も、0.4μmでは評価(A〜B)、4μmでも評価(B)を示し良好である。再点弧特性も0.4μmでは評価(A)、4μmでは評価(B)を示し良好である。これらは標準とする実施例2の特性と同等の安定した遮断特性、静耐溶着特性、再点弧特性を示した(実施例19〜20)。
【0081】
しかし、Fe粉の平均粒径を10μm(比較例10)とした時には、合金中のMoWFe一体化粒子の平均粒径が10〜24μmと大きなばらつきを示し、遮断倍率は70〜95に低下するのみならず、静耐溶着特性、再点弧特性とも評価(D)に低下した。
【0082】
以上からCu−Mo−0.01%W−0.01%Fe合金中の原料粉Fe(補助成分)の平均粒径は、0.4〜4μmとすることが望ましい。
【0083】
また、実施例13〜20、比較例7〜10から分かるように、Mo、W、Feを一体化し、一体化されたMoWFeの平均粒径を0.4〜10μmとすることで、主成分のMoと補助成分のW、Feとが単独で存在するよりも、微小金属粒子の放出、飛散の低減と表面荒れの低減に特に有効となる。MoWFeの一体化粒子の平均粒径が10μmを越えると接点消耗量および表面荒れが増加する傾向となり遮断特性がばらつく傾向を示し好ましくない。
【0084】
そして、MoWFe一体化粒子の平均粒径を0.4〜10μmとするためには、原料とする主成分Moや補助成分W、Feの平均粒径を、主成分Moは0.4〜6μm、補助成分W、Feは0.4〜4μmとすることが好ましい。
【0085】
(実施例21、比較例11)
Cu−Mo−W−Fe合金中においては、一体化したMoW粒子又は/及びMoWFe粒子とCu相とで構成された組織を有している。本発明では接点組成、原料粉の平均粒子直径、一体化粒子の平均粒子直径を制御、選択することによって、Cu相の大きさは大部分が直径50μm以下(一体化したMoW粒子又は/及びMoWFe粒子に囲まれたCu相の面積を積算し、その面積を円に換算した時の直径で表示)であった。
【0086】
観察結果によれば、直径10μm以下の領域[イ]、及び直径10〜50μm以下の領域[ロ]の時に安定した遮断特性、静耐溶着特性、再点弧特性を発揮している。特に、直径10μm以下の領域[イ]の時に、より一層その効果を発揮している。
【0087】
前記実施例1〜20、比較例1〜10では、Cu相の量が、直径10μm以下の領域[イ]が50〜75面積%、直径10〜50μm以下の領域[ロ]が25〜50面積%の場合を選択して評価したが、本発明効果ではこれに限ることなく発揮される。
【0088】
すなわちCu相の量が、直径10μm以下の領域[イ]が25〜50%、直径10〜50μm以下の領域[ロ]が50〜75%の場合に於いても、95〜100の安定した遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A〜B)、再点弧特性も評価(C)を示し、標準とする実施例2とほぼ同等の安定した特性を示した(実施例21)。
【0089】
しかし上記Cu相の量が、直径10μm以下の領域[イ]が25〜50%、直径10〜50μm以下の領域[ロ]が0%、直径50μm以上の領域[ハ]が50〜75%の場合には、静耐溶着特性は評価(C〜D)と大きなばらつきを示すとともに、組織的に粗となったことに起因して、再点弧特性は評価(D)を示し、さらに遮断倍率も70〜90に低下し、好ましくない遮断特性を示した(比較例11)。
【0090】
なお、各領域[イ]、[ロ]、[ハ]のものは、成型圧力、原料Mo粉と補助成分W粉、Fe粉とを混合する時の混合時間、使用する原料Mo粉の粒径や粒度分布、補助成分のW粉、Fe粉の粒径や粒度分布、焼結あるいは溶浸の時の加熱処理温度とその時間などの条件を適宜組み合わせかつ適宜制御することによって製造する。成型圧力が過小の時、混合時間が過小の時、加熱処理温度とその時間が過小の時には、領域[ハ]の比率が多い傾向になり好ましくない。
【0091】
以上のことから分かるように、接触面に垂直の方向の任意の面または接触面に平行な方向の任意の面に於いて、MoWもしくはMoWFeによって囲まれるか隣接したCu相の幅または長さが50μm以下である領域を、50面積%以上含むことにより、接点合金組織の均一化を図ることができる。上記領域が50面積%未満では、組織的に粗となったことに起因して遮断特性のばらつき幅が増大する。
【0092】
なお、MoWもしくはMoWFeによって囲まれるか隣接したCu相の幅または長さが10μm以下である領域を、50面積%以上含むことにより、より一層接点合金組織の均一化をはかることができ、より効果的である。
【0093】
(実施例22〜23、比較例12)
前記実施例1〜22、比較例1〜9では、CuMoW層、またはCuMoWFe層の厚さを2.5mmに一定に揃えた時についての本発明効果を示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0094】
すなわち、合金層の厚さが0.3mm以上で好ましい特性を発揮している。厚さが0.3mmの場合は、100〜105の安定した遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A)、再点弧特性も評価(B)を示し、標準とする実施例2とほぼ同等の安定した特性を示した(実施例22)。その厚さが更に厚い10.5mmの場合でも同様である。100〜105の安定した遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A〜B)、再点弧特性も評価(B)を示し、標準とする実施例2とほぼ同等の安定した特性を示した(実施例23)。
【0095】
合金層の厚さが0.1mm以下では、95〜100の安定した遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A)を示し、良好であったにもかかわらず、遮断特性評価後の接点面の一部分には下地材である純Cu層の露出が認められている。これが一因となって、再点弧特性が評価(C〜D)とばらつきを示し、標準とする実施例2より安定性に欠け好ましくない(比較例12)。
【0096】
(実施例24〜26、比較例13)
前記実施例1〜23、比較例1〜12では、Cu−Mo−W−Fe合金の接触面の平均表面仕上げの粗さ(Rave.)を2μmに一定に揃えた時についての本発明効果を示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0097】
すなわち、接触面の平均表面仕上げの粗さを0.05〜10μmとしても、95〜105の安定した遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A、A〜B)、再点弧特性も評価(A、A〜B、B)を示し、標準とする実施例2とほぼ同等の安定した特性を示した(実施例24〜26)。
【0098】
なお、接触面の平均表面仕上げの粗さを極端に平滑とすると、経済性の問題以外に、仕上げ加工の条件によっては、加工の途中にCuのみが除去されることがあり、Moのみが表面に残りCu相の存在が少ない接触面となりやすい。その結果接触抵抗特性、温度上昇特性に問題を生ずる場合がある。
【0099】
一方、接触面の平均表面仕上げの粗さを15μmとした時には、80〜95の遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性が評価(B〜D)、再点弧特性も評価(C〜D)を示し、標準とする実施例2と比較して大幅に低下した(比較例13)。
【0100】
従って、Cu−Mo−W−Fe合金の接触面の平均表面仕上げの粗さは、0.05〜10μmとすることが望ましい。この構成により、遮断特性が安定化する。平均表面粗さが10μmを越えると、遮断特性が劣化する。一方、0.05μm未満では、仕上げ加工の条件によってはCu部分とMoとの硬さの差によって加工の途中でCuのみが除去される現象が起こり、Moのみが表面に残りCu部分の存在が少ない接触面となり易い。これは接触抵抗特性、温度上昇特性のみならず遮断特性に好ましくない。
【0101】
(実施例27〜28)
前記実施例1〜26,比較例1〜13では、導電成分としてCuを使用したCu−Mo−W−Fe合金について本発明効果を示したが、これに限ることなく効果が発揮される。
【0102】
すなわち、導電成分Cuの総てをAgで置換しても、90〜95の遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A)、再点弧特性も評価(B)を示した(実施例27)。導電成分Cuの一部をAgで置換し、導電成分をAg:Cu=3:7としても、95〜100の遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A)、再点弧特性も評価(B)を示し、標準とする実施例2とほぼ同等の安定した特性を示した(実施例28)。
【0103】
以上のように、導電成分Cuの一部または総てをAgで置換することができる。この構成により、接触抵抗の安定化に寄与する。
【0104】
(実施例29〜31)
前記実施例1〜28、比較例1〜13では、耐弧成分としてMoを使用したCu−Mo−W−Fe合金について本発明効果を示したが、これに限ることなく効果が発揮される。
【0105】
すなわち、耐弧成分Mo(68%)の一部をCrで置換し、耐弧成分をMo:Cr=99:1(重量比)としても、100〜105の遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(B)、再点弧特性も評価(C)を示した(実施例29)。耐弧成分をMo:Cr=50:50としても、105〜115の遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(B)、再点弧特性も評価(B)を示した(実施例30)。また、耐弧成分をMo:Cr=10:90としても、110〜120の遮断倍率、静耐溶着特性も評価(B)、再点弧特性も評価(B)を示した。
【0106】
以上のように、Moの一部をMoに対して90%(重量%)以下のCrで置換することができる。この構成により、遮断時のMoの飛散を軽減化し遮断特性が安定化する。
【0107】
(実施例32)
Cu−Mo−WもしくはCu−Mo−W−Fe合金のCu相中にCuに対して0.35%(重量%)以下のCrを存在させたCuCr−Mo−WもしくはCuCr−Mo−W−Fe合金からなる接点によって、実施例2に準じた遮断特性の評価で、遮断倍率のばらつき幅を10〜20%縮小し安定化に寄与した。Cu相中でのCuに対するCr量が0.35%を越えると、逆に接触抵抗値のばらつき幅の増大が見られ好ましくない。
【0108】
(実施例33)
前記Cu−Mo−W−Fe合金の接触面の平均表面粗さを、前記0.05〜10μmに仕上げした接触面に対して、電圧10kVを印加した状態で電流1〜10mAを遮断させ、表面を追加仕上げすることによって、遮断特性のばらつき幅を10〜30%縮小し安定化に寄与した。
【0109】
(実施例34)
Cu−Mo−WもしくはCu−Mo−W−Fe合金に、0.01〜0.5%のBiまたは0.01〜0.5%のSbまたは0.1〜4%のTeを含有させた。この構成によって、静耐溶着特性の安定化に寄与する。
【0110】
(実施例35)
接触面を前記各実施例の接点材料で構成し、接触面とは反対側の面(裏面)に少なくとも0.3mmの厚さのCu層を付与した。この構成により、Cu層を介して接点と電極もしくは導電軸とのろう付け性を改善することができるので、遮断時接点面の発熱をより効率的に電極もしくは導電軸に逃がし遮断特性の安定化に貢献する。
【0111】
(実施の形態の効果)
上記実施例の結果からも理解される様に、本実施の形態の真空遮断器用接点材料では、Cu−Mo合金中のMo量やMo粒径を最適化すると共に、Moと補助成分W、Moと補助成分WFeとを一体化させることによって、CuとMoとの間の濡れ性を改良しMo粒子とCuとの密着強度を向上させた。
【0112】
更に一体化したMoW、MoWFeによって囲まれるCu相の大きさも好ましい範囲である50μm以下(より好ましくは10μm以下)の領域が所定面積以上占める様に制限し接点合金組織の均一化を図った。その結果、ア−クを受けた時に選択的に優先して蒸発、飛散するCuを少なくなる様に制御するのみならず、被ア−ク時の熱衝撃によっても接点面上には、再点弧発生に対して有害な著しい亀裂発生も抑止され、Mo粒子の飛散脱落も軽減された。この様に合金組織の均一化等の改良を図ったので、ア−クを受けた後でも接点表面の溶融、飛散損傷が少なくなり、優れた遮断特性を有する真空遮断器用接点材料を提供できる。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、遮断特性を向上させた遮断器用接点材料、及び真空遮断器を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜15および比較例1〜8の評価条件を示す表図。
【図2】本発明の実施例16〜31、比較例9〜13、および参考例1の評価条件を示す表図。
【図3】本発明の実施例1〜15および比較例1〜8の評価結果を示す表図。
【図4】本発明の実施例16〜31、比較例9〜13、および参考例1の評価結果を示す表図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮断器用接点材料及び真空遮断器に係り、特に遮断電流特性に優れた遮断器用接点材料及び真空遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空遮断器に用いられる真空バルブの接点は、耐溶着特性、耐電圧特性、遮断特性で代表される基本三要件の他に裁断特性、耐消耗性、接触抵抗特性、温度上昇特性などを維持向上させるために種々の素材から構成されている。しかし、要求される上述の特性には、互いに相反する材料物性を要求する場合が多いことから、1つの元素で十分満足させることは不可能とされている。そこで、材料の複合化、素材の張合わせなどによって、大電流遮断用途、高耐電圧用途などの様に特定用途に合った接点材料の開発が行われ、それなりに優れた特性を発揮している。
【0003】
例えば基本三要件を満たした大電流遮断用接点材料として、BiやTeの様な溶着防止成分を5重量%以下含有するCu−Bi合金、Cu−Te合金が知られている(例えば、特許文献1、及び特許文献2参照)。Cu−Bi合金は結晶粒界に析出した脆いBi、Cu−Te合金は結晶粒界及び粒内に析出した脆いCu2Teが合金自体を脆化させ低溶着引き外し力が実現したことから大電流遮断特性に優れている。
【0004】
一方高耐圧・大電流遮断用接点材料として、Cu−Cr合金が知られている。この合金は前記Cu−Bi合金、Cu−Te合金よりも、構成成分間の蒸気圧差が少ないため均一な性能発揮を期待し得る利点があり使い方によっては優れたものである。
【0005】
また高耐電圧接点材料としてCu−W合金やCu−W−(微量)Mo合金が知られている(例えば、特許文献3参照)。これらの合金は高溶融点材料の効果によって優れた耐ア−ク性を発揮している。
【0006】
真空遮断器には、電流遮断後真空バルブ内で閃絡が発生し接点間が再び導通状態になる(その後放電は継続しない)現象を誘起することがある。この現象を再点弧と呼び、その発生メカニズムは未解明であるが、電気回路が一度電流遮断状態となった後に導通状態に急激に変化する為、異常過電圧が発生しやすい。特にコンデンサバンクの遮断時に再点弧を発生させる実験によれば、極めて大きな過電圧の発生や、過大な高周波電流が流れる為、再点弧の発生抑制技術の開発が求められている。
【0007】
上記した様に、再点弧現象の発生メカニズムは未だ知られていないが、本発明者らの実験観察によれば、再点弧は真空バルブ内の接点と接点との間、接点とア−クシ−ルドとの間でかなり高い頻度で発生している。その為本発明者らは、例えば接点がア−クを受けた時に放出される突発性ガスの抑制技術、接点表面形態の最適化技術など、再点弧の発生抑制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大幅に低減化した。
【0008】
しかし、近年の真空バルブに対する高耐電圧化要求と共に遮断性能(大電流遮断化の要求)、特に小形化要求には、上記した高耐電圧接点材料として優れたCu−W合金やCu−W−(微量)Mo合金接点よりも大電流遮断性能に一層優れた高耐電圧系の接点が必要となってきた。
【0009】
【特許文献1】
特公昭41−12131号公報(第9頁、第6〜8図)
【特許文献2】
特公昭44−23751号公報(第1〜2頁)
【特許文献3】
特開平10−199379号公報(第1頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
高耐圧接点材料としては、前記したCu−Bi合金、Cu−Te合金、Cu−Cr合金に優先してCu−W合金を適用してきたが、さらに強まる低再点弧化の要求に対しては、新しいCu−W合金として0.001〜5重量%のMoを加えたCu−W−Moが開発された(特許文献3)。しかし、遮断特性の要求に対しては十分な接点材料とはいえない実情である。
【0011】
すなわち、従来のCu−W合金やCu−W−(微量)Mo合金接点に対しても、遮断特性も要求されるようになってきた。そこである程度の高耐圧性を持った上で優れた遮断特性を持つ真空バルブ用接点材料の開発が望まれてきた。
【0012】
そこで本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、従来のCu−W合金やCu−W−(微量)Mo合金接点に代わって、冶金的諸条件を最適化することにより、遮断特性を向上させることが出来るCu−Mo系合金等からなる遮断器用接点材料、及び真空遮断器を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る遮断器用接点材料は、平均粒径0.4〜6μmのMoを60〜75重量%、平均粒径0.4〜4μmのWを0.002〜9重量%用いるとともに、残部の主成分としてCuを用いた合金からなり、MoとWとが一体化され、一体化されたMoWの大きさが0.4〜10μmの範囲にあることを特徴とする。
【0014】
すなわちこの構成により、合金における主成分のMo量を60〜75重量%とすることで、導電性を低下させることなく所要レベルの硬さ、融点を確保する。主成分のMo量が75重量%を越えると、導電性が低下してジュ−ル熱増大の原因となる。静耐溶着特性は低下の傾向、遮断特性も低下が認められる。Mo量が60重量%未満では、遮断面の表面荒れが大となる。
【0015】
また、原料として使用する時点での主成分のMoの平均粒径が0.4μm未満では、遮断特性の大幅な低下とばらつき幅を示す。これは0.4μm未満では、原料表面の吸着ガス量が増大していることが原因と考えられる。原料として使用する時点での主成分のMoの平均粒径が6μmを越えると、一体化後のMoW粒子(MoとWとが単独でなく合金化した状態)を粗大化させると共に、平均粒径を大きくばらつかせる原因となって、遮断特性に著しいばらつきを発生させる。補助成分として使用するWの平均粒径も、0.4μm未満では同じ現象で好ましくない。
【0016】
主成分Moに補助成分としてWを0.002〜9%の範囲で一体化(単独でなく合金化している意味)させることで、主成分Moの耐熱性が改良され、遮断後の接点面の荒れを改良し、遮断特性の改良に寄与する。補助成分のW量は、0.002%以上でその効果が発揮され、9%を越えると遮断特性の低下と接点の過剰な消耗の原因となる。補助成分としてのW量が0.002%未満の量、例えば0.001%以下では、この効果が低い。補助成分としてのW量が9%を越えた量、例えば15%では、一体化後のMoW一体化粒子の高溶融点化で、遮断特性が低下すると共にMoW一体化粒子の機械的特性の増加で静耐溶着特性の低下も見られ好ましくない。
【0017】
さらに、MoとWとを一体化し、一体化されたMoWの平均粒径を0.4〜10μmとすることで、主成分のMoと補助成分のWとが単独で存在するよりも、微小金属粒子の放出、飛散の低減と表面荒れの低減に特に有効となる。MoWの一体化粒子の平均粒径が10μmを越えると接点消耗量および表面荒れが増加する傾向となり遮断特性がばらつく傾向を示し好ましくない。
【0018】
以上のように、MoWの一体化粒子の平均粒径を0.4〜10μmとするためには、原料とする主成分Moや補助成分Wの平均粒径を、それぞれ0.4〜6μm、0.4〜4μmとすることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る遮断器用接点材料は、平均粒径0.4〜6μmのMoを60〜75重量%、平均粒径0.4〜4μmのWを0.002〜9重量%、平均粒径0.4〜4μmのFeを0.001〜5重量%用いるとともに、残部の主成分としてCuを用いた合金からなり、Mo、W、及びFeが一体化され、一体化されたMoWFeの大きさが0.4〜10μmの範囲にあることを特徴とする。
【0020】
すなわちこの構成により、原料Moに補助成分として平均粒径0.4〜4μmのWを0.002〜9重量%用いるとともに平均粒径0.4〜4μmのFeを0.001〜5重量%用いてMo、W、及びFeを一体化させ、平均粒径が0.4〜10μmのMoWFeとすることにより、補助成分としてWを用いた上述の場合とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
Cu−Mo系接点に外部磁界(例えば縦磁界技術)をかけた時、一般に大電流を遮断した場合、遮断により発生したア−クはア−ク電圧の低い部分に停滞、集中することが抑止され、接点電極面上を移動する。これによって接点面積の有効な活用によって遮断特性の改善に寄与している。すなわち、接点電極上をア−クは容易に移動するため、ア−クの拡散が促進され、遮断電流を処理する接点電極面積の実質的増加につながり、遮断電流特性の向上に寄与する。さらにア−クの停滞、集中が低減化される結果、接点電極の局部的異常蒸発現象の阻止、表面荒れの軽減化の利益も得られ、遮断電流特性の向上に寄与する。
【0023】
しかし、一定値以上の電流値を遮断すると、ア−クは予測出来ない一点もしくは複数点の場所で停滞し、異常融解させ遮断限界に至る。また異常融解は、接点電極材料の瞬時的爆発的な蒸発によって発生した金属蒸気が、開極過程にあった真空遮断器の絶縁回復性を著しく阻害し、遮断限界の一層の劣化を招く。さらに異常融解は、巨大な融滴を作り接点電極面の荒れを招き耐電圧特性の低下、再点弧発生率の増加、材料の異常な消耗をも招く。これらの現象の原因となるア−クが、接点電極面上のどこで停滞するかは前述したように全く予測出来ない以上、発生したア−クが停滞させることなく移動拡散できるような表面条件を接点に与えることが望ましい。
【0024】
本実施の形態では、その望ましい条件として、Cu−Mo合金中のMoの量および粒径を最適化すると共に、Mo(主成分)に補助成分としてW、若しくはW、Feを一体化させた。一体化はMoとW、若しくはMoとWとFeとが均一に合金化(X線回折などで確認)した状態にある。
【0025】
その結果、CuとMoとの間の濡れ性を改良し、Mo粒子とCuとの密着強度を向上させた。
【0026】
また、一体化したMoW、MoWFeによって囲まれるCu相の大きさも好ましい範囲である50μm以下(より好ましくは10μm以下)の領域が所定面積以上占める様に制限し、接点合金組織の均一化を図った。
【0027】
その結果ア−クを受けた時に選択的に優先して蒸発、飛散するCuを少なくなる様に制御するのみならず、被ア−ク時の熱衝撃によっても接点面上には、遮断特性を阻害する有害な亀裂発生も抑止され、Mo粒子の飛散脱落も軽減する効果を得る。この効果は、従来のCu−W、Cu−W−微量Mo接点よりも優れ、遮断特性の向上に寄与した。
【0028】
本発明者らの実験によれば、この様に、合金組織の均一化、補助成分のW、Feの一体化等の改良を図ったので、ア−クを受けた後でも接点表面の溶融、飛散損傷が少なくなり、接点表面荒れを少なくし、耐ア−ク消耗性の向上にも有益となった。
【0029】
そして、これらの相乗的効果によって、遮断特性を向上した。
【0030】
この様にWを主成分とする従来のCu−W系接点から、Moを主成分とする新規のCu−Mo系接点に代替することによって、同一の大電流を遮断した場合に熱電子放出に差異が見られ、Moを主成分とするCu−Mo系の方が遮断特性が向上した。Moを主成分とするMoW一体化粒子の融解温度が、Wを主成分とするWMo一体化粒子のそれよりも約800度以上も低いという両者の融解温度の差の効果が有効に作用したものである。従ってMoW一体化粒子中のW量の増加によって、融解温度が上昇するにつれて遮断特性が低下して行く傾向と一致する。
【0031】
すなわち、Cuに対するMo(および微量の補助成分W)の容積%と、Cuに対するW(および微量の補助成分Mo)の容積%とをほぼ揃えたCu−60.1重量%Mo−0.05重量%W接点(本発明Cu−Mo系接点)、Cu−74重量%W−0.09重量%Mo接点(参考例Cu−W系接点)を準備した。両接点について、低い電流値から遮断電流値を増加させながら遮断試験を実施してゆくと、15〜20kA程度の大電流を遮断すると、参考例Cu−W系接点では、遮断不能を起こす回数が、本発明Cu−Mo系接点よりも多い(劣る)傾向にある。更に、電流遮断後の接点面の微小領域での接触面積にも差異が見られ、Moを主成分とする本発明Cu−Mo系接点の方が、真実接触面積が大きく観察され、接触面積の増大効果による温度特性の向上(温度上昇が低いこと)、遮断特性の向上が見られた。
【0032】
上述したように、本実施の形態の真空遮断器用接点材料は、Cu−Mo系接点を搭載した真空バルブに於いて、真空バルブの遮断特性向上の為に、所定量のW若しくはWFeよりなる補助成分を、CuMoに合金化すると共にその大きさを最適の状態に管理し効果を得たものである。従って、主成分のMo、補助成分のW、Feの平均粒径と、一体化した後のMoW、MoWFeの粒径、量が重要なポイントとなる。このように本発明での一体化は、均一な合金化を指している。
【0033】
次に本実施の形態における各実施例及び比較例の評価条件、評価方法などを示す。
【0034】
(1)遮断特性
着脱式の遮断テスト用真空遮断装置に所定接点電極を装着し、接点表面のベ−キング電流、電圧エ−ジング、開極速度条件を一定同一とした後、7.2kV、50Hzで、遮断電流値を5kAより漸次増加させながら、遮断限界電流値を測定した。実施例2の遮断限界電流値を100とし各条件下でのその値と対比し、その倍率を遮断倍率として表示した。
【0035】
(2)静耐溶着特性
静耐溶着特性は、各接点に50kgの荷重を与えながら、10kAを通電した時の溶着引きはずし力を、実施例2(標準接点)の値と相対比較し参考とした。なお、実施例2(標準接点)と同程度の特性の場合を評価(C)、これより約10%以上良好な特性の場合を評価(B)、特性値にばらつきが少ない場合を評価(A)とした。また、実施例2(標準接点)より約10%以上劣る場合を評価(D)とした。
【0036】
(3)再点弧特性
再点弧特性は、径30mm、厚さ5mmの円盤状接点をディマウンタブル形真空バルブに装着し、6kv×500Aの回路を20,000回遮断した時の再点弧発生頻度を2台の遮断器(真空バルブとして6本)のバラツキ値を考慮して図3〜図4に示した。接点の装着に際しては、ベ−キング加熱(450℃×30分)のみ行い、ろう材の使用並びにこれに伴う加熱は行わなかった。なお、再点弧特性の評価は、再点弧発生頻度を実施例2(標準接点)の値と相対比較し、実施例2(標準接点)と同程度の特性の場合を評価(C)、これより約10%以上良好な特性の場合を評価(B)、特性値にばらつきが少ない場合を評価(A)とした。また、実施例2(標準接点)より約10%以上劣る場合を評価(D)とした。
【0037】
次に本実施の形態の接点の製造方法例について説明する。
【0038】
(製法例1):MoWFe粉で構成したスケルトンにCuを溶かし流し込む溶浸法によって接点とした。すなわち主成分のMo粉を1100℃の温度で焼結し所定空隙率を持つスケルトンを作製し、その空孔中に別途用意したCuMoを例えば1150℃の温度で溶浸しCu−MoW接点素材を製造した(必要により前記CuMo(Fe)にBiを追加しCu−MoW(Fe)−Bi接点素材を製造した)。MoWFe粉で構成したスケルトンに、0.35%以下のCrを含有するCuCrを溶かし流し込む溶浸法によっても接点として利用できる。
【0039】
(製法例2):MoWFe粉とCu粉を所定割合で混合した粉末を焼結又は成型焼結する焼結法によって接点とした。
【0040】
(製法例3):Cu−Mo合金と補助成分W(Fe)との合金化の方法は、補助成分W(Fe)の量が主成分のMo量に比較して極めて少量な為、均質混合性が難しい。これらを均一に混合する手段として、例えば最終的に必要な主成分Mo量(60〜75重量%)の内の一部から取り出した極く少量のMoと、補助成分W(又は/及びFe)粉とを混合(必要によりBi、Sb、Teの少なくとも1つを追加)して第1次混合粉を得る(必要によりこの作業を第n次混合まで繰り返す)。この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と、残りのMo粉とを再度混合し、最終的に十分に良好な混合状態にあるMoW(Fe)粉を得る。このMoW(Fe)粉と所定量の銅(Cu)粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Cu−MoW(Fe)接点素材(又はCu−MoW(Fe)−Bi接点素材)を製造し、所定形状に加工して接点とした。
【0041】
(製法例4):別の合金化の方法として、最終的に必要なCu量の内の一部から取り出した極く少量のCu(必要によりBiを追加)と、主成分のMo粉の一部とを混合して得た第1次混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返す)。この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りのCu粉(または残りのMo粉)とを再度混合し、最終的に十分に良好な混合状態にあるCuMo粉を得る。このCuMo粉と所定W粉(最終的に必要な補助成分のW量)とを混合した後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、CuMoW接点素材を製造した。
【0042】
(製法例5):他の製造方法としては、上記方法で製造した第n次混合MoW粉を、1100℃の温度で焼結し所定空隙率を持つMoWスケルトンを作製し、その空孔中にCuを例えば1150℃の温度で溶浸し、Cu−MoW接点素材又はCu−MoW(Fe)接点素材を製造した。
【0043】
(製法例6):また別の合金化の方法としては、イオンプレ−ティング装置やスパッタリング装置を用いた物理的方法或いはボ−ルミル装置を用いた機械的方法で、Mo粉の表面にW(Fe)を被覆(必要によりBiも同時に)したMo粉を得て、このW(Fe)で被覆したMo粉とCu粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Cu−MoW(Fe)接点素材を製造した。
【0044】
(製法例7):また別の合金化の方法としては、特にCu粉と、Mo粉と、W(Fe)粉との均一混合技術に於いて、揺動運動と攪拌運動とを重畳させる方法も有益である。これによって、混合粉は一般に行われているアセトンなど溶剤使用時に見られる固まりとなったり凝集体となったりする現象がなく、作業性も向上する。また混合作業での攪拌容器の攪拌運動の攪拌数Rと攪拌容器に与える揺動運動の揺動数Sとの比率R/Sをほぼ10〜0.1程度の好ましい範囲に選択すれば、解砕、分散、混合中の粉末へのエネルギ−入力が好ましい範囲となり、混合作業での粉末の変質や汚染の程度を低く押さえることができる特徴を有する。
【0045】
従来のらいかい機などによる混合、粉砕では粉体を押し潰す作用が加わるが、揺動運動と攪拌運動とを重畳させる本方法では、前記R/S比率がほぼ10〜0.1程度に分布している為、粉体同士が絡み合う程度の混合となり、良好な通気性を持つ為焼結性が向上し、良質な成型体または焼結体あるいはスケルトンを得る。更に必要以上のエネルギ−入力がなく粉体が変質することがない。この様な状態の混合粉を原料とすれば、焼結、溶浸後の合金も低ガス化が可能となり、遮断性能、再点弧特性の安定化に寄与している。
【0046】
(製法例8):所定比率を持ったCuMo−(微量)W混合体を作成し、それをア−ク溶解後凝固させる。溶解に際しては前記CuMo−(微量)W混合体の一部分にア−クを照射させながら、一部分の溶融部分を集合させてMoを主成分とするCuMoW合金とする。所定比率を持ったCuMo−(微量)W、Fe混合体を作成し、それをア−ク溶解後凝固させることもできる。
【0047】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0048】
まず、遮断テスト用実験バルブの組立ての概要を示す。端面の平均表面粗さを約1.5μmに研磨したセラミックス製絶縁容器(主成分:AL2O3)を用意し、このセラミックス製絶縁容器に対して組立て前に1650℃の前加熱処理を施した。
【0049】
封着金具として、板厚さ2mmの42%Ni−Fe合金を用意した。
【0050】
ロウ材として、厚さ0.1mmの72%Ag−Cu合金板を用意した。
【0051】
上記用意した各部材を被接合物間(セラミックス製絶縁容器の端面と封着金具)に気密封着接合が可能なように配置して、5×10−4Paの真空雰囲気で封着金具とセラミックス製絶縁容器との気密封着工程に供する。
【0052】
次いで、供試接点材料の内容、評価内容と結果などについて説明する。
【0053】
Cu−Moに於いて、原料粉として平均粒径が0.9μmのMo粉、1.5μmのW粉、3μmのFe粉等を用意し、前記製法例1〜8の方法を適宜選択しながら、MoW一体化粒子、またはMoWFe一体化粒子の平均粒径が0.9〜6.4μmの範囲にあるCu−Mo−W接点の素材を製造した(WはMoの補助成分)。
【0054】
これらの素材を所定形状に加工後、接触面の表面粗さを、一部を除いて、2μmに仕上げ試験片とした。評価条件と評価結果を図1〜図4に示した。
【0055】
WとFeを各々0.01%(重量%。以下、接点組成については重量%を、単に%として示す。)としたCu−68%Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の遮断特性、溶着特性、再点弧特性を測定し、その値を標準値とした(実施例2:標準接点)。他の実施例、比較例は、この標準接点と比較した場合の相対値である。
【0056】
(実施例1〜3、比較例1〜2)
Cu−85%Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の場合(比較例1)では、50Hzで7.2kVの回路を5kAより漸増させながら観測した遮断特性(遮断倍率)では、実施例2の100に対して50〜60に低下し、標準接点より著しく劣り好ましくなかった。遮断によって接点面に亀裂が生じた。さらに静耐溶着特性は評価(D)、再点弧特性は評価(C)〜(D)を示し好ましくない。
【0057】
これに対して、Mo量を75%、60%としたCu−Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の場合(実施例1、3)では、実施例2の標準接点のCu−68%Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の値を100として、95〜100(実施例1)、105〜115(実施例3)の遮断倍率を示し安定した遮断特性を示した。さらに静耐溶着特性は、Mo量が75%では評価(B)、Mo量が60重量%では評価(A)を示し良好である。再点弧特性もMo量が75%、60%共に評価(B)を示し良好である。
【0058】
Mo量を50%としたCu−Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の場合(比較例2)では、静耐溶着特性は評価(A)、再点弧特性は評価(B)を示し良好であるにもかかわらず、遮断特性が75〜85の遮断倍率を示し好ましくない。
【0059】
以上のように、Mo量を60〜75%とすることで、導電性を低下させることなく所要レベルの硬さ、融点を確保する。主成分のMo量が75%を越えると、導電性が低下してジュ−ル熱増大の原因となる。静耐溶着特性は低下の傾向、遮断特性も低下が認められる。Mo量が60%未満では、遮断面の表面荒れが大となる。
【0060】
(実施例4〜8、比較例3〜4)
前記実施例1〜3、比較例1〜2では、Cu−Mo−W−Fe合金中のW量を0.01%に一定とした場合の、好適なMo量の範囲を示した(WはMoの補助成分)。しかし本発明でのW量は0.01%に限ることなく、その効果が発揮される。
【0061】
すなわちW量を0.001%以下(比較例3)、0.002〜9%(実施例4〜8)、15%(比較例4)としたCu−68%Mo−W−Fe合金では、W量が0.002〜9%に於いて、良好な遮断倍率95以上(最高では実施例7の145)を示した。
【0062】
これに対してW量が0.001%以下(比較例3)では、静耐溶着特性が評価(A)、再点弧特性は評価(B)を示し良好であるにもかかわらず、遮断特性が70〜90の遮断倍率を示し好ましくない。W量が15%(比較例4)では、再点弧特性は評価(C)を示し、実施例2の標準材料と同等で合格の範囲であったが、静耐溶着特性では、大きくばらつき評価(C〜D)を示した上に、遮断特性も70〜95の遮断倍率を示し好ましくない。
【0063】
以上のように、補助成分のW量は、0.002%以上でその効果が発揮され、9%を越えると遮断特性の低下と接点の過剰な消耗の原因となる。補助成分としてのW量が0.002%未満の量、例えば0.001%以下では、この効果が低い。補助成分としてのW量が9%を越えた量、例えば15%では、一体化粒子の高溶融点化で、遮断特性が低下すると共に一体化粒子の機械的特性の増加で静耐溶着特性の低下も見られ好ましくない。
【0064】
なお実施例4〜8に於けるCu−Mo合金中のWとFeとの比率(重量比率)(W/Fe比)は、0.2〜500の範囲であり、均一組成のMoWFe一体化粒子となった。W/Fe比が1200(比較例4)の場合のMoWFe一体化粒子は、組成的に偏析の状態となった。このような偏析の状態にあると、遮断特性にばらつきが発生する傾向にあった。
【0065】
(実施例9〜12、比較例5〜6)
前記実施例1〜8、比較例1〜4では、Cu−Mo−W−Fe合金中のFe量を0.01%に一定とした場合の、好適なMo量、W量の範囲を示した。しかし本発明でのFe量は0.01%に限ることなく、その効果が発揮される。
【0066】
すなわちFe量を0.001未満(比較例5)、0.001〜5%(実施例9〜12)、12%(比較例6)としたCu−68%Mo−W−Fe合金では、Fe量が0.001〜5%の範囲に於いて、良好な遮断倍率95以上(最高では実施例10の120)を示した。
【0067】
これに対してFe量が0.001%未満(比較例5)では、静耐溶着特性が評価(A)、再点弧特性は評価(B)を示し良好で、遮断特性も100〜105の遮断倍率を示しているが、Fe量を安定して0.001%未満に制御するのは経済性がない。Fe量が12%(比較例6)では、再点弧特性は評価(C)を示し合格の範囲にあったにもかかわらず、静耐溶着特性では実施例2の標準材料と同等の時とそれ以下の時にばらつき評価(C〜D)を示した上に、遮断特性も75〜100の遮断倍率を示し、ばらつきが大きく好ましくない。
【0068】
なお実施例9〜12に於けるCu−Mo合金中のWとFeとの比率(W/Fe比)は、0.5〜0.002の範囲であり、均一組成のMoWFe一体化粒子となった。Mo/Fe比が0.0008(比較例6)の場合には,MoWFe一体化粒子中でFeが偏析する場合があった。このような偏析にあると、遮断特性にばらつきが発生する傾向にあった。
【0069】
以上の実施例4〜12、比較例3〜6から分かるように、補助成分のWとFeとの比率(W/Fe比)が500〜0.002の範囲にある場合、すなわちWとFeとの比が500:1〜1:500の範囲にある場合に、MoWFeが均一組成の一体化粒子となり、遮断時(遮断中や遮断後)にMoWFe一体化粒子の一部が破砕したり、接点表面から微小金属粒子が放出、飛散したりすることの低減と、表面荒れの低減に特に有効となる。補助成分のWとFeとの比率が上記範囲を越えると、MoWFe一体化粒子は組成的に偏析した状態となり、遮断性能にばらつきが発生する傾向となる。
【0070】
(実施例13〜15、比較例7〜8)
前記実施例1〜12、比較例1〜6では、原料粉として使用するMo、補助成分Wの平均粒径をそれぞれ1.5μm、原料粉として使用する補助成分Feの平均粒径を3μmとし、Cu−Mo−W−Fe合金中のMoWFe一体化粒子の平均粒子を0.9〜6.4μmとした場合の本発明効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0071】
すなわち原料粉Moの平均粒径を0.4μmとした時には、遮断倍率は実施例2の標準接点のCu−68%Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の値を100として、95〜100(実施例13)、原料粉Moの平均粒径を1.5μmとした時には100〜105(実施例14)、平均粒径を6μmとした時には、95〜105(実施例15)の遮断倍率を示し安定した遮断特性を示した。さらに静耐溶着特性も、原料粉Moの平均粒径が0.4μmでは評価(A)、1.5μmでも評価(A)、6μmでも評価(B)を示し良好である。再点弧特性も原料粉Moの平均粒径が0.4μmでは評価(A〜B)、1.5μmおよび6μmでは評価(B)を示し良好である。
【0072】
しかし、原料粉Moの平均粒径が9μmでは静耐溶着特性は評価(C〜D)となりばらつきが見られ、再点弧特性も評価(D)である(比較例8)。また、原料粉Moの平均粒径が0.3μm以下では、静耐溶着特性は評価(A〜B)、再点弧特性は評価(B〜C)を示し良好であるにもかかわらず、遮断特性が75〜100の遮断倍率を示し好ましくない(比較例7)。また原料粉Moの平均粒径を9μm(比較例8)とした時には、合金中のMoWFe一体化粒子の平均粒子が9〜24μmと大きなばらつきを示し、それが原因となって遮断特性にばらつきが発生した。以上からCu−Mo−0.01%W−0.01%Fe合金中の原料粉Moの平均粒径は、0.4〜6μmとすることが望ましい。
【0073】
以上のように、原料粉Moの平均粒径を0.4μm〜6μmとすることにより本発明の効果が発揮される。原料粉のMoの平均粒径が0.4μm未満では、遮断特性の大幅な低下とばらつき幅を示す。これは0.4μm未満では、原料表面の吸着ガス量が増大していることが原因と考えられる。原料粉Moの平均粒径が6μmを越えると、一体化粒子を粗大化させると共に、平均粒径を大きくばらつかせる原因となって、遮断特性に著しいばらつきを発生させる。
【0074】
(実施例16〜18、比較例9)
前記実施例13〜15、比較例7〜8では、原料粉として使用する補助成分Wの平均粒径を1.5μm、補助成分Feの平均粒径を3μmとし、Cu−Mo−W−Fe合金中のMoWFe一体化粒子の平均粒子を0.4〜10μmとした場合の本発明効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0075】
すなわち原料粉W(補助成分)の平均粒径を0.4μmとした時には、遮断倍率は実施例2の標準接点のCu−68%Mo−0.01%W−0.01%Fe合金の値を100として、90〜100(実施例16)、原料粉W(補助成分)の平均粒径を1.5μmとした時には95〜105(実施例17)、平均粒径を4μmとした時には100〜105(実施例18)の遮断倍率を示し、安定した遮断特性を示した。さらに静耐溶着特性も、原料粉W(補助成分)の平均粒径が0.4μmでは評価(A〜B)、1.5μmでも評価(A)、4μmでも評価(B)を示し良好である。再点弧特性も原料粉W(補助成分)の平均粒径が0.4μmでは評価(A〜B)、1.5μmおよび6μmでは評価(B)を示し良好である。
【0076】
しかし、原料粉W(補助成分)の平均粒径が12μmでは静耐溶着特性は、評価(C〜D)となりばらつきが見られる。再点弧特性も評価(D)となり好ましくない(比較例9)。
【0077】
また、補助成分W粉の平均粒径を12μm(比較例9)とした時には、合金中のMoWFe一体化粒子の平均粒子が10〜18μmと大きなばらつきを示し、それが原因となって遮断特性にばらつきが発生した。
【0078】
以上からCu−Mo−0.01%W−0.01%Fe合金中の原料粉W(補助成分)の平均粒径は、0.4〜4μmとすることが望ましい。
【0079】
(実施例19〜20、比較例10)
前記実施例1〜18、比較例1〜9では、補助成分のFe粉の平均粒径を3μmとした場合に本発明効果が発揮されることを示したが,本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0080】
すなわちFe粉の平均粒径を0.4〜4μmとした時には、遮断倍率は0.4μmでは95〜105、4μmでは100〜105の遮断特性を示した。さらに静耐溶着特性も、0.4μmでは評価(A〜B)、4μmでも評価(B)を示し良好である。再点弧特性も0.4μmでは評価(A)、4μmでは評価(B)を示し良好である。これらは標準とする実施例2の特性と同等の安定した遮断特性、静耐溶着特性、再点弧特性を示した(実施例19〜20)。
【0081】
しかし、Fe粉の平均粒径を10μm(比較例10)とした時には、合金中のMoWFe一体化粒子の平均粒径が10〜24μmと大きなばらつきを示し、遮断倍率は70〜95に低下するのみならず、静耐溶着特性、再点弧特性とも評価(D)に低下した。
【0082】
以上からCu−Mo−0.01%W−0.01%Fe合金中の原料粉Fe(補助成分)の平均粒径は、0.4〜4μmとすることが望ましい。
【0083】
また、実施例13〜20、比較例7〜10から分かるように、Mo、W、Feを一体化し、一体化されたMoWFeの平均粒径を0.4〜10μmとすることで、主成分のMoと補助成分のW、Feとが単独で存在するよりも、微小金属粒子の放出、飛散の低減と表面荒れの低減に特に有効となる。MoWFeの一体化粒子の平均粒径が10μmを越えると接点消耗量および表面荒れが増加する傾向となり遮断特性がばらつく傾向を示し好ましくない。
【0084】
そして、MoWFe一体化粒子の平均粒径を0.4〜10μmとするためには、原料とする主成分Moや補助成分W、Feの平均粒径を、主成分Moは0.4〜6μm、補助成分W、Feは0.4〜4μmとすることが好ましい。
【0085】
(実施例21、比較例11)
Cu−Mo−W−Fe合金中においては、一体化したMoW粒子又は/及びMoWFe粒子とCu相とで構成された組織を有している。本発明では接点組成、原料粉の平均粒子直径、一体化粒子の平均粒子直径を制御、選択することによって、Cu相の大きさは大部分が直径50μm以下(一体化したMoW粒子又は/及びMoWFe粒子に囲まれたCu相の面積を積算し、その面積を円に換算した時の直径で表示)であった。
【0086】
観察結果によれば、直径10μm以下の領域[イ]、及び直径10〜50μm以下の領域[ロ]の時に安定した遮断特性、静耐溶着特性、再点弧特性を発揮している。特に、直径10μm以下の領域[イ]の時に、より一層その効果を発揮している。
【0087】
前記実施例1〜20、比較例1〜10では、Cu相の量が、直径10μm以下の領域[イ]が50〜75面積%、直径10〜50μm以下の領域[ロ]が25〜50面積%の場合を選択して評価したが、本発明効果ではこれに限ることなく発揮される。
【0088】
すなわちCu相の量が、直径10μm以下の領域[イ]が25〜50%、直径10〜50μm以下の領域[ロ]が50〜75%の場合に於いても、95〜100の安定した遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A〜B)、再点弧特性も評価(C)を示し、標準とする実施例2とほぼ同等の安定した特性を示した(実施例21)。
【0089】
しかし上記Cu相の量が、直径10μm以下の領域[イ]が25〜50%、直径10〜50μm以下の領域[ロ]が0%、直径50μm以上の領域[ハ]が50〜75%の場合には、静耐溶着特性は評価(C〜D)と大きなばらつきを示すとともに、組織的に粗となったことに起因して、再点弧特性は評価(D)を示し、さらに遮断倍率も70〜90に低下し、好ましくない遮断特性を示した(比較例11)。
【0090】
なお、各領域[イ]、[ロ]、[ハ]のものは、成型圧力、原料Mo粉と補助成分W粉、Fe粉とを混合する時の混合時間、使用する原料Mo粉の粒径や粒度分布、補助成分のW粉、Fe粉の粒径や粒度分布、焼結あるいは溶浸の時の加熱処理温度とその時間などの条件を適宜組み合わせかつ適宜制御することによって製造する。成型圧力が過小の時、混合時間が過小の時、加熱処理温度とその時間が過小の時には、領域[ハ]の比率が多い傾向になり好ましくない。
【0091】
以上のことから分かるように、接触面に垂直の方向の任意の面または接触面に平行な方向の任意の面に於いて、MoWもしくはMoWFeによって囲まれるか隣接したCu相の幅または長さが50μm以下である領域を、50面積%以上含むことにより、接点合金組織の均一化を図ることができる。上記領域が50面積%未満では、組織的に粗となったことに起因して遮断特性のばらつき幅が増大する。
【0092】
なお、MoWもしくはMoWFeによって囲まれるか隣接したCu相の幅または長さが10μm以下である領域を、50面積%以上含むことにより、より一層接点合金組織の均一化をはかることができ、より効果的である。
【0093】
(実施例22〜23、比較例12)
前記実施例1〜22、比較例1〜9では、CuMoW層、またはCuMoWFe層の厚さを2.5mmに一定に揃えた時についての本発明効果を示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0094】
すなわち、合金層の厚さが0.3mm以上で好ましい特性を発揮している。厚さが0.3mmの場合は、100〜105の安定した遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A)、再点弧特性も評価(B)を示し、標準とする実施例2とほぼ同等の安定した特性を示した(実施例22)。その厚さが更に厚い10.5mmの場合でも同様である。100〜105の安定した遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A〜B)、再点弧特性も評価(B)を示し、標準とする実施例2とほぼ同等の安定した特性を示した(実施例23)。
【0095】
合金層の厚さが0.1mm以下では、95〜100の安定した遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A)を示し、良好であったにもかかわらず、遮断特性評価後の接点面の一部分には下地材である純Cu層の露出が認められている。これが一因となって、再点弧特性が評価(C〜D)とばらつきを示し、標準とする実施例2より安定性に欠け好ましくない(比較例12)。
【0096】
(実施例24〜26、比較例13)
前記実施例1〜23、比較例1〜12では、Cu−Mo−W−Fe合金の接触面の平均表面仕上げの粗さ(Rave.)を2μmに一定に揃えた時についての本発明効果を示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0097】
すなわち、接触面の平均表面仕上げの粗さを0.05〜10μmとしても、95〜105の安定した遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A、A〜B)、再点弧特性も評価(A、A〜B、B)を示し、標準とする実施例2とほぼ同等の安定した特性を示した(実施例24〜26)。
【0098】
なお、接触面の平均表面仕上げの粗さを極端に平滑とすると、経済性の問題以外に、仕上げ加工の条件によっては、加工の途中にCuのみが除去されることがあり、Moのみが表面に残りCu相の存在が少ない接触面となりやすい。その結果接触抵抗特性、温度上昇特性に問題を生ずる場合がある。
【0099】
一方、接触面の平均表面仕上げの粗さを15μmとした時には、80〜95の遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性が評価(B〜D)、再点弧特性も評価(C〜D)を示し、標準とする実施例2と比較して大幅に低下した(比較例13)。
【0100】
従って、Cu−Mo−W−Fe合金の接触面の平均表面仕上げの粗さは、0.05〜10μmとすることが望ましい。この構成により、遮断特性が安定化する。平均表面粗さが10μmを越えると、遮断特性が劣化する。一方、0.05μm未満では、仕上げ加工の条件によってはCu部分とMoとの硬さの差によって加工の途中でCuのみが除去される現象が起こり、Moのみが表面に残りCu部分の存在が少ない接触面となり易い。これは接触抵抗特性、温度上昇特性のみならず遮断特性に好ましくない。
【0101】
(実施例27〜28)
前記実施例1〜26,比較例1〜13では、導電成分としてCuを使用したCu−Mo−W−Fe合金について本発明効果を示したが、これに限ることなく効果が発揮される。
【0102】
すなわち、導電成分Cuの総てをAgで置換しても、90〜95の遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A)、再点弧特性も評価(B)を示した(実施例27)。導電成分Cuの一部をAgで置換し、導電成分をAg:Cu=3:7としても、95〜100の遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(A)、再点弧特性も評価(B)を示し、標準とする実施例2とほぼ同等の安定した特性を示した(実施例28)。
【0103】
以上のように、導電成分Cuの一部または総てをAgで置換することができる。この構成により、接触抵抗の安定化に寄与する。
【0104】
(実施例29〜31)
前記実施例1〜28、比較例1〜13では、耐弧成分としてMoを使用したCu−Mo−W−Fe合金について本発明効果を示したが、これに限ることなく効果が発揮される。
【0105】
すなわち、耐弧成分Mo(68%)の一部をCrで置換し、耐弧成分をMo:Cr=99:1(重量比)としても、100〜105の遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(B)、再点弧特性も評価(C)を示した(実施例29)。耐弧成分をMo:Cr=50:50としても、105〜115の遮断倍率を示すとともに、静耐溶着特性も評価(B)、再点弧特性も評価(B)を示した(実施例30)。また、耐弧成分をMo:Cr=10:90としても、110〜120の遮断倍率、静耐溶着特性も評価(B)、再点弧特性も評価(B)を示した。
【0106】
以上のように、Moの一部をMoに対して90%(重量%)以下のCrで置換することができる。この構成により、遮断時のMoの飛散を軽減化し遮断特性が安定化する。
【0107】
(実施例32)
Cu−Mo−WもしくはCu−Mo−W−Fe合金のCu相中にCuに対して0.35%(重量%)以下のCrを存在させたCuCr−Mo−WもしくはCuCr−Mo−W−Fe合金からなる接点によって、実施例2に準じた遮断特性の評価で、遮断倍率のばらつき幅を10〜20%縮小し安定化に寄与した。Cu相中でのCuに対するCr量が0.35%を越えると、逆に接触抵抗値のばらつき幅の増大が見られ好ましくない。
【0108】
(実施例33)
前記Cu−Mo−W−Fe合金の接触面の平均表面粗さを、前記0.05〜10μmに仕上げした接触面に対して、電圧10kVを印加した状態で電流1〜10mAを遮断させ、表面を追加仕上げすることによって、遮断特性のばらつき幅を10〜30%縮小し安定化に寄与した。
【0109】
(実施例34)
Cu−Mo−WもしくはCu−Mo−W−Fe合金に、0.01〜0.5%のBiまたは0.01〜0.5%のSbまたは0.1〜4%のTeを含有させた。この構成によって、静耐溶着特性の安定化に寄与する。
【0110】
(実施例35)
接触面を前記各実施例の接点材料で構成し、接触面とは反対側の面(裏面)に少なくとも0.3mmの厚さのCu層を付与した。この構成により、Cu層を介して接点と電極もしくは導電軸とのろう付け性を改善することができるので、遮断時接点面の発熱をより効率的に電極もしくは導電軸に逃がし遮断特性の安定化に貢献する。
【0111】
(実施の形態の効果)
上記実施例の結果からも理解される様に、本実施の形態の真空遮断器用接点材料では、Cu−Mo合金中のMo量やMo粒径を最適化すると共に、Moと補助成分W、Moと補助成分WFeとを一体化させることによって、CuとMoとの間の濡れ性を改良しMo粒子とCuとの密着強度を向上させた。
【0112】
更に一体化したMoW、MoWFeによって囲まれるCu相の大きさも好ましい範囲である50μm以下(より好ましくは10μm以下)の領域が所定面積以上占める様に制限し接点合金組織の均一化を図った。その結果、ア−クを受けた時に選択的に優先して蒸発、飛散するCuを少なくなる様に制御するのみならず、被ア−ク時の熱衝撃によっても接点面上には、再点弧発生に対して有害な著しい亀裂発生も抑止され、Mo粒子の飛散脱落も軽減された。この様に合金組織の均一化等の改良を図ったので、ア−クを受けた後でも接点表面の溶融、飛散損傷が少なくなり、優れた遮断特性を有する真空遮断器用接点材料を提供できる。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、遮断特性を向上させた遮断器用接点材料、及び真空遮断器を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜15および比較例1〜8の評価条件を示す表図。
【図2】本発明の実施例16〜31、比較例9〜13、および参考例1の評価条件を示す表図。
【図3】本発明の実施例1〜15および比較例1〜8の評価結果を示す表図。
【図4】本発明の実施例16〜31、比較例9〜13、および参考例1の評価結果を示す表図。
Claims (11)
- 平均粒径0.4〜6μmのMoを60〜75重量%、平均粒径0.4〜4μmのWを0.002〜9重量%用いるとともに、残部の主成分としてCuを用いた合金からなり、MoとWとが一体化され、一体化されたMoWの大きさが0.4〜10μmの範囲にあることを特徴とする遮断器用接点材料。
- 平均粒径0.4〜6μmのMoを60〜75重量%、平均粒径0.4〜4μmのWを0.002〜9重量%、平均粒径0.4〜4μmのFeを0.001〜5重量%用いるとともに、残部の主成分としてCuを用いた合金からなり、Mo、W、及びFeが一体化され、一体化されたMoWFeの大きさが0.4〜10μmの範囲にあることを特徴とする遮断器用接点材料。
- WとFeとの重量比が、500:1〜1:500の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の遮断器用接点材料。
- MoWもしくはMoWFeによって囲まれるか隣接したCu相の幅または長さが50μm以下である領域を50面積%以上含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の遮断器用接点材料。
- Cuの一部または総てをAgで置換したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の遮断器用接点材料。
- 0.01〜0.5重量%のBi、または0.01〜0.5重量%のSb、または0.1〜4重量%のTeを含有したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の遮断器用接点材料。
- 接触面を請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の遮断器用接点材料で構成し、接触面とは反対側の面に少なくとも0.3mmの厚さのCu層を付与してなることを特徴とする遮断器用接点材料。
- 接触面の平均表面粗さを10μm以下、0.05μm以上としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の遮断器用接点材料。
- Moの一部を、Mo量に対して90重量%以下のCrで置換したことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の遮断器用接点材料。
- Cu相中にCuに対して0.35重量%以下のCrを含有したことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の遮断器用接点材料。
- 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の遮断器用接点材料を用いたことを特徴とする真空遮断器。
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JP2003129358A JP2004332046A (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 遮断器用接点材料及び真空遮断器 |
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WO2014136617A1 (ja) * | 2013-03-05 | 2014-09-12 | 株式会社アライドマテリアル | 電気接点材およびブレーカ |
CN113073245A (zh) * | 2021-03-24 | 2021-07-06 | 湖南大学 | 一种银钼合金薄膜及其制备方法与应用 |
-
2003
- 2003-05-07 JP JP2003129358A patent/JP2004332046A/ja active Pending
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JPWO2014136617A1 (ja) * | 2013-03-05 | 2017-02-09 | 株式会社アライドマテリアル | 電気接点材およびブレーカ |
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