JPWO2014136617A1 - 電気接点材およびブレーカ - Google Patents

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Abstract

電気接点材(21,31)は、モリブデンを0.1質量%以上30質量%以下、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種を10質量%以上70質量%以下、含み、残部が銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種と不可避的不純物とを含む電気接点材である。当該電気接点材(21,31)の任意に選ばれた10断面について、各断面内において600μm×500μmの大きさの長方形の1つの視野内で観察され得るすべてのモリブデン粒子の最大径が20μm以下である。

Description

本発明は、電気接点材およびブレーカに関するものである。
耐熱成分または耐弧成分としてモリブデン(Mo)を含み、導電成分として銀(Ag)または銅(Cu)を含む電気接点材は、ブレーカ等に従来から用いられている。
たとえば、特開2005−146412号公報(以下、特許文献1という)には、Agと、WC、WおよびMoからなる群より選択される少なくとも1種の耐熱性非酸化物と、SnO、In、ZnO、CuOおよびCuOからなる群より選択される少なくとも1種の金属酸化物とを含有する電気接点材料が開示されている。
また、特開平6−228704号公報(以下、特許文献2という)には、25体積%以上で75体積%未満であってTa、Nb、W、Moのうち少なくとも1種からなる耐弧成分と、この耐弧成分との合量が75体積%以下であってCr、Ti、Y、Zr、Co、Vのうち少なくとも1種からなる補助成分と、残部がCuまたはAgの少なくとも1種からなる導電成分とを有する真空バルブ用接点材料が開示されている。
特開2005−146412号公報 特開平6−228704号公報
本願発明者によれば、特許文献1と特許文献2に記載のモリブデンを含む電気接点材を用いて製造された電気接点を交流用ブレーカに組み込んで接点性能を評価すると、電気接点材においてモリブデン粒子が均一に分散していないために、電気接点材が耐溶着性、耐消耗性、温度性能に劣るという問題がある。
また、本願発明者によれば、上記の電気接点材を用いて製造された電気接点を直流用ブレーカに組み込んで接点性能を評価すると、電気接点材においてモリブデン粒子が均一に分散していないために、アークが切れにくく、遮断時間が長くなり、接点への負荷が大きくなり、接点性能が低下するという問題がある。このため、直流用ブレーカでは、強制的に遮断させるための機構が設けられている。
そこで、本発明の目的は、交流用と直流用の両者においてブレーカの接点性能を向上させることが可能な電気接点材とブレーカを提供することである。
本発明に従った電気接点材は、モリブデンを0.1質量%以上30質量%以下、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種を10質量%以上70質量%以下、含み、残部が銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種と不可避的不純物とを含む電気接点材である。当該電気接点材の任意に選ばれた10断面について、各断面内において任意に選ばれた600μm×500μmの大きさの長方形の1つの視野内で観察され得るすべてのモリブデン粒子の最大径が20μm以下である。
電気接点材は、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種を10質量%以上89.9質量%以下含むことが好ましい。
電気接点材は、多孔体の孔中に金属が溶浸した構造を有し、多孔体は、モリブデンと、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種とを含み、金属は、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
電気接点材は、多孔体が焼結された構造を有し、多孔体は、モリブデンと、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種と、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
電気接点材は、モリブデンを1質量%以上8質量%以下含むことが好ましい。
電気接点材は、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種を40質量%以上62質量%以下含むことが好ましい。
電気接点材は、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種を30質量%以上59質量%以下含むことが好ましい。
本発明の電気接点材は、さらに、グラファイト、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、タンタル、バナジウム、マグネシウム、亜鉛、および、スズからなる群より選ばれた少なくとも1種類の材料または元素を3質量%以下、含むことが好ましい。
本発明の電気接点材は、直流用ブレーカに用いられることが好ましい。
本発明の電気接点材の表面にはメッキが施されていることが好ましい。
本発明に従ったブレーカは、上記の電気接点材を用いて製造されたものである。
本発明のブレーカは、直流用ブレーカであることが好ましい。
モリブデンを0.1質量%以上30質量%以下、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種を10質量%以上70質量%以下、含み、残部が銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種と不可避的不純物とを含む電気接点材の製造方法は、酸化モリブデン粉末と、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種の粉末と、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種の粉末とを混合して混合粉末を作成する工程と、混合粉末中の酸化モリブデンを還元性ガス雰囲気で還元する工程とを備える。
本発明の電気接点材の製造方法は、還元処理された混合粉末から型押し体を形成する工程と、型押し体を加熱処理して多孔体を形成する工程と、多孔体の孔内に銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも一種を溶浸させる工程とをさらに備えることが好ましい。
混合粉末を作成する工程は、モリブデンを0.1質量%以上30質量%以下、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種を10質量%以上70質量%以下、含み、残部が銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種と不可避的不純物とを含む混合粉末を作成する工程を含み、本発明の電気接点材の製造方法は、還元処理された混合粉末から型押し体を形成する工程と、型押し体を加熱処理して多孔体を形成する工程と、をさらに備えることが好ましい。
本発明によれば、モリブデン粒子の最大径が20μm以下に制御されているので、モリブデン粒子が電気接点材中に均一に分散して存在することにより、交流用と直流用の両者においてブレーカの接点性能を向上させることができる。
本発明の一つの実施の形態としての電気接点材が組み込まれたブレーカを構成する固定側接点部材と可動側接点部材の閉状態における配置関係を示す側面図である。 本発明の一つの実施の形態としての電気接点材が組み込まれたブレーカを構成する固定側接点部材と可動側接点部材の開状態における配置関係を示す側面図である。
まず、本発明の一つの実施の形態としての電気接点材が組み込まれたブレーカの構成について説明する。
図1と図2に示すように、ブレーカ10は、固定側接点部材30と、固定側接点部材30に接触することができるように、または、固定側接点部材30から離隔することができるように、繰り返して移動可能に配置された可動側接点部材20とを備えている。固定側接点部材30は電気接点材31と台金32との接合体からなる。可動側接点部材20は電気接点材21と台金22との接合体からなる。本発明の実施形態による電気接点材31はブレーカ10の固定側接点部材30の一部分に使用される。なお、図1と図2に示される電気接点材31は、本発明に従った「電気接点材」の一例である。
固定側接点部材30においては、電気接点材31と台金32とが、台金32側に一体的に形成された接合部32aの上面を接合面として、ろう材4を介して互いに接合されている。可動側接点部材20においては、電気接点材21と台金22とが、台金22側に一体的に形成された接合部の上面を接合面として、ろう材4を介して互いに接合されている。
このようにして、可動側接点部材20と固定側接点部材30が構成されているので、図1に示すように固定側接点部材30の電気接点材31に対して可動側接点部材20の電気接点材21が接触した状態(閉状態)から、ブレーカ10の許容電流値を超える電流が所定時間流れた場合に、内蔵された接点引き外し装置(図示せず)が作動することによって、図2に示すように可動側接点部材20の電気接点材21が固定側接点部材30の電気接点材31から矢印Q方向に瞬時に引き離された状態に移行して、電流を遮断するように構成されている。なお、図1と図2に示すように、固定側接点部材30のうち、電気接点材31が設けられていない台金32の端部側が、ブレーカ10の1次側(電源側)端子に接続されているとともに、可動側接点部材20のうち、電気接点材21が設けられていない台金22の端部は、ブレーカ10の2次側(負荷側)端子に接続されている。
上記の実施の形態では、ブレーカ10に組み込まれる可動側の電気接点材21は銀−炭化タングステン(Ag−WC)系の材料からなり、固定側の電気接点材31は、本発明の実施形態に従った電気接点材として、モリブデン(Mo)を0.1質量%以上30質量%以下、タングステン(W)および炭化タングステン(WC)からなる群より選ばれた少なくとも1種を10質量%以上70質量%以下、含み、残部が銀(Ag)および銅(Cu)からなる群より選ばれた少なくとも1種と不可避的不純物とを含む電気接点材である。当該電気接点材の任意に選ばれた10断面について、各断面内において任意に選ばれた600μm×500μmの大きさの長方形の1つの視野内で観察され得るすべてのモリブデン粒子の最大径が20μm以下である。なお、モリブデン粒子の最大径の下限値は5μmである。
電気接点材においては、モリブデン粒子の最大径が20μm以下に制御されているので、モリブデン粒子が電気接点材中に均一に分散して存在することにより、交流用と直流用の両者においてブレーカの接点性能、具体的には耐溶着性、耐消耗性、温度性能を向上させることができる。
電気接点材においてモリブデン粒子の最大径を20μm以下に制御することができること、すなわち、モリブデン粒子を電気接点材中に均一に分散して存在させることができることは、本願発明者の以下の知見に基づくものである。
従来、モリブデンを含む電気接点材を作製する場合には、原料粉末としてモリブデン粉末を使用している。しかし、モリブデン粉末と他の原料粉末とを、V型ミキサー、湿式または乾式アトライター、湿式または乾式ボールミル等の従来から用いられているいずれの混合方法で混合した場合でも、モリブデン粒子の形状が偏平状になったり、モリブデン粒子同士がくっついて粗大なモリブデン二次粒子を形成するため、モリブデン粒子が混合粉末中において均一に分散しない。
そこで、本願発明者は、電気接点材中のモリブデン粒子の分散性を向上させる方法を種々検討した。その結果、原料粉末として酸化モリブデン(MoO)粉末を用いると、アトライターやボールミルを用いて、酸化モリブデン粉末と他の原料粉末とを混合しても、酸化モリブデン粒子の形状が偏平状になることはなく、また酸化モリブデン粒子同士がくっつくことはなく、酸化モリブデン粒子を混合粉末中において均一に分散させることができることを見出した。なお、混合の後工程である粉末還元工程において、混合粉末中の酸化モリブデンをモリブデンに還元した後、従来法により電気接点材を作製すると、得られた電気接点材においてモリブデン粒子の最大径を20μm以下に制御することができ、すなわち、モリブデン粒子を電気接点材中に均一に分散して存在させることができる。なお、上記の方法によってモリブデン粒子の最大径を5μm未満に制御することは困難である。
特に、本発明では、従来の電気接点材のように耐熱性を向上させる目的でモリブデンを耐熱成分または耐弧成分として用いるのではなく、接点性能を向上させる目的でモリブデンを用いる。本発明では、電気接点材中にモリブデン粒子が均一に分散して存在することにより、接点の表面に露出して均一に分散されて存在するモリブデンが、遮断時のアーク熱により酸化モリブデンになる。このとき、アーク熱が酸化モリブデンの昇華エネルギーとしても用いられる。このため、酸化モリブデンが昇華することによって、アークエネルギーを小さくすることができる。その結果、アークが切れやすくなり、遮断時間が短くなり、接点への負荷が小さくなるので、接点性能を向上させることができる。モリブデン粒子が均一に分散されているほど、接点性能を向上させる効果が大きくなる。このような効果を得ることができるので、電気接点材は、特に直流用ブレーカに適用されることが有効であり、たとえば、太陽電池用ブレーカ等に用いるのが好ましい。
なお、モリブデン粒子が微細に分散していないと、モリブデン粒子の粒子間距離が大きくなり、すなわち、接点の表面に露出する銀または銅のみからなる部分の面積が大きくなることにより、そのような部分では上記の効果が得られない。このため、アークが切れにくい部分が発生し、電気接点全体としての接点性能を向上させることが困難になる。
電気接点材において、まず、耐火物である耐熱性非酸化物としてのタングステンまたは炭化タングステンが10質量%以上70質量%以下含まれていることにより、耐熱性、耐溶着性、耐消耗性を一定以上向上させるという利点が得られる。タングステンまたは炭化タングステンの含有量が10質量%未満では、上記の利点を得ることができないだけでなく、耐火物としてのタングステンまたは炭化タングステンが少なく、消耗が激しくなり、耐熱性が悪くなるおそれがある。タングステンまたは炭化タングステンの含有量が70質量%を超えると、電気導電性が低下し、温度性能が悪くなるおそれがある。タングステンまたは炭化タングステンの含有量は40質量%以上62質量%以下であることがより好ましい。
また、電気接点材において、モリブデンが0.1質量%以上30質量%以下含まれることにより、上記の接点性能を向上させるという利点を得ることができる。モリブデンの含有量が0.1質量%未満では、遮断時に昇華する酸化モリブデンの量が少なくなるので、上記の接点性能の向上という効果を十分得られないおそれがある。モリブデンの含有量が30質量%を超えると、遮断時に昇華する酸化モリブデンの量が多くなってしまい、消耗が大きくなるおそれがある。モリブデンの含有量は1質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。
さらに、電気接点材において、残部は銀または銅と不可避的不純物とからなるが、接点の電気伝導性を確保するためには、銀または銅を10質量%以上89.9質量%以下含まれることが好ましい。銀または銅の含有量が10質量%未満では、電気導電性が低下し、温度性能が悪くなるおそれがある。銀または銅の含有量が89.9質量%を超えると、接点の表面に露出する銀または銅のみからなる部分の面積の割合が大きくなり、耐溶着性が悪くなるおそれがある。銀または銅の含有量は30質量%以上59質量%以下であることがより好ましい。
電気接点材において、残部として、グラファイト(Gr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)などからなる群より選ばれた少なくとも1種類の材料、元素、または、その元素の炭化物が、0.1質量%以上3質量%以下の範囲で含まれていてもよい。
電気接点材にはメッキが施されていてもよい。メッキとしては、電解銀(Ag)メッキ、電解ニッケル(Ni)メッキ、無電解銀(Ag)メッキ、無電解ニッケル(Ni)メッキ、またはこれらを組み合わせたメッキを採用することが可能である。
なお、電気接点材は、溶浸法または焼結法を用いて次のようにして製造される。溶浸法を用いた製造方法は、粉末の準備工程、混合工程、粉末還元工程、バインダー混合工程、型押し工程、脱バインダー工程、中焼工程、および、溶浸工程からなる。焼結法を用いた製造方法は、粉末の準備工程、混合工程、粉末還元工程、バインダー混合工程、型押し工程、脱バインダー工程、中焼工程、および、焼結工程からなる。各工程の詳細は以下のとおりである。
(粉末の準備)
たとえば、準備される銀(Ag)または銅(Cu)の粉末の平均粒径は0.5μm以上10μm以下、タングステン(W)または炭化タングステン(WC)の粉末の平均粒径は0.2μm以上8μm以下、酸化モリブデン(MoO)粉末の平均粒径は0.2μm以上10μm以下であることが好ましい。各粉末の平均粒径が下限値未満であると、粉末の凝集が激しくなり、電気接点材においてモリブデン粒子が均一に分散することができないので、接点の表面に露出する銀または銅のみからなる部分の面積が大きくなり、溶着性能が悪くなるおそれがある。各粉末の平均粒径が上限値を超えると、粉末において粒子間距離が大きくなり、電気接点材においてモリブデン粒子が微細に分散することができないので、接点の表面に露出する銀または銅のみからなる部分の面積が大きくなり、溶着性能が悪くなるおそれがある。
(混合工程)
次に、所定の組成に従って、銀または銅の粉末と、タングステンまたは炭化タングステンの粉末と、酸化モリブデン粉末とを、たとえば、乾式ボールミル内にて、たとえば、80Pa以上150Pa以下の真空中で、たとえば、30分間以上60分間以下、混合する。このように原料粉末を真空中で混合することにより、微細な原料粉末を均一に混合して、各粒子を均一に分散させることができ、特にモリブデン粒子を均一に分散させることができる。混合雰囲気の圧力が80Pa未満では、高真空にするためのコストが高くなるおそれがある。混合雰囲気の圧力が150Paを超えると、真空度が不十分となり、比重差の大きい原料粉末の各粒子を均一に分散させることができないおそれがある。混合時間が30分間未満では、混合が不十分となり、原料粉末の各粒子を均一に分散させることができないおそれがある。混合時間が60分間を超えると、時間がかかってしまい、生産性が悪くなるおそれがある。
(粉末還元工程)
その後、混合粉末を、たとえば、800℃以上950℃以下の還元温度で、たとえば、1時間以上2時間以下の還元時間、水素ガス等の還元性ガス雰囲気中にて保持することにより、混合粉末を還元する。混合粉末を還元性ガス雰囲気中にて還元することにより、酸化モリブデンを還元するとともに、混合粉末の内部に吸着している不純物酸素を低減することができる。還元温度が800℃未満では、還元が不十分となるので、酸化モリブデンが残存してしまうおそれがある。還元温度が950℃を超えると、銀の融点を超えてしまうので、混合粉末が合金化するおそれがある。還元時間が1時間未満では、還元が不十分となるので、酸化モリブデンが残存してしまうおそれがある。還元時間が2時間を超えると、生産性が悪くなるおそれがある。
(バインダー混合工程(完粉作製工程))
たとえば、バインダー濃度が1.0質量%以上2.0質量%以下になるように、還元された混合粉末にバインダーを加えて、たとえば、20分間以上40分間以下、混合する。バインダーとしては、カンファー(樟脳)またはアクリル系バインダーを使用してもよい。バインダー濃度が1.0質量%未満であれば、後工程である型押し工程で十分な型押し体の強度を得ることができず、ハンドリングすることができないおそれがある。バインダー濃度が2.0質量%を超えると、後工程である脱バインダー工程を行ってもバインダーの除去が不十分となるので、バインダー中の炭素が残存してしまうおそれがある。混合機としては、らいかい機、V型ミキサー等を用いることができる。
(型押し工程)
その後、得られた混合粉末に、たとえば、250MPa以上350MPa以下の圧力を加えることにより、所定の体積の型押し体を形成する。プレス圧力が250MPa未満であれば、次のような問題が起こるおそれがある。後工程である溶浸工程が行われる場合は、溶浸工程の前の密度が小さくなるので、溶浸される銀または銅の量が多くなることにより、所望の組成を得ることができないおそれがある。後工程である焼結工程が行われる場合は、焼結工程の前の密度が小さくなるので、焼結性が悪くなり、十分な密度を得ることができないおそれがある。プレス圧力が350MPaを超えると、次のような問題が起こるおそれがある。後工程である溶浸工程が行われる場合は、溶浸工程の前の密度が大きくなるので、溶浸される銀または銅の量が少なくなることにより、所望の組成を得ることができないおそれがある。後工程である焼結工程が行われる場合は、型押し体の密度が真密度比で85%を超えてしまうので、型押し体中の隙間が小さくなり、後工程である水素ガス雰囲気中での中焼工程において、内部の還元が不十分になり、酸素が残留するおそれがある。なお、型押し工程では、後工程が溶浸工程の場合は、最終組成が所望の組成になるように、型押し工程でのプレス圧力を調整して型押し体の体積を調整する。
(脱バインダー工程)
得られた型押し体を、たとえば、800℃以上900℃以下の温度で、たとえば、1時間以上2時間以下、水素ガス等の還元ガス雰囲気中にて保持することにより、脱バインダー処理を行う。型押し体を還元ガス雰囲気中で脱バインダー処理することにより、粉末の内部に吸着している不純物酸素を低減することができる。処理温度が800℃未満であれば、バインダーの除去が不十分になるので、バインダー中の炭素が残存してしまうおそれがある。処理温度が900℃を超えると、生産性が悪くなるおそれがある。処理時間が1時間未満であれば、バインダーの除去が不十分になるので、バインダー中の炭素が残存してしまうおそれがある。処理時間が2時間を超えると、生産性が悪くなるおそれがある。
(中焼工程)
その後、型押し体を、たとえば、900℃以上960℃以下の温度で、たとえば、1.0時間以上3.0時間以下、水素ガス等の還元性ガス雰囲気中にて保持することにより、多孔体を作製する。処理温度が900℃未満であれば、多孔体(中焼体)に不純物酸素が残存しやすく、後工程である溶浸工程または焼結工程を行っても十分な密度を得ることができないおそれがある。処理温度が960℃を超えると、多孔体(中焼体)の収縮が大きくなってしまい、所望の組成が得られないおそれがある。処理時間が1.0時間未満であれば、多孔体(中焼体)に不純物酸素が残存しやすく、後工程である溶浸工程または焼結工程を行っても十分な密度を得ることができないおそれがある。処理時間が3.0時間を超えると、生産性が悪くなるおそれがある。
(溶浸工程)
得られた多孔体の上に、たとえば、厚みが1.0mm以上2.0mm以下の銀板または銅板を配置した状態で、たとえば、1000℃以上1100℃以下の温度で、たとえば、1.0時間以上3.0時間以下、水素ガス等の還元性ガス雰囲気中にて、保持することにより、多孔体の内部に銀または銅を溶浸させる。溶浸温度が1000℃未満であれば、銀または銅の溶浸が不十分になってしまい、十分な密度が得られないおそれがある。溶浸温度が1100℃を超えると、多孔体(中焼体)の収縮が溶浸中にも大きくなってしまい、所望の組成が得られないおそれがある。溶浸時間が1.0時間未満であれば、銀または銅の溶浸が不十分になってしまい、十分な密度が得られないおそれがある。溶浸時間が3.0時間を超えると、生産性が悪くなるおそれがある。
(焼結工程)
得られた多孔体を、たとえば、1000℃以上1100℃以下の温度で、たとえば、1.0時間以上3.0時間以下、水素ガス等の還元性ガス雰囲気中にて、保持することにより、焼結する。焼結温度が1000℃未満であれば、焼結が不十分になってしまい、十分な密度が得られないおそれがある。焼結温度が1100℃を超えると、銀または銅が表面に溶出しやすくなり、所望の組成が得られないおそれがある。焼結時間が1.0時間未満であれば、焼結が不十分になってしまい、十分な密度が得られないおそれがある。焼結時間が3.0時間を超えると、生産性が悪くなるおそれがある。
以上のようにして、電気接点材は製造される。
以下、上述の実施形態の効果を確認するために行った実施例と比較例とによる比較実験について以下に説明する。
[実施例]
本実施例では、上述の実施形態に対応する実施例として、実施例101〜128、201〜208、301〜305による固定側の電気接点材31を作製した。また、従来の製造方法を用いた比較例として、比較例101〜111、201〜203、301〜302による固定側の電気接点材31を作製した。なお、実施例101〜128と比較例101、102、104〜111では、導電成分として銀(Ag)を用い、溶浸法を用いて電気接点材を作製した。実施例201〜208と比較例103、201〜203では、導電成分として銀(Ag)を用い、焼結法を用いて電気接点材を作製した。実施例301〜305と比較例301〜302では、導電成分として銅(Cu)を用い、溶浸法を用いて電気接点材を作製した。作製方法については後述する。
これらの電気接点材31の各々を、定格電流値が100Aの直流用ブレーカと交流用ブレーカに組み込んで、過負荷試験と短絡試験による遮断試験、溶着試験、過負荷試験と短絡試験による遮断試験の後に温度試験を行った。なお、可動側の電気接点材21は、銀を50質量%含み、残部が炭化タングステンからなる材料を用いた。
本発明の実施例と比較例において電気接点材31を作製するために用いられた酸化モリブデン(MoO)粉末またはモリブデン(Mo)粉末の平均粒径、作製された電気接点材31におけるモリブデン(Mo)の含有量、タングステン(W)粉末の平均粒径、作製された電気接点材31におけるタングステン(W)の含有量、炭化タングステン(WC)粉末の平均粒径、作製された電気接点材31における炭化タングステン(WC)の含有量、グラファイト(Gr)粉末の平均粒径、作製された電気接点材31におけるグラファイト(Gr)の含有量、亜鉛(Zn)粉末の平均粒径、作製された電気接点材31における亜鉛(Zn)の含有量、残部の金属の種類、および、製造方法の種類を以下の表1に示す。
また、電気接点材31におけるモリブデン粒子の最大径、ならびに、直流用ブレーカと交流用ブレーカのそれぞれに組み込んだ場合の過負荷試験後の電気接点材31の消耗率、短絡試験後の電気接点材31の消耗率、溶着試験、および、温度試験についての評価結果を表2に示す。
なお、電気接点材31におけるモリブデン粒子の最大径、ならびに、直流用ブレーカと交流用ブレーカのそれぞれの過負荷試験と短絡試験による遮断試験の方法、これらの遮断試験後の消耗率の評価、溶着試験の方法と評価、および、温度試験の方法と評価については後述する。
(作製方法)
表1に示す含有量でモリブデン(Mo)、タングステン(W)、炭化タングステン(WC)、グラファイト(Gr)および亜鉛(Zn)を含む電気接点材31を次のようにして作製した。
表1に示す平均粒径の酸化モリブデン(MoO)粉末またはモリブデン(Mo)粉末と、タングステン(W)粉末または炭化タングステン(WC)粉末と、グラファイト(Gr)粉末と、亜鉛(Zn)粉末と、残部として平均粒径が3μmの銀(Ag)粉末または銅(Cu)粉末とを、表1に示すMo含有量、W含有量、WC含有量、Gr含有量およびZn含有量になるように乾式ボールミルを用いて真空中(100Pa)で45分間混合した。
なお、後工程が溶浸工程の場合は、溶浸工程の後に表1に示す組成の電気接点材を得るために、また、中焼工程において焼結性の高い中焼体を得るために、表1に「残部」として示されるAgまたはCuの含有量の50%に相当する量のAg粉末またはCu粉末を配合して上記の混合を行った。また、後工程が焼結工程の場合は、表1に「残部」として示されるAgまたはCuの含有量の100%に相当する量のAg粉末またはCu粉末を配合して上記の混合を行った。
得られた混合粉末を870℃の温度で1.5時間、水素ガス雰囲気中にて保持することにより、混合粉末を還元した。混合粉末とバインダーの質量比率が98.5:1.5(バインダー濃度:1.5質量%)になるように、この混合粉末にバインダーとしてカンファーを添加して、らいかい機を用いて30分間、混合した。
その後、得られた混合粉末にプレスで圧力を加えることにより、厚みが3mm、一辺が20mmの正方形の平面を有する板状の型押し体を形成した。このとき、後工程が溶浸工程の場合は、溶浸工程の後の最終組成が表1に示す所定の組成になるように、プレス圧力を250MPa〜350MPaの範囲で調整して型押し体の密度を調整した。また、後工程が焼結工程の場合は、混合粉末に300MPaのプレス圧力を加えることにより、型押し体を形成した。
得られた型押し体を870℃の温度で1.5時間、水素ガス雰囲気中にて保持することにより、脱バインダー処理を行った。その後、型押し体を950℃の温度で2.0時間、水素ガス雰囲気中にて保持することにより、多孔体を作製した。
実施例101〜128、301〜305と比較例101、102、104〜111、301〜302では、上記で得られた多孔体の上に厚みが1mmの銀板または銅板を配置した状態で、1050℃の温度で2.0時間、水素ガス雰囲気中にて保持することにより、多孔体の内部に銀または銅を溶浸させた。
実施例201〜208と比較例103、201〜203では、上記で得られた多孔体を1050℃の温度で2.0時間、水素ガス雰囲気中にて保持することにより、焼結した。
(モリブデン粒子の最大径)
作製された電気接点材の任意に選ばれた10箇所の断面を400倍の倍率で走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。各断面内において任意に選ばれた600μm×500μmの大きさの長方形の視野内ですべてのモリブデン粒子(凝集体を含む)を観察し、その最大径を測定した。そして、10箇所の断面の観察の結果、モリブデン粒子の最大径で最も大きい値を表2に示す。
(直流用ブレーカの遮断試験(過負荷試験))
過負荷試験は、直流で、220Vの負荷電圧で600Aの遮断電流を設定した。試験方法としては、CO責務(直流で、負荷電圧220Vで600Aの遮断電流が流れる回路に定格電流値が100Aの直流用ブレーカをセットし、スイッチOFF状態で強制的にスイッチをON投入して瞬時に電流を遮断させる試験)を50回行った。そして、過負荷試験後の電気接点材31の消耗率を次の式によって算出した。表2には、消耗率の評価として、算出された消耗率が5%以下であるとき「◎」、10%以下であるとき「○」、10%を超えるとき「×」で示す。
(電気接点材の消耗率)=[{(試験前の電気接点材の厚み)−(試験後の電気接点材の厚み)}/(試験前の電気接点材の厚み)]×100(%)・・・(式1)
(直流用ブレーカの遮断試験(短絡試験))
短絡試験は、直流で、200Vの負荷電圧で2000Aの遮断電流を設定した。試験方法としては、O責務(直流用ブレーカのスイッチON状態で遮断電流を流し、電流を遮断させる試験)とCO責務(直流で、負荷電圧200Vで2000Aの遮断電流が流れる回路に定格電流値が100Aの直流用ブレーカをセットし、スイッチOFF状態で強制的にスイッチをON投入して瞬時に電流を遮断させる試験)を次の手順で行った。すなわち、この短絡試験では、動作責務として1回のO責務と3回のCO責務をこの順で行った。そして、短絡試験後の電気接点材31の消耗率を上記の(式1)によって算出した。表2には、消耗率の評価として、算出された消耗率が10%以下であるとき「◎」、40%以下であるとき「○」、40%を超えるとき「×」で示す。
(直流用ブレーカの溶着試験)
溶着試験は、直流で、200Vの負荷電圧で2000Aの遮断電流を設定した。試験方法としては、CO責務(直流で、負荷電圧200Vで2000Aの遮断電流が流れる回路に定格電流値が100Aの直流用ブレーカをセットし、スイッチOFF状態で強制的にスイッチをON投入して瞬時に電流を遮断させる試験)を6回行った。そして、溶着試験中または溶着試験後の電気接点材31の溶着具合を評価した。表2には、溶着具合の評価として、接点が全く溶着しないとき「◎」、ブレーカのON/OFFで簡単に溶着が外れる場合(軽溶着)「○」、ブレーカのON/OFFで簡単に溶着が外れない場合(重溶着)「×」で示す。
(直流用ブレーカの温度試験)
過負荷試験後および短絡試験後に直流用ブレーカに100Aの定格電流を流し、温度が安定したときの直流用ブレーカの端子の温度を測定した。表2には、温度上昇が75K未満のとき「◎」、75K以上80K未満のとき「○」、80K以上のとき「×」で示す。
(交流用ブレーカの遮断試験(過負荷試験))
過負荷試験は、交流で、220Vの負荷電圧で600Aの遮断電流を設定した。試験方法としては、CO責務(交流で、負荷電圧220Vで600Aの遮断電流が流れる回路に定格電流値が100Aの交流用ブレーカをセットし、スイッチOFF状態で強制的にスイッチをON投入して瞬時に電流を遮断させる試験)を50回行った。そして、過負荷試験後の電気接点材31の消耗率を上記の(式1)によって算出した。表2には、消耗率の評価として、算出された消耗率が5%以下であるとき「◎」、10%以下であるとき「○」、10%を超えるとき「×」で示す。
(交流用ブレーカの遮断試験(短絡試験))
短絡試験は、交流で、220Vの負荷電圧で5000Aの遮断電流を設定した。試験方法としては、O責務(交流用ブレーカのスイッチON状態で遮断電流を流し、電流を遮断させる試験)とCO責務(交流で、負荷電圧220Vで5000Aの遮断電流が流れる回路に定格電流値が100Aの交流用ブレーカをセットし、スイッチOFF状態で強制的にスイッチをON投入して瞬時に電流を遮断させる試験)を次の手順で行った。すなわち、この短絡試験では、動作責務として1回のO責務と3回のCO責務をこの順で行った。そして、短絡試験後の電気接点材31の消耗率を上記の(式1)によって算出した。表1には、消耗率の評価として、算出された消耗率が10%以下であるとき「◎」、40%以下であるとき「○」、40%を超えるとき「×」で示す。
(交流用ブレーカの溶着試験)
溶着試験は、交流で、265Vの負荷電圧で5000Aの遮断電流を設定した。試験方法としては、O責務(交流用ブレーカのスイッチON状態で遮断電流を流し、電流を遮断させる試験)とCO責務(交流で、負荷電圧265Vで5000Aの遮断電流が流れる回路に定格電流値が100Aの交流用ブレーカをセットし、スイッチOFF状態で強制的にスイッチをON投入して瞬時に電流を遮断させる試験)を次の手順で行った。すなわち、この溶着試験では、動作責務として1回のO責務と5回のCO責務をこの順で行った。そして、溶着試験中または溶着試験後の電気接点材31の溶着具合を評価した。表2には、溶着具合の評価として、接点が全く溶着しないとき「◎」、ブレーカのON/OFFで簡単に溶着が外れる場合(軽溶着)「○」、ブレーカのON/OFFで簡単に溶着が外れない場合(重溶着)「×」で示す。
(交流用ブレーカの温度試験)
過負荷試験後および遮断試験後に100Aの定格電流を交流用ブレーカに流し、温度が安定したときの交流用ブレーカの端子の温度を測定した。表1には、温度上昇が75K未満のとき「◎」、75K以上80K未満のとき「○」、80K以上のとき「×」で示す。
Figure 2014136617
Figure 2014136617
表1と表2から、定格電流値が100Aの直流用ブレーカと交流用ブレーカにおいて、モリブデンを0.1質量%以上30質量%以下、タングステンまたは炭化タングステンを10質量%以上70質量%以下含み、残部が銀または銅と不可避的不純物とを含み、モリブデン粒子の最大径が20μm以下であるように、電気接点材31(実施例101〜128、201〜208、301〜305)を構成することにより、過負荷試験後の消耗率だけでなく、短絡試験後の消耗量をも低減でき、また、遮断試験後における溶着を防止でき、さらに、過負荷試験後および短絡試験後における温度上昇を抑制することができたことがわかる。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
たとえば、上記の実施形態と実施例では、ブレーカ10の固定側接点部材30に本発明の電気接点材31を適用した例について示したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、ブレーカ10の可動側接点部材20または固定側接点部材30のいずれかに本発明の電気接点材を用いてもよい。なお、本発明の電気接点材は、直流用ブレーカと交流用ブレーカのいずれにも適用することができるが、電流値がゼロ点を通過しない直流において遮断時のアークを切れやすくし、遮断時間を短くすることができるので、直流用ブレーカに適用すると有効である。
また、上記の実施形態と実施例では、開閉器の一例としてのブレーカ10に本発明の電気接点材31を用いた例について示したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、たとえば、電磁開閉器などのブレーカ以外の開閉器(スイッチ機器)に本発明の電気接点材を用いてもよい。
本発明の電気接点材は、交流用ブレーカだけでなく、直流用ブレーカにも組み込まれて用いられる。
10:ブレーカ、21,31:電気接点材。

Claims (12)

  1. モリブデンを0.1質量%以上30質量%以下、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種を10質量%以上70質量%以下、含み、残部が銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種と不可避的不純物とを含む電気接点材であって、
    当該電気接点材の任意に選ばれた10断面について、各断面内において任意に選ばれた600μm×500μmの大きさの長方形の1つの視野内で観察され得るすべてのモリブデン粒子の最大径が20μm以下である、電気接点材。
  2. 前記電気接点材は、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種を10質量%以上89.9質量%以下含む、請求項1に記載の電気接点材。
  3. 前記電気接点材は、多孔体の孔中に金属が溶浸した構造を有し、前記多孔体は、モリブデンと、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種とを含み、金属は、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1または請求項2に記載の電気接点材。
  4. 前記電気接点材は、多孔体が焼結された構造を有し、前記多孔体は、モリブデンと、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種と、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種とを含む、請求項1または請求項2に記載の電気接点材。
  5. 前記電気接点材は、モリブデンを1質量%以上8質量%以下含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気接点材。
  6. 前記電気接点材は、タングステンおよび炭化タングステンからなる群より選ばれた少なくとも1種を40質量%以上62質量%以下含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電気接点材。
  7. 前記電気接点材は、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種を30質量%以上59質量%以下含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電気接点材。
  8. さらに、グラファイト、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、タンタル、バナジウム、マグネシウム、亜鉛、および、スズからなる群より選ばれた少なくとも1種類の材料または元素を3質量%以下、含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電気接点材。
  9. 当該電気接点材が直流用ブレーカに用いられる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電気接点材。
  10. 前記電気接点材の表面にはメッキが施されている、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電気接点材。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電気接点材を用いて製造されたブレーカ。
  12. 前記ブレーカが直流用ブレーカである、請求項11に記載のブレーカ。
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