JP2005146412A - 電気接点材料の製造方法および電気接点材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Ag粒子と、WC、W、Mo、NiおよびCからなる群より選択される少なくとも1種の耐熱性非酸化物粒子と、場合によってさらにSnO2、In2O3、ZnO、CuOおよびCu2Oからなる群より選択される少なくとも1種の金属酸化物粒子とに、少なくとも100MPaの圧力および500℃未満の温度の条件下、温間プレスすることにより、電気接点材料を得る。
【選択図】なし
Description
また一般に、WC等の耐熱性非酸化物粉末とSnO2等の金属酸化物粉末とを用いる場合には、高温で耐熱性非酸化物粉末と金属酸化物粉末とが反応するため、充分に加熱することができず、緻密化された電気接点材料を得ることができない。
これに対して、Ag−耐熱性非酸化物系の電気接点材料は、ホットプレス法により緻密化されることができるが、耐熱性非酸化物の酸化を防止するために真空中や不活性ガス中で高温焼結を行う必要があり、工程が煩雑で低コスト化の障害となる。
従って本発明は、耐溶着性および耐消耗性に優れ、緻密化された電気接点材料を効率良く得ることを目的とする。
また、本発明の電気接点材料は、Agと、WC、WおよびMoからなる群より選択される少なくとも1種の耐熱性非酸化物と、SnO2、In2O3、ZnO、CuOおよびCu2Oからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属酸化物とを含有することを特徴としている。
さらに、本発明の電気接点材料は、Agと、Niと、ZnO、CuOおよびCu2Oからなる群より選択される少なくとも1種の金属酸化物とを含有することを特徴としている。
また、混合物は、所定の金属酸化物粒子をさらに含有してもよい。以下、Agと耐熱性非酸化物とを少なくとも含有する電気接点材料を、Ag−耐熱性非酸化物の電気接点材料と表し、Agと耐熱性非酸化物と金属酸化物とを含有する電気接点材料を、Ag−耐熱性非酸化物−金属酸化物の電気接点材料と表す。
ここで、本明細書における「耐熱性」とは、融点が1,400℃以上の温度(CuおよびAgの融点より十分高温)であることを意味する。
前記混合粉体を室温でプレス成形した成形体の理論密度比は85%以下であり、80%以下がより好ましい。85%を超えると、閉気孔の形成が多くなってしまう。ここで、理論密度比というのは、材料に気孔の全くない理想的な緻密体の密度に対する実際の材料の密度の比(実際の材料の密度/理想的な緻密体の密度×100%)をとったものである。
一方、金属酸化物粒子の配合量は、得られる電気接点材料全体に対する質量換算で2〜20%の範囲とすることが好ましい。質量換算2%未満では、接点の電気抵抗は下がるが、熱安定性が充分でなく、質量換算20%を超えると、熱安定性は向上するが、接点の抵抗が不必要に高くなるため好ましくない。
本発明の電気接点材料は、耐熱性非酸化物と、金属酸化物と、Agとで構成されているので、上述した微量成分を除き、残部はAgとなる。このため、Ag粒子の配合量は、得られる電気接点材料全体に対する質量換算で20〜93%となることが好ましい。
ここで、温間プレス時の圧力は、少なくとも100MPaであり、プレス型材料やプレス装置の能力の観点から好ましくは100〜1000MPaである。また効率よく材料の緻密化を達成することができる観点から最も好ましいのは100〜700MPaである。100MPa未満では緻密化のためのAgの塑性変形が不十分である。
なお、温間プレス後の成形体の理論密度比は、95%以上であることが好ましい。90%未満であると、緻密化が十分でなく、十分な耐消耗性が得られない。
これにより、温間プレス中において耐熱性非酸化物粒子の酸化を防止することができるので、大気中での電気接点材料の製造を可能にして工程を著しく簡素化することができる。また、500℃未満で緻密化を行うため、耐熱性非酸化物粒子と金属酸化物粒子とが存在していても互いに反応することがなく、Ag−耐熱性非酸化物−金属酸化物の高接触性能の電気接点材料を得ることができる。
なお、本発明により大気中での電気接点材料の製造が可能となるが、不活性ガス中、または真空中での製造を拒むものではない。
パルス通電加圧焼結装置は、成形体を構成する粒子間の接触箇所がパルス電流により優先的に加熱され、かつパルス衝撃によりこの接触箇所の酸化膜を破壊することができるので、低温であっても混合物の緻密化を促進させて、耐消耗性の高い電気接点材料を得ることができる。このため、本発明においては、このようなパルス通電加圧焼結装置を使用することが好ましい。
電気接点材料となる混合物4が配置される。プレス棒3がプレス部に挿入された後、プレス型2がプレス装置(図示せず)にセットされる。温間プレス工程によってプレス棒3が加重されると、プレス棒3が混合物4と台座部材1とに、少なくとも100MPaの圧力が加えられる。これによって、電気接点材料の作製と、台座との接合が同時に行われ、接合工程を設けることなく台座付き電気接点材料を得ることができる。なお、プレス型への混合物と台座部材の配置およびプレス型は、これに限定されるものではない。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末、平均粒径1.3μmのSnO2粉末を質量換算70:25:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、室温でプレス成形し、理論密度比が80%程度の粉末成形体とした。この成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで20℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力300MPaを印加し5分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.2%のAg−WC−SnO2の電気接点材料を作製した。温間プレスに用いたプレス型は所望の接点形状が得られるようにあらかじめ寸法が調整されており、本発明では直径4.3mm、厚さ1.1mmの円板状の電気接点材料とした。この電気接点材料の導電率、硬度、並びに付加電圧200V、負荷電流100A(60Hz)、力率0.4、および接点圧300gで6000回の開閉試験を行ったときの消耗量(mg)と溶着の程度を「優、良、可、不可」の4段階で評価した。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1μmのW粉末を質量換算60:40で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で200℃まで10℃/分で昇温した。200℃に到達したときに、プレス型に圧力700MPaを印加し30分間温間プレスした。これにより、理論密度比97.8%のAg−Wの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1.4μmのAg粉末と、平均粒径1μmのW粉末、平均粒径1.4μmのMo粉末を質量換算50:30:20で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で300℃まで20℃/分で昇温した。300℃に到達したときに、プレス型に圧力500MPaを印加し30分間温間プレスした。これにより、理論密度比97.4%のAg−W−Moの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1.4μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末を質量換算70:30で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。つづいて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで20℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力500MPaを印加し10分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.4%のAg−WCの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1.4μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末、平均粒径17μmのグラファイト粉末を質量換算80:15:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで20℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力500MPaを印加し30分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.6%のAg−WC−グラファイトの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.6μmのNi粉末を質量換算85:15で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で450℃まで20℃/分で昇温した。450℃に到達したときに、プレス型に圧力200MPaを印加し5分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.5%のAg−Niの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。さらに、遮断試験として負荷電圧500V、負荷電流200A(60Hz)、力率0.35を印加したときの最大アーク時間を調べた。なお、最大アーク時間が短ければ短いほど遮断特性に優れた電気接点材料ということができる。
平均粒径1.4μmのAg粉末と、平均粒径17μmのグラファイト粉末を質量換算95:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で450℃まで20℃/分で昇温した。450℃に到達したときに、プレス型に圧力100MPaを印加し30分間温間プレスした。これにより、理論密度比98.9%のAg−グラファイトの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末、平均粒径1.6μmのNi粉末を質量換算65:30:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで20℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力300MPaを印加し10分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.4%のAg−WC−Niの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末、平均粒径0.8μmのIn2O3粉末を質量換算70:25:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで20℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力300MPaを印加し30分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.5%のAg−WC−In2O3の電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末、平均粒径1.5μmのCuO粉末を質量換算80:15:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで20℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力300MPaを印加し30分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.6%のAg−WC−CuOの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末、平均粒径2μmのZnO粉末を質量換算80:15:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで20℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力300MPaを印加し30分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.5%のAg−WC−ZnOの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1μmのW粉末、平均粒径1.2μmのCuO2粉末を質量換算70:25:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で300℃まで20℃/分で昇温した。300℃に到達したときに、プレス型に圧力500MPaを印加し10分間温間プレスした。これにより、理論密度比98.1%のAg−W−CuO2の電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末、平均粒径1.6μmのNi粉末、平均粒径1.3μmのSnO2粉末を質量換算60:30:5:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで20℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力300MPaを印加し5分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.1%のAg−WC−Ni−SnO2の電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末、平均粒径1.6μmのNi粉末、平均粒径0.8μmのIn2O3粉末を質量換算60:30:5:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで20℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力300MPaを印加し5分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.3%のAg−WC−Ni−In2O3の電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1.4μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末を質量換算70:30で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をパルス通電加圧焼結装置(住友石炭鉱業株式会社製)にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで40℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力500MPaを印加し2分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.7%のAg−WCの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1.4μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末、平均粒径1.3μmのSnO2粉末を質量換算70:25:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型を、実施例15で使用したものと同一のパルス通電加圧焼結装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで40℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力500MPaを印加し2分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.5%のAg−WCの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.6μmのNi粉末、平均粒径2μmのZnO粉末を質量換算87:5:8で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型をホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで20℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力500MPaを印加し10分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.1%のAg−Ni−ZnOの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法に加えて、実施例6と同様の遮断試験を行った。
実施例17と同様の配合比および方法で作製した理論密度比が80%程度の粉末成形体を、WC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型を実施例15で使用したものと同一のパルス通電加圧焼結装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで40℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力500MPaを印加し5分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.7%のAg−Ni−ZnOの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法に加えて、実施例6と同様の遮断試験を行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.6μmのNi粉末、平均粒径1.5μmのCuO粉末を質量換算90:5:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型を実施例15で使用したものと同一のパルス通電加圧焼結装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで40℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力500MPaを印加し5分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.6%のAg−Ni−CuOの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法に加えて、実施例6と同様の遮断試験を行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.6μmのNi粉末、平均粒径1.5μmのCu2O粉末を質量換算90:5:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体をWC製の超硬合金プレス型に入れ、このプレス型を実施例15で使用したものと同一のパルス通電加圧焼結装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで40℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力500MPaを印加し5分間温間プレスした。これにより、理論密度比99.5%のAg−Ni−Cu2Oの電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法に加えて、実施例6と同様の遮断試験を行った。
平均粒径1.4μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末を質量換算70:30で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、実施例1と同様にプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とした。台座部材として銀メッキ済みの銅を使用した。図1に示されるように、この台座部材をWC製の超硬合金プレス型の下部に配置し、この上に粉末成形体を置いてホットプレス装置にセットした。続いて超硬合金プレス型を大気中で400℃まで20℃/分で昇温した。400℃に到達したときに、プレス型に圧力500MPaを印加し10分間温間プレスした。これにより、銅の台座を接合した理論密度比99.0%のAg−WCの電気接点材料を作製した。
平均粒径1.4μmのAg粉末と、平均粒径1.5μmのWC粉末を質量換算70:30で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、室温でプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体を真空焼結炉の中にセットした。続いて焼結炉を真空引きし、800℃まで10℃/分で昇温した。800℃到達後にこの温度で、30分間無加圧で保持することにより理論密度比85.5%のAg−WCの電気接点材料を作製した。作製した接点の評価は実施例1と同様の方法で行った。
平均粒径1.4μmのAg粉末と、平均粒径1.3μmのSnO2粉末を質量換算90:10で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、室温でプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体を真空焼結炉の中にセットした。続いて焼結炉を真空引きし、800℃まで10℃/分で昇温した。800℃到達後にこの温度で、30分間無加圧で保持することにより理論密度比87.1%のAg−WCの電気接点材料を作製した。作製した接点の評価は実施例1と同様の方法に加えて、実施例6と同様の遮断試験を行った。
平均粒径1μmのAg粉末と、平均粒径1.6μmのNi粉末、平均粒径1.3μmのSnO2粉末を質量換算90:5:5で配合し、ボールミルにより混合した。ボールミル混合した混合粉末は、室温でプレス成形して理論密度比が80%程度の粉末成形体とし、この粉末成形体を真空焼結炉の中にセットした。続いて焼結炉を真空引きし、800℃まで10℃/分で昇温した。800℃到達後にこの温度で、30分間無加圧で保持することにより理論密度比91.0%のAg−Ni−SnO2の電気接点材料を作製した。作製した電気接点材料の評価は実施例1と同様の方法に加えて、実施例6と同様の遮断試験を行った。
また、実施例1と実施例16の電気接点材料は、組成成分およびその質量換算が同じで、使用するプレス装置のみが異なるものである(実施例1はホットプレス装置、実施例16はパルス通電加圧焼結装置による)。実施例16は、実施例1よりも理論密度比、導電率、硬度がより高く、さらに消耗量もより減少し、バランスよく良好な接点特性を有する電気接点材料であった。実施例15および18も同様に、それぞれ実施例4および17よりバランスよく良好な接点特性を有する電気接点材料であった。つまり、パルス通電加圧焼結装置を使用することにより、電気接点材料の接点性能がより向上した。
さらに、表3において、実施例6(Ag−Ni)および17〜20(Ag−Ni−ZnO、CuO、Cu2O)は、比較例2〜3よりもアーク時間が短く、特に実施例17〜20は、実施例6よりもさらにアーク時間が短かった。つまり、Agと、Niと、ZnO、CuOおよびCu2Oからなる群より選択される少なくとも1種の金属酸化物とを含有する電気接点材料は、遮断特性により優れていた。
Claims (7)
- Agと耐熱性非酸化物とを少なくとも含有する電気接点材料の製造方法であって、
前記耐熱性非酸化物がWC、W、Mo、NiおよびCからなる群より選択される少なくとも1種であり、
Ag粒子と耐熱性非酸化物粒子とを少なくとも含有する混合物を、少なくとも100MPaの圧力および500℃未満の温度の条件下で温間プレスする
ことを特徴とする電気接点材料の製造方法。 - 前記混合物がSnO2、In2O3、ZnO、CuOおよびCu2Oからなる群より選択される少なくとも1種の金属酸化物粒子をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の電気接点材料の製造方法。
- 前記圧力が100〜700MPaであり、前記温度が200〜450℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気接点材料の製造方法。
- パルス通電加圧焼結装置を用いて、前記混合物を温間プレスすることを特徴とする請求項1または2に記載の電気接点材料の製造方法。
- 前記混合物を台座部材上に配置して温間プレスすることを特徴とする請求項1または2に記載の電気接点材料の製造方法。
- Agと、WC、WおよびMoからなる群より選択される少なくとも1種の耐熱性非酸化物と、SnO2、In2O3、ZnO、CuOおよびCu2Oからなる群より選択される少なくとも1種の金属酸化物とを含有することを特徴とする電気接点材料。
- Agと、Niと、ZnO、CuOおよびCu2Oからなる群より選択される少なくとも1種の金属酸化物とを含有することを特徴とする電気接点材料。
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