JP2009087746A - 真空遮断器用接点材料 - Google Patents

真空遮断器用接点材料 Download PDF

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Abstract

【課題】低サージ性と耐溶着性とを両立させた真空遮断器用接点材料を得る。
【解決手段】真空に保持された絶縁容器2内に接離自在の一対の接点13a、13bを有する真空バルブであって、この接点13a、13bは、低サージ性と耐溶着性とを両立させることが可能となるNiAgとNiWCとの合金からなり、NiWCを34.8〜67.0重量%とし、残部をNiAgとしたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、Ag−WC系接点材料に係り、NiAgとNiWCとで構成し、裁断特性と耐溶着性とを改善し得る真空遮断器用接点材料に関する。
低サージ型の真空遮断器では、異常サージ電圧の発生を抑制するため、裁断電流値を小さくすることが要求されている。電動機などの誘導性回路で電流を遮断し、裁断電流値が大きくなると、異常サージ電圧が発生し易く、負荷の絶縁を破壊させたり燃焼させることがある。
そこで、WCの優れた熱電子放出性と、AgがWCと比較して大幅に高い蒸気圧特性を有していることを利用したAg−WC合金を用いた接点材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、高蒸気圧元素であるBiを多量に含有させたCu−Bi合金を用いた接点材料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、耐溶着性に対しては、Biを結晶粒境に偏析して析出させ、合金自体を脆化させて低い溶着引き外し力を実現した接点材料が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、Coを0〜3%含むAg−Cu−WC−Co合金を用いた接点材料が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、補助成分としてCoの代わりに同じFe族元素であるNiを少量利用したAg−WC−Ni合金を用いるものが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特開2006−228684号公報 (第3ページ、図1) 特公昭35−14974号公報 (第5ページ、第4図) 特開平4−206122号公報 (第3ページ、第1図) 特公昭41−12131号公報 (第4ページ、第1図) 特開平8−293233号公報 (第5ページ、図1)
上記の従来の接点材料を用いた真空遮断器においては、裁断特性(以下、低サージ性)と耐溶着性とを両立させた真空遮断器用接点材料が実現されていないという問題があり、改良が望まれていた。
特許文献1に記載されているAg−WC接点では、WCの高い熱電子放出性と、Agの高い蒸気圧特性によって低サージ性はある程度満たされている。しかしながら、過度にAgの選択的蒸発が起こった場合には、接点表面ではWCの露出が促進され、過度の温度上昇と接触抵抗上昇によって耐溶着性が不十分となる。
特許文献2に記載されているBiを10%程度多量に添加したCu−Bi接点では、Bi蒸気量が十分に供給されている間は低サージ性は維持されるものの、接点開閉の経過とともに表面相のBiが蒸発損失し低サージ性は低下する。また、耐電圧特性の劣化も指摘される。
特許文献3に記載されているBiを0.5%程度添加したCu−Bi接点では、耐溶着性は十分であるものの、低サージ性は期待できない。また、接点空間へ過度にBiが供給されるようになると耐電圧特性が著しく低下する。
特許文献4に記載されているAg−Cu−WC−Co接点では、優れた低サージ性を有しているが、導電率が低いため、十分に大きな電流を流すことができない。このため、接点表面層と内部とでAg量とCu量を変化させ、接点表面層では熱伝導性を低くし、接点全体では平均熱伝導性を高く維持させているものの、耐溶着性は改善されない。
特許文献5に記載されているAg−WC−Ni接点や前述のAg−Cu−WC−Co接点では、Ag、WCがそのままの形態で接点表面に存在しているので、Ag部分はAgが基本的性質として持っている柔らかさが原因となって、接点開閉によりミクロ領域における表面荒れを示し、接触抵抗特性に影響を及ぼすとともに、耐溶着性の低下に関与する。また、WC部分は開閉動作の進行により、接触抵抗特性、温度特性に影響を及ぼすとともに、低サージ性の不安定化に関与する。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、Agが有している上記欠点を減少させ、耐溶着性を改善するとともに、WCが持っている上記欠点も減少させ、耐溶着性と低サージ性とを両立させた真空遮断器用接点材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の真空遮断器用接点材料は、NiAgとNiWCとからなる真空遮断器用接点材料であって、前記NiWCを34.8〜67.0重量%とし、残部をNiAgとしたことを特徴とする。
本発明によれば、NiAgとNiWCとで接点材料を構成しているので、接点の開閉、遮断経過による接点の表面形態を改善でき、安定した低サージ性と耐溶着性とを備えたものにすることができる。
以下、本発明による真空遮断器用接点材料を具体的に説明する。
真空遮断器用接点材料の成分としては、NiAgとNiWCとからなる接点合金において、NiWCが34.8〜67.0重量%、残部がNiAgで構成され、該合金中のNiはNiWC化合物、NiAgとして存在し、それらの総Ni量を0.2〜2重量%、NiAg中のNi量を0.01(ゼロ含まず)〜0.1重量%とする。これにより、耐溶着性と低サージ性とを両立させることができる。
接点合金の製造では、固相焼結法、溶浸法のいずれも実施が可能である。固相焼結法の選択は溶浸法の選択よりも耐溶着性を一層改善する。溶浸法の選択は遮断特性の一層の向上に寄与する。合金中のNiは、局部的に偏在することなくNiWC化合物、NiAgとして存在することが好ましい。Niの局部的偏在は、耐溶着性と低サージ性の両立を阻害する。
接点合金の製造で使用するNi粉の粒子直径は0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmとし、WC粉の粒子直径は0.5〜15μm、好ましくは1〜6μmとする。そしてNiWC中のNiを均一に分布させることで、裁断電流値の分布のバラツキが少なくなり低サーシ性を一層安定させることができる。NiWC、NiAgの平均粒子直径の大きさが、上記数値の範囲外の時には、低サージ性と耐溶着性の両方に対して好ましくない。上記数値より小の時には、ガス吸着の問題などの製造技術上の問題が多い。上記数値より大の時には、接点面の激しい荒損、接触抵抗値の増大、裁断電流値のバラツキ幅の増大、過度に大きな溶着引き外し力の出現など耐溶着性の低下を招く。
このような接点材料において、先ず、NiAgの作用について説明する。
NiとAgでは溶融温度と硬さに大きな違いを持っているため、接点の開閉、遮断時のアークによって、Agの荒損が激しく起こる。NiとAgを複合化してNiAgとすることによって、開閉動作の進行で発生する接点表面のAg部分の荒損の進展を抑制することができる。NiとAgの複合化の形態は、稀薄のNiがAgの表面を包含する領域と、Agと極微量のNiが固溶状態にある領域とで形成される。ここで、極微量の程度とは、NiAgに対するNi量を0.01〜0.1重量%の範囲にすることである。
このような状態を得るには、例1として、スパッタ法、電子照射法などの物理的手段でAg粉表面に被覆したNiを熱処理によってAg内部に拡散させる方法(例1A)と、Ag粉とWC粉との混合粉あるいは成型体に対してNiを蒸着法、スパッタ法、電子照射法などで被覆し熱処理によってAgWC内部に拡散させる方法(例1B)とがある。
例1Aと例1Bとを比較すると、後述するNiWCと、例1Aで得たNiAgとを利用してNiAg−NiWC接点を製造する場合の方が、例1Bの方法よりも低サージ性のバラツキ幅が減少する利点を持つ。しかし、例1Bの方法のようにAg粉とWC粉との混合粉あるいは成型体を利用する場合では製造が簡便でコスト上の利点を持ち、本発明の実施では両者の選択が可能である。
例2として、酢酸Ni等の溶液中に前記Ag粉を浸漬させAg表面にNiを析出させた後、熱処理によってこのNiをAg内部に拡散させる化学的手段がある。
例3として、溶解法によって所定比率のNiとAgとを重量偏析しないような条件でNiAg合金溶融液とし、この合金溶液を噴霧状とし急速冷却し強制的に微細NiAg合金粉末とする方法がある。
NiAgに対する微量Ni量の制御は、例1、例2ではスパッタ時間や浸漬時間で行い、例3では溶解前の秤量比率の調整で行うことができる。
このようにして製造したNiAgを接点製造の原料として利用するとによって、Agを利用した時よりも安定した接触抵抗特性、温度特性を保ち、特にジュール熱による溶着発生を軽減させ耐溶着性を安定にする効果を発揮する。アークによる溶着発生に対しても耐溶着性の安定化効果を発揮する。更に、Niの存在はNiAgとNiWCとの間の濡れ性を改善する結果、適度に高い合金密度を得て耐電圧特性にも安定した特性を発揮する。
なお、本発明では、0.01重量%未満のNiが存在した場合をAgとし、0.01重量%以上のNiが存在した場合をNiAgとする。
本発明では、NiAgに対するNi量を0.01(ゼロ含まず)〜0.1重量%の範囲とすることによって、従来のAg−WC合金におけるAg部分の持つ表面Ag部分の荒損、Ag部分の軟らかさなどの欠点を改善することができる。
次に、NiWCについて説明する。
WCとNiWCとを比較した場合、WCは電流開閉あるいは遮断動作の経過によって、アークによる表面形態の幾何学的変化や、原料中に微量に残存している酸素との反応によるWC表面の酸化の進行でWC表面からの熱電子放出性に変化を生じ、低サージ性が低下する。また、微量酸素との反応によるWC表面酸化は、NiWCとNiAgとの複合化作業に際して、NiAgとの間の濡れ性を阻害し、NiWCとNiAgとの結び付きの強度の低下で健全なNiAg−NiWC接点合金の製造の支障となる。
しかしながら、NiWCでは、開閉動作の進行に伴うWC表面の微量酸化や表面形態の幾何学的変化を抑制し、低サージ性を安定化させることができる。NiとWCの複合化の形態は、稀薄のNiがWCの表面を包含する領域、極微量で微小Ni粒子がWC表面に固着した状態にある領域で形成する。
このような状態を得るには、例4として、スパッタ法、電子照射法などの物理的手段でNiをWC粉表面に被覆させ熱処理によってNiWC複合体とする方法(例4A)と、WC粉とAg粉とを混合した混合粉に対してNiが被覆されるように熱処理しNiWC複合体とする方法(例4B)がある。
例4Aと例4Bとを比較すると、例4Aで得たNiWCと、上述の例1Aで得たNiAgとを利用してNiAg−NiWC接点を製造する場合の方が、例4Bの方法よりも低サージ性のバラツキ幅が減少する利点を持つ。一方、例4Bの方法では製造が簡便でコスト上の利点を持ち、本発明の実施では両者の選択が可能である。
例5として、酢酸Ni等の金属塩溶液中にWC粉を浸漬させ、WC表面にNiを析出させる化学的手段がある。
例6として、溶融状態にあるNi蒸気をWC表面へ噴霧し、NiWC複合体の粉末とする。
例7として、真空溶解中のNi蒸気をWC粉の表面に照射しNiを被覆したり、固着させてNiWC複合体とする(例7A)。この場合もWC粉とAg粉との混合粉の表面に照射したNiを被覆したり、固着させてNiWC複合体とする(例7B)。
例8として、遊星型ボールミル機による7G(Gは重力の加速度)程度の高エネルギーでWC表面にNiを溶融被覆する機械的手段がある。
NiWCに対する微量Ni量の制御は、例4、例5ではスパッタ時間や浸漬時間で容易に制御できる。例6では噴霧時間の調整で制御する。例7では照射時間の調整で制御する。例8では回転速度、時間によって制御する。
このようにして製造したNiWCを接点製造の原料として利用することによって、Niの作用によりWC表面は酸化などに対して安定し、低サージ性を安定させることができる。本発明では、NiAgとNiWCの両者で接点が構成され、接点中の総Ni量を0.2〜2重量%とすることによって、耐溶着性と低サージ性とを両立させることができる。
次に、Ag−WC−Ni接点と、NiAg−NiWC接点との差異を説明する。
NiAg−NiWC接点では、NiAg中のNiとNiWC中のNiが両者間の濡れ性向上の作用を発揮し、両者の結合を補助する結果、接点内部の気孔の残存を抑制し安定した密度を持つ良質のNiAg−NiWC合金となる。その結果、遮断特性、耐電圧特性を維持した上で、低サージ性と耐溶着性の両立を得ることができる。
導電性成分において、AgをNiAgとすることは、遮断時のアークによりAg表面が受ける荒損を軽減し、接触抵抗特性などの安定化に有益となる。耐弧性成分において、WCをNiWCとすることは、Niの存在によってWCは微量の残存酸素との反応による汚染被膜の生成を抑制し、長期に亘り熱電子放出性に対して安定した状態を保つ結果、変動の少ない裁断電流値を示す。
次に、NiAg−NiWC接点を搭載する真空バルブの説明をする。
図1に示すように、遮断室1は絶縁材料により円筒状に形成された絶縁容器2と、この両端に環状の封止金具3a、3bを介して設けた金属製の蓋体4a、4bとで真空蜜に構成されている。
遮断室1内には、互いの通電軸5、6の対向する端部に取り付けられた一対の電極7、8が配設され、上部の電極7を固定電極、下部の電極8を可動電極としている。通電軸6には、伸縮自在のベローズ9が取り付けられ、遮断室1内を真空に保持しながら電極8の軸方向の移動を可能にしている。ベローズ9の上部には、金属製のアークシールド10が設けられ、ベローズ9が遮断時のアークによる金属蒸気で覆われることを防止している。また、電極7、8を覆うように遮断室1内に金属製の筒状のアークシールド11が設けられ、絶縁容器2内面がアーク蒸気で覆われるのを防止している。更に、可動側の電極8は、図2に示すように、通電軸6にろう付け部12によって固定されるか、かしめによって圧着接続される。接点13aは、電極8にろう付け部14により取り付けられる。固定側においても可動側と同様である。
次に、接点の製造方法を説明する。
NiAgに対して、先ず必要とするNi量を決定した後、原料とするNiAgを、例1〜例3の方法のいずれかで調製する。次に、NiWCに対しても必要とするNi量を決定し、原料とするNiWCを、例4〜例8の方法のいずれかで調製する。
(接点の製造方法1)
NiAg粉を4kg、NiWCを6kg秤量し均一に混合後、4トン/cmで成型した成型体を真空中950℃で3時間の焼結を行いNiAg−NiWC接点を製造する。合金中のNiAg量は、秤量時の比率で調整する。必要により焼結後の接点に対して再度の加圧成型を行ったり、焼結温度、時間を制御して密度の調整を行うことも可能である。
(接点の製造方法2)
Ag粉を4kg、WCを6kg秤量し均一に混合後、4トン/cmで成型した成型体の表面にNi蒸気を供給しながら、真空中950℃で3時間の焼結を行いNiAg−NiWC接点を製造する。合金中のNiAg量は、秤量時の比率で調整する。必要により焼結後の接点に対して再度の加圧成型を行ったり、焼結温度、時間を制御して密度の調整してもよい。
(接点の製造方法3)
NiWC粉を1.5トン/cmで成型した成型体を、1150℃で1時間の仮焼結を行って製造した仮焼結体中の空孔中に、1080℃でNiAgを溶浸させ、NiAg−NiWC接点を製造する。合金中のNiAg量は、成型体を得る時の成型圧力、焼結体を得る時の焼結温度で調整する。
(接点の製造方法4)
初めから目標比率のNiAg粉とNiWC粉とを秤量し混合体を得て、この混合体を成型圧4トン/cmで成型して得た成型体を、NiAg粉の溶融温度直下の温度、例えば940℃で仮焼結し、次いでこの仮焼結体を7トン/cmの圧力で再加圧の後、NiAgの溶融温度直上の温度、例えば990℃で再焼結してNiAg−NiWC接点を製造する。NiAg量の調整は、最初の秤量によって選択する。密度の調整は仮焼結、再焼結時の温度の選択、仮焼結、再焼結前の成型圧力の選択によって行うことができる。
NiAgを前述した例1Aの方法でAg粉表面にNiを被覆した後、そのNiを熱処理によってAg内部に拡散させ、NiAgを準備するとともに、前述した例6の方法で溶融状態にあるNi蒸気をWC表面へ噴霧し、NiWC複合粉末を準備する。このNiAgとNiWCとを混合機で所定比率(30.5重量%〜75.1重量%)で均一に混合した後、6トン/cmで成型を行うとともに、真空中において950℃で焼結し、NiAg−NiWC接点を製造した。
なお、参考例1として、所定量のAg、WC、Coを均一に混合し、4トン/cmで成型後、940℃で焼結し、Ag−WC−Co接点を製造した。また、参考例2として、所定量のAg、WC、Niを均一に混合し、4トン/cmで成型後、940℃で焼結し、Ag−WC−Ni接点を製造した。
このように製造した接点を10−3Pa以下に排気した真空バルブに組み込み低サージ性と耐溶着性を評価した。低サージ性は、開極速度0.8m/秒で50Hz、20A(実効値)の電流を500回遮断した時の裁断電流値を測定した。接点数3個について平均値および最大値を測定した。なお、実施例2の裁断電流値の平均値を基準の[B1]とし、表1の基準に従って相対比較した。
また、耐溶着性は、直径15mmで一方の表面を曲率100mm、他方の表面を平板状に加工した接点を10−3Pa以下に排気した組み立て式の真空バルブに装着配置し、両接点間に1kAの電流を通電し接点間に溶着を発生させた後、軸方向に引離す時の溶着引き離し力を測定した。測定結果は、10組の接点について測定した。なお、実施例2の溶着引き離し力を基準の[a1]とし、表2の基準に従って相対比較した。
Figure 2009087746
Figure 2009087746
NiAg−NiWC接点の条件とその評価結果を表3に示す。
Figure 2009087746
(参考例1、2)
両者とも低サージ性については、評価B3、B2であり合格であるが、耐溶着性が評価y、x〜yであり不合格である。顕微鏡調査の結果、CoまたはNiの分散が十分に制御されていなかった。
(実施例1〜4、比較例1、2)
接点中のNiWC量が30.5重量%では、低サージ性が評価A〜B2で合格であったものの、耐溶着性が評価b3〜xでありバラツキが見られ、低サージ性と耐溶着性の両立が得られず不合格である(比較例1)。
これに対して、接点中のNiWC量が34.8〜67.0重量%の範囲では、低サージ性が評価B1〜B2、評価B1、評価B2であり、耐溶着性も評価a1〜a2、評価a1、評価b2〜b3、評価b3であり、低サージ性と耐溶着性の両立が得られた(実施例1〜4)。
評価後の接点表面のEPMA観察(走査型電子顕微鏡)によれば、評価後の接点表面は過度の荒損もなく、また微量Niが接点表面に均一に分散し安定した表面状態を示していた(実施例1〜4)。
しかし、接点中のNiWC量が75.1重量%では、低サージ性は一部に合格の評価B2があったり、一部に不合格の評価Yがあり、バラツキが大である。更に、耐溶着性も評価x〜zであり、低サージ性と耐溶着性の両立が得られなかった。その上、NiWC量の増大によって接点材料としての導電率の低下が大きく、遮断時に過度の温度上昇、接触抵抗値の増加が見られ遮断性能の低下がある(比較例2)。
なお、製造プロセス上で経済性に優れる例1Bに示した方法で製造した混合粉を原料として使用してNiAg−NiWC接点とした場合では、低サージ性において、実施例1の評価B1〜B2は評価B2〜B3に、実施例2の評価B1は評価B1〜B2に、実施例3の評価B2は評価B2〜B3に、実施例4の評価B2は評価B2〜B3になり、バラツキ幅が僅かに拡大の傾向にあった。しかしながら、いずれも合格の範囲にあり、耐溶着性も良好であった。
(実施例5〜9、比較例3〜5)
NiAg−NiWC接点中の総Ni量が0.1重量%では、低サージ性は良好の評価B2であるが、耐溶着性がb2〜xであり、低サージ性と耐溶着性の両立が得られなかった(比較例3)。これは、NiAgとNiWCとの間の濡れ性の改善効果が低く、NiAg−NiWC合金として十分な密度が得られないとともに気孔が残存し易いためと考えられる。このような状態になると、遮断特性にも好ましくない影響を与える。総Ni量が0.1重量%未満でも、同じ傾向である。
これに対して、NiAg−NiWC接点中の総Ni量が0.2〜2重量%では、低サージ性は良好の評価B2、評価B1〜B2、評価A〜B1であるとともに、耐溶着性も評価b2〜a2、評価a1〜a2、評価b1〜a2、評価b2、評価b2〜b3であり、いずれも合格の範囲であり、低サージ性と耐溶着性の両立が得られた(実施例5〜9)。
しかし、NiAg−NiWC接点中の総Ni量が2.4重量%と3.5重量%では、純Niは顕微鏡組織的には、接点中の主としてNiAgとNiWCとの界面に存在し、遮断後の接触面内に純Niの存在が認められた。その結果、低サージ性は評価B1から評価Xまで広いバラツキを示す上、耐溶着性も評価b3から評価zで低下した(比較例4、5)。
(実施例10〜13、比較例6〜8)
NiAgとNiWCで構成される接点中のNiAg中のNi量は、所定値以上添加すると接点面に純Niの偏析が見られるようになり、接触面の荒損を招くなどによって接触抵抗特性、温度上昇特性に影響を与え、低サージ性と耐溶着性の両立を阻害する。NiAg中のNi量が0.01重量%未満では、低サージ性にバラツキが発生し、評価B2〜Yであるとともに、耐溶着性も評価yであり、低サージ性と耐溶着性の両立は得られない(比較例6)。
これに対して、NiAg中のNi量が0.01〜0.1重量%では、低サージ性が良好の評価B2、評価B1〜B2であるとともに、耐溶着性も良好の評価b2〜b3、評価a1〜a2、評価a2〜a3、評価b2〜b3であり、いずれも合格の範囲であり、低サージ性と耐溶着性の両立が得られた(実施例10〜13)。
しかし、NiAg中のNi量が0.2重量%と0.3重量%では、耐溶着性の低下が大きく評価x、評価yを示し、低サージ性と耐溶着性の両立は得られず好ましくない(比較例7〜8)。
上記実施例の真空遮断器用接点材料によれば、NiAgとNiWCとで接点を構成しているので、安定した低サージ性と耐溶着性とを得ることができる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。上記実施例では、真空遮断器に用いられる接点材料について説明したが、空気を遮断媒体とした気中遮断器に用いられる接点材料にも用いることができる。
本発明の実施例に係る真空バルブの構成を示す断面図。 本発明の実施例に係る真空バルブの可動側接点を示す拡大断面図。
符号の説明
1 遮断室
2 絶縁容器
3a、3b 封止金具
4a、4b 蓋体
5、6 通電軸
7、8 電極
9 ベローズ
10、11 アークシールド
12、14 ろう付け部
13a、13b 接点

Claims (3)

  1. NiAgとNiWCとからなる真空遮断器用接点材料であって、
    前記NiWCを34.8〜67.0重量%とし、
    残部をNiAgとしたことを特徴とする真空遮断器用接点材料。
  2. 前記NiAgと前記NiWCに含有されるNiは、NiWC化合物とNiAgとして存在し、その総Ni量を0.2〜2重量%としたことを特徴とする請求項1に記載の真空遮断器用接点材料。
  3. 前記NiAg中のNi量を0.01〜0.1重量%としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空遮断器用接点材料。
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