JP2002208335A - 真空バルブ用接点及びその製造方法 - Google Patents

真空バルブ用接点及びその製造方法

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JP2002208335A
JP2002208335A JP2001000505A JP2001000505A JP2002208335A JP 2002208335 A JP2002208335 A JP 2002208335A JP 2001000505 A JP2001000505 A JP 2001000505A JP 2001000505 A JP2001000505 A JP 2001000505A JP 2002208335 A JP2002208335 A JP 2002208335A
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Takefumi Ito
武文 伊藤
Shoji Murakami
省自 村上
Norio Suga
則雄 菅
Takakazu Harada
貴和 原田
Koichi Inagaki
宏一 稲垣
Kenichi Koyama
健一 小山
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遮断特性に優れ、且つ一層優れた裁断特性を
持つ真空バルブ用接点と、この接点を得るための製造方
法を提供することを目的とする。 【解決手段】 Ag、WCおよびCoから実質上なる真空バル
ブ用接点であって、前記接点の表層部のAg量は内部より
も5〜30%少なく、前記接点の表層部のCo量は内部より
も5〜30%少なく、前記接点の内部は25〜40重量%のA
g、0.05〜30重量%のCo、残部がWCであり、且つCoの平
均粒径が0.1〜10μmおよびWCの平均粒径が0.1〜8μm
であることを特徴とする真空バルブ用接点。さらにその
製造方法は、Ag−WC−Co合金を得る第1工程と、前記第
1工程で得られたAg−WC−Co合金に真空中放電を印加す
る第2工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空遮断器等に使
用される真空バルブ用接点およびその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、例えば電気書院発行の「真空開
閉器具と適用の実際」に示された真空遮断器に搭載され
る代表的な真空バルブの断面図である。図4において、1
は遮断室、2は絶縁容器、3aと3bは封止金具、4aと4b金
属製蓋、5は固定電極棒、6は可動電極棒、7は固定電
極、8は可動電極、9は固定接点、10は可動接点、11はベ
ローズ、12はベローズ用アークシールド、13は絶縁容器
用アークシールドである。
【0003】図4に示す構成の真空バルブにおいて、遮
断室1は円筒状に形成された絶縁材料製の絶縁容器2と、
この両端に封止金具3a、3bを介して設けた金属製蓋4a、
4bとで構成され、真空気密となっている。遮断室1内の
固定電極棒5と可動電極棒6の端部には、固定電極7と可
動電極8が対向するようにろう付けにより取り付けられ
ている。固定接点9は固定電極7に、また可動接点10は可
動電極8にろう付けにより取り付けられている。可動電
極棒6にはベローズ11が取り付けられ、遮断室1内を真空
気密に保持しながら、可動電極8の軸方向の移動を可能
にしている。
【0004】ベローズ11の上部には金属製のベローズ用
アークシールド12が設けられている。ベローズ用アーク
シールド12は、発弧域より発生した金属蒸気がベローズ
11に付着することを防止している。また、固定側電極7
と可動電極8を覆うように、遮断室1内に金属製の絶縁容
器用アークシールド13が設けられ、これにより発弧域よ
り発生する金属蒸気が絶縁容器2の内面に付着すること
を防止している。この真空バルブの開閉操作は、図示し
ない駆動機構に連結された可動電極棒6を介して行われ
る。
【0005】この真空バルブを搭載した真空遮断器は、
負荷電流を遮断する時に異常サージが発生し、負荷機器
を破壊する恐れがある。この異常サージの発生原因の一
つとして、小電流遮断時に電流がその零点前に強制的に
遮断されてしまう電流裁断現象が上げられる。
【0006】従来、この異常サージを低く抑える為に裁
断電流値が小さい真空バルブ用接点材料が用いられ、Ag
−WC合金(例えば特公昭53−6710号公報)が実用化され
ている。また、Ag−Cu−WC合金(例えば特開昭58−1570
15号公報)が提案されている。しかし、近年の真空遮断
器の大容量化と小型化の要求に伴い、一層優れた裁断特
性で、且つ遮断特性に優れた真空バルブ用接点材料が求
められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のAg−WC系合金の
裁断電流値は、バラツキを含めて最大2A程度と高く、大
容量化の要求に対して不十分であった。裁断電流値が高
い原因の一つとして、導電成分や耐弧成分の分布が不均
一であること等が考えられている。また、Ag−Cu−WC合
金は多数回開閉した時の最大裁断特性が不安定であっ
た。本発明は、上記のような問題点を解消するためにな
されたもので、その目的は、Ag-WC-Co合金特有の遮断特
性を維持しながら、極めて優れた裁断特性を得ることの
できる真空バルブ用接点およびその製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、Ag、
WCおよびCoから実質上なる真空バルブ用接点であって、
前記接点の表層部のAg量は内部よりも5〜30%少なく、
前記接点の表層部のCo量は内部よりも5〜30%少なく、
前記接点の内部は25〜40重量%のAg、0.05〜30重量%の
Co、残部がWCであり、且つCoの平均粒径が0.1〜10μm
およびWCの平均粒径が0.1〜8μmであることを特徴とす
る真空バルブ用接点である。請求項2の発明は、前記表
層部とは、表面から1〜100μmであり、前記表層部はマ
トリックスがAgであり、平均粒径8μm以下のWCと、平
均粒径1μm以下のCoと、平均粒径1μm以下のWC−Coと
から構成されることを特徴とする請求項1に記載の真空
バルブ用接点である。請求項3の発明は、前記表層部の
表面積が、接点の表面積の70%以上を占めることを特徴
とする請求項1または2に記載の真空バルブ用接点であ
る。請求項4の発明は、Ag−WC−Co合金を得る第1工程
と、前記第1工程で得られたAg−WC−Co合金に真空中放
電を印加する第2工程とを有することを特徴とする真空
バルブ用接点の製造方法である。請求項5の発明は、前
記真空中放電がアーク放電であることを特徴とする請求
項4に記載の真空バルブ用接点の製造方法である。請求
項6の発明は、アーク放電が、直流電流10〜300A、印加
時間0.1〜1秒、印加回数2回以上で行うことを特徴とす
る請求項5に記載の真空バルブ用接点の製造方法であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】実施の形態1.ここでは、Ag-WC-
Co合金を得る第1工程と、その合金の接点表面に特定の
表層部を得る第2工程により、本発明の接点を得た一実
施例について説明する。先ず、Ag-WC-Co合金を得る第1
工程について述べる。ここでは、Ag-WC-Co合金の代表的
な製造方法である溶浸法で製造した例について説明す
る。平均粒径0.1〜8μm、純度99%以上のWC粉と、平均
粒径0.1〜10μmで、純度99%以上のCo粉を準備した。
これらの粉末を所定の組成となるように秤量した後、混
合機で混合しWC粉とCo粉の混合粉を得た。なお、後工程
でWC-Coの仮焼結体にAgを溶浸するが、その際のAgの溶
浸性を向上するために、WCとCoの混合粉に適量のAg粉を
加えてもよい。また、各粉末の純度は99%以上が好まし
い。さらに、Co粉は混合と焼結の条件設定により細粒化
させることも可能なので、400メッシュ(37μm以下)
の篩いを通過する粉末を使用してもよい。
【0010】次に、この混合粉の流動性を向上するため
に、所定量の結合剤を添加して、再び混合し、乾燥と篩
い掛けを行って造粒粉を得た。続いて、造粒粉を秤量し
て所定の金型に充填し、任意の圧力で加圧して圧粉体を
得た。圧力は作製する各組成(25〜40重量%のAg)に適
した圧力を選定した。ここでは1〜8tonf/cm2で行っ
た。
【0011】これらの圧粉体を水素炉の中に入れ、水素
中で所定の温度と時間で熱処理を施し仮焼結体を得た。
仮焼結体を得る条件は、先ず結合剤を熱分解させるため
に900℃で1時間の予備焼結を行い、次に温度900〜1300
℃、1時間で仮焼結を行った。そして、仮焼結体の上に
所定量のAgを配置し、再び水素炉に入れて水素中で熱処
理を行い、仮焼結体に残存する空孔中にAgを溶浸し、25
〜40重量%のAg、平均粒径0.1〜10μmで0.05〜30重量
%のCo、残部が平均粒径0.1〜8μmのWCであるAg-WC-Co
合金を得た。溶浸の条件は温度1150〜1300℃、2時間で
行った。得られたAg-WC-Co合金は、機械加工により所定
の接点形状に仕上げた。
【0012】前記は、Ag-WC-Co合金を得る第1工程とし
て、水素中でWC-Coの仮焼結体を得て、その後同雰囲気
で仮焼結体にAgを溶浸する方法(溶浸法)について述べ
たものである。なお、仮焼結体の焼結やAgの溶浸は水素
中の他に真空中でも可能である。第1工程は溶浸法以外
に、混合粉末を加熱しながら加圧して焼結体を得るホッ
トプレス法やHIP法、真空中やガス雰囲気で溶解する溶
解法、真空中や不活性雰囲気中で電流を通電して焼結す
る放電プラズマ焼結法等で、健全なAg-WC-Co合金が得ら
れる方法であればよい。なお、製造した接点の相対密度
比((接点密度/接点の理論密度)×100)は95%以上
にすることが好ましい。
【0013】次に、第2工程である真空中で接点表面に
アーク放電を印加して特定の表層部を得た実施例につい
て述べる。得られた各Ag-WC-Co合金の接点を図4に示し
た真空バルブ内に組み込み、直流50〜300A、印加時間
0.1〜0.5秒、接点間距離5〜10mmで極性を変えてアーク
を5回以上印加した。この条件で、固定側と可動側の接
点表面に、マトリックスがAgで、平均粒径8μm以下のW
Cと、平均粒径1μm以下のCo並びに、平均粒径1μm以
下のWC−Coとで構成され、Ag量は内部よりも5〜30%少
なく、更にCo量は内部よりも5〜30%少ない厚さ1〜100
μmの表層部を得た。
【0014】この表層部は機械加工後の接点表面にアー
ク放電を印加することで、接点表面がアークの熱で急激
に高温に晒された結果、部分的にAgに富む領域が瞬時に
溶融・蒸発して、この領域が無くなり、さらにAg量とCo
量が内部よりも少なくなる。そして、Agの溶融・蒸発の
後にWCとCoが溶融し、その後の急冷効果でWC、Co及びWC
-CoがAg中に微細に且つ均一に分散することによって得
ることができる。
【0015】直流電流10〜300A、印加時間0.1〜1秒、印
加回数は2回以上と限定した理由は、例えば直流電流5
A、印加時間0.05秒、印加回数1回では、本発明の表層部
が得られない。一方、直流電流400A、印加時間2秒で、
印加回数を2回以上実施した場合では、真空バルブ内の
壁面が汚損されて耐圧性の低下を招く。
【0016】なお、実施の形態1.ではAg-WC-Co合金につ
いて表層部を得た場合について述べたが、本発明の第2
工程は主体がAg-WC系合金であれば適用することができ
る。例えば、導電成分のAgにCuを加えたもの、焼結助材
のCoの替わりにFe或いはNi、又はそれらを混合して加え
たもの、さらに耐溶着性や遮断特性を向上させるために
Bi、Te、Pb、Se、Ta、Cr等が添加されたものでもよい。
【0017】図1は本発明の接点表面近傍の拡大断面図
である。図1において、真空中のアーク放電により得ら
れた表層部14には、マトリックスのAg相15に、WC相16
と直径1μm以下の微細なCo相17並びにWC-Co相18が分
散している。表層部14の直下には内部組織19がある。内
部組織19はマトリックスがAgで、部分的にAgに富む領域
20がある。また、原料形状を反映したWC相21とCo相22が
ある。
【0018】実施の形態2.ここでは、実施の形態1.で
述べた製造方法により作製したAg-WC-Co合金について、
裁断特性と必要に応じて遮断特性を評価した一実施例に
ついて説明する。各接点の裁断特性の評価は、真空バル
ブに組み込こんだ状態で行った。図2は真空バルブ内の
電極部分の拡大断面図を示す。図2において、固定電極
棒5と可動電極棒6の端部には、固定電極7と可動電極8が
対向するようにろう付け等により取り付けられている。
固定接点9は固定電極7に、また可動接点10は可動電極8
にろう付けにより取り付けられている。対向する固定接
点9と可動接点10の表面には、直径8μm以下のWC相、直
径1μm以下のCo相並びにWC-Co相が分散した表層部14が
設けられている。電極の開閉操作は、図示しない駆動機
構に連結された可動電極棒6を介して行われる。
【0019】裁断特性は、周波数60Hzで交流20Aピーク
時に1m/secの速度で開極し、電流が零点になる前に切
れた時の電流値(裁断電流値)を測定し評価した。遮断
特性は必要に応じて行い、7.2kV-12.5kAの電力を投入し
て遮断の合否について評価した。表1は各Ag-WC-Co接点
材の性能評価を行った結果である。
【0020】
【表1】
【0021】本発明者らがAg−WC−Co合金について検討
した結果、(1)Ag量の減少に伴い裁断特性と遮断特性
は向上する傾向がある。(2)Co量の増加に伴い遮断特
性は向上し、逆にCo量の減少に伴い裁断特性は向上する
傾向がある。(3)WC粒径が大きくなるに伴い裁断電流
値は向上する傾向があり、遮断性能は最適な粒径範囲が
あることを突き止めた。これらの結果から、Ag量、Co
量、(WC量)並びにCo粒径、WC粒径について適切な組み
合わせを選択することで、従来のAg-WC合金に比べて優
れた裁断特性と遮断特性が確保される。即ち、主体とな
るAg−WC−Co合金接点は、主に25〜40重量%のAg、0.05
〜30重量%のCo、残部がWCで、さらにCo相の平均粒径は
0.1〜10μm、WC相の平均粒径は0.1〜8μmである。
【0022】先ず、Ag-WC-Co合金の表層部の効果につい
て述べる。比較例No.21とNo.22は表層部を設けていない
Ag-WC-Co合金、さらに比較例No.23は従来のAg-WC合金で
ある。一方、実施例No.3とNo.4は、本発明であるAg-WC-
Co合金に表層部を設けた場合である。比較例No.21とNo.
22は遮断特性は合格しているが、裁断電流値は0.5〜2.0
Aと実施例に比べて裁断電流値が高く、バラツキも大き
かった。また、比較例No.23は裁断電流値が0.5〜2.2Aと
高く、遮断特性は不合格であった。これに対し、実施例
No.3とNo.4は、裁断電流値が0.4〜1.3A示し、遮断特性
も合格であった。このことから、優れた遮断特性を維持
しながら裁断特性を一層向上させる効果あることがわか
る。
【0023】次に、Ag-WC-Co合金のAg量の効果について
述べる。比較例No.24とNo.25は、Ag量が請求項1の範囲
外のAg-WC-Co合金に、請求項1の範囲内の表層部を設け
た場合である。一方、実施例No.1〜No.5は、本発明であ
るAg量が25〜40重量%のAg-WC-Co合金に表層部を設けた
場合である。比較例No.24はAg量が25重量%未満の場合
で、裁断電流値は0.2〜0.8Aを得たが、遮断試験は不合
格で、遮断試験後の接点に割れを生じた。比較例No.25
は Ag量が40重量%を越える場合で、裁断電流値は1.3〜
2.2Aと高く、しかも遮断特性は不合格であった。これに
対し、実施例No.1〜No.5は、裁断電流値0.3〜1.5Aを示
し、遮断特性は全て合格であった。このことから、裁断
特性と遮断特性を兼備するAg量の範囲として25〜40重量
%と限定している。さらに、裁断特性と遮断特性の安定
性を重視するとAg量は27〜35重量%が好ましい範囲であ
る。
【0024】次に、Ag-WC-Co合金のCo量の効果について
述べる。比較例No.26とNo.27は、Co量が請求項1の範囲
外のAg-WC-Co合金に、請求項1の範囲内の表層部を設け
た場合である。一方、実施例No.3とNo.6〜No.10は、本
発明であるCo量が0.05〜30重量%のAg-WC-Co合金に表層
部を設けた場合である。比較例No.26は、Co量が0.05重
量%未満の場合(ここではCo量含有無し)で、裁断電流
値は0.4〜1.8Aを得たが、遮断試験は不合格であった。
また、比較例No.27は、Co量が30重量%を越える場合
で、裁断電流値が1.5〜2.0Aと高く、遮断試験は不合格
であった。これに対し、実施例No.6〜No.10は、裁断電
流値は0.4〜1.5Aで優れた裁断特性を示した。このこと
から、Co量を0.05〜30重量%と限定している。さらに、
裁断電流値を1A程度とするためには、Co量が0.1〜15重
量%が好ましい。
【0025】次に、Ag-WC-Co合金のCo相の粒径の効果に
ついて述べる。比較例No.28は、Co相の平均粒径が請求
範囲外のAg-WC-Co合金に、請求項1の範囲内の表層部を
設けた場合である。一方、実施例No.3とNo.11〜No.13
は、本発明であるCo相の平均粒径が0.1〜10μmのAg-WC-
Co合金に表層部を設けた場合である。比較例No.28は、C
o相の平均粒径が10μmを越える場合で、裁断電流値は0.
5〜1.8Aを得たが、バラツキが大きかった。これに対
し、実施例No.3とNo.11〜No.13は、裁断電流値が0.4〜
1.1Aを示し、比較例に比べてバラツキが少ない優れた裁
断特性を示した。これより、Co相の平均粒径を10μm以
下としている。なお、Co相の平均粒径の下限を0.1μm迄
としたのは、0.1μm未満の微細粉末は原料として十分な
量を回収することが難しいために限定している。
【0026】次に、Ag-WC-Co合金のWC相の粒径の効果に
ついて述べる。比較例No.29は、WC相の平均粒径が請求
項1の範囲外のAg-WC-Co合金に、請求項1の範囲内の表
層部を設けた場合である。一方、実施例No.3とNo.14〜N
o.17は、本発明であるWC相の平均粒径が0.1〜8μmのAg-
WC-Co合金に表層を設けた場合である。比較例No.29は、
WC相の平均粒径が8μmを越える場合で、裁断電流値は0.
4〜1.8Aを得たが、遮断特性は不合格であった。これに
対し、実施例No.3とNo.14〜No.17は、裁断電流値が0.4
〜1.2Aを示し、比較例に比べてバラツキが少なく優れた
裁断特性を示した。これより、WC相の平均粒径を8μm以
下としている。なお、WC相の平均粒径の下限を0.1μm迄
としたのは、0.1μm未満の微細粉末は原料として十分な
量を回収することが難しいために限定している。
【0027】次に、表層部のAg量とCo量及び表層部の厚
さの効果について述べる。実施例No.3、No.18及びNo.19
は、表層部のAg量とCo量並びに厚さが請求項1の範囲内
の場合のもので、裁断電流値は0.4〜1.2Aを示した。こ
れに対し、比較例No.30は、実施例と同じAg-WC-Co合金
を用いて、表層部のAg量が内部よりも2%少なく、更にC
o量は内部よりも3%少ない場合である。裁断電流値は
0.5〜1.8Aで、比較例No.21の表層を設けない場合と同様
の裁断特性で、向上効果が見られない。また、この時の
表層の厚さは1μm未満となり、おのずと厚さが限定さ
れる。さらにWCとWC-Coの微細効果が少なく、均一な分
散が得られない。一方、比較例No.31はAg量は内部より
も33%少なく、更にCo量は内部よりも42%少ない場合で
は、裁断電流値は0.3〜1.5Aでバラツキが大きくなっ
た。また、この時の表層の厚さは100μmを越え、内壁
が金属蒸気により著しく汚損された。これらの結果か
ら、裁断特性の向上効果を発揮させるために、表層のAg
量は内部よりも5〜30%少なく、更にCo量は内部よりも5
〜30%少なくし、表層の厚さは表面から1〜100μmに限
定している。
【0028】次は、表層の表面積の効果について述べ
る。実施例No.3とNo.20は、接点の表面積に対して表層
部の表面積が70%以上を占める場合で、裁断電流値は0.
4〜1.1Aを示し良好であった。これに対し、比較例No.32
は表層部の表面積が60%の場合で、裁断電流値0.5〜1.8
Aを示し、裁断特性の向上は乏しかった。この結果か
ら、裁断特性を向上させるために表層部の表面積は70%
以上とするのが好ましい。
【0029】図3は接点表面に占める表層部を示した図
である。図3において、上方から見た場合のAg-WC-Co合
金接点23に、接点の表面積の70%以上を占める表層部24
がある。
【0030】
【発明の効果】請求項1の発明は、Ag、WCおよびCoから
実質上なる真空バルブ用接点であって、前記接点の表層
部のAg量は内部よりも5〜30%少なく、前記接点の表層
部のCo量は内部よりも5〜30%少なく、前記接点の内部
は25〜40重量%のAg、0.05〜30重量%のCo、残部がWCで
あり、且つCoの平均粒径が0.1〜10μmおよびWCの平均
粒径が0.1〜8μmであることを特徴とする真空バルブ用
接点であるので、Ag-WC-Co合金特有の遮断特性を維持し
ながら、極めて優れた裁断特性を得ることのできる真空
バルブ用接点が提供される。
【0031】請求項2の発明は、前記表層部とは、表面
から1〜100μmであり、前記表層部はマトリックスがAg
であり、平均粒径8μm以下のWCと、平均粒径1μm以下
のCoと、平均粒径1μm以下のWC−Coとから構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の真空バルブ用接点で
あるので、Ag-WC-Co合金特有の遮断特性を維持しなが
ら、極めて優れた裁断特性を得ることのできる真空バル
ブ用接点が提供される。
【0032】請求項3の発明は、前記表層部の表面積
が、接点の表面積の70%以上を占めることを特徴とする
請求項1または2に記載の真空バルブ用接点であるの
で、一層優れた裁断特性を得ることができる。
【0033】請求項4の発明は、Ag−WC−Co合金を得る
第1工程と、前記第1工程で得られたAg−WC−Co合金に
真空中放電を印加する第2工程とを有することを特徴と
する真空バルブ用接点の製造方法であるので、Ag-WC-Co
合金特有の遮断特性を維持しながら、極めて優れた裁断
特性を得ることのできる真空バルブ用接点を製造するこ
とができる。
【0034】請求項5の発明は、前記真空中放電がアー
ク放電であることを特徴とする請求項4に記載の真空バ
ルブ用接点の製造方法であるので、請求項1で規定する
表層部を確実に良好に得ることができる。
【0035】請求項6の発明は、アーク放電が、直流電
流10〜300A、印加時間0.1〜1秒、印加回数2回以上で行
うことを特徴とする請求項5に記載の真空バルブ用接点
の製造方法であるので、請求項1で規定する表層部を確
実に良好に得ることができるとともに、真空バルブ内の
壁面が汚損されて耐圧性が低下することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の接点表面近傍の構成を説明す
るための断面図である。
【図2】 実施の形態2の電極部分の構成を説明するた
めの断面図である。
【図3】 実施の形態2の接点表面に占める表層部を説
明するための図である。
【図4】 従来の技術の真空バルブの構成を説明するた
めの断面図である。
【符号の説明】
1 遮断室、2 絶縁容器、3aおよび3b 封止金具、4
aおよび4b 金属製蓋、5 固定電極棒、6 可動電極
棒、7 固定電極、8 可動電極、9 固定接点、10 可
動接点、11 ベローズ、12 ベローズ用アークシール
ド、13 絶縁容器用アークシールド、14 表層部、15
表層部のAg相、16 表層部のWC相、17 表層部のCo相、
18 表層部のWC-Co相、19 内部組織、20 内部のAgに
富む領域、21内部のWC相、22 内部のCo相、23 Ag-WC-
Co合金接点、24 表層部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01H 1/02 H01H 1/02 F Z (72)発明者 菅 則雄 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 原田 貴和 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 稲垣 宏一 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 小山 健一 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 4K018 AD03 BA01 BA04 BA11 FA35 KA35 5G026 BA03 BB04 BB10 BB12 BC04 BC09 5G050 AA01 AA07 AA11 AA51 BA01 BA12 CA01 DA03 EA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ag、WCおよびCoから実質上なる真空バル
    ブ用接点であって、前記接点の表層部のAg量は内部より
    も5〜30%少なく、前記接点の表層部のCo量は内部より
    も5〜30%少なく、前記接点の内部は25〜40重量%のA
    g、0.05〜30重量%のCo、残部がWCであり、且つCoの平
    均粒径が0.1〜10μmおよびWCの平均粒径が0.1〜8μm
    であることを特徴とする真空バルブ用接点。
  2. 【請求項2】 前記表層部とは、表面から1〜100μmで
    あり、前記表層部はマトリックスがAgであり、平均粒径
    8μm以下のWCと、平均粒径1μm以下のCoと、平均粒径
    1μm以下のWC−Coとから構成されることを特徴とする
    請求項1に記載の真空バルブ用接点。
  3. 【請求項3】 前記表層部の表面積が、接点の表面積の
    70%以上を占めることを特徴とする請求項1または2に
    記載の真空バルブ用接点。
  4. 【請求項4】 Ag−WC−Co合金を得る第1工程と、前記
    第1工程で得られたAg−WC−Co合金に真空中放電を印加
    する第2工程とを有することを特徴とする真空バルブ用
    接点の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記真空中放電がアーク放電であること
    を特徴とする請求項4に記載の真空バルブ用接点の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 アーク放電が、直流電流10〜300A、印加
    時間0.1〜1秒、印加回数2回以上で行うことを特徴とす
    る請求項5に記載の真空バルブ用接点の製造方法。
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