JPH0682532B2 - 真空バルブ用接点合金の製造方法 - Google Patents

真空バルブ用接点合金の製造方法

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JPH0682532B2
JPH0682532B2 JP29929586A JP29929586A JPH0682532B2 JP H0682532 B2 JPH0682532 B2 JP H0682532B2 JP 29929586 A JP29929586 A JP 29929586A JP 29929586 A JP29929586 A JP 29929586A JP H0682532 B2 JPH0682532 B2 JP H0682532B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) この発明は、ガスおよびポア(空孔)が少ないCuまたは
/およびAg-Cr合金の製造方法に関し、特に再点弧発生
頻度を軽減化することのできる真空バルブ用接点合金の
製造方法に関する。
(従来の技術) 真空バルブ用接点に要求される特性は、耐溶着、耐電
圧、高しゃ断性である。
しかしこれら3要件に対して相反する物理的性質が要求
されるので理想的に両立させることは困難であり、適用
する回路の優先要件を第1にして、他の要件は若干犠牲
にして対応しているのが現状である。
例えば従来、高耐圧、大容量真空しゃ断器においては、
溶着防止成分(Bi、Te、Pbなど)を5重量%以下含有す
るCu合金を電極接点として具備したものが知られている
(特公昭41-12131号公報)。
ところが、近年高電圧化要求に対しては、対電圧の面で
十分ではない。
すなわち、真空しゃ断器は小形軽量、メンテナンスフリ
ー環境調和など、他のしゃ断器に比べ優れた特徴を有す
るために、年々、その適用範囲も拡大され、従来一般的
に使用されていた36KV以下の回路から更に高電圧の回路
への適用が行われると共に、特殊回路例えばコンデンサ
回路を開閉する需要も急増しているので、一層の耐高電
圧化が必要となっている。
その達成を阻害している重要な要因の1つとして再点弧
現象、再発弧現象が挙げられる。
再点弧現象は、製品の信頼性向上の観点から重要視され
ているにもかかわらず、未だ防止技術は勿論のこと直接
的な発生原因についても明らかになっている。
上記高耐圧化に伴って、接点材料に対しても、更に高耐
圧でかつ再点弧現象の発生頻度の低い特性を持つことが
要求されている。
接点材料の高耐圧化、無再点弧化を図るには、耐圧的に
欠陥となる脆弱な溶着防止成分の量そのものを極力少な
くしたり、過度に集中するのを避けること、ガス不純物
やビンホール等を極力少なくすること、接点合金自体の
強度を大きくすること等々が望ましい。
これらの観点からいえば、前述のCu-Bi合金は満足でき
るものではない。
また従来使用されている他の接点材料であるCu-W接点ま
たはCu-WC接点は耐電圧的にはかなり優れているものの
この焼結系接点合金は、製造方法的にいって気泡が残存
し易く、また熱電子放出も盛んなため再点弧現象が発生
し易いという欠点がある。
一方、高耐圧かつ大電流しゃ断を要求する分野では、Cu
-Cr合金の適用が行われている。
Cu-Cr合金は、他の接点材料ほどには、構成元素間の蒸
気圧差が少ないため均一な性能発揮を期待し得る利点が
あり、使い方によっては、その特徴は十分利用すること
の出来る接点合金である。
このCu-Cr系接点合金は、概ね、次のように製造されて
いる。例えば、特公昭59-30761号公報によれば、Cr粉末
と少量のCu粉末を混合し、この混合粉をダイ型に充填し
て小圧力をかけてプレス成形し、この成形体をダイス型
から取出したのち、これを真空焼結して、Crスケルトン
を形成し最後にCuを溶浸するという方法がある。
また、最近では、型の中にCr粉末を注加し、その上にCu
ペレットを載置し、全体を脱ガスしたのち減圧下で溶浸
処理を行うという方法も開示されている(特開昭59-259
03号公報参照)。
更に、初めから最終目標値のCuとCrとを混合し、これよ
り得た成形体をCuの溶融点又はそれ以下で固相焼結する
ことによってCu-Cr合金を得る方法も行われている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、これらの合金は、上記のように一般に粉
末冶金手法によって製作され、再点弧発生に関与するそ
の原料粉末管理、焼結技術、および溶浸技術が十分に確
立されていないために、再点弧発生頻度の点で未だ充分
満足のいくものではない。
この発明は、再点弧の発生頻度の著しい低減化が図られ
た真空バルブ用接点合金の製造方法を提供することを目
的とする。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段) 本発明は、真空バルブ用接点合金の再点弧発生頻度を軽
減化及び導電率特性の安定化のために、この製造方法の
原料Crの選択、焼結条件、溶浸条件、および冷却条件を
検討し研究した結果、この発明を完成するに到った。
本発明の真空バルブ用接点合金の製造方法は、下記の工
程(a)〜(f)を含むことを特徴とする。
(a)原料Crを非酸化性雰囲気中において、1300℃〜融
点近傍の温度範囲で少なくとも1回加熱処理する工程、 (b)加熱処理済の原料Crを粉砕して、平均粒径5〜25
0μm、酸素ならびに窒素の含有量が夫々200ppm以下のC
r粉を得る工程、 (c)このようにして得られたCr粉を、8トン/cm2以下
の外部圧力もしくは該Cr粉の自重の圧力で成形する工
程、 (d)焼結用容器に収容された前記Cr粉成形体を、Crス
ケルトンを得るために焼結用容器と共に非酸化性雰囲気
中で焼結する工程、 (e)得られたCrスケルトン中の空隙にCuまたは/およ
びAgを溶浸する工程、 (f)溶浸された合金素材を、導電率を調整するように
冷却する工程。
(発明の具体的説明) 以下、本発明を前記各工程に則して詳細に説明する。
Cr粉の不純物管理 本発明者らは、接点材料を加熱する過程で放出されるガ
スの総量ならびに放出の形態について詳細な観察を行っ
たところ、これら要因と再点弧現象の発生には重要な相
関があり、特に接点材料を構成する原材料の個々につい
て、これらガスの放出、なかでも融点近傍で突発的に発
生するガスの放出を制御することにより、再点弧現象を
効果的に抑制できることを見出した。
すなわち、接点材料を加熱していくと、吸着ガスのほと
んどは溶融点以下で脱ガスされ、溶融点近傍で固溶した
ガスが放出されるが、さらに溶融点以上で加熱放置する
と、極めて短時間(例えば数ミリ秒程度)ではあるがパ
ルス的な突発性ガスの放出(数回ないし数百回突発す
る)が観察される。
これら突発性ガスにはC2H2、CH4等が若干含まれるが、
主体はCO、CO2、O2等の酸素系であることから、これら
突発性ガスは接点材料に含まれる酸化物の分解により放
出されるものと考えられる。
本発明者らの研究によれば、再点弧現象の多く発生する
接点材料に、突発性ガスの放出も多い。
従って上述の知見よりすれば、接点材料をその融点以上
の温度で保持して、この突発性ガスを予め放出させてお
くことにより、再点弧現象の発生を軽減することが考え
られる。
しかしながら、真空しゃ断器用接点材料はCuを相当量含
有し、これらの酸化物を分解して除くためには、たとえ
ば10-3〜10-4Torrの真空度において約1200℃以上の温度
が必要となるので、蒸気圧の高いCuなどの高導電性材料
やBi、Teなどの溶着防止材料を含む接点材料について上
記の様な熱処理を与えることは成分の変動を招き接点特
性の管理の面で不都合を生ずることがある。
例えば、溶着防止材として、Biを加熱して行くと、400
〜550℃近傍で極めて激しく複数種のガスを放出する。
このような放出ガスの一部は、昇温過程にあるCu等と結
合し、比較的安定な化合物を作り溶解作業中に一部は分
解するが、他の一部はなお残存し突発性ガスの一因とな
る。
このような突発性ガスの放出は、たとえば純度99.9999
%のBiを原料として使用しても、酸化あるいはガス吸着
が進行する状態で放置しておく場合にはなお認められ
る。
上述のような観察は、溶着防止材を含む接点材料におい
て、Cu等の高導電性材料と溶着防止成分材とについて個
別の熱処理により突発性ガスの原因とする不純物を予め
除いておくことの必要性を示唆すると共に、接点合金の
製造または熱処理過程において一部または全体が液体状
態にある接点合金の液相が直接接するるつぼ、ボート、
板などからの放出ガスにより接点合金が受ける汚染も管
理する必要性を示唆している。
前者の知見に対して本発明者らは、突発性ガスの軽減に
対し構成元素を個別に熱処理することは、或る程度有効
で、それに伴い再点弧発生確率も減少する傾向にあるこ
とを認めている。
後者の知見に対して本発明者らは液相に接するるつぼ等
の材質及びその表面の物理的化学的状態が突発性ガスの
放出形態に影響を与え、かつ再点弧確率にも関連するこ
とを認めると共に特に前者の接点の構成元素レベルでの
管理による突発性ガス放出の軽減効果を後者によって、
確実かつ効率的に向上させるのに必須であることを認め
た。
上記した再点弧に対する二三の知見は、その軽減化に対
して有効であるが、より一層の再点弧の軽減化と大しゃ
断容量化の要求に対しては、尚改善の必要性を認めると
共に上記知見技術効果を効率的に発揮させるための他の
施策の開発が、望まれている。
例えば前記二、三の知見を重畳させてCu-Cr合金を製作
すると、単独のときより効果が大きく相乗され、従って
一連の工程を総合的に管理する必要性を示唆している。
特に原料技術及び冷却技術は、充分把握する必要があ
る。すなわち、先に示した突発性ガスの原因の1つとし
て原料Cr、Cuなどの内容(不純物)、状態(表面酸化、
混在物の有無)が重要と考えられる。
初めから酸化物の形態を持ち、原料粉中に単に混入して
いる酸化物などの異物については、原料粉との比重差を
利用した沈降法による除去、或いは粒径の違いを利用
し、主として篩いわけで予め除去するか、スケルトン中
に高導電性材料を溶浸する際の溶浸工程を一方向から行
うことで前記酸化物などの異物を一カ所に集めることが
出来る。これらの作業を与えることによって同じく再点
弧現象の発生の軽減化に対して好結果を示した。
しかし問題は、原料中に固溶或いは析出して存在する不
純物である。これらは篩いわけ、比重差或いは溶到工程
では、除去することが出来ず潜在的な再点弧の一要因を
占めていることが考えられた。しかしそれでもその解決
の一つの手段として原料粉(Cr粉)を十分吟味し不純物
のより少ない原料粉を選択することで再点弧現象の発生
は、より一層軽減化される傾向にあることを認めた。
このように、不純物(ここでは主として酸化物)の少な
い原料粉の選択は、再点弧現象の軽減に対して効果は認
めたものの厳密な実験を進めると未だ改善の余地のある
ことを本発明者らは認めた。
すなわち、Cr粉中の不純物が実質的に認められないロッ
トを選択し、これをCr原料とし、Cuについても同様に十
分吟味したロットを原料として夫々使用してCu-Cr合金
を製造したにもかかわらず、合金中に析出物の存在を認
めるものと析出物の存在のないものとが得られ、これら
の再点弧発生頻度を比較したところ前者析出物の存在す
る合金を使った真空バルブに、より多く発生しているこ
とが判った。
このような析出物は、Cr粉中に固溶していた或る種の元
素と、焼結又は/及び溶浸中の雰囲気との反応によって
生成した不純物であると推考される。従って再点弧特性
の一層の改善には、原料に単に混入している酸化物など
の不純物以外に、原料中に特に固溶している或種の元素
(固溶状態にあるため顕微鏡的には、一般に検出確認出
来ない)に注目する必要性のあることを示唆している。
すなわち特にCu-Cr合金の製造に於ては一連の工程を通
して管理する必要性を示唆している。一連の工程とは焼
結又は/及び溶浸によってCu-Cr合金を製作する工程に
於て所定条件を備えた原料の選択であり、さらにCr又は
/及びCuスケルトンの製作、焼結又は/及び溶浸条件の
制御の各技術を意味する。
本発明方法の実施に於て、Cr粉中の不純物の種類ならび
にその量は他の工程へも影響を与え極めて重要である。
既に述べたように、突発性ガスの原因となる酸化物(Al
2O3、SiO2、CaO、V2O5)或いはCr粉中に固溶している金
属(Al、Si、Ca、V)と、焼結又は/及び溶浸中の雰囲
気との反応によって新たに生成した酸化物が特に問題で
ある。再点弧現象の発生頻度の高いCu-Cr合金は、先に
も述べたようにCr中のこれらの量が多く、相関性が得ら
れた。
他の工程とも関連づけ再点弧発生頻度を検討すると、A
l、Si、Caの含有量は夫々100ppm以下、Vは10ppm以下が
あることが目安であり、更に接点が開離し、消弧後極め
て短時間に発弧する現象の抑制までも考慮するときに
は、より厳しくAl、Si、Ca、Vを管理する必要があり、
夫々10ppm、20ppm、10ppm、10ppm以下が目安である。ま
た、Cr中の酸素、窒素の含有量も少なくとも夫々1000pp
m以下が好ましい。Al、Si、Ca、Vなどがこれらの数値
を上まわる場合には、後の工程に於ける焼結又は/及び
溶融工程での雰囲気ガスとの反応による生成物の生成量
も多く、再点弧、及び発弧に対して好ましくない。
原料Crの調製 現在、工業的に供給されている金属Crの精錬法は、FeCr
2O4、MgCr2O4などのCr鉱石をAl或いはSiなど他の金属で
還元し金属Crを得る方法(還元法)、及び前記Cr鉱石を
溶解し未溶解の非金属不純物の分離を行い、これを電解
液として電気分解し金属Crを得る方法(電解法)の両方
法が主体である。
しかし前者の還元法によって得られたCrは、ガス量(酸
素、窒素)が1,000ppm程度、Al、Si、Feなど不純物を数
1,000ppm〜10,000ppm程度含有している。一方、後者の
電解法によるCrは、逆にガス量(酸素、窒素)が1,000p
pm〜10,000ppmと著しく多く、Al等の不純物が比較的少
なく、例えば100ppm程度以下含有するのが一般である。
このような事情に鑑みて、本発明の方法においては、原
料Crを粉末にする前に、該原料Crに特定の処理を施すこ
とが好ましい。
本発明者らの研究によれば、Cr中の不純物の除去を粉末
化工程の後に行なうことは好ましくない。なぜなら、Cr
粉末に対して更に加熱処理を施した場合(脱ガスに充分
な温度に加熱したとしても)、Cr粒子が凝集し粗大して
しまい、再び粉砕工程が必要となるからであり、またCr
の比表面積が大きいため、表面皮膜量が増大して脱ガス
効率が低下するからである。更に、焼結時(スケルトン
形成時)に不純物除去のための付加的な熱処理を行なう
ことは、組成の変動をもたらすため、やはり好ましくな
い。
本発明においては、前記還元法若しくは電解法で得た金
属Crを、金属Cr集合体に加工する前の段階、同加工中の
段階及び同加工後(粉末化工程前)の各段階の少なくと
も1の工程に於て、例えば真空、水素など非酸化性雰囲
気で、特に1300℃以上かつ原料Crの融点近傍以下の温度
で少なくとも1回、加熱処理を行なう。これによって前
記粉末状態のCrになってから加熱処理を行なう場合の欠
点、不利益を回避し再点弧の軽減化に有効な金属Crを得
ることが出来る。
1300℃未満の温度では、金属Cr集合体の脱ガス効率が劣
り再点弧の軽減化に対して効果が小さい。1500℃または
それ以上では、その効果が大であり特に有効であるが、
蒸発も激しくなる為、処理中の雰囲気は、真空中より雰
囲気ガスの選択が有利となる。このように加熱処理を粉
末化工程の前に行なうことで、Cr粉末になってから行な
うより有利に再点弧の軽減化が得られる。真空バルブの
一層の高性能化のためには、前記金属Cr集合体に加工す
る前段階で行なうのみでなく、更にその後の段階でも前
述加熱処理を重畳させることは有効である。
Cr粉の調製 前記加熱処理した金属Cr集合体をよごさずかつ所定の粒
径を持つCr粉とする。Cr粉の粒径は、真空バルブとして
の接点特性及び焼結など接点製造技術上から制限を受け
る。Cr粉の平均粒径は、5〜250μmが好ましい。Cr粉
の平均粒径が5μm未満では、焼結又は/及び溶浸後の
スケルトン又は/及び接点素材中に好ましくない気孔が
生じ易くなり、また、それに応じてガスも多く残存する
傾向にあり、真空バルブとしての接点特性(例えば、再
点弧特性)に対して好ましくない状態となる。
また、250μmを超えるCr粒径では、耐溶着性、耐電圧
特性、しゃ断特性のいずれに対しても著しいばらつきが
見られる。接点素材にも偏析が見られるようになり、真
空バルブの信頼性の観点から好ましくない。
一方、Cr粉中の酸素、窒素ガスは、夫々200ppm以下に抑
制した状態が望ましい。これらのガスは、Cr中に含有さ
れガスと吸着しているガスとの総量で構成される。前者
の含有しているガスは、前記原料Crの加熱処理工程で極
少化された状態となっているので、本工程では特に後者
の吸着ガスを少なくすることが肝要である。即ち、よご
さずに粉砕することが重要なポイントであり、粉砕中の
条件は、粉砕エネルギーによってCr粉が過度に、発熱し
酸化が進むことのないことが重要である。従って、大き
な摩擦熱の発生するような激しい粉砕は避けるべきであ
る。また非酸化性雰囲気中の粉砕も有効である。特にCr
粒径が100μm又はそれ以下になる場合は、このよな点
に充分配慮する必要がある。
前記ガス量が200ppm以上の場合、これらの原料Cr粉を使
用してCu-Cr合金としても、同合金中のガス量を好まし
い低いい準(例えば200ppm以下、望ましく100ppm以下)
に維持することは難かしい。すなわち真空バルブ用接点
を焼結又は/及び溶浸するときに選定する熱処理温度
は、原料Crの精製を進行させるには、やや不足である。
Cu-Cr合金中のガス量(この場合、酸素)が200ppm以上
のときには、再点弧現象の発生が多発する場合がある。
前記のような原料Crの加熱処理工程を採用することによ
って、粉末化後に脱ガス加熱処理する場合に見られるCr
粉の飛散を無くすことができ、設備汚染を防止すること
ができる。
付加的成分 Cr中に他の元素すなわちFe、Co、Mo、W、V、Nb、Ta、
Ti、Zrは、本発明の工程を経て作製するCu-Cr合金の耐
電圧特性の向上に有益である。Crに対してこれらの金属
が50%未満の量であれば、Cu-Cr合金に於けるCrの機能
を損うことがない。CrはCuと同等の蒸発性を持つため、
電流しゃ断後の接点表面の平滑化の機能を持ち耐電性に
好ましい影響を与えるものであり、Cr中の他の元素と、
Crとの比はCrが50%以上存在することが望ましい。
更に、本発明においては、Cr粉とCuまたは/およびAg粉
との混合粉末を成形体の原料粉末として用いてもよい。
この場合、混合粉末中のCuまたは/およびAg粉の量は30
重量%以下であることが好ましい。
成 形 上記のCr粉から、8トン/cm2以下の外部圧力もしくは該
Cr粉の自重の圧力で形成体を形成する。
成形体を得るときの成形圧力は、Cu-Cr合金中のCr量を
決定する要因であり、本発明方法において特徴点の一つ
である。
Cu(または/およびAg)‐Cr合金中のCr量は、20〜80重
量%の範囲内で選択され得る。この為の成形圧力は、8
トン/cm2以下、好ましくは7.5トン/cm2以下、より好ま
しくは7トン/cm2以下である。これは8トン/cm2を超え
る圧力では溶浸後のCr量が80%を超えるため、本発明に
於ける主旨を離脱するため除外する。80%近傍の高Cr量
を確保するには、スケルトンとして純Cr以外にCuを配合
したCrでも対処可能であるが20%近傍の低Cr量の合金を
確保するには、スケルトンとして純Crの選択は不可能で
あり、Crに対してCuを適量配合したCr+Cu混合粉を採用
することで達成される。この際の成形圧力は、混合する
Cu粉の量によって8トン/cm2以下の圧力が自由に選択さ
れ得る。
また、成形圧力が8トン/cm2を越えると、加熱時に成形
体中に亀裂が生ずる場合があるため好ましくない。
焼 結 このようにして得られた成形体を、焼結用容器と共に加
熱炉内に設置して焼結する。焼結雰囲気は、非酸化性雰
囲気であることが必要で、例えば真空または水素中であ
る。これらの雰囲気のうち、充填したCr粉末、プレスし
た成形体や容器などに吸蔵されている酸素、窒素を除去
するという点では、真空(1×10-5Torr以上)雰囲気が
好適である。
適用する焼結温度、焼成時間は、焼結体であるスケルト
ンの密度、逆に言えばスケルトンの空隙率に影響を与え
る。例えばCrスケルトンとその空隙内に溶浸されるCu量
との関係を、重量比で50:50に近接させるためには、空
隙率を40〜50%とするのがよく、そのためには、焼結温
度800゜〜1050℃、好ましくは900゜〜950℃、焼結時間
0.25〜2時間、好ましくは0.1〜1時間の範囲が好まし
い。上記条件は、CrとCuとの比に応じて適宜選択され
る。
溶 浸 得られたスケルトンの上面又は/及び下面に、溶浸材で
あるCu又は/及びAgを載置し全体を例えば真空中(1×
10-4〜1×10-6Torr)で加熱してCu又は/及びAgをスケ
ルトン空隙中に溶浸させる。
溶浸時の温度は、Cu又は/及びAgの溶融点以上の温度で
ある。Cuの場合1100゜〜1300℃、Agの場合1000゜〜1100
℃の範囲であることが好適である。また溶浸時間は、ス
ケルトン中の空隙に、これら融液が完全に含浸されるに
充分な時間を設定する。
なお、上記溶浸工程においてはスケルトンの表面の少な
くとも一部に溶浸金属の層を同時に形成することによっ
て、得られる接点合金の銀ロウ接合性(導電棒のロウ付
けする際の)をすぐれたものとすることができる。
冷 却 上記工程で溶浸された合金素材は、導電率を調整するよ
うに冷却される。
焼結および溶浸後の冷却条件は、Cu-Cr合金の材料の基
本特性、特に導電率を決める要因であり、この発明の方
法における特徴の一つである。
Crは極めて酸化しやすい金属であるため、原料粉末ある
いは成形体の管理が重要であることはいうまでもなく、
焼結、溶浸時の雰囲気の条件も材料特性を左右する。
しかしながら、焼結、溶浸時の温度や時間を充分管理し
て得られたCu-Cr合金でも、比抵抗、接触抵抗或いは温
度上昇特性にばらつきや不安定性があるのが実情であ
り、これらのばらつきをなくし安定性のあるものが望ま
れている。
研究によれば、Cu-Cr系接点材料の上記不安定性は、C
u-Cr合金中の組成の変動、Cr粒子の粒径、粒度分布、
偏析の程度、合金中に存在する空孔の程度、更には
原料Crの品質、に依存することが判明した。そこて、こ
れらの解決は原料Crの選択と焼結技術の管理が有効であ
ることを認めたが、より一層安定性を向上させるために
は、上記,,,に加えて更に細かな焼結技術の
管理が必要であることが判った。すなわち上記特性の不
安定性はCu中にわずかに含まれるCrの量の差異と相関性
があることを見出した。つまりCu-Cr合金中のCu部分に
含まれるCrの量をX線微小分析法による半定量法によっ
て推定すると前記特性が不安定な値を示したCu-Cr合金
では、一般に0.2〜0.5wt%の範囲にばらついているのに
対し後述する本発明技術により、安定して特性を示すCu
-Cr合金のそれは、0.2%以下代表値として0.1%以下を
示していた。この差異はCu-Cr合金の特に焼結又は溶浸
後の熱履歴に依存することを認めると共に、この条件を
細かく管理することによりCu-Cr合金の導電率の改良と
そのばらつき幅の縮小化に効果が大きいことを明らかに
した。なお、ここで言う焼結又は溶浸後の熱履歴とは、
実質的に接点自体が受ける冷却速度特性で代表して表わ
すことができる。すなわち接点の大きさ、炉の特性によ
ってばらついている冷却速度を所定条件に管理すること
を指すものである。
次いで、Cu-Cr合金の導電率を改善する冷却の態様を以
下に示す。
上記溶浸工程で得られた素材の冷却を、好ましくは、80
0℃〜400℃の温度区間のうち少なくとも100℃の温度差
間を0.6〜6℃/minの冷却速度で行なう。ここで、0.6℃
/min未満の冷却速度で、導電率特性に対するディメリッ
トはないが、製造時間が長時間化し経済的に不利とな
る。また、6℃/minを超える冷却速度では、Cu-Cr合金
中のCu相に固溶するCr量が増加し、導電率の減少を招
き、好ましくない。例えば、Cu-50%Cr合金中のCu相中
のCr量が約0.5%を越えると、導電率は0.1%の場合の1/
2に低下する。(0.1%の場合の導電率は40%IACSである
のに対し、0.5%では20%IACSがそれ以下に低下す
る。) 別の態様として、この発明の方法の冷却工程において、
好ましくは、400℃から常温までの冷却は不活性ガスを
吹き付けて急冷する。このように急冷することによっ
て、一般に上記範囲は、炉あるいは試料の熱容量などに
よって決まる冷却時間に依存するため極めて長時間を要
し、急冷によって生産効率の向上となる。
さらに、この発明の方法の冷却工程において、800〜400
℃の温度区間のうち、いずれかの温度で少なくとも0.25
時間少なくとも一回加熱保持を行なう。このように加熱
保持を行なうことによって、焼結、溶浸終了後、特に導
電率の劣る接点を発見したときには、再生(導電率の回
復、向上)させることが容易にできる。
反応防止材 前記焼結工程、溶浸工程においては、成形体と焼結用容
器との間、およびスケルトンと溶浸用容器との間に、そ
れら部材間の反応および(または)濡れを低減するため
に、反応防止材を介挿することが好ましい。上記のよう
な反応、濡れを防止することによって、合金の特性を更
に向上させることができる。
このような反応防止材としては、少なくととも00℃で前
加熱されたAl2O3、SiO2から選択された粒状もしくは繊
維状の耐熱性無機材料の少なくとも1種からなることが
望ましい。例えば反応防止材を、繊維状セラミックスか
らなるものとすることができる。
他の好ましい態様として、反応防止材をセラミックス繊
維束からなるものとすることができる。
別の態様として、反応防止材をセラミック繊維の織編物
からなるものとすることができる。
この発明における好ましい態様として、上記繊維状セラ
ミックを直径5〜100μmの長繊維から得られたものと
してもよい。
この発明において用いられる、好ましい反応防止材は繊
維状セラミックスであり、このセラミックスは、好まし
くはAl2O3または/およびSiO2を主成分とする。これ
は、Al2O3およびSiO2がこの耐熱性および作業性にすぐ
れているからである。Al2O3およびSiO2の含有量は望ま
しくは50%以上、より好ましくは90%以上である。Al2O
3およびSiO2以外に許容される成分として、TiO2、MgO、
CaO、Fe2O3、B2O3、SrOなどがある。これらの含有量は
それぞれ最大20%である。
この発明において繊維状セラミックは、複数本の繊維を
束ねたセラミック繊維束、またセラミック繊維から得ら
れた織編物として直接接触部材として用いられる。この
部材が熱処理時に用いられる形態は、種々あるが、例え
ば、熱処理容器と非熱処理材料との間にセラミック繊維
束または/およびセラミック織編物を介在させる形態、
また、セラミック織編物を容器状に成形し、それを熱処
理容器として用いる形態などがあり、いずれにしても被
熱処理材料はセラミック繊維と直接接触する。
この繊維状セラミックは、直径0.1〜300μm、好ましく
は5〜100μmの長繊維から得られるものである。この
ような範囲の繊維を用いるのは、これより太い直径では
容器としての可撓性が劣り、作業性を害するからであ
る。
合金の組成比 最終的に得られる接点合金の各成分は、下記の範囲が好
ましい。
Cuまたは/およびAg:80〜20重量% Cr:20〜80重量% 合金中のCr量が80%より大のときにはジュール溶着の多
発があり、再点弧に関係の深い表面荒れに対して好まし
くないのみならず、電圧7.2KVに於て40KAのしゃ断が困
難になる。逆にCr量が20%未満のときには、例えば40KV
をしゃ断したとき耐アーク性が維持できず大きいアーク
消耗を示し好ましくない。
また、上記組成範囲において、高導電性成分であるCuま
たは/およびAg相中に固溶するCrの量は0.01〜0.35重量
%であることが、導電率特性を安定化させる上で好まし
い。
処理雰囲気 上記各工程における処理は、非酸化性雰囲気中で行なう
ことが好ましく、具体的には、アルゴンガス等の不活性
ガス、H2ガス、N2ガス中、もしくは真空中で行なわれ
る。
真空バルブ 次いでこの発明の方法によって得られた合金に適用でき
る真空バルブ(真空しゃ断器)を添付図面によって説明
する。
第1図は、本発明に係る接点材料を適用する真空しゃ断
器の構成例を示すもので、同図に於いて、1はしゃ断室
を示し、このしゃ断室1は絶縁材料によりほぼ円筒状に
形成された絶縁容器2と、この両端に封止金具3a,3bを
介して設けた金属性の蓋体4a,4bとで真空気密に構成さ
れている。しかして前記しゃ断室1内には、導電棒5,6
の対向する端部に取付けられた1対の電極7,8が配設さ
れ、上部の電極7を固定電極、下部の電極8を可動電極
としている。またこの可動電極8の電極棒6には、ベロ
ーズ9が取付けられしゃ断室1内を真空気密に保持しな
がら電極8の軸方向の移動を可能にしている。またこの
ベローズ9上部には金属性のアークシールド10が設けら
れ、ベローズ9がアーク蒸気で覆われることを防止して
いる。また、11は、前記電極7,8を覆うようにしてしゃ
断室1内に設けられた金属性アークシールドで絶縁容器
2がアーク蒸気で覆われることを防止している。さらに
電極8は、第2図に拡大して示す如く、導電棒6にろう
付部12によって固定されるか、または、かしめによって
圧着接続されている。接点13aは、電極8にろう付け14
で固着されている。なお、第1図における13bは固定側
接点である。
本発明の接点材料は、上記したような接点13a,13bの双
方またはいずれか一方の構成するのに適したものであ
る。
(実施例) 高炭素フェロクロムを硫酸に溶解し、これを電解、還元
して得た金属Cr板を大きさ約0.5〜2mmの粒に粉砕した
(試料1)。
試料1を2×10-5Torrの真空中で、温度1450℃で2時間
の加熱処理を与えた(試料2)、同真空中で350℃で24
時間処理を行った(試料11)。
試料1を集め常温にてブリケット・マシンにて成形し約
20mm×25mm、厚さが約8mmの大きさを有するブリケット
状の金属Cr集合体を作製した(試料3)。
試料2を集め、ブリケット・マシンにて成形し、約20mm
×25mm、厚さが約8mmの大きさを有するブリケット状の
金属Cr集合体を作製した(試料4)。
試料3を2×10-5Torrの真空中で1450℃で、約2時間の
加熱処理を与えた(試料7)。
試料4を2×10-5Torrの真空中で1450℃で約2時間の加
熱処理を与えた(試料8)。
試料1を集め、熱処理用耐火セラミック容器に収容し2
×10-5Torrの真空中で1300℃に加熱しながら直径約20mm
高さ8mmの大きさを有する金属Cr集合体を作製した(試
料5)。常温の冷却した試料5に再度同じ熱処理を与え
た(試料9)。
試料2を集め、熱処理用耐火セラミック容器に収容し、
2×10-5Torrの真空中で、1300℃に加熱しながら直径約
20mm、高さ8mmの大きさを有する金属Cr集合体を作製し
た(試料6)。常温に冷却した試料6に、再度同じ加熱
処理を与えた(試料10)。
次いで、得られた試料1〜11について、アルゴンガスを
充填したボールミル中で6時間粉砕し、篩によって5〜
250μmの範囲の粒子を選出した。この時点で、Cr粉
は、試料1を除いて、総て酸素、窒素の夫々が200ppm以
下であった。Al、Siは夫々100ppm以下、Caは10ppm以下
であった。
試料1〜11のCr粉末のうち74〜105μmの粒子を選別
し、これを黒鉛容器に自然充填した後、該黒鉛容器と共
に試料1〜11の夫々を水素中で950℃で1時間加熱し、
空隙容積が約55%の各Crスケルトンを得た。
該Crスケルトンの空隙に、別に真空脱ガスしたCuを1×
10-5Torrの真空中、1150℃で1時間にて溶浸させ約50wt
%のCu-Cr合金を得た。この溶浸処理に於ては、該試料
1〜8と溶浸用熱処理容器との間には両者の濡れを防止
するために85%Al2O3−15%SiO2製の繊維状のセラミッ
ク・ファイバーをシート状に織った反応防止シートを介
挿した。
上記溶浸処理終了後、溶浸作業温度1150℃より800℃ま
では自然冷却させた後、800℃から400℃の間の冷却速度
を3℃/分に制御した条件で、前記試料1〜8を冷却し
た。
これらの接点素材から接点片を作製し、組立式の真空バ
ルブに装着した。
このようにして得た接点素材のガス量を比較すると共に
前記組立式真空バルブに該試料1〜11の接点を装着し後
述する評価方法、条件にて再点弧特性を評価した。
下記第1表にその結果を示すように、電解Crを粉砕した
ままのCr粉でCu-Cr合金を作製した場合(比較例‐1)
及び同じCr粉を処理せずブリケットマシンで金属Cr集合
体を作りこれを粉砕して得たCr粉でCu-Cr合金を作製し
た場合(比較例‐2)は、いずれも再点弧発生頻度が2
%以上と多発している。これに対し金属Cr集合体を作る
前・後の段階或いは、成形中(金属Cr集合体を製造中)
に加熱処理を与えた場合には、いずれも大幅に再点弧発
生頻度が減少している(実施例1〜8)。尚、加熱処理
条件が好ましくない場合には、効果が発揮されず再点弧
発生が見られる(比較例‐3)。
無水クロム酸をAl還元して得た金属Cr塊を、大きさ約0.
5〜2mmの粒に揃えた。尚この金属Cr塊中のAl、Siなどの
不純物は、充分取除いてある(試料21)。
試料21を2×10-5Torrの真空中で、温度1450℃で2時間
の加熱処理を与えた(試料22)。同真空中で350℃で24
時間の加熱処理を与えた(試料31)。
試料21を集め常温にて圧縮プレス機にて成形し約20mm×
25mm、厚さが約8mmの大きさを有するブリケット状の金
属Cr集合体を作製した(試料23)。
試料22を集め圧縮プレス機にて成形し約20mm×25mm、厚
さが約8mmの大きさを有するブリケット状の金属Cr集合
体を作製した(試料24)。
試料23を2×10-5Torrの真空中で、1450℃で約2時間の
加熱処理を行なった(試料27)。
試料24を2×10-5Torrの真空中で1450℃で約2時間の加
熱処理を行った(試料28)。
試料21を集め、熱処理用耐火セラミック容器に収容し2
×10-5Torrの真空中で1300℃にて加熱しながら直径約20
mm高さ8mmの大きさを有する金属Cr集合体を作製した
(試料25)。常温に冷却した試料25に、再度同じ熱処理
を与えた(試料29)。
試料22を集め熱処理用耐火セラミック容器に収容し2×
10-5Torrの真空中で1300℃にて加熱しながら直径約20mm
高さ8mmの大きさを有する金属Cr集合体を作製した(試
料26)。常温に冷却した試料26に再度同じ熱処理を与え
た(試料30)。
次いで得られた試料21〜31についてアルゴンガスを充填
したボールミル中で12時間粉砕し篩によって5〜250μ
mの範囲の粒子を選出した。この時点で試料21を除く各
Cr粉は、総て酸素、窒素の夫々が200ppm以下であった。
Al、Siは夫々100ppm以下、Caは10ppm以下であった。
試料21〜31のCr粉末から、74〜105μmの粒子を選別し
た。400℃で水素還元処理したほぼ同じ粒径を持つ電解
銅を用意した。前記Cr粉と電解Cr粉とをCrが25%になる
よう混合し、4トン/cm2で成形後、800℃までは水素気
流中で仮焼結を行い、その後1040℃で2時間真空中で焼
結を行い接点素材とした。固相焼結法であるためCrとCu
の比率は、任意に選択出来るがここでは代表例として前
記25%Cr-Cu合金を示したものである。
1040℃で真空焼結後の焼結材を常温近傍にまで冷却後、
真空中550℃で90分間再加熱処理を加え、接点素材とし
た。
これらの接点素材から接点片を作製し、接点素材のガス
量を比較すると共に、組立式の真空バルブに該試料片21
〜31の接点を装着し、後述する評価方法、条件にて再点
弧特性を評価した。
その結果、Al還元したCrを粉砕したままのCr粉で、Cu-C
r合金を焼結法によって作製した場合(比較例‐21)及
び同じCr粉を処理せず圧縮成形機で金属Cr集合体を作
り、これを粉砕して得たCr粉で、Cu-Cr合金を作製した
場合(比較例‐2)は、いずれも再点弧発生頻度が5%
以上と多発していた。尚、両者のCr粉のガス量は酸素が
770〜1400ppm、窒素が300〜420ppmであり、25%Cr-Cu中
のガス量は酸素が110〜200ppm、窒素が88〜180ppmであ
った。
これに対して、金属Cr集合体を作る前・後の段階或いは
成形中(真空ホットプレス)に加熱処理を与えた場合に
は、いずれも大幅に再点弧発生頻度が減少し、0.5%又
はそれ以下に減少した(試料22、試料24〜30)。しかし
加熱処理条件が好ましくない場合には、効果が発揮され
ず2%以上の再点弧が見られた(試料31)。
加熱処理温度として1450℃の例を主体に述べたが、この
処理温度が、更に高い場合には、本発明が目的としてい
る再点弧抑制効果は一層向上するが、一方に於て、第2
の工程での粉砕作業に時間を要する傾向にある。また13
00℃より低い処理温度では、再点弧軽減の効果が劣る傾
向にある。
また、Cr中にAlが420ppm、Siが170ppm、Caが70ppm含有
したCrを集め金属Cr集合体とし、これを粉砕し原料Cr粉
とし、焼結/溶浸法によってCu-50%Cr合金を作製し
た。この場合1450℃×2時間の加熱処理を与えたが、再
点弧発生率の低減は得られず5%以上の頻度であった。
また本発明で得られる真空バルブ用合金では、再点弧の
発生率の低減のみならず、各真空バルブ毎の発生率のば
らつきも縮少出来た。
評価条件 真空バルブ用接点材料の評価は下記に示す評価条件によ
って再点弧発生を評価した。
径30mm、厚さ5mmの円板状接点片を、ディマウンタブル
形真空バルブに装着し、6KV×500Aの回路を2000回しゃ
断した時の再点弧発生頻度を測定し、2台のしゃ断器
(バルブとして6本)のばらつき幅(最大および最小)
で示した。接点の装着に際しては、ベーキング加熱(45
0℃、30分)のみ行い、ろう材の使用ならびにこれに伴
う加熱は行わなかった。
〔発明の効果〕
上記実施例の結果からも理解されるように、本発明に係
る真空バルブ用接点合金の製造方法は、得られる接点合
金の再点弧発生頻度が著しく低減する点できわめてすぐ
れている。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の接点材料が適用される真空しゃ断器
の断面図であり、第2図は、接点部の拡大断面図であ
る。 1……しゃ断室、2……絶縁容器、3a,3b……封止金
具、4a,4b……蓋体、5,6……導電棒、7……電極(固定
電極)、8……電極(可動電極)、9……ベローズ、1
0,11……アークシールド、12……ロウづけ部、13a,13b
……接点、14……取付け部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大川 幹夫 東京都府中市東芝町1 株式会社東芝府中 工場内 (72)発明者 関口 薫旦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜金属工場内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の工程(a)〜(f)を含むことを特
    徴とする真空バルブ用接点合金の製造方法。 (a)原料Crを非酸化性雰囲気中において、1300℃〜融
    点近傍の温度範囲で少なくとも1回加熱処理する工程、 (b)加熱処理済の原料Crを粉砕して、平均粒径5〜25
    0μm、酸素ならびに窒素の含有量が夫々200ppm以下のC
    r粉を得る工程、 (c)このようにして得られたCr粉を、8トン/cm2以下
    の外部圧力もしくは該Cr粉の自重の圧力で成形する工
    程、 (d)焼結用容器に収容された前記Cr粉成形体を、Crス
    ケルトンを得るために焼結用容器と共に非酸化性雰囲気
    中で焼結する工程、 (e)得られたCrスケルトン中の空隙にCuまたは/およ
    びAgを溶浸する工程、 (f)溶浸された合金素材を、導電率を調整するように
    冷却する工程。
  2. 【請求項2】前記(d)工程の焼結が、少なくとも800
    ℃の温度で行なわれる、特許請求の範囲第1項記載の方
    法。
  3. 【請求項3】前記(f)工程の冷却を、800℃〜400℃の
    温度区間のうちの少なくとも100℃の温度差間を0.6〜6
    ℃/minの冷却速度で行なう、特許請求の範囲第1項記載
    の方法。
  4. 【請求項4】前記(f)工程の冷却において、不活性ガ
    スの吹き付けによる急冷を行なう、特許請求の範囲第1
    項記載の方法。
  5. 【請求項5】前記(f)工程の冷却において、800℃〜4
    00℃の温度区間のうちいずれかの温度で少なくとも0.25
    時間少なくとも一回加熱保持を行なう、特許請求の範囲
    第1項記載の方法。
  6. 【請求項6】前記(b)工程で得られるCr粉が、そのCr
    粉中に不純物として、Alを100ppm以下、Siを100ppm以
    下、Caを10ppm以下、酸素を200ppm以下、窒素を200ppm
    以下含有する、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  7. 【請求項7】前記(c)工程で得られる成形体が、Cr粉
    とCuまたは/およびAg粉との混合物からなる、特許請求
    の範囲第1項記載の方法。
  8. 【請求項8】前記(d)工程の焼結において、前記の成
    形体と焼結用容器との間に、その両者の反応または/お
    よび濡れを低減化するための反応防止材を介挿する、特
    許請求の範囲第1項記載の方法。
  9. 【請求項9】前記(e)工程の溶浸において、前記のCr
    スケルトンと溶浸用容器との間に、その両者の反応また
    は/および濡れを軽減化するための反応防止材を介挿す
    る、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  10. 【請求項10】前記の反応防止材が、少なくとも400℃
    で前加熱されたAl2O3、SiO2から選択された粒状もしく
    は繊維状の耐熱性無機材料の少なくとも1種からなる、
    特許請求の範囲第8項または第9項記載の方法。
  11. 【請求項11】前記(a)工程の原料Crが更にFe、Co、
    Mo、W、V、Nb、Ta、TiおよびZrからなる群から選ばれ
    た少なくとも1種を50重量%未満含有するCr基合金から
    なる、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  12. 【請求項12】前記(a)工程の原料Cr原料が、電解法
    または還元法で得られたものである、特許請求の範囲第
    1項記載の方法。
  13. 【請求項13】前記(a)および(d)工程における非
    酸化性雰囲気が、H2ガス、N2ガス、希ガスもしくは真空
    である、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  14. 【請求項14】得られる接点合金のCuまたは/およびAg
    相中に固溶するCrの量が0.01〜0.35重量%になるように
    制御する、特許請求の範囲第1項記載の方法。
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