JP4404980B2 - 真空バルブ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空中で電流の遮断導通を行う真空バルブとこの真空バルブを搭載した真空開閉装置に係り、特に真空バルブの接点の接触抵抗特性と再点弧特性との改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空開閉器や真空遮断器に搭載される真空バルブの接点は、耐溶着特性、耐電圧特性、遮断特性で代表される基本三要件の他に裁断特性、耐消耗性、接触抵抗特性、温度上昇特性などを維持向上させるために種々の素材から構成されている。しかし、上述要求特性は互いに相反する材料物性を要求する場合が多いことから、1つの元素で十分満足させることは不可能とされている。
【0003】
そこで、材料の複合化、素材張合わせなどによって、大電流遮断用途、高耐電圧用途などの様に特定用途に合った接点材料の開発が行われ、それなりに優れた特性を発揮している。例えば基本三要件を満たした大電流遮断用接点材料として、BiやTeの様な溶着防止成分を5質量%以下含有するCu−Bi合金、Cu−Te合金が知られている(特公昭41−12131号、特公昭44−23751号)。
【0004】
Cu−Bi合金は結晶粒界に析出した脆いBi、Cu−Te合金は結晶粒界及び粒内に析出した脆いCu2 Teが合金自体を脆化させて、低溶着引き外し力が実現したことから大電流遮断特性に優れている。
【0005】
一方高耐圧・大電流遮断用接点材料として、Cu−Cr合金が知られている。
この合金は前記Cu−Bi合金、Cu−Te合金よりも、構成成分間の蒸気圧差が少ない為、均一な性能発揮を期待し得る利点があり、使い方によっては優れたものである。また高耐電圧接点材料としてはCu−W合金が知られている。この合金は高溶融点材料の効果によって優れた耐アーク性を発揮している。
【0006】
真空遮断器や真空開閉器では、電流遮断後、真空バルブ内で閃絡が発生して接点間が再び導通状態になる(その後放電は継続しない)現象を誘起することがある。この現象は再点弧現象と呼ばれているが、その発生メカニズムは未解明である。電気回路が一度電流遮断状態となった後に導通状態に急激に変化する為、異常過電圧が発生しやすい。特にコンデンサバンクの遮断時に再点弧を発生させる実験によれば、極めて大きな過電圧の発生や、過大な高周波電流が流れる事が観察される。その為、再点弧の発生抑制技術の開発が求められている。
【0007】
上記した様に、再点弧現象の発生メカニズムは未だ知られていないが、本発明者らの実験観察によれば、再点弧は真空バルブ内の接点/接点間、接点/アークシールド間で、かなり高い頻度で発生している。その為、本発明者らは、例えば接点がアークを受けた時に放出される突発性ガスの抑制技術、接点表面形態の最適化技術など、再点弧の発生抑制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大幅に低減化した。
【0008】
しかし、近年の真空バルブに対する高耐電圧化要求、大電流遮断化要求、特に小形化要求には、接点の一層の低再点弧化が必要となってきた。即ち近年では、需要家の使用条件の過酷化と共に負荷の多様化が進行している。最近の顕著な傾向として、リアクトル回路、コンデンサ回路などへの適応拡大が挙げられ、それに伴う接点材料の開発、改良が急務となっている。
【0009】
コンデンサ回路では通常の2倍、3倍の電圧が印加される関係上、電流遮断、電流開閉時のアークによって接点の表面が著しく損傷し、その結果、接点の表面荒れや脱落消耗を招く。この様な表面荒れや脱落は、接触抵抗の上昇を招くと共にこれが原因となって再点弧発生の一因と考えられる。この様にどちらが最初の引き金かは不明であるが、原因と結果が繰り返され、再点弧現象の発生頻度と接触抵抗値が増大する。しかし再点弧現象は、製品の信頼性向上の観点から重要であるにも拘らず、未だ防止技術はむろんのこと直接的な発生原因についても明らかにはなっていない。
【0010】
既に本発明者らは、Cu−W合金又はCu−Mo合金の加熱過程で放出されるガス総量、ガスの種類並びに放出形態について、再点弧発生との相関を詳細に観察を行ったところ、溶融点近傍で極めて短時間ではあるがパルス状に突発的に放出されるガスが多い接点では、再点弧発生率も高くなる事を見出だした。
【0011】
そこで、Cu、W原料又はCu、Mo原料やCu−W接点合金又はCu、Mo接点合金を予め溶融温度近傍若しくは溶融温度以上に加熱したり、予めCu−W合金中又はCu、Mo接点合金中の突発的ガス放出の一因を除去したり、Cu−W接点表面層又はCu−Mo接点表面層を高温度エージングしておく事や、Cu−W合金又はCu−Mo合金の合金中のポアや組織的偏析を抑制する様に焼結技術を改良する事などによって、再点弧現象の発生を低減させた。
【0012】
しかし、近年の更なる再点弧発生抑制要求に対しては、一層の改善の必要性を認めると共に特に他の施策の開発が重要となっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記した様に高耐圧接点材料としては、前記したCu−Bi合金、Cu−Te合金、Cu−Cr合金に優先して、Cu−W合金又はCu−Mo合金を適用してきたが、更に強まる低再点弧化の要求に対しては十分な接点材料とはいえない実情となっている。即ち、今まで優先して使用してきたCu−W合金又はCu−Mo合金でも、より過酷な高電圧領域及び突入電流を伴う回路ではやはり再点弧現象の発生や、Cu−W合金又はCu−Mo合金の材料特性に起因する接触抵抗特性の不安定さの存在が課題として指摘されている。
【0014】
そこで上記基本三要件を一定レベルに維持した上で、特に再点弧特性と接触抵抗特性に優れた真空バルブ用接点材料の開発が望まれている。
【0015】
そこで本発明の目的は上記の事情に鑑みてなされたもので、Cu−W合金又はCu−Mo合金の冶金的諸条件を最適化することにより、接触抵抗特性と再点弧特性とを同時に向上させることが出来る接点を備えた真空バルブを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に従う真空内で接点の開閉を行うことで、電流の遮断、導通を行う真空バルブにおいて、前記接点は、耐アーク性成分として0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ65〜85質量%のWと、再点弧安定化補助成分として0.09〜1.4質量%のCuxSb化合物と、導電性成分としてCu又はCuSb合金を残部として構成した接点材料により製造する。
【0017】
Wの平均粒子直径が9μmを超えると、CuxSb化合物の均一分散性を妨げる。0.4μm未満では、素材中に残存するガス量が多くなり、接点材料として好ましくない。W量が65〜85%の範囲において、接触抵抗特性と再点弧特性とを好ましい範囲で両立する。Wの量が85%を超えると、接触抵抗特性が低下し、Wの量が65%未満では再点弧特性が低下する。CuxSb化合物の量が0.09〜1.4%の範囲に於いて、接触抵抗特性と再点弧特性とを好ましい範囲で両立する。CuxSb化合物の量が1.4%を超えると接触抵抗特性と再点弧特性が共に低下する。CuxSb化合物の量が0.09%未満では、接点合金中のSb量の制御が困難で、接点面上でのSb成分の均一な分散分布が得られず、接触抵抗特性と再点弧特性が共に低下する。
【0018】
本発明に従う真空内で接点の開閉を行うことで、電流の遮断、導通を行う真空バルブにおいて、前記接点は、耐アーク性成分として0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ65〜85質量%のWと0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ0.001〜5質量%のMoとをその大きさが0.4〜10μmの範囲にあるように一体化したものと、再点弧安定化補助成分として0.09〜1.4質量%のCuxSb化合物と、残部を導電性成分としてCu又はCuSb合金とで成る接点材料により製造される。
【0019】
所定の少量のMoの存在は、遮断動作あるいは開閉動作に於いてWが受ける熱的、機械的衝撃に対して、Wの塑性変形能力を改善し、Wの極めてミクロ部分での欠けを抑止する効果を発揮する。その結果再点弧発生頻度の特にばらつき幅の圧縮に寄与する。Mo量が5%を超えるとその効果が低くなる。
【0020】
本発明に従う真空内で接点の開閉を行うことで、電流の遮断、導通を行う真空バルブにおいて、前記接点は、耐アーク性成分として0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ50〜75質量%のMoと、再点弧安定化補助成分として0.09〜1.4質量%のCuxSb化合物と、導電性成分としてCu又はCuSb合金を残部として構成した接点材料により製造する。
【0021】
Moの平均粒子直径が9μmを超えると、CuxSb化合物の均一分散性を妨げる。0.4μm未満では、素材中に残存するガス量が多くなり、接点材料として好ましくない。Mo量が50〜75%の範囲において、接触抵抗特性と再点弧特性とを好ましい範囲で両立する。Moの量が75%を超えると、接触抵抗特性が低下し、Moの量が50%未満では再点弧特性が低下する。CuxSb化合物の量が0.09〜1.4%の範囲に於いて、接触抵抗特性と再点弧特性とを好ましい範囲で両立する。CuxSb化合物の量が1.4%を超えると接触抵抗特性と再点弧特性が共に低下する。CuxSb化合物の量が0.09%未満では、接点合金中のSb量の制御が困難で、接点面上でのSb成分の均一な分散分布が得られず、接触抵抗特性と再点弧特性が共に低下する。
【0022】
本発明に従う真空内で接点の開閉を行うことで、電流の遮断、導通を行う真空バルブにおいて、前記接点は、耐アーク性成分として0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ50〜75質量%のMoと0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ0.001〜5質量%のWとをその大きさが0.4〜10μmの範囲にあるように一体化したものと、再点弧安定化補助成分として0.09〜1.4質量%のCuxSb化合物と、残部を導電性成分としてCu又はCuSb合金とで成る接点材料により製造される。
【0023】
所定の少量のW(Moと一体化してMoWを形成)の存在は、遮断動作あるいは開閉動作に於いてWが受ける熱的、機械的衝撃に対して、Moの塑性変形能力を改善し、接触面で起きるMoの極めてミクロ部分での欠けを抑止する効果を発揮する。その結果、再点弧発生頻度の特にばらつき幅の圧縮に寄与する。W量が5%を超えるとその効果が低くなる。
【0024】
この発明の好ましい他の一態様に於いて、前記CuSb合金は、Sbを0.5%以下固溶している。
【0025】
Sbを0.5%以上固溶するCuSb合金は、導電率を著しく低下させ接点材料として活用できない。
【0026】
この発明の好ましい他の一態様に於いて、前記CuxSb化合物のxは、x=1.9〜5.5である。
【0027】
Cuに対するxの比率が1.9〜5.5の範囲以外では接点面の平滑性が得難い。
【0028】
この発明の好ましい他の一態様に於いて、前記CuxSb化合物は、Cu5.5 Sb、Cu4.5 Sb、Cu3.65Sb、Cu3.5 Sb、Cu3 Sb、Cu11Sb4 、Cu2 Sbの群の中のひとつ以上のいずれかである。
【0029】
これらの形態を示す時には、銀ロウ付け工程後、遮断後の様な加熱後であっても接点中のSb成分は安定して容易に均一に残存する。
【0030】
この発明の好ましい他の一態様に於いて、前記CuxSb化合物の平均粒径(平面形状が円形の時にはその直径。長方形、楕円、多角形の時にはその面積を円形に換算しその直径)は、0.02〜20μmの粒子寸法である。
【0031】
20μm以上では再点弧特性が著しく低下すると共に接触抵抗特性も著しく低下する。0.02μm未満の素材は、均一な素材を製造する事が経済的に困難である。しかも0.02μm未満の部分を選択して評価したが、接触抵抗特性は異常ないが再点弧特性に著しいばらつきが発生する。
【0032】
この発明の好ましい他の一態様に於いて、前記CuxSb化合物の平均粒子間距離は、0.2〜300μm隔離して高度に分散させている。
【0033】
化合物粒子を0.2μm未満隔離させる事は、接点の製造技術上困難であった。300μm以上隔離しているとCuxSb化合物は凝集し巨大化する傾向を示し、化合物の脱落など接点面の平滑性が得難い。また再点弧発生頻度に著しいばらつきが発生する。
【0034】
この発明の好ましい他の一態様に於いて、前記接点の前記接触面の平均表面粗さ(Rave.)を10μm以下、最小値(Rmin.)を0.05μm以上とする。
【0035】
10μm以上では、接触抵抗特性に著しくばらつきが見られる。0.05μm未満の接点表面を得る事は生産性の点で課題を生ずる。
【0036】
この発明の好ましい他の一態様に於いて、前記接点の前記接触面の他方の面に少なくとも0.3mmの厚さを有するCu層を付与する。
【0037】
電極や通電軸との銀ロウ付け作業を容易にする。
【0038】
この発明の好ましい他の一態様に於いて、前記接点の前記接触面に、少なくとも10kVの電圧を印加した状態で、1〜10mAの電流を遮断させ表面仕上げする。
【0039】
1〜10mAの範囲に於いて再点弧発生頻度を著しく低減する。1mA未満では、その効果が見られない。10mAを超えると接触面に凹凸を与え、逆に再点弧発生にばらつきを生ずると共に接触抵抗にもばらつきを生ずる。
【0040】
この発明の好ましい他の一態様に於いて、請求項1乃至いずれかに記載の真空バルブを真空開閉装置に搭載する。
【0041】
(作用)
実施例に於ける再点弧発生の一般的状況;
一般にアークはアーク電圧の低い部分に停滞、集中する傾向を示す。接点に磁界(例えば縦磁界技術)を作用させながら電流遮断を行うと、遮断により発生したアークは、アーク電圧の低い部分に停滞、集中することなく接点電極面上を移動する。これによって接点面上での局部的な過度の損傷を軽減化し、遮断特性の改善、再点弧発生率の低減化に寄与している。すなわち、接点電極上をアークは容易に移動するため、アークの拡散が促進され、遮断電流を処理する接点電極面積の実質的増加につながり、遮断電流特性の向上に寄与する。更にアークの停滞、集中が低減化される結果、接点電極の局部的異常蒸発現象の阻止、表面荒れの軽減化の利益も得られ、再点弧抑制に寄与する。
【0042】
しかし、一定値以上の電流値を遮断すると、アークは接点面上の予測出来ない一点もしくは複数点の場所で停滞し、異常融解させ遮断限界に至る。また異常融解は接点電極材料の瞬時的爆発や蒸発を誘発し、それによって発生する金属蒸気は、開極過程(開極途中)にあった真空遮断器の絶縁回復性を著しく阻害し、遮断限界の一層の低下を招く。さらに前記異常融解は、巨大な融滴を作り接点電極面の荒れを招き耐電圧特性の低下、再点弧発生の増加、材料の異常な消耗をも招く。これらの現象の生成原因となるアークが、接点電極面上のどこで停滞するかは前述したように全く予測出来ない以上、発生したアークが停滞させることなく移動拡散できるような表面条件を接点に与えることが望ましい。
【0043】
本発明での再点弧の発生時期;
前記した様に、再点弧現象の発生メカニズムは未だ知られていないが、本発明者らの実験観察によれば、再点弧は真空バルブ内の接点/接点間、接点/アークシールド間でかなり高い頻度で発生している。その為、本発明者らは、例えば接点がアークを受けた時に放出される突発性ガスの抑制、接点表面形態の最適化などを進め、再点弧の発生抑制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大幅に低減化した。再点弧の発生に対する本発明者らの前記模擬再点弧発生実験による詳細な解析結果では、接点材料が直接的に関与する場合と電極構造、シールド構造など設計に関与する場合と予期しない高電圧暴露など電気的機械的外部条件などが関係していた。しかし、近年の真空バルブに対する高耐電圧化要求、大電流遮断化要求、小形化要求には上記接点の改良のみではすでに限界と考えられ、これら以外に於いても改良最適化が必要となってきた。
【0044】
本発明者らは、セラミックス製絶縁容器外管、接点、アークシールド、金属蓋体、通電軸、封着金具、ベローズなど各構成部材を適宜真空バルブ内へ装着したり取外ししたりしながら模擬再点弧発生実験を行ったところ、直接アークを受ける接点の組成、材質とその状態、その製造条件が再点弧発生に対して重要であるとの知見を得ている。特に材質的には脆性な為投入時、遮断時の衝撃によって電極空間への微小金属粒子の放出、飛散が多く観察されたCu−Bi、Cu−Te、Cu−Cr合金よりも高硬度、高融点性のCu−W又はCu−Moの方が有利であるとの知見も得ている。更に重要な観察知見は同じCu−W又はCu−Moであっても電極空間への微小金属粒子の放出、飛散にある程度のばらつきが存在し、Cu−W又はCu−Moの製造過程での特に焼結温度の高い方が、再点弧発生の抑制に有利な傾向にある事であった。
【0045】
また、本発明者らの再点弧現象の発生の時期とCu−W又はCu−Moの材料状態との関わりとを観察した結果では、(イ)接点組織およびその状態(偏析、均一性)については、製造プロセスの特に混合条件の最適化と相関し、電流遮断開閉の経過回数とは関係無くランダムな再点弧現象の発生がみられる特徴がある。(ロ)接点表面に付着、吸着したガスや水分の量、状態については、あらかじめ仕上げられた接点の加工後の管理環境の問題であって、直接焼結技術が関与するものではないが、電流遮断開閉回数の比較的初期から再点弧現象の発生が見られる特徴がある。(ハ)接点内部に内蔵している異物の量、状態などの接点内部の状態については、原料粉末の品質(Cu粉、W粉又はMo粉の選択)及び原料の混合状態がポイントとなり、電流遮断回数の経過の比較的後半に発生した再点弧の原因と考えられるなど製造プロセスの重要性が示唆される。
【0046】
以上から、再点弧現象の発生の時期は、電流遮断回数の進展に対して見掛け上では、関係無く見えるが、上記(イ)(ロ)(ハ)の様に各発生の時期によってその原因は異なっている事が判明した。このことが各真空バルブ毎に再点弧現象の発生にばらつきが生じていた重要な一因とも考えられた。
【0047】
本発明合金の作用;
本発明合金は、接点全体の耐アーク性(アーク消耗)と、遮断投入動作や開閉動作に伴う機械的消耗特性とを向上させる機能を持つW(WMo)又はMo(MoW)と、接点全体の導電性を確保すると共に接触抵抗を低く安定に維持させる機能を持つCu(CuSb固溶体)と、W(WMo)又はMo(MoW)の過熱によるCu、CuSb固溶体、CuxSb化合物の過度の蒸発損失を緩和させ、再点弧安定化成分としての機能を分担するCuxSb化合物とで構成される。CuxSb化合物は結果的に再点弧安定化成分として機能した。
【0048】
作用(1):本発明合金はCu−W合金中のW(WMo)又はMo(MoW)量やW(WMo)又はMo(MoW)粒径を最適化した事。W(WMo)又はMo(MoW)によって囲まれる導電性成分(Cu相、CuSb固溶体)の大きさも50μm以下または50μm以下所定面積以上占める様に制限し、接点合金全体の組織の微細均一化を図った事。さらにCuxSb化合物の粒径を所定値(0.02〜20μm)の範囲に制御した事、CuxSb化合物の平均粒子間距離を所定値(0.2〜300μm)の範囲に制御した事などによって、CuxSb化合物を高度に分散させた状態とした上、CuxSb化合物が接点面で凝集したり、接点面から脱落するのを軽減化したので、アークを受けた時に選択的に優先して蒸発、飛散するCuxSb化合物量を最小限化し、接点面にCuxSb化合物粒子を均一に分布させたり、接点面には薄膜状のCuxSb化合物成分を均一に分布させた。その効果として再点弧特性や接触抵抗特性の安定性を発揮させた。
【0049】
作用(2):合金中のW(WMo)又はMo(MoW)の平均粒径とCuxSb化合物の平均粒径とをほぼ同じレベル(大きさ)に制御した事によって、W(WMo)又はMo(MoW)粒子の飛散脱落も軽減させた。また、Cu(CuSb固溶体)とW(WMo)又はMo(MoW)との間の濡れ性を改良し、W(WMo)又はMo(MoW)粒子とCu(CuSb固溶体)との密着強度をも向上させた。被アーク時の熱衝撃によっても、再点弧発生に対して有害な著しいCuxSb化合物の接点面からの欠け落ちをも抑止した。その効果として再点弧特性や接触抵抗特性の安定性を発揮させた。
【0050】
作用(3):W(WMo)又はMo(MoW)の存在状態の制御によって、合金組織の均一化を図ったので、アークを受けた後でも接点表面は再点弧発生に対して安定した状態を得た。
【0051】
作用(4):変形例としてCu−W又はCu−Mo中のMo又はWの存在は投入時、遮断時の衝撃による電極空間への微小金属粒子の放出、飛散の低減に有益である事を認めた。通常は投入、遮断時には、W又はMo表面に欠けの発生が見られ、且つその一部は飛散したり脱落したりする場合があり、Cu−W又はCu−Moの中へのMo又はWの存在によって、CuとMo又はCuとWとの結び付きの強化と極く微小面積での塑性変形能力とを改善する。前記したCuxSb化合物の平均粒径と平均粒子間距離を所定値以内に制御した効果とが重畳される。
その結果脱落粒子の発生自体を少なくすると共に若し脱落粒子が存在してもその痕跡の先端部にある程度の丸みを与えている効果を発揮する。その為接点表面状態の程度を表現する電界強化係数βが、100以上から100以下に改善されていた。遮断中の電極空間への微小金属粒子の放出、飛散の低減に特に有益である。CuxSb化合物は結果的に再点弧安定化成分として機能した事を示している。その結果投入時、遮断時の衝撃によっても微小金属粒子の生成が少なく抑制されると共にその放出、飛散量が少なくなり、再点弧抑制に寄与すると共に接触抵抗特性の安定化にも寄与している。この様に、最適化した平均粒径と平均粒子間距離を持つ前記したCuxSb化合物の効果と、W(WMo)又はMo(MoW)による電界強化係数βの改善の利益は安定した接触抵抗特性と再点弧特性とを同時に得る。
【0052】
これらの望ましい作用の相乗的効果によって、本合金中のCuxSb化合物は、遮断電流特性を維持した上でCu−W又はCu−Mo合金の安定した接触抵抗特性と再点弧発生頻度の抑制を得た。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の真空バルブの第1の実施の形態について説明する。
【0054】
本発明の第1の実施の形態の要旨は、Cu−W系接点を搭載した真空バルブに於いて、真空バルブの再点弧現象発生の抑制軽減化と接触抵抗の安定化の為に、所定のW(WMo)とCuxSb化合物とCu(CuSb固溶体)とで構成され、構成成分の量、大きさ、状態を最適に管理して効果を得た接点材料である。従って、構成成分の量、大きさ、状態(粒径や平均粒子間距離)の制御が重要なポイントとなる。
【0055】
次に本実施の形態の効果を明らかにした評価条件、評価方法などを示す。
【0056】
(1)再点弧特性
ー方が250mmの曲率半径、他方が平面の接触面を10μmの平均表面粗さに仕上げ加工して対向接触させた直径30mm、厚さ5mmの円盤状接点を、ディマウンタブル形真空バルブに装着し、6kV×500Aの回路を20000回遮断した時の再点弧発生頻度を測定した。接点の装着に際しては、ベーキング加熱(450℃×30分)のみ行い、ろう材の使用並びにこれに伴う加熱は行わなかった。
【0057】
(2)接触抵抗特性
上記接点をディマウンタブル形真空バルブに装着した直後の接触抵抗を、両者間に1kgの荷重を与えた状態で、24V110Aを印加した状態で接触面間の電位降下を求め、新品時(テスト前)の接触抵抗値(x)を算出した。更に上記6kV×500Aの回路を20000回遮断する再点弧テスト終了直後に、上記と同一電圧電流条件で電位降下を求めて、テスト後の接触抵抗値(y)を算出した。
【0058】
しかし、本例の接点材料に於いては、新品時であっても接点の諸条件や仕上げ加工の状況によって、接触抵抗は30〜200μΩの範囲に変動している。そこで、接触抵抗特性はテスト前とテスト後の比率によって評価した。テスト後の接触抵抗値(y)が新品時の接触抵抗値(x)の何倍に変化したか、(y/x)値を接触抵抗特性として図1の表図に示した。
【0059】
(3)各接点の製造方法の一例
[Cu−W−CuxSb]合金を製造する場合、工業的には5通りの方法の選択が可能である。
【0060】
第1の方法は、まず予めCuxSb化合物を製造し、このCuxSb化合物を粉砕してCuxSb化合物粉末を製造する。次いでCu粉末(又はCuSb固溶体粉末)、W粉末、CuxSb化合物粉末の各々を所定量秤量した後、充分混合し、例えば4トン/cm2 の加圧力で成型、焼結して接点素材とする。
【0061】
第2の方法は、まず予め所定の空隙量に調整した(CuW)スケルトン、(CuSb固溶体W)スケルトン、(W)スケルトンを例えば1200℃で製造する。別にCuxSb化合物、CuSb合金を製造する。次いでいずれかのスケルトンの所定の空隙中に、Sb成分(前記CuxSb化合物、CuSb合金)を例えば1150℃で溶浸し、接点素材とする。
【0062】
第3の方法は、Cu−W合金中に占めるCuxSb化合物量が、(Cu+W)量に比較して著しく少量な為、合金中でのCuxSb化合物の均質混合性を良くする必要がある。その手段として、例えば最終的に必要なCuxSb化合物量の内の一部または総てと、これとほぼ同容積のWとを混合(必要によりCuを追加)して第1次混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返す)。
【0063】
この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りのW粉とを再度混合し、最終的に十分に良好な混合状態にある(W+CuxSb化合物)混合粉を得る。この(W+CuxSb化合物)混合粉と所定量のCu粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Cu−W−CuxSb接点素材を製造した後、これを所定形状に加工して接点とする。
【0064】
また、最終的に必要なCuxSb化合物量の内の一部または総てと、これとほぼ同容積のCuとを混合(必要によりWを追加)して第1次混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返す)。
【0065】
この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りのCu粉とを再度混合し、最終的に十分に良好な混合状態にある(Cu+CuxSb化合物)混合粉を得る。この(Cu+CuxSb化合物)混合粉と所定量のW粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、{Cu−W−CuxSb}接点素材を製造して、所定形状に加工して接点とする。
【0066】
第4の方法は、イオンプレーティング装置やスパッタリング装置を用いた物理的方法或いはボールミル装置を用いた機械的方法で、W粉の表面にCuxSb化合物を被覆したW粉を得て、このCuxSb化合物被覆W粉とCu粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、{Cu−W−CuxSb}接点素材を製造した。
【0067】
第5の方法は、特にCu粉、W粉とCuxSb化合物粉との均一混合技術に於いて、揺動運動と撹拌運動とを重畳させる方法も有益である。これによって、混合粉は一般に行われているアセトンなどの溶剤使用時に見られる固まりとなったり、凝集体となったりする現象がなく、作業性も向上する。
【0068】
また混合作業での撹拌容器の撹拌運動の撹拌数Rと撹拌容器に与える揺動運動の揺動数Sとの比率R/Sをほぼ10〜0.1程度の好ましい範囲に選択すれば、解砕、分散、混合中の粉末へのエネルギー入力が好ましい範囲となり、混合作業での粉末の変質や汚染の程度を低く押さえる事ができる特徴を有する。
【0069】
従来のらいかい機などによる混合、粉砕では粉体を押し潰す作用が加わるが、揺動運動と撹拌運動とを重畳させる本方法では、前記R/S比率がほぼ10〜0.1程度に分布している為、粉体同士が絡み合う程度の混合となり、良好な通気性を持つ為、焼結性が向上し、良質な成型体または焼結体あるいはスケルトンを得る。更に必要以上のエネルギー入力がなく、粉体が変質する事がない。この様な状態の混合粉を原料とすれば、焼結、溶浸後の合金も低ガス化が可能となり、再点弧特性の安定化に寄与している。
【0070】
次に本発明の第2の実施の形態を以下に示す実施例を参照して詳細に説明する。
【0071】
実施例1〜3
まず、遮断テスト用実験バルブの組立ての概要を示す。端面の平均表面粗さを約1.5μmに研磨したセラミックス製絶縁容器(主成分:Al 2 3 )を用意し、このセラミックス製絶縁容器に対して組立て前に1650℃の前加熱処理を施した。
【0072】
封着金具として、板厚さ2mmの42%Ni−Fe合金を用意した。
【0073】
ロウ材として、厚さ0.1mmの72%Ag−Cu合金板を用意した。
【0074】
上記用意した各部材を被接合物間(セラミックス製絶縁容器の端面と封着金具)に気密封着接合が可能のように配置して、5×10−4Paの真空雰囲気で封着金具とセラミックス製絶縁容器との気密封着工程に供する。
【0075】
次いで、供試接点材料の内容、評価内容と結果などについて示す。
【0076】
{Cu−W−CuxSb−残部Cu}合金(x=2)に於いて、原料粉として平均粒径が1.5μmのWを用意し、前記第1〜第5の製造法を適宜選択しながら、{60〜92質量%W−CuxSb残部Cu}の接点素材を製造した。これらの素材を所定形状の接点試験片に加工後、接触面の表面粗さを2μmに仕上げ試験片とした。その内容を図1の表図に、評価条件と結果を図2の表図に示した。
【0077】
まず、図1の表図の実施例2に示した{75%W−CuSb残部Cu}合金の再点弧特性、接触抵抗特性を測定し、その値を標準値とした。
【0078】
これに対して、比較例1の{60%W−Cu Sb−残部Cu}合金の場合では、6kV×500Aの回路を20000回遮断した時の再点弧特性は、1.34〜2.16%の高い再点弧発生頻度とばらつきを示し、標準とした実施例2の{75%W−Cu Sb−残部Cu}合金の場合よりも著しく劣り好ましくなかった。
【0079】
再点弧特性測定後の接触抵抗特性は、実施例1では、合金中に占めるCu量の効果によって、実施例1を100にした場合の約1/2程度(42.4〜61.8)にあり、大部分の領域では低く安定した接触抵抗特性を発揮している。
【0080】
一方、実施例1のように、W量が{65%のW−Cu Sb−残部Cu}合金及び実施例3のように、{85%W−Cu Sb−残部Cu}合金の場合に於いては、0.96〜0.99、0.93〜0.95の許容される範囲の再点弧発生頻度を示した。一方、実施例2の値を100として対比した接触抵抗は、実質的には支障のない100.1〜128、118.6〜142.5の範囲を示した。
【0081】
これに対して、比較例2の{92%W−Cu Sb−残部Cu}合金の場合では、0.91〜0.94の範囲の安定した再点弧発生頻度とばらつき特性を示しているものの、接触抵抗値が719〜1634と著しく高く、且つ大きなばらつきを示し、実用には供し得ないのみならず、別のテストによれば、通電中の温度上昇値も高い。500A遮断により接点面には過熱により局部的に亀甲状の亀裂の発生が見られた。遮断表面に巨大な亀裂の生成とその一部の脱落が見られている。再点弧特性は好ましい範囲にあるもののCu量の不足による導電性低下、ジュール熱の発生が主因となって接触抵抗値が大幅に高い部分が存在する。
【0082】
以上のように比較例1の{60%W−Cu Sb−残部Cu}合金では、再点弧の多発、接触抵抗値の大幅な増加が見られ、又、比較例2の{92%W−Cu Sb−残部Cu}合金では、接触抵抗値のより大幅な増加が見られる等で好ましくなく、本発明の目的に対して、W量は65〜85%(実施例1〜3)の範囲が総合的に安定性を示していることが判明した。
【0083】
実施例4〜7
前記実施例1〜3では、{W−CuSb−残部Cu}合金中のMo量を0(ゼロ)とした場合の効果について示したが、本発明の効果はこれに限ることなく発揮される。
【0084】
即ち{75%W−Cu Sb−残部Cu}合金に於いて、Mo量を0.001〜5%とした時、実施例2の再点弧特性を1.00とすると、0.94〜0.98倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。又、実施例2の接触抵抗値を100とすると、95.4〜159.6倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0085】
接点表面の観察によれば、Mo量の所定量の存在はWの欠けをある程度抑止する傾向を持つ。しかし、比較例3でMo量を12%とした場合では、0.96〜1.36の再点弧特性を示し、好まくなく、標準とする実施例2の特性より再点弧の多発、大幅なばらつきの発生が見られ、好ましくなかった上に、128.7〜273.2の接触抵抗値を示し、標準とする実施例2の特性より大幅なばらつきの発生が見られ、好ましくなかった。又、接点表面の観察によれば、Wの欠けを抑制する効果が低い事が示された。WMo一体化粒子が組成的に偏析の状態となった。このような偏析にあると、再点弧特性、接触抵抗値にばらつきが発生する傾向にあった。従ってMo量は図1の表図の実施例4〜7に示すように0.001〜5%の範囲で総合的に安定性を示していることが判明した。
【0086】
実施例8〜9
前記実施例1〜3及び比較例1〜2では、{W−Cu Sb−残部Cu}合金中のW量を60〜92%とし、Wの平均粒子を1.5μmとした場合の効果について、又、前記実施例4〜7及び比較例3では、{WMo−Cu Sb−残部Cu}合金中のMo量を0.001〜12%とし、WMo一体化粒子の平均粒子を1.5μmとした場合の効果について示したが、本発明効果は平均粒子が1.5μmに限ることなく発揮される。
【0087】
即ち、図1の表図の実施例8〜9に示すように、Mo量を0とし、W量を75%とした{W−Cu Sb−残部Cu}合金とした場合に於いて、平均粒子が0.4μm、9μmとしても再点弧発生倍率は0.88〜1.02の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した特性を示した。
【0088】
接触抵抗倍率も実施例2を100とすると、95.2〜138.2倍の相対値を示し、実質的に好ましい範囲となっている。
【0089】
これに対して、Wの平均粒子が0.1μm(比較例4)とした時には、接触抵抗倍率は90.5〜99.6の範囲にあり、極めて良好の範囲にあったが、再点弧発生倍率が2.66〜3.18を示し、標準とする実施例2の特性より再点弧特性の著しい低下が見られ好ましくなかった。その原因として、使用したWの平均粒子が極めて微細の0.1μmであった事に起因して、接点素材中のガス量を調査した結果、十分には除去できずに残存した事が特に再点弧の多発に影響したものと考えられる。
【0090】
また、平均粒子が比較的粗粒子の15μmとした場合での再点弧発生倍率は3.42〜6.28(倍)の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と比較して大きなばらつきを示し、安定性に於いて欠落した特性を示した。接触抵抗倍率も実施例2を100とすると、118〜784倍の相対値を示し、実質的に好ましく無い範囲となっている(比較例4〜5)。尚、再点弧が多発した為、評価は所定の20000回を実施せず、2000回で中止した。接点素材中のガス含有量が大幅に多かった。
【0091】
実施例10〜15
前記実施例1〜9では、{W−CuxSb−残部Cu}合金中の補助成分は、x=2とした場合の効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0092】
即ち、図1の表図の実施例10〜15のように、補助成分のCuxSb中のxを、1.9〜5.5とした時には、実施例2の再点弧特性を1.00とすると、0.98〜1.04倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。実施例2の接触抵抗値を100とすると、95.4〜124.1倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0093】
これに対して、比較例6のように、CuxSbWの中のxを1.9未満とした時には、接触抵抗倍率は98.0〜124.1の範囲にあり、標準とする実施例2の特性と比較して同等の特性の範囲にあったが、再点弧発生倍率0.98〜4.18を示し、標準とする実施例2の特性と比較して、ばらつきが大きく好ましくなかった。
【0094】
その原因としてCuxSbWの中のxを1.9未満とした為、Sbの分布を十分均一に分散させる事が出来ず、場所によりSbが存在していない広範な領域(Sb偏析)が存在した。
【0095】
以上から{W−CuxSb−Cu}合金中のxは、x=2.75〜5.5とする事が望ましいことが判った。
【0096】
実施例16〜18
前記実施例1〜15では、{W−CuxSb−残部Cu}合金中の補助成分CuxSbの量を0.11質量%とした場合の効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0097】
即ち、図1の表図の実施例16〜18に示すように、CuxSbの量を、0.09〜1.4%とした時には、実施例2の再点弧特性を1.00とすると、0.94〜1.01倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。実施例2の接触抵抗値を100とすると、99.7〜146.6倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0098】
これに対して、比較例7のように、CuxSbのを0.03%とした時には、実施例2の接触抵抗値を100とすると、90.0〜95.9倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。しかし実施例2の再点弧特性を1.00とした時、0.31〜3.36倍の再点弧倍率を示し、標準とする実施例2の特性と比較して、著しく大きなばらつきを示した。その原因として、合金製造時の技術的理由によって、CuxSbが十分均一に分散させた合金を経済的に得る事が出来なかった事に起因している。
【0099】
更に、比較例8のように、CuxSbのを2.3%とした時には、実施例2の接触抵抗値を100とすると、181.5〜446.0倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と比較して、著しくばらつきの大きな接触抵抗特性を示した。又、この例では実施例2の再点弧特性を1.00とした時、2.02〜6.62倍の再点弧倍率を示し、標準とする実施例2の特性と比較して、著しく大きなばらつきを示した。その原因として過大なCuxSb量によって、銀ロウ付け不良が起こり易い事、十分均一にCuxSbを分散させた合金を経済的に得る事が出来なかった事に起因している。
【0100】
以上から{W−CuxSb−Cu}合金中の補助成分CuxSbの量は、0.09〜1.4%の範囲とする事が望ましいことが判明した。
【0101】
実施例19〜20
前記実施例1〜18では、{W−CuxSb−残部Cu}合金中の補助成分CuxSb粒子の大きさを7μmとした場合の効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0102】
即ち、図1の表図の実施例19〜20に示すように、CuxSb粒子の大きさを0.02〜20μmとした時には、実施例2の再点弧特性を1.00とすると、0.94〜0.99倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。接触抵抗特性も、実施例2の接触抵抗値を100とすると、97.1〜124.8倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0103】
これに対して、比較例9に示すように、補助成分CuxSb粒子の大きさを0.02μm未満とした時にはCuxSb粒子を微細均一に分散させた組織を持つ接点素材の量産的製造が困難であった為、テストを中止し、有効範囲から除外した。
【0104】
更に、比較例10に示すように、CuxSb粒子の大きさを34μmとした時には、実施例2の接触抵抗値を100とすると、216.3〜417.4倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と比較して、著しく劣化し、且つばらつきも大きな接触抵抗特性を示す。また実施例2の再点弧特性を1.00とした時、0.99〜2.46倍の再点弧倍率を示し、標準とする実施例2の特性と比較して、著しく大きなばらつきを示した。
【0105】
その原因として接触抵抗の高い粗大なCuxSb粒子の存在の為接触点が丁度この粗大なCuxSb粒子上となる確率の問題から、接触抵抗に大きなばらつきとして表れる事、接合性の良くないCuxSb粒子の量が多い為、銀ロウ付け不良が起こり易い事、十分均一にCuxSbを分散させた合金を経済的に得る事が出来なかった事に起因している。
【0106】
以上から{W−CuxSb−Cu}合金中の補助成分CuxSbの大きさは0.02〜20.0μmの範囲とする事が望ましい。
【0107】
実施例21〜24
前記実施例1〜20では、{W−CuxSb−残部Cu}合金中の補助成分CuxSb粒子の平均粒子間距離を25μmとした場合の効果について示したが、本発明効果ではこれに限ることなく発揮される。
【0108】
即ち、図1に示した表図の実施例21〜24のCuxSb粒子の平均粒子間距離を0.2〜300μmとした時には、実施例2の再点弧特性を1.00とすると、0.98〜1.24倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。接触抵抗特性も、実施例2の接触抵抗値を100とすると、95.3〜144.7倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0109】
これに対して、比較例11のように、補助成分CuxSb粒子の平均粒子間距離を0.2μm未満とした時には、前記比較例9と同じ状況即ち、CuxSb粒子間距離を0.2μm未満に微細に分散させた組織を持つ接点素材を量産的に製造する事が困難であった為、テストを中止しすると共に本発明の有効範囲から除外した。
【0110】
更に、比較例11のように、CuxSb粒子の平均粒子間距離を600μmとした時には、実施例2の再点弧特性を1.00とした時、2.16〜5.58倍の再点弧倍率を示し、標準とする実施例2の特性と比較して、著しく劣り且つ大きなばらつきを示した。
【0111】
また実施例2の接触抵抗値を100とすると、128.7〜275.5倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と比較して、著しく劣化し且つばらつきも大きな接触抵抗特性を示した。
【0112】
接触抵抗の高いCuxSb粒子とCuxSb粒子同士の間の間隔を大とした事により、比較的接触抵抗の低いCu相若しくはCuSb合金相の間隔も大となリ、従って組織的に粗大な組織状態となった事により、接触点の位置によって接触抵抗値に大きなばらつき幅を示した。再点弧特性に於いても粗大な組織状態が原因してカソードスポットの位置によって同様のばらつき状態が示され、再点弧値も大きなばらつき幅を示した。
【0113】
以上から{W−CuxSb−Cu}合金中の補助成分CuxSbの平均粒子間距離は、0.2〜300μmの範囲とする事が望ましい。
【0114】
実施例25〜27
前記実施例1〜24では、{W−CuxSb−残部Cu}合金中に於いて、導電性成分中のSbの量(CuSb固溶体中に固溶するSbの量)を0.01%とした場合の効果について示したが、本発明効果ではこれに限ることなく発揮される。
【0115】
即ち、図1の表図の実施例25〜27に示すように、導電性成分中のSbの量を0.004〜0.5質量%とした時には、実施例2の再点弧特性を1.00とすると、0.90〜1.02倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。接触抵抗特性も、実施例2の接触抵抗値を100とすると、98.3〜145.5倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0116】
しかし、比較例13のように、導電性成分中のSbの量を0.5質量%以上とした時には、実施例2の再点弧特性を1.00とした時、1.00〜2.24倍の再点弧倍率を示し、標準とする実施例2の特性と比較して劣ることが分った。また、この比較例13では実施例2の接触抵抗値を100とすると、392.4〜617.7倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と比較して、著しく劣化し且つばらつきも大きな接触抵抗特性を示した。
【0117】
実施例28、29
前記実施例1〜27では、{W−CuxSb−残部Cu}合金に於いて、CuSb固溶体を導電性成分として採用した場合の効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0118】
即ち、導電性成分として{Cu+CuSb固溶体}の場合、{Cu}の場合のいずれとしても、実施例2の再点弧特性を1.00とすると、0.96〜0.99倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。接触抵抗特性も、実施例2の接触抵抗値を100とすると、90.8〜123.3倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0119】
尚、上記実施例1〜29では、{W−CuxSb−残部Cu}合金を製造後、接触面の表面粗さ(Rave.)を2μmとした場合の再点弧特性、接触抵抗特性に及ぼす効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0120】
即ち、平均表面粗さ(Rave.)を10μm以下、最小値(Rmin.)を0.05μm以上とした場合でも標準とする実施例2の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0121】
上記実施例1〜29では、電極や導電軸に{W−CuxSb−残部Cu}合金を直接銀ロウ付けして、電気回路を構成した場合の再点弧特性、接触抵抗特性に及ぼす効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0122】
即ち、{W−CuxSb−残部Cu}合金の接触面でない他方の面に少なくとも0.3mmの厚さを有するCu層を付与して、銀ロウ付け性を改善した場でも標準とする実施例2の特性と同等の安定した再点弧特性、接触抵抗特性を示した。
【0123】
上記実施例1〜29では、{W−CuxSb−残部Cu}合金を製造後、接触面の表面粗さ(Rave.)を2μmとした場合の再点弧特性、接触抵抗特性に及ぼす効果について示したが、{W−CuxSb−残部Cu}合金で形成した接触面に、少なくとも10kVの電圧を印加した状態で、1〜10mAの電流を遮断させ表面仕上げする事によって、一層安定した再点弧特性、接触抵抗特性を示した。
【0124】
以下、本発明の真空バルブの第2の実施の形態について説明する。
【0125】
本発明の第2の実施の形態の要旨は、Cu−Mo系接点を搭載した真空バルブに於いて、真空バルブの再点弧現象発生の抑制軽減化と接触抵抗の安定化の為に、所定のMo(又はMoW)とCuxSb化合物とCu(CuSb固溶体)とで構成され、構成成分の量、大きさ、状態を最適に管理して効果を得た接点材料である。従って、構成成分の量、大きさ、状態(粒径や平均粒子間距離)の制御が重要なポイントとなる。
【0126】
尚、本実施の形態の効果を明らかにする評価は再点弧特性及び接触抵抗特性について行われ、前実施の形態のそれと同一である。
【0127】
次にCu−Mo系接点の製造方法の一例について説明する。
【0128】
[Mo−CuxSb−Cu]合金を製造する場合、工業的には5通りの方法の選択が可能である。
【0129】
第1の方法は、まず、予めCuxSb化合物を製造する。CuxSb化合物を粉砕してCuxSb化合物粉末を製造する。次いでCu粉末(又はCuSb固溶体粉末)、Mo粉末、CuxSb化合物粉末の各々を所定量秤量した後、充分混合し、例えば4トン/cmの加圧力で成型、焼結して接点素材とする。
【0130】
第2の方法は、まず、予め所定の空隙量に調整した(MoCu)スケルトン、(Mo−CuSb固溶体)スケルトン、(Mo)スケルトンを例えば1200℃で製造する。別にCuxSb化合物、CuSb合金を製造する。次いでいずれかのスケルトンの所定の空隙中に、Sb成分(前記CuxSb化合物、CuSb合金)を例えば1150℃で溶浸し、接点素材とする。
【0131】
第3の方法は、Cu−Mo合金中に占めるCuxSb化合物量が、(Cu+Mo)量に比較して著しく少量な為、合金中でのCuxSb化合物の均質混合性を良くする必要がある。その手段として、例えば最終的に必要なCuxSb化合物量の内の一部または総てと、これとほぼ同容積のMoとを混合(必要によりCuを追加)して第1次混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返す)。
【0132】
この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りのMo粉とを再度混合し、最終的に十分に良好な混合状態にある(Mo+CuxSb化合物)混合粉を得る。この(Mo+CuxSb化合物)混合粉と所定量のCu粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、{Mo−CuxSb−Cu}接点素材を製造した後、これを所定形状に加工して接点とする。
【0133】
また、最終的に必要なCuxSb化合物量の内の一部または総てと、これとほぼ同容積のCuとを混合(必要によりMoを追加)して第1次混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返す)。
【0134】
この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りのCu粉とを再度混合し、最終的に十分に良好な混合状態にある(Cu+CuxSb化合物)混合粉を得る。この(Cu+CuxSb化合物)混合粉と所定量のMo粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、{Mo−CuxSb−Cu}接点素材を製造して、所定形状に加工して接点とする。
【0135】
第4の方法は、イオンプレーティング装置やスパッタリング装置を用いた物理的方法或いはボールミル装置を用いた機械的方法で、Mo粉の表面にCuxSb化合物を被覆したMo粉を得て、このCuxSb化合物被覆Mo粉とCu粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、{Mo−CuxSb−Cu}接点素材を製造した。
【0136】
第5の方法は、特にCu粉、Mo粉とCuxSb化合物粉との均一混合技術に於いて、揺動運動と撹拌運動とを重畳させる方法も有益である。これによって、混合粉は一般に行われているアセトンなど溶剤使用時に見られる固まりとなったり、凝集体となったりする現象がなく、作業性も向上する。
【0137】
また混合作業での撹拌容器の撹拌運動の撹拌数Rと撹拌容器に与える揺動運動の揺動数Sとの比率R/Sをほぼ10〜0.1程度の好ましい範囲に選択すれば、解砕、分散、混合中の粉末へのエネルギー入力が好ましい範囲となり、混合作業での粉末の変質や汚染の程度を低く押さえる事ができる特徴を有する。
【0138】
従来機などによる混合、粉砕では粉体を押し潰す作用が加わるが、揺動運動と撹拌運動とを重畳させる本方法では、前記R/S比率をほぼ10〜0.1程度に分布している為、粉体同士が絡み合う程度の混合となり、良好な通気性を持つ為、焼結性が向上し、良質な成型体または焼結体あるいはスケルトンを得る。
【0139】
更に必要以上のエネルギー入力がなく、粉体が変質する事がない。この様な状態の混合粉を原料とすれば、焼結、溶浸後の合金も低ガス化が可能となり、再点弧特性の安定化に寄与している。
【0140】
次に本発明の第2の実施の形態を以下に示す実施例を参照して詳細に説明する。
【0141】
実施例30〜32
また同様に、図3の表図に示した実施例31の{60%Mo−CuSb残部Cu}合金の再点弧特性、接触抵抗特性を測定し、その値を標準値とした。
【0142】
これに対して比較例14の{44%Mo−CuSb−残部Cu}合金の場合では、6kV×500Aの回路を20000回遮断した時の再点弧特性は、1.31〜2.05%の高い再点弧発生頻度とばらつきを示し、標準とした実施例31の{60%Mo−Cu2 Sb−残部Cu}合金の場合よりも著しく劣り好ましくなかった。
【0143】
再点弧特性測定後の接触抵抗特性は、比較例14では、合金中に占めるCu量の効果によって、実施例31を100にした場合の約1/2程度(40.2〜58.7)にあり、大部分の領域では低く安定した接触抵抗特性を発揮している。
【0144】
一方、実施例30のMo量が{50%のMo−CuSb−残部Cu}合金及び実施例32の{75%Mo−Cu2 Sb−残部Cu}合金の場合に於いては、夫々0.86〜0.90、0.83〜0.85の許容される範囲の再点弧発生頻度を示した。
【0145】
一方、実施例31の値を100として対比した接触抵抗は、実質的には支障のない95.1〜121、112.6〜135.4の範囲を示した。
【0146】
これに対して比較例15の{82%Mo−CuSb−残部Cu}合金の場合では、0.8〜0.84の範囲の安定した再点弧発生頻度を示しているものの、接触抵抗値が683.5〜1553.1と著しく高く且つ、大きなばらつきを示し、実用には供し得ないのみならず、別のテストよれば、通電中の温度上昇値も高く、500A遮断により接点面には過熱により局部的に亀甲状の亀裂の発生が見られた。その上、遮断表面に巨大な亀裂の生成とその一部の脱落が見られる。
結局、比較例15では、再点弧特性は好ましい範囲にあるものの、Cu量の不足による導電性低下、ジュール熱の発生が主因となって接触抵抗値が大幅に高い部分が存在することが分った。
【0147】
以上のように、比較例14の{44%Mo−CuSb−残部Cu}合金では、再点弧の多発、接触抵抗値の大幅な増加が見られ、又、比較例15の{82%Mo−CuSb−残部Cu}合金では、接触抵抗値のより大幅な増加が見られる等で好ましくなく、本発明の目的に対してMo量は実施例30〜32に示すように50〜75%の範囲が総合的に安定性を示していることが分かった。
【0148】
実施例33〜36
前記実施例30〜32では、{Mo−CuSb−残部Cu}合金中のW量を0(ゼロ)とした場合の効果について示したが、本発明の効果はこれに限ることなく発揮される。
【0149】
即ち、図4の表図に示したように実施例33〜36の{60%Mo−CuSb−残部Cu}合金に於いて、W量を0.001〜5%とした時、実施例31の再点弧特性を1.00とすると、0.84〜0.88倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。又、実施例31の接触抵抗値を100とすると、90.6〜129.0倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0150】
接点表面の観察によれば、Wの所定量の存在はMoの欠けをある程度抑止する傾向を持つ。しかし、比較例16のようにMo量を12%とすると、0.86〜1.36の再点弧特性を示し好ましい範囲にあり、標準とする実施例31の特性とほぼ同等の再点弧特性を発揮している。
【0151】
しかし、比較例16の接触抵抗倍率は122.3〜259.5を示し、標準とする実施例31の特性より大幅なばらつきの発生が見られ、好ましくなかった。又、接点表面の観察によれば、MoW一体化粒子が組成的に偏析の状態となり、Moの欠けを抑制する効果が低いことが示された。このような偏析にあると、再点弧特性、接触抵抗値にばらつきが発生する傾向にあった。従って添加するW量は実施例33〜36のように0.001〜5%の範囲で総合的に安定性を示していることが分った。
【0152】
実施例37、38
前記実施例30〜32及び比較例14、15では、{Mo−Cu Sb−残部Cu}合金中のMoを44〜82%とし、Moの平均粒子を1.5μmとした場合の効果について、又、前記実施例33〜36及び比較例16では、{MoW−Cu Sb−残部Cu}合金中のW量を0.001〜12%とし、MoW一体化粒子の平均粒子を1.5μmとした場合の効果について示したが、本発明効果は平均粒子が1.5μmに限ることなく発揮される。
【0153】
即ち、図3の表図に示した実施例37、38のW量を0とし、Mo量を60%とした{60Mo−Cu Sb−残部Cu}合金とした場合に於いて、平均粒子が0.4μm〜9μmとしても、再点弧発生倍率は0.79〜0.97の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した特性を示した。
【0154】
接触抵抗倍率も実施例31を100とすると、90.4〜131.3倍の相対値を示し、実質的に好ましい範囲となっていることが分る。
【0155】
これに対して、比較例17に示すように、Moの平均粒子が0.1μmとした時には、接触抵抗倍率は86.0〜94.6の範囲にあり、極めて良好の範囲にあったが、再点弧発生倍率が2.39〜2.86を示し、標準とする実施例31の特性よりも再点弧特性の著しい低下が見られて好ましくなかった。その原因として、使用したMoの平均粒子が極めて微細の0.1μmであった事に起因して、接点素材中のガス量を調査した結果、十分には除去できずに残存した事が特に再点弧の多発に影響したものと考えられる。
【0156】
また、比較例18に示すように平均粒子が比較的粗粒子の15μmとした場合では、再点弧発生倍率は3.08〜5.65(倍)の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と比較して大きなばらつきを示し、安定性に於いて欠落した特性を示した。接触抵抗倍率も実施例31を100とすると、比較例18では、112.9〜745.4倍の相対値を示し、実質的に好ましく無い範囲となっている。尚、再点弧が多発した為、評価は所定の20000回を実施せず、2000回で中止した。接点素材中のガス含有量が大幅に多かった。
【0157】
実施例39〜44
前記実施例30〜38では、{Mo−CuxSb−残部Cu}合金中の補助成分は、x=2とした場合の効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0158】
即ち、図4の表図に示した実施例39〜44の補助成分のCuxSb中のxを、1.9〜5.5とした時には、実施例31の再点弧特性を1.00とすると、0.86〜1.0倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。実施例31の接触抵抗値を100とすると、実施例39〜44では、90.6〜117.3倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0159】
これに対して、比較例19に示すように、CuxSbMoの中のxを1.9未満とした時には、接触抵抗倍率は93.1〜117.9の範囲にあり、標準とする実施例31の特性と比較して同等の特性の範囲にあったが、再点弧発生倍率が0.88〜3.97を示し、標準とする実施例31の特性と比較して、ばらつきが大きく好ましくなかった。その原因として、比較例19ではCuxSbWの中のxを1.9未満とした為、Sbの分布を十分均一に分散させる事が出来ず、場所によりSbが存在していない広範な領域(Sb偏析)が存在した。
【0160】
以上から{Mo−CuxSb−Cu}合金中のxは、x=1.9以上〜5.5とする事が望ましい。
【0161】
実施例45〜47
前記実施例30〜44では、{Mo−CuxSb−残部Cu}合金中の補助成分CuxSbの量を0.11質量%とした場合の効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0162】
即ち、図4の表図に示した実施例45〜47のCuxSbの量を、0.09〜1.4%とした時には、実施例31の再点弧特性を1.00とすると、0.84〜0.96倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。実施例31の接触抵抗値を100とすると、99.7〜146.6倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0163】
これに対して、比較例20で、CuxSbのを0.03%とした時には、実施例31の接触抵抗値を100とすると、85.5〜91.1倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0164】
しかし、又比較例20では、実施例31の再点弧特性を1.00とした時、0.21〜2.36倍の再点弧倍率を示し、標準とする実施例31の特性と比較して、著しく大きなばらつきを示した。その原因として、合金製造時の技術的理由によって、CuxSbが十分均一に分散させた合金を経済的に得る事が出来なかった事に起因している。
【0165】
更に、比較例21でCuxSbのを2.3%とした時には、実施例31の接触抵抗値を100とすると、172.4〜423.7倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と比較して、著しくばらつきの大きな接触抵抗特性を示した。
【0166】
又、比較例21では実施例31の再点弧特性を1.00とした時、1.92〜6.26倍の再点弧倍率を示し、標準とする実施例31の特性と比較して、著しく大きなばらつきを示した。その原因として過大なCuxSb量によって、銀ロウ付け不良が起こり易い。また十分に均一にCuxSbを分散させた合金を経済的に得る事が出来ないという不利益も有する。
【0167】
以上から{Mo−CuxSb−Cu}合金中の補助成分CuxSbの量は、実施例45〜47に示すように、0.09〜1.4%の範囲とする事が望ましいことが分った。
【0168】
実施例48、49
前記実施例30〜47では、{Mo−CuxSb−残部Cu}合金中の補助成分CuxSb粒子の大きさを7μmとした場合の効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0169】
即ち、図4の表図に示した実施例48、49のように、CuxSb粒子の大きさを0.02〜20μmとした時には、実施例31の再点弧特性を1.00とすると、0.85〜0.90倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。接触抵抗特性も、実施例31の接触抵抗値を100とすると、92.0〜118.6倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0170】
これに対して、比較例22で、補助成分CuxSb粒子の大きさを0.02μm未満とした時にはCuxSb粒子を微細均一に分散させた組織を持つ接点素材の量産的製造が困難であった為、テストを中止し、有効範囲から除外した。
【0171】
更に、比較例23で、CuxSb粒子の大きさを34μmとした時には、実施例31の接触抵抗値を100とすると、205.5〜396.5倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と比較して、著しく劣化し、且つばらつきも大きな接触抵抗特性を示した。また実施例31の再点弧特性を1.00とした時、0.89〜2.34倍の再点弧倍率を示し、標準とする実施例31の特性と比較して、著しく大きなばらつきを示した。
【0172】
その原因として接触抵抗の高い粗大なCuxSb粒子の存在の為、接触点が丁度この粗大なCuxSb粒子上となる確率の問題から、接触抵抗に大きなばらつきとして表れる事、接合性の良くないCuxSb粒子の量が多い為、銀ロウ付け不良が起こり易い事、十分均一にCuxSbを分散させた合金を経済的に得る事が出来なかった事に起因している。
【0173】
以上から{Mo−CuxSb−Cu}合金中の補助成分CuxSbの大きさは0.02〜20.0μmの範囲とする事が望ましいことが分った。
【0174】
実施例50〜53
前記実施例30〜49では、{Mo−CuxSb−残部Cu}合金中の補助成分、CuxSb粒子の平均粒子間距離を25μmとした場合の効果について示したが、本発明効果ではこれに限ることなく発揮される。
【0175】
即ち、図4の表図に示した実施例50〜53で、CuxSb粒子の平均粒子間距離を0.2〜300μmとした時には、実施例31の再点弧特性を1.00とすると、0.82〜1.11倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。接触抵抗特性も、実施例31の接触抵抗値を100とすると、90.5〜137.5倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0176】
これに対して、比較例24で、補助成分CuxSb粒子の平均粒子間距離を0.2μm未満とした時には、前記比較例22と同じ状況即ち、CuxSb粒子間距離を0.2μm未満に微細に分散させた組織を持つ接点素材を量産的に製造する事が困難であった為、テストを中止すると共に本発明の有効範囲から除外した。 更に、比較例25で、CuxSb粒子の平均粒子間距離を600μmとした時には、実施例31の再点弧特性を1.00とした時、1.94〜5.30倍の再点弧倍率を示した。又、比較例25で、標準とする実施例31の特性と比較して、著しく劣り且つ大きなばらつきを示した。また実施例31の接触抵抗値を100とすると、122.3〜261.7倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と比較して、著しく劣化し且つばらつきも大きな接触抵抗特性を示した。
【0177】
接触抵抗の高いCuxSb粒子とCuxSb粒子同士の間の間隔を大とした事により、比較的接触抵抗の低いCu相若しくはCuSb合金相の間隔も大となり、従って組織的に粗大な組織状態となった事により、接触点の位置によって接触抵抗値に大きなばらつき幅を示した。再点弧特性に於いても粗大な組織状態が原因してカソードスポットの位置によって同様のばらつき状態が示され、再点弧値も大きなばらつき幅を示した。
【0178】
以上から{Mo−CuxSb−Cu}合金中の補助成分CuxSbの平均粒子間距離は、実施例50〜53に示すように、0.2〜300μmの範囲とする事が望ましいことが分った。
【0179】
実施例54〜56
前記実施例1〜53では、{Mo−CuxSb−残部Cu}合金中に於いて、導電性成分中のSbの量(CuSb固溶体中に固溶するSbの量)を0.01%とした場合の効果について示したが、本発明効果ではこれに限ることなく発揮される。
【0180】
即ち、図4の表図に示した実施例54〜56で、導電性成分中のSbの量を0.004〜0.5質量%とした時には、実施例31の再点弧特性を1.00とすると、0.86〜0.97倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。接触抵抗特性も、実施例31の接触抵抗値を100とすると、95.7〜138.2倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0181】
しかし、比較例26のように、導電性成分中のSbの量を0.5質量%以上とした時には、実施例31の再点弧特性を1.00とした時、0.90〜2.01倍の再点弧倍率を示し、標準とする実施例31の特性と比較して劣ることが分った。また、比較例26では、実施例31の接触抵抗値を100とすると、372.4〜586.8倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と比較して、著しく劣化し且つばらつきも大きな接触抵抗特性を示した。
【0182】
実施例57、58
前記実施例30〜56では、{Mo−CuxSb−残部Cu}合金に於いて、CuSb固溶体を導電性成分として採用した場合の効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0183】
即ち、図4の表図に示した実施例57のように導電性成分が{Cu+CuSb固溶体}の場合、実施例58のように{Cu}の場合のいずれとしても、実施例31の再点弧特性を1.00とすると、0.86〜0.96倍の相対値を示し、標準とする実施例31の特性と同等の安定した再点弧特性を示した。接触抵抗特性も、実施例31の接触抵抗値を100とすると、86.3〜117.0倍の相対値を示し、標準とする実施例2の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0184】
尚、上記実施例1〜56では、{Mo−CuxSb−残部Cu}合金を製造後、接触面の表面粗さ(Rave.)を2μmとした場合の再点弧特性、接触抵抗特性に及ぼす効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0185】
即ち、平均表面粗さ(Rave.)を10μm以下、最小値(Rmin.)を0.05μm以上とした場合でも、標準とする実施例31の特性と同等の安定した接触抵抗特性を示した。
【0186】
上記実施例1〜58では、電極や導電軸に{Mo−CuxSb−残部Cu}合金を直接銀ロウ付けして、電気回路を構成した場合の再点弧特性、接触抵抗特性に及ぼす効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。
【0187】
即ち、{Mo−CuxSb−残部Cu}合金の接触面でない他方の面に少なくとも0.3mmの厚さを有するCu層を付与して、銀ロウ付け性を改善した場合でも、標準とする実施例31の特性と同等の安定した再点弧特性、接触抵抗特性を示した。
【0188】
上記実施例1〜58では、{Mo−CuxSb−残部Cu}合金を製造後、接触面の表面粗さ(Rave.)を2μmとした場合の再点弧特性、接触抵抗特性に及ぼす効果について示したが、{Mo−CuxSb−残部Cu}合金で形成した接触面に、少なくとも10kVの電圧を印加した状態で、1〜10mAの電流を遮断させて表面仕上げする事によって、一層安定した再点弧特性、接触抵抗特性を示した。
【0189】
尚、上記した第1、第2の実施の形態で説明した接点を備えた真空バルブは、真空開閉装置のみならず、真空遮断器にも搭載されて、同様の効果を得ることができる。
【0190】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、接点として{W−CuxSb−残部Cu}合金を搭載し、しかも、合金中の耐アーク成分としてW、WMoを採用し、しかもその量を65〜85%、その粒子直径を0.4〜9μmとした。更に補助成分としてCuxSbを採用し、しかもCuxSb量を0.09〜1.4%、CuxSbのxをx=1.9〜5.5、その粒子直径を0.02〜20μm、その平均粒子間距離を0.2〜300μmとした。更に導電成分としてCu、CuSb固溶体を採用し、CuSb固溶体中に固溶状態として存在するSb量を0.5%以下とした。その結果アークを受けた時に選択的に優先して蒸発するCuxSbの飛散を少なくなる様に制御するのみならず、被アーク時の熱衝撃によっても接点面上には、再点弧発生に対して有害な著しい亀裂発生も抑止され、W粒子の飛散脱落も軽減された。この様にCuxSbによって合金組織の均一化等の改良を図ったので、アークを受けた後でも接点表面の溶融、飛散損傷が少なくなり、再点弧抑止、接触抵抗特性の向上を図ることができる。
【0191】
又、接点として{Mo−CuxSb−残部Cu}合金を搭載し、しかも合金中の耐アーク成分としてMo、MoWを採用し、しかもその量を50〜75%、その粒子直径を0.4〜9μmとした。更に補助成分としてCuxSbを採用し、しかもCuxSb量を0.09〜1.4%、CuxSbのxをx=1.9〜5.5、その粒子直径を0.02〜20μm、その平均粒子間距離を0.2〜300μmとした。更に導電成分としてCu、CuSb固溶体を採用し、CuSb固溶体中に固溶状態として存在するSb量を0.5%以下とした。その結果アークを受けた時に選択的に優先して蒸発するCuxSbの飛散を少なくなる様に制御するのみならず、被アーク時の熱衝撃によっても接点面上には、再点弧発生に対して有害な著しい亀裂発生も抑止され、Mo粒子の飛散脱落も軽減された。この様にCuxSbによって合金組織の均一化等の改良を図ったので、アークを受けた後でも接点表面の溶融、飛散損傷が少なくなり、再点弧抑止、接触抵抗特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の真空バルブの第1の実施の形態を説明する実施例1〜29と比較例1〜13の条件を一覧とした表図である。
【図2】 本発明の真空バルブの第1の実施の形態を説明する実施例1〜29と比較例1〜13の特性を一覧とした表図である。
【図3】 本発明の真空バルブの第2の実施の形態を説明する実施例30〜58と比較例14〜26の条件を一覧とした表図である。
【図4】 本発明の真空バルブの第2の実施の形態を説明する実施例30〜58と比較例14〜26の特性を一覧とした表図である。

Claims (4)

  1. 真空内で接点の開閉を行うことで、電流の遮断、導通を行う真空バルブにおいて、
    前記接点は、0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ65〜85質量%のWと、
    0.02〜20μmの平均粒径と0.2〜300μmの平均粒子間距離を有し且つ0.09〜1.4質量%のCuSb、CuSbの少なくとも一方と、
    残部のCuと、
    で成る接点材料で製造されることを特徴とする真空バルブ。
  2. 真空内で接点の開閉を行うことで、電流の遮断、導通を行う真空バルブにおいて、
    前記接点は、0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ65〜85質量%のWと0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ0.001〜5質量%のMoとをその大きさが0.4〜10μmの範囲にあるように一体化したものと、
    0.09〜1.4質量%のCuSb、CuSbの少なくとも一方と、
    残部のCuと、
    で成る接点材料により製造したことを特徴とする真空バルブ。
  3. 真空内で接点の開閉を行うことで、電流の遮断、導通を行う真空バルブにおいて、
    前記接点は、0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ50〜75質量%のMoと、
    0.09〜1.4質量%のCuSb、CuSbの少なくとも一方と、
    残部のCuと、
    で成る接点材料で製造されることを特徴とする真空バルブ。
  4. 真空内で接点の開閉を行うことで、電流の遮断、導通を行う真空バルブにおいて、
    前記接点は、0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ50〜75質量%のMoと0.4〜9μmの平均粒径を有し且つ0.001〜5質量%のWとをその大きさが0.4〜10μmの範囲にあるように一体化したものと、
    0.09〜1.4質量%のCuSb、CuSbの少なくとも一方と、
    残部のCuと、
    で成る接点材料により製造したことを特徴とする真空バルブ。
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