JP3598195B2 - 接点材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた裁断特性と耐電圧特性を必要とする真空遮断器などの開閉電極に用いられる接点材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の真空バルブの接点は、耐溶着特性、耐電圧特性および遮断特性で代表される基本三要件の他に、裁断特性、耐消耗性、接触抵抗特性および温度上昇特性などを維持し向上させるために種々の素材から構成されている。しかし、上述の要求特性は互いに相反する材料物性を要求する場合が多いことから、1っの元素で十分満足させることは不可能とされている。そこで、材料の複合化や素材張り合わせなどによって、大電流遮断用途、高耐電圧用途または低裁断用途などのように特定の用途に合った接点材料の開発が行われ、それなりに優れた特性を発揮している。
【0003】
上記基本三要件を満たした大電流遮断用接点材料として、例えば特公昭41−12131号や特公昭44−23751号に記載されているとうに、ビスマスBiやテルルTeのような溶着防止成分を5重量%以下含有する銅−ビスマス(Cu−Bi)合金や、銅−テルル(Cu−Te)合金などが知られている。
【0004】
しかし、銅−ビスマス合金は結晶粒界に析出した脆いビスマスBiが、また、銅−テルル合金は結晶粒界および結晶粒内に析出した脆いCuTeが合金自体を脆化させ、低溶着引き外し力が実現したことから大電流遮断特性に優れている。 同じく基本三要件を満たした高耐圧・大電流遮断用接点材料としては、銅−クロム(Cu−Cr)合金が知られている。この銅−クロム合金は銅−ビスマス合金や銅−テルル合金よりも、構成成分間の蒸気圧差が少ないため、均一な性能発揮を期待し得る利点があり使い方によっては優れたものである。
【0005】
一方、低裁断性接点材料としては、例えば特願昭42−68447号に記載されているように、銀−炭化タングステン(Ag−wc)合金(銀が40%)が知られている。この合金は炭化タングステンWCの熱電子放出効果と銀Agの適度な蒸気圧との相乗的な作用によって優れた低裁断性を発揮するので広く多用されている。
【0006】
それで、真空遮断器は下記2つの課題を一層改善すれば更に高性能化が計られると言える。その1つは、真空バルブを十分に配慮することなしに電動機負荷などの誘導性回路に用いて電流を遮断する時には、過渡の異常サージ電圧が発生し、負荷機器の絶縁性に悪影響を与える場合があると言うことである。
【0007】
この異常サージ電圧の発生原因は、真空中に於ける遮断時に、低電流側で発生する裁断現象(交流電流波形の自然零点を待たずに強制的に電流遮断を行うこと)によるものである。この場合、異常サージ電圧の値Vsは、回路のサージインピーダンスZoと電流裁断値Icに比例する。従って、異常サージ電圧の値Vsを低く抑制するための一手段としては、電流裁断値Icを低くする必要があり、銀−炭化タングステン合金がこの要求に対して有益な接点合金の1つとして利用されている。
【0008】
他の1つは、真空遮断器には電流遮断後に真空バルブ内で閃絡が発生し、接点間が再び導通状態になる(その後放電は継続しない)現象を誘起する場合がある。この現象を再点弧と呼び、その発生メカニズムは未解明であるが、電気回路がー度電流遮断状態となった後に、再び導通状態に急激に変化するため、異常過電圧が発生しやすい。
【0009】
銀−炭化タングステン合金を使用した遮断器でも、コンデンサバンク(群)を遮断させ再点弧を発生させる実験によれば、極めて大きな過電圧の発生や、過大な高周波電流の発生が観測されるため、銀−炭化タングステン合金に対して再点弧発生を抑制させる技術の開発が求められている。
【0010】
銀−炭化タングステン合金の再点弧現象の発生メカニズムは未だ知られていないが、本発明者らの実験における観察によれば、再点弧は真空バルブ内の接点/接点間、接点/アークシールド間でかなり高い頻度で発生している。その為、本発明者らは、例えば接点がアークを受けた時に放出される突発性ガスを抑制する技術や接点の表面形態を最適化する技術など、再点弧の発生抑制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生の抑制に貢献した。
【0011】
すなわち、銀−炭化タングステン合金の加熱過程で放出されるガス総量、ガスの種類並びに放出形態に注目し、再点弧発生との相関を詳細に観察を行ったところ、溶融点の近傍で極めて短時間ではあるが、パルス状に突発的に放出されるガスが多い接点では、再点弧発生率も高くなることを見出だした。
【0012】
そこで銀Agの溶融温度以上にて加熱するなど、予め銀−炭化タングステン合金中の突発的ガス放出の一因を除去しておくことや、銀−炭化タングステン合金の中のポアや組織的偏析を抑制するように焼結技術を改良することなどによって、再点弧現象の発生を低減させた。しかし、近年の更なる再点弧発生抑制要求に対しては、尚、改善の必要性を認めると共に他の施策の開発が重要となっている。
【0013】
近年では、顕著な傾向としてリアクトル回路、コンデンサ回路などへの適応拡大など、需要家の使用条件の過酷化と共に負荷の多様化が進行し、低裁断性の銀−炭化タングステン合金に対しても、一層の低裁断化と、一層の低再点弧性をも兼備することの要求が高まり、それに伴う接点材料の開発や改良が急務となっている。特に、コンデンサ回路では通常の2倍、3倍の電圧が印加される関係上、電流遮断や電流開閉時のア−クによって接点の表面が著しく損傷し、その結果、接点の表面荒れや脱落消耗を招き、再点弧発生の一因と考えられることから接点消耗についても低消耗化が必要である。しかし、再点弧現象は製品の信頼性向上の観点から重要であるにもかかわらず、未だ防止技術はむろんのこと、直接的な発生原因についても明らかにはなっていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
低裁断型接点材料としては、前記した銅−ビスマス合金、銅−テルル合金あるいは銅−クロム合金に優先して銀−炭化タングステン合金を適用してきたが、さらに強まる低再点弧化の要求に対しては十分な接点材料とはいえない実情である。すなわち今まで低裁断型接点材料として優先して使用してきた銀−炭化タングステン合金でも、より過酷な高電圧領域及び突入電流を伴う回路では、やはり再点弧現象の発生が観察されている。そこで上記基本三要件を一定レベルに維持した上で、特に低裁断性と再点弧特性とに優れた接点材料の開発が望まれている。
【0015】
そこで本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、銀−炭化タングステン合金の冶金的諸条件を最適化することにより、裁断特性と再点弧特性とを向上させることが出来る接点材料を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した接点材料は、平均粒径0.1〜6μmの炭化タングステンWCを55〜70%(重量%。以下同様)含有する銀−炭化タングステン合金に於いて、大きさが0.01〜5μm(球に換算した時の直径。以下同様)の範囲にあり、かつ非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが0.005〜0.2%存在していることを特徴としている。
【0017】
請求項2に記載した接点材料は、平均粒径0.1〜5μmのコバルトCoを5%以下(ゼロ含む)、平均粒径0.1〜6μmの炭化タングステンWCを55〜70%含有するAg−WC−Co合金に於いて、大きさが0.01〜5μmの範囲にあり、かつ非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが0.005〜0.2%存在している事を特徴としている。
【0018】
請求項3に記載した接点材料は、鉄Feを0.01〜0.5%含有した銀−炭化タングステン合金または銀−炭化タングステン−コバルト合金に於いて、大きさが0.01〜5μmの範囲にあり、かっ非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが0.005〜0.2%存在していることを特徴としている。
【0019】
請求項4に記載した接点材料は、ビスマスBi、アンチモンSbおよびテルルTeのうち少なくとも1っを0.05〜0.5%含有した銀−炭化タングステン合金、銀−炭化タングステン−コバルト合金に於いて、大きさが0.01〜5μmの範囲にあり、かつ非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが0.005〜0.2%存在していることを特徴としている。
【0020】
請求項5に記載した接点材料は、非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCは銀−炭化タングステン系合金中に高度に分散分布し、そのカーボン粒子の間隙は、最隣接するカーボン粒子の大きさより大きく十分隔離していることを特徴としている。
【0021】
請求項6に記載した接点材料は、接点材料接触面から内部の方向(垂直の方向)に向かってCu量を増加させたことを特徴としている。
【0022】
請求項7に記載した接点材料は、接点材料接触面の他方の面にCu層を付与したことを特徴としている。
【0023】
請求項8に記載した接点材料は、接点材料接触面の厚さを0.3mm以上の厚さとしたことを特徴としている。
【0024】
請求項9に記載した接点材料は、接点材料接触面の平均表面粗さ(Rave.)を10μm以下、最小値を0.05μm以上としたことを特徴としている。
【0025】
請求項10に記載した接点材料は、接点材料接触面の表面に10kV以上の電圧を印加した状態で1〜10mAの電流を遮断させ表面仕上げしたことを特徴としている。
【0026】
前記した様に、銀−炭化タングステン合金は低裁断性接点材料として安定した特性を発揮する接点として使用されている。しかし、前記した裁断特性と再点弧特性を同時に改善する要求に対しては更に改良する必要がある。近年の遮断器では両特性をより低い値にすること事と同時に、特に所定回数を開閉させた後もその低い値を維持する事とそのばらつき幅も低い値とする事が極めて重要である。銀−炭化タングステン接点に外部磁界(例えば縦磁界技術)を与え、大電流を遮断した場合、遮断により発生したアークは、アーク電圧の低い部分に停滞し集中することが抑止され、接点電極面上を移動する。これによって低裁断特性を維持した上、再点弧発生率の低減化に寄与している。すなわち、接点電極上をアークは容易に移動するため、アークの拡散が促進され、遮断電流を処理する接点電極面積の実質的増加につながり、アークの停滞、集中が低減化される結果、接点電極の局部的異常蒸発現象の阻止、表面荒れの軽減化の利益も得られ、再点弧抑制に寄与する。
【0027】
しかし、一定値以上の電流値を遮断すると、アークは予測出来ない一点もしくは複数点の場所で停滞し、異常融解させ遮断限界に至る。また、異常融解は銀−炭化タングステン接点材料の、瞬時的爆発的な蒸発によって発生した金属蒸気は、開極過程にあった真空遮断器の絶縁回復性を著しく阻害し、遮断限界の一層の劣化を招く。
【0028】
さらに、異常融解は巨大な融滴を作り、接点電極面の荒れを招き、耐電圧特性の低下、再点弧発生率の増加、材料の異常な消耗をも招く。これらの現象の原因となるア−クが、接点電極面上のどこで停滞するかは前述したように全く予測出来ない以上、発生したアークが停滞させることなく移動拡散できるような表面条件を接点に与えることが望ましい。
【0029】
その望ましい条件として、本発明では銀−炭化タングステン合金中の炭化タングステンWCの量やカーボンCの量を最適化すると共に、カーボンCの大きさを最適化した。その結果再点弧抑制に有効な炭化タングステン粒子とカーボン粒子との密着強度の向上、接点材料中の銀Agと炭化タングステンWCとの組織的均一性をを図った。
【0030】
その結果、アークを受けた時に選択的に優先して蒸発、飛散する銀Agの量を少なくなるように制御するのみならず、被アーク時の熱衝撃によっても接点面上には、再点弧発生に対して有害な著しい亀裂発生も抑止され、タングステン粒子の飛散脱落も軽減された。特にカーボン量を最適量としその大きさを0.01〜5μm以下に制限した接点合金組織が、再点弧特性の劣化を最小限にとどめた上で、裁断特性向上と安定化に寄与した。
【0031】
以上は主として銀−炭化タングステンを代表例として示したが、銀−炭化タングステン−コバルト合金、銀−炭化タングステン−鉄合金あるいは銀−炭化タングステン−コバルト−鉄合金に対しても所定条件のカーボンCの存在は同じ傾向の効果を得る。
【0032】
なお実験によれば、銀−炭化タングステン中でのカーボンCの量や大きさを最適化することによって合金組織の均一化、銀Ag、炭化タングステンWCおよびカーボンCの一体化等の改良を図ったので、アークを受けた後でも、接点表面の溶融、飛散損傷が少なくなり、再点弧抑止に重要な影響を及ぼす接点表面荒れを少なくし、耐アーク消耗性の向上にも有益となった。
【0033】
さらに、耐アーク消耗性の向上は接点表面の平滑化を持たらし、多数回開閉後でも裁断特性、再点弧特性のばらつき(散在)幅の縮小に有益となっている。これらの相乗的効果によって、裁断特性を維持した上で銀−炭化タングステン合金の再点弧発生頻度の抑制と耐消耗性の向上を得た。
【0034】
所定比率の銀−炭化タングステン中に存在するカーボンCが非固溶状態もしくは化合物非形成状態にあることが好ましく、この様な状態(カーボンCが非固溶状態もしくは化合物非形成状態)にないと,多数回開閉後の裁断特性安定性特にそのばらつき幅が増大する傾向となる。また、多数回開閉後の再点弧発生率に大きなばらつきを生じさせている。
【0035】
前記した様に、再点弧現象の発生メカニズムは未だ知られていないが、実験の観察によれば、再点弧は真空バルブ内の接点/接点間、接点/アークシールド間でかなり高い頻度で発生している。その為、例えば接点がアークを受けた時に放出される突発性ガスの抑制、接点表面形態の最適化などを進め、再点弧の発生抑制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大幅に低減化した。
【0036】
しかし、近年の真空バルブに対する高耐電圧化要求、大電流遮断化要求、小形化要求には上記接点の改良のみではすでに限界と考えられ、これら以外に於いても改良最適化が必要となってきた。
【0037】
なお実験によれば、銀−炭化タングステン中でのカーボンCの量や大きさを最適化することによって合金組織の均一化、銀Ag、炭化タングステンWCおよびカーボンCの一体化等の改良を図ったので、アークを受けた後でも、接点表面の溶融、飛散損傷が少なくなり、再点弧抑止に重要な影響を及ぼす接点表面荒れを少なくし、耐アーク消耗性の向上にも有益となった。
【0038】
さらに、耐アーク消耗性の向上は接点表面の平滑化を持たらし、多数回開閉後でも裁断特性、再点弧特性のばらつき(散在)幅の縮小に有益となっている。これらの相乗的効果によって、裁断特性を維持した上で銀−炭化タングステン合金の再点弧発生頻度の抑制と耐消耗性の向上を得た。
【0039】
所定比率の銀−炭化タングステン中に存在するカーボンCが非固溶状態もしくは化合物非形成状態にあることが好ましく、この様な状態(カーボンCが非固溶状態もしくは化合物非形成状態)にないと,多数回開閉後の裁断特性安定性特にそのばらつき幅が増大する傾向となる。また、多数回開閉後の再点弧発生率に大きなばらつきを生じさせている。
【0040】
前記した様に、再点弧現象の発生メカニズムは未だ知られていないが、実験の観察によれば、再点弧は真空バルブ内の接点/接点間、接点/アークシールド間でかなり高い頻度で発生している。その為、例えば接点がアークを受けた時に放出される突発性ガスの抑制、接点表面形態の最適化などを進め、再点弧の発生抑制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大幅に低減化した。
【0041】
しかし、近年の真空バルブに対する高耐電圧化要求、大電流遮断化要求、小形化要求には上記接点の改良のみではすでに限界と考えられ、これら以外に於いても改良最適化が必要となってきた。
【0042】
さらに、再点弧の発生に対する模擬実験によって詳細な解析した結果、接点材料が直接的に関与する場合と、電極構造やシールド構造など設計に関与する場合と、予期しない高電圧暴露など電気的や機械的な外部条件などが関係していた。また、セラミックス製の絶縁容器の外管、接点、アークシールド、金属蓋体、通電軸、封着金具およびベローズなど各構成部材を、適宜、真空バルブ内へ装着したり取外ししたりしながら模擬再点弧発生実験を行ったところ、直接アークを受ける接点の組成、材質とその状態、その製造条件が再点弧発生に対して重要であるとの知見を得た。特に、材質的には脆性なため、投入時や遮断時の衝撃によって電極空間への微小金属粒子の放出や飛散が多く観察された銅−ビスマス、銅−テルルあるいは銅−クロム合金よりも高硬度で高融点性のある銀−炭化タングステンの方が有利てあるとの知見も得た。
【0043】
更に重要な観察的な知見は同じ銀−炭化タングステンであっても、電極空間への微小金属粒子の放出や飛散にある程度のばらつきが存在し、銀−炭化タングステンの製造過程での特に焼結温度の高い方が、再点弧発生の抑制に有利な傾向にあることであった。この観察的な知見は銀−炭化タングステン合金の改良の必要性と共に再点弧抑制の可能性を示唆している。
【0044】
そこで、補助成分として銀−炭化タングステン中での所定条件の鉄Feの存在が投入時や遮断時の衝撃による電極空間への微小金属粒子の放出や飛散の低減に有益であることを認めた。通常は投入、遮断後の接点表面は多数の微細突起(凹凸)が発生し、かつその一部は飛散したり脱落したりしているが、本発明では銀−炭化タングステン中の鉄Feの存在によって、銀Agと炭化タングステンWCとの結び付きの強化と、極く微小面積での延性(伸び)とを改善し、その結果微細凹凸の発生自体を少なくすると共に、微細凹凸の先端部にある程度の丸みを与えている効果を発揮した。そのため接点表面の電界強化係数βは100以上から100以下に改善されていた。
【0045】
このように銀−炭化タングステン中のカーボンC、鉄Feの存在による電界強化係数βの改善の利益は接点表面の平均表面粗さ(Rave.)を改善し、重畳させる示唆ともなっている。
【0046】
以上のように銀−炭化タングステンの製造プロセスに於いて、焼結、溶浸条件や[Ag・WC]混合粉体の解砕・分散・混合条件を組合わせて真空バルブを作り、再点弧発生状況を観察した実験によると、高硬度、高融点性を保持した銀−炭化タングステンに於いて、混合条件の最適化、組織状態の最適化、焼結技術の最適化を行うことが再点弧抑制に有益であることを示している。そして、混合条件の最適化に於いては、特に後記する製法例1〜5で示す原料粉[銀Ag]と[炭化タングステンWC]とカーボンCとの均一混合方法や、原料粉[銀Ag]と[炭化タングステンWC]に揺動運動と攪拌運動とを重畳させながら混合する混合方法が有効であつた。
【0047】
すなわち、再点弧現象の発生の時期と銀−炭化タングステンの材料状態との関わりとを観察した結果では、
(イ) 接点組織およびその状態(偏析、均一性)については、製造プロセスのうち特に混合条件の最適化と相関し、電流遮断開閉の経過回数とは関係無くランダムな再点弧現象の発生がみられる特徴がある。
【0048】
(口) 接点表面に付着、吸着したガスや水分の量、状態については、予め仕上げられた接点の加工後の管理環境の問題であって、直接的に焼結技術が関与するものではないが、電流遮断開閉の回数の比較的初期から再点弧現象の発生が見られる特徴がある。
【0049】
(ハ) 接点内部に内蔵している異物の量、状態などの接点内部の状態については、原料粉末の品質(Ag粉、WC粉の選択)及び原料の混合状態がポイントとなり、電流遮断回数の経過の比較的後半に発生した再点弧の原因と考えられるなど製造プロセスの重要性が示唆される。
【0050】
以上から、再点弧現象の発生の時期は、電流遮断回数の進展に対して見掛け上では、関係無く見えるが、上記(イ)(口)(ハ)の様に各発生の時期によってその原因は異なっている事が判明した。このことが各真空バルブ毎に再点弧現象の発生にばらつきが生じていた重要な一因とも考えられた。
【0051】
従って再点弧の各発生の時期の総てを抑制もしくは軽減化するには、品質的に好ましい状態の原料粉[銀Ag]と[炭化タングステンWC]とを得た後、これらを解砕・分散・混合しながら均一で微細な[銀−炭化タングステン]混合粉体を得る必要があり、更に所定量のカーボンCや鉄Feの存在によって、投入、遮断による接点表面の微細凹凸の発生の低減化と電極空間への微小金属粒子の放出、飛散の低減の効果を得る事が重要である。
【0052】
【発明の実施の形態】
次に本発明の接点材料の実施の形態を説明する。
【0053】
本発明の要旨は、Ag−WC系接点を搭載した真空バルブに於いて、補助的成分としてのCの存在は、C量を増加させると電流裁断特性は概略向上するが、再点弧特性は概略劣化する。この様に二律背反的関係にある真空バルブの電流裁断特性(低裁断化とその安定化)と再点弧現象発生の軽減化とを同時に達成させるために、所定量のAg−WC中に存在するCを非固溶状態若しくは化合物形成状態とし、C量を0.005〜0.2%の範囲に管理すると共に接点中に存在するその大きさを0.01〜10μm(マイクロメートル)の範囲に管理し、効果を得たものである。従って、Ag−WC系接点材料中のCの平均粒径と量が重要なポイントとなる。
【0054】
以下に本発明の効果を明らかにした評価条件、評価方法などを示す。
【0055】
(1) 裁断特性;
直径20mm、厚さ4mmで、一方は平面、他方が50mmRの所定接点を着脱式の裁断電流テスト用真空遮断装置に装着する。10−3Pa(パスカル)以下に排気し、接点表面をベーキング、放電エージングなどで清浄化した後、この装置を0.8m/秒の開極速度で開極させた。裁断電流値はLC回路を経て50Hz(ヘルツ)、実効値44Aの回路電流を開閉中の初期(1〜100回開閉中)および後期(19,900〜20,000回開閉中)の接点に直列に挿入した同軸型シャント(分流器)の電圧降下を観測することによって求めたものである。 なお、測定結果は実施例5の裁断電流値の平均値を1.0としその値と相対比較したものである。この裁断電流値はその値が小さく、ばらつき範囲も小さい程優れた裁断特性を有している。
【0056】
(2) 再点弧特性;
径30mm,厚さ5mmの円盤状接点をディマウンタブル(取り外し可能)形真空バルブに装着し、6kv×500Aの回路を1〜1,000回遮断、または1,001〜20,000回遮断した時の再点弧発生頻度を2台の遮断器(真空バルブとして6本)のバラツキ値を考慮して表1乃至表3に示した。
【0057】
【表1】
Figure 0003598195
【表2】
Figure 0003598195
【表3】
Figure 0003598195
接点の装着に際しては、ベーキング加熱(450℃×30分)のみ行い、ろう材の使用並びにこれに伴う加熱は行わなかった。なお測定結果はばらっきを考慮して上限値と下限値を示した。この再点弧発生頻度はその値が小さく、ばらつき範囲も小さい程優れた再点弧特性を有している。
【0058】
(3) 耐アーク消耗性;
各接点を着脱式の真空遮断装置に装着し、接点電極表面のベーキング、電流、電圧エージング、開極速度条件を一定同一とした後、7.2kV、4.4kAを1000回遮断前後の表面凹凸から損失重量を計算した後、実施例5の値を1.0とし相対比較した。
【0059】
(4) 各接点の製造方法の一例;
本発明接点の製造の一例について説明する。この接点材料の製造方法は大別すると、炭化タングステンWCとカーボンCで構成したスケルトンに銀Agを溶かし流し込む溶浸法と、炭化タングステンWCとカーボン粉と銀粉とを所定割合で混合した粉末を焼結又は成型焼結する焼結法がある。
【0060】
従来より銀−炭化タングステン合金中のカーボンCはその量を多くすると、再点弧発生率が増大(特性低下)する傾向にあることが知られている。本発明では再点弧発生率の引き金の1つとされているこのカーボンCの銀−炭化タングステン合金中での存在状態を最適化し、裁断特性と再点弧特性とを両立させたもので、従って、カーボンCの存在状態を左右する銀−炭化タングステン合金中へのカーボンCの合金化の方法も重要である。
【0061】
銀−炭化タングステン合金中へのカーボンCの合金化の方法は、カーボンCの量が炭化タングステン量,銀量に比較し少量であるため、均質混合性を良くする必要がある。その手段として、例えば最終的に必要な炭化タングステン量(55〜70%)の内の一部から取り出した極く少量の炭化タングステンWCと、カーボン粉とを混合(必要によりビスマスBi、アンチモンSbおよびテルルTeのうち少なくとも1つを追加する。以下ビスマスBiで代表する。また鉄FeやクロムCoも同様に取り扱っても良い)して得た第1次混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返す)。この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りの炭化タングステン粉とを再度混合し,最終的に十分に良好な混合状態にある[炭化タングステンWC、カーボンC]粉を得る。この[炭化タングステンWC、カーボンC]粉と所定量の銀粉とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば930℃の温度での焼結と加圧とを1回もしくは複数回組合せて、Ag−WC−C接点素材(又はAg−WC−CoーC,Ag−WC−Fe−C、Ag−WC−Co−Fe−C、Ag−WC−CoーC−Bi接点素材など)を製造(以下Ag−WC−Cで代表する)し、所定形状に加工して接点とした(製法例1)。 別の合金化の方法として、逆に最終的に必要な銀量の内の一部から取り出した極く少量の銀Ag(必要によりビスマスBiを追加、また必要により鉄Fe、コバルトCoを追加)と、カーボン粉とを混合して得た第1次混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返す)。この第1次混合粉(又は第n次混合粉)と残りの銀粉とを再度混合し,最終的に十分に良好な混合状態にある[Ag,C]粉を得る。
【0062】
この[Ag,C]粉と所定WC粉(最終的に必要なWC量)とを混合した後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば940℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Ag−WC−C接点素材又はAg−WC−C−Bi接点素材を製造した(製法例2)。
【0063】
他の製造方法としては、上記方法で製造した第n次混合[WC,C]粉または[WC,Co,C]粉を,1200℃の温度で焼結し所定空隙率を持つ{WC,C}スケルトンを作製し、その空孔中にAg(必要によりBiを追加)を例えば1050℃の温度で溶浸し,Ag−WC−C接点素材又はAg−WC−C−Bi接点素材を製造した(製法例3)。
【0064】
また別の合金化の方法としては、[WC、C]粉または[WC、Co、C]粉を1500℃の温度で焼結し所定空隙率を持つスケルトンを作製し、その空孔中に別途用意したAgを例えば1050℃の温度で溶浸しAg−WC−C接点素材を製造した。(必要により前記CuMo(Fe)にBiを追加しAg−WCーC−Bi接点素材を製造した)(製法例4)。
【0065】
また別の合金化の方法としては、イオンプレーティング装置やスパッタリング装置を用いた物理的方法、或いはボールミル装置を用いた機械的方法で、W粉の表面にCを被覆(必要によりBiも同時に)したWC粉を得て、このMo(Fe)被覆W粉とCu粉(必要によりBiを同時に添加)とを混合の後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1060℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、Ag−WC−C接点素材又はAg−WC−C−Bi接点素材を製造した(製法例5)。
【0066】
また別の合金化の方法としては、特にAg粉、WC粉とC粉との均一混合技術に於いて、揺動運動と攪拌運動とを重畳させる方法も有益である。これによって、混合粉は一般に行われているアセトンなど溶剤使用時に見られる固まりとなったり凝集体となったりする現象がなく、作業性も向上する。
【0067】
また,混合作業での攪拌容器の攪拌運動の攪拌数Rと攪拌容器に与える揺動運動の揺動数Sとの比率R/Sをほぼ10〜0.1程度の好ましい範囲に選択すれば、解砕、分散、混合中の粉末へのエネルギー入力が好ましい範囲となり、混合作業での粉末の変質や汚染の程度を低く押さえる事ができる特徴を有する。
【0068】
従来のらいかい機などによる混合、粉砕では粉体を押し潰す作用が加わるが、揺動運動と攪拌運動とを重畳させる本発明の方法では、前記R/S比率をほぽ10〜0.1程度に分布しているため、粉体同士が絡み合う程度の混合となり、良好な通気性を持つ為焼結性が向上し、良質な成型体または焼結体あるいはスケルトンを得る。
【0069】
更に必要以上のエネルギ−入力がなく粉体が変質することがない。このような状態の混合粉を原料とするれば、焼結、溶浸後の合金も低ガス化が可能となり、遮断性能、再点弧特性の安定化に寄与している(製法例6)。
【0070】
本発明実施例では、これらの方法を適宜選択し採用したもので、いずれの技術の選択でも本発明の効果を発揮する接点材料を得ることが出来る。
【0071】
以下に本発明の実施例を詳細に説明する。
【0072】
実施例1〜2,比較例1〜2
まず、遮断テスト用実験バルブの組立ての概要を示す。端面の平均表面粗さを約1.5μmに研磨したセラミックス製絶縁容器(主成分:AL203)を用意し、このセラミックス製絶縁容器に対して組立て前に1650℃の前加熱処理を施した。
【0073】
封着金具として、板厚さ2mmの42%Ni−Fe合金を用意し、ロウ材として厚さ0.Immの72%Ag−Cu合金板を用意し、用意した各部材を被接合物間(セラミックス製絶縁容器の端面と封着金具)に気密封着接合が可能のように配置して、5×10−4Pa.の真空雰囲気で封着金具とセラミックス製絶縁容器との気密封着工程に供する。
【0074】
次いで、供試接点材料の内容、評価内容と結果などを表1乃至表7に示す。
【0075】
【表4】
Figure 0003598195
【表5】
Figure 0003598195
【表6】
Figure 0003598195
【表7】
Figure 0003598195
Ag−WCに於いて、原料粉として平均粒径が0.8〜1.0μmのWC、0.5μmのC、5μmのCoを用意し、前記製造法1〜6の方法を適宜選択しながら、WC,C粉混合粉を得て62重量%WC−Co−C残部Agの接点素材を1100度Cで製造した。
【0076】
供試接点は試作した接点素材から顕微鏡組織観察によって、非固溶状態もしくは化合物非形成状態にある時のC量を0.005%以下(比較例1),0.005%〜0.20%(実施例1〜2)、0.95%(比較例2)含有したAg−WC合金を選出したものである。
【0077】
これらの素材を厚さ3mm、接触面の平均表面粗さを0.3μmの所定形状に加工し試験片とし裁断特性、再点弧特性、耐消耗性を測定した。その内容を表1乃至表3に、評価条件と結果を表4乃至表7に示した。
【0078】
C量が0.005%以下のAg−WC合金の場合(比較例1)では、表1乃至表7から明らかな様に、裁断特性は開閉初期(1〜100回開閉中)と開閉後期(19,900〜20,000回開閉中)とを比較しても好ましい裁断値と低い変動幅を示し許容範囲にあり、かつ接点の耐消耗性も良好であったが、一方6kV×500Aの回路を20,000回を遮断した時の再点弧特性では、1,000回を遮断した時の場合に比べ再点弧発生率が著しく増大していると共にばらつきも大幅に増大し好ましくなかった。
【0079】
表面の顕微鏡観察によれば、20,000回開閉させ再点弧特性を評価した接点では、接点表面はC量の不足による表面損傷及びAgの飛散した痕跡を示す軽い凹凸が広い範囲に亘って存在しているのが観察された。
【0080】
これに対して、C量が0.005%〜0.20%のAg−WC合金の場合(実施例1〜2)では、0〜20×10−3%以下の許容される範囲の再点弧発生頻度を示した。一方裁断特性に於いても、0.9A〜1.3Aの好ましい範囲にあり、耐消耗性に於いても,相対値が許容される範囲の0.9〜2.5にある事を示し、開閉回数の経過に対して裁断特性、再点弧特性、耐消耗性の総てに於いて安定した特性を示した。20,000回開閉させ再点弧特性を評価した後の接点表面の顕微鏡観察によれば、接点表面は所定条件のCの分布効果によって、広い範囲に亘って上記比較例1より平滑な状態が観察された。
【0081】
一方、C量が0.95%のAg−WC合金の場合(比較2)では、裁断特性は開閉初期(1〜100回開閉中)と開閉後期(19,900〜20,000回開閉中)とを比較しても好ましい裁断値と低い変動幅を示し許容範囲にあっが、7.2kv×4.4kAを1、000回遮断させた時の接点の耐消耗性は、実施例1〜2,比較例1に比較して著しく大きくかつ接点間のばらっきも多く、6kV×500Aの回路を20,000回を遮断した時の再点弧特性では、1,000回を遮断した時の場合に比べ再点弧発生率が著しく増大していると共にばらっきも大幅に大きく好ましくなかった。
【0082】
20,000回開閉させ再点弧特性を評価した接点表面の顕微鏡観察によれば、接点表面は広い範囲に亘ってAgが飛散揮発した痕跡を示す著しい凹凸が存在し、かつ遮断表面に巨大なCの脱落跡による凹凸も観察された。これらより、Ag−WC中の非固溶状態もしくは化合物非形成状態にあるC量は、0.005〜0.2%の範囲に於いて本発明効果を発揮する。
【0083】
なお、Ag−WC中のC量は、上記実施例2同じ量の0.20%であっても、非固溶状態もしくは化合物非形成状態にあるC量が実施例1で示している0.005%以下の時には、耐消耗特性、再点弧特性は同等の値を維持するものの、裁断特性が劣化し、裁断特性と再点弧特性と耐消耗性とのバランスを欠く傾向にあり好ましくない。以上のようにC量が0.005%〜0.20%のAg−WC合金の場合では、再点弧の多発、大幅な接点消耗損失の発生、裁断特性の低下等が著しく好ましくなく、本発明の目的に対してC量は0.005〜0.2%げ施例1〜2)の範囲が総合的に安定性を示している。
【0084】
また、観察の結果Ag−WC中のC量が同量であっても、所定量のCが非固溶状態もしくは炭化物などの化合物非形成状態にある時には、多数回開閉後でも裁断特性を維持した上で少ない再点弧頻度と少ないばらつき幅を得るのに有利である事が判った。すなわちC量は、総C量でなく非固溶状態もしくは化合物非形成状態にあるC量が重要であることを示している。これに対してCが固溶状態もしくは化合物形成状態にあるAg−WCでは、開閉回数の進行とともに接点表面荒れのが多くなる傾向を示し、再点弧発生頻度が増加した。複数の素材間には再点弧発生頻度に大きなばらつきが観察された。接点消耗量の増加も見られた。
【0085】
実施例3〜7,比較例3
前記実施例1〜2,比較例1〜2では、Ag−WC合金中のC量が0.005%以下、0.005%〜0.95%の合金中のについて、Co量を0.7%に一定とした時の本発明効果を示したが、本発明効果はCo量をこれに限ることなく発揮される。すなわちCo量をゼロ、0.7〜10.0%とした62%WC残部Ag合金(実施例3〜7)に於いて、同様の評価を実施したところ再点弧発生率は4〜31×10−3%の範囲の好ましい範囲にあり、特に遮断回数が1,000回と20,000回を比較しても両者間には顕著な差異は見られずもばらつきも少ない。消耗量は0.9〜2.3%の範囲にあり、裁断値も0.95〜1.8Aの範囲にあり安定した再点弧特性、裁断特性、耐消耗性を示した。従って本発明は、Ag−WC接点、Ag−WC−Co接点の再点弧特性と裁断特性と耐消耗性のバランスに対して有効である。
【0086】
しかし、Co量を10%とした62%WC残部Ag合金(比較例3)に於いて同様の評価を実施したところ、裁断電流値が大幅に増加(特性が劣化)した。Co量が10%存在した事による合金自体の導電率した事と、WC自体の熱電子
断特性を維持した上で少ない再点弧頻度と少ないばらつき幅を得るのに有利である事が判った。すなわちC量は、総C量でなく非固溶状態もしくは化合物非形成状態にあるC量が重要であることを示している。これに対してCが固溶状態もしくは化合物形成状態にあるAg−WCでは、開閉回数の進行とともに接点表面荒れのが多くなる傾向を示し、再点弧発生頻度が増加した。複数の素材間には再点弧発生頻度に大きなばらつきが観察された。接点消耗量の増加も見られた。
【0087】
実施例3〜7,比較例3
前記実施例1〜2,比較例1〜2では、Ag−WC合金中のC量が0.005%以下、0.005%〜0.95%の合金中のについて、Co量を0.7%に一定とした時の本発明効果を示したが、本発明効果はCo量をこれに限ることなく発揮される。すなわちCo量をゼロ、0.7〜10.0%とした62%WC残部Ag合金(実施例3〜7)に於いて、同様の評価を実施したところ再点弧発生率は4〜31×10−3%の範囲の好ましい範囲にあり、特に遮断回数が1,000回と20,000回を比較しても両者間には顕著な差異は見られずもばらつきも少ない。消耗量は0.9〜2.3%の範囲にあり、裁断値も0.95〜1.8Aの範囲にあり安定した再点弧特性、裁断特性、耐消耗性を示した。従って本発明は、Ag−WC接点、Ag−WC−Co接点の再点弧特性と裁断特性と耐消耗性のバランスに対して有効である。
【0088】
しかし、Co量を10%とした62%WC残部Ag合金(比較例3)に於いて同様の評価を実施したところ、裁断電流値が大幅に増加(特性が劣化)した。Co量が10%存在した事による合金自体の導電率した事と、WC自体の熱電子放出能を低下させてしまったことが一因と考えられた。
【0089】
更に上記実施例4の1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比較例3の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例3では1000回遮断で3〜7倍に増加(特性低下)、20,000回遮断では5〜8倍に増加した。
【0090】
顕微鏡観察の結果によれば、所定量以上のCoは、組織中で過剰のCoとして存在し組織中のCを凝集、粗大化させる傾向にあり、Cの偏析が再点弧発生頻度を増大させた一因と考えられた。従って再点弧特性と裁断特性と耐消耗性のバランスを得る為には実施例7で示したCo量5%を上限(前記実施例1に示している様にCoゼロも含む)としたAg−WC接点に於いて、本発明技術が有効に発揮される。
【0091】
実施例8〜10,比較例4
前記実施例1〜7ではAg−WC合金中のFe量をゼロとして、Co量を0〜5%とし場合の本発明効果について示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。すなわちCo量を0.7%とし、Fe量を0.01〜0.5%とした62%WC−Co残部Ag合金(実施例8〜10)とした場合に於いて、再点弧発生率は5〜25×10−3%、消耗量は1.0〜1.7%以下、電流裁断値は0.95〜1.4Aを示し、標準とする実施例4の特性と同等の安定した再点弧特性、裁断特性、耐消耗性を示した。
【0092】
しかし、Fe量を10%とした62%WC残部Ag合金(比較例4)に於いて同様の評価を実施したところ、1〜100回開閉中、19、900〜20,000回開閉中の裁断電流値は、両者共に大幅に増加(特性が劣化)した。Fe量が10%存在した事による合金自体の導電率した事と、WC自体の熱電子放出能を低下させてしまった事とが一因と考えられた。更に比較対象としている実施例4の1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比較例4の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例4では1000回遮断で4〜7.5倍に増加(特性低下)、20,000回遮断では5〜8倍に増加した。
【0093】
顕微鏡観察の結果によれば、所定量以上のFeは、組織中で過剰のFeとして存在し組織中のCを凝集、粗大化させる傾向にあり、Cの偏析が再点弧発生頻度を増大させた一因と考えられた。従って再点弧特性と裁断特性と耐消耗性のバランスを得る為には実施例10で示したFe量0.5%を上限Ag−WC接点に於いて、本発明技術が有効に発揮される。
【0094】
実施例11〜12,比較例5〜6
前記実施例1〜10,比較例1〜4では、Ag−WC、Ag−WC−Co,Ag−WC−Co−Fe合金中のWC量を62%とした場合の本発明効果にっいて示したが、本発明効果はWC量はこれに限ることなく発揮される。すなわちWC量を55〜75%とした時には、標準としている実施例4と比較して、裁断特性、再点弧発生率、耐消耗性のいずれもがほぽ同等の良好な特性を発揮している(実施例9〜10)。
【0095】
しかしWC量を36%とした0.7%Co残部Ag(比較例5)に於いて同様の評価を実施したところ、耐消耗性は標準としている実施例4と比較して、1.05〜1.25倍程度の消耗で好ましい範囲であったが、しかし、同様の評価を実施したところ、1〜100回開閉の範囲では特性の低下は無かったが、19、900〜20,000回開閉中の裁断電流値に於いて2倍程度に若干増加(特性劣化)が見られた。
【0096】
また再点弧発生率に於いて大幅な増加(特性劣化)とばらつきとが見られた。すなわち比較対象としている実施例4の1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比較例4の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例4では1000回遮断で3倍に増加(特性低下)、20,000回遮断では2〜4.5倍に増加した。顕微鏡観察の結果によれば、接点表面にAgの凝集が見らた。
【0097】
一方、WC量を85%としたWC残部Ag(比較例6)に於いて同様の評価を実施したところ、1〜100回開閉中、19、900〜20,000回開閉中の裁断電流値は、標準とする実施例4の特性と比較しても同等以上の極めて良好な特性を示したが、再点弧発生率、耐消耗性に於いて大幅な増加(特性劣化)とばらっきとが見られた。
【0098】
すなわち、比較対象としている実施例4の1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比較例6の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例6では1000回遮断で5〜10倍に増加(特性低下)、20,000回遮断では6〜12倍に大幅に増加(特性低下)した。顕微鏡観察の結果によれば、接点表面はAgの不在部分の点在、WCの凝集とWCの脱落が見らた。従って再点弧特性と裁断特性と耐消耗性のバランスを得る為には実施例9〜10で示したWC量55〜75%に於いて、本発明技術が有効に発揮される。
【0099】
実施例13〜15,比較例7〜8
前記実施例1〜12,比較例1〜6では、Ag−WC)Ag−WC−Co,Ag−WC−Co−Fe合金中のWC粒子の平均粒径(粒子を球体とした時の直径)を0.8〜1.0μmとした場合の本発明効果について示したが、本発明効果は平均粒径はこれに限ることなく発揮される。
【0100】
すなわち、WCの平均粒径を0.1〜6μmとして、上記同様の評価を実施したところ、標準としている実施例4と比較して、裁断特性、再点弧発生率、耐消耗性のいずれもがほぽ同等の良好な特性を発揮している(実施例13〜15)。しかしWCの平均粒径を12μmとした62%WC−Co残部Ag(比較例8)に於いて同様の評価を実施したところ、耐消耗性は標準としている実施例4と比較して、10〜18倍程度の大幅な消耗量を示した。更に裁断特性に於いても1〜100回開閉の範囲では実施例4と比較して特性の低下は無かったが、19、900〜20,000回開閉中の裁断電流値に於いて1.5〜4.6倍程度に増加(特性劣化)している。また、再点弧発生率に於いても大幅な増加(特性劣化)とばらつきとが見られた。
【0101】
すなわち、比較対象としている実施例4の1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比較例4の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例8では1000回遮断で3〜5倍に増加(特性低下)、20,000回遮断でも3〜5倍に増加した。顕微鏡観察の結果によれば、接点表面にWCの凝集とAgの欠落部分が存在している。
【0102】
WCの平均粒径を0.1μm以下とした62%WC−Co残部Ag(比較例7)に於いては,接点合金中に残存する気孔のやガスが多く良質の接点合金が得難く、その為評価中に接点に亀裂、破断が発生し一部の評価を中止した。以上からAg−WC−Co合金中のWCの平均粒径は、0.1〜6μmの範囲を選択した接点である事が望ましい。
【0103】
なお各接点に於ける所定粒径のWC粒子の選別は、篩(ふるい)などで選別した上、合金化した接点素材も顕微鏡的組織測定によって確認、選別して供試接点片とした。
【0104】
実施例16〜18,比較例9
前記実施例1〜15,比較例1〜8では、Ag−WC−Co,Ag−WCーCo−Fe合金中のCo粒子の平均粒径(粒子を球体とした時の直径)を5μmとした場合の本発明効果について示したが、本発明効果は平均粒径はこれに限ることなく発揮される。
【0105】
すなわちWCの平均粒径を0.7μmとした上で、Co粒子の平均粒径を0.1〜10μmとして上記同様の評価を実施したところ、標準としている実施例4と比較して、裁断特性、再点弧発生率、耐消耗性のいずれもがほぽ同等の良好な特性を発揮している(実施例16〜18)。
【0106】
しかし、Coの平均粒径を44μmとした62%WC−Co残部Ag(比較例9)に於いて同様の評価を実施したところ、耐消耗性は標準としている実施例4と比較して、15〜25倍程度の大幅な消耗量を示した。更に裁断特性に於いても1〜100回開閉の範囲では実施例4と比較して、最大値が2.5倍程度に増加した。19、900〜20,000回開閉中の裁断電流値に於いても最大値が3倍以上に増加(特性劣化)している。また、再点弧発生率に於いても大幅な増加(特性劣化)とばらつきとが見られた。
【0107】
すなわち、比較対象としている実施例4の1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比較例4の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例9では1000回遮断で6〜11倍に増加(特性低下)、20,000回遮断でも15〜17倍に増加した。顕微鏡観察の結果によれば、接点表面にWCとCoの凝集、Agの欠落部分が存在した。以上から、再点弧特性と裁断特性と耐消耗性のバランスを得る為には実施例3,実施例16〜18で示したCoの平均粒径は10μm以下に於いて、本発明技術が有効に発揮される。
【0108】
実施例19〜21,比較例10
前記実施例1〜18,比較例1〜9では、合金中のCの平均粒径(粒子を球体とした時の直径)を0.5μmとした場合の本発明効果について示したが、本発明効果はCの平均粒径はこれに限ることなく発揮される。
【0109】
すなわち、Cの平均粒径を0.01〜5μmとして上記同様の評価を実施したところ、裁断特性、再点弧発生率、耐消耗性のいずれもがほぽ同等の良好な特性を発揮している(実施例19〜21)。
【0110】
しかしCの平均粒径を20μmとした62%WC−Co残部Ag(比較例10)に於いて同様の評価を実施したところ、耐消耗性は標準としている実施例4と比較して、20〜44倍と大幅な消耗量を示した。更に裁断特性に於いても1〜100回開閉の範囲では実施例4と比較して、最大値が2.6倍程度に増加し、、19、900〜20,000回開閉中の裁断電流値に於いても最大値が4.8倍に増加(特性劣化)している。また、再点弧発生率に於いても大幅な増加(特性劣化)とばらつきとが見られた。
【0111】
すなわち、比較対象としている実施例4の1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比較例4の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例9では1000回遮断で2.7〜4.5倍に増加(特性低下)、20,000回遮断でも6〜8倍に増加した。顕微鏡観察の結果によれば、Cの平均粒径を20μmとした比較例10では、接点表面にCの凝集とCの欠落部分が存在した。以上から、再点弧特性と裁断特性と耐消耗性のバランスを得る為には実施例19〜21で示したCの平均粒径は,0.01〜5μm以下に於いて、本発明技術が有効に発揮される。
【0112】
実施例22〜24
前記実施例1〜21,比較例1〜10では、Ag−WC、Ag−WC−Co,Ag−WC−Co−Fe合金中について、合金中に存在した非固溶状態もしくは化合物非形成状態にあるC量が0.005〜0.2%の範囲に於いて本発明効果を発揮する事を示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。合金中のCの存在効果は溶着防止成分として、Bi,Sb,Teを含有したこれらの合金に対しても同様に効果を示した(実施例22〜24)。
【0113】
すなわち、上記同様の評価を実施したところ、裁断特性、再点弧発生率、耐消耗性のいずれもがほぽ同等の良好な特性を発揮している(実施例19〜21)。なお、これら溶着防止成分は、0.05%以下ではAg−WC、Ag−WC−Co,Ag−WC−Co−Fe合金の耐溶着性の改善に効果が少なく、また0.5%以上では再点弧特性に悪影響を示す。従って、Ag−WC、Ag−WC−Co,Ag−WC−Co−Fe合金中の溶着防止成分の量は、0.05%〜0.5%の範囲に於いて、再点弧特性と裁断特性と耐消耗性と耐溶着性のバランスを得る。
【0114】
比較例11
前記実施例19〜21,比較例10に示したAg−WC−Co合金について、非固溶状態もしくは化合物非形成状態にあるCの粒子の分布状態を更に詳細に分析するために、各合金についてCの粒子の分散度(最近接するC粒子の間隔)を観察すると、実施例19〜21の合金では、最近接する2つのC粒子の間隔Lが、小さい方のC粒子の直径dと同等若しくは同等以上離れていた(L≧d)。すなわち、良好な分散状態にあった。
【0115】
これに対して比較例10の合金では、C粒子の直径dの方がC粒子の間隔Lより大であ.事が判った(L<d)。すなわち、C粒子は局部的に凝集状態が見られ分散状態は良好ではなかった。
【0116】
そこで、比較例10の素材から、L<dでC粒径が0.5μmの接点を選択し、前記と同様の評価を実施したところ、特に再点弧発生率に於いて、上記実施例4の1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比較例11の再点弧発生頻度を比較すると、比較例11では1000回遮断で2倍程度の増加(特性低下)に止まっていたが、20,000回遮断では2.6〜13倍に増加していると共に発生頻度には大きなばらつきも見られた。
【0117】
裁断耗性は標準としている実施例4と比較して、同様の評価を実施したところ、1〜100回開閉の範囲では1.2〜1.45倍程度の増加であったが、19、900〜20,000回開閉中の裁断電流値に於いて3倍以上の増加(特性劣化)が見られた。
【0118】
実施例25〜26,比較例12
前記実施例1〜24,比較例1〜11では、供試接点の合金層の厚さを3mmに一定に揃えた時についての本発明効果を示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。すなわち、接点の厚さが0.3mmで好ましい特性を発揮している(実施例25)。その厚さが更に厚い6mmの場合でも同様である(実施例26)。
【0119】
しかしながら、合金層の厚さが0.1mm(比較例12)では、遮断特性評価後の接点面の一部分に下地材である純Ag層の露出や合金層に亀裂、破断が認められている。これが一因となって再点弧特性、耐消耗性の評価を中止した。従って合金層の厚さは、0.3mm以上とすることが望ましい。Ag−WC接点の内部方向(垂直の方向)に向かってAg量を増加させたり、この合金層の下部にCu層を付与するなどによって接点素材としての導電率を改善する事も可能である。
【0120】
実施例27〜29,比較例13
前記実施例1〜26,比較例1〜12では、接点面の平均表面仕上げの粗さを0.3μmに一定に揃えた時についての本発明効果を示したが、本発明効果はこれに限ることなく発揮される。すなわち、接触面の平均表面仕上げの粗さを0.05μm、1μm、10μmとしても好ましい特性を発揮した(実施例27〜29)。
【0121】
なお、接触面の平均表面仕上げの粗さを逆に極端に平滑とすると、仕上げ加工の条件によっては、加工の途中にAgのみが除去されることがあり、WCのみが表面に残りAg相の存在が少ない接触面となりやすい。その結果接触抵抗特性、温度上昇特性に問題を生ずる。
【0122】
一方、接触面の平均表面仕上げの粗さを25μm(比較例13)とした時には、再点弧発生頻度が著しく増大しかつばらつき幅も大となった。すなわち、比較対象としている実施例4の1,000回遮断時の再点弧発生頻度を基本として、比較例13の再点弧発生頻度比較を比較すると、比較例13では1000回遮断で4〜20倍に増加(特性低下)、20,000回遮断でも3.5〜27.5倍に増加した。消耗量も4.4〜19.6倍に増加した。従って接触面の平均表面仕上げの粗さは、0.05〜10μmとすることが望ましい。なお接触面の平均表面粗さを、前記0.05〜10μmに仕上げした接触面に対して、電圧10kVを印加した状態で電流1〜10mAを遮断させ、表面を追加仕上げすることによって、再点弧特性の一層の安定化に寄与した。
【0123】
上記実施例の結果からも理解される様に、本発明に係わる真空遮断器用接点材料は、Ag−WC合金中のC量や存在状態を最適化すると共に補助成分としてCo、Fe,Bi,Sb,Teなどを合金化させてる事によって、特性の安定性を向上させた。
【0124】
すなわち、非固溶状態もしくは化合物非形成状態にある時のC量と間隙を最適化を図った。その結果アークを受けた時に選択的に優先して蒸発、飛散するAgを少なくなる様に制御するのみならず被アーク時の熱衝撃によっても接点面上には、再点弧発生に対して有害な著しい亀裂発生も抑止され、WC粒子の飛散脱落も軽減された。
【0125】
この様に合金組織の均一化等の改良を図ったので、アークを受けた後でも接点表面の溶融、飛散損傷が少なくなり、再点弧抑止に重要な影響を及ぽす接点表面荒れを少なくし、耐アーク消耗性の向上にも有益となり、優れた特性を有する真空遮断器用接点材料を提供できる。
【0126】
【発明の効果】
本発明により、接点材料の信頼性を向上させることができる。

Claims (10)

  1. 平均粒径が0.1乃至6μmの炭化タングステンWCを重量割合で55乃至70%含有する銀−炭化タングステン合金からなる接点材料に於いて、等価直径が0.01乃至5μmで、しかも非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが重量割合で0.005乃至0.2%存在していることを特徴とする接点材料。
  2. 重量割合で5%以下のコバルトCoと、平均粒径が0.1乃至6μmの炭化タングステンWCを重量割合で55乃至70%含有する銀−炭化タングステン−コバルト合金からなる接点材料に於いて、等価直径が0.01乃至5μmで、しかも非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが重量割合で0.005乃至0.2%存在していることを特徴とする接点材料。
  3. 重量割合で0.01乃至0.55%の鉄Feを含有した前記銀−炭化タングステン合金または前記銀−炭化タングステン−コバルト合金からなる接点材料に於いて、等価直径が0.01乃至5μmで、しかも非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが重量割合で0.005乃至0.2%存在していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した接点材料。
  4. ビスマスBi、アンチモンSbおよびテルルTeのうち少なくとも1つを重量割合で0.05乃至0.5%含有した前記銀−炭化タングステン合金または前記銀−炭化タングステン−コバルト合金からなる接点材料に於いて、等価直径が0.01乃至5μmで、しかも非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが重量割合で0.005乃至0.2%存在していることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載した接点材料。
  5. 前記非固溶状態もしくは非化合物形成状態にあるカーボンCが前記銀−炭化タングステン合金中に高度に分散分布し、それらのカーボン粒子間の間隙が最隣接するカーボン粒子の大きさより十分に隔離していることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載した接点材料。
  6. 接触面を請求項1乃至請求項5に記載した接点材料で構成し、前記接触面から内部垂直の方向に向かって銅の含有量を次第に増加させたことを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載した接点材料。
  7. 接触面を請求項1乃至請求項6に記載した接点材料で構成し、前記接触面の他方の面に銅の層を付与したことを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載した接点材料。
  8. 接触面を請求項1乃至請求項7に記載した接点材料で構成し、前記銅の層の厚さを0.3mm以上としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載した接点材料。
  9. 接触面を請求項1乃至請求項8に記載した接点材料で構成し、前記接触面の平均表面粗さを10乃至0.05μmとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載した接点材料。
  10. 接触面を請求項1乃至請求項9に記載した接点材料で構成し、前記接触面に10kV以上の電圧を印加した状態で1乃至10mAの電流を遮断させることによって表面仕上げを行なったことを特徴とする請求項1乃至請求項9に記載した接点材料。
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