JPH02228438A - 真空バルブ用接点材料 - Google Patents

真空バルブ用接点材料

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JPH02228438A
JPH02228438A JP1049066A JP4906689A JPH02228438A JP H02228438 A JPH02228438 A JP H02228438A JP 1049066 A JP1049066 A JP 1049066A JP 4906689 A JP4906689 A JP 4906689A JP H02228438 A JPH02228438 A JP H02228438A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は真空バルブの接点材料に用いられる焼結合金に
関し、より詳細には、電流さい断時性及び接触抵抗特性
の改良が図られた真空バルブ用接点材料に関する。
(従来の技術) 真空中でのアーク拡散性を利用して高真空中で電流しゃ
断を行なわせる真空バルブの接点は、対向する固定、可
動の2つの接点から構成されている。この真空バルブを
用いて、電動機負荷などの誘導性回路の電流をしゃ断す
るとき、過度の異常サージ電圧が発生し、負荷機器を破
壊させる恐れがある。
この異常サージ電圧の発生原因は、例えば、真空中にお
ける小電流しゃ断時に発生するさい新現象(交流電流波
形の自然ゼロ点を待たずに強制的に電流しゃ断が行なわ
れること)、或いは高周波消弧現象などによるものであ
る。
さい新現象による異常サージ電圧の値Vsは、回路のサ
ージインピーダンスZOと、電流さい断値Icの積、す
なわちVs−Zo−1cで表される。従って、異常サー
ジ電圧Vsを低くするためには電流さい断値1cを小さ
くしなくてはならない。
上記の要求に対して、炭化タングステン(WC)と銀(
Ag)とを複合化した合金の接点を用いた真空密閉器が
開発され(特願昭42−68447号、米国特許第36
83138号)、これが実用化されている。
このA g −WC系合金の接点は、 (1)  WCの介在が電子放射を容易にさせ、(2)
 電界放射電子の衝突による電極面の加熱に基づく接点
材料の蒸発を促進させ、さらに、(3) 接点材料の炭
化物がアークにより分解し、荷電体を精製してアークを
接続する等の点で優れた低さい断電流特性を発揮する。
また、低さい断電流特性を発揮する他の接点材料として
、ビスマス(Bi)と銅(C,u )とを複合化した合
金が製造され、この材料が真空バルブに実用化されてい
る(特公昭35−14974号、米国特許第29752
56号、特公昭41−12131号、米国特許第324
6979号)。
この合金のうち、Biを10重置火(以下wt%と表記
する)としたもの(特公昭35−14974号)は、そ
の適度な蒸気圧特性を有するので、低いさい断電流特性
を発揮し、また、Biを0.5wt%とした(特公昭4
1−12131号)は、結晶粒界に偏析して存在する結
果、合金自体を脆化し、低い溶告引外力を実現し大電流
しゃ断性に優れている。
低さい断電流特性を得る他の接点材料として、AgとC
uとの比率をほぼ7:3としたAg−Cu−WC合金が
提案されている(特願昭57−39851号)。この合
金において、従来にない限定をしたAgとCuとの比率
を選択するので、安定したさい断電流特性を発揮すると
記載されている。
さらに、特願昭60−216648号明細書には、耐弧
性材料の粒径(例えば、WCの粒径)を0.2〜1μm
とすることにより、低さい断電流特性の改善に有効であ
ることが示唆されている。
(発明が解決しようとする課題) 真空しゃ断器には、低サージ性が要求され、そのために
、従来では、上述のように低さい断電流特性(低チョッ
ピング特性)が要求されていた。
しかしながら、真空バルブは、近年、電動機等の誘導性
回路に適用されることが一層増えると共に、サージイン
ピーダンス負荷も出現したため、真空バルブは一層安定
した低さい断電流特性を持つことが望まれるのは勿論の
こと、これ以外に、低い接触抵抗特性も兼備し、満足し
なくてはならない。これは、近年真空遮断器の大容量化
が進み、大電流通電による真空バルブの異常温度上昇が
、機器の劣化に対し、脅威となることが判明しているか
らである。
従来、これらの両特性を同時に満足させる接点材料はな
かった。
すなわち、例えば前記WCとAgとを複合化した合金の
接点では、WCの量を調節することにより電流さい断値
を低く改善できるが、一方、相対的にAgの量が変動し
てしまうため、接触抵抗特性も変化する。従って、同一
のAgff1であっても、より低く、安定化した接触抵
抗特性を得るよう改善を計る必要がある。
WCとAgとを複合化した合金の接点(特願昭42−6
8447号、米国特許第3683138号)では、さい
断電流値自体が不十分であるのみならず、接触抵抗特性
の改善に対して何等の配慮がなされていない。
10 w t%のBiとCuとを複合化した合金(特公
昭35−14974号、米国特許第2975256号)
では、開閉回数の増大と共に電極間空間への金属供給量
が減少し、低さい断電流特性の劣化が現れ、高蒸気圧元
素量に依存して耐電圧特性の劣化も指摘されている。し
かも、接触抵抗特性を充分に満足していない。
Q、5wt%のBiとCuとを複合化した合金(特公昭
41−12131号、米国特許第3246979号)で
は、低さい断電流特性が不十分である。
また、AgとCuとの重量比率をほぼ7:3としたAg
−Cu−WC合金(特願昭57=39851号)及び耐
弧性材料の粒径を0.2〜1μmとする合金(特願昭6
0−216648号)では、接触抵抗特性を十分に満足
していない。
本発明は上述の背景に基づきなされたものであり、その
目的とするところは、優れた低さい断電流特性と接触抵
抗特性を兼備し、苛酷化する真空遮断器への要求に応え
る接点材料を提供することである。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明者は、上記の課題解決のために研究開発を進めた
結果、Ag−Cu−WC系接点材料において、AgとC
uとの含有量、その比率及び存在状態を最適化すると共
に、耐弧性成分のWCの粒径を一層微細化し、さらにA
gとCuとの存在状態を改善すれば、本発明の目的達成
に有効であるとの知見を得て、本発明を完成するに至っ
た。
すなわち、本発明の真空バルブ用接点材料は、Agおよ
びCuの高導電性成分とW、WCなどの耐弧性成分とを
含むAg−Cu−WC(以下、耐弧成分を便宜上WCで
代表して表記する場合がある)系真空バルブ用接点材料
であって、(1) 高導電性成分の含有量は、AgとC
uとの総計量(Ag十Cu)が25〜65wt%であり
、 (2) 耐弧性成分の含有量は、35〜75 w t%
であり、該成分は、W、Mo、C「、Ti。
Z「、又はこれらの炭化物ないし硼化物の少なくとも1
種からなり、 (3) この接点材料の高導電性成分は、第1の高導電
性成分領域と第2の高導電性成分領域とから構成され、
前者は、厚さないし幅が5μm以下の第1の不連続相と
、これをとり囲む第1のマトリックスとからなり、一方
、後者は、厚さないし幅が5μm以上の第2の不連続相
とこれをとり囲む第2のマトリックスとからなり、さら
に(4) 前記第1の高導電性成分領域中の第1の不連
続相は第1のマトリックス中において5μm以下の間隔
で微細かつ均一に分散され、しかも全高導電性成分中に
占める前記第2の高導電性成分領域の量、すなわち、 が10〜60 w t%の範囲であることを特徴とする
ものである。
本発明の好ましい一態様において、前記耐弧性成分は、
5μm以下の平均粒径(0,1μm以上)を有し、かつ
、その大部分は、第1の高導電性成分にとり囲まれて存
在することができる。
本発明の好ましい別の態様において、前記高導電性成分
であるAgとCuとの総計量中に占めるAgの比率(A
g/ (Ag十Cu)〕が40〜80wt%であること
ができる。
本発明の望ましいさらに別の態様においては、第1又は
/及び第2の高導電性成分領域を構成する不連続相及び
マトリックスが、各々、Agを溶解したCu固溶体及び
Cuを溶解したAg固溶体もしくはCuを溶解したAg
固溶体及びAgを溶解したCu固溶体であることができ
る。
(作 用) 以下の記載においては、耐弧材料をWCで代表して説明
する。
Ag−Cu−WC系接点材料の電流さい所持性と、接触
抵抗特性とを同時に改善するには、同合金中のA g+
 Cu量、Ag+Cu比、AgとCuとの存在形態、W
C粒径等を好ましい範囲に制御することが重要であり、
特に電流さい断値自体をより低い値に維持すること以外
にも、そのばらつき幅を縮めることならびに接触抵抗特
性、さらには所定の範囲内に抑えることと共に開閉の経
過に伴い変化(抵抗が増大してゆく)することを避ける
ことも極めて重要である。前述の電流さい新現象は、接
点間の蒸気量(材料物性としては蒸気圧、熱伝導)、接
点材料からの放出電子などと関係が深いとされ、発明者
らの実験によれば、前者の方が寄与が大きいことが判明
した。従って、蒸気を供給し易くするか、あるいは供給
し易い材料で接点を作成すれば電流さい新現象が緩和で
きることが判明した。上述のCu−B1系合金はこうし
た観点に立つもので、低いさい断値を有する。しかしな
がら、致命的な欠点として、Biが持つ低融点(271
℃)のために通常真空バルブで行なわれる600℃近傍
のベーキング或いは800℃の銀ろう付は作業時に、B
iの溶融による移動・凝集の結果、電流さい所持性を維
持すべきBiの存在が不均一になってしまう。このため
、電流さい断値及び接触抵抗値のばらつき幅が増大する
現象が見られる。
一方、A g−WCで代表されるAg−耐弧性材料系合
金では、耐弧性材料(この場合WC)の沸点おけるAg
の蒸気量に左右されるものの他方、前記Cu−B1系に
おけるBiの蒸気圧よりAgの蒸気圧は著しく低いため
に接点のどの位置に(Agか耐弧性材料か)にアークの
足が固着するかによって、温度不足すなわち蒸気不足を
招くことがある。結果的には、電流さい断値のばらつき
幅が現れることが確認された。このように電流さい断終
期の接点面の急激な温度定価をAgと耐弧性材料との組
合わせのみによる合金によって阻止しアークを維持させ
ることは既に限界であると考えられた。さらに、高性能
化するためには、何等かの補助技術を付与する必要があ
るとの結論に至った。この改良の1つの考えとして、前
記特願昭57−39851号明細書では、高導電性成分
をAgとCuとの合金にすることによって結晶粒を細か
く分布させる技術を示唆している。この技術により飛躍
的に特性の安定化が図られた。アークが主として固着す
る位置が、耐弧性成分の場合とAg−Cu系合金との場
合があり、いずれの場合もAg−Cu蒸気の供給による
電流さい新現象の緩和(改良)が行なわれるが、耐弧性
成分に固着した場合には、若干のばらつきが発生した。
一方、耐弧性成分をより微細化することで、ばらつき幅
の改善が見られる。従って、耐弧性成分の粒径が電流さ
い新現象に重要な役割を果すことを示唆すると共に、耐
弧性成分が初期粒径のほぼ10〜20倍程の大きさに偏
析が見られた接点材料では著しいばらつきを示した観察
結果を併せて考慮すると、粒径に特走の範囲があること
を示唆している。
しかしながら、特願昭57−39851号明細書に開示
された発明のように、AgとCuとの量及びWCの粒径
を所定の値に制御して、さい断電流特性の改善に対して
は、重要な技術的進展が見られたものの、これらの技術
から、より一層の低さい断電流特性の向上及び低く、安
定した接触抵抗特性の確保は、得られなかった。
前述のように、本発明接点材料では、微細なWC粉の採
用、AgとCuとの好ましい存在状態の採用などで、接
点組織の微細化、均一化を達成しているので、安定した
電流さい所持性を示し接触抵抗特性についても同様であ
る。多数個の開閉回数の経過後でも開閉時のアーク熱に
よって蒸発するAg、Cuによって安定した電流さい所
持性を示すが、接触抵抗特性では、変動幅が増大し異常
に高い接触抵抗を示す場合が見受けられる。これは本発
明者らの観察によれば、アークによって過熱したWC周
辺のAg、Cu成分の選択的蒸発によってAg s C
uの量が不足しあたかもWCのみの集合体の存在となり
、この部分同士が接触したとき、接触抵抗が高くなると
考えられた。このような場合でも電流さい断時性が劣化
しないのは、前述したAg SCuとの特殊な存在形態
の寄与と、らに内部からの蒸気状のAg5Cuの補給に
よる寄与の相乗効果である。上記したあたかもWCのみ
の集合体と思われる表面に極めて薄いAg1Cuの存在
が、分析によって認められていることから支持される。
しかしこのように極めて薄いAg、Cuの存在では、接
触抵抗特性の維持に対しては、はとんど貢献しない。そ
のためにアークによってA g s Cuの補給の効果
によって電流さい断時性は確保されるが、接触抵抗特性
の維持が困難となっている。
このような状態の改善のため、本発明では、AgとCu
とを共存させるのみならずAgとCuとの存在を単に5
μm以下に微細に、均一に存在させるだけでなく、大き
さも調整し特に5μm以上のAg SCuプールを所定
比率存在させた。このようにすることによって接触抵抗
特性は、開閉回数の経過後も安定化した。しかも、電流
さい断時性をよいレベルに維持したまま両特性の両立が
可能となった。
すなわち高導電性成分であるA g s Cuを厚さ又
は幅を5μm以下とした第1の不連続相と、これをとり
囲むようにして存在する第1のマトリックスとからなる
第1の高導電性成分領域によって電流さい断値を低いレ
ベルに安定化させると共に、厚さ又は幅が5μm以上の
第2の不連続相と、これをとり囲むようにして存在する
第2のマトリックスとからなる第2の高導電性成分領域
によって多数回開閉後の接触抵抗の増加の一因となるA
g、Cuの蒸発欠乏部分への補給の役目を分担すること
により、接触面全面に適度にAg、Cuが存在すること
になり、これにより電流さい断時性と接触抵抗特性との
両立化安定化が図られる。
特に、観察によれば、電流さい断時性を安定化させる目
的で、粒径3μm以下のWC粉を使用し、高導電性成分
Ag、Cuを微細に、均一に分断し存在させているため
、アークを受けて蒸発した微小部分では、Ag、Cuの
損失欠乏が起こり電流さい新現象を起こすような小電流
開閉時のアークではさらに下部内部からAg、Cuを融
出させ埋めるだけのエネルギはなく、せいぜい薄い皮膜
程度の補給があるのみである。この薄い皮膜程度の補給
では、電流さい新現象を緩和するのには有効なAg、C
uの量であるが、接触抵抗値に対しては、Ag、Cuの
ミクロ的不足が起こる。従って開閉回数を多数重ねても
、接触抵抗特性を安定に維持させるには、接触面にAg
5Cuの補給源が必要となり、実験によれば5μm以上
のAg1Cuのプール(第2の高導電性成分領域)を存
在させればその効果があることが判った。しかし、この
Ag5Cuのプールも実験によれば100μmより大き
いと、このプール同士の接触の確率が増加し、溶着の傾
向も見られる場合があり、あまり大きいのは好ましくな
い。またこの場合5μm以上のAg、、Cuのプールの
なかにWCが存在することは、Ag s Cuの補給を
スムーズに行なわせることをさまたげたり、A g s
 Cuが補給されるとき、ばらばらになったWCが電極
面上に付着し、耐圧低下の原因となるなど、好ましくな
い。
電流さい断時性と接触抵抗特性との両立、改善の、ため
に、本発明では、まず第1に、高導電性成分のAgとC
uとを共存させる。しかも、■Cuを溶解したAg固溶
体及び■Agを溶解したC II固溶体の、マトリック
ス及び不連続相(層状組織、又は棒状組織)を形成し、
この不連続相の幅又は厚みを5μm以下とし、かつこの
不連続相をマトリックス中で5μm以下の間隔で微細に
かつ均一に分散させることによって、アークスポット径
の大きさに比べて同等若しくは好ましくはそれ以下とな
るように設計される。その結果、アークを維持・持続さ
せる機能を主として分担しているAgとCu成分(以下
、アーク維持材)の融点を低下させると同時に蒸気圧を
上昇させる。
次いで、第2に、WC粒の平均粒径を1μm以下、好ま
しくは0.8μm1より好ましくは0.6μm以下に設
定される。この要件により、アーク維持材の分散を、よ
り一層高度微細分散状態にするのを促進する。すなわち
、ただ、高導電性成分(AgとCu)の含有量及びその
比率を所定の範囲に選択しても、後述する実施例・比較
例に示すように、低さい所持性と接触抵抗特性との両立
が得られない。この発明により、WC粒の平均粒径を所
定の値と組合わせて初めて高導電性成分(AgとCu)
の組織を高度に微細化した効果を一層引出し、かつ安定
化させると共に、高導電性成分を機能分担させ、目的を
達成させている。
このように、本願発明のAgとCuとの含有量、その比
率及び存在状態、さらに、耐弧性成分のWCの粒径を一
層微細化することにより、低さい所持性と接触抵抗特性
とを同時に改良することができる。
(実施例) 図面を参照しつつ、この発明をより具体的に説明する。
第1図は真空バルブの断面図、第2図は真空バルブの電
極部の拡大断面図である。
第1図において、しゃ断室1は、絶縁材料によりほぼ円
筒状に形成された絶縁容器2と、この両端に封止金具3
a、3bを介して設けた金属性の蓋体4a、4bとで真
空密に構成されている。
前記しゃ断室1内には、導電棒5,6の対向する端部に
取付けられた1対の電極7.8が配設され、上部の電極
7を固定電極、下部の電極8を可動電極としている。ま
たこの電極8の電極環6には、ベローズ9が取付けられ
しゃ断室1内を真空密に保持しながら電極8の軸方向の
移動を可能にしている。またこのベローズ9上部には金
属性のアークシールド10が設けられ、ベローズ9がア
ーク蒸気で覆われることを防止している。また、前記電
極7.8を覆うようにしゃ断室1内に金属性のアークシ
ールド11が設けられ、これにより絶縁容器2がアーク
蒸気で覆われることを防止している。さらに電極8は、
第2図に拡大して示す如く導電棒6にろう付部12によ
って固定されるか、またはかしめによって圧着接続され
ている。
接点13aは電極8にろう付14によってろう付で取付
けられる。なお、接点13bは電極7にろう付により取
付けられる。
次に、この接点材料の製造方法の一例につき説明する。
製造に先立って、必要粒径別に耐弧性成分及び補助成分
を分類する。分類作業は例えば篩分けと沈降法とを併用
して行うことで容易に所定粒径の粉末を得る。まず所定
粒径のWCを所定量及び、所定粒径のAgを所定量の一
部用意し、これらを混合し、その後加圧成型して粉末形
体を得る。
ついで、この粉末成形体を露点が一50℃以下の水素雰
囲気或いは真空度が、1.3X10’Pa以下で、所定
温度、例えば1150℃×1時間にて仮焼結し、仮焼結
体を得る。
ついで、この仮焼結体の残存空孔中に所定量及び所定比
率のAg−Cuを1150℃×1時間で溶浸しAg−C
u−WC合金を得る。溶浸は主として真空中で行うが、
水素中でも可能である。
なお、高導電性成分中の第1の領域と、第2の領域の製
造及びこれらの量の制御は、例えば次のようにして行う
。すなわち、先に用意した3μm以下の粒径を有するW
C粉を所定比率に区分ける。
その一方は、3μm以下のWCそのまま、他方は、この
3μm以下のWCに、パラフィンのように焼結時に蒸発
除去可能な物質を混合し、両者(3μm以下のWCたけ
のものと、パラフィンを混合したWC)を所定比率混合
し、これをプレス成形する。成形時にパラフィンが占め
ている部分は、WCスケルトンを作る時の焼結時の加熱
で蒸発除去される際、空隙を残す。この後の溶浸時に前
記空隙中に溶浸材(AgとCu)が侵入し3μmのWC
粒子と3μmのWC粒子との間に侵入したAg s C
uより大きいプールとして得られる。この際、WC粉の
みとパラフィンを混合したWC粉との秤量比率を調整す
ることによって第1の高導電性成分領域の量と、第2の
それとの量比を調節することができる。すなわち、WC
粉とWC粉との間に侵入したAgとCuが、第1の高導
電性成分領域を形成し、パラフィンが抜けた空隙に侵入
したAgとCuが第2の高導電性成分領域を形成する。
なお、合金中の導電成分の比率Ag/ (Ag+Cu)
の制御は、次のようにして行った。例えばあらかじめ所
定比率Ag/ (Ag+Cu)を有するインゴットを、
温度1200℃、真空度1,3XIO−2Paで真空溶
解を行ない、切断し溶浸用素材として用いた。導電成分
の比率Ag/ (Ag+Cu)の制御の他の方法は仮焼
結体を作る際、あらかじめ、所定量の一部をWC中に混
合させておき後から残余のAg又はAg十Cuを溶浸さ
せることでも、所望組成の接点合金を得ることができる
次に、本発明実施例データを得た評価方法、及び評価条
件につき述べる。
(1) 電流さい断時性 各接点を取付けて10’Pa以下に排気した組立て式真
空バルブを製作し、この装置を0.8m/秒の開極速度
で開極させ遅れ小電流をしゃ断した時のさい断電流を測
定した。さい断電流は20A(実効値) 、50Hzと
した。開極位相はランダムに行い500回しゃ断された
ときのさい断電流を接点数3個につき測定しその平均値
及び最大値を第1〜3表に示した。なお、数値は、実施
例2のさい断電流値の平均値を1.0とした場合の相対
値で示した。
(2) 接触抵抗 接触抵抗特性は、表面荒さを5μmに仕上げた直径50
關のフラット電極と同じ表面荒さを持つ曲率半径100
Rの凸状電極とを対向させ、画電極を開閉機構を持つ真
空度10’Pa以下に排気した着脱可能な真空容器内に
取付け1.0kgの荷重及び通電電流100Aを開閉す
る。そして両電極間にIOAの交流を与えたときの電位
降下から接触抵抗を求める。なお、接触低抵抗値は1(
Illl回定を構成する配線材、開閉器などの抵抗又は
接触抵抗を回路定数として含んだ値である。
また、接触抵抗の値は、着脱式真空開閉装置自体の軸部
の抵抗]−28〜2,5μΩ、磁界発生用コイル部の抵
抗5.2〜6,0μΩを含むもので残部が接点部(接点
合金の抵抗、同接触抵抗)値である。
なお、表1〜3の接触抵抗値は、10,000回開閉テ
スト中の最初の1〜100回、及び9.900〜10,
000囲の間のばらつき幅で示した。
(3) 共試接点の内容 第1〜第3表に共試接点の材料内容とその対応する特定
データを示す。
表のようにAg−Cu−WC合合金中Ag+Cu量を1
6.2wt%〜88.3wt%、AgとCuとの比率A
g/ (、Ag+Cu)を0〜100wt%の範囲で変
化させ、かつ全高導電性成分中に占める第2の高導電性
成分領域の二を多くの接点から顕微鏡的な評価によって
、前記量を5%、10〜30%、30〜40%、40〜
60%、60〜90%の夫々を選出した。これらの接点
は、前述したようにスケルトンの焼結加熱中に飛散する
物質の混合量、焼結温度、成形圧力などの制御によって
得る。
さらに、使用する耐弧性成分の粒径、耐弧性成分の種類
を変化させ評価した。
これらの条件と対応する結果を表1〜3に示した。
実施例1〜3、比較例1〜2 平均粒径0,76μmのWC粉末及び平均粒径5μmの
Ag及びCu粉末を用意する。これらを所定比率混合後
、焼結後の残存空隙量を調整するよう成形圧をゼロ−8
トン/C−の範囲で適宜選択しながら成形する。この場
合、合金中のAg+Cu量の多い実施例3 (Ag+C
u=65wt%)比較例2 (Ag十Cu−88,3w
t%)では、成形圧を特に、低くするか、若しくはあら
かじめAg+Cuの一部をWClと共に混合した混合粉
を得て、これを成形する方法を採る。第2の高導電性成
分の量を制御するために、このWC粉の成形に際しては
、全WC粉の一部例えば40%の粉末に対して、例えば
パラフィンをWC粉の表面に、付着させ、これとパラフ
ィン付着のない残量のWC粉とを混合、成形、焼結した
実施例1、比較例1では、例えば1100〜1300℃
で焼結し、WC焼結体を得る。実施例2〜3、比較例2
ではこれより低い焼結温度で焼結し焼結体を得る。この
ようにして空隙量の調節を行いAg+CLIffiを制
御すると共に、同時に空隙の大きさの調節を行い、第1
と第2導電性成分領域の量を制御した。
このような空隙状態の異なるWCスケルトンの空隙中に
Ag+Cuを1000〜1100℃で溶浸しく又は必要
によりCuはあらかじめ別に供給し、Agのみを溶浸す
ることもある)最終的にAg−Cu−WC合金中の(A
g+Cu)!が、16.2〜88.3 w t%(実施
例1〜3、比較例1〜2)の合金を得る。
これらの接点素材を所定の形状に加工後、前述した評価
方法、条件にてさい断時性及び接触抵抗特性を評価した
前記したように、さい断時性の評価は、500回しゃ断
させたときの特性で比較した。第1表の比較例1〜2、
実施例1〜3に示すように合金中の(Ag+Cu)fj
lでのさい断値の平均値は実施例2 (Ag+Cu−4
4,4wt%、Ag/(Ag+Cu)=71.3%)を
1.0とした相対値で比較した場合、2.0倍以下の上
昇(特性の劣化)になっているが、Ag+Cu−16,
2wt%(比較例1)及びAg+Cu−88,3wt%
(比較例2)では、最大値が、上昇しているのに対しA
g+Cuが25〜65wt%(実施例1〜3)では、比
較値が2.0倍以下に安定(特性良好)している。特に
Ag+Cu−16,2wt%(比較例1)のようにAg
+Cuユが少ない接点のさい断時性は、さらに多数回の
しゃ断を行うと約2000回開閉前後より、さい断時性
が劣化するのが見られる。
一方、接触抵抗特性の評価を行うと、同様に実施例2の
特性を標準とした相対値で検討すると、Ag+Cu量が
25〜65wt%(実施例1〜3)では安定した特性を
示すが、Ag+Cuiが16.2wt%(比較例1)及
び8g、3wt%(比較例2)では、前記測定値が増加
(特性の劣化)の傾向にあり、接触抵抗特性の劣化が認
められる。特に比較例1では、多数回開閉後(9900
〜10,000回後の値)では、高導電性成分の総量の
不足により接触抵抗は増加傾向にある。さらに別のテス
トによれば溶着の発生も見られる。従ってAg−Cu−
WC合金中のAg+ Cu量は、さい断時性及び高周波
消弧特性の両観点から25〜65wt%の範囲が好まし
い。
実施例4〜6、比較例3〜6 前述したようにAg+Cu量が好ましい範囲、すなわち
25〜65 w t%の範囲であってもAg−Cu−W
C合金中のAgとCuとの比率が適切でないとさい断時
性、及び接触抵抗特性が劣化することが判った。すなわ
ち、Ag/ (Ag+Cu)の値が40〜80wt%(
実施例4〜6)では、好ましいさい断時性(相対値が2
,0以下)と、好ましい接触抵抗特性(多数回開閉後で
も125μΩ以下)が得られた。
なお、Ag/(Ag十Cu)の値が90.1wt%及び
100wt%(比較値3〜4)では高い熱伝導性が、ま
たAg/ (Ag+Cu)の値が22.2wt%〜ゼロ
(比較例5〜6)では、主として蒸気源となるAgの量
的不足によってさい断時性の低下が見られている。
実施例7〜8、比較例7〜8 Ag−Cu−WC合金中の高導電性成分中に占める第2
の高導電性成分の領域の量を、前述したようにWCに付
着させたパラフィン量と焼結温度の調節でAg十Cuを
45〜48wt%近傍、Ag/ (Ag十Cu)を71
〜73wt%近傍に揃えた所定の空隙大きさを有するW
Cスケルトンに対し、再加圧の圧力、溶浸温度等の調整
によって、第2の高導電性成分領域の量を5%、10〜
30%、40〜60%、60〜90%(比較例7、実施
例7〜8、比較例8)とした接点を選び出し共試片とし
た。
′表−2のように、前記第2の高導電性成分領域の量が
10〜30%、40〜60%(実施例7〜8)では、安
定したさい断時性の範囲にある上に、接触抵抗特性も開
閉初期(1〜100回開閉)、多数回開閉後(9,90
0〜10,000回開閉)ともに、大きな差がな(安定
した良好値を示しているのに対し、この第2の高導電性
成分領域の量が少ないと比較例7では、さい断時性につ
いては極めて良好な性能を示したものの特に多数回開閉
後(9,900〜10,000回開閉後)の接触抵抗値
が著しく大となり安定性に欠ける傾向を示した。この状
態の接点表面を観察すると、導電性成分(” g SC
u 、又はAg)の欠乏部分が見られた。なお第2の高
導電性成分領域の量が多い場合(比較例8)では、開閉
初期の接触抵抗は、低く好ましい状況にあるが、多数回
開閉後では、低く好ましい値と、高い値が出現するなど
、局部的な表面溶融(第2の高導電性成分領域)や蒸発
による荒れのためにばらつきが出現している。従って、
AgとCuとの存在状態の第2の高導電性成分領域の量
は10〜60wt%の範囲とする必要がある。
実施例9〜10、比較例9〜10 上述した実施例1〜8、比較例1〜8は、総て耐弧性成
分の粒径を0,76μmにつき示したが、耐弧性成分の
粒径は、特にさい断時性の最大値に影響を与える。すな
わち、さい断時性は、WC粒径が0.1〜5μm(実施
例9〜10)の範囲において、相対値は2,0以下を維
持し問題はないが、WC粒径が10am、44um (
比較例9〜10)では、さい断時性は劣化すると共に接
触抵抗特性にも、ばらつきが見られる。特に44μm(
比較例10)では、組織全体の均一性も阻害する。
実施例11〜27 上述した実施例1〜10では、耐弧性成分としてWCを
主体に高導電性成分中に占める第2の高導電性成分領域
の二のさい断時性及び接触抵抗特性への影響につき示し
たが、この第2の高導電性成分領域の量の効果は他の耐
弧性成分(実施例11〜27)についても安定して得ら
れることが判った。
なお、耐弧性成分の大部分は、第1の高導電性成分に、
とり囲まれるようにして存在する。第2の高導電性成分
中に耐弧性成分の多くが存在すると、接触抵抗を低い範
囲に維持する役割の一部を分担する第2の高導電性成分
の硬さを高くし、接触抵抗に不利であると共に、この第
2の導電性成分からのAg s Cuの補給時に残った
耐弧性成分が脱落、飛散し耐電圧特性の低下の誘因とも
なるため、極力耐弧性成分の第2の高導電性成分領域中
での存在は阻止することが不可欠である。
以上述べた実施例から明らかなようにAgとCuとから
なる高導電材料の総計量(Ag+Cu)と、AgとCu
との比率Ag/ (Ag+Cu)比とを所定値に制御し
、かつWCなど耐弧性成分の平均粒径を0.5〜1μm
とし、さらに高導電性成分中の第2の高導電性成分領域
の瓜を所定値に制御することによって、電流さい所持性
を低く維持でき、かつ、ばらつきも少なく管理すること
ができ、さらに、接触抵抗特性も同時に充分低く維持す
ることができる。なお、本合金に対し1%未満のCu(
コバルト)の添加は焼結性の改善に有効である。
〔発明の効果〕
以上詳記したように本発明によれば、次のような効果を
奏する。すなわち、電流さい所持性を低く維持でき、し
かもばらつきも少なく管理することができる。さらに、
接触抵抗特性も同時に充分低く維持することができる。
したがって、本発明の接点材料を真空バルブ接点に用い
れば、電流さい所持性及び接触抵抗特性の良い真空バル
ブが得られ、電流さい所持性の安定性をより一層向上し
た真空バルブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による真空バルブ用の接点材料が適用さ
れる真空バルブの断面図、第2図は第1図に示す真空バ
ルブの電極部分の拡大断面図である。 1・・・しゃ断室、2・・・絶縁容器、3a、3b・・
・封止金具、4a、4b・・・蓋体、5,6・・・導電
棒、7.8・・・電極、9・・・ベローズ、10.11
・・・アークシールド、12・・・ろう何部、13a、
13b・・・接点。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1、AgとCuとからなる高導電性成分25〜65重量
    %と、残部が、Ti、V、Cr、Zr、Mo、W、およ
    びこれらの炭化物ないし硼化物からなる群から選ばれる
    少なくとも1種よりなる耐弧性成分とを含む真空バルブ
    用の接点材料であって、該接点材料の高導電性成分は、
    厚さないし幅が5μm以下の第1の不連続相とこれをと
    り囲む第1のマトリックスとからなる第1の高導電性成
    分領域、及び厚さないし幅が5μm以上の第2の不連続
    相とこれをとり囲む第2のマトリックスとからなる第2
    の高導電性成分領域とから構成され、前記第1の高導電
    性成分領域中の前記第1の不連続相は前記第1のマトリ
    ックスにおいて5μm以下の間隔で微細かつ均一に分散
    され、しかも全高導電性成分中に占める第2の高導電性
    成分領域の量が10〜60重量%の範囲にあることを特
    徴とする、真空バルブ用接点材料。 2、前記耐弧性成分は、0.1〜5μm以下の平均粒径
    を有し、かつ、その大部分は第1の高導電性成分にとり
    囲まれて存在していることを特徴とする、請求項1に記
    載の真空バルブ用接点材料。 3、前記高導電性成分AgとCuとの合計量中に占める
    Agの比率〔Ag/(Ag+Cu)〕が、40〜80重
    量%であることを特徴とする、請求項1に記載の真空バ
    ルブ用接点材料。 4、第1又は/及び高導電性成分領域を構成する不連続
    相及びマトリックスが、各々、(イ)Agを溶解したC
    u固溶体及びCuを溶解したAg固溶体もしくは、(ロ
    )Cuを溶解したAg固溶体及びAgを溶解したCu固
    溶体からなることを特徴とする、請求項1に記載の真空
    バルブ用接点材料。
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