JP5753244B2 - 接点材料およびそれを用いた遮断器 - Google Patents

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Description

本発明は、電気機器や電気回路等の電気接点に利用される電気接点材料に関する。前記電気接点材料は電気回路の遮断器、断路器および開閉器等の各種開閉機器に使用され、特にSFガス等、遮断時にガスを用いる開閉機器に好適な材料に関する。
送配電や受配電網などの高圧大電流回路に使用する遮断器、断路器および開閉器等には、WとCuの複合材料(以下「Cu−W材」とも記載する)、WとAgの複合材料を用いた電気接点などが数多く提案されている。
大電流の開閉時には、一対の電気接点間にアーク(電弧)が生じる。
接点の開閉によりいったん生じたアークは、消滅までに時間を要する。アークの両端と接する接点の表面は消弧までの間に連続的に高熱にさらされるため、開閉にともなって消耗する。この現象は、消弧室内を例えばSFのようなアークが消滅しやすいガスで満たしても十分には解決されていない。
接点材料は電気と熱の良導体でなければならない。それに加えて、アークによって溶融・蒸発しにくくなければならない。この条件を単一の素材のみを用いて解決することは難しい。そこで、良導体と高融点・高沸点の材料を組み合わせたCu−W材、Ag−W材がその用途に主に用いられている。Wの代りにMoやWCが用いられることもある。
例えば、前記Cu−W材は一般に、開気孔を有するWのスケルトン中にCuが充填された構造を持つ。この構造では、W、Cuともにほぼ連続した組織を有している。WやMoがスケルトン構造を持つことにより、融点の低いCuやAgが溶融しても、隣り合うWやMo粒子でスケルトン構造が維持された状態である。そのため、WやMoが脱粒せず、消耗は進行しにくい。また、W量を増やして、W粒子の隙間にCuが点在する組織とすることもでき、この際はW同士の結合が強固であるためにやはり消耗は進行しにくい。
ここで述べる「消耗」には、大きく分けて2つの形態がある。
一つ目は図2(4)に示すように、アークと接する接点表面に存在するWやMo、CuやAgが、アーク熱によって加熱され、溶融、蒸発してほぼ使用前の面形状を保ったまま徐々に消耗する形態である。この消耗を本明細書中では「面的消耗」とも以後表現する。
二つ目は図2(1)、(2)、(3)に示すように、接点表面から接点内部に向かってクラックが進展し、さらに進行すると、内部で表面に対してほぼ平行にクラックが進展しつつ消耗が進行する形態である。この消耗形態を本明細書中では「局所消耗」とも以後表現する。局所消耗が多数生じるとクラック同士がつながって、接点表面にいわゆる「亀甲状」といわれるネットワーク状の割れが生じる(図4参照)。そして、この亀甲状の割れにより分割状態となった表面の一部は、アークの衝撃によりブロック状に剥離する(図2の(3))。
ブロック状の剥離が生じると、接点体積が急激に減少すると同時に剥離した破片が接点表面に留まる場合がある。接点体積の減少は相対的に、接点への負荷の増大となる。また、接点表面に存在する破片は容易に、新たな発弧点となる。さらに、剥離した部分はその周囲と段差が生じて、これも新たな発弧点となる。発弧点が増えるとアークは消滅しにくくなり、ますますアークによる消耗が進行する。これらの理由で、「局所消耗」は使用上、非常に望ましくない。
特許文献1には耐火性金属(C、Mo、Wなど)と高導電性金属(Cuなど)と不可避不純物からなり、耐火性金属の含有量を規定し、耐火性金属と高導電性金属との界面の70%以上が乖離した電気接点材料が開示されている。また、耐火性金属の粒径は10〜104μmの範囲にあることが記載されている。前記乖離のために、接点同士の引き剥がしの際の力が小さくて済む効果を有する。
特許文献2にはAgマトリックス中に粒径の異なる2種のWC粒子を有する真空バルブ用接点材料が開示されている。WCの平均粒径は、大粒子が6〜12μm、小粒子0.8〜5.0μmが適当との記載がある。
特許文献3にはタングステンと銅と金属成分Xとを含む電気接点材料が開示されている。タングステンの含有量は30〜80体積%が好ましく、その粒径は200μm以下が良いとの記載がある。
非特許文献1にはSFガスなどを用いたガス遮断において、0.2kA(キロアンペア)の低電流遮断ではW粒径が小さいほど接点のアーク消耗が少なくなること、同じく2.5kAでは10μm以下の粒径で接点表面にクラック(局所消耗)が生じることやその際、タングステンの粒子径は20μm程度がよいことなどが開示されている。
特開2010−061935号公報 特開2008−019481号公報 特開2001−184963号公報
T.IEE Japan,Vol.116−B,No.3,’96「SF6ガス中Cu−W接点の負荷電流域におけるアーク消耗特性」堀 浩一(安川電機)ら
特許文献1に記載の技術は、耐火性金属の粒子径を10〜104μmの範囲として固相焼結後の冷却速度を制御することにより、耐火性金属と高導電性金属との熱膨張差を利用して両者の界面に残留応力を発生させ、両者の界面を乖離させる方法が示されている。しかしながら、前記界面の70%以上が乖離していると、アーク発生時の熱衝撃によってその乖離部分よりクラックが進展し局所消耗が進みやすい。よって、ガス遮断器や、数kA以上の電流を遮断する接点材料としては適当でない場合が多い。
特許文献2に記載の技術には、小WCと大WCの粒子をAg中に分散させた固相焼結のAg−WC系接点材料が示されている。小WCの粒子径は0.6〜5μm、大WCは6〜13μmが示されている。用途は真空バルブ用接点である。この場合、真空中で使用するために、真空中で裁断電流が低いAgとWCとの組み合わせが選定されている。また、WCはセラミックス質であるために、大きい粒子径の粉末を入手するのは難しい。ガス中で使用する場合は安価なCu−W系接点材料が使用可能であり、高価なAg−WC系接点材料を使う必要はない。
特許文献3に記載の技術は高融点金属であるWの粒子径が200μm以下で、Cu中に析出させた金属Crの粒子径が100μm以下であると記載されている。また0060にはW粒子径を2、10、20、100、180μmと変化させた場合の消耗量試験を行っており、結果は文献中図8に記載されている通り、W粒子径は10μmが最も耐消耗性に優れており、それより大きくなるほど消耗量は劣るという結果が示されている。これは、0035に記載のように、490Aと比較的小さい電流を遮断したために起こった現象だと考察できる。非特許文献にも200Aの電流を遮断した際には、Wの粒子径が大きくなるほど消耗が大きくなるという結果を図11に示している。
本願では、前述のような「局所消耗」の発生を極力小さくすることが主たる課題である。また、その際に、従来から用いられている接点と同程度の消耗量を併せて有することも課題である。
局所消耗が発生するのは、数kAよりも大きな電流遮断を行なう場合が顕著である。よって、本発明では、数kAまたはそれよりも大きな電流遮断で用いる接点について改良する。
遮断器はその絶縁媒体によっていくつかの種類があるが、最近ではガス遮断器と真空遮断器の2種が多用されている。真空遮断器は原理上、高電流を容易に遮断できる。しかし、その適用範囲は最大でも154kV以下で、高圧、高容量化の観点ではガス遮断器に劣っている。これは、高圧、高容量化のためには大きな消弧室が必要であるが、高真空の大きな消弧室が実現できないためである。そこで、変電所などでの大電流の遮断には殆どの場合、ガス遮断器が使用されている。
真空遮断器の接点材料としては前述のAgWC材の他に、CuCr材(クロム銅合金)も多用されている。真空中では裁断電流が問題となるが、CuCr材の方がCu−W材より裁断電流が低いため、CuCr材が使用できる。一方、ガス中で使用する接点材料では裁断電流に対する心配がなく、Crより高融点のWを含むCu−W材が使われている。本願は電気接点の中でも、特にガス遮断器の用途に適した接点を提供する。
接点材料を、「CuとWとの複合材料で、接点材料全体の30〜75体積%
のタングステンを含み、前記タングステンの総量100体積部のうちの25体積部以上を粒子径60〜200μmの粗大タングステン粒子」とすることにより、局所消耗が起こりにくく、亀甲状のクラックが発生しにくい接点材料を得ることができる。
この接点材料は、1.5〜70kA程度の、比較的大きな電流を遮断するのに適している。これよりも小さな、例えば数十〜数百Aという電流の遮断であれば、タングステンの粒子として粗大な粒子を用いても、従来の接点材料と比較して特段の効果はない。比較的小さな電流の遮断では、亀甲状のクラックはタングステンの粒子径とは無関係に発生しにくく、むしろ粒子径を小さくしたほうが、面的消耗が若干少ないことが分かっている。
比較的小さな電流の遮断と、比較的大きな電流の遮断とでは、接点材料の消耗の形態が異なる。比較的小さな電流の遮断の場合は殆どが面的消耗であり、比較的大きな電流の遮断の場合は面的消耗と合わせて局所消耗が発生する。この両者の消耗形態の違いは、遮断時のアークエネルギーの大小に起因する。比較的小さな電流の遮断では、発生するアークが小さく、そのエネルギーも小さい。この場合、ほとんどのアークエネルギーは接点材料の表面を溶融させることに費やされる(面的消耗)。一方、比較的大きな電流の遮断で発生するアークエネルギーは大で、併せてアーク発生時の熱衝撃も著しく大きい。そのようなアークによって接点材料表面は溶融し、接点材料が熱衝撃に耐えられずに接点表面から内部に向かうクラックが生じてしまう。
よって、比較的小さな電流を遮断する接点材料では面的消耗がその寿命を決定し、面的消耗量が少ない材料ほど寿命が長く、安定して使用することができる。
一方、比較的大きな電流を遮断する場合は、面的消耗と併せて局所消耗について考慮する必要がある。このうち、より重要となるのは局所消耗である。局所消耗は使用中の接点の剥離や脱落を生む可能性が高く、それらを考慮した寿命設定しか行なうことができない。そのため、安全に使用するためには、著しく短期間での交換を余儀なくされる。局所消耗は図2(1)〜(3)にその模式図を示すように、初期は接点の表面に対して垂直に進行する。クラックが進展した状態(2)から、更にクラックが進展すると接点表面に平行なクラックが発生し、(3)に示すように、接点の一部が脱落や剥離してしまい、接点表面の凹凸が新たなアークの発生点となる。アークの発生点が増えると遮断に時間を要し、更に消耗が進行する。そのため、接点の寿命を極めて短くする。また、脱落や剥離は突然発生するため、接点の寿命予測も困難である。
接点の剥離や脱落の心配が極めて少ない、つまり接点の厚さ方向へのクラックが発生しにくい材質が得られれば、従来の接点材料よりも遙かに交換の頻度を低くすることができ、遮断器の運用費用面で優れた接点材料が得られる。
接点材料がCu−W材だと、クラックは比較的強度が高いWを迂回して、主にCu中を進展する。そのため、接点材料中に微細なW粒子しか存在しないと、迂回しながらクラックが進展しても、巨視的にはほぼ直線的なクラックとなる。一方、接点材料に粗大なW粒子が存在すると、巨視的にはジグザグに大きく迂回しながら進展する。
熱衝撃が同じなら、生じるクラックの長さはWの粒子径に関わらず同じである。そのため、接点表面からクラック先端までの距離(クラック深さ)は、粗大なW粒子が存在する方が、微細なW粒子しか存在しない場合より小さい。結果的に、粗大なW粒子を含むCu−W材からなる接点材料は、そうでない接点材料に比べて局所消耗が少なく、比較的大きな電流の遮断に適している。
以上に理由を述べたように、接点材料が比較的大きな電流の遮断には、粗大なタングステン粒子を有することが適している。これには、径が60〜200μmの粗大なタングステン粒子を、少なくともタングステンの総体積100体積部に対して25体積部含んでいればよい。この場合の「径」とは図7に示すように球状の粒子はその直径を用い、非球状の粒子は粒子中で最も長くとれる方向の長さとそれと直行する最大長さとの平均値を代用する。
粗大タングステン粒子の径を60〜200μmとした理由は、Wは粗大粒子とする必要があるが、その径が60μm未満ではクラック進展の深さが60〜200μmの粒子の場合と比較すると、クラックの深さ方向への進展を妨げる役割が十分ではなかったためである。例えば1μmや4μmの微細なタングステン粒子と比較すれば、40〜60μm程度の粒子は、クラックを若干浅くする働きはあることは確認できているが、60〜200μmの粒子のように顕著なものではない。
また、200μmを上限とした理由は、200μmを超えると後に説明する「成形工程」でのプレス性が著しく悪くなり、工業生産に適さない材質となるためである。プレス工程が通常の設備で行なえる上限がおおよそ200μmである。また、後述の「溶浸法」も使えなくなり、生産の工程が制限されるという理由もある。
この粒径の粒子の下限を25体積部としたのは、これ以下の含有量であれば、粗大粒子の存在に偏りが生じやすくなり、クラックの進展を防止できなくなる危険性が生じるためである。
粗大粒子の含有量の上限はタングステンのうちの全て(100体積部)を60〜200μmの粗大なタングステン粒子とすることである。100体積部を粗大粒子とした接点は全く問題なく使用でき、局所消耗が少ないという優れた特性を示す。しかしながら、Cu−W材の最も安価な製造方法である後述の「溶浸法」で製造できなくなる。
溶浸法は、連続した開気孔を有する高融点金属(この場合W)のスケルトン材を先に製造し、その気孔内に毛細管現象を利用して低融点金属(この場合Cu)を溶浸する方法である。温度は低融点金属の融点以上、高融点金属の融点より下で、その温度で両者が反応しない(または反応がごく小さい)場合に行なうことができる。この毛細管現象を利用するためには、タングステンの粒子同士の隙間を十分に小さくする必要があるが、前述のような粗大なタングステン粒子だけでタングステンスケルトンを構成すると毛細管現象が起こらなくなる。そのため、溶浸法による製造が難しくなり、例えばカプセルHIP(熱間静水圧プレス)などの、より高費用の処理が必要となる。
粗大なタングステン粒子は前述のように、タングステンの25体積部以上を占めていれば局所消耗に対して有効である。そのために、粗大なタングステン粒子を25体積部以上含んでいれば、残部の75体積部までは、より粒子径の小さなタングステンと代替することができる。この小さなタングステン粒子が粗大なタングステン粒子の間隙にあると、隣り合うタングステン粒子同士の距離が小となって溶浸時のCuの毛細管現象が生じ易くなる。小さなタングステン粒子の粒子径はCuの毛細管現象が起こる程度であれば特に制限を設けないが、微細な粒子ほど少量で毛細管現象が起こりやすくなる。また、より小さなタングステン粒子には溶浸時だけでなく、プレス成形の際にも粉末を固まりやすくする働きがあり、製造上有利となる。実際に入手が容易で、より小さなタングステンの粒子径としては0.5〜25μm程度である。よって、粗大なタングステン粒子と、より粒子径の小さなタングステン粒子を用いる場合は、タングステン全体の粒度分布は図3に示すように少なくとも2つの明らかなピークを有することになる。
本発明の接点材料の典型的な組織写真を図5に示す。この写真はアルカリにてエッチングした組織写真である。灰色の濃いバックグラウンド部分がCuであり、その中に白色に近い粗大なW粒子と、同じくより小さなW粒子が分散した組織を有している。この組織は、Wの総量100体積部のうち75体積部を60〜200μmの粗大な粒子とし、残りの25体積部を平均粒子径が2μmの小さな粒子とし、溶浸法にて得たものである。なお、この組織に対する比較として一般的によく用いられている接点材料の組織を、同縮尺で図8に示す。これは、平均粒子径が4μmのタングステンとCuの複合材料である。
前記範囲の中でも、特によい範囲は60〜200μmの粗大なタングステン粒子が、接点材料に対して20〜60体積%を占める範囲である。Wが少ないと、遮断する電流の大きさによっては局所消耗が増える可能性があるが、60〜200μmのWを接点材料に対して20体積%以上含んでいれば、常用される大きな電流に対しても局所消耗が極めて小さくなる。また、60体積%を超えると、溶浸工程で未溶浸部分が発生する恐れがあるために、工業的に特に優れているのはこの範囲である。
また、本発明の接点材料は、真空遮断器にも使用できるが、特にガス遮断器の接点材料として用いることが最も適している。ガス遮断器にはCuCrなどの低融点の接点を用いることは難しく、融点が高いWを含む材料が用いられており、本発明の接点材料も好適する。
本発明によれば、以下の特性を有する接点材料を得られる。
(1)比較的大きな電流を遮断する際にも局所消耗を防止し、消耗が面的消耗中心に進行する。そのために、表面からの大きな組織の脱落が無く、接点寿命が遮断回数などから容易に計算できる。そのために、接点の交換頻度を下げることができ、遮断器を運用する上で経済的である
(2)面的消耗は、従来の接点材料とほぼ同等の速度で進行する
(3)特にSFなどの消弧ガスを使用したガス遮断器用接点に用いる際に、前記特性が顕著に現れる。これは、耐弧成分をCrとした際には全く得られない特性である
接点装置の模式図 接点の亀甲状割れの模式図 本発明のタングステンの粒度分布の一例 亀甲状割れの接点の接触面の写真 本発明の接点材料の組織写真の一例 本発明の接点材料の組織写真の一例 タングステン粒子径測定図 従来の接点材料の組織写真の一例 総クラック深さの測定方法の模式図 使用後の本発明の接点表面の写真 使用後の比較例の接点表面の写真
本発明の電気接点材料および電気接点は、以下の工程にて得ることができる。
出発原料として、粉末状(粒子状)のタングステンと、形状は問わないがCu材料を準備する。
このタングステンの総量を100体積部としたときに、粒子径が60〜200μmの粗大なタングステン粒子は25〜100体積部とする。残部0〜75体積部のタングステン粒子は、上記範囲外のより小さい粒子、例えば平均粒子径0.5〜25μm程度の粒子とする。
Cuとタングステンに加えて添加物を添加する際には、アルカリ土類金属のホウ酸化物のような仕事関数を低くすることを目的とする添加物や、Co、Ni、Feなどの接点材料の機械的強度の向上を目的とする添加物を、タングステンとCuとの合計質量に対して外掛けで0.1〜6外部質量%以下を添加してもよい。これらの添加物は、必ずしも添加する必要は無いために、添加物の量は0外部質量%をとりうる。
まず、全てのタングステンの粉末を均質な状態となるように混合する。特に粒子径の異なる粉末を混合する場合には、両者がよく混じり合うように混合する。混合に使用する装置はボールミル、乾式ミキサ、アトライタ、らいかい機などが適当であるが、公知の混合装置を使用すればよい。タングステン以外の、前述の添加物を加える際には、この段階で添加する。また、少量のCu粉末をこの段階で添加してもよい(添加分は後述のスケルトン体のタングステン体積からその分を除く)。
得られた均質な粉末に必要ならばWの質量に対して0.5〜4質量%程度の成形用有機バインダを加えて、プレス機にてプレス成形する。プレスは1軸式の上下型プレス機を用いてもよいし、CIP(静水圧プレス機)装置や乾式ラバープレス機を用いて行なってもよい。プレス成形に必要な圧力は50〜300MPa程度である。こうしてタングステンのプレス体を得る。
続いてプレス体を非酸化雰囲気の熱処理炉に投入し、スケルトン体を得る。スケルトン体はタングステンの粒子どうしがややネッキングした状態であり、緻密化はしておらず、連続した開気孔を有する状態である。非酸化雰囲気とするのはタングステンの酸化を防ぐためである。この際の処理温度は800〜1200℃程度が望ましい。なお、プレス成形前に有機バインダを入れた場合は、この工程で同時に脱バインダを行なえばよい。
続いてスケルトン体に炉中でCuを溶浸する。炉中で融点以上に昇温したCuは液体となり、毛細管現象によりスケルトン体中に溶浸する。この際も非酸化雰囲気中で処理する。温度はCuの融点より上である1100〜1300℃程度が好ましい。この溶浸処理により、タングステンスケルトン体中の気孔をCuが埋めた接点用複合材料ができる。
以上に溶浸法を用いて製造する方法を示したが、毛細管現象はタングステン粒子の間隙が大きすぎると発生しにくくなる。タングステンの粒子径を全て60〜200μmとした場合には、毛細管現象が起こりにくく、未溶浸部が発生する。
この場合は、毛細管現象を利用せずに、Cuをタングステンスケルトン体内に圧力で浸透させる方法を取ることもできる。例えば、Cuの融点以上の温度で、カプセルHIP(熱間静水圧プレス)などの方法をとればよい。
以上にはタングステンのスケルトン体を作製して、Cuを溶浸する方法を述べたが、Cuとタングステンの粉末を予め混合して焼結体を得る方法でもよい。この場合は、混合した粉末に50〜300MPa程度でプレス成形をしてプレス体を得、プレス体を窒素などの非酸化雰囲気中で1000〜1400℃程度まで熱することによって得られる。
以上の工程で得られた接点用複合材料を、必要であれば切削や電気加工などによる仕上げ加工を行なって、接点が完成する。
接点の多くは台金と一体化して使用される。台金は熱伝導率が高く、機械的強度があって安価な銅や銅合金、鉄や鉄合金等から選択して使用される。台金と接点との接合はロウ付法や摩擦圧接法、鋳ぐるみ等により接合すればよい。
得られた接点の典型的な断面組織を図5、図6に示す。図6にはタングステンの分級によりその殆どが60〜200μmの粗大なタングステン粒子とした組織を示す。図5には溶浸を容易に行なうためにタングステンの粒子のうち75体積部を60〜200μmの粒子に、残りのタングステンを特に分級していない平均粒子径が3μm程度のタングステン粒子を用いた組織を示す。
組織写真の白い大きな部分が60〜200μmの粗大なタングステン粒子、小さな白い部分が平均粒子径3μm程度のタングステン粒子、バックグラウンドの濃い灰色の部分がCuである。なお、図6はエッチング処理していない写真なので、色味に明確な差が無いが、粒状の部分がタングステン、バックグラウンドがCuである。
この接点を1対用意し、通電通路に設けて雰囲気をSF、Nなどのガス雰囲気中にて密封して接点装置を得る。接点装置の模式図を図1に示す。
この装置に比較的大きな電流を流し、接点を機械的に引き離し、電流を遮断する用途に本発明の接点は使用する。
ここで述べた「比較的大きな電流」とは接点装置の大きさなどで変わる。大きい電流の遮断には通常、体積が大きな接点が必要であるが、大まかに1.5〜70kA(キロアンペア)程度である。この電流を遮断する場合は、本発明外の一般的な接点では面的消耗と合せて大きな局所消耗の現象が発生する。
本発明の接点では、面的消耗量は一般的なタングステン粒子径を持つCu−W系複合材料接点と同等であるが、局所消耗は起こりにくく、表面からのクラックの進展の深さも浅いものであり、亀甲状の割れも発生しにくい。なお、ここで言う「一般的なタングステン粒子径」とは、面的消耗に対する消耗率が低いとされる0.5〜10μm程度のタングステン粒子を用いた場合を想定すればよい。
(接点の製造)
純Cu板とタングステン粉末を準備した。タングステン粉末は総量100体積部に対して、そのうちの60体積部を粒子径が60〜200μmの粗大なタングステン粒子とし、残部は20体積部の平均粒子径4μmの粒子径を持つ粉末と、20体積部の平均粒子径1μmの粒子径を持つ粉末とした。
タングステン粉末をヘンシェルミキサーに投入し、十分均質となるまで2時間混合し、混合粉末を得た。
混合粉末を一軸式のプレス金型に投入し、200MPaの圧力にて直方体にプレス成形し、プレス体を得た。
プレス体を水素雰囲気中にて1000℃まで昇温し、タングステンの粒子同士が初期のネッキング状態となったスケルトン体を得た。スケルトン体の密度は、タングステンの緻密体と比較して40%であり、60体積%は気孔を有していた。
次に、得られたタングステンスケルトン体上にそれとほぼ同じ体積の純Cu板を載置し、水素雰囲気中で、Cuの融点である1080℃を上回る1150℃にて溶浸を行なった。融点に達して液体状態となったCuは、毛細管現象によりタングステンのスケルトン体中の気孔に浸透した。
溶浸後に、溶浸しきれなかった余剰のCuを機械加工にて除去し、直方体の溶浸体を得た。溶浸体は40体積%のタングステンスケルトン体に、60体積%のCuが溶浸した構造を有していた。
以上の工程にて得られた溶浸体を、Cuの台金にロウ付し、図1に模式図を示すような一対(2つ)の接点装置を得た。図1の接点装置は図面向かっての上下の動きにより遮断、通電を行なう。
得られた接点装置を試料No.6とする。

(試験)
試料No.6の一対の接点装置の接点部分を対向させ、電源の正極および負極とし、リードを介して電気的な回路を作った。
一対の接点装置部分を筒状の容器に密閉し、内部雰囲気をSFとした。
一対の接点をつないだ状態(電流が流れる状態)として5kA(キロアンペア)の電流、230V(ボルト)の電圧をかけた状態として、密閉容器内で一対の接点装置を機械的にその距離が離れるように移動させ、電流の遮断を行う操作を行なった。以上の遮断の操作を、10回繰り返し行った。

(評価)
上記の遮断試験を行った接点装置を取り外し、試験前と試験後の質量減少値と試料の比重とから体積消耗率を算出した。値は一対の接点の体積消耗率の平均値である。試料はCuやタングステンの蒸発等により質量が減少しており、体積消耗率は1.5%であった。
つぎに、一対の接点部分を図面向かって縦方向(断面方向)に中心部にて切断し、その断面の総クラック深さを求めた。「総クラック深さ」とは図9にその概念図を示すように、接点表面から垂直方向へ入った複数のクラックの長さを足し合わせた値である。例えば、C1、C2およびC3のクラック3本が入っており、それぞれのクラック深さがL1、L2およびL3の場合は、「総クラック深さ=L1+L2+L3」と計算する。値は2つの接点のそれぞれのクラック深さの合計値である。この値の大きさにより、前述の局所消耗の度合いを判断する。試料No.6においての総クラック深さは0.55mmであった。評価の詳細については後述する。

(試料)
試料の説明(1)
次に、比較のために試料No.6とCuとタングステンの体積比の異なる試料を、同様の製法にて表1に示す組成にて製作した。これを試料No.2〜11および*比較試料No.101、109とする。タングステン中の粗大なタングステン粒子(60〜200μmの粒子)の占める割合は、試料No.2〜8および*比較試料No.101、109が試料No.6と同様の60体積部、試料No.10が75体積部、試料No.11が90体積部である。
また、粗大なタングステン粒子を用いていない比較試料として*比較試料No.112〜114を同様の方法にて製作した。*比較試料No.112〜114は60〜200μmの粒子を全くまたは殆ど含んでおらず、より小さな粒子径のタングステン粉末を用いた比較例である。*比較試料No.112は特に分級処理を行なっていない平均粒子径1.5μmのタングステン粉末を、同じく*比較試料No.113は10μmの平均粒子径の粉末を使用した比較例である。*比較試料No.114も同様に平均粒子径40μmの粉末を使用したが、平均粒子径が40μmと大きいために、その粒子の一部は60μm以上のものが見られた。粒度測定器により、60μm以上の粒子は10体積%未満であることを確認している。
以上に述べた試料No.2〜11の試料および*比較試料No.101、109、112〜114について、前記試料No.6と同様の試験および評価を行った。それぞれの組成を表1に、評価結果を表6に示す。全ての表中で「その他のW」と記載しているのは、60〜200μm以外のタングステン粒子を表す。
Figure 0005753244
*表1中で「*」のつく試料は、本発明の範囲外の比較試料である

試料の説明(2)
次に、タングステンの体積分率を40体積%および60体積%の2種類に固定して、粗大なタングステン粒子のタングステン総量に対する体積部の割合を変化させた試料を作製した。
Cuを40体積%、タングステンを60体積%として、粗大なタングステン粒子の割合を20〜100体積部の範囲で変化させた試料を試料No.12〜20および*比較試料No.211として、その組成を表2に、試料No.6に対する試験と同様の試験を行った際の評価を表7に示す。
Cuを60体積%、タングステンを40体積%として、粗大なタングステン粒子の割合を20〜100体積部の範囲で変化させた試料を試料No.22〜31および*比較試料No.321として、その組成を表3に、試料No.6に対する試験と同様の試験を行った際の評価を表8に示す。
Figure 0005753244
*表2中で「*」のつく試料は、本発明の範囲外の比較試料である
Figure 0005753244
*表3中で「*」のつく試料は、本発明の範囲外の比較試料である

試料の説明(3)
次に、粗大なタングステン粒子以外の、より小さなタングステンの粒子径についての影響を調査するために、表2中の試料No.16および表3の試料No.27の試料から、その他のタングステン粒子径およびその量を変えた試料を作製し、試料No.51〜59の試料を作製した。これらの組成を表4に示す。これらの試料も試料No.6と同様の試験を行い評価した。評価結果を表9に示す。
Figure 0005753244
なお、表1〜4において、「その他のW(体積部)粒子径」の欄に示した粗大なタングステン粒子以外のタングステンの組成について、「30−4μm + 10−1μm」は、30体積部の平均粒子径が4μmの粒子と、10体積部の平均粒子径が1μmとの粒子の混合を示す。

試料の説明(4)
添加物の効果を調べるために、表4中の試料No.53の試料に対して添加物を加えてその影響を調べる試験を行った。添加物はCo、Ni、Fe、硼素、酸化ホウ素、ホウ酸化物、ホウ化物を、タングステンとCuの質量総量100質量%に対して、外掛けで0.05〜6外部質量%を添加して、試料No.6と同様の試験および評価を行った。
添加物の種類および量を表5の試料53a〜53gに、試験後の評価結果を表10に示す。
Figure 0005753244
(評価)
それぞれの接点の評価を以下の2点について行なった。
1点目 クラック深さ評価
2点目 消耗量評価
それぞれについて説明を加える。
1点目のクラック深さ評価は、主として局所消耗に対する評価である。図9に示すように試験後の接点を中央部で垂直に切断し、その断面を研磨後に顕微鏡にて観察した。断面は図2に示すように、消耗により後退した表面から複数のクラックが生じていた。観察できるクラックについて、全てのクラック深さ(L1、L2、・・・)を足し合わせた値を「総クラック深さ(mm)」とする。総クラック深さは、局所消耗の進行具合を表す値であり、大きければ亀甲状の割れが進展していることを指す。また、値が小さければ、亀甲状のクラックが発生していないか、発生の度合いが極めて小さいことになる。
2点目の消耗量評価は、試験前と試験後の接点部分の体積を比較し、その減少率を数値(%)で表した値である。面的消耗と局所消耗の両方の進展度合いを測定できる。
表6〜10に実施例および比較例の接点の評価結果を示す。
Figure 0005753244
*表6中で「*」のつく試料は、本発明の範囲外の比較試料である
表6の結果より、タングステンの総量を30〜75体積%とした試料において、タングステンの60体積部またはそれ以上の粗大なタングステン粒子を含む試料は、一般的なCu−W材である*比較試料No.112〜114に対して総クラック深さが極めて小さくなることが確認できた。また、体積消耗率は同等程度であった。
*比較試料No.101は、粗粒タングステンを使用したにもかかわらず、クラックの長さが*比較試料No.112とほぼ同等であった。これはCuの含有量が少なすぎるために、接点表面の温度上昇により、Cu部分のクラックの進展が促進されていると考える。また、*比較試料No.109も同様に粗大なタングステン粒子を使用しているが、体積消耗率が*比較試料No.112に対して著しく大きい値となった。これは、Cuの含有量が多すぎ、蒸発量が増えたためと考える。
以上の結果より、Cuとタングステンの量については、Cuが25〜70体積%、Wが30〜75体積%が適当と判断した。
Figure 0005753244
*表7中で「*」のつく試料は、本発明の範囲外の比較試料である
Figure 0005753244
*表8中で「*」のつく試料は、本発明の範囲外の比較試料である
表7、および表8の結果より、総クラック深さの明らかな減少が見られる粗大タングステン粒子の量は25〜100体積部であることが確認できた。また、粗大なタングステン粒子の量が所定の範囲であれば、それ以外のより小さなタングステンの粒子径によって、総クラック深さには大きな差が無いことが確認できた。粗大なタングステン粒子が20体積部の比較試料である*比較試料No.211および321は、粗大なタングステン粒子の量が少なすぎるために、クラック迂回の効果が十分に現れず、従来用いられている*比較試料No.112と大差ない結果となった。
Figure 0005753244
表9の結果より、粗大なタングステン粒子よりも小さいタングステンの粒子径やその多寡によって、消耗に対する影響はきわめて小さいことが確認でき、総クラック深さに影響するのは粗大なタングステン粒子の割合の因子が極めて強いことが分かった。これらの試料は全て溶浸法を用いて作製したが、溶浸が十分に行なえる条件であれば、小さなタングステンの粒子径の影響は殆ど無視できる。
Figure 0005753244
添加物については、硼素、ホウ酸化物、酸化ホウ素、ホウ化物を加えた試料は、試料53と比較しても体積消耗率(%)の改善が見られた。これは、仕事関数の小さなこれらの添加物を添加することにより、接点表面でのアーク移動が容易となり、接点表面での部分的な損傷が抑制されることで体積消耗率が改善したものと考える。
また、Co、Niは0.05〜0.5外部質量%添加することによりタングステンの焼結性を高めて溶浸を促進する効果があり、その結果若干の体積消耗率の改善があったものと考える。

(まとめ)
総クラック深さについては、本発明の範囲内の試料と、比較試料との間には明確な差異が見られた。本発明の範囲内の試料は、浅いクラックが多数進展しているが、比較試料には全て複数の深いクラックが観察された。深いクラックが進展すると、接点からブロック状の脱落や剥離が生じるために、非常に望ましくない。
また、接点全体の体積に対して粗大なタングステン粒子が20〜60体積%を占める接点は、実施例の中でも総クラック深さを短くする働きが顕著であった。
局所消耗が見られた比較試料と、見られなかった本発明の試料についてより詳細に観察した。
試験後の試料No.6と*比較試料No.112の表面を観察した。図10には試料No.6の表面写真を、図11には*比較試料No.112の表面写真を示す。写真からも確認できるように、試料No.6は表面に亀甲状のクラックは観察できないが、*比較試料No.112には明確に亀甲状のクラックが現れた。亀甲状のクラックは、使用時にブロック状に剥離して接点の表面に多くのアーク発生点を形成するために、電流の切断が著しく困難になる。また、その間に接点材料の消耗も進行する。そのために、亀甲状のクラックが発生する*比較試料No.112の接点は、クラックが深くなる前に交換する必要が生じる。接点装置を分解して、接点を観察するのには多大な費用と時間が掛かり、バックアップ装置も必要となるため、接点交換の場合以外にクラック確認のためだけに装置を分解することは難しい。
接点の寿命予測が付かなければ、交換頻度を高くする必要がある。一方、本発明の接点のように、局所消耗が極めて小さく、殆ど面的消耗の形態で消耗が進む接点であれば、寿命予測が容易にでき、交換頻度を著しく下げることが可能となった。
本実施例は負荷電流を5kAとした試験結果であるが、これより高い電流値とした場合でも、消耗の傾向的には同様であり、本発明の接点材料は比較的大きな電流の遮断に適していた。
1 接点
2 台金
3 ロウ付部
5 クラック
7 剥離、脱落した部分
8 (2)(3)(4)の観察角度
9 使用前の接点表面位置
10 接点装置

Claims (6)

  1. Cu(銅)を25〜70体積%と、W(タングステン)を30〜75体積%を有するCu−W系複合材料からなるガス遮断器用の接点材料であり、
    前記Wの総量を100体積部とした際に、25〜80体積部を粒子径が60〜200μmの粗大タングステン粒子が占め、かつ、10〜75体積部を平均粒子径が0.5〜25μmの微細タングステン粒子が占めるガス遮断器用の接点材料。
  2. タングステン粒子の粒度分布が、
    25μm未満に少なくとも一つのピークと、
    60μm〜200μmの範囲に少なくとも一つのピークとを
    有する粒子頻度を有する請求項1に記載の接点材料。
  3. 請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の接点材料に、更にホウ素、酸化ホウ素、ホウ化物、金属ホウ酸化物のうちいずれか1種または2種以上の添加物を、CuとWの合計質量100質量%に対して合計で0.1〜6外部質量%添加した接点材料。
  4. 前記Cu(銅)が純銅である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接点材料。
  5. 接点材料全体に対する前記粗大タングステン粒子の占める割合が20〜60体積%である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の接点材料。
  6. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の接点材料からなる接点を台金上に接合した接点部材を有するガス遮断器。
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