JP2002167631A - 電気接点材料及びその製造方法及びガス遮断器 - Google Patents
電気接点材料及びその製造方法及びガス遮断器Info
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Abstract
性を確保し、電力機器の高電圧・大容量化、コンパクト
化及び長寿命化に寄与する電気接点材料及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】 タングステン及び銅の合金に、カルシ
ア、マグネシア、セリアよりなる群の中から選ばれる少
なくとも1種類以上の酸化物と、チタン、バナジウム、
クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオ
ブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、
ハフニウム、タンタル、レニウム、オスミウム、イリジ
ウムよりなる群の中から選ばれる少なくとも1種類以上
の添加用金属とを加える。
Description
材料に係り、特に、タングステン及び銅の合金からなる
電気接点材料及びその製造方法に関するものである。
器、断路器あるいは開閉器などの電力機器には電気回路
を開閉するための電気接点が組込まれている。この電気
接点の材料が満たさなくてはならない条件は、(1)損
耗量の少ないこと、(2)耐溶着性のあること、(3)
接触抵抗の低いこと、(4)電気伝導体であることなど
である。特に、大電流用の電気接点材料においては、電
気接点がアークによる高熱にさらされるため、熱及び溶
着に対して高い耐性が必要であり、高融点金属系の焼結
合金が採用されている。
ンまたはモリブデンと、高電気伝導率及び高熱伝導率を
持つ銅または銀とからなる焼結合金が知られている。中
でも、タングステン系の合金は耐熱性や耐溶着性に優れ
ており、銅−タングステン、銀−タングステン、銀−炭
化タングステンといった合金が、油中、真空中、空気
中、ガス中の遮断器などに広く適用されている。これら
電気接点材料を製造する方法としては、例えば銅−タン
グステン合金の場合、タングステンの粉末を加圧成形し
て焼結し、その後に銅を溶浸して製造するのが一般的で
ある。
済性と環境調和性を高める観点から、電力機器のコンパ
クト化が進められており、電気接点は小径化している。
また、電力需要の増大に伴って電力機器の高電圧・大容
量化も図られており、小径化した電気接点における電流
密度は増大している。電気接点材料の損耗は遮断電流の
1.2〜2乗に比例するといわれており、電流密度が増
大する現状は電気接点材料にとって極めて過酷な環境と
なっている。
気接点材料の中では最も過酷な条件の用途に適合するも
のの1つであるが、高電圧下で遮断動作を繰り返してい
けば、アーク熱による蒸発や動作摩耗によって、電気接
点材料の損耗が進むことは否めない。電気接点材料の損
耗度は電力機器の性能や大きさ、さらには寿命を決定す
る重要な要素となっている。つまり、電力機器の高電圧
・大容量化、コンパクト化及び長寿命化を実現するため
には、電気接点材料の損耗量を低減させることが急務と
なっている。
ものであり、その目的は、アークによる損耗量を低減さ
せて優れた信頼性を確保し、電力機器の高電圧・大容量
化、コンパクト化及び長寿命化に寄与する電気接点材料
及びその製造方法を提供することにある。
め、請求項1〜7の発明は、電気機器もしくは電気回路
の接点に用いる材料であって、タングステン及び銅の合
金からなる電気接点材料において、次のような技術的な
特徴を有している。
ア、セリアよりなる群の中から選ばれる少なくとも1種
類以上の酸化物と、チタン、バナジウム、クロム、鉄、
コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデ
ン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、
タンタル、レニウム、オスミウム、イリジウムよりなる
群の中から選ばれる少なくとも1種類以上の添加用金属
とを含むことを特徴としている。以上の請求項1の発明
では、タングステン及び銅の合金に上記の酸化物を添加
することにより、電気接点材料の耐熱性及び硬度を高め
ることができる。しかも、これらの酸化物はアークによ
る分解ガスと反応して耐蝕皮膜を形成するため、分解ガ
スに対する耐性が高まるのは勿論のこと、アーク熱によ
る蒸発や、開閉動作における摩耗も抑制することが可能
となる。したがって、電気接点材料の損耗量を大幅に減
らすことができる。さらに、タングステン及び銅の合金
に上記の添加用金属を加えることで、耐熱性の向上と製
造性の改善を図ることができる。これにより、損耗量の
少ない電気接点材料を安定して提供することができる。
点材料において、前記タングステンは体積比で30〜7
0%であることを特徴としている。以上の請求項2の発
明では、タングステンの体積比を上記の範囲に設定する
ことにより、優れた耐熱性及び耐溶着性を確保でき、遮
断電流が大きい場合でもアークによる損耗量を低減する
ことができる。
載の電気接点材料において、材料中の気孔率が10%未
満であることを特徴としている。請求項4の発明は、請
求項1、2または3に記載の電気接点材料において、材
料中に含まれる不純物が体積比で2%未満であることを
特徴としている。以上の請求項3、4の発明では、材料
の気孔率を10%未満とする、あるいは材料の不純物を
体積比で2%未満とすることにより、電気接点材料は優
れた導電率及び硬度を保持することができ、損耗量を抑
えることができる。
は4に記載の電気接点材料において、前記タングステン
は平均粒径0.5μm以上、40μm以下の粒子からな
り、前記タングステンの周囲に前記銅が分布し、前記タ
ングステンの内部または周囲に前記酸化物からなる相が
分布し、さらに前記銅の内部または周囲に前記添加用金
属からなる相が分布するように構成したことを特徴とし
ている。請求項6の発明は、請求項5に記載の電気接点
材料において、前記酸化物からなる相の大きさは0.5
μm以上、10μm以下であることを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項5または6に記載の電気接点
材料において、前記添加用金属からなる相の大きさは1
μm以上、50μm以下であることを特徴としている。
以上の請求項5〜7の発明では、タングステン、酸化物
及び添加用金属の大きさを上記の範囲に設定すること
で、取り扱いの容易さを確保すると共に特性の安定化を
図ることができる。
いずれか1項に記載の電気接点材料を製造する方法であ
って、次のような特徴を有している。請求項8の発明
は、前記タングステンの粉末と、前記酸化物の粉末と、
前記添加用金属の粉末とを混合・成形して、3種類の粉
末から成形体を作る3種粉末成形工程と、前記3種類の
粉末からなる成形体に前記銅を溶浸させる銅溶浸工程と
を含むことを特徴としている。請求項9の発明は、前記
タングステンの粉末と、前記酸化物の粉末とを混合・成
形して、2種類の粉末から成形体を作る2種粉末成形工
程と、前記2種類の粉末からなる成形体に、前記銅と、
前記添加用金属とを溶浸させる銅・添加用金属溶浸工程
とを含むことを特徴としている。請求項10の発明は、
前記タングステンの粉末と、前記銅の粉末と、前記酸化
物の粉末と、前記添加用金属とを混合・成形して、これ
を焼結させる4種粉末焼結工程を含むことを特徴として
いる。以上の請求項8〜10の発明では、前記の酸化物
及び添加用金属を含む電気接点材料を確実に製造するこ
とができ、接点材料の損耗量を確実に低減させることが
可能となる。
り、請求項1記載の電気接点材料をアーク接触子に適用
したことを特徴としている。以上の請求項11の発明で
は、耐アーク特性が向上した材料を、アーク発生頻度の
多いガス遮断器に適用することで、ガス遮断器の長寿命
化が可能となる。
について、表1を参照して具体的に説明する。下記の第
1〜第3の実施の形態に係る電気接点材料はいずれも、
タングステン及び銅の合金からなり、請求項1〜7を包
含し、第1及び第2の実施の形態は請求項8の発明に係
る製造方法に基づいて製造し、第3の実施の形態は請求
項10の発明に係る製造方法に基づいて製造している。
また、第1、第2及び第3の実施の形態の相違点は構成
材料の体積比が異なる点にあり、その体積比については
その都度述べる。さらに、第1の実施の形態は実施例1
〜3を、第2の実施の形態は実施例4〜6を、第3の実
施の形態は実施例7〜9を、それぞれ含んでいる。なお
表1は、上記の実施例1〜9と共に比較例1〜9を示し
ている。この表1に示した実施例1〜9及び比較例1〜
9の各特性(気孔率、不純物、導電率、硬度及びアーク
損耗量)に関する測定方法については後で詳しく述べ
る。
金に対して、酸化物及び添加用金属を少量加えたことを
特徴としている。第1の実施の形態では、タングステ
ン、銅、酸化物及び添加用金属の体積比が65:32:
2:1となっている。第1の実施の形態における酸化物
としては実施例1ではカルシアを、実施例2ではマグネ
シアを、実施例3ではセリアを含んでいる。また第1の
実施の形態における添加用金属としては実施例1ではニ
ッケルを、実施例2ではコバルトを、実施例3ではクロ
ムを含んでいる。
について説明する。まず、タングステン粉末と、酸化物
であるカルシア粉末と、添加用金属である金属ニッケル
粉末を混合して、一軸プレスにより成形する(3種粉末
成形工程)。このとき、タングステン粉末は平均粒径6
μm、純度99.9%以上、カルシア粉末は平均粒径5
μm、純度99%以上、金属ニッケル粉末は平均粒径4
0μm、純度99.9以上である。成形体の体積比率は
タングステン:カルシア:金属ニッケル=65:2:1
になるよう、原料粉末の配合比及び成形圧力を調整す
る。
を不活性雰囲気、真空雰囲気、還元雰囲気のいずれかの
雰囲気において、800〜1200℃の温度で加熱処理
した。その後、加熱処理した成形体と銅板をルツボに入
れて、同じく不活性雰囲気、真空雰囲気、還元雰囲気の
いずれかの雰囲気において、銅の融点である1083℃
以上に加熱して、成形体中に銅を溶浸させる(銅溶浸工
程)。このときの加熱処理条件は、成形体に均質に銅が
溶浸できる条件を選定する。これによりタングステンの
周囲に銅が均一に分布し、タングステンの内部または周
囲にカルシア相が分布し、さらに銅の内部または周囲に
金属ニッケル相が分布するように構成される。最後に溶
浸処理後に機械加工して実施例1とする。
に代えてマグネシア粉末を、実施例3では同じくカルシ
ア粉末に代えてセリア粉末を添加している。また実施例
2では前記実施例1の金属ニッケル粉末に代えて金属コ
バルト粉末を、実施例3では同じく金属ニッケル粉末に
代えて金属クロム粉末を添加している。これらの点以外
は実施例2,3は上記実施例1と同様の条件下で同じ方
法によって製造されている。なお、実施例2,3のタン
グステン、酸化物及び添加用金属における平均粒径及び
純度は、実施例1のそれと同じである。また、実施例1
〜3ではいずれも、材料中の気孔率は10%未満、材料
中に含まれる不純物は体積比で2%未満であるように構
成されている。
る比較例について説明する。比較例1〜7では下記に示
す点以外は、構成、製造条件及び製造方法に関しては上
記実施例1〜3と同じである。比較例1は、酸化物及び
添加用金属を含まないでもので、平均粒径6μm、純度
99.9%以上のタングステン粉末を相対密度が約65
%になるように成形している。つまり、タングステン:
銅の体積比を65:35とする。比較例2は、酸化物と
してマグネシアを含むが、添加用金属を含まないもの
で、平均粒径6μm、純度99.9%以上のタングステ
ン粉末と、平均粒径5μm、純度99%以上のマグネシ
ア粉末を混合して、その体積比率がタングステン:マグ
ネシア=65:2になる成形体を作る。このため、銅の
体積比は33vol%となる。また、比較例2では材料
中の気孔率が15%となっている。比較例3は、比較例
2と反対に、酸化物を含まず、添加用金属として金属ク
ロムを含んだもので、6μm、純度99.9%以上のタ
ングステン粉末と、平均粒径40μm、純度99.9%
以上の金属クロム粉末を混合して、その体積比率がタン
グステン:金属クロム=65:1になるように製造して
いる。このため、銅の体積比は34vol%となる。
テン粉末の体積比を変更したもので、タングステン:カ
ルシア:金属ニッケル=75:3:5とする。比較例5
は前記実施例1におけるタングステン粉末の平均粒径を
60μmに変更している。比較例6は前記実施例2にお
ける酸化物の大きさを変更したもので、純度99%以上
のマグネシア粉末の平均粒径を40μmとしている。比
較例7は前記実施例3における添加用金属の大きさを変
更したもので、純度99.9%以上の金属クロム粉末の
平均粒径を200μmとしている。
法]実施例1〜3及び比較例1〜7の特性である気孔
率、不純物、導電率、硬度、アーク損耗量は次のように
して測定した。気孔率は10×10×20mmの試験体
を切り出し、水銀圧入法を用いて測定した。また、不純
物は、湿式化学分析、蛍光X線分析、発光分光分析など
により、定量あるいは定性分析を実施した。導電率はA
STM B 342に準拠して、渦電流を応用したシグ
マテストを用いて測定した。また、硬度はビッカース硬
度計を用いて荷重10kgfで測定した。
した。ここでの試験は下記のようにして行った。まず、
φ25×t5mmの試験体を切り出し、試験表面を鏡面
仕上げした。その上で、減圧プラズマ溶射装置を用い、
熱源としてプラズマアークを用いた試験体表面のエロー
ジョン試験を行った。常温、2.5kPaのアルゴンガ
ス雰囲気中で、予熱処理後、試験体を陰極とし、水冷銅
陽極との間に電圧をかけることにより、移行アークを発
生させている。なお、試験条件は、電源電圧50V、ア
ーク電流を490Aの一定とし、7〜13分間実施し
た。
は次の通りである。すなわち、タングステン及び銅の合
金に対し、カルシア、マグネシアあるいはセリアといっ
た酸化物と、ニッケル、コバルトあるいはクロムといっ
た金属とを少量添加することにより、電気接点材料の損
耗量を大幅に減らすことができる。具体的には、酸化物
及び添加用金属を両方ともに含有していない比較例1、
酸化物のみを含有している比較例2、添加用金属のみを
含有している比較例3のアーク損耗量がそれぞれ、18
mg,20mg,16mgであるのに対し、実施例1〜
3のアーク損耗量はそれぞれ、1.9mg,1.7m
g,1.6mgと極めて低くなっている。
料によれば、電流密度が大きく過酷な環境下で使用され
る場合でも、高い信頼性を確保することが可能である。
このため、電力機器の高電圧・大容量化、コンパクト化
及び長寿命化に大きく貢献することができる。また、こ
のような第1の実施の形態は、発電所、変電所における
高電圧下での遮断器、断路器、開閉器等、特に高電圧遮
断器であるガス遮断器のアーク接触子に好適である。さ
らに、酸化物はアークによる分解ガスと反応して耐蝕皮
膜を形成するので、分解ガスに対する耐性が高まり、ア
ーク熱による蒸発や、開閉動作における摩耗を抑制でき
る。また、金属ニッケルを加えることで耐熱性の向上を
図るだけでなく製造性も改善でき、品質の安定化が実現
するというメリットもある。特に、アークの発生頻度が
多いガス遮断器では、これらの作用効果により受ける利
益が大きいものとなる。
物を体積比で2%未満とし、且つ材料の気孔率を10%
未満としているため、実施例1の導電率が40%IAC
S、実施例2及び3の導電率が40%IACS、実施例
1のビッカーズ硬度(以下単に硬度と称する)が240
Hv、実施例2及び3の硬度が300Hvとなってい
る。これに対して、気孔率が15%と高い比較例2では
導電率が18%IACS、硬度が160Hvであり、第
1の実施の形態における導電率及び硬度が優れているこ
とは明白である。
グステンの体積比を65%に設定することにより、優れ
た耐熱性及び耐溶着性を確保できる。したがって、遮断
電流が大きい場合でもアークによる損耗量を低減するこ
とができる。これは、タングステンの体積比を75%と
した比較例4において、導電率が18%IACS、アー
ク損耗量が16mgである点からも確認することができ
る。また、タングステン粉末の平均粒径を6μm、酸化
物の平均粒径を5μm、添加用金属の平均粒径を40μ
mにしているため、取り扱いが容易であり、特性の安定
化を図ることができ、アーク損耗量の低減効果を良好に
実現している。この点に関しては、タングステン粉末の
平均粒径を60μmとした比較例5、マグネシア粉末の
平均粒径を40μmとした比較例6、金属クロム粉末の
平均粒径を200μmとした比較例7において、そのア
ーク損耗量が17mg,14mg,12mgとなってい
る点からも明らかである。
化物及び添加用金属の体積比を50:42:3:5とし
た点に特徴がある。添加用金属としては、実施例4にお
いてチタンを、実施例5においてモリブデンを、実施例
6においてレニウムを採用している。また、酸化物とし
ては実施例4ではカルシアを、実施例5ではマグネシア
を、実施例6ではセリアを含んでいる。
ず、タングステン粉末と、酸化物であるカルシア粉末
と、添加用金属である金属チタン粉末を混合して、一軸
プレスにより成形する(3種粉末成形工程)。このと
き、タングステン粉末は平均粒径2μm、純度99.9
%以上、カルシア粉末は平均粒径1μm、純度99%以
上、金属チタン粉末は平均粒径10μm、純度99.9
以上である。成形体の体積比率はタングステン:カルシ
ア:金属チタン=50:3:5になるよう、原料粉末の
配合比及び成形圧力を調整する。これに続いて銅溶浸工
程を行うが、これに関しては上記第1の実施の形態と全
く同様であるため、説明を省略する。
に代えてマグネシア粉末を、実施例6では同じくカルシ
ア粉末に代えてセリア粉末を添加している。また実施例
5では前記実施例4の金属チタン粉末に代えて金属モリ
ブデン粉末を、実施例6では同じく金属チタン粉末に代
えて金属レニウム粉末を添加している。これらの点以外
は実施例5,6は上記実施例4と同様の条件下で同じ方
法によって製造されている。なお、実施例5,6のタン
グステン、酸化物及び添加用金属における平均粒径及び
純度は、実施例4のそれと同じである。また、実施例4
〜6ではいずれも、材料中の気孔率は10%未満、材料
中に含まれる不純物は体積比で2%未満であるように構
成されている。
ついて説明する。比較例8では銅の体積比を下げ、タン
グステン、銅、酸化物及び添加用金属の体積比を50:
37:3:5とすることで、不純物の体積比を5%とし
たものである。この点以外は、構成、製造条件及び製造
方法に関しては上記実施例5と同じである。
タングステン及び銅の合金に対し、カルシア、マグネシ
アあるいはセリアといった酸化物と、チタン、モリブデ
ンあるいはレニウムといった金属とを少量添加し、しか
も、材料の不純物を体積比で2%未満とすることによ
り、前記第1の実施の形態と同様、優れた導電率及び硬
度を確保でき、電気接点材料の損耗量を減らすことがで
きる。すなわち、表1に示すように、実施例4〜6にお
いて、導電率は50%IACS,45%IACS,45
%IACS、ビッカーズ硬度は200Hv,260H
v,260Hv、アーク損耗量は1.5mg,1.6m
g,1.4mgとなっている。これに対して、不純物を
体積比で5%とした比較例8では導電率が15%IAC
S、硬度は170Hvと低下し、アーク損耗量は10m
gとなっている。
化物及び添加用金属の体積比を35:50:5:10と
した点に特徴がある。添加用金属としては、実施例7に
おいてはバナジウムを、実施例8においてはタンタル
を、実施例9においてはジルコニウムを採用している。
また、酸化物としては実施例7ではカルシアを、実施例
8ではマグネシアを、実施例9ではセリアを含んでい
る。
ず、タングステン粉末と、銅粉末と、酸化物であるカル
シア粉末と、添加用金属である金属バナジウム粉末を混
合して、一軸プレスにより成形する。このとき、タング
ステン粉末は平均粒径0.8μm、純度99.9%以
上、銅粉末は平均粒径10μm、純度99.9%以上、
カルシア粉末は平均粒径0.5μm、純度99%以上、
金属バナジウム粉末は平均粒径10μm未満、純度9
9.9以上である。成形体の体積比率はタングステン:
銅:4カルシア:金属バナジウム=35:50:5:1
0になるよう、原料粉末の配合比及び成形圧力を調整す
る。そして、成形体を不活性雰囲気、真空雰囲気、還元
雰囲気のいずれかの雰囲気において、1000〜120
0℃の温度で加熱処理した(4種粉末焼結工程)。そし
て加熱処理後、機械加工して、実施例7とした。
に代えてマグネシア粉末を、実施例9では同じくカルシ
ア粉末に代えてセリア粉末を添加している。また実施例
8では前記実施例7の金属バナジウム粉末に代えて金属
タンタル粉末を、実施例9では同じく金属バナジウム粉
末に代えて金属ジルコニウム粉末を添加している。これ
らの点以外は実施例8,9は上記実施例8と同様の条件
下で同じ方法によって製造されている。なお、実施例
8,9のタングステン、銅、酸化物及び添加用金属にお
ける平均粒径及び純度は、実施例7のそれと同じであ
る。また、実施例7〜9ではいずれも、材料中の気孔率
は10%未満、材料中に含まれる不純物は体積比で2%
未満であるように構成されている。
ついて説明する。比較例9はタングステンの体積比を下
げて銅の体積比を上げ、タングステン、銅、酸化物及び
添加用金属の体積比を25:60:3:5としたもので
ある。この点以外は、構成、製造条件及び製造方法に関
しては上記実施例7と同じである。
タングステン及び銅の合金に対し、カルシア、マグネシ
アあるいはセリアといった酸化物と、バナジウム、タン
タルあるいはジルコニウムといった金属とを少量添加
し、且つタングステンの体積比を35%としたことで、
硬度を高めると同時に、電気接点材料の損耗量を大幅に
減らすことができる。具体的には表1に示すように実施
例7〜9の硬度及びアーク損耗量をそれぞれ、200H
v,220Hv,220Hv及び1.5m,1.6m
g,1.4mgとすることができる。これに対して、タ
ングステンの体積比を25%とした比較例9では硬度が
120Hvと低く、アーク損耗量は24mgに達してい
る。
なく、例えば、請求項9に対応する製造方法として、タ
ングステンの粉末と、酸化物の粉末とを混合・成形して
2種類の粉末から成形体を作り(2種粉末成形工程)、
この2種類の粉末からなる成形体に、銅と添加用金属と
を溶浸させる(銅・添加用金属溶浸工程)製造方法を採
用しても良い。また、酸化物及び添加用金属の組合わせ
は適宜変更可能であり、それぞれ複数種類を選んだ組合
わせであっても良い。
ングステン及び銅の合金に、カルシア、マグネシア、セ
リアよりなる群の中から選ばれる少なくとも1種類以上
の酸化物と、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバル
ト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ル
テニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタ
ル、レニウム、オスミウム、イリジウムよりなる群の中
から選ばれる少なくとも1種類以上の添加用金属とを加
えることにより、アークによる損耗量を低減させて優れ
た信頼性を確保し、電力機器の高電圧・大容量化、コン
パクト化及び長寿命化に寄与する電気接点材料及びその
製造方法を提供することができる。
Claims (11)
- 【請求項1】 電気機器もしくは電気回路の接点に用い
る材料であって、タングステン及び銅の合金からなる電
気接点材料において、 カルシア、マグネシア、セリアよりなる群の中から選ば
れる少なくとも1種類以上の酸化物と、 チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケ
ル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、
ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、レニウ
ム、オスミウム、イリジウムよりなる群の中から選ばれ
る少なくとも1種類以上の添加用金属とを含むことを特
徴とする電気接点材料。 - 【請求項2】 前記タングステンは体積比で30〜70
%であることを特徴とする請求項1記載の電気接点材
料。 - 【請求項3】 材料中の気孔率が10%未満であること
を特徴とする請求項1または2に記載の電気接点材料。 - 【請求項4】 材料中に含まれる不純物が体積比で2%
未満であることを特徴とする請求項1、2または3に記
載の電気接点材料。 - 【請求項5】 前記タングステンは平均粒径0.5μm
以上、40μm以下の粒子からなり、 前記タングステンの周囲に前記銅が分布し、 前記タングステンの内部または周囲に前記酸化物からな
る相が分布し、 さらに前記銅の内部または周囲に前記添加用金属からな
る相が分布するように構成したことを特徴とする請求項
1、2、3または4に記載の電気接点材料。 - 【請求項6】 前記酸化物からなる相の大きさは0.5
μm以上、10μm以下であることを特徴とした請求項
5に記載の電気接点材料。 - 【請求項7】 前記添加用金属からなる相の大きさは1
μm以上、50μm以下であることを特徴とした請求項
5または6に記載の電気接点材料。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電
気接点材料を製造する方法であって、 前記タングステンの粉末と、前記酸化物の粉末と、前記
添加用金属の粉末とを混合・成形して、3種類の粉末か
ら成形体を作る3種粉末成形工程と、 前記3種類の粉末からなる成形体に前記銅を溶浸させる
銅溶浸工程とを含むことを特徴とした電気接点材料の製
造方法。 - 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電
気接点材料を製造する方法であって、 前記タングステンの粉末と、前記酸化物の粉末とを混合
・成形して、2種類の粉末から成形体を作る2種粉末成
形工程と、 前記2種類の粉末からなる成形体に、前記銅と、前記添
加用金属とを溶浸させる銅・添加用金属溶浸工程とを含
むことを特徴とした電気接点材料の製造方法。 - 【請求項10】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の
電気接点材料を製造する方法であって、 前記タングステンの粉末と、前記銅の粉末と、前記酸化
物の粉末と、前記添加用金属とを混合・成形して、これ
を焼結させる4種粉末焼結工程を含むことを特徴とした
電気接点材料の製造方法。 - 【請求項11】 請求項1記載の電気接点材料をアーク
接触子に適用したことを特徴とするガス遮断器。
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JP2000366038A JP2002167631A (ja) | 2000-11-30 | 2000-11-30 | 電気接点材料及びその製造方法及びガス遮断器 |
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JP2000366038A JP2002167631A (ja) | 2000-11-30 | 2000-11-30 | 電気接点材料及びその製造方法及びガス遮断器 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2000
- 2000-11-30 JP JP2000366038A patent/JP2002167631A/ja active Pending
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